---グレン---
高等部にあるセリカの部屋を訪れた。
「私は、幸せだ。戦いの無い、安全な、この国が好きだし。アイツのことを大切に思っている。だから、帰らない」
俺が説得する前に、思いの丈を口にした彼女。
「ルミアも同じだよ。ここにいれば、狙われない。彼女と一緒にいる者達が護ってくれるからね。彼の娘達は、彼の言う通りの鍛錬を熟して、日々強化されている」
「システィーナは納得していない」
「それはお前の仕事だ、グレン。私の知ることでは無いが、彼の家族、仲間に手を出せば、私は、お前達を許さない」
「俺は、セリカが幸せなら、構わない。だけど、アイツには、アレコレされた恨みはある。それは晴らしたいと思っている」
「彼のおかげで、逆玉の輿に乗れたんだ。感謝しろよ、そこは♪」
物は考えようであるが…
「そろそろ、授業が終わるぞ。暴走姫様をガードしろよ♪」
システィーナのいる教室へ向かう。が…はぁ?授業をボイコットして、帰っただと…どこへ行ったんだ?アイツ…
---システィーナ---
ルミアの通う学校の門の前で、ルミアを待っている。ルミアを転校させる為である。私が転校出来ないなら、ルミアを転校させれば良いのだ♪
しかし、待てども、ルミアは出て来ない。何か遭ったのか?ルミアのいる教室を探すことにした。
「おい!そこのテロリスト!校内に立ち入るな!」
私をテロリストと呼ぶヤツがいた。声の主を見ると、アイツの娘であった。
「お前達が、犯罪者だろうが!」
呪文を詠唱して、魔法を撃ち込んだ。
「紅!」
「はい♪『滅の盾』」
アイツの娘の発現した盾で、私の魔法が消えた。
「アイズ、緑!」
「あい♪」
「はい!」
二人の娘が私に近寄り、両手を押さえ付け、制圧してきた。
「イッセー!誠オジサンへ連絡!」
「了解!」
なんだ、この連携は…
「この犯罪者集団め!私を誰だと思っているのよ!」
「テロリストだろ?あぁ、私はこの学校の生徒会長で、鬼門リヴェリアと申します。あなたを抑え付けている一人は、副会長の鬼門緑よ。言っている意味はわかるかな?この学校の生徒代表なのよ。私達はね♪で、私達を犯罪者集団って言うと、この学校の生徒全員が犯罪者みたいに聞こえるから、発言を撤回してくれるかな?」
「ルミアをこんな犯罪者学校になんか、通わせる訳にいかない。私の通う学校へ転校させます」
「なんの権限で、私の妹を転校させるのかな?」
権限?
「私の姉妹よ!」
「偽証は罪だよ。ルミアの本名は、鬼門ルミア。わかる?私達の妹になったのよ。あなたのご両親も了承済みなのに、テロリストのあなただけ、納得していないようね♪」
嘘言っているのは、お前らだろ~!
「はぁ~、やっぱり、やらかしたか…」
ホームスティ先の主がやって来た。
「この犯罪者達を捕まえなさいよ!」
「犯罪者はお前だ!この国では魔法を使うなって言ってあっただろ?」
「あの犯罪者も使ったわよ」
「あれは、スキルだ。魔法では無いし、防御用のスキルだ」
「どうしたんだ、誠…」
アイツまでやって来た。
「シュウ、すまない。この娘が魔法を…」
「被害は?」
「紅の盾で被害無しです」
「なら、問題は無いが…問題はコイツだな。どうするかな…そうだ、あれがあったなぁ…」
私に首輪を嵌めたアイツ…屈辱である。首輪って…
「それは、魔具で『魔封じの首輪』だ。それを嵌めている間は、魔法が使えなくなる。こんなんでどうだ、誠。強制追放しても、また来ちゃうだろうし」
「これで、様子見だな。とりあえず、連れて帰る」
家主と共に、家へ転移した。
---キリト---
レベル50への道は遠い…簡易トイレの数が増えるまで、恐くて奥へ入れない。隣のエリアへのゲートで、ランクアップ条件が表示された。レベル50でエリアボスを倒すこととあった。
STRの上昇により、手持ちの武器も徐々に使え始めた。と、言っても、せいぜいレイピア程度ではあるが、棒よりは殺傷力がある。
ログアウトする為に、ダンジョンから撤収した。今日の得たドロップ品を売り払い、宿へと向かう。宿へ向かう途中で、想いも掛けない人から声が掛かった。
「あぁ、やっぱりキリト君なんだ~。黒衣の剣士が現れたって聞いたんだけど」
想い人の声…待ち人の声…この声を待っていた気がする。
「アスナ?アスナか!」
「そうだけど、馴れ馴れしくしないでくれる?」
俺に冷たい態度のアスナ。どうしてだ?
「リーファちゃんと付き合っているんでしょ?それでいいじゃない。今更、私に戻っても、私も、リーファちゃんも良い迷惑だよ」
えっ…迷惑?なんで…
「どこにいたんだよ。今まで…」
「ここにいたよ。私の勤務地は基本、アルフガンだから♪」
勤務地?
「どういうことだ?」
「そういうことよ。ほら、リーファちゃんと宿へ行って、二人で寝なさいよ!」
「アスナ、色々と訊きたいことがあるんだ」
「私には話すことは無い!」
アスナに走り寄る俺…全身に痛みが走った。
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『ログアウトしますか?セーブしますか?』
霊安室にいるようだ。セーブを選択して出るとリーファが待っていた。
「俺はどうなったんだ?」
「アスナさんに襲い掛かって、一刀両断にされたよ…ねぇ、お兄ちゃん!もう、アスナさんの事は忘れて…お願いだから…」
リーファが俺に抱きついて来た。
「アスナに何が遭ったのかを知りたいんだ…心移りはしない…だから…」
リーファと口づけを交わす。そして、宿屋でログアウト…
ログアウトすると、直葉が俺の上に載っていた。一糸纏わぬ姿で…
「お兄ちゃん…こんなにも愛しているのに…お兄ちゃんの為なら何でも出来る子なんだよ~」
リアルでも唇を重ねて来た。俺のアレは固く太く大きく…直葉の中で果てた。
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翌日、菊岡さんに会った。
「アスナを見つけました。アルフガンにいます」
「アルフガンだと…う~ん…」
唸っている菊岡さん。どうしたんだ?
「運営会社は判明しているのだが、接触が難しいんだ」
「海外の企業ですか?」
「そういうことだ」
「どこの国ですか?」
「バチカンだよ…聖域の国だ。捜査の手が入れられない」
「宗教絡みなんですか?」
「そうでは無いのだけど、バチカンという後ろ盾を得て、運営しているそうだ」
頭を抱える菊岡さん。こんな彼は見た事がない。
「運営会社はイーグルテイルで、経営者は鷲尾ヤマトという人物だ」
イーグルジャンプなら有名であるが…その系列では無いのか…
「そこまで、わかっているなら…」
「逆だ。疚しい事が無いという理由で、公開されているんだよ。彼の国籍はバチカン預かりだそうだ。我々には知る権利は無いと言うことになる」
謎の人物…
「名前からして、我が国の住民だと思うのだが、住基ネットでの検索でヒットしない。実際にはいない人物でもある」
「兎に角、アルフガンで接触をして、情報を得てきます」
「あぁ、そうしてくれるか?」
「援軍が欲しいので、アルフガンのゲームディスクを、探してくれませんか?」
「わかった。やってみよう」
---シュウ---
バチカンから連絡があった。日本の捜査機構から問い合わせがあったそうだ。鷲尾ヤマトについての情報をくれってことらしい。もちろん、「No!」に徹してくれている。
バチカンとは天界を通して、良好な関係である。あちらの知りたい情報は、僕、ヤマト、母さんが持っているから。いや、僕は認めたくない。認めるとヤマトの兄が確定するから。
「兄さん、往生際が悪いですよ♪」
って、ヤマト。最近、コイツはよく来る。どうも母さんが呼んでいる節があるので、強くは言えない。
僕達3名はバチカンにとって、貴重な生き証人ってことらしい。神の子、そのいないはずの双子の弟、いないはずの子供…歴史から抹殺されていた証人である。手厚く保護の対象だという。
「菊岡ってヤツを消せばいいのか?」
「消しても、違うヤツが引き次いでしまうでしょう」
「厄介だな」
「厄介ですね…」
「キリトとリーファとかは、最悪の場合、同化吸収するとして…菊岡かぁ…」
---アスナ---
団長が新しいメンバーを連れて来てくれた。
「ユウキだ。『絶剣』と呼ばれた剣士だよ。リアルでは、不治の病で残念なことになったけど、彼女の願いを叶えた」
「ボク…ユウキです。よろしくお願いします」
「よろしくね♪一応リーダーをしています、アスナです。後、メンバーはレンちゃん、ピトさん、蘭さんです。って、団長、供物はアレですか?」
「勿論、身体だよ♪実体が無いから、アバターのままで♪」
このド変態加減が無ければ良い団長なのだが、唯一の欠点はエロ神という残念な神様であることだ。
「残念って言うなよ…アスナ…」
「先日はユイちゃんにも手を出しましたね?!」
ユイちゃんとは、私の契約妖精である。たまに、人化して交わるらいしい。
「だって、ユイは気持ちいいんだよ~♪あっ!アスナもだよ~」
「とって付けた言い方にカチンですよ!」
「じゃ、この後はどう?」
「潜るんですけど…って、出向中ですよね?」
「そうなんだよ。次のエネ補給はアスナで頼むよ!じゃねぇ~♪」
団長は転移していった。団長のエネ補給は女体と交わることである。まったくもって、エロ神のすることは、エロで始まり、エロへ続くのだ。
「あの方は、どんな方なんですか?」
「エロ行為以外は尊敬に値する方ですが、エロ行為に関しては、性癖の破綻したドエスプレイヤーだから、エネルギー補給当番の時は覚悟した方がいいわ」
まぁ、気持ち良いから許せるけどね♪
「そうなると、ランク0からかな?」
「はい…済みません。ボクの為に…」
「問題無いって。最速記録がまた狙えるし♪」
「今度こそ、がんばります♪」
って、レンちゃん。
「一撃目はユウキちゃんが入れてね♪」
じゃないと経験値の伸びが悪いから…
---キリト---
リーファと共にログイン。アスナは居るか?周囲を見るといない。ダンジョン内か?まずは、簡易トイレを余ったお金で買えるだけ買った。そして、ダンジョンへ…
何回か潜るとオートマッピング機能が使えるようになった。効率が上がっていく。やりこみタイプのようで、やればやるほど、色々なことが出来るようだ。やり甲斐はあるが…
最深部まで行くには、ダンジョン内でセーブしないとダメなようだ。どうすれば良いんだ?
「あれ?キリト君じゃない。こんなところで何をしているの?」
アスナだ。
「一日で最深部へ行けないんだが…」
「簡易キャンプセット買っていないの?」
「え?そんな物があるの?」
リーファが訊いた。
「お店で必要な物しか見ていないの?ダメだよ。全部の説明を読むつもりでお店に行かないと、しょうが無いな。昔のよしみで1つ上げるよ。それ1つでダンジョン内で、ログアウトできるよ♪」
アスナから簡易キャンプセットをもらった。
「じゃ、先を急ぐので、失礼♪」
アスナ達が先へ進む。俺も後に続こうとしたのだが、リーファが腕を掴んだ。
「お兄ちゃん…ログアウトしようよ…」
何かを訴え掛けるリーファの表情。今日はここまでだな。ログアウトした。
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翌日、ダンジョンから脱出して、お店へ…確かに簡易キャンプセットは売っていた。宿屋の倍の価格だ。だけど、これも買わないと…あっ!これには、簡易トイレもついているようだ。後、使い切りでは無いキャンプセットも売っていたが、これは現状では買えない額であった。
「アスナさんは、相当やりこんでいるみたいだよね。詳しいし…今まで、どこにいたんだろう?」
そうだ。失踪後、どこにいたんだ?いや、どうやって、失踪したんだ?あの映像を見ていないリーファの前では言えないが、あの神隠しシーンは、とても不思議である。現実世界で、あんなことが起きるなんて…
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翌日、リアルで菊岡さんが、ゲームディスクを二枚調達してくれた。依頼したい人物に連絡を取り、待ち合わせをした。待ち合わせ場所へリーファと向かう。待ち合わせ場所は、知り合いの経営しているカフェ、『ダイシー・カフェ』である。
「よぉ、キリト!久しぶりだな♪」
マスターのエギルが声を掛けてきた。彼もSAOの生き残りである。
「何か情報はあるか?」
ここ『ダイシー・カフェ』は、VRMMORPGのメッカである。ダイブスペースなども有り、プレイヤーにとって、心の拠り所である。まぁ、客層はほぼプレイヤーだけであるが…
「アルフガンだろ?プレイヤーを見かけたことは無いぜ。マイナーな部類だと思う」
「失踪したアスナがいるんだよ」
「そのカラクリがわからないなぁ。本体はどこにいるんだろうな」
フルダイブしている間、どこからアクセスしているかだ。
「調べようとしたが、イーグルテイルには、ハッカーがいるようだ。危うく、追跡されそうになった。なので、アクセス元は調べられなかった」
エギルの知り合いに頼んで、アスナのアクセス元を探ってもらおうと思ったのが、失敗したそうだ。攻撃を即検知し、反撃に出たそうだ。
「サーバーのある場所もわからない。不思議すぎるぜ、まったく」
「おまたせ~♪」
待ち人が二人来た。ビーストテイマーのシリカと、スミスのリズベットである。この二人もSAOの生還組である。