「お前は誰なのだー?」
「俺は荒井レン……悪いがそれ以上近づかないでくれるか?」
アライグマのフレンズ、アライさんから十分に距離を取り警戒する。彼女も雌である以上俺に触れた瞬間発情するだろうからな。
「アライ……?お前はアライさんの仲間なのか?」
「いや、俺は人だ。同じ呼び方だと不便だろ?だから人は名前を付けるんだ。そして、家族である証として苗字をつける」
「おおーなるほど!ヒト……?は頭がいいのだな!で、お前の名前はアライレンなのか?」
「そうだな。とりあえずレンと呼んでくれ」
「よろしくなのだレン!」
「……!」
アライは笑顔で手を差し伸べてきたが俺は慌てて距離を離す。危ない危ない。こんな所で発情させたらまた襲われるところだった。
おそらくフレンズに力で対抗することは出来ない。押し倒されたら終わりと思った方がいいな。
「……?………!」
首を傾げたアライはハッ!と何かに気づいたような顔をして足を曲げながら姿勢を低くする。さながら、襲いかかる肉食獣のように………ん?
「狩りごっこなのだ!?負けないのだー!」
「どうわ!?」
ピョイーン!と飛んできたアライの体に触れないように地面を転がるように避ける。そして近くに転がっていた棒を手に取り前に突き出す。棒の先端は追撃しようとしていたアライの喉にあたり「ぐぇ!?」と喉を押さえて転がる。
「アライさーん!?大丈夫かーい!」
「だ、大丈夫なのだー」
「すまん。やりすぎた」
アライに心配そうに駆け寄るフェネックを見て申し訳ない気持ちになる。
しかし迂闊に近付けない。
「ゲホゲホ!ふぅ………痛かったのだ。それにしても、レンは強いのだな~」
「そ、そうか?」
そりゃまあ、喧嘩にはそこそこなれてるけど普通に取っ組み合いになったらお前等には絶対勝てないと思うけどな。
「……ん~、レンはサバンナチホーのフレンズなのか~?」
「いんや、此処には来たばかりだしな。帰り道も解らんし……取り敢えず住めそうなとこを探す」
まあ動物が人間になったりする島なんて聞いたことがないし、帰れないかもしれないけどな。意外と落ち着いているな俺。
「つまりは旅をしてるのか~?」
「まあ、そんなとこだな」
「んむむ~………」
俺の言葉に何やら考え始めるアライ。そして──
「よし!ならレンも付いて来るのだ!」
「………何に?」
「帽子泥棒を捜すのだ!捕まえないとパークの危機なのだー!帽子泥棒を捕まえるためにあっちこっち言っている間に、レンの住みやすい場所が見つかるかもしれないのだー!」
「おおー、アライさんにしては珍しく考えてるね~」
「ふははははー!もっとほめるのだー!」
いやアライ、誉められてない。むしろ貶されてる。普段は何も考えてない奴だって言われてる。
「ねえねえ~。レン君はどうするんだい~?」
「もちろん断r───」
瞬間、ものすごい殺気を感じた。慌てて振り向けばフェネックがニッコリと微笑みこちらを見ていた。
「ねえねえアライさん、知っているかい?レン君に触れるとね~」
「わ、解った!いく、いくから!」
ここで気持ち良くなれるなんて言われた日にゃ間違いなくアライも参戦する。1人でも押し返せないのに2人になるとか下手に抵抗したら骨が折れるかもしれない。仕方なく、俺は帽子泥棒とやらの探索につき合うことにしたのだったわ
荒井レン
ヒト(転生者)の雄。
ジャパリパーク唯一の雄で雌に触れると発情されてしまう。
喧嘩は得意で身体能力も高いがフレンズ相手に力勝負で勝てるほど人間をやめてはいない。動物好き。
転生特典
現状をスムーズに受け入れる精神
ヒトスキル『まだ内緒』
野生解放