どうしよう。
牢屋のような自分の部屋でぐるぐると考える。黒磐依子というのはおそらく姉さんの親友である依子のことなんだろう。
今すぐにでも出動……いや今いったら確実にばれて姉さんとケンに余計な心労を抱え込ませることになる。いくらケンが強くなったと言っても働き詰めで疲れてないわけがない。
あーあ、本当ならこの子のこと言おうかなって思ってたのに……どうすればいいんだろう。
こういうときはケンのところに行ってちょっと寄りかかりたくなるんだけど、もう少し落ち着いてからにしよう。ボロを出して感付かれてはどうしようもない。けど処刑されてしまう前に救出しなくては後にこのことを知った姉さんとケンの反応は容易に想像できる。これを私宛にしてきた辺りが引っかかる、というかえげつないやり方してんな向こうも。
選ばないと、駄目なのか。
私はヒーローじゃないし、みんなの心を動かすヒロインでもない。だから漫画や小説みたいに全てを救えるわけじゃない。そんなの、分かってる。わかってるけど……諦めきれないんだよな。
「考えんの、やめよ」
私は書類を封筒に入れ直しベッドと枕の間に隠した。
きっとこれは餌なんだろう。
ピエロに偽隻眼の王の処刑、オッガイ、喰種と関わっただけで処刑する喰種法の改定厳罰化
「ふざけんなよ……和修旧多宗太」
いや……和修吉福。
*****
「アヤセちゃん!!」
「何……?」
「大丈夫!?」
ケンが私の部屋に来た。それはいい、でも
「いや、あんたのほうが大丈夫?」
鬼気迫る勢いで目を血走らせてやってくるのはちょっとな……
「あ、うん……僕は元気です」
「とりあえず座れば?なんか用があってきたんでしょ?」
「ありがとう……」
ケンが座ったの確認し寄りかかる。ああ、やっぱりこの人が隣にいると安心する。
「それで、話って?」
「今具合悪いところってある?」
「ない」
「じゃあこの頃変わったこととかあった?」
「んー特には。ああ、肩凝ってるかも」
「ほ、ほかには?」
「何一体、医者ならついこの間かかったでしょ?」
「そ、そうだけどそうじゃなくて……」
「あー、もう。ほら私は元気だよ、だからその鬼気迫るような形相した状態で来んのやめなよ。子供らが怯えるだろ」
「ごめん」
「わかったならいいの。……そろそろ本読んでやる約束あるから私行くから、ほら、あんたも立って。」
「あ、ああうん、出ていきます……」
ケンの背中を押して部屋の入口に行くよう促す。と、ケンの足が途中で止まり、その視線はカレンダーに向いていた。
あ、やばい。計算したメモそのまま残って―――
「12月に何かあるの?」
「!!~~っっっっっで」
「出ていけ――――――!!」
こうして私はケンを無理矢理部屋の外に追い出した。ていうかよく考えるとケンの医者みたいな質問ってそういうことだったのかもしれない。言ったのは食料調達お願いしてるニシキだけのはずだから原因はきっと奴だ。
ケンも鈍くないからカレンダー見られたし確信したかもしれない。
あーあ、もう。まだ言うかどうか迷ってたのにニシキの奴……ごめんねケン疲れてるだろうに……。
でも、そうだな……言わないと。
*****
それから本の読み聞かせを終えてケンの部屋に行くとケンは本を読んでた。
「どうしたの?」
「あ、そのごめん。邪魔した?」
「ううん、そんなことないよ。おいで」
「……うん」
ケンに促されて隣に座った。さっきのこと、謝ってから伝えないと。
「さっきはごめん。追い出したりして」
「大丈夫、気にしてないから。僕も結構落ち着きなかったし」
薄く微笑むケンに胸の奥がキュンとする。ああ、好きだな。このひとが、誰よりも一番好き。
「あのね、伝えたいこと、あるの」
「?なに」
「私ね――――――子ども出来た。あなたとの子ども」
アヤセちゃんは余裕無し。
カネキくんは脅迫ラブレターも書類も自分のもとに届いてないし寿命問題も解決したので精神的に余裕があります。今は黒山羊の運営の食料問題とCCGの動きとアヤセちゃん宛の手紙が気になってます。
ちなみに本当はオッガイからの手紙を受け取る気など更々なかったのですが赫包全てとオッガイの製造者である嘉納先生の情報を引き換えに引き受けました。