フェネックにしゃぶられた翌朝。まだ眠い。
あの後あんまり眠れなかった。
「ふぁ~……」
「なんだレン、眠いのか~?夜行性でも昼行性でもないなんて面倒くさがりなフレンズなのだなー。は、もしやナマケモノなのだ!?」
「まあ近くはあるが、昨日はよく眠れなかったんだよ」
確かに霊長類だが眠れなかったのはアライの後ろで今も獲物をねらう狩る者の目をしたフェネックのせいだ。
流し目送ってくんなぶっ殺すぞ。
「んで、その帽子泥棒を探すってのはどうやんだ?」
「臭いはもう薄れてきているけど、向かった方向は覚えてるのだ!そっちから当たって出会ったフレンズに聞くのだー!」
「アライさーん、そっちは逆だよー」
「……………」
大丈夫かね彼奴。
暫く進むと池が見えた。
「ラッキー、飲めるか、コレ?」
『問題はないよ。今水筒を持ってくるね』
ラッキーはそういうとどこかに行った。帰ってくるまで待つか。
「水なのだー!ジャパリマンを洗うのだー!」
アライグマって確か目が弱い代わりに手の感触が敏感で、洗う動作は水辺の獲物を探す名残って言われてなかったけ?
その辺どうなんだろ?
フレンズ化してその辺の習性が趣味になったか?
『レン、水筒を持ってきたよ。それと、飴を見つけた。食べるかい?』
「おうサンキュー………飴か」
砂糖は基本的に長持ちだけど、飴はなぁ。大丈夫何だろうか?
「……フェネック、コレやるよ。だから今晩は来るな」
「えー、やだよー」
「……………」
「ん?食べ物なのか?アライさんにもよこすのだ!」
「──っ!」
あっぶねぇ!もう少しで触れるところだった。アライは奪い取った飴を袋ごと噛む。
「………味がしないのだ」
「袋を開けろよ」
「なる程、簡単だったのだ!」
その簡単なことに気づけなかったバカは何処の何奴だよ。アライは袋を開け中の飴を取り出すと水に漬けた。まあ綿飴じゃないし大丈夫か。
「甘くておいしーのだ!フェネックも食べるのだ!」
「おお、本当だねー」
「…………」
さて、俺は水を水筒に入れておくか。
俺は水筒の飲み口を池に沈める。ブクブク泡が出て中の空気が抜け水が入っていく。しっかし不思議な水だな。一見濁っているように見えるけど手や水筒で掬ってみた限りとても澄んでいる。コレなら確かに飲めそうだ。しかし見た目は濁っているせいで、俺は下からやってきた者に気づけなかった。
水面が突如盛り上がりザパーン!と割れる。
「わあぁぁ!」
飴を洗っていたアライが驚いてひっくり返る中、俺は朝から持っていた木の棒を構えた。現れたのは、女だ。多分フレンズ。
毛先側から赤くなった髪の毛に、特徴的な髪型。全身にピッタリ張り付いたライダースーツ。
何となくだけどライダースーツの模様がある動物にも見えなくない、そして髪型も、ある動物の牙を連想させる。
「………もしかして、カバ?」
「ええ。私はカバのフレンズですわ。よろしく」
そういえばカバって泳げないんだよな。耳や鼻を閉じて水の中を歩くことが出来るのは知ってるけど。フレンズ化した場合どうなんだ?人間の見た目で有り得ない力を出す奴らがいるんだし、その辺は不思議能力なのだろうか?
「ところで、その………」
と、カバはモジモジと頬を赤くして俺を見てくる。何だ、何か嫌な予感がする。気のせいか?気のせいだよな?気のせいであってくれ!
「先程、水中であなたの手を見てたら、何だか身体の奥が熱くなってしまって……」
「………ラッキー?」
『カバは水中で交尾を行うよ』
「あ、あの、こういうの被ったやつ知らないか?」
俺がさらなる嫌な予感を巡らせる中、アライは帽子のシルエットを指すようなジェスチャーをしてカバに帽子泥棒の行方を尋ねる。するとカバは熱の籠もった視線を此方に向けてきた。
「教えても良いけど、少しその子を貸してくださらない?」
「ことわ──」
「やだよー」
俺が断ると言い切る前にグイッと後ろから引っ張られる。引っ張ったのはフェネックだ。俺に触れたからか発情して頬を染めてハァハァと熱い吐息を漏らしている。
「レンは私のだもーん。あげないよー?この気持ちいいのは全部私だけのものだよー」
「あら、そうですの。残念ですわ。あの子なら、図書館に向かったそうですわ」
カバはそういうと水の中に潜っていった。アライは「うおー!早く追いかけるのだー!」と走り出し俺もついて行こうとしたがガクリと止まる。見ればフェネックが俺の腕をつかんだままだった。あ、超嫌な予感が───
「いて!?」
グイッと引っ張られ地面に押し倒される。フェネックが俺を押さえつけ、いきなりキスをしてくる。
「ねえー、いいよねー?助けてあげたんだもん、気持ちよくなってもいいよねー?」
「お、落ち着───」
感想こないかなー