アイツと再会してから、またよく会うようになった。っていっても私がアオギリのアジトから出た時に限るけど。話すと、アイツの面影と佐々木としての言葉や性格と組み合わさってるようでどこかずれたそれは、どことなくちぐはぐに見えた。佐々木は佐々木だと分かっているし、混同もしない。だって、カネキはカネキだって理解してしまっているから。
時々弱音を漏らすこいつを見て、記憶を取り戻したらこいつはどうなってしまうんだろうと考える。そんなの私が考えるまでもなく、本人が一番不安なはずのに「大丈夫」って言ってくる。そういうとこ、ほんとにアイツと変わんない。
「はは、なんでかな。皆には話せないこともあなたには話しちゃうんですよね」
「仲間や同僚には打ち明けられなくても、まったく関係のない第三者には話せることって結構ありますよね。私もそういう経験あります」
ふと目線を落とすとついさっきハイセに渡されたシンプルなタンブラーが目に入った。蓋を開けるとコーヒーのいい香りが漂ってくる。
「これは?」
「ああ、ここに来る前にコーヒーの美味しい喫茶店に寄って来たんです。テイクアウトもしてもらえるらしかったので、霧嶋さんにもどうかなって思って……あ、それともコーヒー苦手でしたか?」
「いえ、逆によく当てましたね。コーヒーが私の好物だって」
「え、そうなんですか?よかった~」
「いただいてもいいんですか?」
「はい、是非!」
勧められるままにコーヒーを一口飲んだ。すっきりしていて飲みやすいのに深みがあるように感じる味。……「あんていく」のコーヒーの味だった。うん、美味しい。
「美味しいですね」
「!!よかった」
ほっとしたようなハイセ。こいつ、:Reの常連なのか?いや、変に足つくと面倒だから言わないでおくか。
そんなふうに思っているとハイセが公園の時計を見て慌て出した。
「あ、もうこんな時間!?急いでシャトーに戻らないと」
「ふふ、気を付けてくださいね。慌てると周りが見えなくなったりしますから」
「はい。今日もありがとうございました!」
「いえこちらこそ。お仕事頑張って下さいね」
「はい!」
荷物を抱えて慌ただしく去っていくハイセを見送ると私もアジトに戻った。
*****
アジトに戻ると次のオークションについての最終調整と決定の打ち合わせがあり、その後、その資料を片手に音の分析に向かった。
ったく、今回は新人も組み込まれてるから作戦通りにいく保証はどこにもない。……それになんだか今回は嫌な予感がするんだよな……でも私はまた指揮と実動兼ねてるし、ヒナミに押し付けるわけにはいかないから参加しなければならない。マダムの連中にはまだスポンサーとしていてもらわなければ困るのだ。
ほぼ雑音とも言える音の解析を終えたところにちょうどヒナミがやってきた。
「アヤセちゃん」
「ああ、ヒナ。お疲れ」
「うん、お疲れさま。音の解析やってたの?もしかして邪魔しちゃった?」
「いいや、今ちょうど終わったとこ。この頃私外の任務多かったから音の解析してなかったし、今日は任務ないから音の解析しとこうと思って」
「言ってくれれば私も手伝うのに、またそうやって一人で片付けちゃうんだから」
「悪い。今度は言うから」
「……そう言って結局また一人で全部解析するでしょう」
「……悪い」
するとヒナミは私の持ってきた資料に目をやった。正確にいうとオークションの方ではなく、もうひとつの佐々木についての方だ。
「お兄ちゃんの?」
「……うん」
「あれから、約2年か……皆どうしてるかなあ?」
「生きてんだろ、アイツさえ生きてるんだから……まあ、アイツ本人なわけじゃないけど」
「……そうだね。ねえ、アヤセちゃん」
「……何?」
「アヤセちゃんは、一人でどこかに行ったりしないよね」
「何、急に」
「だって、今のアヤセちゃん。「あんていく」を離れたあとのお兄ちゃんにそっくりだから。不安に、なって」
「アイツが帰って来ない以上、私はここから離れないよ」
そう言って去る私をヒナミが不安気に見ていることに私は気付かなかった。
アヤセちゃん結構無理してます。そしてヒナミちゃんはそんなアヤセを心配してます。結構嗅ぎ回ってることにエトと有馬さんはともかくvの人の反応どうしようかな・・・って迷ってます。