あるところにくろうさぎがいました。
くろうさぎは臆病で心優しい女の子です。体の大きさも小さいくろうさぎは優しいおとうさんとおかあさん、お転婆な姉のしろうさぎに囲まれ可愛がられながら暮らしていました。
ですがそんなある日、家族で出かけていると一羽の鳩に見つかってしまいます。
お父さんはしろうさぎとお母さんに抱えられてお母さんの血で真っ赤に染まったくろうさぎを連れて一目散に逃げました。
お母さんが死んでしまってからはお父さんとしろうさぎと家族3匹になってしまいました。お母さんがいなくなった寂しさはあったものの、幸せな日々を送っていました。
お父さんが鳩に捕まってしまうまでは。
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嫌な夢。本当に嫌な夢を見た。いくら幸せだったと言ってもそれは過去だ。今はもう程遠い過去なのだ。泣いたって現状は変わらないし、人間や白鳩の奴らが私たちを警戒し迫害していることも変わらない。お人好しの姉は人間と共存していきたいとかほざいてたけど、知るかそんなもん。というか、よく自分たちの親を殺して自分自身も死にかけたのに、まだ人間のことを気に掛けられるよね。私にはそんなことを思えるほどの余裕も強さもない。
不意に別れた姉を思い出して、更に気分がささくれ立っていく。
「クソが・・・」
そもそも私たちの世界は弱肉強食なのだから、そんな思想を掲げる前に力を付けるべきなのに。力さえあれば恐れられ、認められる。それは私たち喰種も人間も、みんな共通である。強者に従い、弱者の存在はないがしろにされる。胸糞悪いが、要はそういう事なのだ。つまるところ、力こそすべて。
だからこそ、私はこの「アオギリの樹」に所属している。
最近この十一区に拠点を構えて、私も部下が増えた。って言っても、戦いに向かないやつらばかりだけど。アオギリの樹に似合わねーな、ほんと。時期が来たら、こいつらまとめて逃がした方がいいんじゃないのだろうか?戦闘で役に立たないって、結構致命的だし。
「あ、アヤセさん!」
「普通でいいって言ってるだろ、何?またヤモリかニコにでも言われたの?」
「・・・・・・」
ビンゴだ。ったく、あの二人もめんどくさいな色々。
「・・・腹減ったから出てくる。あと頼んだ」
「え、あの」
そのまま背後の声も聞かずにアジトの外へと向かう。今日は小腹が空いている程度なので、いつも通り上手く狩れないあいつらの分も含めて、そこまでの量を持ち帰る必要はないだろう。
「あーあ・・・捜査官なんて消えればいいのに」
昔の夢にも出ていた私たちを排除しようとする面倒な連中への悪態を吐きながら、私はアジトから外へ出た。