---シュウ---
「もう一人の姉も、見張りがついているのか?」
聖騎士に賛同しているエリザベスの姉について、ギルサンダーに訊いてみた。
「ついていないと思いますが、確信は無いです」
そうなのか。『強奪』して敵側だったら、ここにスパイを呼び込んでしまう。どうするかな。
「ベロニカお姉様を探して下さい。私が説得しますから」
真っ直ぐな視線で、エリザベスが訴える。どうするかな。
「地上で見つけてから考えるか」
馬車2台と仲間達とエリザベス、マーガレット、ギルサンダーとで、地上へ転移した。転移して、しばらくすると、ギルサンダーが声を上げた。
「いた!ベロニカ様とグリアモールだ」
今回は遭遇率が高くて助かるなぁ。ギルサンダーが二人の元へ走って行った。話し合いをして、こちらへ三人で戻って来た。
「ベロニカお姉様!」
エリザベスが駆け寄っていく。
「エリザベス!マーガレットが一緒って、本当?」
「えぇ、本当ですよ。馬車の中におります」
「そう、会って話をしたいんだけど…」
「そうですか。馬車の中ですね」
どこからか現れた騎士達が馬車に走り寄って来た。
「アイズ、ゼノヴィア、出番だ。ガード組は何時も通り、頼む」
僕と赤髪、青髪が騎士達に相対した。
「ベスちゃんは私達が護る」
忍とオーフィスがエリザベスのガードについた。アリスちゃんとセレジアはマーガレットのガードだ。オーフィスは、エリザベスのことをベスちゃん呼びしていた。
「ギル、この騎士達の強さは?」
「侮るな、そいつらはニュータイプだ」
ニュータイプとは、ギルサンダーから事前に聞いていた。聖騎士見習いの者で、魔神の血を飲み、適合した者達だけがなれるそうだ。能力は人間離れらしい。まぁ、人間では無い僕達には問題無いレベルなのかな?
ギルサンダーがベロニカ達を護りながら、馬車に戻って来る。
「アイツらに見張られていたとは…エリザベス、ごめん」
「お姉様が無事なら、問題無いです」
姉妹が寄り添っている。
「めっちん!防御結界で護れ!」
「了解です♪」
馬車の上に立っためっちんが魔術を発動した。
「貴様らは何者だ?」
僕のお相手は細めな女の子。瞼が開いているか微妙な感じで、女座頭市って感じである。
『爆炎』
何かを発動した。全身の至るとこで爆発し始めた。ドレイン&スルーで乗り切る。
「効かないの?」
では、お返しとばかりに『催淫』を発動。苦しみ出す女性。この世界の女性には快楽は苦しみなのか?
「貴様…何者だ?怪しげな術を使いよって!」
エラそうな男が近寄って来た。うん?人間では無い…コイツは…妖精か?
『殺しの氷山』
氷の槍か?僕に対して、数本飛んで来た。魔導戦士に魔術か?有り得ないな。『炎の壁』からの『ウルティマウエポン』を仕掛けてみた。この世界で、通用するかな?
「何?」
男性は、その場に崩れるようにして倒れた。う~ん、死なないのか。この世界には、知らない要素がありそうだな。
うん?起き上がれるのか?そうか、こいつ、ダメージを誰かに身代わりしてもらっているいのか。だから、弱点属性攻撃も軽減出来るのかもしれない。それならば、接近戦を仕掛ける。相手はそれを嫌がっている。物理ダメージは通るのか?相手の身体に一瞬触れた瞬間、『無価値』を発動した。これで、リンク(同調)は無価値、無効である。
「うっ!お前…キャンセラーか?」
リンクが切れたことに気づいた男性。あの姿も、誰かの魔力、魔術で、化けている可能性が有るなぁ。
「企業秘密だよ~ん♪」
逃げ出す男性。
『ドラン君、狙撃しておいて』
仲間に念話で指示を出すと、天空から光が飛び出し、男性を撃ち抜いた。
「何?どこから…」
地面に倒れた男性。最後は『エアスタンプ』で圧搾して潰した。そして、馬車に戻ると、ゼノヴィアが珍しく怪我を負っていた。エリザベスが治癒をしてくれている。敵の聖騎士団は逃げたそうだ。一難は去ったかな。
「どうした?青髪、身体が鈍ったのか?」
「違う…相手が飛ぶ斬撃使いだったんだ。後、名前で呼べ!」
飛ぶ斬撃使い?
「交わせなかったのか?」
「あぁ、剣からの斬撃で無く、術で二桁の斬撃を同時に撃ち出すなんて、想定外だ」
それだけの斬撃を受けて、生きているコイツもスゴいが…
「めっちんも回復に廻らないと、今後はつらいかな?」
「足り無いかもしれませんね。今までの相手とは勝手が違う気がします」
と、めっちん。
『フィン、剣士の方のアスナを呼んでくれ。後、娘のリヴェリアも』
『了解!』
ドランにいる仲間に念話で指示を出した。回復役を2枚追加だ。
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近くの村へ行き、野営することにした。そして、落ち着いてきたベロニカから、城の状況を聞いた。
「城の地下に何かあるのか?」
「あぁ、何かあるらしい。聖騎士長のヘンドリクセンが、そこで妙な儀式をしているようだ」
妙な儀式か。
「無くても良い物だな?お前達には必要無いんだろ?」
「見た事無いから、たぶん必要は無い」
なら、それは破棄の方向だな。
「古書によると、『一天を流星が十字に斬り裂く時 ブリタニアを至大の脅威が見舞う それは古より定められし試練にして 光の導き手と黒き血脈の聖戦の兆しとならん』とあります」
と、めっちんが報告してきた。この世界における聖戦の定義か?
「3000年前に起きた聖戦は、魔神族に対して、人間族、巨人族、妖精族、女神族が手を取り合ったとあります」
女神族以外の種族を認め無い天使達は、どうしたんだ?
「この世界に天界は有るのかな、めっちん?」
「有るには有るようです。どこかに入り口があるらしいですよ」
どこかってなぁ…あぁ、アイツに訊けば、わかるか。
「一旦、撤収してくれ。僕はちょっと行って来る」
「どこへですか?やらかすのですよね?」
めっちんが、やらかすと決めて掛かっている。
「そんなことは無いよ。じゃ♪」
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エリザベスの実母に天界への行き方を訊いた。
「あぁ、娘さんを貰うけどいいかな?」
事後報告気味ではあるが、親の了承は欲しい。
「あの子は役立ちませんよ。それより、私を連れて行ってくださいよ」
「ごめん、年齢制限が有るんだよ」
と、僕の好みをふんわりと伝えた。そして、天界へ…
この世界の天使って、どうなんだ?キングギドラのような天使はいるわ、糸目の天使がいるわ。
そうそう、エリザベスの実母の話では、女神族の上位者が女神で、下位者は天使らしい。紛らわしいぞ。それならば、女神族以外の存在価値を認め無いって言うのは理解できる。同族以外認め無い種族って多いし。人間族が典型だな。
「それで?」
同族で無い僕を上から目線で見る天使達。
「他の種族を認め無いのはどういうことかなって」
「ふん!貴様のような者に話す価値は無い。ここで消えろ!」
見た目温厚そうな天使が襲ってきた。ならば、
「僕、天使が大嫌いなんだよ!」
妖刀村正を手にして構えた。
「何…貴様、『神殺し』か?」
別世界ではあるが、天界程度までなら、噂は流れていたようだ。
「だとしたら?僕は天使だけじゃなく神も嫌いなんだよ。最高神を消してもいいんだぜ」
明らかに動揺をしている天使達。
「お前達の上司を消して…いやいや、天界を消すか」
「ちょっと待て!」
一番エラそうな、糸目で温厚に見えた天使が、声を掛けてきた。
『トライ君、お願い』
「久しぶりの出番だな」
トライ君の出現により、彼のオーラにより天使達の腰が抜けていく。
「ま、ま、まさか…」
「獣の数字だよ。天使ならわかるよな?ここで食事をしてもらってもいいんだよ。僕は一向に構わない。なんせ、天界、天使、神なんかクソくらいだからな」
「お前…天界で何をするんだ?」
声のトーンが一ランク上がったエラそうな天使。
「天界か?もう何個か消したけど。ごちゃごちゃ言うんなら、この世界を消してもいいよ。彼の食後にね♪」
「待ってください」
エリザベスの実母が登場。何しに来たんだ?
「娘を自由にして良いです。ですから、消さないでください」
「じゃ、契約書にサインを入れろ。この場合、神と神との契約だ。不履行は認め無い。覚悟を持ってサインを入れろ!不履行時には、天界及び神の間で食事後に、この世界をアカシックレコードから削除する。いいな」
「はい…」
最高神であるエリザベスの実母は土下座をして、サインした。
「え?」
天使達は、最高神の低頭ぶりを目の当たりにして、驚いているようだ。
「お前達も、頭を下げなさい!彼は、絶対神様よ」
「えっ!まさか…神殺しなのに絶対神なのか…」
「あ!思い出した。天使への罰は、翼を斬り落とせばいいのか♪」
妖刀村雨に持ち替えた。
「斬り落とす?何するんですか…物騒な」
その時、数名の天使が襲い掛かってきた。まぁ、はったりだと思ったんだろうな。しかし、僕に触れた途端、生きたまま燃え上がっていく。
「惨い…」
肉の焼けるヨダレがでそうな香り。焼き上がった天使をトライ君に差し出すと、美味しそうに食べ始めた。
「ローストエンジェルか。これはこれで旨いな。バカな奴らだ。シュウに手で触れる?バカ過ぎるだろ?神格の違いがデカ過ぎる。神のオーラで焼かれるとは真面な天使では無いな」
「え…絶対神では無いのか…」
「僕?通りすがりのエロ好きだよ」「かって守護神と呼ばれた名も無き神だ。バカ天使共よ♪」
僕の言葉に被せて、捨て台詞をいい、僕に戻って来たトライ君。おい、僕のセリフが…
「あの守護神か…エリザベスの憧れていた、他種族共存を目指した…」
僕が僕でない時代のことだ。記憶は断片しか残っていない。
「まぁ、そんな訳だ。魔神族撲滅に協力してくれ。他種族を排除しようとするなよ」
睨みを効かせると、目を合わせないように土下座をしだした天使達。これで、ここは落着か?
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キャッスルドランに戻ると、みんな興味津々な顔で集まってきた。何もやらかしていないはずだが…
「で、何をやらかしたんだ?」
代表で副官のフィンが訊いてきた。
「魔神族爆滅に協力してくれるように頼んで来た」
「頼んだだけかい?」
「契約を締結したよ…」
「ふ~ん、何をかな?」
疑っているフィンの目付き。あれ?やらかしていないはずだ。
「まぁ、…僕は天使も天界も神も嫌いだって話になって、トライ君を召喚して…で…最高神が頭を下げて契約書にサインだな」
「あの…また、お母様に何かしたんですか?」
女神族としての記憶をほぼ、思い出しているエリザベスに訊かれた。
「いや、エリザベスの代わりに連れて行けといわれて、拒否しただけだ。年齢制限に抵触するからって…」
「はぁ?年齢制限?シュウに年齢制限って言われてもな」
フィンが呆れている。まぁ、そうだが…
「後は、契約を締結した後に、僕に天使達が襲い掛かってきて、燃えちゃって…香ばしい死体をトライ君が食べただけだよ」
「燃えた?燃えたってどういうことですか?」
エリザベスが詰め寄ってきた。
「僕…天界だと、オーラのリミッタが効かない場合があって、本来のオーラがダダ漏れの時があって…」
「そうだな。シュウ本来のオーラは神すら燃えるんだよな?」
フィンが代弁してくれた。
「燃える?どういうことですか?」
「神々しすぎるんだ。普段はリミッタで、仲間に影響が出ないようにしているけど、天界とかでマジ切れすると、リミッタの封印を無効にしちゃうんだよ」
「え?コイツ、神なのか?」
ベロニカに訊かれた。
「ただのエリザベスの情夫ですよ。お姉様♪」
「はぁ?お前にお姉様呼びされたくないわ!名前で呼びなさいよ!名前で!」
怒りのポイントはそこか?この姉妹は手強いなぁ。思考が読めない…
「で、次はどうするのですか?」
マーガレットに訊かれた。
「そうだな。城の地下に潜り込んで、要らない物は破棄だな。マーリンは、七つの大罪の動向の監視と、ディアンヌの調教。調教が無理なら、返却してきてくれ」
「え?私を代わりにしないですよね?」
「しない。お前にはお前に向いた任務を与える」
マーリンは調教要員から外れて、ほっとしているようだ。まぁ、好みで無いし。
「城には僕だけで侵入する。もし。城下町で異変があった場合は、ギルサンダーを中心に町民の安全を確保しろ」
「「了解!」」
「回復役は町民の怪我を優先しろ。回復役のガードはマーリンだ。めっちんは防御結界を頼む」
うちの2大魔導師に指示を出しておく。
「雪姫、夏凜も出動だ。天使達に襲われる心配は無い。後、化け物クラスが出たら、フィン、念話で知らせてくれ。チームドラゴンを召喚する」
「わかった。制空部隊はどうする?」
「ドラン君に待機だ。作戦中に怪我をしたらドラン君に戻れ。チームウィッチーズは回復を優先してくれ。回復が出来無い者は、ドラン君から狙撃しろ。ここからは出るな。魔神族は強すぎるから、ファルコン達は全力で行け!」
作戦を一通り伝えて、部屋に戻った。少し休む為だ。
「シュウ様…」
エリザベスが一緒に付いてきていた。手慣れた手つきで、全裸になり、僕と添い寝をする。
「寝る時は、私を指名してくださいね」
「いや…一人で寝たい時もあるのだけど…」
「ダメです。夢で浮気はダメです!」
コイツ…一途過ぎるだろ…一瞬、蘭の顔が脳裏に浮かんだ。そうだ、逢いに行きたいな。
「あっ!違う女を思い出したでしょ?」
「思い出してないよ」
エリザベスの中に入り、身体を合わせて、少しずつ彼女が抱いた性欲エナジーをドレインしていく。彼女の性欲エナジーは心地良い。普通はバリバリ出来そうって感じになるのだが、睡魔が夜這いに来て、船を漕ぎ始めていく…