※この作品はR-18です。

黒兎の円舞曲   作:紗代

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タイトルまんまなのは話の終わり頃だけ。
カネキくんが価値観の違いを知りながらもアヤセちゃんのことが好きっていうのが少しでも伝わればいいなと思います。


無自覚の笑顔

アオギリに連れ帰ってから、タタラにモヤシを下げ渡された私は今、モヤシと二人きりになっている。労働もさせず、なぜこんなふうに自分の部屋に待機させているのかは私自身もわからない。ただ、前のようにとはいかなくとも、話したいと思ったから。……それだけなのかもしれない。

 

「なあ」

「な、何?」

「……そんな警戒しなくてもここには誰も来ない。来るとしても、万丈たちだけ。だから大丈夫だ」

「そ、そうなの……?」

 

最初怯えていたモヤシもしばらくすると、とりあえずここに危険がないことを理解したようで、肩の力を抜いた。

 

「にしてもおまえ、半喰種だったんだな」

「う、うん。事故に遭ってリゼさんの臓器を移植されたから……」

 

言いかけてたモヤシの顔の頬に片手を伸ばして触れてみる。

 

「ふーん、赫眼が片方しか出ない以外は私たちとほとんど変わんないんだな」

「っ……」

「体臭が変わった匂いしてたのもそれなら納得だ。」

「そんなに変な匂いするの」

「それは個人の好みだろうけど、私は好きな匂いだ」

 

大体見終わるとモヤシはほっとしたように息を吐いた。ああ、性急過ぎたのか。

 

「ねえ、アヤセちゃんはどうしてこの組織にいるの?」

「なんであんたに言わなきゃならないんだよ」

「そ、そうだけど、気になったんだ。その、気に触ったならごめん」

 

また少し落ち込んだモヤシを見てると、なんだかこっちが悪いことをしている気になってくる。これ、また私が慰めなきゃならない感じか?

 

「……ここに入ったのは力がほしかったから。あんたのところで働いてるアイツと別れてから、私はいろんなとこで暴れて、そんなときタタラに拾われたんだよ」

「あいつ……トーカちゃん?」

「……そう。アイツは力より人間との関わりを取ったから。私はそれが理解できなくて、飛び出したんだよ。あれだけ酷い目に遭っておきながら、人間の中にまた紛れて暮らすなんて御免だってな。しかもアイツ、肉だけじゃなくて、人間の食いもん食ってんだろ」

「そういえば、学校の友達の手料理食べてたっけ」

「やっぱりな。ありゃ、一緒にいた頃よりもっと弱くなってたぞ。弱ってそのまま人間守ったって、そいつが姉貴を助けてくれる保障もないのに……馬鹿姉貴」

 

何故かモヤシが微笑ましいものを見る目でこっちを見ていた。

 

「……何」

「やっぱり、アヤセちゃんはトーカちゃんのことが大切なんだなって思って」

「……目玉抉られたいのかおまえ」

「ごめんなさい!」

「…………だから、私は人間には極力関わらない。妙に目敏い奴に通報されるのも嫌だし。それなら、力を付けて一人で生きてた方がマシだ。」

「……でも、それって寂しくない?」

「別に。一人には慣れてるし、そういう弱い感じの大嫌いだから」

「そっか……でも」

「?」

「でも僕は、アヤセちゃんが一人で苦しんでたら嫌だな」

 

何言ってんだこいつ。自分の今の立場分かってんのか?普通、他人の心配する前に自分の身の安全だろうに。

 

「……何、それ。意味わかんない」

「うん、無理に理解しなくてもいいよ」

「バカじゃないの」

「うん」

「あんたも姉貴と同じ、人間側の奴のくせに」

「……うん」

 

なんか年上の余裕みたいなものを感じた。ムカつくので、とりあえずさっき触ってた頬と、もう片方の頬を引っ張った。

 

「いただだだ!」

「ふん、年上ヅラすんじゃねえよモヤシが……ふふ」

 

モヤシの頬を離せば、掴んだところが赤く跡になって腫れていた。こういう時ばっかり年上っぽく振る舞うからだ、バカめ。そんなふうに思っていると、モヤシがこっちを見て惚けてた。なんだよ一体。

 

「どうかしたのか」

「え、い、いや別に。はははは」

「?……変なの」

 

本当にどうしたんだこいつ。そんなふうに思いながら、私はモヤシの額を弾くのだった。




カネキくん不意討ちの笑顔に惚れ直すの回。
あとここで確実にフラグ立てなったかな?なった、よね?
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