いつだってスクランブルは突然に
---シュウ---
朱璃の案件で、トスカ、ヴァレリー、白音、黒歌を投入してたので、彼女達4名は同化吸収をして、少し若返った。
粛清イベントを終えたバチカンから、供物が届いた。供物と言うには語弊がある者だ。棺桶が2つ…中には木場、ギャスパーが横たわっていた。書状には、異形なる者につき、処分を頼むとあった。ギャスパーは異形と言って問題は無いけど、木場はどうしてだ?解析をしてみると、木場の全身は防腐処理が為されていた。何かに利用されたのか?木場の魂を招魂して、記憶を読み取っていくと…木場から魔剣使いの因子が見付かり、取りだし方法を検討していたのだが、木場が自ら命を絶ち、急遽防腐処理を施したようだ。
仲間の木場とギャスパーを呼び出し、同化吸収させた。あの救われない戦場の経験者である二人。同化吸収をしたことで、少し元気になったようだ。
二人の相棒達から叱咤激励の言葉が送られて、二人は案件先へと戻って行った。
「魔剣使いも因子なんですね」
トスカが唸っている。このトスカは聖剣使い計画の生き残りである。
「そう言えば、どこぞの世界では魔女も因子だったぞ」
「ふ~ん…」
「まぁ、因子が組み込めるのは人間の特権だよ。神器もそうだけど、人間以外の種族は、それなりに完成しているから、組み込めないんだよ」
「そうなんですか」
「人間は亜人の始祖に近いからな。人間から見ると亜人は野蛮人って考えるだろうけど、広い視野で見ると、人間の方が野蛮人だよ。同族での殺し合いを簡単にするから」
肉食系種族を除けば、まずしない。肉食系だって、食べる為の殺し合いしかしないし。戦争とか殺人とか、人間は簡単に人間を殺すからな。
「だから、団長は、人間が愚かで醜い生き物って言っているんですか?」
ヴァレリーに訊かれた。
「まぁ、なぁ…そんな感じだよ。人間の次に愚かなのは神族だな。こいつらも同族殺しをするから。簡単には殺さないけど」
ふと…これで、この世界のリアスが眷属に出来るのは、アーシア、ゼノヴィア、ロセ、イッセーだけかな?いや、イッセーは無理かな?イッセー自身が知らない間に、イッセーを鍛えている僕。イッセーの持つ神器からドラゴン達の魂だけ同化吸収をしたので、代わりにあるオリジナル神器を埋めこんである。そう、僕の悪友に埋め込んだアレの強化バージョンをだ。ふふふ♪
「なんか、やらかしましたか?顔が悪人顔ですけど…」
トスカの声。
「ちょっとだけだよ。先行投資程度だよ」
---イッセー---
自分の部屋でまったりと…桐生かぁ…紅のせいで桐生の胸が脳裏浮かんでいる。確かにデカイ。あの谷間に顔を埋められたら…
うん?俺の中で何かが蠢いた。その瞬間、目の前に桐生が現れた。俺の妄想したエロい衣装を着ているし。どうして…
ドンドン!
ドアが激しく叩かれた。
「おい!イッセー、大丈夫か!」
父さんの声…俺は桐生の胸に釘付けで声が出ない。
バリーン!
ドアが破られ、父さんが部屋に入って来た。
「これって…なんだと…」
父さんの顔から血の気が失せていく。
「どうしたの、父さん…」
「お前の身体に、俺の知らない神器が埋め込まれている…『桃色天国(イッセーズ ドリーム)』ってモノらしい」
まさか、ソレの影響で、桐生が…
「はぁ?禁手化すると『おれはハーレム王になる(バルキリーズ カーニバル)』になるらしいぞ」
「それって、何?ねぇ、父さん」
「『桃色天国(イッセーズ ドリーム)』は、イッセーの妄想した女性を実体化させて、イッセーのしたいように出来る。但し妄想出来無い女性もいる。例えば、僕の家族とか♪」
紅、緑のエロ親父が現れて、説明をしてくれている。
「シュウ…お前…何をしたいんだ?」
「イッセーを最強な軍師にするんだよ。で、上位モードの『おれはハーレム王になる(バルキリーズ カーニバル)』は妄想した女性達を武装させて、敵と戦わせることが出来るんだよ」
「軍師…この神器は何だ?」
「僕のつくったオリジナル神器で、兵藤一誠専用だよ♪」
このエロ親父は俺をどうしたいんだ?
「桐生藍華を妄想したのか。コイツは戦闘員で無いから、戦えないが、したいことを、させてくれるよ。例えば…」
桐生が俺に近づいて来て、俺の顔を谷間に埋めてくれた。気持ちいい…実物のこうなのか?
「あぁ、実物と同じだよ」
「どうして?」
父さんがエロ親父を問い詰めている。
「イッセーの神器の多くが使い物にならなくなったので、その補填だよ」
意味が分からないけど、これはいいものを貰った。
「それは魔力でなくて、エロ心で起動するんだよ」
だから、行く度にエロ本部屋に監禁したのか?
「ビンゴだよ♪誠に説明書を渡しておくから、、使い方をマスターしておいてくれ」
そういうと、エロ親父が消え、桐生も消えた。どうなっているんだ?
---シュウ---
イッセーの部屋から、自分の家へ転移してはずなのだが、何故か姉ちゃんの処に転移した。あれ?
「亘、スクランブルだよ♪」
緊急案件が発生したようだ。
「どこかのバカが、最高神でも無いのに『流星雨』を発動したようだ」
『流星雨』とは、流星が降り注ぐように落下する術で、神格魔術である。天変地異系の危険なモノで、その使用は最高神の、破壊神か、維持神にしか権限が無い術だ。
「神族か?」
「人間だ!」
はぁ?人間に唱えられる魔術では無いはず。恐竜さえ絶滅出来る威力であり、人間には学ぶ機会の無い術なのだ。
「おかしいだろ?」
おかしい…何者だ?
「その人間の調査と、『流星雨』の剥奪が案件の内容だ」
危険な案件だな。
「どこの世界だ?」
「アルタイルが維持神をしている世界だ」
アルタイルとは、めっちん達と同じ被造物で、軍服の姫君と呼ばれていた者だ。彼女の想いはわかるので処分をせず、彼女を維持神に、彼女の創造主を創造神に任命して、彼女達が関係した世界と、彼女達の作りだした現界な世界を維持、管理して貰っている。
「そうなると、その人物の創造主は?」
「いない…人間なのに、別世界から召喚されたようだ」
人間なのに、実体化した想像世界に召喚?誰が、何の為に召喚したんだ?
「アルタイルによると、彼女の創造主が、想像した覚えの無い世界が突如現れて、そこで発動されたそうだ」
危険だろ?それって…アルタイルを消すつもりの勢力でもいるのか?
「わかった。行ってくるよ。その代わり、ロス時間は少なくしてくれ。やっと母さんに逢えたんだから…」
「何千年過ごそうと、ロストは1日にしてあげる。やっと、逢えたんだものね♪」
愛しそうな視線で僕を見つめる姉ちゃん。
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現場に降り立った。地面が抉れている。地軸もズレたみたいだ。その威力の超大さがわかる。これに耐えられるのは、僕とヤマトとネギくらいか…その位の凶悪な術である。生き物の気配は無い。何の為に発動したんだ?何かの証拠隠滅か?
証拠隠滅だとしても、やりすぎである。ここで、数え切れない数のドラゴンがロストしたようだ。中には龍神クラスもいる。そうなると『神殺し』スキル持ちってことだ。
うん?ここにいたドラゴン達以外にも、リザード族が全滅している。この場にいた2種族を全滅に追い込んだのだろう。『龍殺し』『怪異殺し』辺りのスキルもあるのだろう。でなければ、生き残りがいても良いはずだが…いや逃げ場が無かったのかもしれない。見える範囲の総ての地面が抉れているから…酷い…僕でもここまではしない。
『どう?』
姉ちゃんから念話だ。ここまでに分かったことを知らせた。
『龍も怪異も神も使えないの?どうするの?』
ヤマトのチームには、電脳サイドからの支援を頼んでいるので、呼び出せない。どうするかな…
メンバー選定に悩んで居ると、お節介な仲間達が勝手に押し掛けてきた。
「団長、こういう局面は親衛隊でカバーしますよ」
ファルコンが声を掛けてきた。メンバーを見回して、
「ベスと雪姫は帰れ!」
相手の能力に対して、不利な者に命令を下したのだが…
「帰りません!」
強情なベス。その啖呵に頷く雪姫。無理に返しても、戻ってくるんだろうな…しょうがないか。
「わかった。ネギ、二人の盾になれ」
防御特化の完全調整体のネギ太郎に命じた。
「了解です♪」
ネギ太郎は、命じられたのが嬉しそうだ。
「で、どうします?」
え?なんで…こいつらもいるんだ?目の前には、デュラハンのマッチーとケンタウロスの姫がいた。
「あぁ、馬車が必要だと思って、来て貰ったんですよ」
って、ファルコン。確かに、デュラハンとケンタウロスは馬に擬態出来るけど…現在は人間に擬態している二人。
「やっと、団長とお仕事が出来る日が来ました」
嬉しそうな姫。マッチーは抱きついて、頬を重ねている。大丈夫か?このメンバーで。
「魔法のドア付きの馬車は持ち込んであります。馬は3頭立てで、アリスの天馬も使います」
魔法のドアは、ドランと行き来出来るドアだ。僕の駒を埋め込んだ者と、僕が許可した者以外は使えない。
「近くの街で情報を収集しましょう」
ファルコンの提案で、馬車で近くの街へと向かった。
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セーリュー市という街に着いた。途中、盗賊から小銭を『強奪』しまくったので、当面の資金はある。
空気に同化して、街の下調べをした。この街は人間至上主義で、亜人差別っぽい。身分証がないと問題が有りそうだ。どうするかな…身分証は偽造だな。種族は駒の機能で人間にしておくか。
みんなの元に戻り、街に溶け込む作業を始めた。
「で、どこの所属にするんですか?」
って、ファルコン。所属か…ファントムドラグーンでいいかな?この世界の神格系がわからないので、ヨハネもマクシミリアンも使うのは危険だ。遠い大陸にある鬼門領の者にしておくか。この世界の地獄も鬼門が仕切っているから。
「そうなると、団長は鬼門侯爵ですか?」
爵位か…要らない…って訳にいかないか…
街の中に入ろうとすると、門番に止められた。
「身分証を見せろ」
身分証を見せた。
「このヤマト石に手を当てて」
石?ヤマト石?なんだ、それは?ヤマトが宿っているのか?
手を当てみた。門番の顔色が悪い。どうした?何かまずいものでも出たか?
「申し訳ありません。しばし、お待ちください」
随分と丁寧な言葉遣いになった門番が、どこかへ走り去った。石版を見てみると…
「種族:---」「レベル:---」「階級:聖者」「所属:神の間」「職種:神の遣い人」「称号:○○神」「スキル:---」「賞罰:禁固刑300億年」
などと、人間ではあるまじき文言が並んでいた。この石って…嘘発見器の上位バージョンか?!
「え?こんなに禁固刑を喰らっていたんですか…」
アイリスが呆れたように言う。いや、もっとだな。たぶん、やらかす前に自己申請した分は含まれていないのだろう。
しばらくすると、金髪の少女達がやってきた。
「ゼナ・マリエンテールと申します。ここへは何用で参られたのですか?」
代表の女性が口を開いたが、その顔は強張っている。
「先日の流星雨の件の調査だけど…」
身分がバレてしまったのです、正直に話す。偽装した甲斐が無い…
「龍の谷のですか?」
「地名は知らない」
「そうですか…。今、セーリュー伯がお留守で、お相手が出来る者がおりません。いかがしますか?」
人間では無い者は街に入れたくないのだろうか?
「わかりました。他の街を当たります」
女性とは諍いを起こしたくないので、そう伝えたところ、
「別に…ダメってことでは無いんです…ただ、その…あなた方のような高貴な方々を、お相手出来る者がおりませんので…」
僕が怒ったとでも思ったのか、顔面蒼白で泣きそうである。
「ならば、あなたが相手をしてください」
「私ですか…私は神官ではありません。このセーリュー伯爵領軍の魔法兵であります」
「身分、種族は問いません。大事にしないように偽装しましたが、その石で水の泡ですよ♪」
ヤマト石なる物を指した僕。
「あの…種族は何なのですか?」
「種族:---」って表示されている。この世界にはいない種族なのだろう。って、僕の種族ってなんだろうか?
「この世界にはいない種族です。人には知って良い領域があります」
「そうですね…」
僕と視線を合わせないようにしている女性。なんか、恐怖の対象になった気分だよ。さて、どうするかな…街には入れてもらえそうも無い。まぁ、さっき、見回った時に、何も妙な気配もなかったしなぁ…
「ファルコン、違う街へ行こう」
「わかりました」
「ちょっと、待ってください…これでは、神様の遣い人様を、追い返したことになってしまいます」
ゼナが僕に縋ってきた。だって、そうでしょ?どうしろと言うんだ?
「夜は魔物が多いので危険です」
「問題無いです。お気遣いありがとうございます」
馬車に乗り込み、ゼナ達の前から立ち去った。さて、どこに行くかな?行く宛てがまるで無い。