孫同伴で案件へ
---シュウ---
緊急事案が発生したそうで、今姉ちゃんの部屋にいる。事案の内容だが、女神アクアの進化形のような自称女神と名乗るクソ女神が現れ、転生の間を占拠して遊んでいたらしい。
女神特典転生をさせて、地上に降ろし、転生者達をゲームの駒のようにし、戦略ゲームを楽しんでいるそうだ。相手は異世界の者達で、占領戦を愉しんでいるとか。まぁ、この程度なら、今までに居た気がするが、このクソ女神は、異世界同士を融合させて、融合させた境界面から侵入させているそうだ。普通、異世界へ行くには、亜空間移動もしくは、亜空間転移するのだが、異世界同士をシャボン玉連結させて、行き来させているという。この方法のデメリットは、融合した境界面に負荷が掛かり、過負荷が掛かり続けると、いずれ、融合している世界は総て消えてしまうのだった。
報告によると、デメリットが原因で、既に数多くの世界が、クソ女神のせいで消滅したという。
「その宇宙には、神殺しはいないの?」
「いるんだけど、一人で、神以外には攻撃出来ないらしいのよ」
それは眷属がいると、クソ女神は殺せないってことか…
「でねぇ現在は、気に入った異世界を次元の狭間に取り込んで、遊んでいるらしいのよ」
違法占拠か?次元の狭間は、僕のテリトリーである。絶対神なら皆知っていることだ。
「その宇宙の絶対神は、何をやっているんだ?」
「神殺しを派遣したって…それ以外に何もしていないのよ」
姉ちゃんが疲れた顔をしている。毎日耳が日曜日な絶対神なのか…姉ちゃんの命令を聞き流すとは…許さねぇ!僕の仕事が増えるでは無いかっ!
「屠ってやる」
「代わりの絶対神はどうするの?」
そこか、問題は…
「じゃ、その宇宙は、リセットしよう。生物の居る星は整理して、12へ移設だな」
「あぁ、なるほど。12の絶対神は、暇だって言っていたよね」
あそこの絶対神は、とある並行世界なオラリオのウラノスである。信用出来る神だ。
「わかった。弄ばれている星以外は、整理する。で、弄ばれている世界へ行って、クソ女神を消して来てよ」
「どこにいるんだ?」
「厄介なことに女神転生のスキル持ちで、転生の間にいなくても、女神特典付きで転生させることが出来るらしく、消息不明な上、分け身スキル持ちだって」
分け身とは分身の術の進化版で、分霊とか分魂とか言われる場合がある。分け身総てが本体であり、自分自身を同化吸収することで、記憶の統合すら出来るそうだ。分け身も同時に消さないと面倒かもしれない。
「本体は行方不明なのか?」
「そういうこと。本体を誘き出し、ロストさせ、融合している世界を分離させて、護ることが、今回の案件よ」
面倒だな。できない女神は嫌いだし…いや、それ以前にクソ女は嫌いである。
◇
今回の案件の重要人物は、盾の勇者である岩谷尚文で、ソイツの保護、強化、仲間集めが基本的な案件内容だと言う。クソ女神は、岩谷君を目の敵にしているらしい。何でか?前世で何かあったのか?
で、案件の世界には、岩谷君以外にも、勇者が沢山いるらしい。神器持ちは皆勇者のようだ。勇者の大安売りだな。勇者って、イマイチ信用が出来ないけど…僕からすると、勇ましいだけの戦闘バカってイメージである。専用より女体の方が、僕は好きだなよ。
今回のメンバーは最初は、軽めのメンバーにした。孫の大樹とリアスの教育を兼ねて連れて行き、サポートメンバーは黒歌、リザ、ルプスレギナ、飯は五和って感じである。
そして、異世界に降り立った。
「ここは?」
大樹に訊かれた。
「リユート村だ。ここを拠点にする。鉱山があり、そこの魔物が経験値稼ぎに良いからな」
村はずれに、ログハウス風の家を置いた。
「いいか?異世界に来たら、まず、『強奪』で、金と玩具を手に入れるんだよ」
って、城下町にあった奴隷屋から奪った金と、奴隷を大樹に見せた。怯えた目の女の子は咳き込んでいた。治癒術で、彼女の病気を治癒させていく。
「金は、金貨は奪うな。序盤は銀貨の方が使い勝手が良い」
奪ったのは銀貨1000枚程度のようだ。
「君の名前は?」
奴隷に訊いた。
「ラフタリア…」
「ではラフタリア、今から奴隷の身分から解放する」
封印無効の能力で、奴隷紋を浄化して、枷を外してあげた。
「えっ!」
僕の行動が意外だったのか、驚くラフタリア。
「団長、岩谷氏は、助けないのですか?」
五和が本来の強奪相手を思い出してくれた。すっかり忘れていたよ。だって、男だしなぁ。そいつも、『強奪』した。
「ここは、どこだ?お前らは誰だ?」
「岩谷尚文だな?」
頷く転移男。
「ここはリュート村で、僕達はお前の味方だ。ある者に、お前の保護、育成を依頼されたのだよ」
「ある者だと?」
人間不信になったいるようだ。記憶を読むと、えん罪で王から罪人扱いされたようだ。人間は相変わらず、醜く愚かな生き物だな。
そのせいで、荒んだ精神、強度のストレスからの味覚障害があるようだ。癒やしの能力で、精神を和らげていく。
「僕はヒーラーのシュウだ、岩谷君」
「ヒーラーなのか?」
『ダウト!』
そんな念話が参加メンバー達から飛んで来た。嘘は吐けないスキル持ちだぞ。ダウトの訳があるか!
「リザ!ラフタリアの面倒をみてやれ」
「はい、団長」
リザも元奴隷である。元奴隷同士、どうにかなるだろう。
「祖父ちゃん!なんで、奴隷の女の子?」
大樹に訊かれた。
「大きくなったら…うふふって、感じだよ」
「ロリ?」
「娘と同じ位の女とはやらないよ」
「なぁ、お前達の関係性は?」
岩谷君に訊かれた。
「コイツは僕の孫の大樹だよ」
と、孫を紹介した。
「孫?同い年くらいに見えるが…」
「あぁ、僕は不老不死の呪いを受けている。だから、永遠の17歳だよ」
「祖父ちゃん、ズルい!」
「そうか?不老不死って、一番重い呪いだぞ」
「呪いなのか?解けないのか?」
「掛けたバカ神は、もうロストしたらしいので、もう解けないよ。あとは…リザ…元奴隷の娘枠だ。ラフタリア、分からないことはリザに訊け」
「うん…」
小さな声で返事をしたラフタリア。狸系の亜人のようだ。亜樹と亘のいる世界のこゆずみたいな者かな?
「あとは、戦闘料理人の五和。和服のは黒歌、紅髪はリアス、で、そこの殺戮の笑顔仮面がルプスレギナだ」
「殺戮の笑顔仮面?」
不思議そうな顔で、岩谷君に訊かれた。
「あぁ、笑顔で人を殺せる、ド変態だ!」
「うん?ド変態は団長っす」
そうか?どうなんだろう?自覚は無いけどな。
「で、岩谷君は盾の勇者で、攻撃が出来ないんだったなぁ」
「えぇ。基本、攻撃出来ません」
「リアス、戦車の駒を2つ入れて」
「へ?」
「1つじゃ、無理だ。駒2つで勇者を、眷属に出来る機会はそうそう無いぞ」
「うん…わかった」
岩谷君に、リアスの駒が入った。
「なんか、力が湧き出すような」
「岩谷君をリアスの眷属にした。なので、人間ではなくなった分、ステイタスがブーストしたはずだ」
リアスには、大樹の駒が入っているので、悪魔の駒とドラゴンの駒の恩恵を、受けることが出来るはずだ。
「岩谷君は、ここにいる全員とパーティー設定をして。僕達が経験値を稼げば、君へ還流されるはずだ」
「わかりました」
「基本、岩谷君とは、大樹とリアスが行動を共にする。ガードとして、ルプスレギナを付ける」
笑顔仮面が頷いた。
「五和は飯の用意が優先だ。黒歌は、家のガード。僕は遊軍になる。リザはラフタリアと狩りをして、捌く練習をさせてくれ」
「わかりました」
「リアスの当面の目標は、黒歌の眷属化だ。いいな」
「はい…師匠…」
現状のリアスでは、黒歌は僧侶の駒2個では眷属に出来ない。女王は決めてある。ソイツも能力値が高いから、リアスにはもっと能力値を上げて貰わないと困るのだった。
◇
仲間達に指示を出し、城下町へ転移した。中世ファンタジー世界のようだ。奴隷屋がサーカステントのような店構えなのは、擬態なのか?空気と同化して、美味しそうな奴隷がいないかを探す。
何かの卵を見つけた。これは?鑑定すると有精卵のようだ。ペット用かな?1個貰っておくか。卵を不思議な袋へと入れた。後、銀貨を『強奪』して、奴隷屋を脱出した。食材でも買うかな。露店や屋台を覗くと、僕達の世界と似たような食材が多い。名前は違うけどなぁ。珈琲豆は無いのか?買った物は、家へ転移させていく。五和が何かを料理してくれるだろう。
城下町の者達の記憶を読んでいく。盾の勇者は犯罪者って、知れ渡っているようだ。えん罪なのになぁ。どうするかな。敵の正体が見えないので、迂闊なことは出来ないしなぁ。
武器屋へ入ってみた。オヤジは見た目がキリト君の世界のエギルに似ている。似た性格か?
「何を欲しいんだ?」
「冷やかしだよ」
「はぁ?お前なぁ…」
記憶を読み取ると、岩谷君を知っているようだった。
「そうだな。盾の勇者に見合う装備品ってあるか?」
「アンちゃんの仲間か?」
「まぁ、そんな処だよ。えん罪だけど、ここでは犯罪者だろ?だから、代わりに僕が取引をする」
「鎧ならあるが…」
見せて貰ったが、重そうである。
「軽くて丈夫なヤツは無いか?」
「う~ん、丈夫だと鉄のフルアーマーだな」
「そうか…じゃ、材料支給でナイフを2振り、製作してくれないか?」
オリハルコンのインゴットを2つ、オヤジの前に置いた。
「なんだ、これは…」
「オリハルコンだ。加工出来るか?」
「あぁ、やってみる。って、これはどこにあったんだ?」
「これでも錬金術師なんだよ。で、どの位でできる?」
「2週間くらいくれ」
「あぁ、じゃ、頼んだよ」
アーマーは予備団員の物を使わすか。鉄のフルアーマーより、頑丈だし。後は薬屋かな。
◇
家に戻ると、岩谷君達がへたばっていた。
「どうだ、調子は?」
「レベルが10上がった」
「で、武器屋を覗いたが、めぼしい物がなかったから、コレを使え」
ドラゴンフルアーマーを、岩谷君へ渡した。
「ブレスは無効、炎、魔法ダメージは軽減する。物理ダメージは激減だ。軽いのに丈夫なんだよ。貸してあげるよ」
「あぁ、ありがとう」
「村への買い物は岩谷君が行ってくれ。荷物持ちが必要なら、ルプスレギナを連れて行っていいよ。アイツ、力持ちだから」
「団長、兎の耳をもらっていいっすか?」
って、ルプスレギナ。
「襟巻きにするのか?」
「うっ!」
図星のようだ。
「なめせよ。腐敗臭はカンベンしてくれ」
「了解っす」
リザは兎の解体をラフタリアに教えていた。岩谷君は、神器である盾に、色々な物を喰わしている。DNAを取り込んで、色々な盾を産み出せるらしい。産み出した盾から、スキルの出現、ステイタスの向上などの恩恵もあるらしい。
「クエ~」
って、不思議な袋から顔出す鳥。あぁ、卵をゲットしてきたんだ。袋から出して、抱き締め、卵の欠片を岩谷君へ渡した。
この鳥はなんだ?鑑定スキルで鳥を調べると、『フィロリアル』とい鳥らしい。名前はクエにするか?
「いや!」
うん?人間の言葉を話せるのか?心も読めるようだし。本人?本鳥と相談して、フィーロと名付けた。
「ごしゅじんさま?」
「別にお前は奴隷では無い。その呼び方は却下だ」
白と桜色を基調としていて、どこぞの世界の桜餅魔王を連想してしまう。空間転移出来るのか?いや、空間切断が出来るのか?
「馬車なら引けるよ」
鳥が馬車を?それでは鳥車では無いのか?
「ねぇ、なんて呼べばいいの?」
「僕の名前はシュウ・ヨハネだ。だからシュウでいいぞ、フィーロ」
「うん、シュウさま」
コイツのエサってなんだ?誰に訊けば良いんだ?この世界の住民は、アイツだけだな。
「ラフタリア、フィロリアルって、何を喰うんだ?」
「ごめんなさい…わかりません」
う~ん、困ったなぁ…兎の内臓…与えて見た。あっ!喰っている。コイツ、雑食か?残飯整理要員か?ベスの世界のブタ師匠のように、火を吐けるのかな?
ぐぅぅぅぅぅぅ~
フィーロの美味しそうに食べる姿を見て、ラフタリアのお腹から、豪快な音が…真っ赤な顔をして涙目になっていくラフタリア。
「飯にするか。五和!喰えるのか?」
「はい!いつでも…あぁ、料理ですよ。私を食べないでくださいね、団長」
火織にバレるとマズいのか?あいつらの投入は後半の予定だ。
「ラフタリア、飯にしよう。リザ、頼むぞ」
「はい、わかりました」
解体作業を一時止め、道具を簡易的に手入れをしてから、片付け、喰える部分と売る部分と、フィーロのエサに分けて、家の中に二人で入って行った。
「取り敢えず、内臓と骨、筋だけ喰ってくれ」
「うん。シュウさま」
美味しそうに喰うなぁ。って、鳥に味覚ってあったっけ?