荒井れんは昔から動物が大好きだ。だから高校でバイトの許可をもらったその日から動物園の面接にいき、受かった。
浮き足でランランと帰る途中、目の前が真っ白になった。
「やべ、やっちた。どーするかなぁ。取り敢えず転生させとくか。ふむふむ何々?動物好きとな……よし、あそこにしよう」
目を覚ますとそこは一面背の高い草に覆われた場所だった。はて、ここはどこだろうか?記憶にない。
俺は確か動物園のバイトの面接にいき、受かって浮かれてその後は?駄目だ、記憶にない。
「……ん?」
不意にガサガサと草をかき分ける音がしたので見てみるととなりのト○ロに出てくる中ト○ロのパチモンみたいな奴が出てきた。腹にはなにやら球がくっついている。
『初めまして、僕、ラッキービースト。君の名前を教えて』
「……荒井れん」
『よろしく、れん』
ラッキービーストと名乗った珍妙な生物に名を教えた俺はここがどこか尋ねる。ラッキービーストによるとここはジャパリパークのサバンナチホーらしい。
ジャパリパーク?サ○ァリパークではなく、か?謎だ。
『サファ○パークという名前に聞き覚えはないよ』
「そうか…………ん?」
『どうかした?』
「シャベッタァァァァァ!?」
え、何この中ト○ロ擬き、喋れんの!?
と、俺が驚愕していると再びガサガサと音が聞こえてきた。今度は大きい。おそらく人間と同程度のサイズだろう。
「…………やぁ」
「や、やあ……」
やってきたのは無表情の美少女だ。眠そうな目に、しかし十人中十人が振り返りそうな美貌。と、言うにはまだ幼いか。しかしそれより目を引くのは、頭にある耳。そう、頭に、耳だ。人間の耳ではない。獣の耳。
「ねえねえ~、このあたりでバカッぽそうな子を見かけなかったかい~?」
間延びした声で言う少女。バカッぽそうなって、酷い言い方だなおい。
「アライさんと言うんだけどね~」
「え?」
「ん~?」
少女の口から発せられた言葉に思わず固まる俺に、少女は不思議そうに首を傾げた。
「あ、ああ……悪い、同じ名前だからつい」
正確には名字か。
「同じ?君もアライグマのフレンズなのかな~?」
フレンズ?
「ん~、そもそも他のフレンズとも違うね~。体とか、とっても硬そ~。ほら、ここと────!?」
と、俺の身体を触ろうとした少女が急に膝を突いた。顔を赤くして、口から涎を垂らし涙目になりながらはあはあと荒い呼吸を繰り返す。
「お、おいどうした!?」
何かの病気の発作か?
と、しゃがみ込み少女の肩をつかむとビクン!と震える。
『彼女は今発情しているよ』
「…………は?」
どうすればいいのか解らない俺にラッキービースト……長いな、ラッキーでいいか。ラッキーが言ったのは耳を疑う言葉。そして、固まる俺を少女が押し倒した。
『この島にはもう何十年も男がいない。フレンズは女しか生まれないからね。だから、フレンズ達は雄への免疫がなく触れただけで簡単に発情してしまうんだ』
「いや、そもそもフレンズってなんだよ!?」
『フレンズとはサンドスターを浴びた動物、または動物だったものが人間の雌に近い形に変化した者達の通称のことだよ。彼女はフェネックギツネのフレンズだね』
フェネック?砂漠に住むあの…?
「ねぇ、何だろうねこれ~。解んないけど、今私~、お腹の中がムズムズして、おしっこするところが切ないんだ~」
「ちょ、ちょっと待て!落ち着──んむ!?」
完全に発情している少女を押し返そうとするが思いの外力が強く、無理やり唇を奪われる。そのままヌルリと侵入してきた舌が俺の口内を味見するように歯、頬の裏、歯茎と舐っていき最後に俺の舌を絡め取ると吸い寄せちゅうちゅう吸ってくる。
初キスでしかもこんなディープかつ相手が美少女だ。俺の理性もガリガリと削られていく。少女の首の後ろに手を回そうとした時────
「フェネック。こんな所にいたのだ!何をやって………何をやっているのだフェネック!?フレンズは食べ物じゃないのだー!」
新たに現れた少女にフェネックが虚を突かれ固まる。その隙になんとか抜け出した。
「……あ」
切なそうな声を上げるフェネックは俺を押し倒した時俺に触れていた掌をペロペロ舐め始めるのだった。