神隠し事件 Part1
---シュウ---
この地域の教育委員会に、夏綿けい子の存在がバレた。A級ライセンス持ちの教師って、全教科が教えることが出来るそうで、雇用したいそうだ。なので、娘達の通う学校ならって、許可を出した。その結果、娘達のクラス担任になったらしい。
ルミアは、僕が引き取る事になった。また、養女が増えた気がするが、母さんが喜んでいるので、良しとした。紅達のクラスへ転入に…
だけど、問題発生はいつも前触れが無く訪れる。システィーナが、誠の家にホームスティーするそうだ。テロリスト指定されていて、再入国って、この国の入管は大丈夫か?海外の要人、貴族に弱腰すぎないか?
グレンも来るのかな…アイツら、トラブルメーカーだよな…まったく。そうそう、セリカは、駒王学園での採用が決まった。魔法学の教師って立場である。
誠には、システィーナが、娘達の通う公立中学では無く、戦闘力がある駒王学園の中等部へ入れてくれって、頼んである。誠的にも、魔法を躊躇無く使うシスティーナの公立学校通学はNGらしいけど…
みんな、少しずつであるが、日々を前進していた。
---桐ヶ谷和人---
通信ネットワーク内仮想空間管理課の菊岡さんに呼び出された。SAO事件以来の知り合いである。
「デスガン事件ではお世話になったね。その節はありがとうね。あぁ、好きな物を、好きなだけ頼んでいいよ」
ここは銀座にある洋菓子店である。そこそこする値段のケーキが、メニューにならんでいる。また、仕事絡みだな…注文を終えると、本題に入ってくれた。
「神崎エルザの失踪事件は知っているよね?」
今をときめくアイドル歌手の失踪事件である。知らない訳がない。頷く俺。
「アスナ君の失踪と似ている点があるんだよ」
「アスナと…」
アスナとは俺の彼女だった人で、SAOを生き抜いた戦友でもあった。だけど、SAOから生還したのだが、アスナだけは目覚めなかった。そんなアスナが入院していた病院から消えたのだった。自力で歩けないはずなのに、密室だった個室から、忽然と姿を消したのだ。
「神崎エルザの失踪した部屋も、完全な密室だった。マネージャーの証言では、連絡が取れなくなり、部屋を訪ねると、部屋は完全な密室だったと言うんだよ」
似ているようだけど…どうなんだろうか?
「これ…混乱すると思って、君に見せていなかったんだが」
菊岡さんがタブレットを手渡して来た。そこには動画が再生されていた。ベッドに横たわるアスナ…その身体は徐々にドット落ちするように…消えた…どういことだ?
「彼女に異変があるとマズいので、監視カメラで記録を取っていたんだが…まるで神隠しだろ?」
神隠し…何度、再生しても、アスナが消える瞬間の映像だった。
「神崎エルザも同じかなって…そうそう、神崎エルザの場合、ナーヴギアとゲームが消えていたよ」
ログイン中に消えたのか…ナーヴギアとはフルダイブする為のヘッドギアである。
「何のゲームですか?」
「彼女はGGOオンリーだったらしいんだけど、それはゲームディスクが残っていた。だから、失踪時は違うゲームへログインしていたんだと思う。現在、調査中だよ」
アスナ…
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家に帰ると妹の直葉が笑顔で待っていた。直葉は1つ下の義理の妹である。ラノベでありがちな展開であるが義理の兄妹で、愛し合っている。アスナが消えた日以降であるが。俺を気遣う直葉…アスナを失った俺の空白のピースを埋めるように、直葉がそこに入ったのだった。
「お兄ちゃん♪これ、2つ買えたよ」
妹が手にしていたのは。フルダイブVRRPGの『アルフガン』であった。販売ルートが限られている為と、ゲーム内人口をコントロールしている為に、なかなかゲームディスクを手にすることが難しいゲームであった。ゲームはやりこみタイプで、謎解き有りのRPGってことだ。最終的には「真実の間で真実をみて、その後に選択をする」のが目的らしいが、そこまで達したというネットでの書き込みは皆無で、難解なRPGとして名は通っている。
「買えたのか…」
「やろ♪」
妹の部屋に行き、二人で並んで、ナーヴギアをセットして、フルダイブを…
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『アルフガンへようこそ…コンバートしますか?』
コンバートをするを選ぶ、
『データの作成中…コンバート…』
『注意…注意事項をお読み下さい。扉を開ければ、ゲームはスタートします。まず注意事項をお読み下さい』
取り敢えず、扉を開き、ゲーム内にインした。
『はじまりの街へようこそ♪』
目の前に街が見える。俺がいたのは祠のような建物だった。少し待つと直葉が出て来た。
「お兄ちゃん…SAOのアバター?」
え?直葉はALOのアバターであるが…リーファが手鏡を出し、俺の姿を見せてくれた。確かに黒衣の剣士であるSAOのアバターである。アイテムをチェック。SAO、ALO、GGOで集めたアイテム、装備にはロストは無かった。だけど…レベルは1、ステイタスもオール1になっていた。
「力が足りなくて、今までの装備が使えない…」
リーファである直葉が、震えている。宝の持ち腐れである。現状で使える装備を買わないと。所持金をチェックするが、手持ちは無しと出た。
ここで、漸く注意事項を読んだ。
・アバター、持ち物、装備はコンバートされますが、能力値関連はリセットされます
・ゲームシステムが違うので、持ち金はゼロスタートです
・セーブは宿、家、霊安室(デスアンドセーブ)だけで出来、それ以外の場所でのログアウトは霊安室行きになります
・来る物は来ます。準備をして置きましょう。
4つめがわからない。「来る物」ってなんだ?この4つめが、初心者にとっての最悪な敵になるとは、俺も直葉も、この時点では知らなかった。
「どうする?」
「ダンジョンで稼ぐしかないだろう?森に行って、棒か枝を拾おう」
街の近くの森へ向かい、適当な枝か棒を探した。だけど、ここに敵がいた。クマだ…素手の攻撃が効かない。
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意識が戻ると、霊安室にいた。
『ログアウトしますか?セーブしますか?』
の2択である。セーブを選択すると、霊安室の外へ出た。しばらく待つと、リーファが出て来た。
「死んだんだね」
「あぁ…クマに素手は無理だ」
ステイタスのチェックをすると、HPが100上がっている。死ぬとHPが上がるようだ。
「棒を1本拾えたよ。私がガードするから、お兄ちゃんは棒を探してね」
って、リーファ。そして、森へ…
数回死んだ後、ようやく棒をゲット出来た。クマを倒して、ドロップ品をゲットして金にしないと…
棒が手に入り、クマ狩りを開始した。素手とは違い、クマにダメージが入っていき、ついにクマを倒した。ドロップ品は、クマの毛皮、クマの肉、クマの肝、クマの手の4アイテムだ。街に戻り売ってみると…どれも10ゴールドだった。
「変動相場制だからな。クマはみんな狩るから、安いんだよ」
って、お店の人。変動相場制…これは厄介である。宿は一人50ゴールドだ。あと2匹、クマを狩らないと…
「お兄ちゃん、ダンジョンの敵を倒すと高いかもね」
そうかもしれない。で、ダンジョンへ…クマよりも弱いようだ。だけど、迷路状態のダンジョン内。オートマッピングされないようだ。
「あれ?どうして…」
リーファの顔が青ざめている。どこか悪いのか?
「どうしたんだ?」
「え?え…なんでも無い…気のせいだよ…あぅ…」
股を閉じて、モジモジしている。
「おい、どうしたんだ?」
リーファが涙目である。
「有り得ないんだけど…トイレ…行きたい…」
俺の脳裏にある言葉が浮かんだ。『来る物』…まさか…便意…月の物…ヘルプを調べると、
・野ぐそ、野小便…敵に襲われます
・簡易トイレ…敵に襲われませんが有料です。
・宿のトイレ…宿泊代に含まれています
と、有る。マズいって…
「野小便って…丸見えだよね?いやだよ~!あっ…あぁぁ~」
リーファの太股を伝う液体…
「垂れ流し…お嫁に行けない…お兄ちゃん、もらってよね」
頷く俺。
「兎に角、宿へ向かうよ!」
頷くリーファ…
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ダンジョンのモンスターの方が金にはなるが…簡易トイレはそこそこする。宿屋へ行き、洗濯をしてシャワーを浴びた。着替えも金が掛かるなぁ。
「リアルすぎるよ…このゲーム…」
簡易トイレの値段を見に、お店に行ったのだが、生理用品が売っていた。つまりは、そういうことなんだろう。
「導入部分で止める人が多いのかもな」
そんな感じがするが…変動相場制で、クマの値段は最低価格であった。これが、クマ専門の狩人がいるってことだ。
改めて、注意書きを見てみると、レベルは各ステイタスごとに存在し、レベルとは別にランクがあり、ランクによって行ける場所が限定されるとある。
この始まりの街のランクアップ条件は、LV50以上でパーティーでのダンジョン内ボスを倒す、とある。まずはレベル上げをしながら、ゴールドを稼がないとダメだな。
「簡易トイレが優先だよ、ねぇ、お兄ちゃん!」
それは必要だな。最低2つは持っていない危険だ。だいぶ、棒を振ったので、STRがレベルが上がっていた。ナイフ程度は持てそうだが…手持ちの装備は重すぎるので、まだ無理だし…
「ナイフ?あるよ」
リーファがナイフを持っていた。使える重さらしいので、少し戦力アップである。
「問題は、弓だな。矢が無限じゃない。1本ずつ買うか、作るかだな」
木工スキルって物があると、木の矢は作れそうだ。
初日はここまでだな。ログアウトした。ゲーム内の一日は、リアルでの8時間程度のようだった。
「どう思う?お兄ちゃんは?」
「やりこみタイプだよな。はまるとはまりまくりそうだ」
実際問題として、二人ではつらい気がする。もう一人…女性がいると良いかもしれない。問題は、ゲーム本体が手に入るかである。入れば、何人か候補はいるし…
---システィーナ---
天空の城に関することが、見付かった。あの異国の地で…お父様に報告すると、留学の許可が下りた。国のお偉い人を通して、ホームスティ先を探してくれている。グレン先生は私の婚約者兼ナイトとして帯同してくれるようだ。
数日経ち、ホームスティ先が決まった。通学する学校も決まった。きっと、ルミアと同じ学校に違いない。アイツの家の近辺に住みたいと申請を出したし♪
そして、3度目の入国。慣れたものである。そして、今回は成田空港で甘味三昧も♪
ホームステイ先の家は、あの男と同じ駒王町の小さな家であった。
「家主の兵藤誠だ。先に言っておく、この国の法律は守れよ!お前達は。テロリスト指定されていることを忘れるな!」
って、不本意なことを言う。テロリストはアイツである。私とグレン先生は被害者であるのだ。
「私は海外の要人ですよ♪」
「どこがだ!」
この家の家主は、無礼である。
「あと、シュウの家の者には、絶対に手を出すなよ!国際問題クラスでは済まないからな!」
手を出しているのは、アイツの方である。アイツに非を認めさせて、あの城とルミアを祖国へ持ち帰らないと。絶対にアイツが、天空のお城を盗んだに違いない!
そして、初登校…駒王学園中等部へ…だけど、ルミアがいなかった。どうして?理事長に詰め寄る。
「ルミアがいないじゃない!一緒のクラスにしてくださいって、言ったはずですよ!」
「ルミア君は、この学校には通っていない。だから、無理だ」
ルミアのいない学校だって?
「ならば、ルミアのいる学校へ転校します」
「それは無理だ。君は魔法使いである。ルミア君のいる学校は魔法使いでは、通えない」
何を言っているのだ?ルミアだって魔法使いである。
「ルミア君は、魔法使いとして、この街では生きていない。理解出来ないなら、国へ帰ってくれ。これ以上、問題をデカくするな!」
ささいな問題である。ルミアと同じ学校へ通いたいだけなのに…アイツの差し金か?許せない…