---シュウ---
訪問客にフィアが応対をしに行った。そして…
「運命の王子様、いらしましたよ♪」
楽しそうなフィア。その後からハイエルフ様と、お付きのエルフが数名…
「探しましたよ♪」
顔を真っ赤にして、抱きついて来たハイエルフ様…
「いつ、式を挙げますか?」
彼女の瞳がキラキラしている。苦手のかけ算か?
「式って、なんの?」
惚ける僕。
「決まっているでしょ?私達の結婚式ですよ♪」
「ちょっと待ってください、アーゼ様!」
昨日の女性が口を挟んだ。がんばれ~♪
「何かしら?」
「ボルエナンの里には、アーゼ様しかハイエルフ様が、いらっしゃらないんですよ。その立場を放棄は認められません!」
「そうなのか。じゃ、そういうことで♪」
この場から逃げようとした僕の背中に抱きつくハイエルフ様。何とも言えない気持ち良い身体だ…
「私とあなたの子供を跡継ぎにしましょう♪」
「ダメですよ。ハイエルフは神としか結婚出来無いんですからね」
えっ!ダメじゃん…
「そんな仕来りは、終わりにしようよ。だって、そんなこと言っていたら、私は恋すら出来無いよ~!エルフは男性もいるからいいけど、ハイエルフは、伴侶のいない神様の為だけの種族なのよ」
この世界のハイエルフって、そうなのか…ますますマズい状況である。仲間達が暖かい視線をハイエルフ様に送っているし。
「なら、問題は無いですよ。うちの団長は、あぁ見えて神様ですから」
ネタバラシするファルコン…終わった…女難の相の封印が切られた。
「「えっ!」」
ファルコンの言葉で固まるエルフ達とハイエルフ様。抱きついた身体が強張っていくのが分かる。安堵のオーラでそれを緩和してあげる。
「神様なんだ…私を迎えに来てくれた王子様なんですね♪」
背中越しで確かでは無いが、涙目になったようなハイエルフ様。
「なんの神様ですか?」
エルフの女性がファルコンに訊いた。アイツ、真面目だから、正直に言うんだろうな。
「第13宇宙を司る絶対神にして、2柱1対の宇宙神様の片割れですよ♪」
セーラとミトが固まったようだ。物凄くショックを受けている感じである。背中越しのハイエルフ様もだ。神格階位を下に見積もっていたんだろうな…
「え…ちょっと…えぇぇぇぇ~!」
エルフ達が跪いた。ハイエルフ様もミトもセーラも…
「いや、そんな畏まらないでください。エロ神程度に思ってくれると嬉しいです…」
変な汗が流れ出て来た。こういう展開は一番苦手である。黄門様の印籠シーンのようで、むず痒い。
「ご無礼を…平にご容赦ください」
ミトの声が固い。セーラは無心に祈りを捧げているし。
「え…そんな上の階位の神様が…どうしよう…身が焼かれちゃうかな…ねぇ、無礼なヤツって思われたかな?」
ハイエルフ様が、お付きのエルフに泣き付き始めた。誰がこの場を収拾していくれるのかな?
「セーラ…そんなに畏まらないで。頼む!」
一心不乱に祈りを捧げているセーラに抱きつき、安堵のオーラで包み込む。自分で収拾しないとダメだよな。仲間達は暖かい目で見守ってくれている。
「シュウ様…私…」
「今まで通りで頼む。僕は僕が神であることを否定して生きているんだ。だから…頼むよ、セーラ」
セーラの唇に唇を重ねた。緊張していたのか唇が乾いている。舌で舐めて潤いを与え、緊張を解していく。
「はい…ごめんなさい…取り乱しました。シュウ様はシュウ様ですよ」
「はい♪」
次にミトだ。放置プレイでも良いのだが…抱きつき、背中をさすってあげる。
「ミト…」
「まさか…そんな上の神様とは…ご無礼を…」
「ミト…堅苦しいのは無しにして。ねぇ♪」
ミトとも唇を重ね、胸に手を当てて、緊張を解してあげる。緊張しすぎて体温が下がってきている。筋肉も固くなっているし。マズいなぁ。安堵のオーラを強めにして、ミトを包み込んだ。
「私も連れて行ってくれますか?一人にしないでくれますか?供物は…私の命で…」
頷く僕。この世界にいきなり召喚されて、寂しかったのだろう。心を覆っていた孤独感が解けていくのが分かる。仲間になりたい…孤独からの脱却のようだ。
「汝の願いを供物で叶える。だから、昨日のように接してくれ」
「明日からでいいですか…今日はダメです」
ミトの頭を優しく撫でると、ミトの呼吸音が寝息になっていく。勇者として強き者としての振る舞い。彼女は疲れていたのかもしれない。ゆっくりと眠っていいんだよ。ミトをエリザベスに渡した。彼女の安堵感で心の傷を癒やす様に指示をした。
問題はハイエルフ様だな。どうするかな…オラリオの世界のハイエルフの里から留学生でも連れて来るかな。この子の代わりに…娘のリヴェリアに念話で指示を出した。
「彼女の代わりのハイエルフを手配する。それでどうかな?」
「ありがとうございます」
エルフ達は納得したのか、僕に頭を下げた。問題はこのハイエルフだ。
「神様…もし、ダメなら、私を灰に戻してください」
って、戻せないって。受け入れるしか無いのか…なんか、負けた感が強い…凹む僕。
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ある意味、修羅場の翌日…ミト、アーゼ、セーラが普通に接してくれた。あのハイエルフの名前は、アイアリーゼ・ボルエナンで、愛称がアーゼだと言う。この世界を離脱する時、この3名を供物として貰って行くことになった。
「シュウさん、ドラゴンが街道に居座って居るんだって。ねぇ、退かすのを手伝ってよ~」
って、ミト。う~ん、ドラゴンか…まぁ、いいか。
「わかった。どこだ?」
ミトと共に、現場へと向かった。現場ではドラゴンが道を塞いでいた。理性の有るドラゴンだったので話し合いをした結果、元々いた場所に強いドラゴンが来て、追い出されたようだ。じゃ、ソレを追い払うってことで、話が着いた。
で、強いドラゴンの元に行くと、戦闘をしていた。ワイバーンに載った騎士がドラゴンに攻撃を入れていた。
「ミト、どっちを倒せばいいのかな?」
「う~ん…ドラゴンは話し合いで、どうにかなりそうだよね?」
じゃ、騎士の方だね。いや、ワイバーンを追い払えばいいのか?龍喰剣を手にして、ワイバーンの前に出た僕。ドラゴンの方はミトにまかした。
「貴様!どうして、空にいるのだ?そうか!貴様は魔族だな!」
決めつけられた…
「我こそはっ!シガ王国にその人有りと謳われた、シガ八剣が第四席「疾風」のトレル!魔族よ、塵に返してやる!覚悟せぇ~!」
ワイバーンに剣を向けてオーラを込めた。ドラゴンスレイヤーのオーラと、ドラゴンマスターとしてのオーラにより、ワイバーンは恐怖を感じ、騎士を振り落として、逃げていった。戦わずに勝つっていいなぁ♪
「貴様!なんてことをするんだ?!」
騎士が怒っている。では、剣をザンバットソードに持ち替えた。そして、地上へ降り立った。
「ファントムドラグーン団長、シュウ!このケンカ買った!」
飛ぶ斬撃を相手の槍に撃ち込んだ。爆発するように弾けた槍。魔法武具だったのかな?まぁいいっか。
「何?魔法の剣か?」
いや、吸血鬼の王の剣だけど…瞬動術で騎士の前に出て、裏拳を鳩尾に軽く入れると、崩れるように倒れた騎士。
「こっちも終わった」
って、ミトがやって来た。
「聖者様ですよ?」
岩陰から声が聞こえた。確か、最初の街で応対してくれた魔法兵士の女性だ。
「ゼナさん?」
「そうです。その節はすみませんでした。そのご老人は殺したのですか?」
「いや、意識を刈り取っただけです。僕を魔族って決めつけるから」
「えっ?失礼な爺さんだな」
って、ミト。正体は秘密だぞ~。ミトは老人が意識を戻しても、暴れないように、縄で縛った。
「今、どこにいらっしゃるんですか?」
「迷宮都市に家を構えて住んでいるよ」
「奇遇ですね。私達も迷宮都市で研修があって、向かっていたところです」
それは奇遇だ。
「そうです。じゃ、転移術でお連れします。ミト、帰るぞ!」
「はぁ~い♪」
老騎士を引き摺って近寄って来たミト。みんなを迷宮都市へと転移させた。
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あの老騎士は、シガ王国の誇る8騎士の一人で、高齢を理由に勇退しようとして、最後の相手を探していたらしい。迷惑な爺だ!
「賢者様を魔族として始末しようとするとは…」
侯爵夫人が怒りに震えている。僕のシンパであるから。
「まぁ、あの程度で、負ける気はしないけどね♪」
「いえ、国王には一筆書きます。この街の宝と言える存在に、汚名を着せて始末しようとは…」
魔族って失礼だよな。それよりも、もっと凶悪なのに♪
娘さんの具合を見に来たのだが、そっちの話になってしまった。娘さんの具合は良い方向に向かっているらしい。最前線での栄養補助食品なので、一般の人の栄養補給には打って付けである。
「娘さんの方は、食事に気をつけてください。肉だけでなく、野菜や果物を与えてくださいね」
「はい、そうします。ありがとうございました」
侯爵邸を後にした。
「シュウ様♪」
ゼナに声を掛けられた。
「こんにちわ♪」
「こんにちは♪」
軍服で無くて、普段着のゼナ。
「今日は、どうされたんですか?」
「観光ですよ♪迷宮に潜るのは、もう少し後です」
潜る時に一緒に潜る約束をした。まぁ、ミト、アーゼと新たに潜る人材も増えたので、そのついでではある。
「観光する場所ってありますか?」
この街では迷宮以外に楽しい場所が無い。僕にとってではあるが。
「聖者様には無いのかな…」
聖者ではあるが、聖者としては生きてはいない。ゼナと一緒に街を観光し始めた。なんか、お祭りモードな街。何のお祭りだ?
「なんか、スゴいパーティーがいて、そのパーティーの為の祝勝会らしいですよ」
軍部からの情報を教えてくれた。スゴいパーティー、強いのかな?
「どんなパーティーなんですか?」
「階層主を2匹も倒したそうです」
聞き覚えの有る話である。僕達のパーティーでは無いのか?って、聞いていないぞ!って、いうか祝賀会よりもギブミー金である。
「すごいですね」
って、他人事の様に言っておく。そして、最近見つけた公園に案内をした。蔦の絡まるお屋敷の近くにある公園である。
「ここって、風が気持ち良いですね」
力一杯背筋を伸ばしているゼナ。
「そうですね。だからお気に入りなんですよ」
風の吹き抜ける丘は好きである。アウロスの風…今も吹いているかな…遠くの世界に残している家族を思い出した。
「あのお屋敷は?」
「どなたのでしょうね?そうだ。僕の家に寄りませんか?」
「はい♪」
ゼナを家に連れて帰る。疚しい気持ちはまるで無い。アーゼ、ミト、姫、マッチーの猛攻で毎晩ヘロヘロであるから。
大通りを歩いていると、
「ゼナさん!」
って呼ぶ声がした。
「あっ!サトゥーさん♪」
ゼナの知り合いのようだ。楽しそうに話しているゼナ。僕は気配を消して、一人で帰宅をした。
---ゼナ---
サトゥーさんと話し込んで歩いていて、忘れていた。そうだ、賢者様…周囲を見回すともう、いなかった。しまった。やらかしてしまったよ。
「どうされましたか?」
サトゥーさんに訊かれた。
「えっ…デートしていたのに…サトゥーさんとの再会が嬉しくて…」
「えっ!デートされていたんですか?」
驚いているサトゥーさん。
「でも、一人でしたよ、ゼナさんは…それとも気配を消していたのか?何の為に…」
気配を…私とサトゥーさんのことを誤解して…マズいって。見かけたら、街に連れ帰るように言われているのに…
「なんて名前なんですか?」
「シュウ様です。職業は聖者様です」
サトゥーさんが索敵をしてくれているようだ。
「おかしいなぁ。間違っていませんか?」
間違っている?身分を詐称ってこと?
「ヤマト石にそう、表示されていました」
「そうですか…」
何かを考え込むサトゥーさん。そして、そのままサトゥーさんの自宅へ…
---シュウ---
ギルド長に呼び出された。
「お前さん達の為の祝勝会なんだが、国王からの指示で、魔王や魔族を数々倒したペンドラゴン士爵の凱旋会になってしまったんだよ」
ギブミー金…
「当日、シガ8剣などのシガ王国の戦士も来て、パレードに参加するそうだ」
「で、僕達の受け取る金は?」
「すまない、もう少し待ってくれ。パレードに費用がかかるんじゃ」
貰えない予感。ならば、士爵とか王国関係者から貰うかな。
「わかった。待ちます。約束ですよ♪」
ギルド長は悪く無い。王国関係者がダメなんだろう。もしかして、王国関係者に『流星雨』遣いがいるのか?敵対する者を倒す為に…いや、人間の集団はいなかった。そうなると、力を誇示するためにドラゴン達を…許せない!
「ゾナ、士爵のことを教えてくれ」
「おい、ケンカを売るなよ」
「僕は買い取り専門だよ♪」