ほとんど会話だけ。
もう私が処刑されるまで残り――――
本を読んでいると面会の呼び出しがあり、もう既に幾度となく通った見慣れた廊下を抜け、部屋に入ると―――
「やあ、待ってましたよ。ラビット、いえ霧嶋絢世さん」
「……私はお前に会いたくなかったよ、旧多二福。いや、和修旧多宗太」
エトよりも質の悪い、胡散臭い笑顔の男が待っていた。
「いや~そこまで分かっちゃってます?驚いたな~Vの喰種でも僕のフルネーム知ってる人なんてほとんどいないのに」
「まあ、アイツがCCGに捕まってどうなるのか分からなかったからな。一応CCGとVの個人情報は把握している」
「イヤん、覗きとか趣味悪~」
「お前も私の名前知ってるだろ。それで?お前は今日何しに来た。冷やかしか?ならエトのところにでも行けばいい。似た者同士でしかも向こうは妙齢の美女だぞ」
「ええ~、つれないなぁ。まあ、冷やかし半分とお話半分ってとこですかね」
「……そうか、冷やかしか。ならもういいな」
「ああ!待って待って!!ちゃんと話しますよー……ぶっちゃけあなたはどこまで知ってます?Vのことを話題に出しても驚いて混乱するどころか冷静にさも当たり前のように切り返してらっしゃいますけど」
「ふん、CCGにVに喰種に世界、か?白々しいな、もう大体見当が付いているからここに来たのだろう。―――大抵のことは理解しているさ。おまえたちに隠れ蓑にされているCCGも喰種たちも、堪ったもんじゃないだろうな」
「――やはりそうですか。なら本題に移りましょう。今、上ではあなたの危険性を審議していまして。結果、あなたのレートをSSSに繰り上げすることになりました」
「……謎を知る者としての危険性から、か」
「ええ、それはもちろんですけど、あなたはこれまで多くの上位捜査官を殺めてきているでしょう……あなたの戦闘力も使いようによってはSSS級になる。そう言った純粋な力の意味合いでもあなたは危険なんですよ。それにあなたの赫包、凄くイイモノでしたし。リゼとどっちが面白いのか気になりますね~」
「嬉しくない評価だな、それは。赫包の方は知らん」
「これはあなたの実力を総合的に考慮しての結果ですから、今後も変わることはありません。嬉しいでしょう?」
「……だが今更地下に移したところで私の処分は迫っている移すだけ無駄だろうが」
「い~え、あなたが行われるのは処分というよりは処刑です。SSS級の大物が抵抗する間もなく我々に殺される。喰種への抑止力にはもってこいじゃないですか。これで王も出てきてくれると万々歳なんですがねえ」
「……」
「と、いうわけで。今日のうちにお引っ越ししますから荷造りお願いしますね~」
取り残された私はどうすればいいのだろうか。いもしない王に祈り縋るような真似をするほど、私は酔狂ではない。
結局、ただただ移された部屋で本に縋って待ち続けるしかないのだ。
普段は物語を辿るだけのアイツから贈られた本が、今は聖書のように思えた。
アヤセちゃんがSSS級に格上げ(実力だけじゃなくて色んな思惑あり)。なのでエトと同じく地下に移されました。
アヤセちゃんの赫包や体質は他の喰種と違います。詳しくは今度設定に付け足します。ネタバレ注意です。