〇月〇日
ハイセが持ってきてくれた本を読んでいると外で怒鳴り声が聞こえた。どうやら職員が他の部屋の奴を怒鳴りつけているらしい。いい加減にしてほしい。私はRc抑制剤を打たれていても感覚はほとんどそのままに近いので聞き取ってしまうし、下手に大声出されると響く。
〇月△日
今日はハイセがあの時の子どもを連れてきた。なんでも、形はどうあれタキザワから救ってもらったことには変わりないのでお礼を言いに来たのだとか。この子も律儀だな……取って食ったりしないし、私も話し相手が欲しいのでいつでも遊びにおいでって言ったら目を輝かせて喜んでた。ハイセはサボりがどうのと説教しながら帰って行ったけど……大丈夫なのか、あれ。
〇月×日
今日は私の牢に職員たちの会話からすると技師?や医者が突然入ってきた。喰種に人権みたいなものがないって言ったって一応私女なんだけど……
そのうえ押さえつけられてRc抑制剤を何本か直接打ち込まれたうえに赫包も一つ取られた。全部じゃなかったことが不幸中の幸いかもしれない。なんだこいつら、嘉納と同じマッドサイエンティストか?
とりあえず抑え込まれた時はろくに抵抗できなかったので牢の中でも身体を鍛えておいたほうがいいかもしれない。
×月〇日
ハイセはよく面会にくる。アオギリの件やプロファイルとかがなくても来る。それでよく私のことを見ている。こんな包帯塗れの顔を見て、彼は何を感じ取っているのだろうか?
×月×日
今日、ハイセからクリスマスプレゼントをもらった。と言っても私が希望したのは新しいペンだったのでちょっと高そうなペンを渡されたときにはびっくりしたけど。大切に使うことにしよう。
□月◎日
ハイセが来なくなった。
□月△日
サイコが一週間ぶりに来てくれた!でも泣いてた。こういう時は抱きしめたりハンカチ渡したり頭撫でたり出来ればいいんだけど隔たりが邪魔してできない。慰めてやれたらいいのだろうけど、そんなにいいセリフを私は持っていない。
泣き止んだサイコは少しずつ語ってくれた。仲のいい同僚が死んだこと。ハイセは人が変わったように豹変し、指導者から外れてしまったこと。
置いて行かれるって、一番つらいからね。そう言ったらまた泣き出してしまった。ごめんね、サイコ。
X月□日
今日もハイセではなくそれどころかサイコですらない真っ当な捜査官との面会、という名のプロファイルである。
瓜江というそいつは淡々と話を進め帰っていく。あいつ顔はそれなりなんだから、もっと愛想よくすればいいのに。本人に言ったら舌打ちされそうである。
X月◎日
もう、分かっている。私はそろそろ処分される。所有者のハイセはここに寄り付かないし、サイコも私の処分を見送るように班長に言っているようだがSSレートの私はこのままプロファイルさせるより、処分して摘出した赫包で新しいクインケを作った方が効率的である。
◇月V日
処分日が迫ってきた今日、面会はサイコではなく瓜江だった。いつも通り淡々と進んでもう話すことはないとばかりに書類を纏める瓜江に、世界、CCG、和修の謎を仄めかす程度に話した。もう死ぬのだし、このくらいの抵抗はしたっていいだろう。一矢報いるくらいの気持ちで話したが、思ったよりも効果覿面だったようで瓜江は考えがまとまらないのか固まっていたけど。そんなの知るか。一応「信じるも信じないもあなたの勝手だ」と言っておいた。でもこいつはサイコのとこの班長らしいので、これである程度動いてサイコを危険に晒さないでくれることを祈る。
もうすべきことは終わった。最後にアイツの顔が見たかったけど……まあ、いいか。最初に所有権で保護してくれただけでも、うれしかったし。本、どうするかな。どうせアイツはもう来ないし、サイコはこういう文学的なものよりもアニメとか漫画のスピンオフとかの小説とかの方が好きそうだし……処分されるまでの間また読み返しておこう。最後の瞬間までアイツを想っていたいから。
赫包一個持ってかれましたがたぶん支障はあまりないと思います。彼女自身は。ただ、リゼやデュラララ!!のセルティの首のようなキーパーソンみたいな存在になる予定です(あくまで予定です、変更するかも)。