※この作品はR-18です。

女神転生Genesis   作:てんぞー

17 / 66
再生し始める世界 Ⅵ

 結局、渡した道具で何かを作るまでにはそれなりに時間がかかるらしい。流石のヒャッハー世界の万能メカニックプログラマー糞爺スティーブンでも、一晩で何かを作るというのは難しすぎたらしい。いや、これは純粋に期待値が高すぎた問題なので一切失望とかはない。そう、スティーブンは何も悪くないのだ。

 

「覚えてろ……」

 

 そんな声を背中に受けながら、鳩をバーの天井に吊るして明日天気になぁれって祈りながら再びシンジュクに戻った。

 

 無論、目的は扉探しとレベルアップだ。スティーブンによれば今の東京は野良の悪魔のレベルキャップが30前後まで上がっているらしい。今の自分とアンのレベルは18、19。出現したモウリョウ等を狩ってレベルが1だけ上がったが、正直、レベル30の悪魔にでも出現されれば一瞬で困る事となる。ベルゼブブの加入などで戦力は潤っているが、根本的にレベルが足りない状態になっている。

 

 それに30付近までレベルが上がれば、今度はチェフェイとクールマをもう一段階上へと合体させて変異させられる。そうすれば更に戦力強化が捗る。その事を考えればやはり、どんな扉を抜けるにしろ、探すにしろ、レベルという絶対的な基準が必要になってくる。ぶっちゃけた話、俺のレベルアップ速度は業界的に異常の一言に尽きる。これは支配人がまだへたれ支配人になる前の時に、その力を使ってレベルキャップや限界を全部排除してくれた為に発生している事であり、

 

 普通のサマナーもデビルバスターも、そう簡単にレベルは上がらない。もっと何年もかけてゆっくりとレベルは上がる物らしい。

 

 だけどそんな異常なペースと同じ様な速度で巌戸台のペルソナ組はレベルが上がっていた。つまり、この先に向かう場所、世界、扉の向こう側はそういう連中がいる可能性が高く、それに匹敵するような相手と戦う可能性もある。

 

 それを考慮するとやはり、20以下のレベルではかなり心細いのだ。そうなるとやはり、レベルアップは必要になってくる。少なくともスティーブンが生み出してくれた《アナライズ》によってレベルや身体能力を具体的な数値として表示させることが出来るおかげで、強くなったのか、なっていないのか、それを判断する事は難しくはない。だから戦闘訓練するのもそこまで苦ではないのだ。寧ろ、楽しいとさえ思っている。大僧正や聖女を見れば上には上がいるというのを理解させられるが、

 

 それとは別に、強くなって行くことは自分が出来なかった事に手を伸ばせるようになる事で、それだけでもかなりの楽しさがあるのだ。少なくとも世界が崩壊している今、悪魔が人間を当たり前の様に襲う状況で強くあることは重要な事だ。それと合わせ、レベルアップは優先事項であった。

 

 マーケットで新しく購入したテトラジャマーと呼ばれるインナーを装着する。これは呪殺と破魔の耐性を着用者に与えるサマナー・バスター用の防具であり、一着五千万近い値段をする。桐条からもらった宝石を悪魔とマッカに交換してこれを購入着用し、その上からS.E.E.Sの改造制服を腕章共々装着する。此方はスティーブンによって概念加工を施され、見事に斬撃射撃火炎耐性を取得している。

 

 これでひとまず、最もメジャーな属性に対する防御を得られたため、相当レベルの差が存在しない限りは即死しない様に整えられた。問題は防具が制服である為、見た目でやや舐められそうになるという事だが、そこはそこ、

 

 アナライズも出来ず、実力すら把握できないサマナーやバスターは直ぐに死ぬので気にしない。そこは業界の共通認識でもあった。そういう事もあり、本物のサマナーやバスターは見た目ではなく能力や結果などで判断する。強い奴が偉いのは人間も悪魔も変わらない。

 

 新しく神経弾を補充した事で準備が完全に完了する。桐条からもらった1か月分の給料もこれでかなり減ってしまったと嘆きつつも、サマナーは金の出入りがかなり激しい職業だ。投資で使った分は稼ぎ直せばよい。

 

 レベルアップをすることも目的に、シンジュク駅に再び戻った。基本的にケイオウ線付近は完全に悪魔関係者の縄張りになっているらしく、アライメントも中立寄りの地域になっている。

 

 ロウ系統、メシア教徒はシナガワへ。

 

 カオス系統、ガイア僧達はウエノ方面へと向かったらしい。

 

 今のシンジュクは中立地帯。カオスやロウ派の様な突き抜けた依頼は来ないが、その分安定している、というのが掲示板で拾える情報だった。それを加味しつつ、シンジュク駅の一角、デスク等を利用して作った臨時事務所の様な場所へと向かった。アンを引き連れて近づけば、此方を値踏みするような視線を感じる。向こう側に座っている男はどこか血の気が薄く、そしてモノクルを装着しているのが見える。なんというか……人間らしくない、人間だった。

 

「ようこそ、悪魔協会へと。仕事の斡旋をお求めかな。そして説明はいるかな?」

 

 その言葉に頷いた。

 

「頼む」

 

「では説明して進ぜよう」

 

 モノクルの男が演劇めいた動きと言葉遣いで説明を始める。この業界、こういう変人が多いという事を最近、漸く理解し始めていた。

 

「まず、悪魔協会とはこの崩壊世界でサマナーやバスターが生き抜く為に生み出された互助会の様なものだ。前身となる組織はあったが、どれも世界崩壊に巻き込まれて半壊か壊滅状態だ。今は生き残った各組織の幹部やらが殴り合いながらネーミングを考えている為、今の所名称は悪魔協会(仮)だ」

 

「(仮)(カッコカリカッコトジ)」

 

 やっぱ面白い奴しかいないんだなぁ、この業界。そう呟くと横でアンがうんうん頷いていた。それを無視してモノクルの事務員は話を続ける。

 

「ライセンスを提示する必要はない。そもそもそんなもの確認している手間が勿体ない上に、ライセンスのあるなし関係なく働いてもらいたい所であるからね。故に出自、立場、背景は現状気にしない。そもそも世界が崩壊しているので関係ない。こんな状況でも暴れられる奴はただの自殺志願者だ。そういう奴も歓迎する―――勝手に死んで割くリソースが減るからね」

 

「わぁい、やさしー」

 

 まぁ、でもどうせそういうのは地雷依頼を掴ませるんだろうなぁ、というのは予測できた。そしてそれを言い切ったモノクルは、手を組みながらニヤリ、と笑みを浮かべた。

 

「それで、東京の明日を守る為にも仕事を受けるつもりはあるかね? レベル帯を自己申告するのであればそれを考慮した仕事をピックしよう。特技、資格、仲魔、より詳細に伝えればそれも考慮しよう。ただし必須ではない。無論、手札を隠すのはサマナーの常、必要以上に詮索はしない」

 

 ただし、

 

「この世界に保険はない。申告しなかった結果、或いは見栄を張った結果不釣り合いな依頼を掴んでしまっても自己責任だ。そうでなくても唐突に現れた魔人に殺されるときだってある。その事を考えると良い。思慮は人間に与えられた最大の武器なのだから」

 

「ふむ」

 

 腕を組みながらモノクルの言葉を頭の中で転がす。実際、言っている事に間違いはないのだ。その上でどこまで話してもいいのか……というのを判断するとなると、少し難しい。

 

『サマナー、基本的に貴方の仲魔ならレベルが5差あっても普通に戦えるだけの戦力は整っているわ。軽くデータを見せて貰った感じ、クールマの重力魔法の通りが万能なのと、チェフェイのデバフで格上相手でも雑魚ならガンガン潰していけるわ。私も20ぐらいになれば電撃ガードキルを習得するし』

 

『重力、精神、神経各種が揃っているからね、慢心さえしなければ問題はないだろうね』

 

 ベルとマツヤからのアドバイスを聞きつつ判断する。

 

「……腕には多少覚えがある。レベルは20近く、重力、精神、神経が使える仲魔がいるのと、呪殺と破魔手段もある。まぁ、多少は格上が相手でも戦えるかな、って感じ……かな」

 

「ふむ、成程。ではこういう依頼はどうだろうか」

 

 そう言うとモノクルが指をパッチン、とスナップさせる。それに従い、背後から血色の悪いメイドが数枚の紙を持ってくる。受け取ったその内容を確認する。

 

依頼書

 

【異界調査依頼】

報酬:3000マッカ 出現悪魔:妖精グループ レベル平均:18

内容:スギナミに出現した異界の調査依頼、出現する悪魔は妖精メイン。レベルの下がったティターニアが目撃されたとの噂、真偽を確かめる為にも調査を要請する。

 

【シンジュク東掃討作戦】

報酬:1500マッカ 出現悪魔:外道・幽鬼 レベル平均:16

内容:シンジュク東地区における悪魔の掃討作戦を行う。ヤタガラスより人員の同行があり、地上に結界を張る事で安全を確保する意味もある。激しい悪魔の抵抗が予測される上、おそらくは東側全体の悪魔も集まるであろうから敵の数は多し。

 

【トーキューハンズ解放】

報酬:4000マッカ+香 出現悪魔:妖鬼 レベル平均:22

内容:トーキューハンズには生活に使えそうな道具が置いてあるのだが、その中をオニ率いる鬼族が占領している。他にも一般人を攫っている模様。トーキューハンズに巣食うオニとその眷属達を皆殺しにし、可能であれば救助せよ。

 

「この三つだけ?」

 

「他にも回す相手がいるというのもあるが、ここら辺に居る悪魔関係者のレベルは今の所、似たり寄ったりとね。更にレベルが上がってくれれば回せる依頼も増えるが、一番供給の多いレベル帯なのだよ」

 

『基本的に凡人、と呼べる才能の持ち主、普通のサマナーやデビルバスターのレベル限界は18から22ぐらいだと言われているわ。覚醒して上限突破を行う凡人というのも稀にいるらしいけれど……基本的にこの社会で一番多いレベルと被ってるのよ、サマナーは』

 

『一足レベルを抜ければ注目はされるだろうね。それが良い事か悪い事はサマナーの方針次第だけど』

 

『たくあんにちくわシロップ』

 

『ま、サマナーは強くなりたいんじゃから積極的にやっても良いのじゃ……待て、ちくわシロップってなんじゃ』

 

 まともに会話終わらねぇなお前ら! と心の中でツッコミを入れつつ、どの依頼を取るかを考える。【異界調査依頼】は相手のレベルが18前後らしい。そうなってくると基本的に自分たちのレベルと被り、安定して倒すことは出来るだろう。レベルが低めのベルゼブブのレベルを上げる事も出来る。場合によっては妖精と交渉する事も出来るかもしれない。

 

 二つ目の【シンジュク東掃討作戦】はとにかく出現する悪魔の数が多いだろう。クールマがいる関係上、破魔で即死させながら戦うことが出来るし、数が多いならレベルが少し下がっても一つ目よりも得られる経験値は多いだろう。これなら全体の強化、そして連戦に対する訓練にもなるかもしれないし、他に参加するサマナーやバスターとコネが作れるかもしれない。ただ、ほとんどがダーク悪魔だから交渉の機会なんてないだろう。

 

 三つ目、【トーキューハンズ解放】。マッカがたくさん、経験値もたくさん、リスクも高い。ただ、この中で強くなる事を考えるだけなら間違いなくこれが一番だろう。その代わり交渉なんて不可能だし、誰かと出会う事もない。純粋に殺して強くなるためのチョイスだ。格上と戦う為の良い機会でもあるかもしれない。それに一番必要としているのは力だ。純粋に強くなる、という意味ではこれが良いのかもしれない。

 

 しばし、腕を組んで考えるが、余り悩み過ぎてもダメだろう。三番目の依頼を選び、それを指し示す。それを見たモノクルはふむ、と声を漏らす。

 

「私はそれで良いが、良いのかね? 基本的に20を超えるぞ? その眷属共はそれよりも弱いだろうが……それでも辛い相手になるぞ?」

 

「今の世の中、この程度で辛いと言ってる暇ないんで」

 

「成程、それもまた真理だ。ならば己の選択に後悔せず進むと良い。トーキューハンズの行き方は知っているな? 道は常に開かれている。行くと良い」

 

 依頼書を受け取りながらそれでは、と手を振って背を向ける。なんというか、動きの一つ一つが怪しいのだが、場所が普通にみすぼらしいので、動きや言動と場所がミスマッチしているのだ。なんというか、どこか虚しい演技だった。それはそれとして、《悪魔全書》からオニの情報を取得する。

 

 レベルは個体で変動し基本的に20~25の間、精神・神経・氷結が非常に良く通り、代わりに物理系統に強く、火炎を無効化、破魔と呪殺にも強い。メジャーどころでは疾風に弱い事を除けばこれ、前衛用の仲魔としては恐ろしいほどに優秀な耐性を保有しているのが解る。正直、欲しいぐらいだ。まぁ、此方はパーティーの役割がかなり固まってきているので、これ以上能動的に悪魔を増やす予定はないのだが。

 

 そもそも、これ以上仲魔を増やすと俺の指示キャパを超えてしまう。

 

「うっし、とりあえずハンズに行くか。……確か地下鉄の方の出口の近くから出る事が出来たよな?」

 

 その言葉にアンが頷く。そしてその返答に少しだけ、疑問を覚えた。

 

 羞恥心とか知らないのに、なんでシンジュクのダンジョン染みた地下の事を知っているのだろうか……? まぁ、あの支配人の事を考えたら別に変な知識を埋め込んでいても不思議ではないか、と済ませる。

 

 まぁ、なんかあったとしてもその時はバーの支配人をつるし上げれば良い。

 

 もしくは支配人を動けない様に神経弾でSTUNさせてから鳩を縛り付ける。最終手段は支配人と四文字で無理やり悪魔合体させるぞ、と脅す。たぶんこれで何とかなる。

 

 

♦

 

 

「んー、こっち側に来るのも久しぶりだなぁ」

 

 シンジュクはキノクニヤがあるからちょくちょく来ていた。というのもルールブックとかを確実に手に入れようとしたら、本店の方まで足を延ばさないと中々見つからないのだ。場合によっては注文しないとならないし。だからそういうのを探してちょくちょくシンジュクに遊びに来ていた。ハンズの方も昔は家族で来てたなぁ、というのを思い出しながら、

 

 ハンズ前の大橋でその姿を眺めていた。窓が所々割れている以外は大分平気そうに見えるのは、流石日本の建築というべきか。大橋の方も割と無事そうで、普通に渡れる様子だった。元クリスピードーナッツの店舗の影から眺めつつ、《エネミーソナー》と《ハニー・ビー》の何時もの探索アプリセットを確認する。

 

「んー、中にはそれなりに気配が詰まってるな。目視しないことには相手を確かめられない、か」

 

「ど……する……?」

 

「うーん……まぁ、近づいて確かめるしかないんだよな、これが」

 

「ん」

 

 此方の言葉にコクリ、とアンが頷いた。アプリを起動したまま、視界の端に《ハニー・ビー》によるマップ表記を残したまま、ソナーで敵の位置を確認し、敵がいないのを確認しつつ姿勢を低くし、一気に大橋を駆け抜けて行く。

 

 どうやら警戒されているとかそういう事はないらしく、素早く身体能力で橋を越えて、ハンズ前の柱の裏に身を隠す。一緒に隠れるアンと共に、ハンズ内部を確認しながらルーチェ&オンブラを抜いた。ハンズ店内の入り口付近を周回する、ソナーに赤く映る存在が見えた。牛の頭を持った、巨体を持つ人みたいな鬼の悪魔だった。

 

「……牛頭鬼(ゴズキ)、チェック……斬打核耐性、火反射、氷疾弱点でレベル19か……」

 

 ゴズキの屈強な肉体を見て、その姿が握っている斧を見る。アレを食らったら痛いだろうなぁ、と思いつつも、召喚する仲魔を選択する。アンはそのまま、というより《竜巻》を習得したので弱点を攻められるのでそれメインとして、神経耐性がない相手なのでチェフェイのシバブーで動きを封じて、ベルの経験値を稼ぐ為に初陣、という所だろうか。

 

 もう一度確認し、1階のゴズキの広がり方を見た。場合によってはオニが乱入する可能性もあるが、全書で確認するオニに電撃、神経、精神耐性は存在しない。しかも疾風がゴズキとオニで一貫して通る。

 

 STUN、SLEEPでハメながら抹殺出来るな、と認識する。

 

 ここまでわかれば十分だ。L&Oに新しい弾丸を装填する。疾風属性が詰まった弾丸の疾風弾だ。

 

「コォール! チェフェイ! ベル! 飛び込めアン!」

 

「了、解」

 

 略奪済みか、或いは悪魔が暴れたのか。既にハンズの1階は粉々に破壊された商品が転がっていたり、店舗の内装は崩壊済みだった。故に遠慮する必要なく、扉を抜けて飛び込んだアンが竜巻を放つ。発生する風の回転が一瞬だけ、アンを中心に発生してゴズキを刻んだ。その体の表面をごっそり、と抉る様に竜巻はゴズキを食らって殺した。

 

 その破壊を聞いてゴズキの視線が向けられ、飛び込んでくる。

 

「ははは! サマナーだ! 殺せ! 殺せ!」

 

「男は飯にして女はMagの為に犯すぞ!」

 

「やぁーね、低能は発想も言動も変わらなくて」

 

「今こそ妾の美しさを示す時―――ファイナルヌード! ……あれ、サマナー? なぜこっちを見ないんじゃ? サマナー? サマナー!」

 

 興味ねぇからだよ言わせるな。布を脱ぎ捨てる様な音が聞こえるが、欠片も興味が沸かないので、真顔で疾風弾を一瞬で飛び込んで魅了され、床に倒れるゴズキへと向かって叩き込む。その姿に追撃する様にマハジオンガが降り注ぎ、一瞬でゴズキをハメ殺して行く。その合間を駆け抜けるアンが竜巻を連続で発生させ、ゴズキをバラバラに引き裂きながら解体して行き、

 

 一方的に魅了とSTUNハメを繰り返し、1階のゴズキを掃討した。裸のまま戻ってくるチェフェイの顔面に蹴りを叩き込みながら、アプリで上の階の様子を確認する……隣の建築物に悪魔の反応アリ。霊基パターンは先ほどのゴズキと一切変わりがない。となると苦労する相手ではない。寄ってこないという事は此方に気付いていないという事でもあるのだろう。

 

「うっし、今度はもうちょい静かに処理しよう。駄狐は次はドルミナーな。ベルは眠ったのを確認したら直接電流を流し込んでくれ。アンはちょいお休み。竜巻が想像以上に煩かった」

 

「うん」

 

 流石に全力戦闘だと予想以上に煩かった。戦闘を行う以上、そこで騒音が発生するのは仕方がない。だけど必要以上に音を立てる必要もない。今の一戦でゴズキの大体の体力などは把握できた。次からは最低限の労力で殺す事も出来るだろう。というかそうじゃないとベル以外の消耗できついものがある。

 

「んじゃ、次は抑えつつやろうか」

 

「えー……」

 

「お手並み拝見よ、サマナー」

 

 それぞれの言い草を聞きつつ、エスカレーターを登って、2階へと上がる。此方も1階同様に破壊し尽くされている。あまり、ハンズに物を期待できない時になってしまったな、と自嘲しつつ、下から上へと向かって悪魔を処理する為にゴズキのいる方角へと向かう。

 

 身を低くして隠れつつ、ゆっくりとゴズキの居る方へと進んで行き、物陰からゴズキの姿を窺う。そこには五匹ほどのゴズキの姿が見える。股間に突き刺さっているのは女の姿であり、人間の体では受け止めきれない逸物を受け止めた女の股は裂けている。裂けたまま、それをオナホの様に使いながら、頭を齧って食べている。その姿をゲラゲラと笑いながら見て、内臓をパスタの様に啜っているゴズキがいる。

 

 他のゴズキ達もそれを見ており、笑ったりしている。

 

 気持ち悪い。

 

「サマナー……」

 

「解ってる。流石にあの時みたいに飛び出したりはしないさ」

 

 ナカノの事務所で、インプが犯していた女たちの事を思い出す。悪魔はどいつもこいつもこんなものだよな、と自分に言い聞かせ、軽く息を整えて落ち着く。冷静に、心臓が痛むのを無視しながら隠れたまま、動かずに待つ。俺もいい加減、慣れるべきなのだ……この、人でなしの世界。そうしなければ生きていけないのだ。

 

 甘さはどこかで捨てなきゃならない。

 

 だからチェフェイがドルミナーを放つ瞬間を冷静に、落ち着いて、ゴズキ達を隠れて眺めながら待った。嗤いながら死体を犯し、犯しながら食う冒涜的な様を。そしてその姿がドルミナーによって奇襲され、倒れてからゆっくりと隠れていた場所から起き上がり、

 

 頭の裏に銃を突き付けて疾風弾を撃ち込む。三発撃ち込めば死亡する。残った睡眠中のゴズキをベルが脳を焼くように電撃を流し込んで静かに殺すのを確認して、少しだけ満足な吐息を吐き出す。今のは良かった。

 

「これで2階はクリア、と。次は3階だな」

 

 同じことを油断せずに繰り返せば、先ほどの様に問題なくゴズキを殺す事が出来るだろう。油断せず、慢心せず、作業的に殺す。そうして生き残り、

 

 強くなる。もっと、体や技術、スキルだけではない。

 

 誰でもない、俺自身の心が非道を見ても心が痛まないほどに、見ても一瞬も動揺せずに頭をぶち抜けるぐらいに、心が強くならなくてはならない。

 

 弱い奴に明日は来ない―――崩壊世界はそういう場所なのだから。

 

「油断せずに確殺して行こう」

 

 仲魔達にそう告げ、疾風弾の残弾を確かめながらエスカレーターを登る。




 レベリングは忘れずに。そしてR18も忘れずに! 最近仕事してなかったなぁてめぇ!!

 メガテンというゲームはどれだけメタって殺せるかに限る。それはそれとして、そろそろアップし始めるR18の表記さん。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。