※この作品はR-18です。

女神転生Genesis   作:てんぞー

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再生し始める世界 Ⅲ

 カオスとロウ。それを象徴するトップが睨み合いながら動きを作る。戦いとは、同じレベルでしか発生しない、と人は言う。今、ここに同じレベルの不倶戴天の敵が揃ってしまった。神聖四文字、そして悪魔王。この二つが揃った時、果たして何が起きるのか? それを考える必要はない。

 

 そう、戦いとは同じレベルでしか発生しない。

 

悪魔王 ルシファー Level4

 

鳩 YHVH Level1

 

「あー! あー! あーあーあー!」

 

「……」

 

 神聖四文字と呼ばれていた鳩は足を紐で結ばれ、火がついているコンロの上に吊るされていた。上から塩と胡椒を支配人がふりかけ、フォークでツンツン、と軽く突きながら軽く回して焼いていた。ステータスもレベルも限りなく死亡しているくせに、無駄に存在する《火:無効》耐性が四文字鳩を生かしていた。というか《アナライズ》をすればハックするこいつの耐性、万能を含めた全属性に対して完全無効耐性を保有している、完全耐性持ちの怪物だった。

 

 ただしレベルは1。肉質は柔らかい。盾にすらならない。虚しい勝利を得た支配人は虚無を孕んだ目でツンツン、と鳩を突きながらローストを続けていた。完全に虚無っている悪魔王の表情、それを見るとなんというか、心の底から哀れみが生まれてくる。かつてここまで虚しい勝利を得てしまった悪魔王も存在しないだろう。今は支配人なのだが。なおすぐ近くではナイフを研いでいるアンの姿が見える。

 

それはそれとして、

 

「あの鳩強くなるどころかレベル下がってるんだけど」

 

「我が力はサマナーの信仰より生まれ―――あー、塩が! 塩が肉に摺りこまれて行くあー!」

 

 支配人が手袋を装着して鳩に塩を摺り込ませていた。あんなのを信仰してるのかよメシアって……すげぇ憐れだな……と思っていると、レベルの変化に《アナライズ》が自動発動された。

 

鳩 YHVH Level-1

 

 ついにマイナスに突入し始める鳩のレベル。振り返りながらスティーブンの方へと振り向けば、ロボットアームのサムズアップが返ってくる。やっぱり遊んでたなこの爺さん。なんというか、さっきのノリで完全に敬語を外してしまったが、スティーブン自身はそこまで気にした様子はなく、支配人が用意した合体プランに合わせてマツヤとチェフェイの合体を繰り返している。

 

 本来、レベルを超える悪魔を使役することは出来ないが、スティーブン特製のアプリを利用する事で、それを無理やり抑制している。とはいえ、長時間は無理らしいので、さっさと合体を繰り返して高レベルの悪魔を低レベルに合体し直し、それを材料化させていた。まぁ、ここら辺の合体ルートはまだ理屈が解らない。素直に任せるとする。それはそれとして、

 

「この四文字鳩をどうすればいいんだ……」

 

「殺そう」

 

「潰そう」

 

「まぁ、待て。その言葉はまずは我をアナライズしてからでも遅くないのではないか? チラッ? チラッチラッ?」

 

 器用に翼を使って顔を隠してチラチラと自分で言いながらアピールしてくる。この四文字、果てしなくうぜぇ……とは思ったが、それに凄いとっつき易さを感じる。

 

「当然だろう。愛の象徴たる鳩の姿、そして四文字の中でも汝の隣人である、という概念から生み出された悪魔としての側面だ。召喚された人物に対して最も親しみが取れる性格、形で出現してきているのだからな……まぁ、本来はもっと別の姿があったのだろうが、おそらく信仰心と概念が足らず、ギリギリ顕現できる姿になったんだろうな」

 

 ほー、と声を零す。流石は不倶戴天の宿敵。良く理解しているじゃないか、と思いながら鳩を《アナライズ》し、その能力を確かめた。《メ・ディアラハン》に《サマリカーム》、《常世の祈り》に《メシアライザー》と《ラスタキャンディ》。ついでの様に存在する《テトラジャ》や《テトラカーン》と《マカラカーン》。攻撃手段を保有しない代わりに、限りのない補助と回復魔法、それも最上級の物を持ち込んできていた。あぁ、確かにこれは最強の回復サポーターだ。しかも完全耐性を保有するから先に回復を潰すということが出来ない。

 

「支払えるコストがあればな」

 

「サマナー! 入信しよう!」

 

「ハーブ……詰めよう」

 

「良いアイデアだ人修羅。この都合の良い事しか話さない口も少しは清められるだろう」

 

「あー! あー! あー!」

 

 スダマを取り出してついでに手渡しておく。口にハーブを詰め込まれ、その上でスダマを口に咥えて縛られる四文字鳩。これ、メシア教会の連中に見られたら聖戦が始まるだろうなぁ、と確信しながら憐れな鳩を見捨てた。日本人的に考えてめんどくさそうな宗教はノーサンキューである。この世紀末、信じられるのは自分と、契約した悪魔と、そしてアンの可愛さだけである。まぁ、それはともかく、この産廃をどうしようかという話になってくる。

 

 割と真面目に困る。

 

 メシアにバレたら間違いなく聖戦になる。

 

「合体事故を起こしたのは此方の不手際だ。此方で何か、あの鳩を運用できるようにする方法を用意しよう。それはそれとして、仲魔の合体が終わったぞ。さ、受け取ると良い」

 

 端末との接続を解除して、スティーブンが此方にスマートフォンを返してきた。それを受け取りつつ、スマートフォンのDDSアプリから仲魔の状態を確認し、迷う事無く召喚する。

 

 まずは神獣マツヤ―――いや、変異したのでもうマツヤではない。

 

 召喚光と共に新たな姿の悪魔が出現する。出現するのはカメの姿だ。白く輝く亀。神々しさすら感じる美しい姿はあらゆる災禍を跳ねのける様な力強さを感じる。召喚されたカメの悪魔は、マツヤの頃と変わらない声で言葉を出した。

 

『我が名はヴィシュヌ第二の化身(アヴァターラ)! 我は世界の誕生を支える者! 我が名はクールマ! サマナー! コンゴトモヨロシク!』

 

「ヴィシュヌ第二の化身のクールマは神話において世界を生む為に山を支え続けたと言われているな。まさに世界再生を行う君に相応しい悪魔だ。そしてその支えるというのに相応しいだけの耐性を保有しているようだ」

 

 クールマのステータスを確認すれば、耐の能力が最も突き抜けている。そして同時に打撃、斬撃、射撃と氷に対する耐性を保有しており、覚えている重力魔法と合わせた要塞の言葉に相応しい性能をしている。問題は電撃弱点というのがマツヤと続いて残っている事だろうか。ジオによる弱点攻めでSTUNハメされる可能性のある悪魔だ。とはいえ、物理型が相手であればほとんど無敵に近い力を発揮できるのは実に魅力的だ。

 

『サマナー、化身変性でマツヤへと姿を変えられる他、マツヤの権能《予知》を使う事が出来る! クールマの権能は《ダメージの引き受け》だ、変性と人型化共々良く考えて僕を運用して欲しい』

 

「おう、任せたぞクールマの盾」

 

『剣の次は盾扱いか……』

 

 どうやらクールマ、サイズ変更が自由らしいので、片手で持ち上げられるサイズの変形をしてくれればそれを片手に、最強の盾として使う事が出来そうだ。しかも盾として受け止めたら重力魔法が飛んで来る。投げて使う事も出来るし、これはスダマとセット運用で投擲枠に入るかな、という期待が入る。ともあれ、クールマは慣らす為にも何度か召喚して戦闘を繰り返す必要があるな、と思いつつ戻し、今度は次の悪魔を召喚する。

 

 即ちチェフェイだ。DDSから召喚プログラムを起動し、チェフェイを呼び出す。召喚光と共に人の輪郭が浮かび上がり、三つの尾のシルエットが見えて来た。だがその姿に大きな変化はなく、光が収まった頃には尾が一本増えただけのロリなチェフェイの姿がそのままだった。

 

「……妾は三尾チェフェイ。コンゴトモヨロシク……ヨロシク……ヨロシク……」

 

「泣けよ」

 

「貴様それでも人間かサマナー!? 妾は! 三尾になれば! ナイスバディになると信じておったんじゃぞ!? ファイナルヌードだって意地で持ち込んだんじゃぞ!?」

 

「気合と根性でそんなもん持ち込むなよお前。便利だけどさ」

 

 魅了系最上系のファイナルヌードだけではないが、様々な精神、神経阻害の手段は持つだけでもかなりの意味がある。とはいえ、ドルミナー、シバブー、マリンカリンと揃っているのでセクシーダンスは要らなかった。

 

「嫌じゃ嫌じゃ! サマナーを悩殺して誘惑したいんじゃ!」

 

「うるせぇ、仮面剥ぎ取るぞてめー」

 

 こいつに関しては前よりもデバフをメインに運用すればいいから、練習も糞もねぇな、と思いながら無理やりDDSの中に戻す。新しくなった仲魔のステータスやスキルをもう一度、データ的に確認する。チェフェイもクールマも、これでレベルは17に上がった。俺と同じレベルに並ぶ様になってしまった。そこは少し残念に感じるが、それでも頼もしい仲魔の存在は心強い。間違いなく強くなった仲魔と共に、これまで以上に楽に戦えるだろう。

 

 とりあえず、これで仲魔の強化は終わった。

 

「数日ぐらい休ませて欲しいけど……次は何をすればいいんだ、スティーブン」

 

「そうだな……アプリの開発、装備の改良と発明、そして折角なんだ、そこの食用鳩を運用する為のアプリ開発だな」

 

「可能なのか……」

 

「アナライズジャマーと、後はコストを自分ではなくサマナーのMagや魔力で代替させるアプリを開発すれば良いだけだ。やる事が解っているが、流石にそれには材料が足りない」

 

「お使いクエストね、了解了解」

 

「うむ。まぁ、まずは少し休むと良い。その間に私が君に集めて欲しいものをリストにして渡すから。それをもってシンジュクへと向かいたまえ。今のシンジュクであれば復活した霊的国防組織によって守護されている状態になっているだろうからね。あぁ、そうか……23区には皇居もあったね? となると一部のヤタガラスかクズノハは復活しているかもしれないね……まぁ、まだ関わらないことをおすすめしておくがね」

 

 知らない組織の名前が出て来た。しかしそういえば国家レベルで悪魔とかが存在するのだから、国防組織とか当たり前として存在するよな、とは思った。ちょっとだけ気になるが、関わるなとスティーブンが言っているのだ、素直にその話を聞こう。それはそれとして、と言葉を置かれた。

 

「なにか要求はあるかね? 君が世界を再生する上で必要なものはなるべく揃えてみせよう。欲しいものがあるのなら、我慢せずに言うと良い、作れる範囲であれば作って見せよう」

 

「平和な日常」

 

「悪魔の存在しない世界に生まれ直したまえ」

 

「そうきたかー……」

 

 それだけ平和な日常とはレアらしい、というか絶望的らしい。いや、まぁ、解っていた事ではあるのだが。それはそれとして、この老人に合体事故をさせた腹いせに嫌がらせをしたいので、何を言えば実行できそうだけど滅茶苦茶困るだろうか、というのを考える。

 

 と、そこで腰に装着したルーチェ&オンブラが視界の端に映った。そうだ、

 

 無茶ブリしよう。

 

「ガンナーズブルームが欲しいです」

 

 聞きなれない単語なのか、スティーブンが首を傾げた。後ろで支配人がぶふっ、と軽く笑い声を零すのが聞こえた。あ、お前知ってるんだ。そんな事を考えつつも、スティーブンに説明する。サイズはこうで、こういう形で、メタリックで、対戦車ライフルみたいなもんで、

 

「浮かびます」

 

「浮かぶ」

 

「箒なので乗れます」

 

「乗れる」

 

「そして飛べます」

 

「成程、無茶ブリをしているね?」

 

 スティーブンの言葉に無言のサムズアップで答えると、スティーブンに笑われた。小さく、くつくつと笑い声を零すとまぁいいだろう、と声を零した。

 

「私の領分はハードではなくソフトウェアだが……まぁ、合間の暇つぶしにもなるだろう。それでは長旅の疲れを癒すと良い。リソースを得た事で君の寝室に風呂場を追加しておいた、おそらくはこの世界の他の場所では中々堪能できない贅沢だ。ゆっくりと温まって休まると良い」

 

「わぁーい」

 

 じゃ、頼みましたわ、と片手をスティーブンへと上げれば、小さな笑い声と共にスティーブンが作業室の中へと消えて行く。あの老人、実はこの状況そのものを楽しんでいるのではないか、というフシがある。そうだったとしても特に言える事は何もないのだが。まぁ、世界再生のために協力してくれているだけ感謝しよう。

 

 そもそも、支配人とスティーブンのコンビが組んで助けてくれなかったら開始前に俺は死亡している。

 

 だからこれは義務なのだ。

 

 逃げる事はないし、出来ないし、するつもりもない。

 

 まぁ、今はそんな葛藤は捨て去る。それよりもこっちの世界でもお風呂が解禁されたというのは非常に大事な事だった。こっちの世界でも体の垢を落とす事が出来るのだ。いや、確かに巌戸台分寮の風呂を心行くまで使っていたが、それはそれ、これはこれ。此方の世界でも汚れを落とせるというのは非常に重要な事だった。

 

 とりあえず、

 

「支配人ー、鳩を風呂に沈めようぜー」

 

「良いセンスだ」

 

「!?」

 

 風呂場を確かめるついでに鳩を沈めよう。たぶんこの世で最も清らかな聖水が作れそうな気がしていた。

 

 

♦

 

 

 風呂に一回四文字を沈めたら本当に聖水風呂がマジで出来た。肌が何歳か、若返った気がする。これ、続ければアンチエイジングになるのではないか? とは思わなくもなかったが、世界再生などの諸々の疲れで風呂が終わった後、そのままベッドに倒れ込んで眠ってしまった。朝起きたら腹を枕代わりにしているアンを何とか押して枕の上へと頭を動かし、脱出したところで、朝の諸々を終わらせる。

 

 歯を磨き、顔を洗い、それだけでだいぶ文明的な生活を送れると思うと涙が出てくる。ついでに巌戸台分寮との生活水準の落差でもう一度涙が出そうになる。それを堪えながら部屋を出た所で、

 

 昨日に増して、バーに気配を感じていた。

 

 一番最初に見たのはカウンターの向こう側でマスターの真似事をしている悪魔王の姿と、ウェイターっぽい服装に身を包んだ鳩の姿だった。元部下と上司の関係が完全に入れ替わっていて下克上が完了しているのは長年のカオス悪魔としての悲願の達成ではないのか? これは長き魔界の歴史におけるルシファーと神聖四文字の代理戦争の終焉なのではないか? とその奇妙な光景を眺めながら思った。

 

「ノーカン」

 

 ノーカンらしい。まぁ、当然だよな、とは思わなくもなかった。とりあえず、カウンターに座る。一応買い込んできた食料の類は全部一旦、バーの食糧庫や冷蔵庫に叩き込んでいた。なので営業できると言えば出来る状態ではあるのだ。とりあえずカウンターに座り、

 

「モーニングセット」

 

「代金は本日、一回だけ善行する事で良しとしよう!」

 

「無料にするからそのサンドバッグを苦しめながら待っていると良い」

 

 やっぱ元上司と元部下の関係とはいえ、冷戦状態だったらしい。出汁に使う、とか言って悪魔王が鳩を掴んでいった。鳩も鳩で翼を曲げて敬礼しながら頑張ってくる、とか言ってるけどお前、それでいいの……? 早くも隣人という概念が怪しすぎた。それはそれとして、アンが食事の話に釣られて起きて来たので、無言でチェフェイを召喚し、世話をさせる。明らかに顔を洗ってない表情だった。

 

 それが終わった所でカウンターに肩肘をつきながら、軽くバー内を見渡す。

 

 やはりバーの所々、支配人と比べれば本当に微小ではあるが、悪魔や人の気配を感じる。暗がりの中には人影が、まだ完全な形を取り戻せずに揺蕩っている。他にも半透明なシルエットがカウンター席の一つを占拠し続けている。コートを装着した剣士? の様な男の姿だ……彼は一体、どんな悪魔なのだろうか。

 

「―――彼らは再構築作業中の者たちだ」

 

 その声に振り返れば、スティーブンの姿が見えた。楽しそうに、テンションが高そうに見える。どことなく新しいおもちゃを手に入れた子供の様な感じがする。お互いにおはよう、と朝の挨拶を済ませていると、まだ眠そうなアンがチェフェイに引き連れられ、戻って来た。

 

「妾は仲魔ではあるが、侍女ではないんじゃぞ……」

 

「お疲れ駄フォックス」

 

「妾、そろそろ待遇改善のストライキ始めたい所存」

 

 うるせぇ、DDSに戻れ駄狐。召喚解除しながらアンを横に座らせる。髪の毛とか大丈夫か? とは思ったが、なんだかんだで良く手入れがされている……そこらへんの技術は流石チェフェイという所だろう。

 

 それはともかく、

 

「再構築?」

 

「情報はやや足りていないが、自分の情報をかき集めて、時間をかけて強固な概念や情報を構築しているのだろう。悪魔王ルシファーや神聖四文字が妙に弱いのはその時間を全てカットした、行動の為に必要最低限の機能だけを優先させた結果。他の者たちは時間をかけてもいいから、戦う能力や技能を備えようとしているのだろう」

 

 そう言うとスティーブンはふむ、と呟く。

 

「近いうちにこの店をもう少し広げるか……いや、それには世界の広さが足りないか。とりあえずはこのままにしておくとしよう。住人もそう多く増えるようではないしな」

 

「ほー……」

 

 まだまだこのバーに住人が増えるというのはちょっとだけわくわくする事だった。何せ、悪魔王の支配人と鳩が増えただけでこの始末。スティーブンのバーには強力だがどう足掻いても色物しか出現しない法則が存在するらしく、仲間が増えたら更に状況が馬鹿と笑いで満ちるのだと思う。

 

 まぁ、悪い事じゃない。

 

 そう思う。少なくとも笑える方が笑えないのよりは百倍良い。それはそれとして、目の前にモーニングセットが置かれた。出汁巻き卵、味噌汁、鮭、ご飯、そしてスープ。

 

「出汁は当然元上司から取った」

 

「なんでうちの悪魔はハンドサイズの場合色物になる呪いでもあるのか。手榴弾の続きは食材かよ」

 

 食べるけど。

 

 そして普通に美味しい。食用四文字、普通に良い味が出るから困る。厨房の方へと視線を向ければ、煮込まれている鍋から翼でサムズアップを向けてくるのが見える。信じられるか、メシアの天使ってアレを崇めてるんだぜって全力で煽りたい。

 

 やーい、お前の四文字食用ー!

 

 殺される。間違いなく殺される。一度はやってみたいけど絶対に殺される。

 

 この遊びは心の中にしまっておこう。アンと並んで朝食をゆっくりと突いていると、さて、とスティーブンが言葉を置いた。

 

「四文字を運用する為と、望んだ武器を作成するのに幾つか必要なものがある」

 

「用意できるんだ……」

 

「無論だとも。この私だからね」

 

 自信満々に言ってのけるその心は一体。口に出さずにそう思いながら、スティーブンから改めて、リストを受け取る。そこに書かれてある物の名前に、少々困った表情を浮かべる。

 

「ピクシー、ライジュウは君の望んだものを作るのに必要だ。ピクシーなら今、スギナミに出没している。君が交渉するか、或いは殺せば手に入れる事も出来るだろう。ライジュウの魔晶はそこまで珍しいものではない。おそらくガイアのサマナーであれば持っているだろう。だけどその鳩を運用する為の道具が本題だ」

 

 リストに確認できる、最後のアイテムは聖(・)杯(・)だった。

 

「こんなん絶対無理でしょ」

 

 その言葉にスティーブンは本物であれば、と言葉を付け加える。

 

「聖杯に性質の近い器を用意すれば、それを聖杯であると概念をある程度操作して、その意味を持たせられる。だから究極的には本物でなくても良い。劣化レプリカや偽物であればね。そういうレベルの品であれば。儀式用などでそこそこ数がある。なんといったってマザーハーロットの召喚にも穢した聖杯が必要だからだ。需要はあるのさ」

 

「ほー……で、どこに行けばいいんで?」

 

「シンジュクだ」

 

 これまた聞いた事のある地名だった。

 

「シンジュクには中立地帯とデビルサマナー用の大型コミュニティが存在する。そこではデビルサマナーがそれぞれの品を売り出すマーケットやオークションも存在する。偽聖杯であればマーケット品だろうな。今の時代、マッカと宝石には大きな価値がある。他にも何か欲しいものがないか、見てくるのも良いだろう……まぁ、魔晶も其方で探すのが楽で良いだろう」

 

「うっし、じゃあ決まったな」

 

 食べ終わった所で立ち上がり、軽く体を伸ばして体を解した。一晩休んだところで体は十分に休息を取れていた。

 

 シンジュクのサマナーコミュニティ、そしてそこにある中立マーケット、次の目的地はそこだ。どうしてもひたすら休んでいるだけ、というのは性根に合わなかった。どこかで体を動かし続けないとならない、そんな感じがある。だから仕事がある、というのはかなり嬉しい事だった。

 

 まだ動ける、まだ出来る事がある、まだ先がある。

 

 それにこの業界……それをさらに深く知るのも、また楽しかった。

 

 仲魔を強化してからの新たな仕事だ―――存分に、励もう。




 という訳でシンジュクへ。野生悪魔の分布とかは既に終了しているけどメガテンIMAGINEを参考にしていたり。一部のシステムやアイテム、スキルとかも実はそっち参照でした。

 という訳で一般的なサマナーやデビルバスターとかガンガン登場、次の扉が発見されるまではこの世界で戦力増強タイム。バーはまだまだ愉快になって行くぞ!!!
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