※この作品はR-18です。

幻想の約束 ~魔の蜜に蕩かされる気高き貴婦人~   作:ねりうす

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    常夏の情慾 陽side⑥

 

「あっ、おかえりなさいませ、団長さん」

「おかえりなさ~い、団長様」

「団長さん、おかえりなさい~」

「ああ、ただいま」

 キャンプ地にもどると、ギンラン、オジギソウ、フリージアが夕飯の下拵えの最中だった。

 

「……ブルーロータスとアナベルは?」

 周りを見渡すが、部隊の残り二人が見当たらず、ギンランに尋ねる。

「あれ、お会いにならなかったのですね」

「どういうことだ?」

「いえ、大体2時間ほど前でしょうか。いまいち気力の沸かないアナベルさんを誘って、お二人で森の中へ行かれたので、てっきり、団長さんと合流されているのかとおもっていましたわ」

「(約二時間前というと、湖でリュウゼツランと話してた頃か…。)いや、会わなかったな。まぁ、ブルーロータスがいるなら大丈夫だろう」

「ふふっ、そうですね。それじゃあ、持ってきた薪でお腹を空かせて帰ってくるお二人を迎えるためにも、ご飯を作って待っていましょうか」

「ああ、そうだな。俺も手伝うよ」

「ありがとうございます」

 絶対の信頼を寄せるブルーロータスがいるなら安心だろう、そう思ったアースは、そのまま気にすることなく、

ギンランたちを手伝いはじめた。

 

 

しかし、それから、2時間、3時間と経っても、二人は帰ってくる気配はなく。流石に、心配になって森へ入ろうとしたが、夜の帳が完全に落ちきって、暗闇と化した森では、二次被害に陥ることになると判断し、明朝すぐに探しに行くことを、夕飯後の打ち合わせで決められることとなった。

 

 

 

 

………。

 

 

 

…………………。

 

 

…………………………。

 

 

翌日―――。

 

 

「ぁ、ただまいま戻りました」

「……ッ、ただいま、団長さま」

 明朝、俺たちがいざ探しに行こうと森へ入っていこうとした、そんなときに、ブルーロータスとアナベル――二人は帰ってきた。

 しかし、二人の姿は水着姿ではなく、タオルを巻いて、秘部だけを隠しただけの衣類とも言えない、簡素なものだった。そして何故か、彼女らの隣には、不可解な人間がいたのだ。

「へぇ~、コッチがアースたちのキャンプかぁ。テントを張って、趣があっていいじゃないか」

「……なんで、ソドムが。なにがあったんだ?」

 アナベル、ブルーロータスに尋ねるが、二人は疲れた様子で、俯いてしまっていた。再度、ゆっくりと近づいて、尋ねようとすると、ソドムが間に割って入ってくる。

「いやいや、二人を責めるなよ」

「そ、そういうわけじゃっ――」

「連絡できなかったのは悪かったって、何しろ、プチ遭難みたいなことになっていたからな」

「どういうことだ、ソドム」

 ソドムに詰め寄るように尋ねるアース。

「怒んなって。実はな、森の奥の方で害虫を見つけたんだよ。それで、報告に戻ろうとした二人だったんだけど、運悪く、木々に水着を引っ掛けて破れてしまったらしくてな。そこに、ちょうど偶然、通りかかった俺が、とりあえずタオルを貸して、近くの洞穴に避難したわけさ。しかし、そこら近辺も、その害虫の巡回ルートだったらしく、終いには夜になってしまい、出るに出られずに、明朝、害虫の様子を見計らって出てきたってわけさ」

 つらつらと述べられる訳。

 

「……そうなのか?二人共」

「………はい」

「うん……。それと、ごめんなさい。疲れてるから休むね」

「ごめんなさい、私も…。団長さん、またあとで…」

 ソドムの話しは事実だと頷くと、二人は、自分たちのテントに戻っていった。

「それじゃあねぇ~」

 へらへらと、二人の背中を見守るソドム。普段ならば、気にしていなかった、いつもの態度が癪に障る。

 

「と、とにかく、二人を助けてくれたみたいで、さんきゅーな、ソドム」

「ん?……、クククッ、なぁに、いいってことよ」

「森の奥にいる害虫のことは、あとで詳しく。とにかく、ソドムも自分のキャンプにもどったほうがいい、念の為……、ギンラン、ソドムをキャンプまで送ってきてくれないか」

「はい、畏まりました、団長さん」

「お、助かるぜ~、アース。それじゃあ、またな」

「ああ」

 これ以上いらぬ疑念を抱かないように、ソドムにはココから立ち去ってほしくなった俺は、彼を追い出すように、再び、森の中へ送った。

 

 

 

 

それからは、いままで通りに進んでいったと、思う……。

 

 昼の打ち合わせには、回復したブルーロータスとアナベルも出席して、森の奥に潜んでいた害虫討伐に勤しんでいた。しかし、朝の一件での羞恥が抜けていなかったのか、ぎこちなさはあったが、俺が気にするわけにもいかず、今までどおりの関係を取り戻そうと、これまでどおりに、気軽に声をかけ続けた。

 

件の害虫も、幸いにしてそこまで強い害虫ではなく、現状の装備だけで、すぐ討伐できたのは僥倖だった。討伐の際には、合同部隊での連携をみようと編成した部隊には、リュウゼツランもいて、『フォス平原』で見ていたときのような凛々しい佇まいで戦闘を行う彼女をみて、

安心した。

 

 

そして、気づけば、無人島サバイバル生活も終わりに近づき、バナナオーシャン本土にもどる日になった。

 

「くぁ~……ぁ、やっと本土に戻れるな」

あくびをしながら、疲れ気味に呟くソドム。

「本土にもどるまで気を抜くなよ、ソドム。道中、水中型害虫が襲ってくるかもしれないんだ」

「クククッ…、そうだな。まぁ、とにかく、バナナオーシャンでの任務もひとまず、これで完了だ。明日はおもっきり羽を伸ばさないとな」

「そうだな」

 ソドムにそう言われ、平静をなんとか取り繕うが、内心、明日、リュウゼツランとの約束が楽しみで仕方がなく、心は踊っていた。

 

「それで、思いついたことで提案なんだがな、アース」

「なんだ、ソドム?」

 突然、顔を寄せてきて内緒話しをするように小声で話してくる。

「この前の害虫での戦闘で、まだまだ合同部隊での連携が足りないと感じたんだよ、アースもそう思うだろ?」

「ああ」

「それでだ。手っ取り早く、進めるために、互いの花騎士を交換してみないか」

「つまりは、違う指揮や今までとちがう連携を覚えて、団長はもちろんのこと、花騎士たちのスキルアップに繋げようってことだな」

「ひゅー♪さすが、アースだぜ、そこまでお見通しとはな。まぁ、とにかくそんな感じで、どうだ?」

「そうだな…。俺は構わないぞ」

「よし、それじゃあ。ひとまず、体験ってことで、帰りの哨戒任務、二人づつ交換といこうぜ。うちは、リュウゼツランと、ヒトリシズカを出すぞ」

「おいおい、花騎士に確認しなくていいのかよ」

「こういうのは、サプライズってのがいいんだよ」

「まぁ…、そうなのかもな」

 ソドムに押し切られるように頷く。

「それで、そっちは誰にするよ。できれば、戦力的に同じくらいがいいが?」

「そうだな……」

「おいおい、早くしないと花騎士たちが片付け終わってしまうぞ。そうだな、……ブルーロータスとアナベルちゃんはどうだ?」

「そ、その二人か………。(たしかに、戦力的には均等が取れてる、共に副団長、前衛主力だ……、だけど、この前のことがあったからな……。)」

「どうした、なにか不都合があったか?」

「いや…、そうだな。やっぱ、隠すのは性に合わないから、彼女たちに確認しても構わないか?人選は問題ないとおもうぞ」

「まぁ、仕方ないか」

「すまないな」

 俺は一旦、ソドムから離れ、ブルーロータスとアナベルがいるとこに向かった。

 

 

 

  ✿

 

 

 

「――――と、いうわけなんだ。どうだ?」

 ひとまず、片付けを終えたブルーロータスとアナベルだけを呼び寄せて事情を説明した。

「そ、そうですか……。ソドムさんのとこに……」

「…………ッ」

 突然のことだった為か、思案するブルーロータスと、うつむき考えるアナベル。

「その、みんなに相談なしで決めたのは悪かったが、これもいい機会だし、いいとおもうぞ」

「そうですね…。私は、大丈夫ですよ。ソドムさんの部隊にいきます」

 まず、先に答えたのはブルーロータスだった。

「ああ、頼むぞ。それにしても、名前で呼ぶなんて、ずいぶん仲良くなったんだな?」

「えっ…、そ、そうですか。普通ですよ。ほら、ソドム団長は、フレンドリーな方ですから」

 名前呼びのことで突っ込まれるとは思っていなかったのか、ドギマギしながら答えるブルーロータス。

「まぁ…たしかに、そうだな(フレンドリーというか、チャラい感じではあるが…、まぁブルーロータスなら大丈夫だろう。彼女ほどしっかりしてる女性もいないだろうしな。)」

 

「…ひとつだけ聞かせて」

「なんだ?アナベル」

「私を指名したのは、団長?」

「いいや、ソドムだ」

「……わかった、行くよ、がんばってくる」

「ああ、がんばれ!」

「うん…!」

 いつもどおりのアナベルの笑顔が見れて、俺は安心する。そして、二人が向かう間際、ブルーロータスに駆け寄り、小声で伝える。

 

「(ないとはおもうが、ソドムに変なことされないように、アナベルのこと、頼むぞ)」

「(……わかりました。)」

 ぎこちなく頷くブルーロータス。

 

 そうして、ブルーロータスとアナベルは、ソドムのクルーザーに入っていった。

 

 

帰りのクルーザーでは、他の花騎士の手前、特別視するわけにもいかず、付かず離れずの距離を保ちつつリュウゼツランと話すことができた。自分の花騎士たち――ギンラン、フリージア、オジギソウも、他部隊の花騎士たたちには興味があったらしく、積極的にコミュニケーションを取り合っていた。

 

 帰路の2時間は、気づけばあっという間に過ぎていいることに、バナナオーシャン本土に到着したことで気付かされた。

 

「どうやら、ソドムたちはもう到着して、ホテル戻ったようだな」

 隣の船着場には、すでにソドムたちのクルーザーが波間に揺られながらも停泊されていた。手早く、荷物をおろした後、アースたちもホテルへと戻ることとした。

 

 

 

「おかえりなさいませ、アース団長様方」

ホテルに入ると、すぐさまメイドに迎えられる。

「ああ、ただいま。ソドム団長たちはいるかな」

「はい。ソドム団長様方も、つい先程お戻りになられてお部屋に戻られました」

「……ブルーロータスとアナベルは?」

 待合室で待っていると思っていたが、見当たらず、続けてメイドに尋ねる。

「お二人も、どうやらお疲れのようでしたので、お部屋に戻られました」

「そうか、ありがとう」

「いえ、務めですから。明日は安息日と伺っております、バナナオーシャンで素敵な思い出を作っていってくださいませ。……それでは」

 恭しくお辞儀した後、メイドは元の業務に戻っていった。

 

「それじゃあ、アース君、私達もひとまず、これで」

「……おつかれさま、でした」

「ああ、お疲れ様」

次に、リュウゼツラン、ヒトリシズカも自分の部屋へと戻っていくのを見送った。

 

 

「それじゃあ、俺達も状況終了だ。明日は安息日だ、ゆっくり羽を伸ばしてきてくれ」

「「「はい、お疲れ様でした!」」」

 解散の号令をかけ、俺たちも、各々の部屋に戻り、身体を休めた。

 

明日は、安息日。

 

彼女との時間に、イロイロな期待を胸に秘めながら、アースは微睡みへと落ちていった………。

 

 

 

 




やっと、次で陽sideが終わります!



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