翌日、三葉が起きると刑務所の天井が見えた。
「………」
起き上がる。
「……この身体は動いてくれるんだ……私は指一本、動かせないっていうのに……この男は……」
あらためて強い殺意が湧いた。けれど、何度か自殺を試みた三葉は監視カメラ付きの個室に入れられている。ささいな自傷行為でさえ、すぐに刑務官が駆けつけてくるので何もできない。
「…………ここを出たら……刑期が終わったら、殺してやる……できるだけ苦しい方法で、後悔しながら死ぬように……」
その日から三葉は刑期が終わるのを待ち遠しく感じるようになったけれど、まだ18年は残っていた。
半年後、三葉は病院のベッドで一葉に介護されていたけれど、手を握ってくれていた一葉が急に苦しみだしていた。
「ううっ…」
「…………」
お婆ちゃん、どうしたの、と声をかけることもできない。とても苦しそうな一葉の声が聞こえる。
「ハァ…ハァ…ぅううっ…」
「…………」
心配で顔を見たいのに天井を見ていることしかできない。そのうちに握ってくれている一葉の手が冷たくなってきた。
「……ぅ~……」
「…………」
看護婦を呼びたい、医者を呼びたい、なのに何もできない。ただ冷たくなっていく一葉の手を感じながら、三葉は泣いていた。
「………ぅ~…………ごめんよ……三葉……」
「…………」
私こそ、ごめんなさい、苦労をかけたから、ごめんなさい、ごめんなさい、せめて一言伝えたいのに、何も言えず三葉は祖母が死んでいくのを手の冷たさで感じていった。
一年後、三葉は目が覚めて病院の天井を見ると、これから夜までの時間が遠く感じられた。刑務所での生活なら、刑務作業があり三食があり読書さえできたけれど、ただ天井を見ていることしかできない生活は、あまりも苦痛で、まるで肉体という牢獄に閉じこめられているような気がしてくる。
「………」
「おはようございます、宮水さん」
気の利いた看護婦は挨拶くらいはしてくれるけれど、胃ろうの状態や体温をチェックしてオムツを替えてくれると、すぐ次の患者へと移っていく。祖母が付き添ってくれていた時に比べて精神的にも肉体的にも苦痛が増していた。とくに、身体を撫でてくれたり拭いてくれたりした一葉がいなくなったことで、痒くなったり疼いたりする。看護婦も一日に一度は拭いてくれるけれど、一人一人にかけられる時間が少なく、身体に気持ち悪さが残っている。指一本動かせないのに、感覚神経だけは残っているのか、痒いとか、痛いといった不快感は伝わってくるし、痒いところが掻けない苦しさに何時間も悩まされることになる。
「………」
ぷりぷり…
肛門から大便が漏れ出てきた。オムツを替えてもらったばかりなので、これで昼過ぎまでチェックしてもらえない。きっと、すぐに痒くなって苦しむことがわかっていても何もできない。
しゃぁぁあ…
小便も漏れた。膀胱も直腸も三葉の意思に関係なく失禁するくせに、皮膚の感覚は残っているのでオムツの中が生温かく気持ち悪い。一葉がいてくれたときは、すぐに替えてくれたけれど、今は誰も見に来てくれない。俊樹は週に一度、四葉は月に一度、着てくれるかくれないか、それくらいの間隔でしか顔を見ていない。あとは退屈と不快感の地獄だった。
「………」
ずっと、この身体だったら、もう気が狂うか、痴呆にでもなっていそうな気がするけれど、一日おきに入れ替わるおかげで正気が残っているのが逆に苦痛だった。あんな男の身体なのに、早く戻りたいとさえ思ってしまう。それほどに苦痛だった。
「………」
「姉は、こちらです」
四葉の声がした。もう一ヶ月は顔を見ていない。たしか、中学1年生になったはずだった。まだ午前中だと思うのに病院に来るということは日曜日なのか、長期休暇なのか、もう曜日の感覚はおろか、季節の感覚さえ無い。四葉は誰かを案内して病室に入ってきた。
「こちらです」
四葉の手が三葉を指している。そして三葉の視界に立花瀧と奥寺ミキが入る。
「…………」
「……この人が、そうなの? タキくん」
ミキが問い、瀧が迷う。
「………わからない……そうかも……しれないし……そうでないかも……」
瀧は高校2年生だったので、三葉は一目見てすべてを思い出した。
「…………」
タキくんだ、タキくんが来てくれた、そう想うと涙が溢れた。
「……泣いて……、君が、オレと入れ替わっていた人、……なのか?」
「…………」
そうだよ、私だよ、と言いたいのに言えない。瀧の姿は入れ替わっていたときと、まったく変わりないのに、三葉の姿は変わり果てていて思い出せずにいる。ずっと三年間もベッドに寝たきりだったので手足も痩せ細り、顔にも生気がない。あまりに変わっていて瀧にはわからなかった。
「……オレを見て……涙を…」
「姉は目を開けますが、意識があるのか、無いのかわかりません。ときどき涙を流すのも、ただの反射のようなものかもしれません」
四葉の声は、とても冷たかった。
「もう満足してくれましたか、立花さん」
「え……う……うん……ごめん、お手数をかけてしまって…」
「じゃあ、二度と姉を見たいなんて言わないでください」
「……ど、どうして?」
「こんな姿になった家族を見られて、あなたなら嬉しいですか?」
「「…………すみませんでした」」
瀧とミキが深々と四葉へ頭を下げている。
「頭を上げてください。わかってくれたら、もういいです。せっかく、この町までいらしたのですから、観光名所なら喜んで案内しますよ。カップルに人気の場所なんかも」
「オレたち遊びに来たわけじゃ…」
「せっかくだし、行こうよ、タキくん」
「先に玄関で待っていてください」
そう言って二人を送り出した四葉は姉を見下ろして冷たく言い放つ。
「せいぜい苦しめ」
「…………」
あまりにショックで、また三葉は涙を流した。たしかに、小学4年生だった四葉の身体に深く傷つくような悪戯をしたのは三葉の手だったけれど、あれは自分ではないのに、その言い訳もできず、妹に憎まれていることが悲しい。当時は気持ち悪いだけで意味がわからなくても、中学生になった今なら性的な悪戯だったとわかるのかもしれない、そうなると寝たきりの姉へ、ひどい言葉の一つも投げつけたくなるのは女として共感するけれど、せめて一言でも言い訳したいし、謝りたい、そんな三葉を置いて四葉は病室を出ると玄関で瀧たちと合流した。
「あと、もう一ついいですか」
「え? うん」
瀧が頷くと、四葉は指を三本立てた。
「3年前の姉と入れ替わっていたかもしれないという話、信じる信じないはおいて、もう私たちは関わらない方がいいですよ」
「それって、どういう意味で?」
「タイムパラドックスという言葉を知っていますか」
「一応、調べたことはあるよ。たしか、過去に戻って自分を殺したり、自分の親を殺したら、どうなるのか、みたいな話だよね」
「そうです。だから、隕石落下を予知したのか、不幸な世界を知ってから別の世界を作り出したのか、いずれにしても、その変化をもたらした要因である者同士が出会わない方がいいというのは、理解できませんか?」
「………本気で、もう来るなって、こと?」
「そうです」
「……わかったよ。君の言うとおりかもしれない……。生きていてくれただけで良かったと……あんな風に……生きているとは思わなかったけど……」
「姉が、ああなったのは、あなたの責任ではありませんよ、きっと」
そう言った四葉は口頭で観光名所を伝えると、二人と別れた。
何年経ったのか、もう三葉にもわからなくなった頃、就寝前に刑務官に言われた。
「3939号。明日、出所だ。もう戻ってくるなよ」
「……明日……」
三葉の胸に復讐心が蘇ってきた。殺してやる、最大限に苦しめて、この男を殺してやる、もう殺し方は決めている。何年も考えて決めた。
「………のたうち回って死ね……」
まず、助けを呼べない山奥に移動する、それから男根を針金できつく縛る、血が止まって組織が壊死するほど縛って、そうして足首を移動できないように鎖で木につなぎ、さらに鎖で両手を後ろに回して鍵をかけ、鍵を投げ捨てる。そうすれば、ひどく苦しみ、ショック死するはずだった。入れ替わりは、およそ夜の12時に起きている。その一時間前までに準備を整え、手足を封じ、叫んでも誰にも聞こえず、孤独と苦痛の中で殺してやるつもりだった。
「…フフ…」
復讐の笑みを浮かべながら、三葉は眠った。
翌々日、三葉は手足に強烈な痛みを覚えていた。
「うううううっ…」
手を見ようとすると、両手が折れていた。手首のあたりで曲がっている。脚を見ても脛のあたりで折れて変な方向に曲がっている。周囲は山林のようで地面を這っていた。
「ど、どうなってるの?! うううっ…」
「あ、もう入れ替わったの。ちっ…」
舌打ちしたのは四葉だった。すっかり大人の女性に成長しているけれど、それでも妹なので一目で四葉だと理解できた。
「よ、四葉?! どうして、この男と会ってるの?!」
「………」
「ここ、どこ?! どうなってるの?!」
「気持ち悪い声で気持ち悪い喋り方しないでよ」
四葉は背中を向けると、すぐ近くに倒れていた幼女の遺体を抱いた。
「……ごめんね……予知してあげられなくて、ごめん……こうなる可能性だって考えるべきだった。ごめん、五葉、六葉」
四葉は二人の幼女を抱いて泣いている。三葉は手足を動かせなくても首は動くので周囲を見た。どこかの山奥だった。木々の種類や繁り方から、生まれ育った町の近くかもしれないと感じられる。
「四葉、どうなってるの?!」
「…………」
四葉は抱いていた遺体を静かに横たえると、ふらりと立ち上がり、そばに転がっていた金属バットをもった。
「…よ……四葉…」
「その汚らわしい舌で、私の名を呼ぶな」
「っ……ち、…違う、…み…見た目は、こんなだけど、私は三葉なの」
三葉は金属バットを向けられて逃げようとしたけれど、折れた手足に激痛が走り、のたうち回っただけだった。
「うううっ! 信じて! 私は宮水三葉!」
「うん、そうだね。だから24時間、待ってから殺してあげるよ。たっぷり、もう24時間かけて」
にっこりと微笑む四葉は両目から涙を零していて、笑っているのか、泣いているのか、ただ強烈な憎しみだけは伝わってきた。
「よくも、五葉と六葉を」
そう言って四葉が足で、折れた手首を踏みつけてきた。
「うあああああああっ!」
「うるさい」
金属バッドが口に突っ込まれて歯が何本も折れた。
「ううっ…ううっうう…」
「まだ状況がわからない?」
「ううっ…お、…教えて…お願い…」
「バカな姉をもつと、本当に苦労させられるわ。この男は、こう言った。オレの人生をメチャクチャにしやがった女に復讐してやる、ってね」
そう言って、また四葉が手首を踏むので激痛で呻いた。
「ぁあああぁ!」
「ずっと、この男と入れ替わっていたなんてね。おかげで私たちの情報は筒抜けだった。そして、こいつは刑務所を出て、すぐ復讐のために、この町に来た。そして……そして、五葉を!」
四葉が折れた足を蹴ってきた。
「うぐううう!」
「六葉まで!」
また蹴られる。
「あああああ! 痛いぃ、痛いぃ、痛いいい……私なの…、信じて…、四葉…」
「どうせ、こいつの身体だし。だいたい、三葉にも宮水の巫女としての自覚が足りない!」
妹に呼び捨てにされ、また踏まれた。
「ううっ…ひうううっ…」
「この世界が、こんな風になったのも三葉のせい! その自覚もない!」
「あうううっ…痛いぃいい……や、やめて……何を言ってるの?」
「お前は神聖な巫女の唾液を売り物にしたでしょう?」
「……唾液……売り………あ、あの…」
もう遠い記憶になっているネット取引を思い出した。
「あ、あれが、何なの?」
「あのせいで、この世界は呪われてしまった。私たちが多世界に生きているという自覚もない?」
「多世界? なに、それ?」
「隕石で死んだのも事実、生き残ったのも事実、それぞれ別の事実が存在する別々の世界、それらが糸のように組み合わさって紐となり世界の総体が形成されてるのを感じられない?」
「……わ、…わけわかんない! 四葉の言うこと意味がわからないよ!!」
「じゃあ、酒税法のことは覚えてる?」
「しゅ…酒税法?」
「あまり頭が良くない三葉が、どうして高校生だった頃から酒税法って言葉を知ってるの?」
「わ……私、そんなこと知ってたの?」
「………」
四葉がグリグリと骨折している脛を踏みつけてきた。
「いぎゃああああ! ごめんなさい、ごめんなさい! ごめんなさい!!」
「私が小学生のころ愚かにも口噛み酒を販売したら面白いよって言ったとき、三葉は即座に酒税法違反だって真っ赤になって主張したよね? あれは、予知夢を見ていたからでしょ?」
「よ、予知夢?」
「………予知夢さえ、見ないの? 宮水の巫女なのに。それとも、見たのに見たことを忘れてるの?」
「わ…わけわからない……四葉、意味不明!! 許して、もう許して!」
「そう。そういえば、三葉は入れ替わった後も記憶が曖昧になったり後遺症が大きかったから、本来はお婆ちゃんみたいに能力があまり無いのかも………お母さんは能力を使いすぎて……まあ、とにかく、よく聴いておいて。二つ大事なことを言うわ。まず、口噛み酒は神聖なもの、私たちの唾液も。だから、売り物にするとバチがあたる。今の世界みたいに。そして、もう一つ入れ替わった相手とは同じ時間点で会ってはいけない。会い方や起こした奇跡の程度によるけれど、最悪その時点で双方二つの世界がジ・エンドのビックバンか、量子崩壊するから、なるべく関わらないようにすべきなの。わかった?」
「…ううっ…わ……わからないけど、わかったよ」
「……そう……なら、もう言うことはないわ。さようなら、お姉ちゃん。この世界は行き止まりの、どん詰まり、もう詰みなの」
そう言って四葉は娘二人の遺体を撫でた。二人とも裸にされ、犯されてから首を絞めて殺されたように見える。痛々しい幼女の死体だった。
「ごめんね……五葉……六葉……ごめん…」
「…………ねぇ、四葉」
「何?」
「やり直せないの? この世界を」
「………本当にバカな姉なのね……」
悲しすぎて四葉の瞳が少し狂気じみて来ている。
「世界はゲームなんかじゃない。やり直せるわけない。いいえ、ゲームだって死んだなら、その世界は死で終わり。そういうこと。だから、この子たちの死も、やり直しはきかないし。この子たちが元気に成長してくれる世界があっても、この世界で死んでしまうことには変わりがないの。だから、この苦しさも、この悲しみも、全部、リセットなんてされない。一つの糸として残るの。わかった?」
「……うん…」
怖いので頷いたけれど、あまり意味は理解できなかった。わからないのに頷いた三葉へ怒りを覚えたのか、四葉が近づいてくる。
「ひっ…」
「お前のせいだよね?」
「…ひぃい…こ、来ないで…」
「どうせ、三葉は忘れるし」
「ひっ…」
「そのムカつく顔を見ながら、このまま24時間、おとなしく待ってるなんて、私には無理だよ。お姉ちゃん、ちょっと反省しようか? ね?」
娘二人を殺された母親として、もう四葉は狂気に落ちてきている。明晰に説明してくれたときとは、すでに様子が変わってきて、やり場のない怒りのやり場を向けてきた。
「殺さないように手加減しないとね」
そう言って四葉は五センチくらいの石を拾った。その石を骨折している脛の上に落としてくる。
「メテオブレイク♪」
高さ50センチから石を落とされても骨折しているので激痛だった。
「いやあああ!!」
「汚い声」
「ひぃひぃぃ…や、やめて…お願い、許して」
「許す? お姉ちゃんには、こいつを許す可能性があるの?」
「……。ち、違うから! 今は、私なの、だ、だから…」
「よくわかんない♪ ダブル・メテオ」
賽の河原で小石を積むように四葉は淡々と石を三葉に落とし続けた。
翌日、三葉は病室で目を開けた。
「………」
病院だ、やっと入れ替わった、そんな思いで安堵した。
「………」
安堵の次に不安になる。
「………」
当然、あの男は四葉に殺される、きっと三葉にしていたよりも壮絶な虐待と拷問の挙げ句に殺してくれるのだと、その部分については期待したいけれど、この後、自分はどうなるのだろうと、不安になる。あの男が死んでしまえば、もう入れ替わりは起こらない。そうなると、今の身体で、ずっと過ごすのだろうかと不安になってくる。
「………」
それにしても、まさか、あの男が復讐を考えていたなんて気づかなかった。逆恨みもいいところなので、まさか復讐があるなんて思っていなかった三葉に比べて、あの男は出所したら、三葉に復讐される前に自分の復讐を実行したのだとわかった。しかも、三葉の身体にではなく、四葉の大切な娘に。四葉は幼い頃に母親を亡くしたこともあって、かなり子煩悩に育てている様子だったのに。
「………」
ごめん、四葉、ごめんなさい、妹に謝りながら一日を過ごして三葉は夜まで泣いた。
翌日、三葉は眠ったと思った瞬間に目を開けていた。
「ううっ…」
全身がズキズキと痛む。真夜中の山林にいるようで星が岐阜県飛騨地方らしい輝きを放っている。けれど、星明かりは右目でしか見えない。左目は何も見えず、焼けるように痛むだけだった。
「うううあああああっ…」
痛みのあまり悲鳴をあげた。
「ほら、これ見て」
四葉が人間の眼球を右目の前にもってきた。
「セルフ睨めっこだよ」
「ひっ…ひぃぃ…」
「あ、もしかして、お姉ちゃん? もう24時間も経ったの。ごめん、ごめん、つい楽しみすぎて。ケケケケラ♪」
聴いたこともない妹の笑い声が響いてきて、もう四葉は完全に正気を失っているのだと、わかった。星明かりなうえに逆光なので四葉の顔は真っ暗で見えないけれど、目だけがギラついている。子供を殺されると女は、ここまで変貌するのかと今さらながらに恐ろしくなる。
「どうしよう、お姉ちゃん? これから右目も刳り貫く予定だったんだけど、体験してみる?」
「ひうっうう…ゴホッ…ゴホっ…」
どれだけ絶叫した後なのか、もう喉から声が出にくい。三葉はガクガクと首を横へ振った。首を振っただけで全身に痛みが走った。手足だけでなく肋骨や顔の骨も折れているようで、致命傷を与えないように痛めつけてきたのだと、痛覚で理解した。
「うん、じゃあ、刳り貫くね」
「ひぎぎいいい!!」
右目に四葉の指が入ってくる。あまりの痛みで折れた両手で抵抗しようとしたけれど、両手は何カ所も折られたようで、もうタコかイカのように、のたうつだけで役に立たず、ただ千切れるように痛いだけだった。そして目が見えなくなってくる。
ブチチチ…
視神経が切れる音が脳に響き、三葉は意識を失った。