---シュウ---
ミサカと近くの庭園に来ている。心地良い風を感じる。日差しも柔らかだし。
「なぁ、妹達と一体になる気は無いか?」
彼女の目線に合わせてしゃがんで、話し掛けた。
「一体になるって、ミサカはミサカはミサカなんよって言ってみたり」
「そうなんだけど、妹達の数が思ったよりも多くてな、名前を付けるのが困難だし、全員を対等に扱う自信がないんだ。ゴメン」
偽り無しに、ミサカに思いを伝える。
「ミサカはミサカなんだよ…」
悲しそうな顔になるミサカ。
「それは分かっている。メイン人格はミサカにする。どうかな?」
泣きそうな顔で俯くミサカ。
「すまない…全員を救うって言ったのに…」
「感謝しているよって、ミサカはミサカは…頭を下げたり…」
僕に泣きすがったミサカ。
「置いていないで…一緒に連れて行って…約束だよって、ミサカはミ…サカは…泣き叫んでみたり…」
「置いて行かない。妹達も意識体として個々で動けるようにする。強く念じれば、実態化も出来るようにするから…」
啜り泣いているミサカ。
「出来る身体が欲しいって…ミサカはミカサも交わりたい…」
美琴のことを言っているのか…
「わかった。高校生くらいの美琴の身体にしてあげる。それでどうだ?」
「了承しますって、ミサカはミサカは感謝してみたり」
了承してくれたので、ミサカと妹達と一緒に、アルフガンへ転移した。そこで、ホムンクルスベースで、美琴が高校生になったイメージで見た目の修正を加え、ミサカをそこへ融合し、妹達を意識体へ変換して、ホムンクルスへ入れて定着させていく。
「10日くらいで、退院できると思いますよ」
って、ここの責任者のファントムが、退院見込みを教えてくれた。
---初春飾利---
御坂さんの彼氏について、調べている。あの御坂さんが、1日で乙女になっているし。白井さんは、催眠術、洗脳などの可能性を調べているし。
情報が少なすぎて、調べる足がかりが見付からない。どうするかな。そうだ、ハッカー仲間に訊いてみよう。ハッキング技術を買われて、風紀委員会に入った私。それなりに、ハッカー仲間がいたりする。早速、仲間のハッカーへ連絡を取ってみた。
『どうしたの?』
直ぐに返信が来た。
『調べたい人物がいるのですが、情報が少なくて…』
『どんな人物?』
『常盤台中の御坂美琴さんの彼氏です』
『なるほど…傍受されるとマズい。どこかで逢おう』
え?情報を持っているのか。って、傍受を警戒する程のネタなのか。
仲間から地図が送られて来た。そこは、学園都市の外であった。学園都市内は危険ってことなのかな?
◇
指定された場所へ一人で向かった。そこは無人駅近くの庭園であった。
「初春さん?」
一人の青年が声を掛けてきた。
「イーグルさんですか?」
頷く彼。
「じゃ、僕達のアジトで話そうか」
アジト?こんな場所に…付いていくと、少し大きめの日本家屋に着いた。
「ここだよ」
中に入ると、日本家屋であった。畳の部屋、囲炉裏があり…奥へ行くと重厚そうな扉を持つ蔵があった。
「この中だ」
蔵の中は、サーバールームになっていた。
「ここからアクセスされているんですか?」
「そうだよ。ここなら、見付からないからね」
学園都市の外まで、ガーディアン達は出て来ないもんな。
「学園都市内のネットには、どうやって繋いでいるんですか?」
都市内のネットはクローズタイプで、外部とは遮断されているはずだ。
「侵入者警戒センサーの配線に高速回線用のケーブルを這わせている。それを、学園都市内のアジトからネットに接続させているんだよ」
いつ設置したんだ?設置工事中にばれそうであるが、企業秘密で教えて貰えないだろうな。
「で、御坂美琴さんの彼氏だよな?」
「そうです」
「どうして、知りたいのかな?」
「友達ですから…胡散臭い人物の場合、知らせないと」
有り得ない感覚に襲われた。後から腕が伸びてきて胸を揉まれている。視線を落としても、そんな物は見えないのに。
「名前はシュウだ」
シュウ…うっ!乳首を捏ねられている。下半身の力が抜けていく。
「どうしたんだ?うん?顔色が悪いぞ。閉所恐怖症か?」
言えない部分に指が這っている。遠くでイーグルさんの声が聞こえるんだけど…湿り気を帯びていく股間…蕾みが開花するように、開いていく秘密の扉…隠されていたスイッチが露わになり、それを指がなぞっていく。無数の腕が私の身体に絡み付いてきた。だけど、私はそれらを払い除けないでいる。受け入れている。
口元が濡れている。股間はビショビショである。生え始めた芝生は湿り気を帯びている。口の中にフランクフルトソーセージが入って来た。ソレを私の舌が舐めていく。下腹部にも何かが入って来た。腰を振る私。
そうだ。私は子犬だ。ご主人様に捨てられないように、じゃれないと…
◇
はっ!突然意識が戻った。ここはどこだ?酸素マスクの様な物が口と鼻を覆っている。
「大丈夫?」
白井さんが心配そうに私を見ていた。ここはどこだ?あれは夢だったのか?
「ここは?」
「冥土帰しの病院よ」
「病院?なんで?」
「誰かに襲われたみたいよ。意識喪失の状態で見付かったの」
「どこで?」
「病院の敷地内でよ」
そんなはずは…イーグルさんに会ったはずだ。
---白井黒子---
誰が襲ったんだ?風紀委員を襲うとは、不届き者め!襲われたのは違う場所のはず。彼女は病院に用は無いはずだから。どこで襲われたのか?
彼女の持ち物をチェックしたが何も無かった。発見時、制服姿で、何も所持していなかったそうだ。手がかりが無さ過ぎる。どうするかな…頼れる者を思案する。とある高校のデルタフォースとお姉様しか浮かばない…お姉様に頼るか。
部屋に戻り、お姉様に相談した。
「え?飾利が襲われたの?なんで?」
「わからないんです」
「ヤバい処にハッキングしたんじゃないの?」
その可能性は大である。ハッキングを趣味にしているから、あの子は…そうか、彼女のネット端末に痕跡が残っているはず…って、それも奪われているか…
「手がかりが無いんじゃ、手は出せないな」
「誰か、そういう能力者はいませんか?」
「う~ん…彼かな…」
お姉様の彼氏には頼りたくない。
「わかりました。他を当たります」
と、部屋を出た。
---シュウ---
この世界に魔神がいるという。ただ、魔族の神でも、魔界の神でもなく「魔術を極めて神となった魔術師」だと言う。人間が神になるとロクな事にならない。極秘理に消すか…
探りを入れると、禁書における神格に当たるそうだ。だから、この世界には神がいないのか?いや神族すらいない。その魔神達に消されたのだろうな。
神の名に相応しい位相操作能力を持っていて、世界創造・破壊・改変まで瞬時に行える奴もいた。そんなことを勝手にされると、僕が始末書を書く嵌めになるので、隔離フィールドに魔神達を『強奪』し、集めた。
全能なる神を皆名乗っているので、僕は証拠を見せろと焚きつけてみた。
『全能なる証拠に、一人で子供を産め!能力での人工授精などのズルはダメだ。それが出来たら、認めてやるよ!』
と…その上で、
『神は嘘を吐けない。嘘を吐いた魔神はロストするように、この場の理は変えてある』
と告げた。
「貴様は何様だ!」
って、問いはスルーだ。神は嘘を吐かない。だが、スルーすることもあるのだよ。こうして、全能だと嘘を吐いた魔神様達は総てロストした。
で、僕の探し人のピエロのおっさんは、この場にはいなかった。魔神化してなかったようだ。どこにいるんだ?
---初春飾利---
退院出来た。なんで、襲われたんだろうか?思い出せない。何か、調べてはいけない事を調べたのかな?そんなことを考えながら、部屋へと戻る。
って…鍵が無い…そうだ、総て奪われたんだ。部屋に入れない…管理人室へと向かう。事情を話して、合い鍵を貰い、今度こそ部屋に戻った。部屋を見て固まる私…部屋の中は蛻の殻だった。部屋にあった物、総てを何者かに奪われていた。余程、マズい情報を調べていたのか、私は…
再び、管理人室へ行き、事情を話し、現況を確認してもらった。
「どうやって、家具や家電を持ち出したのかしらね」
って…引っ越し業者の類いは、私の入院中に来なかったそうだ。そうなると転移術か…白井さんが頭に浮かんだ。彼女だとして、何の為だろう?白井さんの元を訪ねた。
◇
「私はそんなことをしていないです」
と、完全否定した白井さん。
「じゃ、何も無いの?」
御坂さんに訊かれて、頷く私。
「着の身着のままなんです」
下着類も靴下も総て奪われていた。財布も無いので無一文でもある。
「それは困ったわねぇ。あぁ、そうだ。ちょっと待ってね」
御坂さんがどこかへ連絡をした。すると、彼女の隣に男性が転移してきた。
「うん?この子か?構わないよ。部屋はあるし、下着とかはフリーサイズで備蓄してあるし、大丈夫だ。生活費は、当面はどうにかしてあげるよ。美琴の頼みだし。じゃ、行こうか」
って、彼と共に、どこかの家に転移した。
「この部屋を使ってくれ」
真新しい木材の香りのする部屋…家具類は既に置かれていた。
「食事は食堂兼リビングでだ。下着類は…だれか、女性に説明させる。ここにいてくれ」
彼と入れ替わりで、メイド姿の女性が入って来て、あれこれ説明してくれた。
◇
学園都市外の為、朝は早かった。
「ちょうど、通学するのが3人いるから、一緒に通いな。ボディガード代わりにもなるから、帰りも一緒に帰ってきなよ」
って、何から何まで至れり尽くせりであった。御坂さんの彼氏って、スゴい…惚れてしまいそうだよ。
「彼らはお子さんですか?」
って、一緒に通学する人達のことを訊いた。
「弟子だよ。子供では無い。それに、僕は永遠の17歳だし」
永遠の17歳…確かに、それくらいに見える。弟子かぁ…通学中に彼らと話をした。戦闘術を習っているそうだ。こういうことは平和な時間に熟すのだという、彼の教えだそうだ。
放課後…
「で、お姉様の彼氏について、何かわかったの?」
白井さんの顔が近い…
「とても優しい方ですよ」
うっ、耳が熱い…
「何者だったんですの?」
「戦闘術を教える先生です。家は合宿所みたいで、お弟子さんが数名いました」
「スキルアウト?」
「この街の出身じゃないから、スキルアウトってことは…でも、白井さんよりも転移術が高位の気がするから、レベル4相当だと思います」
下手をするとレベル5相当かもしれない。白井さんはワナワナ震えているし…ライバルにはなれないと思うんだけどね。
「じゃ、帰ります。下宿が遠いので…」
「どこに住んでいるんですの?」
「えぇっと…沢井っていう駅です。こことは違い、のどかな駅ですよ。山は近いし、川もあるし」
校門にいくと紅さんと緑さんが待っていてくれた。
「遅くなりました」
「大丈夫だよ。一誠は上条達と不良狩りしているから」
それは御坂さんもいるのでは?
「おい、行くぞ!」
って、私も参戦か?はぁ?
◇
参戦はしなかった。一誠さんも参戦していないし。コガラシさん、上条さん、緑さん、紅さんに御坂さんがいるし…不良さん達がかわいそうに思える。
「一誠!何か来るぞ!飾利を護れ!」
紅さんの声。緊迫している。何が来るんだ?
「マズいなぁ、ライカンスロープの群れだ!なんで、狼男の群れなんだよ~!」
ま、ま、魔獣の群れが襲い掛かって来た。
「上条!コガラシ!確実に倒せよ!」
紅さんとコガラシさん、上条さんが前衛として展開した。
「ツッチー!飾利を頼むよ。一誠、行くよ」
「了解!」
緑さんと一誠さんは、空間から剣を取り出して、狼男へ斬り込んでいった。
「なんで、あんなのが出るんだ?」
「美琴!下がれ!」
彼の声だ。
「師匠!」
彼が触れると狼男が燃えていく。発火能力が有るのか?
「美琴!飾利を護れ!コイツらは雷撃があまり効かない」
「わかりました」
「くそっ!」
彼の両隣に召還陣が現れて、二人の少女が出て来た。なんで、少女?
「クルム、ミリム、ここを頼めるか?」
「はいなのだ」
「了解です」
「じゃ僕は、召喚師を消してくる」
そういうと、彼の姿は消えた。少女達が前線に出ると、狼男達の動きが止まり、後退りを始めた。
「シュウの敵は我の敵」
「犬共よ、覚悟をしろよ!」
逃げ惑う狼男達…なんだ、これは…
「あの二人は別格だから。あぁ、ツッチー、あの二人を怒らすと、街が無くなるから注意しろよ」
って、紅さん。
「は?一誠よりも危険なのか?」
「比べ物にならないぞ」
◇
家に帰ると少女達が彼に甘えていた。
「師匠は幼女系にモテるからな…出来る女体好きなのに、かわいそうに」
出来る女体好き?って…交わる男女の姿を想像してしまい、耳が熱い。
「まぁ、育児も好きだから、苦にはならないだろうけど」
育児が好きなんだ…
「あぁ、飾利、師匠には惚れるなよ。お前は対象年齢外だから」
それはまだ、出来ないってこと?まぁ、確かに…まだ中学生だし。
「ちょっと、二人と手合わせしてくるよ」
と、彼は少女達と地下へと向かった。地下にはトレーニングルームがあるそうだ。
「そうだ。彼は火の使い手なんですか?」
触れただけで、狼男が燃えていた。
「うん?違うよ。師匠はエロ系に特化しているから」
はぁい?エロ系に特化?
「あぁ、狼男が燃えた件か…あれは師匠の体質だよ。本気になると、触れた物を焼き付くすんだよ」
体質…能力では無く…
「彼は科学サイドですか?魔術サイドですか?」
「う~ん…魔導戦士だから、どちらかと言うと魔術サイドかな?」
魔導戦士?
「紅さんは?」
「私?私はまだ見習いだよ。目指すは、優しい魔王かな」
優しい魔王?えっ…魔王?魔法使いの王かな?
「一誠さんは?」
「俺か?俺は2代目エロ親父かな?」
「はぁ?お前は妄想キングだろ?」
「あぁ、そうとも言うねぇ。ハーレム王もいいなぁ」
「それは無理だよ。師匠が許さないと思う」
「そうだよなぁ…」
なんだ?この会話の流れは…聞いたことの無いジョブ名が並んでいる。