※この作品はR-18です。

黒兎の円舞曲   作:紗代

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黒山羊結成話です。ちなみにアヤセちゃんは若干心配性。


黒山羊

コクリア脱出の翌日。私は集合場所のホールに来ていた。これからの私たちについて話し合うため、そしてここに集まった奴らへの「隻眼の王」の顔見せのためだ。

なのに本人と:Reの奴らだけがまだ来ていない。:Reのテレビでニュース見たら大々的に取り上げられてたうえにカネキと零番隊と平子は指名手配されてたから街中を移動するのも苦労するのかな?……やばい、姉さんとか「あんていく」メンバーの実力を疑ってるわけじゃないけど心配になってきた。

でもそんな心配は杞憂に終わり、ちゃんとカネキたちはやってきた。

 

「万丈とあの捜査官は?」

「バンジョイくんはマドモアゼルヒナミとレディ捜査官のところさ。捜査官くんは欠席……かな。ようこそカネキくん……過去の事はまず水に流そう」

「月山さ……」

「おや、眼帯かい懐かしいね」

「あ……ちょっと事け……事故で」

「「……」」

 

姉さんはカネキの方を見て私は姉さんの方を見る。姉さん……

そしてカネキは私の方を見たので少し手を振って応える。そういえば私もカネキに状況報告しないと。

 

「エトは全快、死神はまだ意識戻ってないけど命に別状なし、一応私の血液点滴してるから、そのうち起き上がれるようになるよ。ちなみにエトは死神に付き添ってるから今日は来てない」

「そっか、よかった……」

 

ほんの少しほっとしたように力を抜くカネキに私も笑顔になった。

ただやっぱりこんなほのぼのとした空気が続くほど緩くはない。ナキやヤモリ一門はカネキや平子を初めとした零番隊のことを認めないし、クロナは嘉納以外眼中にない。まともなのはミザだけだった。そしてそのミザから目的を問われたカネキは―――

 

「僕は……先代の隻眼の王の意志を継ぎ、喰種とヒトが理解し合える世界を作ります」

 

やっぱり、言うと思った。みんなそれぞれのリアクションを取っているし、クロナも笑っている。でも―――

 

「私は賛成」

 

皆の視線が私に向く。でも私は伝えたいんだよ、カネキ。あなたに。

 

「もう「ヒト」であること、「喰種」であることを理由に虐げられることなく、お互いに存在を認めて理解して……言い方が悪いかもしれないけど妥協して笑い合って共存できる世界で、私は生きてみたい」

「アヤセ……」

「確かに今までの認識が認識なだけに時間はかかる。でももしもまだ可能性があるのなら、私は彼を支持する」

「……」

 

姉さんが少し驚いてカネキは私を見て眼を丸くしていたので微笑んだ。……昔の私からじゃ想像もつかない回答だろうしな。私も自分の変わりように驚いてる。でも、もういいんだ。復讐とかそういうのそういうのより私がすべきことは他にある。

 

それから、カネキは解り合うためにも「話し合いの場」を強制するために私たちアオギリの樹や:Re、この間のコクリアから脱出したメンバー、人間側の協力者を取り込んだ組織――――――「黒山羊(ゴート)」を結成した。

 

*****

解散し各々で散っていくなか、私はカネキとその場に残った。二人で隣に並んで語り合う。

 

「さっきはありがとう」

「ううん、私は自分の考えを言っただけだから」

「でもアヤセちゃんが一番最初に賛成してくれるとは思わなかった」

「そんなに意外だった?」

「意外っていうか、君は人間が嫌いだったから。受け入れてもらえるのかちょっと微妙なところではあったけど」

「ふーん」

 

私はカネキを覗きこむように横から身を乗り出す。

 

「ならこうなったのはあんたのせいね」

「え」

「確かにあんたと会う前の私だったら人間や捜査官をずっと恨み続けてそのままだったと思う。でも元人間のあんたと会って……あの時のあなたは半喰種になったばっかりでもっと荒れてたってよかったのにそうならなかったし、私と話してて戸惑ってどもることはあっても私を真っ向から否定しようとしたりしないくせに自分の意思はちゃんとあった。正直、そんな人間が存在するなんて思わなかった。そのうえ誘拐されたときも私に恨み事一つ言わずに私と話してくれただろ。そのお人好しさというか、優しいところとかそういうの見て、ちょっとヒトについて見方を変えることにしたんだ」

「……」

「結局さ、同じなんだよ。喰種もヒトも。生まれてきて誰かと関わって、誰かを嫌いになって誰かを好きになってそうして生きていく。ただ違うのは脅威的な力と人間の肉しか食えないかどうか。だからそこを改善して……もしくは妥協してさえおけば、徐々にでも私たちはヒトに受け入れてもらえるんじゃないかって思った。それに」

「それに?」

 

「こんなこと言ったら真面目に考えてる人たちには申し訳ないけど。やっぱり、あんたと一緒にいたいから」

「!」

「私をここまで変えた責任とってね、王さま。私を変えたあんたならきっと出来るはずだから」

 

カネキは固まって惚けていたので置いて行こうと……いや、こいつは私よりも外ではヤバイ奴なんだっけ。

仕方がないので額を弾いて正気に戻した後、一緒に帰った。

 

 

 




アヤセちゃんのデレ全開(?)の回でした。素直:クール:ツンは7:2:1くらいの割合だったらいいなーとか個人的な希望です。
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