※この作品はR-18です。

神器なき男3   作:もっち~!

79 / 93
襲われる学園都市*

---御坂美琴---

 

有り得ない…こんなことは…

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

こんなにも体力を使うものなのか…呼吸が荒くなっていく。

 

「どうしたの?口からヨダレがダダ漏れしているよ」

 

唾液を飲み込む体力さえ無い。全身の筋肉が躍動している。

 

まさか…こんな術があったとは…背伸びをしすぎたバツを喰らった。私の身体を高校生並に変化させて、彼と…

 

「どうしたよ。ガバガバだそ?」

 

もう絞めつける力も残っていない。

 

「ヒダもクッタリしているし、こんなんでへばるなよ、強請っておいてさぁ」

 

ごめんなさい…幻滅しないでください。

 

『解除』

 

術が解かれ、身体が元に戻っていく。全身が痛い…酷い筋肉痛である。

 

「美琴の体内はビリビリしないんだな」

 

そうなんだ…意識が保ったのは、そこまでだった。

 

 

 

---土御門元春---

 

戦時下だと言うのに、いつもと変わらない日常であった。学園都市は今日も、それなりに平和である。

 

ヨーロッパではアンデッドと天使と魔女が、三つ巴柄の戦いをしているらしい。普通に考えて、アンデッドが天使に弱いはずだが、双方とも魔女を倒すのが優先らしい。

 

放課後…スキルアウト達を見かけなくなった。この街を護る為に、戦っているらしい。どこで?

 

「うん?何か来るよ」

 

紅が、何かに反応した。身構える俺達。どこだ?

 

「上だ!」

 

兵藤の声。空を埋め尽くす黒い物…なんだ、あれは?

 

「邪龍の群れだ…」

 

緑が吐き捨てる様に言った。

 

「マズい!固まって!結界を張るわ」

 

って、紅。俺達を紅色のドームが囲った。邪龍が地上に降り立つと、人間をついばみ始めた。

 

「一誠!緑!」

 

「「了解!」」

 

兵藤と緑は剣を手にして、結界から出て、地上に降り立った邪龍達を屠り始めた。

 

「助太刀するよ」

 

剣を手にしたイッセーが現れ、やはり邪龍に向かっていく。

 

「あれは、どこから来たんだ?」

 

紅に訊いた。

 

「防空システムに反応していないから、たぶん現地調達だと思う」

 

「現地調達ってなんだ?」

 

「現地人を邪龍にして、この街を襲わせているのよ。たぶん、魔女達だわ。禁書にあった聖杯を術式化したんだと思う」

 

紅も禁書へ目を通していたことに、驚きを隠せない。

 

「聖杯って、そんなこと出来るの?」

 

初春が訊いた。

 

「種族変更出来るの。神の力を模したらしいんだけど、不完全で邪龍にしかならないの」

 

結界に触れると灰になっていく邪龍。紅の表情が苦しそうだ。エロ神は来ないのか?そう思った瞬間、空を埋め尽くすほどの魔法陣が展開し、空にいた邪龍達が一瞬で灰に成っていく。

 

「紅、頑張ったな」

 

「はい、師匠…」

 

突如、現れたエロ神に、身を委ねるようにして倒れた紅。

 

「遅かったじゃないか!」

 

「あぁ、この世界にいなかったから。おい、シオン!出番だぞ!」

 

「任せてください、主様!」

 

長身の美女が大刀を手にして、邪龍にきりかかって行く。

 

「あれは誰?」

 

「あ?あぁ、鬼族の戦士だよ」

 

鬼…って、エロ神が来て、直ぐに掃討できたようだ。

 

「いない留守を狙うとはなぁ」

 

頭を掻いているエロ神。

 

「まぁ、ほぼ全軍を持ち込めたから、今後、留守にすることは、ほぼないと思う」

 

全軍?はぁい?

 

「この国のフィクサーとは話も着いたし、正式に名乗りを上げてもいいらしい」

 

なんか、楽しそうなエロ神さま…

 

「全軍って、どういうことですか?」

 

御坂美琴が訊いた。

 

「あぁ、僕のチームを全軍展開させたんだよ。この世界に対してね」

 

エロ神のチーム?

 

「どんなチームなんですか?私は何かできますか?」

 

「美琴は、僕の帰りを待ってくれればいい。それだけで、充分だよ」

 

◇

 

横浜にある魔法師協会のビルに、呼び出された俺と神裂。なんでだよ?会議室に通されると、俺達くらいの歳の奴らに混じって、エロ神がいた。

 

「よぉ、ツッチー、火織」

 

いつもの笑顔である。何をするんだ?

 

「では、皆さんお集まりになられたので、会議を始めます。まず、紹介をしましょうか。私は司会をいたします司波達也です」

 

こいつは30代くらいに見える。

 

「魔法師代表の十文字克人君、一条将輝君」

 

こいつらは高校生か?

 

「学園都市代表で『グループ』の土御門元春君、『天草式』代表の神裂火織さん」

 

俺達も立って、頭を下げた。

 

「後、今回の作戦で前線に出ますファントムドラグーン団長のシュウ・ヨハネ・鬼門です」

 

敬称を付けない。エロ神の手下なのか?って、団長だと…

 

「作戦については、団長から」

 

エロ神が立ち上がった。

 

「作戦は特に無い。来た物は消す。それだけだ。こちらから手を出すには、遠すぎるから、来るのを待つことにする。以上だ」

 

防戦だけか?いや、前線に出ると言っていなかったか?

 

「そうだよ、ツッチー。戦うのは僕達の仕事だ。君達はみんなを護り切れよ」

 

戦うのが仕事?エロ神なのに?

 

◇

 

翌日、いつもの日常がそこにあった。ニュースも戦争に関して特に報じていない。兵藤達は、俺達をガードするのが仕事だと言う。なので、前線には行かないそうだ。

 

「前線って、どの辺りなんだ?」

 

兵藤に訊いてみた。

 

「フランスだよ。海を跨いでも、アメリカは堕ちているし」

 

アメリカは既に倒したのか…いつだよ。

 

「マンハッタンに異界の門を設置して、異界の仲間達を解き放ったそうだよ」

 

異界の仲間達って、何?

 

「ドイツと北欧は、既に抑えているから、もうフランスにしか侵攻出来ないらしいよ」

 

いつの間にだよ。あのエロ神は…って、ローマとロシアはどうしたんだ?

 

「ローマとロシアは属国だし」

 

まさか、天使とアンデッドって…仲間なのか?

 

「団長が言ってなかったか?全軍スクランブルって」

 

アイツの言う全軍って、多種族混成軍なのか?

 

「ふぅ~、来るよ!」

 

紅が呆れたように言い放った。何が来るんだ?また、空を埋め尽くすように黒い物がたくさんいる。

 

「隣国で製造したようだ」

 

隣国?チャイナか?大漢の隣国だと…

 

「多いなぁ」

 

って、兵藤達は動かない。誰が倒すんだ?って、空に現れた異形なる物が数体。邪龍の群れに襲い掛かった。

 

 

 

---御坂美琴---

 

邪龍の群れが、学校へ向かった降りて来た。私の能力で全滅は無理だ。どうする。

 

「あなたが御坂美琴さんね」

 

知らない少女に声を掛けられた。

 

「そんな顔しないでね。あなたを保護しに来ました。私はセーラ・シトリー・鬼門。で、外で戦っているのは姉のシルキー・シトリー・鬼門よ」

 

見た事の無い術で、邪龍の群れを倒している女性。彼の仲間なのかな?

 

 

 

---初春飾利---

 

なんで?学校へ邪龍の群れが突入してきた。うわぁぁぁ~!窓際の生徒が食べられている。廊下に避難するが、徐々に教室を破壊して、侵入してきた邪龍の群れ。

 

「もう大丈夫だよ」

 

知らない男性が私の肩に手を置いた。なんか、懐かしいオーラを感じる。この人は誰?

 

「あぁ、俺はガイア・グレモリー・鬼門だ。あっちは弟のアリス・アガレス・鬼門だ。君を保護しに来たよ」

 

え?じゃ、邪龍の狙いは私?なんで?

 

「君のハッキング技術狙いだよ。君を食べた邪龍は、君の技術を継承出来るからね」

 

そんな為に、学校に…

 

「人間は道具としか思っていない連中だよ。君の尺度で考えてはダメだ」

 

そんな…

 

 

 

---土御門元春---

 

上やん、コガラシも応戦している。窓に首をつっこんだ邪龍を消して行く。

 

「なぁ、俺は保護対象じゃ無いのか?」

 

上やんが兵藤に訊いた。

 

「団長は男に興味無いし…」

 

「なんだよ、その理由は…」

 

まぁ、ベースはエロ神だしなぁ。

 

「うっ!眩しい!」

 

窓の外から閃光が入って来た。何が起きたんにゃー?うっすらと見える視線の先では、邪龍の群れが灰に成っていくのが見えた。校舎を護っていた異形なる者達は消え、一体の鬼だけがいた。鬼なのに天使の翼を持ち、鬼なのに頭上に光輪を浮かべていた。なんだ?あれは?

 

「団長がキレたみたいだ」

 

兵藤が呟いた。まさか、アレがエロ神の正体か?何?窓の無いビルが崩壊していき、天上へと昇っていく光の筋が見え、何か光り輝く玉が上昇していく。

 

新手の邪龍達が鬼に近づくだけで灰に成っていく。これがアイツの能力か?

 

「まだ、本気にはなっていないよ。本気になったら、私達も燃えちゃうから」

 

って、緑が答えてくれた。って、こいつらも、俺の心が読めていたのか?

 

「はい、正解」

 

って、緑。俺の妄想がダダ漏れか…

 

「大丈夫だよ、一誠の方がド変態だから」

 

って、紅。慰めか?兵藤からは苦笑いな声が聞こえる。

 

 

 

---結標淡希---

 

路地裏を逃げ回る。得体の知れない者に追われている。攻撃しても怯まない。傷口からは血すら出ないし。こいつら、何者だ?

 

しまった。袋小路だぁぁぁぁ~!

 

迫る得体の知れない者達。壁に背中を預けるしか出来ない私。ここまでか?

 

「ふっ、諦めるなよ。お前をロストすると、躾が恐いんだよ」

 

知らない男性が現れた。

 

「我は異界から出でたる魔王ディアヴロだ。心無きゾンビ共よ、灰へ還れ!」

 

目の前の得体の知れない者達が灰へとなって崩れていく。はぁ?魔王だって?敵だったら、死亡フラグが立つんですけど…

 

 

 

---神裂火織---

 

五和と逃げている。異形なる者達に追われていた。なんだ、こいつらは?ゾンビだと言え無くもない。心臓を一突きにすれば、動かなくなるが、心臓潰し以外の攻撃に怯まないし。

 

「私が囮になりますから、逃げて下さい」

 

って、五和。

 

「ダメだ。お前は供物なんだぞ。供物が無くなれば、この世界に明日は無い」

 

そう励まし、五和と共に逃げる。だけど、四つ角に達し足が止まった。前後左右から迫るゾンビの群れ。ここまでかな。彼ともっと一緒にいたかったけど。

 

「五和…背中を預けるぞ」

 

「はい!」

 

「そんな悲壮なことを言うなよ。アイツが哀しむよ」

 

「そうだ。凹むと、相手をしてくれなくなる。だから、主様を凹ますなよ」

 

知らない剣を手にした女性二人が現れた。彼女達の剣は的確に心臓を切り裂いて行く。速い…高速剣技持ちか?もう一人は大刀を軽々と扱っている。

 

「うがぁぁぁぁぁ~」

 

え?上か降ってきたゾンビ達。ソレを屠っていく、赤い翼を持つ赤髪の女性。

 

「うりゃぁぁぁぁ~!」

 

青髪の女性が、掛け声と共に剣を振り抜くと、斬撃が飛んでいく。斬撃が着弾した場所には小さなキノコ雲が発生した。誰?この人達は?

 

 

 

---土御門元春---

 

窓からキノコ雲が見えるんですけど…放射能とか大丈夫か?

 

「あぁ、あれは大丈夫だよ」

 

って、緑。

 

「全軍スクランブルは久しぶりだから、みんな愉しんでいるんだよ」

 

って、バトルジャンキー集団なのか?って、エロ神の姿は消えていた。次の戦域に向かったのか?

 

「で、これから、どうするんだ?」

 

って、コガラシ。確かに、逃げる場所は無さそうだ。

 

「沢井の家なら安全だよ」

 

って、小萌先生だ。

 

「って、シュウちゃんが言っていたよ」

 

そうなのか?

 

「あぁ、あそこは安全だ。移動ベースが護っているから」

 

って、紅。移動ベース?

 

「問題はどうやって移動するかだな」

 

「転移術は?」

 

確か、こいつらも使えたはずだ。

 

「ここからは無理だよ。でも、援軍の誰かと会えれば、転移出来るかな」

 

援軍?

 

「他にも狙われる女性っているでしょ?」

 

「女性限定なのか?」

 

って、上やん。まぁ、そうなんだろうな。男には興味無いし。うん?緑が誰かと連絡を取り合っているようだ。

 

「転移出来そうだよ。セーラさんが来てくれるって」

 

セーラって誰?って、誰かが転移してきた。知らない女性二人と、御坂美琴だ。

 

「緑、紅、一誠、がんばったわね」

 

「セーラさん…」

 

彼女がセーラなのか?黒髪の女の子である。線は細いし、ちっぱい系である。

 

「ちっぱい系は、遺伝です」

 

って、俺を睨むセーラ。こいつにも心がダダ漏れなのか…

 

「おい!セーラを虐めると、喰うぞ」

 

黒髪の女性が俺に迫ってきた。喰う?

 

「赤玉を出してやろうか?」

 

そっちの喰うか…好みがあるんだが…

 

「私も好みがあるんだよ。奇遇だな」

 

あ…蛇に睨まれたカエル…

 

 

 

---御坂美琴---

 

無事に沢井の家に戻れた。

 

「紅、私達は上に戻るわ」

 

セーラが紅に声を掛けた。

 

「ありがとうございました」

 

深々と頭を下げる紅。彼女のそんな姿を、初めてみた気がする。

 

「彼女には頭が上がらないの?」

 

疑問に思い訊いてみた。

 

「あぁ、私達は養女で、彼女は実子だから。立場は明確にしておかないと」

 

紅が養女?誰の?

 

「実子と養子とか区別はしないけど、私達養子組は、団長に敬意を払って、末娘のセーラには接しているんです」

 

それって、彼の子供?え?彼は何歳だ?

 

「団長に歳の話はタブーですよ」

 

って、緑。小萌先生以上のギャップがあったり?

 

「人間の思い浮かぶギャップとは桁違いだから、知らない方が良いな」

 

って、兵藤。え?彼は一体何歳なんだ?

 

「父ちゃんは2兆歳を超えているよ。あぁ、内緒にしてね。凹むから」

 

って、シルキー。2兆歳?想像出来ないんですが…この星って、出来てから46億年だよな。そうなると…はぁ?計算が出来ない…って、父ちゃん?

 

「私、こう見えて長女なんだよ」

 

って、嬉しそうに言うシルキー。妻子持ちってこと?

 

「だって、それだけ生きていれば、妻が8人くらい、いておかしく無いでしょ?」

 

奥様が8人いらっしゃるの…

 

「でも実子は少ないよ。数名は戦死しているし。その分養子は数千人いるけど」

 

って、緑…桁違いなんだ…彼は…

 

 

 

---シュウ---

 

空気に同化している。目の前で展開している歳の話、妻の話、子供の話…どのツラ下げて、現れればいいんだ?

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。