カネキたちはピエロの討伐と真戸暁のRc抑制剤を取るために出ていった。
……私は四方サンと一緒に留守番だった。私は自惚れているわけではないが一応戦力に換算してくれていると思ったのでなんとも言えない気持ちになった。だってアイツの事を支えようって決めたのに、アイツの傍にいなかったら支えるものも支えられない。またアイツ、どこかに行ったりしないよね……?離れるたびに出てくる一番の不安。本当に、どうやったらカネキを繋ぎ止めておけるんだろう。それとも、こんな状況でそんなことを考える方がおかしいのだろうか。
「ねえ、四方サン」
「……なんだ」
「私はアイツを支えてやりたい」
「……」
「そう、思ってたんだけどさ……やっぱり毎回こうやって置いてかれるんだ。四方サンはここの店員で姉さんと一緒に初めから切り盛りしてて、縁の下の力持ちって感じでなんかあった時の頼れる人要員でわかるんだけどさ。私ってちがうでしょ?むしろレートからしてある程度は抑止力になりそうな、如何にも戦闘要員って自分じゃ思ってるんだけど……なんで置いて行かれちゃうんだろう」
「……」
「私は戦いじゃないとアイツを支えられないのに……いつもこうだ」
もう今日はこのピエロ騒ぎで客も入らないだろうと店を閉める作業をしていた四方サンは一段落するとコーヒーを淹れてくれた。無言でこういう気遣いできるって大人だなと思う。
「……さっきの話だが、お前はこの場にいるだけで研の支えになっていると思うぞ」
「そう、かな……そうだといいな」
―――ならなんで置いていかれるんだろう。
そんなことを頭の片隅に置きつつ私は四方サンのコーヒーを飲んだ。やっぱりここの味は変わらず美味しかった。
「うん、本人が帰って来たら聞いてみることにする。ありがとう、四方サン。なんかちょっと元気出た」
「……そうか」
「そういえば、この店開いたの姉さんなんだよね。四方サンは開店からずっと……っていっても2年くらいだけど大変じゃなかった?」
「……トーカがやると言って聞かなかったんだ。「いずれお前たち二人が帰ってくるだろうから帰ってくる居場所を作って待っていたい」、と。……俺はただトーカに付き添っていただけだ」
さすが姉さん、色々先回りされてる気がする。
「……姉さんには敵わないなあ」
「……ああ、そうだな。アイツは姉さんに……お前たちの母親にそっくりだ」
お母さん。四方サンのお姉さん。まさか四方サンが話してくれる日が来るとは思わなかった。
「……はじめてだね、四方サンがお母さんのこと話してくれるの」
「……そうだな、なるべく触れないようにしていた。こういうことも、お前たちのことも」
それはやっぱり、仕方がないと分かっていながらもやるせない。自責の念があるからなのだろうか。
「ね、一つ聞きたいんだけど。ここまで私たちのことを気にかけてくれるのはお母さんとお父さんが死んだから?それともお母さんの娘だから?」
「それは……両方、だな」
考え込む間の空いた返事。でもそれだけ聞ければ十分だ。
「そっか。それじゃあこれからも頼るから姉さんとカネキ共々よろしくね、
思うところはまだまだたくさんあるけど、蓮示さんの本音を聞けたし、とりあえず昔みたいに平手打ちはせずに済みそう。よかったね、カネキ。あなた蓮示さんのおかげで命拾いしたよ。まあ帰って来たらまずは話さないとね。
そんなことを思いつつ私は:Reから退室した。
「……本当に、そっくりだよ。お前たちは」
今回は話の都合上カネキくんは登場させてません。次はカネキくんか亜門さんとの話を予定しています。ただきっとカネキくんになる・・・かな?