幻想の約束 ~魔の蜜に蕩かされる気高き貴婦人~ 作:ねりうす
じゃぶマイやリアルで忙しくて更新できず申し訳ないです><
次の日も、そのまた次の日の哨戒任務でも異常は見つけられず、本当に水中害虫の出現なんて、あったのか?と疑わしくなってきた頃……。
俺たちの状況はまた一変する。
…………。
…………………。
「ふぅっ…。こんなもんか」
俺は日差しによる暑さから、額からにじみ出てきた汗を手の甲で拭いながら、顔を上げた。
「ふふっ、団長さまお疲れ様です。テントの設営ありがとうございます」
どうぞ、と、ブルーロータスから冷たい麦茶を受け取り、渇いた喉を潤していく。
「構わないさ。こういうのは、男の俺がやったほうが上手くいきやすいからな。」
そう言って、俺は自分の成果を見回す。そこには、等間隔に設置されたテントが並び立っていた。
そして、ついでのように何故、今、このような事になったのかを思い返した……。
それは一昨日、任務後の定例会でのソドムの一言だった。
その内容が、無人島でのサバイバル訓練という、至極まっとうなもので、普段の態度からそういう事は嫌いそうなイメージを彼にもっていた俺は、内心、彼の評価を改めたのだった。念の為、任務の依頼者であるバナナオーシャン王族にも確認したところ、二つ返事で了承をもらえ、肩透かしを感じつつも実行に移すこととなった。
無人島は以前にBBQをおこなった島を使用することとなり、島を互いに半分ずつを使って、最低限の装備だけを整えて、降り立つこととなった。
――言わずもがな、軍服や戦闘服でサバイバル訓練をするわけにもいかないので、俺たちは全員水着姿で過ごしている。
「さて、次は薪を拾ってくるか」
「大丈夫ですか?…少し、休憩したほうが」
「いや、大丈夫さ。…それより、アナベルは大丈夫か?」
日陰で休んでいるのが見える。普段、元気が取り柄のひとつである彼女が大人しいと、自分の気持ちも少し沈んでしまう。
「きっと、遠征での疲れがでたのでしょうね。…注意してみておきますね。」
「ああ、頼むぞ、ブルーロータス。…それじゃ、いってくる。」
「はい、お気をつけて。」
そうして俺は見送られ、森の中へ入っていった。
………。
………………。
俺は、いたるところから生い茂った草木をはね避けながら森の中を進んでいた。
「しかし、それにしても熱いな……。」
海沿いであれば、いくらか涼しかったが、森の中に入っていくたびに蒸し蒸しと湿度の高い暑さに、額から滲んだ汗が、頬を伝い、足元に落ちる。
「ふぅ~……」
日頃から鍛錬しているから、体力的には問題はなかったが、喉が乾き、身体が水分をほしがっていた。
俺は、水源を求めて、さらに奥へ奥へと進んでいくと…。
ザァ―――。
耳朶をくすぐる水音に気づき、釣られていくように足が動いていく。そして、5分も歩かないうちに、森が開けると、そこには滝が流れる小さな湖があった。
「ふぅ…。助かった」
近づき、膝を折って水の中に手を入れ、掬い、口にもっていく、冷たい水が熱した身体を冷やしていく。
「こんなところがあったとは、盲点だったな。あとで、みんなにも教えてやるか」
アースは、水分を取り終えて回復すると、立ち上がる。そして、周囲を確認がてら散策しはじめる。
ゆっくりと、湖を半周しながら、滝の方へと近づいていくと……。
「ゃ……、ぁっ!」
「??」
途端に響いた、女性の悲鳴のような声に気づく。
「だめ…、んっ、ゃぁっ……そんな、…んんっ!」
気のせいかと思ったが、続けて聞こえてきた、切羽詰ったような声をたどるように視線を動かすと、どうやら、2~3メートル手前にある岩陰からのようだった。
俺は、気になって、ゆっくりと近づいていく……。
「んんぁっ…ゃっ、ひゃん…、だめっ、そこは……、んぁっん」
近づくにつれて、女性の嬌声が、聞き覚えのある声だと気づく。
「(この声……)リュウゼツラン、か?」
心の声が漏れたのだと、口から出てから気づく、そして…。
「えっ!?あ、アースくん!?」
件の岩まで、手を伸ばせば届く距離まで近づいたところで、岩に身体を隠すように、予想どおり、リュウゼツランが姿を表す。
――一見した彼女の様子は、何故か、髪は乱れていて、頬は火照っていた。
そんな色気が漂う彼女を直視できず、俺はそっぽを向いてしまった。
「ッ……」
「あ、……リュウゼツランも、水を飲みに来たのか?」
自分がの不躾な態度に顔を背けられたと思ったアースは慌てて、話を振る。
「ぇ、ええ…、そうなの。ひんやりして、ッ、気持ちィイわよね…、んっ♡」
「ああ、ほんとにな。こんな、キレイな水が流れているなんて思いもしなかった、…ここにきて良かったよな」
「ええ、っ…、そうね。私も、…ぁ、ゃ…アー、ス君と、同じ、…気持ち、よ」
「具合がわるいのか?」
歯切れの悪いリュウゼツランが気になった俺は、心配になり近付こうとするが……。
「だ、…だめ、こないで!!」
「ッッ!?」
強い拒絶の言葉に、その場で軽くよろめき、たたらを踏みながらも、なんとか踏みとどまる。
「その、…ごめんなさい。いま、こっちで着替えて、て……ッ」
「そ、そうか…、それはごめん。タイミングわるいときにきてしまったな」
水浴びしていたと結論づけたアースは、気恥ずかしさから、頬をぽりぽりと掻く。そして…。
「え、…ぁ、それって、どういう――」
「じゃあ、そこの木陰で待ってるな」
リュウゼツランがなにか言おうとしたが、アースはまくしたてるようにそう告げて、そこから5メートルほど離れた木陰まで歩いていった。そして、木の下にたどり着き、振り返った時にはリュウゼツランはすでに岩の影に隠れていて、少しココロが寂しく感じたが、清流の音に耳を傾けながら、ゆっくり待つこととした。
~20分後~
心地よいせせらぎの音が、眠気を誘い、瞼が少し重くなってきた頃に、ようやく岩陰からリュウゼツランが出てきて、コチラに近づいてきたのだと気づく。
「ぉ、…おまたせ、アース君」
「ああ、……ん!?」
「どうかした?」
「いや、……その、格好」
アースが突然、慌てふためくのも無理もなかった。リュウゼツランは水着だったのだが、その水着がかなり扇情的なものだったのだ。
―黒を基調とした水着で、布地の範囲は一般的なものと大差なかったが、生地が著しく薄く、奥の肌色がほとんど見えてしまっていて、まるで、男を性的に誘うようなものにみえてしまっていた。
「その、やっぱり…変かな?」
「え、ぁ、…そ、そんなことないぞ。その、…よく似合ってるとおもう」
水着をジロジロみていたことにバレて、アースは慌てて取り繕うように言葉を述べた。
「…そ、っか」
「……ゴクリ」
軽く眉を動かすリュウゼツラン、そんな軽い仕草、首すぎやおっぱいの見える所にある虫刺され(?)さえ、とてもエロくみえてしまう。
「(まるで、キスマークみたいだな。…って、そんなわけないだろ!彼女がそんな軽い女性なわけがない。きっと、この水着も友達に勧められて着るはめになったんだえろうな、リュウゼツランは優しいからな…)」
「???…、どうかした?」
「いや、なんでもなさい。それでさ――」
それから俺たちは、最近のすれ違いを取り戻すようにずっと話をした。思い出になった話、今にいたるまでの話、これからの話、時間を忘れ、楽しくも心地よいひとときを共有していった。この時の俺は、それを疑いもせずに一心に思っていた。
…………。
…………。
………。
「それでな――」
「ぁ、…そろそろ戻らないと」
「え、ぁ…もうこんな時間か」
空を見上げれば、日はかなり傾いて、空の色には朱色が混ざろうとしていた。
「アースくんと話せて、私、チカラをもらえた気がするよ。……がんばるね」
「ああ!がんばろうな。…それと、最終日なんだが」
「うん。楽しみにしてるね♡それじゃ……」
約束を再確認して、リュウゼツランは自分の団のキャンプに向かう為に、俺とは逆の森へと消えていった。彼女を見送ったあとも、すぐにはそこを動けず、目送った先を数分みていたが、ゆっくりとその場を離れ、自分のキャンプに戻るために歩を進めた。
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