展開が早い気がしますがそこは大目に見てもらえると助かります。
独房が変わって2日。私の傷はもう既に全て完治しているけど、もう会いに来るような奴もいないし外す必要もないだろう。
私の処刑のことは思ったより早く広まっているらしい。下に移ってから更にRc抑制剤の量を増やされたため、地下から地上まで聞き取りづらくなってしまったがなんとか雑音を拾って組み立てることで情報を仕入れているのだ。どこから情報が漏れたのだろう。職員たちのひょうきんな雑談の中でも出てくるくらいの浸透力からしてひょっとしたらCCG内ではこの話題で持ちきりなのだろうか。ここの職員たちはこのコクリアという閉鎖的な空間で仕事をしているだけに情報の鮮度が良くないが、その分入ったら回り切るまでが恐ろしく早い。この分だと大幅に告知されていると見て間違いない。
アオギリが私なんかのために動くとは思えないし、エトもコクリアに入っているのだから派手に動くこともないだろう。
―――ヒナミ、大丈夫かな。
―――万丈たちは6区にいれば大丈夫だろう。
―――トーカと四方サンは……どうだろう。でも人間社会に溶け込んでるんだし、孤児のチビたちの世話もしてるからそんなデマかどうかも分からないものに付き合う余裕はないと思う。
まあ、これもいままでやってきたことのツケだと思っておけば自分の中で正当化できる。――結局私は父親と変わらなかった。力を付けるために人間だけじゃなく喰種も食べて共喰いしていたのだ。それも、今回のはアイツがいなくなった分力を付けることでその穴を埋めようとしての自暴自棄だったのかもしれない。本当に、私はアイツに出会って好きになって……弱くなった。こうやって振り返ると姉貴はやっぱり強いのだ。
一人が良かった頃の自分。一人が寂しくてアイツへの未練を捨てきれない今の自分。――――ほんと、カッコ悪い。
「全部、
ごめんねカネキ、あんたのせいじゃないのに。
そういえば、上の階で面会に来ていた捜査官たちが流島に攻め込んで今度こそアオギリの樹を壊滅させるらしいことを言っていた。アオギリ大丈夫かな。ヒナミ……無事だといいけど。
*****
翌日。コクリアはいつも通りに機能しているがどこか空気がざわついている。私の処刑前日だからなのか、流島作戦で捜査官が出払っているからなのかは分からない。どっちにしても私はここから出られないのでこのままここで引き続き聞き入っていよう。
そう思ったその時、一気に騒がしくなった。侵入者がいるらしい。上の階からどんどん喰種が解き放たれる音がする。アオギリのコクリア襲撃みたいだ。と思っていると一人だけ、下に降りてくる。アオギリと同じで戦力を片っ端から解放して混乱させるつもりなのだろうか。
そしてとうとう、その靴音は私の所までやってきた。鍵の開く音がすると同時に私は本に栞を挟んで閉じた。
あんたはどこまでバカなら気が済むの――――――
「迎えに来たよ。ここから出よう、アヤセちゃん」
カネキ。
私はそれに答えず無言でスケッチブックを投げつけた。受け止められなかったそれはそのまま床に落ちる。
「なんで私を助けに来た……あんた捜査官だろ!!なんで私を解放しようとする!せっかく、せっかく人間側でうまくやってたのに……今までのあんたの努力もなにもかも、これじゃ台無しだろうが……っ」
食って掛かるように詰め寄って言えば少し申し訳なさそうに笑った。見た目も雰囲気も違うくせになんでそんなふうに笑うの。
気づいたらカネキに抱き締められて、包帯を解かれていた。
「うん、でも……どうしても助けたかったんだ」
「バカじゃないの……」
「そうかも」
「っぅ、なんで」
―――なのになんで、私もこいつはこうだって、すんなり納得してしまうんだろう。
―――なんで死んでもいいと思ったときに、こいつを見て揺らぐんだろう。
―――なんで、突き放そうと思っておきながら、こいつに益々惹かれてしまうんだろう。
―――なんで、一番こいつに見られたくない泣き顔をこいつに見せてるんだろう。
救いようがないほど、こいつに惚れ込んでるのか。私は。
「ふ、ぅ……っ、カネキ」
「…………やっと、会えた」
好き。好きよ。カネキ。私、あなたのことが好き。前も今も、ずっと。
やっぱり死ぬ覚悟なんて嘘だ。私は彼と一緒に生きたい。死にたくない。ずっと、カネキの傍にいたい。本当は、ただそれだけだったんだ。抱きしめられながら感じる久々の体温に私は安心してしまうのだった。
書いてるうちに甘口のカレーに更に特製甘口ソースをどっっぷり入れてかき混ぜたようなものになってました。甘さってどうやったら上手く配分出来るんですかね?