次の案件
---リムル・テンペスト---
床に叩き付けられて跳ねる。壁に叩きつけられて跳ねる。最近の俺である。俺をボールのように扱うシオン。アイツがシオンを置いて、この世界から離脱したらしい。アイツの弟子達は依然、迷宮都市に滞在しているのだが…
「リムル様…いつ迎えに来てくれるんですか?」
ズドーン!
今日はハンドボールのシュートのように、壁に叩きつけられている。ベニマルやディアブロは、俺達を見ないように職務を熟している。巻き込まれたく無いようだ。それだけ、シオンの怒りは凄まじい。
「シュナは連れて行って貰えたようですよ。なのに、私は…」
ズドーン!
まぁ、俺的には痛くも痒くも無いのだが、日増しに俺への扱いが酷くなるシオン。ベニマルもどこか冷たい。シュナを胃袋に置き去りして、忘れていたことを、根に持っているようだ。
「リムル…最後の一人がゼギオンを倒したよ」
って、ラミレス。う~ん、これでアイツの弟子全員がゼギオンをタイマンで倒せるってことか…
「今度は、タイムトライアルが鍛錬だって」
地上からゼギオン攻略までのタイムを競うらしい。アイツの鍛錬方法は無茶苦茶だろ?アイツの弟子達もおかしい。楽しそうに鍛錬をしているし。
試しにゴブタを一人で迷宮へ放り込んだのだが、ゼギオンの元には、まだ到達していないそうだ。
「シオン、久しぶりだな」
アイツの声だ。
「え?!主様♪」
俺をバスケットボールのように、ゴミ箱へフリースローして、アイツの元へ駆け寄るシオン。
「スライム君も元気そうだな」
元気では無い。
「しばらく、ここに滞在するよ。シュナ、ベニマルにあってきていいぞ」
「ありがとうございます」
シュナが部屋を出て行った。なんか、楽しそうだ。
「今度こそ、私をお連れ下さい」
シオンがアピールしている。
「スライム君のガードをしてくれ」
って…アイツ的には返品済みのようだ。
「なぜですか?私は何故、お傍に置いてくれないのですか」
俺には見せない、シオンの乙女チックな素振り…
「思いやる心を持て。チームワークが大切だ」
「わかっています」
必死に懇願しているシオン。
「スライム君は、どう思う?」
「シオンの好きにさせたい」
「それは、スライム君では、シオンを扱いキレないと言うのかな?」
現状そうである。
「そうでは無い。だが、シオンが熱望しているので、移籍を認めたい」
「厄介払いかな?」
あぁ、コイツ…心が読めるんだった…
「僕に厄介者を押し当てるってことか?それなら、拒否だな。スライム君が教育をしたまえ。厄介者ではなくなれば、移籍に応じよう」
アイツはシオンと距離を取り、どこかへ転移してしまった。
「うっ!リムル様…あなたってスライムは…」
うぅぅぅぅ~、シオンの怒りに油を注いだだけのようだ。
---シュウ---
平和な世界で少し、骨休みだ。火織が隣でスヤスヤと眠っている。ベッドから抜け出して、書類に目を通していく。
瑚太朗から、あのリスタートした世界のレポートが送られてきた。徐々に改善はしているようだが…ある人物名に視線がロックオンした。『 サミュエル・リデル・マグレガー・メイザース』だ。あのピエロなオッサンが脳裏に浮かぶ。同じ家系なのか。あのロズワール・L・メイザースと…
嫌な予感がする。瑚太朗と時空管理局に監視を強化してもらおう。
ロズワール・L・メイザースは、死に戻りの案件で出会った宮廷筆頭魔術師で、アイツ一人が軍隊に匹敵する程の力を持っているそうだ。初代ロズワールは魔女エキドナに師事していたのだが、僕の知り合ったロズワールは、初代から数えて何代か経ていたのだが、初代の意識のままだった。こいつは子孫の肉体を器とし、400年もの時を生き抜いてきた人外である。
自分の理想の為なら、他者は犠牲になっても問題無いって点では、アレイスターと遜色は無い。こいつが関わって居ないことを祈りたい。
◇
火織をお持ち帰りした後、案件を数個熟した頃、時空管理局からタイムリープを繰り返す者を見つけたと通報があった。姉ちゃんによって、現場となった世界へ強制転移させられた僕。
そこは、中世ファンタジーな世界であった。見覚えのある風景、あまり来たくない世界だった。そうなると、アイツがタイムリーパーだろうな。もう発生しないように処置をしたのに、なんでまた、発生したのだ?
アイツを探す。スバル・ナツキだ。コイツの対処方法は、既に確立してあるので、見つけ次第、排除する。
だが、アイツが見付からなかった。どういうことだ?アイツ固有のオーラを探るが、やはり見付からない。ピエロのオッサンの館へと向かった。
館に着いたが、ピエロのオッサンも、スバルも、エミリアも、ラムもレムもいない。ベアトリスはどうだ?『扉渡り』という転移系の術を持っているので、探す時間が掛かる。なので、仲間のベアトリスを呼び出し、同化吸収をしてもらった。
「ベア子、何かわかったか?」
「う~ん、引っ越したのかしら。この世界の私は、ここをこよなく愛していたから、拒んだのかしら」
引っ越した?どこにだ?仲間のラム、レムを呼び出し、同化吸収して貰うが…
「何?同化吸収出来ないって?」
「えぇ、いつものレベルアップ感も無いし、記憶の再編成もされていません」
って、レム。そうなると、この世界にはいないのか。どの世界に引っ越しをしたんだ?ベア子とラムレムをドラン君へ戻し、僕は単身、時空管理局に向かった。あの世界から異世界へ飛んだ奴がいないかを調べる為である。
あの世界の転移ログを見ている。スバルは数回、死に戻った形跡がある。その後、数名規模で異世界へ転移した記録が…これは…転移門で呼び出されたようだ。そうなると、コレより前に、1度往復した者がいるはずである。膨大なログに視線を落とし、探し出していく。
あった。ピエロのおっさんが往復していた。行き先は…恐れていた事態が起きたようだ。
◇
姉ちゃんへ報告をした。
「あのピエロがロクでも無いことをしたのね」
「同化吸収出来る者はさせてきた。リセットをしてくれ。初代ロズワールは受精時点で流産にしてくれ」
「わかったわ。手配しておく」
「問題はあの学園都市に、転移門があるんだろうな」
「そうね。厄介だわ」
僕は単身、学園都市のある世界へと赴任した。今回は長くなりそうだ。
赴任先の最高神の間に行くと、篝、瑚太朗のペアがいた。
「あっ!師匠。豆持って来てくれたかな?」
篝の前に、手土産として、珈琲豆入りの麻袋を数個置いた。そこから豆を出して、焙煎作業をする破壊神である篝。
「で、瑚太朗。頼んであった件は、書き出してくれたか?」
「はい」
書類の束を手渡して来た瑚太朗。この世界の維持神である。このペアには創造神がいないので、僕も最高神として、登録していた。
う~ん…あの窓の内ビルで、たまたま転移門の機能を持つ術式が発動したようだ。
「今は時空管理局の方で、この世界と他の世界への行き来を出来ないようにしています」
退路は断ったのか。
「で、死に戻りは観測したか?」
「いえ、観測できてません」
あの『死に戻り』現象は、スバルだけではダメである。サテラが同一世界にいて、初めて実行できるのである。今回のピエロは、そこまでわかっていないようだ。
とりあえず、地上へ降りるか。
◇
地上は、前回来た時と何かが違っていた。まず、仲間達で同化吸収出来る者達に同化吸収させた。その間に僕は本屋で地図を買って、火織以外、ドラン君へ皆で戻った。火織は潜入して状況を探って貰うことにしたのだ。この世界の火織の記憶を受け継ぐので、間違いは少ないと思う。
「バルスが死にました」
ドラン君に着くなり、ラムが悲痛な声で報告してきた。レムもエミリアも沈んでいる。
「どうしてだ?」
「ロズワールに、『死に戻り』の能力を奪われて…街に放置されて…」
襲われたのか。異物として、この街の掃除屋達にか。あの能力のないスバルには、興味が無いロズワールらしい。そうか、ロズワールは『死に戻り』の能力を手に入れたと思っているのか。それは好都合である。
地図に目を落とすと、有り得ない物がそこにあった。はぁ?八王子に魔法科高校があるんだけど…学園都市は立川に位置している為、交流があるようだ。う~ん…困ったなぁ。そうなると、あの狂気なるオバサンもいるのか。深雪と達也を迂闊に呼び出せないし。
今回は単なる宗教戦争で終わらない予感がする。
◇
立川と八王時の間に住処を見つけようとしたが、沢井に住む事にした。自然が残っていて、おいしい豆腐屋さんや酒蔵があるからだ。
一戸建てを借りて、芳佳、定子と共に住む。僕は任務へ、二人は豆腐、湯葉料理と醸造方法を学ぶそうだ。今回の玩具要員は、ミトを連れて来た。
学園都市には一誠、紅、緑トリオを、学生として潜入させてある。魔法科高校へは、ネギとイッセーである。たまには弟子に任務をさせるのも、鍛錬のうちだと思う。
---兵藤一誠---
紅、緑と共に、学園都市のとある高校へ通い始めた。セーラが一緒でない為、暴走さが戻りつつあるし。
「おい!そこのデルタフォースよ。エロい目で見るなんて、良い度胸よね」
今日もクラスの4バカの内、三名へ鉄拳制裁をくらわせていた。残りの1名は俺であるが、俺には手を出さない二人。上条、土御門、青髪ピアスがのされていく、
「なぁなぁ、メイド服を着てくれないかにゃー」
と、土御門。
「男がにゃー言葉を使うな!虫ずが走る!」
紅の鉄拳制裁が続く。こいつら、エムだろ?そうに違いない。紅、緑コンビにのされて、楽しそうな3人。
「はぁ~い、皆さん、授業ですよ~」
担任の月詠 小萌先生が既に来ていたのだが、背が低いため、5人とも気づいていない。
「う~ん、一誠君、放課後よろしくね」
よろしくとは、放課後居残りってことだ。なんで、俺が巻き込まれるんだ…まぁ、毎日であるけど。と、いいつつ、小萌先生を脳内保存する俺。俺のヴァリキー隊へ入隊させる為である。エロ親父に言わせると、この先生は「不老不死実験のなれの果て」と言っていた。実際、何歳かわからない。見た目は小学生ではあるが、タバコを吸い、ビールを嗜むというアンバランスさを持っている。
「まったく、アイツらはこりないわね」
って、姫神秋沙が緑に話し掛けた。姫神は、あのエロ親父により、忌み嫌われる能力を消してもらっていた。彼女の能力は「吸血殺し」で、彼女の血を吸った吸血鬼を灰に出来る能力らしく、吸血鬼達に狙われていたそうだ。
「ねぇ、師匠は?」
「う~ん、この街には来ていると思うけど…」
エロ親父に惚れたらしい。
「今週末、遊びに行ってもいる?」
と、吹寄 制理。こいつも、何故かエロ親父に惚れたらしい。
「どうだろうねぇ。女体探ししているかもよ」
そして、この二人、何故か、エロ親父の食指が動かなかった。なので、俺の妄想女体にしてある。
◇
放課後、小萌先生による補習授業…ヘロヘロである。紅、緑は通学しているが、俺は土御門と同室で、上条は冬空というバカでは無い奴と同室で、青髪ピアスはパン屋に下宿している。
「待っていたよ!」
全身に電気を帯びた少女が、紅を待ち構えていた。この街の序列3位の子である。雷撃系の能力保持者であるが、紅の滅びの力と相性が悪い。紅の体表を覆うように纏っている滅の力で、雷撃が無効化され、紅の鉄拳制裁を毎日受けていた。あの子もマゾかな?俺の妄想対象年齢より下なので、脳内保存はしていない。
「なぁ、上やん、コガラシよ。お前らの能力で紅を倒せないのか?」
土御門が焚きつけている。上条の右手、コガラシの右手ともに、能力キャンセラーの能力があるそうだ。
「上条のは効果ないぞ。この前、ボコられていたし。俺のは…紅の親父にボコられたよ」
コガラシの右手は紅に有効であるが、エロ親父を召喚してしまうのだ。
『俺の娘をボコるだと。貴様、命が惜しくないんだな?』って…
「う~、それは最凶だな」
感心している土御門。そして、今日も雷撃娘こと、美坂美琴は紅にボコられていた。
「くそっ!」
「弱いくせにケンカを売るなよ!」
更にボコろうとする紅を緑が止める。
「もう、それ以上はダメだよ。躾されるよ」
『躾』という言葉を聞いて、ヒートダウンしていく紅。
「そうだね。う~ん…あれは、受けたくないなぁ」
「何を受けたくないんだ?」
うっ!エロ親父が転移してきた。
「「師匠!」」
紅と緑が跪く。何故か、冬空と土御門もだ。
「おぉ、コガラシとツッチーか。お前ら、学校で紅にケンカを売ったそうだな」
「俺は売っていないですよ…売ったの上条です」
冬空が否定している。
「じゃ、上条とツッチーか?」
「え!」
「いや…見ただけですよ」
二人共後ずさりをしている。
「今回は朝立ち禁止2週間でどうだ?」
高校生男子の尊厳を奪う躾のようだ。
「2週間も?」
上条が怯んでいる。
「前回は1週間で、こりていないだろ?」
エロ親父は二人の股間に手を翳し、刑は執行された。
「大丈夫か?」
美坂に近寄り、抱き起こしたエロ親父。
「大丈夫です」
美坂の身体が緑の光に包まれていく。エロ親父が治癒術を掛けたようだ。
「紅、こんなになるまで、ボコったのか?」
「いや、それは、コイツが懲りないから…」
「緑は何で、止めないんだ?」
「あい?それは…コイツがしつこいから…毎日のことですよ」
「お前ら、今夜は躾が必要だな」
「「えぇぇぇ~!」」
死刑宣告か…合掌…
「美琴とちょっと行くところがある」
エロ親父は美坂と二人で転移していった。