---シュウ---
若い弟子二人が、白音の指導の元、オーラを纏う鍛錬を積んでいる。
「全身を覆うイメージです」
刀太、リアスとも真剣に取り組んでくれている。後2,3年は掛かるかな?
「どうだ?二人の塩梅は?」
鍛錬を見学している僕の隣に、雪姫がやってきた。
「順調だけど、3年後だな。そこまで待ってくれるかどうかだ」
「見つけ次第…」
「だろうな。なぁ、僕に何か遭ったら、二人を頼むよ」
怪訝な顔をする彼女。
「どういう意味だ?」
「現状、二人は戦えるレベルで無い。万が一の場合、僕が時間を稼ぐ」
「お前が倒すって発想は無いのか?」
「無いな。僕は戦闘よりエロが好きだから♪」
「…」
う~ん…来そうだな。準備をするか…
『ツヴァイ、アギト、準備を開始してくれ。後、アルビオン、ヴリトラ、頼むぞ』
『『『了解!』』』
僕の中の仲間達に指示を出した。
「お兄様…」
白音が近寄って来た。
「白音、後は頼むぞ。なるべく早く戻るようにする」
「一緒に連れて行ってください」
涙目の白音…でも、
「お前には、二人を戦えるようにして欲しい。頼むよ♪」
義妹の頭を優しく撫でて上げる。緊急時に付き、頭撫でられ隊のメンツで出て来ない。
ヒュ~ン…ドッカ~ン!
空から何かが降ってきて、地面に激突した。
「すまない、感づかれた」
クレーター状の地面からフェイトが顔を出した。来るなぁ♪次の瞬間、空一面に巨大な魔法陣が出現した。都市全体を覆う殲滅魔法陣のようだ。刀太の正確な位置が分からないから、都市ごとか?アジと僕で魔法陣を出来るだけ書き換えておく。
「マジックキャンセルで防げないのか?」
雪姫に言われた。
「広域系は無理だよ。まぁ、こういう時の対処は考えてある。じゃ、元気でな」
翼を展開して、上空へと舞い上がる。建物に被害が出ない高さまで上昇すると、僕も広域魔法陣を発現させた。僕の行動により、始まりの魔法使いが怯んだのが見えた。しかし、気を取り直して、撃ち込んで来た。その瞬間、魔法陣同士を密着させて、魔力をドレインしていく。始まりの魔法使いの魔力の貯蔵量と、僕の魔力の吸収量の勝負である。僕が勝てば、アイツはマインドロストして、当分何も出来無いはずだ。
『ヴリトラ、ラインをアイツに繋いで、ドレインを開始だ』
『了解』
『アルビオン、容量の95%以上になったら放出してくれ』
『了解』
『アジ、まだか?』
『まだです』
仲間の協力無しでは、時間が稼げない。
『シュウ…放出が追い付かないわよ』
ツヴァイの悲痛な声…でも、やらないとなぁ。他に手立ては…そうだ。
『ツヴァイ、ダイヤモンドダストで魔力を抜け!』
『了解』
燃費の悪い魔法で、魔力を無駄遣いする。万が一、ネギに当たったら死ぬだろうけど…フェイトすまない…
『主様、限界じゃ…』
忍からの最後通告。溜め込んだ魔力により、僕の身体が割れていく。
『破裂するまでドレインを続けろ~♪』
そして、僕は爆発した。後日聞いた話では、始まりの魔法使いのマインドロストは成功したらしい。
---雪姫---
アイツは純白の翼を展開して上空へと飛び立った。
「天使なのか?」
夏凜が訊いた。
「えぇ、人化状態の場合の身体のベースは、天使と鬼のハーフです」
白音さんが答えた。はぁ?あの鬼畜…マジで鬼の子なのか。上空に達すると、アイツも広域魔法陣を発現させた。何をするんだ?
「始まりの魔法使いの魔力を総てドレインをして、マインドロスト状態にします。これにより、年単位で時間が稼げると思います」
と、白音さん。彼女の口調では、予定通りの行動のようだ。アイツは戦わないのでは無く、時間稼ぎをする為にいたのか…
始まりの魔法使いの魔法陣が発動した。しかし、地上には魔法は撃ち込まれてこなかった。すべて、アイツが受けてドレインしているようだ。
「おい、アイツ、死ぬつもりか?」
夏凜がアイツのことを心配していた。
「お兄様は死にません。不老不死ですから」
はぁ?アイツも不死者なのか…だから、不死者対策がうまいのかな?感心をしていると、アイツの身体が発光し始めた。
「限界です…たぶん、爆発するまで全力で行きますよ」
限界?不死者なのに?何の限界だ?
「器の限界です。お兄様の本体は人札。外見は器ですから、内圧に対する強度が足り無いのです」
器…空に浮かんでいた光輝く器は、光の粒子に分解され、消えていく。
「身体の再構築が終わるまで、戻られません」
白音さんの声が遠くから聞こえる。私は闇の中に放り出されたようだ。
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目が覚めると、知らない場所にいた。
「おぉ、悪いなぁ。リンクされていたようだ」
目の前にアイツがいた。リンク?
「雪姫と夏凜には、僕の印を刻んだから…僕と同じ場所に飛ばされたんだよ」
って、既に夏凜と交わっているアイツ…夏凜は恍惚な表情で、プレイを愉しんでいた。
「ここはどこだ?」
どこかの都市のようであるが、霧が立ちこめ、空が見えない。
「爆発した瞬間に、次元が歪み、裂け目に吸い込まれたようだ。さっき、次元の狭間にビーコンを投げ込んだから、仲間が見つけてくれるの待ちだ」
こんな状況なのに、焦らずに夏凜の身体で愉しんでいる鬼畜。なんだ?この余裕は…
「良く有る事だよ。たいてい、こんな感じだし♪」
状況を楽しんでいる鬼畜。
「雪姫と夏凜がいれば200年くらい大丈夫だよ♪」
大丈夫って、ソレはアレだろ?まったく、このエロ鬼畜は…
「うん?何か来る。夏凜、お楽しみのところ、悪い。戦えるようにしておけ」
「ジャマ?許せない…」
人では無い者の気配が多数に、人が一人か。近寄っていくと。
「おい、有り金を全部出せよ!」
魔物が人間にカツアゲをしていた。なんだ、この街は…
「給料を返してください。妹への仕送りをするんですから」
「五月蠅い!お前の金は俺達の金だ!とっと、有り金を…」
ゴトン!グシャ!
首から上が切り落とされ、地面に落ちた頭部を踏みつぶした…アイツ。
「カツアゲは良く無いぞ♪」
「なんだ!てめぇは?」
シャッ、シャッ、シャキーン!
魔物達の生首が、胴体から切り離されていく。アイツは手に剣を持っていた。あの剣は確か…
「雪姫、ビンゴだよ♪伝承で伝わる魔皇剣ザンバットソードだよ。バンパイアの王しか使えない契約剣だ」
「何!バンパイアの王だと…逃げろ~!」
生きている魔物達が逃げていく。アイツは剣を鞘に収め、地面に落ちていた袋を拾い、カツアゲを受けていた少年に渡した。
「なぁ、ここって、どこだ?」
鬼畜の質問に目が点になる少年。
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少年の案内でハンバーガーショップに来た。まずは腹ごしらえだそうだ。鬼畜は何故か、小銭を大量に持っていた。
「おい、どうしたんだ、その金は?」
「あぁ、さっきの不良達のお金をスッた。だって、無一文じゃ、夏凜が保たないだろ?お前と僕は喰わないでも、大丈夫だとしても」
あぁ、そうだな。夏凜はベースが人間だし。って、スリ行為を肯定していいものなのか?
「先程はありがとうございました。無事に妹へ仕送りできました。僕はレオナルド・ウォッチ、レオと呼んでください」
「僕はシュウ。ソッチのエロ女は雪姫、ソッチのエロ少女は夏凜だ」
「なぜ、エロを付けるんだ?」
夏凜が文句を言うが、
「だって、僕のエロ奴隷だろ?イヤなら、契約を解除してやるけど」
「イヤだけど…契約解除は待て!落ち着け!」
「ふふふ♪楽しそうな会話ですね。ここは初めてですか?」
「初めてだけど、だいたいの予想は付いている」
「予想?」
レオが興味深そうに訊いてきた。
「魔界の門が接続した都市だろ?」
「そうです…ここは元々NYだったんですが、3年前に魔界というか異界と現世が門で交わって、異形の都市ヘルサレムズ・ロットになったんです」
「そうか…この世界では異界というのか…」
「この世界では?まさか、並行世界から?」
「レオ、正解だよ。そうなると、門を閉じないとダメだな」
「閉じられるのですか?」
「門だもの閉じられるよ。問題は方法だよな…う~ん…」
「あの…一緒に来て貰えませんか?専門家ですよね?」
専門家?コイツの専門はエロだけだぞ…
「どこに行くんだ?言えない場所か。いいだろう。そこで、住処と仕事を斡旋して貰おうかな♪」
それは手だな。さっきから魔物達の舐めるような視線を大量に浴びていたから。外へ出ると、魔物の群れが付いて来た。私と夏凜狙いか?
「レオ。後ろがウザいんだけど…」
「おい!お前ら!女を置いて行く!そうすれば、見逃してヤルぞ♪」
『地獄の業火』
アイツが呪文を唱えると、魔物達は業火に囲まれて、灰になっていく。
「これで大丈夫だな」
唖然としている私、夏凜、レオ…往来で使う術じゃ無い威力であった。うん?シュウの手には小銭がざくざくと…またスリ取ったのか?いつ?
その後の数回、絡まれるが、アイツが涼しい顔で、殲滅していく。その度に、お金持ちになっていくアイツ…
「だって、死人にお金は必要ないでしょ♪」
って。そうだけど…さすが鬼畜と呼ばれる男ではある。
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デカイオフィスのような場所に連れて行かれた。
「クラウス・V・ラインヘルツだ。秘密結社ライブラのリーダーをしている。レオの話では並行世界から来て、異界の門に詳しいそうだが、間違いは無いか?」
ガタイの良い大柄の男性。
「だ♪で、住処とバイトを斡旋してくれないか?」
「はぁ?お前、何を言っているんだ?お前みたいな優男には無理だ。情報だけ置いて帰りやがれ!」
見るからに粗野なチンピラ風の男が横柄に言った。アイツは相手にしないが。
「ザップさん、ダメですって。そんな言い方は」
レオが止めに入った。
「はぁ?なら、俺と勝負しろ」
どさっ!
全身から煙を上げて、その場に崩れるようにして倒れたザップというチンピラ。
「こんな弱いヤツのいる組織は、命の無駄遣いになりそうですね」
アイツが何かをしたようだ。場が凍り付くような感じ…いや、氷系の術か?アイツに大きな氷柱が突き刺さった。しかし、パーフェクトスルーのアイツには、ダメージが入らない。
『ダイヤモンドダスト』
アイツの術によち、アイツを襲った術者の男の全身が爆ぜて消えていった。
「スティーブン!貴様!」
女性が…姿が見えなくなっていく…が、アイツに女性は勝て無い。
『脱衣』『催淫』
見ない女性が見えるのか、女性に何かをしているアイツ…鬼畜っぷり全開だな。
「もう、止めろ!これ以上の犠牲者は困る。合格だ」
リーダーの声にニヤリとするアイツ。
「生き返らせようか?チンピラ以外は?」
「ザップも頼む」
「躾をしておけよ。後、家とこの女が欲しい。迷惑料と思ってくれ」
この女というが、私達からはまるで見えない。
「チェインをどうしたんだ?」
「調教中だけど…姿を消したのは、コイツの能力なので、僕では戻せない」
「わかった。好きにしろ。部屋はチェインと同居でいいか?割と広い部屋だ」
「で、仕事は?」
「この街のボディーガードみたいなものだ。シュウは、異界の門対策を優先してくれ。給料は出すから」
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倒した2名を蘇生した後、レオにチェインという女の部屋へ連れて行ったもらったのだが。そこは所謂ゴミ屋敷だった…
「ゴミをかたせば、広い部屋だな」
アイツが見えない何かをベッドへ放り投げた。軋むベッド…徐々にチェインという女の姿が現れた。恍惚な表情で全裸体液塗れの状態で…
「チェインさん…何をしていたんですか?」
レオの問い掛けに、
「調教されていたよ~」
って、答えると、果てたようで反応しなくなった。チェインからアイツに視線を戻すと、ゴミ屋敷は既に小綺麗な部屋になっていた。
「いつの間に…」
夏凜、レオが目が点状態で固まっているようだ。
「どこに転移させたんだ?」
「ザップの部屋♪」
仕返しは何倍返しなんだ?アイツは、何も無い部屋の壁にドアを取り付けた。ドアの向こうは外だと思うのだが…しかし、ドアの向こうには大地があった。
「こういう時の為に、次元の狭間に家を持っているんだよ。この魔法のドアと連絡しているんだ」
これには私も目が点に…こういうことは慣れているって、納得である。