わりと駆け足になったかな?とか思ってます。
カネキと万丈たちが捕まった。
そのせいであいつらは牢屋に閉じ込められて、カネキはヤモリの部下になった。ヤモリの奴のカネキ……いや、リゼとの因縁への執着は「あんていく」を襲撃した時から知っているため、カネキが何をされるのか分かったもんじゃないと内心で思いながらそれっぽく抗議したが、「そもそも君の監督不届きが原因でしょ?それに今はもう僕の部下なんだから」と正論っぽく突っぱねられた。エトとタタラも同意し、私の意見は握り潰された挙句、私は謹慎処分である。
ヤモリだけならばどうにかなっただろうけど、エトとタタラまで同意したとなると話は別だ。エトの奴は知らないが、タタラの奴は赫者だから。今の私には敵いっこない。
「……早速捕まりやがって、あのバカネキ」
この場にいない、あの底抜けにお人好しなヘタレ野郎への悪態を吐く。それと同時に、自分の力のなさに悔しさが沸き上がる。
私がもっと強ければ、アイツを今すぐにでも助け出してやれるのに。そう考えるだけで、自分に腹が立った。
「くそ、結局弱いまんまじゃんか……っ」
力を求めてここに入ったのに本末転倒とか、情けないにもほどがある。
「―――生き残れよ」
私はただ、祈ることしか出来なかった。
そう。これから起きる惨劇の音を聞いて、神経をすり減らすことしか出来なかったのだ。
*****
私が謹慎処分を受けて何日かした頃、事件は起こった。
今日も肉や骨の千切れる音と高笑い。一番聞きたくない絶叫の不協和音が、私の耳にだけ届いてくる。私は自分の鋭すぎる感覚と力のなさを呪う事しか出来ないまま、閉じ籠っている。
『もう、ころしてください』
「――――もう、傷つかないで……っ」
「アヤセさん!いますか!?」
「……いる。外騒がしいけど、何があった?」
「鳩が、白鳩のやつらが攻め込んできました!!」
「はあ!?」
下っ端の奴からアオギリの服とマスクを受け取り身に付けて急ぐ。よりによってこんな時に、アイツが苦しんでるときに来るなんて。
――――――いや、ちょうどいいかもしれない。この混乱に乗じて、アイツを助け出せるかもしれない。たとえ可能性が低くても、賭ける。ほんの少し前の私ならどうしてただろうか、きっと少なくとも迷ってただろうな。ほんと、アイツと出会ってから、調子が狂う。
「行くぞ!今の状況は!?」
「それが、スコープの奴がやられて突入を許してしまって……」
「クソ!ならエトとタタラとノロと……ヤモリいるだろ!!そいつらは!?」
「わ、わかりません……ヤモリさんに関しては、拷問部屋から出てこないままで」
「チッ、私はヤモリの方に声かけてくるから、おまえら持ちこたえてろ。ヤバそうになったら退け。いいな!!」
「は、はい!!」
そいつらと別れると、五棟に向かって走る。あれからもう数日は経っているので、近づくたびに不安が増す。
――間に合え。そんなとき、ここにはありえない匂いを感じ取った。
「そこか」
羽赫で攻撃すると、そこにいるのは――羽赫の攻撃から姉を庇う男と姉だった。
「今更ここに何しに来た?クソ姉貴」
「アヤセ!」
「あんたは今、お呼びじゃねえんだよ!!」
そのまま姉と男を屋上へと放り投げた。
「ぐぅ、あ」
「……私は今急いでんだよ、そのまま寝とけ」
「そんなわけ……」
「力もねえくせに、妹の私にさえ負けるくせに何ほざいてんだよ、あ?」
「く、こ、のぉ!!」
姉の射撃を避けて背後に回る。
……やっぱり、意識がある限り大人しくしてるわけないか。急いでるんだから、もうこれ以上手間をかけさせないでほしい。
私は姉の赫包に噛み付き、補食した。姉の声にならないような絶叫が響く。
「もうこれ以上抵抗してくんな。うぜえし、私はこの先に用があんだよ。急いでんだから邪魔すんな!!」
「この、さき……カネキ、か?」
「っ、あんたらには関わりのないことだ!見逃してやろうと思ったけどもういい、とっとと消え失せろ!!」
そう言って放った結晶は―――
奴によって弾かれた。
「カネキ!?」
「……助けに来たよ、トーカちゃん」
よかった、生きてた。こちらに向けられる敵意とかの前にそんならしくもない安心感があった。
カネキはトーカを降ろすと、拳を私に向かって突きだしてきた。私もそれをすかさず捌く。
さてと、こいつの無事も確認したし、私も適当にこいつら転がして逃げるか。
そう思い一歩退くと、すぐに距離を詰められて攻撃を繰り出される。それを紙一重で避けたり、時には捌く。隙を伺ってこちらからも攻撃するが、避けられる。
……どういうことだ?いくらリゼがアオギリが欲しがるくらい特殊な奴だったとしても、こいつ自身はついこの間まで戦闘経験は皆無だったはずだ。そんな奴がなんでこんな動きを……まさか、まさか。こいつ、
思考していたので隙ができてしまったのか反応が遅れ腹にモロに喰らった。吐き気と痛みでよろけたところを掴まれ逃げられない。
「クズ豆は」
「っ」
「摘まないと」
そこからは、激痛と骨の砕ける音に耐える時間の始まりだった。
悲鳴は上げない。だって上げて私だってわかったら、こいつはたぶん後悔する。けれどそんな私の願いも虚しく―――
「カネキ、もうやめろ!!」
姉の声が響いた。
「トーカちゃん」
「そいつは、そいつはアヤセだ」
「……え」
カネキが驚きの目でこっちを見てくる。そんな今にも後悔しそうな顔で見てくんじゃねえよ。全身の半分の骨が折られてるから、申し訳程度に付けていたマスクが外れた。
「あ、あ、アヤセ、ちゃん」
「……んだよモヤシ。ここまでやられたら、さすがの私ももう追わねーよ……とっとと失せろ」
「でも」
私に向かってのばされる腕。けど私はそれを弾いた。
「さわんじゃねえ」
「っ……」
「……一人で、たてるし……私がみじめになるだけだから、やめて」
そのまま私は屋上を出た。
経緯はどうあれ、カネキは格段に強くなっていた。悔しいような何故か寂しいような気もするが、まあその辺はいいだろう。
「まあ……合格ってとこだな」
私に勝ったアイツならトーカを任せてもいいな……私がいなくなったあとの話を知らない私はただ満足げに笑みを浮かべ、そのまま気を失った。
カネキくん痛恨のミス。いやこれに関してはアヤセちゃんも悪いんだけど。新品or誰かのマントとマスク付けてたから体臭シャットアウトしてて声以外に判別できるのなかった(トーカちゃんは赫子でも気づいただろうけどカネキくんには赫子出してるの見られたことないから)からね。
このことは後々に響くかな?アヤセちゃんは弱肉強食当たり前で気にしないだろうけどやっぱりカネキくんは気にするタイプだからな・・・