※この作品はR-18です。

女神転生Genesis   作:てんぞー

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再生し始める世界 Ⅶ

 ゴズキの動きに合わせて一気に踏み込んだ。振るわれる斧を飛び越えるように蹴り、その頭上へと飛び越えながら逆さまになって、頭上に弾丸を降らせながら飛び越え、着地した。反対側へと足を下ろす頃には頭上から疾風弾の雨を受けたゴズキが穴だらけになって消え去る瞬間だった。L&Oの弾倉を外し、同時にストレージから新しい疾風弾の詰まったマガジンを取り出し、突き刺すような手の動きで一気に装填する。その間に襲い掛かろうとしたゴズキは踏み出した一歩で体を停止させていた。

 

 シバブーだ。神経系魔法による拘束で動きを停止させられていた。神経弾を使わずに相手の足を止める事が出来る、非常に優秀な魔法だった。やっぱり、悪魔合体を行ってスキルの継承をするとまるで使いやすさが変わってくるな、とここばかりは支配人を認めなくてはならなかった。

 

「結構派手に動くわね、サマナー。アクロバット好きだとは知らなかったわ」

 

「いや、L&O握ってるとなんか不思議とそういう気分になるんだよ……こう使うんだよー、って教えられている感じに近いというか。こういう風に使われていた感じがするというか。それに派手さならベルの方が……」

 

「え?」

 

 ゴズキの心臓に腕を突っ込んで、内部から電撃を流し込んで黒焦げにしているスーツ姿のベルはある種、ホラー染みていた。ただ上着を脱ぎ捨てた、シャツだけの状態はかっこいい姐御という感じがして、実に心強いビジュアルだった。

 

 思えば亀、ロリ、手榴弾。そんな仲魔ばかりだったのだ。

 

 ここで大人な仲魔が増えるのは歓迎すべきことだったのかもしれない。だってどう見ても悪魔を連れている風には見えないし。というかデビルサマナーにすら見えない。今までで、コスプレロリと魚を装備した痴女とかいう集団だったのだ。漸く、なんかまとも―――じゃないな、と正気に戻る。

 

 仲間になったのただのOLじゃねぇか。ただのかっこいいOLじゃねぇか。

 

 まぁ、それはそれとして、頼りになる仲魔であるのは間違いがない。なんといっても種族:魔王だ。他の悪魔とはまるで次元違いの格だ。同じレベルが相手であれば圧勝出来るだけの能力とスキルを兼ね備えているのだから、頼りになる。ぶっちゃけ、戦力的な意味ではエース級でもある。まぁ、レベルが下がっているだけであの合体チャートを上がったり下がったりしたのを既に終えたような状態なのだから当然と言えば当然だ。

 

「ふむ……サマナーの才能はそういうモノなのかもしれないわね。《ガンスリンガー》なんでしょう? 下手に他の武器に手を出さず、銃だけ使い続けてた方が良さそうね」

 

「男としちゃあ後ろに居て守られている、ってのには不服を感じなくもないけど、サマナーの死は敗北でもあるしなぁ……」

 

 まぁ、後ろからちまちま銃を撃っているのが正しいのだろう、というのは解る。L&Oを軽く回転させてから握り直しながら、この銃の前の持ち主の事を考える。果たして、これを使っていた人物はこの銃をどういう風に使っていたのだろうか? なんとなくだが使っていて解るのは、相当破天荒な使い方で、それこそ悪魔や異能者が使う様なスキル、特技に近いものがあるのを感じていた。練習すれば自分も使えるかもしれない。そんな邪な考えを抱きつつ、

 

 ゴズキの殲滅を終わらせる。

 

 2階、3階と殲滅すると、4階に上がってくる。ここまで来ると流石に上に居る悪魔どももそれを把握しているのか、警戒態勢を敷いてくる―――というより、上の層に居る悪魔が集まっている。ゴズキを一方的に殺す相手だから集まって袋にしよう、という判断なのだろう。間違ってはいない。

 

 相手が先手を取れるのなら。

 

 《ハニー・ビー》と《エネミーソナー》に《百太郎》の組み合わせはこういう場合、鬼畜だ。容赦なく相手の居場所をマップに表示し、その上で奇襲を防ぐ事も出来る。つまり相手が慌てて此方に対して対策を取ろうとしているのが丸わかりなのだ。これほど恐ろしいアプリもないだろう。これが俺の力だ! と、言いたい所だが、ぶっちゃけ、スティーブンが作ってくれなきゃ無力だからそんな事は絶対に言えない。

 

 与えられた力だと自覚し、その上でそれを飼い馴らすのが重要だ。調子に乗ってはならない。戒めるのだ。自分は本当は無力である、という事実を。それはともかく、4階の更に上、5階に悪魔が固まっているのをソナーが感知していた。

 

「スダマ先輩の出番か。ここは一発、手加減した花火を」

 

『我慢できぬゥ!』

 

「駄目そうじゃな」

 

「というか会話が今成立した事実に驚いたんだけど。もしかしてそこらへんに死兆石落ちてないかしら?」

 

「我慢できぬぅー」

 

「ふえんな」

 

 まぁ、そうだよね。スダマ先輩に我慢とかいう概念は存在しないよな。知ってた。めんどくさいから一気に爆破処理してしまうのが一番楽だったが、これはどうもそう行かないようだった。ソナーを確認する限り、確認できる悪魔は31体、その内26体がゴズキ。となると残りがオニだろう。数はかなり多い。しかもオニがラク・ンダを習得する事実と、ゴズキがシバブーを使える事を考えたら、この数は流石に面倒だ。

 

 シバブーからのラク・ンダラッシュで即昇天する。まぁ、やっぱり、一方的に集めてぶち殺すのが一番だろうな、とは思う。まともに戦う必要はない。

 

 ソナーで敵の固まっている場所を確認し、クールマを召喚する。これで完全に戦闘中、同時に指示できるキャパを超過するが、それはそれとして、簡単な指示を事前に出せば問題は解決する。

 

「重力魔法で上の階を落として落ちてきたところを纏めてドルミナーしつつ永眠させようぜ」

 

「ドン引きなんじゃが」

 

「異界化させて無い奴が悪い」

 

「一理あるわね」

 

 クールマは一瞬で姿を亀形から人型へと変え、片手を腰に、もう片手を掲げる様にかっこいいポーズを決めていた。最近は登場シーンにでも凝り始めたのだろうか、こいつ。

 

「魔王も人間も、趣向を凝らすという意味では同類さ! 僕としては大いに結構! ただ戦争でこういうセメントルールを持ち出すと泥沼の殺し合いに発展して終わりが見えなくなるから気を付けよう! 僕との約束だ!」

 

 中身は割とガチの警告だった。

 

 召喚されたイケメンモードのクールマはグラダインを発動するとそれを放たず、素手で掴み取って圧縮させ、それを剣の形へと変形させた、重力剣を二本生み出して二刀流で掴んだ。お前、そんな事が出来たのかよ、と軽く戦慄しつつも、しっかりと仲魔達はスタンバイを完了させていた。

 

「ステンバーイ……ステンバーイ……あ、こっちこっち……そそ、そこが真下。バレてない? バレてねぇなこれ」

 

 ここまで準備してバレないかー。まぁ、異界化させて無い方が悪い。異界化させていれば簡単に壁を越えるとか階層を無視するとかできなくなるらしい。まぁ俺(・)の(・)前(・)に(・)は(・)そ(・)う(・)い(・)う(・)異(・)界(・)の(・)惑(・)わ(・)す(・)効(・)果(・)は(・)意(・)味(・)が(・)な(・)い(・)ら(・)し(・)い(・)のだけれども。

 

 ともあれ、

 

 やる事は簡単だ。ジェノサイドである。

 

 ゴーサインをクールマへと出せば、悪魔達が集まっている足元、つまりは此方から見て天井を十字に重力剣で斬撃を刻み、十字架の形に圧壊させて、一瞬でフロアを破壊した。そうやって穿たれたフロアの穴に足場を失った悪魔の姿が落ちて来た。その姿をチェフェイが、クールマのポーズをパクりながらドルミナーを放つ。

 

 精神耐性の無い連中であり、避ける場所も逃げる場所もなく、30を超える悪魔が一瞬で無力化させる。

 

「うわぁ、チョロい」

 

 呟きながら眠っている悪魔の姿に弾丸による攻撃を開始する。マハジオンガと竜巻も同時に発生し、眠って無力化されている悪魔達を一瞬で虐殺し、Magに分解して滅ぼして行く。数秒後には折り重なるように山を築いていたゴズキとオニの姿が完全に全滅していた。その景色を眺め、軽く頭の裏を掻いた。

 

「……予想以上に平和に終わったんだが」

 

「毎度毎度ハプニングに会っても困るでしょ? というかそうそうハプニングなんてないわよ」

 

 ベルの言う通りだった。だけど基本的にハプニングばかりなサマナー生活を続けていたので、こうやって何事もなく戦闘が終了するとなんというか、若干物足りない感じがある。いや、最近の生活が非常にアレだったのかもしれないが。まぁ、それは今は忘れようと呟き、ハンズの復興はお金がかかりそうだなぁ、と考え、レベルも上がったしうはうはだー、と言って、

 

「帰るか」

 

 裏社会人生活の一歩目を終わらせた。

 

 

♦

 

 

 生存者は無し。大体は犯されて死んでいるか食われて死んでいるか。そのどちらかのみだった。証拠として写真を撮って、それをそのまま見せて提出、悪魔の討伐が完了出来た所で依頼は完了だった。報酬としてマッカ、そして香と呼ばれるアイテムを一つ受け取った。香というアイテムは凄まじいもので、これを使用する事でレベルアップをせずに能力を上げる事が出来るという代物だった。個人的にはそれよりも反魂香の方が欲しかったが、それでも貴重な能力の増強手段だ。

 

 自分よりも、アンの方が前に出るから彼女に後で使おうと思いながら依頼を終わらせたところで、

 

「さて、どうやら君は中々優秀なサマナーであるらしい。その傷のない体が何よりも戦歴を雄弁に語っている。この悪魔の出没する業界で隠れて戦って無傷でいられる、というのはマハ系統の広範囲魔法を考えると難しい。つまりはそういうのを放たせる前に倒せるだけの実力がある事を証明する―――その実力を見こみ、新たな依頼を提供したいが、どうかね?」

 

 オニとゴズキの集団を始末した事でレベルは21にまで上がっていた。格上を数で殺しているのだから、当然と言えば当然のレベルアップだった。だがこれでレベルはオニに近くなった。更にレベルアップを加速させるなら、もっとレベルの高い悪魔を倒す必要も出てくるだろう。生き残る事には必至だし、強くなることは必須。そうなってくると当然、断る理由なんてない。

 

「よろしくお願いします」

 

 その言葉を待っていた、と言わんばかりにモノクルが依頼書を引っ張って来た。それを受け取り、内容を確認する。

 

【シブヤ奪還作戦】

 

「シブヤの奪還作戦」

 

「然り。現在のシブヤは悪魔の巣窟となっている。特に困るのはハーピーをはじめとした妖鳥共が厄介だ。問題はレベル30の悪魔、ケライノーがシブヤ駅近辺に大量に確認されている事だ。あそこはシブヤ奪還のための拠点として利用する計画がある。ヤタガラスから結界を張れる人員を借り、シブヤ奪還のための動きを作る。その為に腕に覚えのあるサマナーやバスターを募集しているのだが……どうだね? 興味はないかね?」

 

「ケライノーか……」

 

 アプリの全書を使って情報を確認する。ケライノーのレベルは30、つまり自分たちよりも10レベル近い差のある悪魔であり、破魔と呪殺に耐性を持っている。だが射撃、衝撃、神経に対して弱点を保有している為、距離を開けて撃ち殺せば比較的安全に戦えるだろう。まぁ、今回もアンの竜巻が突き刺さる相手だな、という認識だ。

 

 魔力は高め、だが運と耐が低い悪魔だ。速さが驚異の高さを誇っているが……スク・ンダを使えばそこまで問題はないだろう。それに神経弱点ならシバブーが良く刺さる。後は保険にクールマを出してダメージを肩代わりさせる準備をさせておけばいいだろう。

 

「あー……でもケライノーってジオとムド持ちかー……」

 

 クールマはジオが効く、というか電撃弱点がある。その為、STUNハメが通じてしまうのだ。ただ衝撃弱点である事を考えると、アンの竜巻で無双できるので結構美味しい相手なんだよなぁ、と思える。まぁ、クールマのダメージ肩代わりはあくまでも保険だ。既にムド等の呪殺対策はしてあるし、相手に弱点を攻められる事を考えたら結構美味しい相手だと思う。

 

 まぁ、問題はレベル差だ。レベル差の影響で苦労するかもしれないって所だ。だけどその場合は味方の支援と敵の妨害に回れば良いし、そこまで悩む事でもないか、と思う。まぁ、つまり、

 

「いや、行けるな……よろしく頼む」

 

「解った。作戦は明日になる。9時に再びここに来ると良い。それまでは別れを惜しむか、或いは準備をすると良い」

 

「了解」

 

 明日の仕事を予約したところで離れて、軽く背を伸ばす。最終的な判断は電撃と呪殺耐性を持つベルがいる事が決定打だった。ケライノーは個体によって電撃無効化を持っているのとそうではないのがいるらしいが、ベルにはオニを狩った事でレベルが上がり、電撃ガードキルが備わった。これで吸収ではない限り、誰が相手でもマハジオンガとジオダインで応戦する事が出来る。何より、ムドとジオ、或いはジオンガを持つケライノーを相手に最小限のダメージで立ち回れるというのが良かった。

 

 やはり、魔王という種族は恐ろしいほどに優秀だ。何せ、耐性と無効化はあっても、弱点が一つもないのだから。ベルの様にガードキルスキルか、或いは万能魔法でもなければ戦うのは難しいだろう。

 

 そしてそういうのが敵として現れた場合、現状だと即殺されるという事実が実に恐ろしい。

 

 やはり強くならなくてはならない。

 

 もっとだ、もっと力が必要だ。更に強くなる必要がある。心も、体も。技も磨かなくてはならない。L&Oを握っていると、そういう技術が使えてくるような、銃そのものに染みついた業を振るえるような気がしてくる。だからもっと、もっと使い込まなくてはならない。俺には油断も慢心も、安心もしている時間もない。

 

 もっと悪魔を殺して、強くなり続けなくては―――。

 

「リ(・)ュ(・)ー(・)ジ(・)」

 

 仮事務所から少し離れた場所で呆けていたのを、アンの声で正気に戻る。両手で顔を抑え込まれ、視線を合わせられている。

 

「そっちはダメ」

 

 真剣に、普段はつっかえる様な言葉も、はっきりとした声で言った。真剣に、そして想う気持ちがアンから伝わってくる。

 

「ソ(・)レ(・)は駄目」

 

 言い聞かせるように、教える様に、心配する様に、叱る様に、そういう風にアンは言葉を放った。しっかりと、迷う事無く。目と目を合わせ、言葉が届くようにそう言われ、少しだけ呆然としたが、ふぅ、と軽く息を吐いた。

 

「……そうだな、戦闘で脳味噌使って、ちょっと疲れたんだ。今日は何もせず、戻って休もう」

 

「ん……それが……一番」

 

 満足そうに呟いた。しかし今、どさくさで名前を呼ばれた気がする。頬が少し緩むのを感じつつ、視線を反らし、背筋を伸ばした。

 

 ……ちょっとだけ、自分を追い込みすぎたかもしれない。世界は崩壊しているけど、ゆっくり世界は消えているのだが……それでも1年や2年で世界は完全崩壊しない。その前に次の扉を見つけてしまう方が早いだろう。そして本来、レベルはもっと時間をかけて上がるものなのだ……急いだ所で、本当の強さは変わらない。

 

「良し! 変な事を考えるのは甘いもんが足りないからだ! 帰ってパフェでも支配人に作らせようぜ!」

 

「楽しみ」

 

『閣下の作るパフェ……ね。流石にちょっと興味あるわね』

 

 悪魔王が作るパフェとか絶対オークションで売れる気がする。というかビジュアルを想像するだけで笑えて来る。あぁ、そうだ、暗い事を考える必要はない。もっと楽しい事を考えて、生きている方が百倍心に健全だ。少なくとも、アンがいる限りはそう簡単にどっか、溺れる様な事はないだろうと思う。

 

 振り返り、アンの顔を見て、彼女の存在に感謝しつつスティーブンのバーへと戻る事にする。

 

 

♦

 

 

 軽くマーケットを見て回ってからスティーブンのバーに帰還すると、そこにははっきりとした人の姿がカウンター席に増えていた。前までは半透明と言える希薄さだったが、今では明確に存在している、と呼べる人の姿がある。赤いコートを着た、イケオジという言葉が似合いそうな中年男性は白と銀の中間とも呼べる髪色をしており、その背には巨大な剣を背負っている他、銃を装備している気配がする。

 

 凄まじいまでの魔力をその体内に隠し持っているのを感じつつ、

 

 ストロベリーサンデーをカウンター席で食っているのを目撃してしまった。

 

「帰って来て早々これかよ……」

 

「安心……安定……」

 

「Hum?」

 

 アンと肩から力を抜いて並んで店内に戻ってくると、サンデーを食べていた男が此方へと振り返った。少しだけ髭のはやしたイケオジはHmm、とどことなくアメリカンな英語を発音しながら此方とアンを観察し、両手でカメラのフレームを作っていた。その間に恒例の《アナライズ》を反射的に使う。

 

デビルバスター ダンテ Level99

 

「お、バグかな」

 

 声を震わせながらそんな言葉を何とか吐き出した。いや、だって、レベル99ってなんだよ。超人があれとかこれとか、そういう次元を超えている。明らかにカウントストップとかがかかる綺麗な数字ではないか。へぇ、人類って頑張ればそんなに強くなれるんだね、とか言いたかったけどまるで笑えない。いや、この数字絶対におかしいだろう、と思っていると、

 

「お、ひ……さ」

 

 片手を上げてアンが挨拶していた。それを見てダンテという男はHey、と声を零した。

 

「なんか違うなぁ、と思っていたが新手のイメージチェンジか? それとも兄妹かなにかか? ま、悪魔なんてそんなもんか。Hey! Waiter! そこの坊主の奢りでこの……Ah-……魔界ストロベリーサンデーってのを頼むぜ」

 

「ごめん、ツッコミどころが多すぎるから作戦会議して良い?」

 

「良いぜ、10分待ってやる」

 

「ゴミ箱……か、棺桶……?」

 

 アンの続くような言葉に、ダンテがウィンクを送ってくる。それに無言でアンがサムズアップを返した。魔王ベルゼブブとのコネクションを持っていたり、レベル99のデビルバスターとコネクションがあったり、本当にこの子、一体どこ出身なのかが非常に気になってくるが、そこが問題ではない。

 

 隅っこの方へと逃亡し、アプリ内部の悪魔と緊急会議を開く。

 

「どうしよう。ツッコミどころ多すぎてどう接すれば良いか解らない」

 

『明らかに人類の上限を突破しているタイプだよね! 残念! 僕らの旅はここで終わる!』

 

「そこ、勝手に終わらせるな。終わりません。まだ終わらせません。俺の旅は続くのだここで死にたくないよぉ……ってことで! はい! 次! 頼りになる姐御どうぞ!」

 

『最強の悪魔狩人(デビルバスター)って言われるダンテ、ね。生身で魔界に乗り込んでターゲットを殺しに来るぐらいにはアクティブよ、アレ。業界ではかなりの有名人よ。悪魔でさえ泣き出すって。悪魔にとっての死神とか。良い年してるくせに完全にDQNだとか』

 

 評価がぼろくそである。というか聞けば聞くほど絶望的なお方なのですが。大丈夫ですかね、俺の命とか。そんな事を考えていると、チェフェイの言葉が続き、

 

『まぁ、アレ大丈夫じゃろ。なんか馬鹿っぽさとイケメンっぽさが亀に近い気がするし』

 

『我が真名はメガフライゴン』

 

 スダマ先輩の一言でタイムは終了した。そうか、イケメン系なら大丈夫かなぁ、なんてことを考え、タイムを終わらせてから振り返り、とりあえずサムズアップをイケオジダンテに向けてみた。返ってくるのはチャーミングなスマイルだった。

 

「駄目だ、男という生物として絶対に勝てる気がしない……もう死ぬしかねぇなこれ……」

 

『サマナー! サマナァ!』

 

 DDSから仲魔のコールが聞こえる。

 

「いや、だってアレを見ろよ」

 

 スマイルの破壊力に胸を押さえて俯いていた視線を持ち上げて、再びダンテへと向かって視線を向ければ、いつの間にか口元に一凛の薔薇を咥えていた。どこからどう見ても馬鹿な光景なのに、ただしイケメンに限る、の如くの似合いよう。

 

「アレは俺がやったら絶対に滑る」

 

『そうね』

 

『そうじゃな』

 

『そうだね!』

 

 仲魔からの追撃で心が折れそう。思わず膝を折りそうな所で、ダンテがとんとんとん、とテーブルの横を叩いた。

 

「まぁ、こっちにこいよ坊主。お前の事を待っていたんだしな」

 

「うっす……」

 

 ふらふらと体を揺らしながらダンテの隣の席に座った。そうやって腰を下ろすと、がしり、と肩を掴まれた。あ、死んだな……と心の中で確信していると、目の前にストロベリーサンデーが運ばれてきた。それを見てから、横のダンテを見た。

 

「坊主、それはお前の金で頼んだもんだ―――喰え」

 

「寧ろ俺が食べられなかったら驚きだよ」

 

「その意気だ坊主」

 

 意味が解らない。だけどストロベリーサンデーは美味しく、厨房から隠れながら覗き込んでくる支配人の表情は満足げだった。あの悪魔王、どんどん自分の方向性見失ってない? そんな事を考えながらストロベリーサンデーを食べ進めた。なんとなくだがこの横のイケオジ、なんというか……C-L寄りの人物だな、というのを感じ取った。

 

 そもそもこのバーに居る時点で危険人物ではないのだろう。その考えに至った所で少しだけ、肩から力を抜ける。はぁ、もう甘いものだけ食べて脳味噌空っぽにしようとしたところで、

 

「で、お前後ろのかわい子ちゃんの事絶対好きだよな? どこまで行った? もうベッドまで行った? え、もしかして童貞? マジかよ……良し、俺が女を口説く方法を教えてやるよ」

 

 その発言にストロベリーサンデーを思いっきり噴き出した。

 

 どうやら、バーにまた傍迷惑な奴が増えたようです。

 

 安息の場所さえ奪われて行くような胃の痛さを感じ始めていた。




 皆大好き年をとっても変わらないイケメンのオジサン。1ンテは落ち着きあったよなぁ、とか思っていると4ンテで裏切られる。まっぁ、2ンテは公式でもやや黒歴史扱いされているしね……。

 ちうわけで、イケオジがバーに住み着いた。

 そろそろ仕事をしてほしいR18の季節。
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