背後から妙な空気の振動を感じた。
「黒子!美琴を連れて逃げろ!」
振り向き様に防御結界を張ると、一拍遅れて背面にあった窓ガラスが粉々に砕け散った。
「何?」
窓の外にはモビルスーツが数体いて、銃を構えている。美琴達は突然のことで、動けないようだった。
「美琴!強制転移をさせる」
美琴と彼女の友達達を遠くへ転移させた。目の前の銃から、銃弾が飛び出してきている。その総てを透過させ、瞬動術でモビルスーツ隊の背後に回り込み、『ディープインパクト』を奴らの上に発動させた。これは、隕石が直撃したダメージを与える術である。
大音響と共に、奴らのいた場所にはクレーターが現れ、奴らの亡骸は粉々になった上、空気抵抗による摩擦熱で燃えていた。
息を吐く間もなく、頭上から何かが落ちてきた。これもスルーした。着弾した瞬間、僕を中心にしてクレーターが生じていた。バンカーバスターか?爆撃機が見えたので、『エアスタンプ』で叩き落とした。爆撃機にはまだ弾薬があったようで、真っ赤な色のキノコ雲が上空へと成長していく。それを見上げて、転移した。
---土御門元春---
ステイル、神裂と会議をしているところに、アイツが転移してきた。
「なぁ、ツッチー、襲われたんだけど、ツッチーの差し金では無いよなぁ?」
涼しい顔のアイツ。だが、土埃、返り血を浴びているようだ。
「待て!今、確認する」
情報端末を手にして、状況を収集していく。コイツを消そうとした、特殊スーツを着込んだガーディアン一個小隊を殲滅し、ステルス爆撃機を3機撃墜したようだ。
「学園サイドのようだ。お前、一方通行を病院送りにしただろ?あれで、危険人物にされたようだ」
「一方通行って?」
「はぁ?表皮だけを剥いた奴だ」
「あぁ、あの少女暴行魔か」
少女暴行魔?コイツの話では、少女をボコっていたので、助けただけだと言う。
「その少女って、何者だ?」
まさか、絶対能力進化計画の糧か?話を訊くとビンゴだった。こいつが、あの計画を潰した張本人のようだ。ベースクローン体の元と、今までに得た研究資料を盗み出したのもコイツだろう。
「お前、科学サイドにケンカ売っているんだぞ」
「はぁ?ツッチー、異な事を言うな。最初に売ったのは、アッチだよ」
「おい!インデックスを返せ!」
ステイルが話に割り込んできた。
「断る!アイツには、アイツのしたいようにさせたい」
「今までだってさせてきた」
「あんな小細工をして?首輪付きで放牧は有り得ないだろ?」
自動書記のことか?
「まぁ、僕が外して、違う首輪を着けたけどな」
はぁ?自動書記を外した?なんで、コイツ生きているんだ?
「竜王の殺息のことか?発動しなかったよ」
発動しない?そんなはずは…
「あれは僕だけには効果が無いんだよ」
コイツだけ効果が無い?はぁ~??
「どうしてだ~!」
「理由は黙秘します。手の内は見せないよ」
って、神裂の股間に顔を埋めているアイツ。
「ちょっと、ここじゃダメ…」
神裂が乙女のような声で悶えている。おいおい…
「お前の目的はなんだ?」
ステイルが質問をした。
「目的?火織ちゃんとアレコレすることかな?」
神裂の息が荒くなっている。コイツ、何をしたのだ?
「たわけたことで煙を撒くつもりか?!」
「そうだな、後は、ケンカを売った勢力の撲滅程度かな」
撲滅?科学サイドと十字教が売っているのだが…
「一人で出来るのか?」
「僕にだって、仲間くらいはいるよ」
仲間?コイツ、どこの組織に属しているんだ?
「組織ってほどのものじゃないよ」
「お前にケンカを売ったのは、どこだ?」
ステイルが煙を吐きながら訊いた。
「イギリス、ロシア、ローマと学園だよ」
絶句物だった…この世界に於ける4大勢力を敵に回すのか?
「相手の規模は関係ない。ミサカと姉妹達、そしてインデックスに手を出す勢力は総て、敵だよ」
次の瞬間、空気が張りつめていった。絶望的で、死を感じる気配をひしひしと感じている。ステイルは口からタバコが落ちた。神裂は、その場で腰を抜かしている。俺は…膝が笑っている。
「いつだって、僕は護る為の戦いをしてきた。今回もきっとそうなんだろう」
「お前は何者だ?」
「醜き愚かな生き物が嫌いなガーディアンだよ。ツッチー、敵にはなるなよ」
そう言い残し、アイツは消えた。消えた途端、空気が軽く感じ始めた。アイツ、何者だ…
---シュウ---
ツッチーと話していて、思いついた。そうか、帰還の条件は、インデックスとミサカシスターズを護ることなんだな。僕らしい任務だ。美琴の元へ転移した。
「ねぇ、大丈夫だった?」
美琴が僕を見るや抱きついて来た。
「大丈夫だよ」
「ねぇ、手伝えることは無い?」
「無い。美琴はお友達を戯れていればいいんだよ。これは、僕の仕事だから」
「仕事…」
「そう…仕事だ。ガードのお仕事だよ。しばらく逢えないかもしれない。元気でな」
美琴と距離を取り、僕だけ転移した。
---土御門元春---
アイツ…
「なぁ、ステイル。自動書記が発動しないって、有り得るのか?」
インデックスと同じ組織にいるステイルに訊いた。
「有り得ないが…回避出来る人物はいる。もう粛清されて生き残りはいないヨハネの血族と、伝説のジョブであるドラゴンマスターであれば、起動しても効果は無いはずだ」
ステイルによると、自動書記の別名はヨハネのペンであり、黙示録の作者の血筋の者にはキバを剥かないらしい。そして、ドラゴンマスター…ドラゴン達が仕える王であるが、この世界にはドラゴンの存在は確認していない為、そのようなジョブも存在はしないと言う。
が…
「もし、アイツが、ソレのどちらかだったら?」
「この世界の歴史は変わる。価値感も宗教感もだろうな。それこそ、権力サイドとしては、消えて欲しい存在になる」
アイツのケンカ相手は、この星の権力サイドになるのだろう。一人では無理だ。いや、仲間がいたとしてもだ。
「土御門…どうするんだ?」
神裂に訊かれた。
「どうって…組織にいる以上、組織の指示でしか動けない。だけど、あぁいうバカは嫌いじゃないよ」
インデックスを護って、アイツに何かメリットがあるのか?そこが問題である。
---シュウ---
敵が見えた。アインズにはロシア、ファルコンにはローマ、ディアヴロにはイギリスを任せた。僕は学園都市を担当したいから。
学園都市の外に家を借り、当面の拠点にすることにした。常駐メンバーは、僕、深雪、達也、ネギである。魔法科高校経験者で固めてみた。サイボーグとなったエリカは、科学相手だと分が悪いので、見送った。
「どうします?」
深雪に訊かれた。
「達也は、ネットハッキングだな。深雪はエロ奴隷で、ネギは留守番かな」
深雪と達也は苦笑いをし、ネギは唖然としている。学園都市攻略はネギだけでも可能だろうが、無差別に攻撃するので、知り合い達を疎開させないとダメだろうな。
「学園都市の外からだと、ネットの接続が不安定のようです」
って、達也。学園都市内に拠点は難しいかな。学園都市に転移した僕。
◇
街で見かけた五和と連れ込み宿へ…
「あぁぁぁぁ~、ダメぇぇぇぇ~!」
五和の身体はマシュマロのようなボディで気持ち良いのだが、火織に比べて虐めがいがない。感じ易くて、直ぐに達してしまうのが難点である。
「なぁ、どこか拠点に出来そうな場所ってあるか?」
「えぇぇっと…私の部屋は?」
五和の部屋は女子寮の中らしい。ダメだって…
「う~ん…あぁ、ダウンタウンに廃墟とかした教会があったような」
それは狙ってくださいって、言っていそうだよ。そうか、ダウンタウンで部屋を借りれば良いのか?
2時間の休憩が終わり、五和に案内してもらうと、非近代的な街並が広がっていた。再開発されずに残ったエリアのようだ。
「訳有りの人達が住んでいるんですよ」
そうだろうな。情報端末を取りだして、ネット環境を調べて見る。
「この辺りって回線速度が遅くないか?」
「あぁ、こんな物ですよ」
ここはダメだな。って、見知らぬ者達に囲まれているんですが…
「五和の知り合いか?」
「知らない人達ですよ」
身構える五和。ナイフを手にして、相手が襲い掛かると同時に瞬動術で、首筋を切り裂いて、五和の元へ行き、転移して逃亡した。
---土御門元春---
部屋に戻ると、アイツと五和がいた。
「悪い。逃げ場所に困ってなぁ」
って、俺の部屋はシェルターで無いんだぞ!
「なぁ、どこか安全な拠点って、借りられないか?」
「難しいにゃー。お前、おたずね者に近いし」
「じゃ、ツッチーが借りてくれよ。手数料を払うからさぁ」
「条件がある。お前のことを教えろよ」
「いいよ、借りてくれた部屋で話すよ」
うっ!借りるのが先なのかぁ…どこを借りるかな。下手場所を借りると、俺に死亡フラグが立ちそうなんだが…
◇
セキュリティーがしっかりしている、俺の部屋の隣を借りた。部屋に入るなり、アイツが何かをすると、アイツの手の上には隠しマイク、隠しカメラの類いが集まっていく。
「こんなに盗撮、盗聴されてもなぁ。迂闊に五和を連れ込めないじゃん」
そうなると、俺の部屋にも隠し機材があるのか?
「なぁ、今の術はなんだ?」
「ん?あぁ、強奪っていうシーフ系の上位バージョンだよ」
強奪術か…まさか、それで、盗みだしたのか?侵入センサーにも感知されずに…今度は、何かの魔法陣の書かれた羊皮紙を壁に貼り付けていき、アイツが呪文を唱えると蒼い炎を上げて燃え尽きていった。この呪文って…陰陽道の物か?そうなると空間結界術になるか。
「お前、なんで陰陽道の術が行使できるんにゃ?」
「う~ん…昔、そっち系の術者だったからだよ」
困った顔で答えたアイツ。そうなると、コイツは陰陽師なのか?
「どこの流派かにゃ?」
「神代家だよ」
うん?神代家?もうなくなった家系だったはずだ。そこの流れを汲む陰陽師か。
◇
アイツは五和で愉しむと言いので、俺は俺の部屋に戻った。そして、気になる事を調べ始めた。神代家についてである。陰陽師がシーフ系の術を知っている事に、違和感を覚えたのだ。
陰陽師は盗みなどしない。その為に、そのような術は無い。だけど、アイツは使い熟していた。それも上位バージョンをである。
だけど、調べても、もう存在しない家系で有る為、伝説的なことしか検索出来ないでいた。最強の陰陽師を産み出した家系として、有名だったそうだ。最強の陰陽師って、興味あるなぁ。その陰陽師の顔写真を見て、固まる俺…アイツに似ているのだ。まさか…その人物について、検索をしていくが、ネット検索ではヒットしなかった。学校の図書室へ行き、その人物について調べて行く。
目的の人物は、わずか6歳で、この世を去ったそうだ。ある術を行使した見返りで命を落としたらしい。なので、その人物の6歳以降の写真は無い。だけど、アイツにどこかしら似ているのだ。これは、どういうことか?
そういえば、禁術系で魂を使う奴があったなぁ。えぇぇっと…俺の脳ミソをフル回転させ、陰陽博士としての知識をフル検索していく。あぁ、これだ。『人札封印の術』…自らの魂を使い、人ならぬ者を封印する術だ。自己犠牲、護り切る覚悟、そして、揺るぎない心の3拍子が揃い、なのかつ陰陽道を極めた者だけが、行使できる術だったはずだ。
アイツに重ねる。アイツはインデックスとシスターズを護り切る為に戦うと言っていた。たとえ全世界を敵に回しても、揺るがないのだろう。そんな目であった。
---神裂火織---
ロシア、ローマが戦争状態に入ったと言う情報を得た。相手は十字軍らしい。イギリスに確認をすると、そのような軍勢を派兵していないという。
「何が起きているの?」
情報通の土御門に尋ねた。
「たぶん、アイツが動いたのだろう」
「アイツ?」
「お前の主だよ」
私の主?少し考え…彼の顔が浮かんだ。
「アイツとは逢っていないのか?」
「最近、ご無沙汰だよ」
そう言えば、最近逢っていない気がする。
「俺は、アイツに託そうかなって気になっているよ」
「何をだ?」
「この世界の未来をだよ。魔術サイドとも、科学サイドとも、関わって居ない人々の方が多いんだぜ、この世界はさぁ。それなのに、裏では覇権を争い、関係無い人々が意味も分からずに巻き込まれている。もう俺は、こんな世界にうんざりなんだよ」
何かが吹っ切れた土御門。
「何があったんだ?」
「アイツの正体が分かった気がする。俺達なんかじゃ、勝て無い相手だよ」
正体が分かったって…
「彼は何者なんだ?」
「うん?アイツか…無名の英雄だよ。まぁ、アイツの場合、性癖が破綻しているようだがなっ!」
あぁ、そうだな。あれはド変態の域だ。
「名誉も、栄誉も、富も、権力もアイツには見えないんだろう。見えるのは女体だけって、どんだけエロ好きなんだ、奴は…」
否定はしない。事実であろうから。
「で、彼は何者なんだ?」
「最強の陰陽師だった、人ならざる者だ」
それは、魔神か?天使か?悪魔か?
---シュウ---
この街の暗部を消し去っている。そして、この街の最重要機密へと近づいて行く。こんな街がなければ、ミサカは産まれ無かった。妹達は殺される為に産まれ無かった。怒りがエネルギーとなり、僕を満たしていく。なので、性欲は湧き出てこない。
最強の魔法ランチャーであるネギ、精神すら凍結させる深雪、術式を解体して魔術の発動を防ぐ達也、そして、いかなる攻撃も受け付けない僕。最凶なる破壊チームである。
アインズの方は徐々に、本丸に近づいている。捕虜達は、アインズ配下の者達で分配しているそうだ。ファルコンの方は、ほぼローマを殲滅したらしい。
イギリスは、最後にとっておく。再攻撃で潰したいからだ。インデックスは物じゃないんだぞ!