---鷲尾ヤマト---
団長がソウル・トランスレーターで、狙撃されたそうだ。狙撃手と兵器は抑えたそうだが、団長の身体から魂の息吹を、全く感じないそうだ。僕が現場に着くと、団長のいた場所から、キノコ雲が立ち昇り、団長の魂に宿っていた者達が解放されていた。それは、団長が死んだってことだ。嘘だろ…
この世界の人間の術、兵器程度ではダメージの入らない奴らが街に解き放たれ、街は混乱を極めていた。
『ヤマト君、亘の魂を探して…どこかへ強制転移させられたみたい。連絡が出来無いよ』
半狂乱の綾香様。
『ヤマト、爆発は問題無い。制御を失ったオーラが混ざりあって爆発しただけだ。後、私達も問題は無い。敵以外にあえて攻撃はしない』
って、リヴァさん。その声には怒りが纏っていた。
「緊急事態だ、ナヴィ!全軍スクランブルさせてくれ。団長が狙撃された」
「また、ですか?了解しました。スクランブル指令を出します」
ファントムが狙撃兵器を持って来た。ベースに戻り解体して、中に入っている術式を読み取っていく。
「ファントム、インデックスさんを呼んでくれ。同化吸収させていいから」
「了解です」
この世界独特な文字が入っている。僕だけでは読解は難しそうだ。
---土御門元春---
空気が鳴動し、地面が震動している。視界にキノコ雲が見え、異形なる生物たちが現れた。恐怖で身体が動かない。何が起きたんだ?
「団長が狙撃されて、団長に宿っている仲間達が、現れただけです」
俺達の前に、金髪の少女と青髪の剣士が現れた。
「シュウがやられたのか?」
神裂が詰め寄るが、動じない金髪の少女。
「ソウル・トランスレーターで狙撃されて、魂がどこかへ行ってしまいました。あなた達には、まだ、あの狙撃兵器が無いかを探して貰いたいのです」
「それより、アイツらは何だ?」
ステイルが訊いた。
「十字教ですよね?あなた達は…なら知っているでしょ?獣の数字って」
ステイルの口から、咥えていたタバコが落ちた。おい…獣の数字だと…
「三位一対もいますよ。十字教は愚かですよね。団長が封じ込んでいたのに、自らパンドラの筺を開けるとは」
それは、アイツが十字教に狙撃されたってことだにゃ。って、言うか、アイツが封じていたのか…
「人間が勝てる相手では無いですよ。赤い竜と白い竜もいれば、黄色い竜もいます」
やたらにデカい赤いドラゴンがいるし。100メートルくらいは有るんじゃ無いか?
「あれも聖典に出ていたでしょ?グレートレッドですよ」
マジかぁ~。旧約聖書に出ていたドラゴンや魔物のオンパレードでは無いか。
「彼は何者だったんだ?」
蒼い顔のステイルが訊いた。
「十字教の皆さんならよく知っているはずですよ。十字架に磔にして殺したんだからね」
金髪の少女が怒りを纏った。少女の後に金色のドラゴンが現れ、その後方には黒いドラゴンが数体現れた。ドラゴン使いかっ!
「まさか…彼って…」
神裂すら蒼い顔である。俺はどんな顔やら…
---上条当麻---
逃げ惑う俺達…って、どこへ逃げればいいんだ?
「兎に角街から退避よ!」
って、小萌先生。って、街から出るためのゲートは閉まっている。なんで?
「悪いけど、ゲートからは出せないよ。狙撃手がまだいるようだからね」
銀髪の少女と黒髪の男子が、俺達の行く手を遮った。俺は右手で、男子に殴り掛かるが…
「無駄だよ。僕は無価値持ちだ」
え!簡単に制圧された俺…
「君の能力は僕達には無価値だ」
無価値?無能力にされているのか…
「私が相手をします」
って、小萌先生。
「学校に戻った方がいいわよ。私達は学校は襲わない。意味、わかりますよね?」
それは学校を襲った奴らは、コイツらでは無い勢力ってことだ。
「ゲート出るには、一人ずつ検査をします。団長を襲った勢力の者は、皆殺しにしますから」
コイツら、襲われた勢力なのか。
「誰に襲われたの?」
小萌先生が訊いた。
「十字教団ですよ。一般市民に紛れている。そこだ!」
グサッ!
投げたナイフが額に刺さった男、倒れる時に教典が手から零れ落ちた。その倒れた男を摘まみ口に放り込むドラゴン…
「さぁ、学校へ戻りなさい」
俺を解放してくれ、小萌先生は頷いて、俺達を学校へと引率していく。
「いい?学校を襲う奴らを、撃退する」
アイツらを信じた先生。根拠は?
「根拠?私のボーイフレンドを襲った相手だから。彼らは彼の弟子だわ。
思いだしたの…無価値持ちがいるって」
はぁ?アイツらのボスと、付き合っていた小萌先生。頬を赤らめているし…
---御坂美琴---
得体の知れない集団に襲われていた。こいつら、何者だ?くそっ!数が多すぎる取り囲まれた。
「もう逃げられないぞ。まぁ、可愛がってから、殺してやるよ」
ボトン!ボトン!
何かが地面で飛び跳ねている。これって、生首では?
「彼女達はお前達には差し出せない」
鎧を着込んだ騎士達が、私達を助けに来てくれた。
「貴様!十字教に刃向かうのか?」
敵は十字教団か…序列3位の私狙いのようだ。
「それがどうした?あいにく、異教徒な者でね」
あれって、彼と同じ色の剣だ…聖剣使いなのか?
「どんな邪神を信仰しているんだ?」
「名の無き神だよ」
名の無き神?その言葉を訊き、十字教の集団の顔色が変わっていく。
「貴様ら、まさか…」
「ファントムドラグーン所属の親衛隊だ。私は隊長の『神殺し』ファルコンだ」
神殺し?ファントムドラグーン?
「伝説の騎士団だと…いいや。まやかしだ!やってしまえ!」
二人のナイフ使いが集団の中に入り込み、相手と交差した瞬間血柱が上がっていく。分厚い書籍を持った少女が何か呪文を唱えている。集団の周囲に炎の壁が出来、集団を燃やし始めた。
「御坂美琴さんだね。一緒に来て貰うよ」
馬に乗った女性騎士さんに抱き抱えられると、馬は天空を駆け上っていく。え!どうして、天馬って、おとぎ話の生き物じゃ無いの?そして、天空に浮かぶ城へ連れて行かれた。
---ファントム---
インデックスが術式を解読した。その結果、団長の飛ばされた世界を特定できたのだが…VR世界のようだ。どうするよ、これ…アルフガンへ戻り、団長の装備品などを量子化データに変換していく。う~ん、アルフガンの処理能力では追い付かないようだ。団長を一旦救い出して、アルフガンから送り出した方が効率が良さそうな。
「どう救い出すの?」
ブラウンに訊かれた。
「アルフガンからハッキングするしか無いだろう?」
異世界へのハッキングは想定していない為、技術開発に時間が掛かるらしい。どうするかな。
『不思議な袋だけ、届けて』
って、綾香様から念話が届いた。あの袋って量子化出来るのかな?
「隊長、救難信号をキャッチしました」
団長からの救難信号である。取り敢えず、現状を見てくるか。僕は団長の元へと転移した。手土産を持って…
◇
「団長、こんな場所にいたんですか」
救難信号で見つけたと思わせる。
「ここって、どこの世界のサーバーだ?」
「リムルとサトゥーとキリトが産まれ育った世界ですよ」
仲間が調べてくれた情報を、知らせた。
「リムルとサトゥーの本体は?」
「リムルは荼毘にふされ、サトゥーは脳溢血で、キリトは脳の酸欠状態でソウル・トランスレーターのお世話になっています。ちなみに高杯光子は、危篤状態です」
「誰が、管理しているサーバーだ?」
「通称メタボ氏である保田芽衣です」
ニヤリとした団長。
「菊岡は絡んでいるのか?」
「えぇ、VR世界の構築を保田に依頼したようです」
「で、学園都市のある世界との関係は?」
「十字教がソウル・トランスレーターに、異世界追放の術式を組み込んだ為、同じ発想から作られたもう1つのソウル・トランスレーターにリンクしたようです」
「で、状況は?」
「学園都市のある世界は、世紀末へ進んでいます。団長と一緒にいた奴らが、現世に現れて、混乱していますよ」
「ここに持ち込めるかな?」
団長も懸念していた事態のようだ。
「今、副団長が思案しています」
副団長から命じられたのは僕だけど…どうするかな。出来ませんって、言えない雰囲気である。
「で、戦力はファントムだけ?」
「僕じゃ出来ないでしょ?出来る人材を持ち込みましたよ」
自信満々で、御坂美琴を差し出した。団長のお気に入りのはずだ。
僕だけ、一旦離脱した。団長に言われたことをする為だ。
◇
だけど、量子化データにならない。アルフガンだけでは無理であった。副団長からリアさん、ヴァリさん、ドランからハニーさんを借りて来て、再度挑戦したが、全然足り無いし…
「次に行く時に、私を持ち込んで下さいね」
って、ハニーさん。まぁ、戦力にもなりますよね。
「って、言うか、団長を連れ戻した方が速いのでは?」
って、リアさんの指摘。そうなんだが、魂だけを連れ歩けるのだろうか?ここまでは量子化データとして持って来られるはずであるが。
『ファントムに命じる。亘をアルフガンで連れてきなさい』
綾香様の裁定が下った。では、連れ戻るかな…ンサーバーのある世界へ転移して、そこからサーバーへと侵入したのだが、あの世界への通信ソケットが見当たらない。嘘だろ?切り離したのか?アクセス方法を探すが、あの世界との交信出来る通信ソケットが1つも無くなっていた。マズい…取り出せない。
菊岡達の会話を傍受すると、過負荷だからって理由で、ソケットモジュールをすべて削除したらしい。バカか?システムモジュールだぞ!どうするんだ?システムを止めないとモジュールを新たに入れられないはずだ。だけど、VR世界へのアクセスが出来ない今、システム自体を止めないとモジュールを追加出来ない上、システムが認識するには、システムリセットも必要なはずだ。
稼働していうプログラムがあるのに、システムを強制停止するのか?保存されないデータはロストするはずだ。マズい事態だ。
アルフガンに戻り、善後策を練ることにした。
---鷲尾ヤマト---
アルフガンへ行くと、事態は想定の範囲外の悪い方向へと傾いていた。
「何…」
僕を絶句させる事態が待ち構えていたのだ。サーバーの稼働状態が過負荷気味だから、過負荷の原因である通信ソケットモジュールを全部削除しただと?!システムエンジニアだったら、絶対にしない行為である。
「コンソールから、アクセスもモニタリングも出来ない状況です」
この事で、治療器具として利用していた桐ヶ谷和人、鈴木一郎、高杯光子は死んだそうだ。関わっていたプログラマが全員死亡ってマズいだろう?メンテ出来る要員がいないのか。いや、いないから、そんな素人のようなメンテなのだろう。
「強制的に団長を取り出すぞ。時間の猶予は無い」
ファントムと共に、問題のサーバー内へと侵入した。システムコンソールにはエラーメッセージの山が吐き出されている。
マズい。賭けに出た僕。『強奪』を発動して団長の魂の量子化データを抜き取り、急いでアルフガンへと戻り、復元作業に取りかかった。
『ヤマト君、魂の状態に戻せたら、学園都市に強制転移して』
綾香様から指令が出た。あの都市に魂を戻せばいいのか。作業を慎重にスムーズに熟す、僕とファントム。
『手が空いている者達は、聖堂で祈りを捧げてくれ』
念話で仲間全員へ指示を出した。祈りは神に取っての元気になる源である。団長!戻って来てください。僕を一人にしないでください…
魂状態に戻った団長をあの街へ強制転移させた。
---シュウ---
魂仲間達が戻って来た。空気中に散らばったオーラも戻って来て、僕の身体を作り上げてくれている。生き返った気がする。身体の機能が再構築されていく。ソウル。トランスレーター対策をする僕に宿る仲間達。
反撃開始だな。
『ヤマト、サーバーのある施設を手に入ろ!』
『おかえりなさい、団長。了解です。直ぐに手に入れて来ます』
『ファントム、詳しい仲間を集めておけ』
『了解です、団長』
『ファルコン、十字教団は殲滅しろ!あと、菊岡を含む関係者は消せ!』
『了解です』
『ハニー、ホムンクルスを数体用意してくれ』
『了解です』
次々に仲間達に指示を出していく。完全に回復したら、すぐに行動できるように、下地を作り上げていく。
地上へ降りると、火織と五和が抱きついて来た。さて、どうするかな。ファントムが連れ込んだ美琴をまず救出しないと…あいつ、僕の駒の入っていない美琴を連れ込んでいたのだ。パニッていたのだろうな。気遣いが仇になっているのだった。