---シュウ---
波という大凶行がどういう物かが分からない。ラフタリアの説明だと空間が割れて、異形なる物が押し寄せて来たと言う。割れて…裂けてでは無く、割れてかぁ。たぶん隣接する世界から入って来たのだろうな。空間移動ではなく、物理的に割れた入口から…
そうなると、割れた先を攻撃すれば、出てくるストックは消えるはずだ。それが出来る者は2名いる。呼んでくるかな。
ってことで、新たに、カズマ、めぐみん、アクア、ダクネスのポンコツチームを呼びだした。
「なんで、そんな危険な場所に召喚するんですか?」
今回の事案を説明すると、カズマが怖じけついた。
「めぐみんの大殲滅魔法が有効かを確かめたいんだよ」
「そんなのアインズのチームでも良いでしょ?」
「アインズでは、敵がビビるだろ?その点、カズマ相手ならビビることは無いし」
このチームの必要性は、殲滅魔法に全経験値をつぎ込んだめぐみんメグミンだけで無く、ダクネスにもあった。聖騎士であるダクネスは、経験値を体力と防御力につぎ込んだ防御バカである。だが、岩谷君の見本になり得る存在でもある。それに防御としても役立つ。このチームはそこそこの火力がある上、オーラは一般人並という、潜入戦闘員って役どころに、ぴったりだったりする。
アクアはアークビショップで回復系、浄化系が使えるし。カズマは運だけはとっても良い、結果良ければのリーダーである。まぁ、攪乱系な戦闘にはなると思うが。
めぐみん、めっちんには当日の作戦を伝えておく。
◇
波まで後1週間のようだ。みんなレベル100オーバーになったようだ。それが高いのか、低いのかは、比較対照がいないのでわからないけど。ラフタリアは順調に、おいしそうな女体になっていく。まだ10歳とは思えない20代前半ボディだ。一方のフィーロは50メーターほどになった。ますます食欲が増えているし。まぁ、人間姿であれば、幼女姿なので、威圧感は少ない。
そうだ、武器屋のオヤジからブツを受け取らないと。ラフタリアとリーシアを連れて、武器屋の近くまで転移した。
「おぉ、アンちゃんかぁ。久しぶりだなぁ。え?どうした?両手に花か?」
二人に驚いているオヤジ。
「それより、頼んでいた物は出来たか?」
オヤジはインゴットを2つ取り出した。
「すまん。オリハルコンは加工出来なかったよ」
この世界では無理ってことか…まぁ、いいか。インゴットに手を翳し、剣二降りを出してみた。
「何?手を翳すだけで、錬金が出来るのか?」
錬金したように見せかけて、インゴットを予め作っておいた剣と、入れ替えただけである。
「ラフタリア、リーシアに剣を与える。もっと技術を研鑽しろよ」
「「はい!」」
「その剣は名の無き聖剣だ。自分の名前を刻めるように、剣に認めて貰えよ」
「「はい!」」
素直な弟子は好きである。
「う~ん、原初の聖剣かぁ。名の無き聖剣を作れるって、アンちゃんは何者だ?」
「通りすがりのエロ好きだよ」
---代羽大樹---
良く無い物を滅することで、リアスが浄化術を会得した。スゴい…負けていられないが、僕には癒やしの能力しか無い。これは何に化けるのだろうか?
剣術を極めるのが良いのか?祖父ちゃんから剣を貰ったラフタリアとリーシアが、俄然やる気になっているし。存在感が薄くなっていく。マズい、どうすれば良いんだ?爺の七光りって言われるのはイヤだし。
《解 受け継いだ力に抗せず、受け入れて伸ばすのが吉です》
受け入れる?拒否している物って…エロ好きか?う~ん、あの対女性3連コンポは、使いたくないんだけど…
《告 対男性3連コンポはいかがですか?》
たしか、『男根喪失』『女性器創造』『四肢損壊』だっけ…あっ!『四肢損壊』かぁ。目の前の魔物に発動してみた。身動きが出来なくなる魔物。そこを空かさずラフタリアが屠っていく。
そうか。四肢ではなく頭部ならどうだ?
《告 『頭部損壊』を会得しました》
早速、目の前の魔物に発動してみる。一撃で屠れたようだ。なんか、戦った感が無いし…
---シュウ---
そして、波の襲来当日…岩谷君が転移していった。直ぐに、彼の傍に転移する僕達。
「ここは…リュート村かぁ!岩谷君達は、村人を護れ、めぐみんとめっちんは予定通り、デカいのをアチラ側に叩き込め!」
初期の指示を出した。
遠くに空間の裂け目が見え、その奥では火の海が見える。
「カズマはめぐみんを背負って撤退しろ。アクア、リアス、大樹は怪我人を癒やせ!」
僕自体が戦闘に参加すると、バレるらしいので、参加出来ない。
「ソウエイ、村へ来る魔物を減らせ。ベニマルは裂け目の手前の掃除だ」
次々に仲間達が指示通りに、作戦を熟していく。
あれ?村に向かって魔法弾が多数、撃ち込まれている。フルカウンター3倍返しをすると、城の方角でキノコ雲が上がった。盾の勇者の暗殺か?この国の王は、アホか?
「魔物達はほぼ、殲滅できたぞ」
ベニマル達が戻って来た。
「じゃ、また潜っていてくれ」
「わかった」
村へ行くか。
◇
村は半壊程度で済んだようだ。
「団長、死者はどうしますか?」
「弔ってやれ。この世界で生き返っても、碌な目に遭わない」
「わかりました」
「怪我人の処置が終わったら、撤収するぞ」
撤収すると、皆ヘトヘトである。初めての実戦をした者が多いからな。
「もっと、強い敵はいないんですか?」
ダクネスがはぁはぁ言っている。
「徐々に強くなるはずだ。クソ女神にとっては、ゲームの世界だからな」
少し休ませて、岩谷君達を行商の旅に出すかな。情報収集するには行商が最適だろう。越後のちりめん問屋のように…
---代羽大樹---
1週間ほど体調を整えて、行商の度に出た。メンバーは盾の勇者、僕、リアス、ルプスレギナさん、キール、ヒナタさん、ミトさんである。あぁ、フィーロもいる。体長2メートルくらいの大きさになって貰い、馬車を引いて貰っている。寝る時は、人化して、祖父ちゃんのいる処に転移しているようだ。その為、尚文さんはフィーロの召喚用の札を持っている。夜中に移動する必要が出た場合、フィーロを呼び出せるようにだ。
祖父ちゃんは王都で情報収集しながら、奴隷狩りや奴隷両人、盗賊などを成敗しているそうだ。あぁ、フィーロのエサにする為らしいけど…
「あれって、鉱山かな?」
ミトさんが指さし先にある山。そこに向けて『強奪』を発動してみた。あぁ、鉱石が手元に引き寄せられている。
「鉱山のようですね」
ミトさんとヒナタさんで、鉱石を調べている。珍しい物が無いかをだ。
「魔鉱が混じっているなぁ。大樹、これだけを取り出せるか?」
ミトさんから鉱石を受け取った。それをラファエル先生が解析をして、その解析データに基づいて、『強奪』を発動した。
「当面、これくらいあれば良いか。大樹、鉱山の場所を覚えておいてくれ」
「了解です」
なんか、役立っている感がある。戦闘では無いが、これはこれで嬉しいかも。
「あぁ、金属シリーズの盾が解放されたみたいだ」
手に入れた鉱石を盾にくべて、新たな盾を得た尚文さん。
◇
南方にある街で、南西の方角にある地方で、大量の除草剤が必要とされているって情報を得た。そこへ向かいながら、除草剤を作っていく。
尚文さんに、除草剤のレシピを教わり、その材料を『強奪』して集めていく。後は、尚文さんの調合技術にお任せである。祖父ちゃんからも除草剤が送られて来るしなぁ。
『大量の除草剤かぁ…植物系の魔物が大量発生かもしれない。大樹の出番かな』
って、祖父ちゃんから念話が届いた。僕の出番?なんか出来るのかな?
《解 イフリートモードで焼き尽くせます》
なるほど…植物だから燃えるのか
《解 火食い草とか燃えない植物もあります》
そういう植物もあるのか。う~ん…
「悩んで、閃いて、成長するんだよ」
って、ミトさん。そうですね。成長しないと…
---シュウ---
う~ん…ラフタリアの姿が色っぽい。フィーロの姿は変わらず幼子であるが、本来の姿になると、トンでも無い大きさにある。コイツ、どこまで大きくなるんだ?
リーシアは歳の割に幼いし、キールは男の娘だし。年齢相当の女子が欲しい。
王城の一部が破壊されている。フルカウンター3倍返しを直撃したのだろう。敵までの距離を誤ったのか?それとも盾の勇者狙いか?クソ女神が関与しているのか?まるでわからないし。
「よぉ、アンちゃん。元気だったか?」
武器屋に入った。
「まぁ、元気っていえば元気だが…亜人って成長が早いのか?」
「幼少期に急激なレベル上げをすると、見た目の成長が早くなるらしいぞ」
そういうことか…
「なんか、やらかしたのか?」
「あぁ、10歳の狸が、妖艶な狸になったんだ」
「幼児が良いのか?」
「そうじゃないけど、成長過程って見たいだろ?なのに、はぁ~」
「レベルはどのくらいなんだ?」
「もう少しで150だ」
「はぁ?」
武器屋のオヤジの表情。レベルアップ速度が早すぎるようだ。
「それは早過ぎるだろ?パワーレベリングか?」
「知らない間に経験を積んでいたんだよ」
「そうか。で、盾の勇者様は?」
「アイツは、同じくらいのはずだぞ」
「アンちゃんはレベル上げの恩恵持ちかい?」
あぁ、その可能性はあるなぁ。
「そうそう、なんか、きな臭い話は無いか?」
「各地で勇者達がなんかやらかしているようだよ」
ゲーム感覚で無茶をしているのか?
「うちの勇者もか?」
「いや、剣、槍、弓の勇者達だ。盾の勇者は、良い仕事をしているそうじゃないか。無医村に出向き、治療をしているって」
悪い噂は無いようだな。ひと安心だ。
「なんか、買って行くか?」
オヤジの前に、魔鉱のインゴットを置いた。
「これで、何か作れるか?」
「これは…魔鉱かぁ…オリハルコンのリベンジをしてやるよ」
「頼む。納期は次の波までだ」
そう言い残し、店を出た。奴隷売り場でも見に行くか。空気と同化して、テントへ入って行く。うん?死神がいる。死期が迫る者がいるようだ。死神の見つめる先には少女がいた。いや少女の関係者もいるようだ。獣人のようだな。
死を纏っているようで、彼女の本質が分からない。貰って行くかな。二人と売上の一部を『強奪』して、住処にしている村へ戻った。
二人の記憶を読むと、少女の関係者は彼女の兄でフォウル、少女はアトラという名前らしい。
アトラの身体を探査していく。全身がケロイド状態のようで、遺伝子疾患のようだ。どうするかな?まず、皮膚の再生力を上げて皮膚を正常な状態へと戻していく。遺伝子疾患の方は問題である。特殊な能力持ちが出る場合があるからだ。この子は目が見ないのか?目玉には黒目が無く、白濁している。そうなると、不可視力持ちの可能性が有る。不可視力とは、本来見えちゃいけない物が見えてしまう能力である。そっち系の能力を維持スル感じで、治すか。
◇
翌朝、フィーロとアトラが添い寝をしていた。ラフタリアは寝場所が無いと判断して、隣のベッドに寝ていた。が…コイツ、またレベルが上がっている。やることをやってから寝たようだ。したたかな狸だな。そうだ、コイツはどうだ?アトラのレベルをチェックするが、上がっていないことを確認して、フィーロを大樹達の元へ転移させた。外に出ると、フォウルがいた。
「お前、妹をどうしたんだ?」
「部屋で寝ているぞ」
僕の家に入っていくフォウル。朝飯の準備をしている五和とリーシアの元へ行き、リーシアと五和にスキンシップによる朝の挨拶をした。
「ふぇぇぇ~、朝から濃厚ですよ~」
そうか?軽く触れ合った程度だぞ。
「五和、食材は足りるか?」
「大丈夫です。サディナさんが、海の幸を持って来てくれますから」
なるほど。
「じゃ、僕は行くよ」
情報収集に出掛けた。
---代羽大樹---
除草剤を大量に販売したが、足り無い…なんだ、これ?大量発生も程々にして欲しい。一応、喰える物が収獲出来るそうだけど。蔓からは様々な果実が実り、根には芋まで出来るって、食料難には持ってこいでは無いか?
だが、落とし穴もあったようだ。人体に寄生する能力が有り、酸や毒を噴霧するそうだ。食人植物か…
「どうする?」
尚文さんに訊かれた。
「芋が出来るって、地下茎に栄養分を蓄えるタイプだな。除草しても意味は無い」
って、ミトさん。剣士組は、襲い掛かる蔦を斬り捲っている。だけど、茎から次々に蔦が伸びてきた。燃やすか?
《告 ミト様の話を聞いてなかったのですか?》
うっ!ラファエルさんに注意された。そうだ、草を燃やしても、地下茎が有る限り、ダメなのか。
「なんだよ、苦戦しているようじゃん」
祖父ちゃんが転移してきた。
「リアス!触れた物を総て殲滅していけ」
「はい、師匠!」
リアスの滅の力により、触れた蔦の本体である地下茎がごっそり殲滅されたのか、大量に茎が消えていく。
「一株でこんなに茎があるのか。大樹、ダークミストを発動しろ」
「わかった」
ダークミストで蔦を覆うと、次々に枯れていく。
「植物だろ?光合成を出来なくすれば、良いんだよ」
なるほど…
《告 まだまだですね》
えぇ、まだまだケツの青いガキ程度ですよ。
「剣士組は、地面から出ている枯れた茎の真上から地面に剣を刺して、属性攻撃しろ」
聖属性オーラで、地下茎を粉砕するのか。
「コンビネーションが大事だぞ。岩谷君、ぼぉっとしてないで、リアスをガードしろ」
「はい」
退治しつつ前進をすると、目の前に大木が現れた。
「あれが本体のようだな。大木に見えるが、蔦の絡まる集合体ってことかな?」
その集合体の巨木もどきは、巨大な目玉を持っていて、僕達を凝視している。コイツ魔物かな?