※この作品はR-18です。

黒兎の円舞曲   作:紗代

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いよいよオリジナル展開開幕です。


友達

4月21日。計画していた「食料遠征」の日。

 

「じゃあ、行ってくるね」

「いってらっしゃい、気を付けてね」

「うん」

 

ケンや姉さんたちは食料班として遠征に行くことになった。その一方で私やヒナミ、蓮示さんはアジト残留組である。

ケンたちの足音が聞こえなくなったことを確認し、私も準備する。

 

マスクもある。機材(・・)もホリさんに頼んだのがある。あとは地下道を通って外に出るだけ。

 

「アヤセちゃん」

「ヒナ……」

「私も準備できたよ」

 

さすがにこの体で単身で行くような無謀な真似はできない。なので私はヒナミに事情を話し、同行してもらうことにした。

 

「でも本当に私だけでよかったの?四方さんとかも……」

「いいの。一番は依子の救出だから。となると依子を見つけるためにもヒナ以上の適任はいないし、いつここに奴らが攻め込んで来ないとも限らないから動くならコクリアの時みたいに少数精鋭で行ったほうがいい」

「そっか」

「……じゃ、行こうか……頼りにしてるよ、ヒナ」

「!……うん。でも無理しないで。私もできるだけフォローするから、お腹の子のことを一番に考えて」

「……うん、そうだね」

 

お腹を擦って決意を固める。今回は私の独断だから無茶はできない。前は私の体がどうなろうと生きてさえいればいいと思っていたけど、今は……アイツとの子どもがいる今は絶対にこの子を死なせないためにも死なないようにしなければならない。

 

「絶対に五体満足で産んでみせるから、そのためにもこの子も私もヒナも……全員無事に帰ってくるよ!」

「うん!」

 

こうして私たちも外に繋がる地下道へ出るのだった。

 

*****

さて地下から地上に出たけど……依子の居場所が特定出来ない以上CCGに忍び込むしかない。いや、その前にコクリアで聞いたサイコの住んでる「シャトー」とかって家に行って情報をもらったほうが確実か。

そう判断し、オッガイの奴らに感付かれずに入るために私とヒナミでオッガイを感知し遠ざけつつサイコに教えてもらった「シャトー」に向かって進んで行った。

 

大まかな位置をサイコに教えてもらっていたのであとはサイコの匂いを辿るだけで着いた。で、サイコの一番強い匂いがする部屋に当たりを付け、窓に小石を投げてサイコが出てくるのを待つ。

案の定、サイコが窓を開けて出てきた。

 

「サイコ」

「!ラビちゃん!!」

 

見つかるとまずいので私たちはひとまずサイコの部屋に上げてもらうことになった。サイコは前にコクリアで泣いたときより余裕が無さげで泣いた跡があった。

事情を聞くと局長が旧多に変わってからというものの、ケンが処刑されてからオッガイを使って人に紛れて生活する喰種たちを片っ端から殲滅するようになった。

そこに一般人がいようとお構い無しで惨殺して行くうえ赫眼が出る前に瞬時に殺害するため、端から見ると喰種かどうかも分からない一般人を局員たちが襲っているように見えることから一部の人間からは「人殺しの組織」と言われてしまっているらしい。そのうえ、仲良くなった小坂依子……黒磐依子は喰種の姉さんと友達だっただけで喰種法の厳罰化により身柄を拘束されてしまっているらしい。

 

「もう嫌や、こんなところ。サイコはこんな組織いたくない」

「サイコさん……」

 

ぼろぼろ泣くサイコを抱きしめ、ヒナミも頭を撫でる。

 

「ラビちゃん、ヒナちゃん……」

「そうだね、やっぱりここに来て正解だったかもしれない」

「え?」

「ここに来る少し前に、地上を探索してた私の仲間が私宛の手紙をオッガイから受け取ったんだけど……その中に入ってたのは手紙なんかじゃなくて……黒磐依子の処刑決定の書類だった」

「!」

「依子の処刑の原因になってる喰種の友達っていうのが私の姉でね。まあ、色々あって私もあんまり行動しちゃいけないんだろうけど……どうしても助けたくて来たんだ。ごめんねサイコ。ここしかCCGでのアテがなかったもんだから」

「!そんなん気にせんでいい!!依子が助かるんならサイコは何でもする!それに、命の危険がある中で会いに来てくれた友達追い出すほど馬鹿じゃない!!」

「!」

 

友達、か。サイコらしい。

 

「……ありがとう、サイコ」

「えへへ。二人が来てくれたおかげでちょっと元気出た。こっちこそあんがとな、ラビちゃん、ヒナちゃん」

 

そうして和んだ後、早速作戦会議に取り掛かった。

 

「まず肝心の依子さんが囚われてるところにどう行くかだけど……」

「うーん、あそこは行けたとしても分厚い壁で出来ててたぶん普通の赫子じゃ歯が立たんのよ」

 

普通の赫子が通らない?となると素材は限られてくる。赫子があまり効かないもの、クインケ鋼と……!より強い赫子、か?

 

「私、思いついた」

「「え?」」

「依子を助ける方法」

 

首をかしげる二人にほんの少し口角を上げた。

 

「とりあえず、サイコは依子の旦那さん、ここに呼んどいてくれる?」

 

こうして依子救出作戦が始動した。

 

 




サイコはラビットの名残りから「ラビちゃん」呼びしてます。ちなみにこの再会に付いてきたヒナミちゃんとも仲良くなった模様。次は依子ちゃん救出からになると思います。
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