---シュウ---
夏休みは病院で過ごした。翼の再生は時間がかかるのだ。今も再生しきれておらず、ドラゴンの羽で飛ぶことしか出来ない。う~ん…
まぁ、学校へ通っていないから、毎日が夏休みではあるけど、娘達や弟子達に稽古を付けられなかった。反省中である。
深雪と達也は、娘達のいる学校へ転校してきた。彼女達の親と本家当主には、誠が事情を説明に行き、了解を得てきてくれた。前兵藤家当主の座にいた誠。人間相手でも、それなりに信用があるようだ。
深雪達を連れて、家に帰宅。母さんと父さんに、深雪兄妹を紹介した。
「ふ~ん…周太郎の好みだよね、彼女♪」
って、母さん。その言葉に、何故か深雪の表情がほころび、赤く染まる。あれ?達也好きだろうに?なんでだよ?
「この子、やらかすことが得意だから、問題があったら、私に言ってね」
って、母さん。おぃおぃ…娘達は、毅然とした深雪を知っているので、戦々恐々である。本拠で生活していた時、よく深雪に教育という躾を受けていたらしい。なので、この世界の深雪に対しても、礼儀は正しい。リアス相手とは、まったく違う。
「え?並行世界の私と結婚されているんですか?」
白音がいらんことを告げ口している。僕を見る顔は悪人顔だ。
「お兄様、好きなら好きって、態度で示してあげてくださいね」
って…いや、僕は別に…
「はぁい?並行世界の私二人と結婚されているんですか?」
ベスもだ…
「大切な人は何人いても良いんですよ♪」
って。そうじゃないんだよ~。今度こそ達也と…
「過去2回、私とお兄様を添い遂げさせようとして、失敗されたそうですね」
って…誰が、チクったんだ…凹む僕。
「今回も失敗に掛けますよ」
って、三十路の深雪…お前か…三十路の深雪が母さんと父さんに挨拶をしている。
「へぇ~、周太郎、お嫁さんを選ぶセンスがいいわねぇ♪」
って、母さん。その後、深雪同士で話しているし。何を話しているんだ?戦々恐々な僕。
「今、いいですか?」
達也が声を掛けてきた。
「いいけど…深雪は達也を愛しているし、達也も深雪を愛しているダロ?添い遂げるなら、僕が司祭をしてあげるよ♪」
僕の願望を伝えた。
「でも、深雪がシュウさんを選ぶなら、俺は大歓迎ですよ」
って、ここでも、深雪と達也の添い遂げ計画は、敗戦濃厚である。
「それより、訊きたいことがあります」
「ネギのことか?」
頷く達也。
「アイツも並行世界の住民だ。母親は四葉真夜、父親は七草弘一で、『八重奏』持ちだ」
「なるほど…両親がスゴいですね」
「問題はそこじゃ無い。アイツは完全調整体なんだ」
顔色が変わる達也。完全調整体とは、遺伝子レベルで調整された人造人間であり、その寿命は人間並であるのだ。一般に人造人間は、無理ヤリ作られている為、身体のどこかしらに欠陥が有り短命で、人間ほどの寿命が無いのだ。
「まさか、精子、卵子レベルでの調整体ですか?」
頷く僕。
「真夜の広大な魔法演算領域も持っている。その分、記憶力に難があるんだ。達也、お前のように感情を削っていない弊害だよ」
達也も普通の人間では無い。人造魔法師と言う改造人間である。拡張した魔法演算領域の為に、感情を司る脳細胞が奪われたのだった。
「人工的に何かをすれば、弊害は出るんだよ。なんで、人間はそのことに気が付かないんだろうな。並行世界をいくつも見て来たが、やっていることが変わらないんだよ」
「そうですか…俺は…いや、深雪もですが、転生悪魔になったことを後悔していません。俺も…たぶん深雪も、普通の人間では無いのですから」
「そうか…」
知っているんだな。
「後…白音さんから訊きました。シュウさんが離脱するとき、俺達もつれて行ってください。同化吸収されても構いません。お願いします」
僕に頭を下げる達也。どうして毎回、こうなるのだ…敗北感に苛まれる僕…
---イッセー---
夏休みが終わり、転校生が二人。あのエロ親父の新しい門下生であり、俺と同じシトリー眷属の達也と深雪だ。深雪も妄想の対象外だ。あのエロ親父と関係があるのか。羨ましいぞ~!深雪って子は、胸は大きく、腰回りは細く…抜群のプロポーションである。あの子で妄想がしたい…胸だけ大きい桐生では…妄想の限界を感じる。
「イッセー、なんか逞しくなったわねぇ」
って、その桐生。こいつも、胸がデカくなったんじゃないのか?
「あぁ、筆下ろししたからだろ?」
って、紅。おぃ、俺の初体験をばらすな!
「えっ…誰と?」
桐生が喰い付いている。
「藍華ちゃん、狙っていたのかな?」
って、緑。
「な、訳無いでしょ?なんで、私が…」
「ふ~ん…」
桐生を疑わしい目で見る紅と緑。
「じゃ、誰でもいいじゃん」
って、ティオナ。紅と緑と違い、竹で割った性格だよな、こいつは。
「藍華ちゃんは未だなの?」
緑からクリティカル気味な質問が飛びだした。
「えっ?!」
はっとした桐生。紅、緑コンビによる桐生虐め開始か?
「巨乳が武器にならなかったのかな?あぁ、胸がデカいんじゃなくて、巨乳首だもんねぇ~」
真っ赤になる桐生。ビンゴなのか…乳首のデカい女性は妄想しづらいぞ。
「そういえば、あの子は乳首が大きくなかったよね、イッセー」
って、火の粉が俺に…
「そ、そうだったな…あははは」
誤魔化す俺…逃げ場を探し始める。
「なんで、紅が知っているのよ?」
桐生が紅に問い詰める。止めろ、止めてくれ…掘り下げないでくれぇぇぇぇ~!心で絶叫する俺。
「だって、私達の目の前で、イッセーがプレイをしていたから♪」
公開生ライブみたいに言うなよ~、紅…
「どんなシチュエーションなの?」
桐生以外は喰い付いていない。皆、とばっちりが恐いからだ。いや、転校生に群がって避難している。
「藍華ちゃん、興味あるんだ♪ここで、実演してみたら?」
おい…桐生の顔色が見る見る蒼くなっていく。
「はぁ~い、紅、緑!そこまでよ。連帯責任になるから、もう止めてね」
リヴェリアが止めに入った。
「あぁ~、そうだった。リヴェリア、止めてくれて、ありがとう…次やったら、2週間コースだもんなぁ~」
凹んだ紅。エロ親父の躾は、エロ親父らしくなく、厳しいらしい。
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放課後、桐生に呼び出された。誰もいない体育館の倉庫にだ。なんだ?
「イッセー…あのね…」
桐生らしくない。モジモジしていて女の子ぽい。
「用が無いなら、帰るぞ。これでも俺は忙しいんだよ」
桐生に背中を向けた瞬間、背中に衝撃が走った。なにやら柔らかい物が接触している。それも2つだ…これって…乳首では無い…その土台の感触である。
「イッセー、待って…あのね…」
モジモジする桐生の下腹部が、俺のケツを撫でている。うぅぅぅぅ~、気持ちえぇ~♪
『念動力』を発動して、桐生のブラを外した。柔らかみを増す背中の刺激。次に桐生のスカートを外した。湿り気がケツを襲う。濡れていたのか…体位を入れ替えて、桐生の方を向く。唇同士が重なり、胸同士が重なり、下腹部では交わり合う。交わり合う?なんで?俺はズボンもパンツも脱いでいないぞ!
(え!どうして…何が起きたの?)
桐生の胸の内が聞こえる。が、桐生の腰をがゆっくりと動きだした。
(イッセーが私の中に…そんなつもりは…でも、悪く無い…)
桐生が俺に身を預けてきた。桐生の胸が俺に密着する。気持ちいい…、出ちゃうかも…いや、出た。マズい。念動力で、出た物を総て桐生の胃袋へ移動させていく。
達したのか、桐生の意識は無い。どうするんだ、これ。桐生を抱いたまま、その場に立ち尽くす俺。
---シュウ---
鍛錬の時間にイッセーが来ない。探索すると桐生と抱き合っていた。それも学校内の体育館倉庫でだ。アイツ、度胸があるなぁ。度胸に免じて、強制転移はやめておいてやる。しかも、交わっているし。それも、服を着たままである。なんらかのエロ系の能力が芽生えてようだ。
達也と深雪は剣術の基本と、体術を鍛錬メニューにした。身一つで護れないと危険が一杯だからね。
「師匠、達也君と深雪さんの能力は、どんな感じですか?」
ソーナに訊かれた。
「達也は分解系の術師だ。物理攻撃や魔法も分解して、無かったことに出来る。深雪は分子振動系だ。物質の分子運動を制御する事で、凍らしたり、燃やしたり、蒸発させたり出来る」
ソーナはメモをしている。
「強力な術師なんですね。戦術的には、どうしたら良いですか?」
「イッセー次第だな。アイツの仕上がり具合で、戦術は変わる。イッセー抜きで考えると、ティオナ以外の娘達は何かしらの術を使える。で、全員、剣術が使えるんだし、全員木刀で殴り込みでも行けるんじゃないかな?」
「なるほど…真空斬りは必須ですね」
「イッセーが使えない状況では、椿姫がソーナをガードだ。椿姫の苦手なレンジの場合は、ソーナが椿姫をアシストしてみな」
「はい」
「わかりました」
素直で教え易いシトリー眷属。リアスはいいのか?鍛錬していないけど…
---リアス---
「一緒になりたい人がいます」
家族の団らん中に、私は告白をした。唖然として私を見るみんな。
「どこの誰かな?」
お兄様に訊かれた。
「兵藤一誠くんです」
あの男の子の正体を思い出したのだ。イッセーと呼ばれていた男の子。以前会った男子で、イッセーは兵藤誠さんと一香さんの息子である一誠君だけであった。
「ソーナ君の眷属だぞ、リアス、知っているのか?」
え?ソーナの眷属。なんで?
「いいじゃないか、サーゼクスよ。トレードして上げれば良い」
お父様のお墨付きを貰った。ソーナから奪える♪
「待ってください、お父様。リーアにはトレード出来る人材がいませんが」
「あら?リアスに眷属がいるって、サーゼクスが言ったのよね?」
て、お母様。
「眷属の契約はしていますが、駒は入っておりません。たぶん、リーアの価値では眷属には出来ない者達です」
「なんだって?!眷属契約?駒を入れての眷属化では無いのか?」
「えぇ、違います。眷属のいないリーアの為に、誠殿が契約を結んでくれただけです」
「まぁ、いい。じゃ、せーゼクスよ。お前の眷属とトレードをしてまいれ!そして、リアスにプレゼントするのだ」
お父様も一誠君を歓迎してくれるようだ。
---サーゼクス---
マズい事態である。アイツの元を訪れて、相談してみた。
「はぁ?リアスにイッセーをトレードしろって?無理だよ。駒が無いんだぞ」
「では、駒を直してくれ」
「う~ん…駒を直しても、イッセーはもう無理だよ」
もう無理?
「そう、もう無理だ。ソーナがイッセーを眷属にしたのは、能力のギアアップ前だ。今だと、リアスの女王の駒が有っても眷属化は無理だ」
そんな…
「俺の…グレイフィアとトレードならどうだ?」
「おい、駒種の違う者はトレード出来ないんだろ?グレイフィアは女王だが、イッセーは兵士4だ。トレードは無理だ」
それはそうだが…
「魔王ならなんでも有りか?だから、グレモリー家は…」
言葉を飲み込んだアイツ。言いたいことは判る。そして、飲み込んでくれた理由も。だけど…
「どうにかならないか?」
「方法は2つだ。ソーナ・シトリーを殺すか、グレモリー家の当主を殺すかだな」
「ソーナ君の方は判るが、何故父を…」
悲しそうな顔をしたアイツ…
「ソーナを殺す事は想定内か…残念だよ、サーゼクスよ。で、お前の父親が無理難題を言っているんだろ?ならば、その口を塞ぐ為だよ。誠…残念な結果になった。どうする?」
何?俺の目の前に、誠殿、一香殿、イッセー君…そして、ソーナ君、セラフォルーが現れた。
「サーゼクス…お前も単なる悪魔だったとは、残念だよ。もっと思慮深い悪魔だと思っていたが、買いかぶりだったようだな」
誠殿が残念そうである。俺は、選択を誤ったのか?
「せーゼクスちゃん、ひどいよ~。ソーたんを殺して、イッセー君を奪うって…酷すぎるよ~」
セラフォルーが泣いている。ソーナ君はそんな彼女の背中に隠れていた。
「イッセー、どうする?どうしたい?」
アイツがイッセー君に訊いた。
「俺は、蒼那先輩の元で鍛錬を続けたいです。リアスの元へは行けません。いや、行きたくないです。だって、蒼那先輩を殺してまで、俺が欲しいって、何ですか?そんな女の元になんか行きたくないです」
そうだな。俺も同じ立場なら、行きたくない。でも、当主の言葉は絶対なんだ。
「だからだ。その当主の口を塞げば良いだろ?お前、ここにいる全員を敵に回して、タダで済むとは、思っていないよな?」
アイツの言葉…いつも正しい。そうだ。タダでは済まないだろう。冥界が消えるか、グレモリー家はなくなるだろう。だけど…
「だけど、何だ?そこまでの犠牲を払ってでも、当主の命令は絶対なのか?魔王であるお前の意志よりも、絶対なのか?だったら、まず魔王を辞めろ。他の魔王が迷惑だろ?そんなヤツと同列に見られるのは。どうなんだ、アジュカ、ファルビウムよ」
何…あの二人もいたのか…
「残念だよ、サーゼクス。君ほどの魔王が…そんなつまらない理由で、若い芽を摘むことを選択するとはな」
って、アジュカ。
「サーゼクス…まず、リアスの教育が先だろうに…イッセー君を手に入れたら、この先、次々に欲しい人材を、殺してでも奪うぞ」
って、ファルビウム。そうだな。最悪な展開が待っているだろうな。だけども…
「だけども、何だ?もう一度訊く。その返答次第で、お前の父親と妹は消える」
消える?まさか、刺客を放っているのか?
「僕を舐めているのか?悪魔2体くらい、いつでも消せるよ。なんなら、グレモリー邸ごと消し去ってもいいぞ」
どこまでも冷たい視線で睨むアイツ…
「サーゼクス、お前の最終選択はなんだ?答えてみな」
ソーナ君を殺すと言えば、父と妹は消されるのか…でも父を殺す訳にはいかない
「答えは出たようだな。わかった、お前の願いを叶えよう」
俺の願い…何を言っているんだ?
「魔王サーゼクスは魔王の座を辞め、グレモリー家の当主になれ。以上だ」
何…
「こんな裁定でいいか?セラフォルー」
「うん♪」
「アジュカ、ファルビウムは?」
「ルシファーが空位になるが、しょうがないだろう」
「俺もアジュカと同意見だ。それが血を流さない裁定だろうな」
「で、供物だが、リアスを貰う。異論反論は認め無い」
リーアを?
「どういうことだ?」
次の瞬間、アイツの腕の中にリーアがいた。
「お兄様…どういうことですか?」
アイツがリーアの胸に手を掛けている。リーアは何故か嫌がっていない。
「ソーナ、戦車が1あったよな?」
「えっ?マジですか?マズくないですか?それって…」
「ソーナの眷属って、眷属同士の恋愛は禁止で無いだろ?」
「あぁ、なるほど♪了解です、師匠♪」
何…ソーナ君の戦車の駒が、リーアに吸い込まれて行った。そこまで、リーアの価値は低かったのか…この場で力無くしゃがみ込んだ俺。
「シュウって、裁判長がお仕事?」
セラフォルーが訊いている。
「してねぇよ。紛争の解決って、なるべく血は流さないに、限るんだよ。そうだろ?誠よ」
「あぁ、そうだな。血が流れれば、遺恨が深まるからな」
こうして、一件落着したかに見えたが…
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「何?リアスが、ソーナの眷属にだと?で、サーゼクスが魔王の座から追われて、この家の当主になっただと?有り得ない。そんな裁定は認め無い。おい、グレモリー家の全員を招集しろ。シトリー家を占領する」
父が激高している。
「もう、悪あがきは止めて下さい。グレモリー家を断絶するつもりですか?」
「何を言っているのだ。断絶するのはシトリー家だよ、サーゼクス」
「悪いけど、そうはさせない」
アイツが知らない仲間を連れて、現れた。
「貴様!何者だ!」
「名乗る程の者では無いですよ。直ぐに終わらせます。ヤマト、やれ!」
「はい、兄さん♪」
アイツの弟だと…
「終わりました。もう、野望も何も無いはずです。サーゼクスさん、この家を頼みますよ」
彼らが転移していった。父はどうしたんだ?
「お父様、大丈夫ですか?」
「うん?何の話だったか?最近、物忘れが激しいな」
激高していた父の顔は、穏やかになっていた。何をされたんだ?