※この作品はR-18です。

女神転生Genesis   作:てんぞー

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再生し始める世界 Ⅷ

「正直へこむわー……」

 

 自室のベッドに倒れ込んだ。新しい無敵に近い実力の持ち主の住人、ダンテ。なんと表現すべきか―――そう、善人だ。C-Lで分類できる善人。なんか普通に良い人なのだ。言動が破天荒で一切遠慮がないけど。だからこそへこむ、というか負けた感じが凄く強い。切り口が滅茶苦茶フランクで常識ってなに? って言いたくなるやり方だった。だけど確かに、印象付けるのとずかずか踏み込んでくるやり口としては正しかった。そうでもなければ寄ろうとも思わないし。ダンテは自分が超越者で、そして恐れられる存在だと理解しているのだ。

 

 そして一度話してみれば普通に面白い人だった。悪魔に対する殺意は人一倍だったが、それでも話してくる内容は面白かった。何が気に入られたのかはわからないが、女の口説きとか勝手に教えられるのだ。

 

 ちょくちょくベルト……というよりはルーチェ&オンブラへと視線が向かっていたが、欲しいのだろうか? メインウェポンなのでちょっと困る。

 

 そんな事を考えながら、自室のベッドに倒れ込んでいた。かっこよくて強くて、それでいて精神的にもイケメン。勝てる要素が欠片もないのだ。いや、そりゃあ比べるのが馬鹿々々しいというのは解るが、好きな子の前で格好良いままでいたい男の子としては、こう、中々に複雑なものがあるのだ。だって身近にいるイケメンとかアレ、絶対に比較対象じゃないか。

 

 言葉にせずとも頭の裏でどうしても比較してしまうのだ、人間という生き物は。もう、出て来た時点で勝てない。勝てるわけがないのだ。だからベッドに倒れ込んで、枕に顔を押し付けて、そして無言で何とか心を持ち直している。まぁ、しばらくは適当にうだうだしている。無論、アンにこんな姿は見せたくはないので、部屋の外で鳩と遊んでもらっている。アンも鳩には恨みがあるらしく、ついつい荒々しく遊んでしまう。

 

 まぁ、遊び相手がいるのは良い事だ。しばらくは顔を見せられそうにない。

 

 割と真面目に落ち込んでいる。

 

「はぁー……いいや、少し寝て起きたらメンタルリセットして頑張るかー……」

 

 落ち込んでもまた立ち上がればいいのだから。だからはぁ、と溜息を吐いて脳味噌を空っぽにする。自分が底辺であるという事を脳味噌に刻んで、そして落ち着かせる。そう、自分は底辺の人間だ。人を殺して、見捨てて、そして一人だけ生き延びようとした。だから何も変わっていない。勝手に自分に自信を無くしているだけだ。そう思うと少しだけ落ち着く。

 

『のう、サマナー。少し、話を良いじゃろうか?』

 

 チェフェイのそんな言葉に眠ろうとしていた顔を持ち上げていた。いいぞ、と呟き返すが、

 

『いや、真面目な話じゃから召喚して話したいんじゃ』

 

「ん……?」

 

 なんと言うべきか、珍しくチェフェイのトーンが真面目な物だった。基本的にオチというかギャグを担当しているチェフェイのその態度に、倒していた体を持ち上げながら、DDSからチェフェイを召喚する。召喚されたチェフェイはそのまま、

 

「……あまり聞かれたくない話じゃし、一時的にロックしてくれても良いかのう? オフレコという奴じゃ」

 

「お前その見た目でオフレコとか横文字を結構使うよな……まぁ、いいけどさ……」

 

『えー』

 

 クールマの声が聞こえたが、それを無視してDDSから一時的に観測を遮断する。問題はない。反逆は悪魔との契約で縛られているし、聞こえていない状態でも悪魔を召喚することは出来る。何より、チェフェイから感じるのは真面目な気配で、そして反逆とかそういうモノは感じなかった。だから起き上がり、ベッドに座り直しながら、チェフェイへと視線を向けた。

 

「んで、どうしたんだ。改まって。契約の解除は正直、めちゃくちゃ困るから説得させて貰うけど」

 

「いや、妾としてもこんな楽しい居場所を捨てる予定はない。細かい不満はそれは色々とありもするんじゃが、それはそれとして、サマナーと今の待遇に妾は十二分満足しておるんじゃからな。だけど問題はそういう所じゃないんじゃよ」

 

 チェフェイはそう言うと良いか、と言葉を置いて、間を置く。

 

「妾、サマナーの人修羅への想い知っとるぞ」

 

「良し、死のうか」

 

「サマナー! 待て待て待て!」

 

 ストレージからミニガンを引き抜こうとしたら全力でチェフェイに止められた。だがこの恥ずかしさは誰にも知られたくなかった。こうなったらやはりチェフェイを殺すべきではないか? と即座にデストロイ思考が浮かび上がってくる。やはり、世紀末マインド化している自分を感じた。だがチェフェイは此方の動きを制すると、

 

「妾は欲望を糧とする悪魔じゃから! だから人間の欲望は特に良く解るんじゃよ。アレが欲しい、これが欲しい。アレが要る。アレが―――……という感じじゃな。まぁ、だから他人へと向ける感情とかも妾には良く伝わるんじゃよ。サマナー、結構な頻度でラブラブ光線を送ってるし」

 

「ラブラブ光線止めろ。ほんと死にたくなるから止めろ」

 

 ミニガンを捨てて頭を抱えて蹲る。そんなに解りやすい想いだったのだろうか? 自分では結構うまく隠していたつもりだったのだが。あぁ、でも、考えればアンには優しい所ばかりを見せていたなぁ、と思う。明らかに他の連中とは対応が丸っきり違うし、これは見る奴がみれば一瞬で解るよな、と思えた。あぁ、やだ、死にたい。自分は本当に大した人間じゃないのだ。そも、この懸想ですら分不相応だ。

 

「それじゃ、それ」

 

「ん?」

 

「いや、口には出しておらぬが、サマナーの感情の変動とかは妾はよーく伝わってくるんじゃよ。契約してるから。というかおやつ代わりにちょくちょく食べてるから」

 

「お前……」

 

 驚愕の新事実に慄いている中で、チェフェイが言ってきた。

 

「サマナー、貴様は自己評価が低すぎる。というか欲が無さ過ぎ。今も膨れそうだった欲望が一瞬で霧散したし」

 

 自己評価が低い、とはチェフェイが言う。だがそれは違うと断言できる。

 

「いや、俺(・)は(・)そ(・)う(・)い(・)う(・)も(・)ん(・)だろう」

 

「いや、だからそれは過小評価し過ぎじゃよ。というかそれがいかん。その考え方はサマナーを殺しておる。いや、過小評価ではないな、これは卑屈になり過ぎてるとでも言うべきじゃろうな」

 

 チェフェイの言いたい事は解る。だがそれはそれ、これはこれ、だ。俺が事実として多くの人間を見捨てたのは本当の事だ。そんな奴を普通だとは認めてはならない。それを認めてしまったら、自分の中で何か、大切なものが、ラインを超えてしまいそうな気がするのだ。

 

「別に妾は自分の過小評価はある点では悪くはないと思っている。そういう心の守り方だってある。じゃがサマナーのそれは度が過ぎるんじゃよ。毒となって自分自身を苦しめているのに、気付いておるじゃろう?」

 

 チェフェイに言われて、自分の胸を押さえた。突発的に感じる狭心症を患っていた―――世界が崩壊したその日から。だけどその痛みを肯定していた。これは俺が背負うべき痛みなのだから。俺が、俺だと自覚する為に必要な痛みだった。痛みを忘れては獣になってしまう。悪魔と同じ存在になってしまう。だから、痛みで俺が屑であるという事実を忘れない様にしなくてはならないのだ。だから俺はこれを肯定していた。だがチェフェイは近づきながら、頭を横に振った。

 

「サマナーのそれは必要のない罪悪感じゃ。妾しかたぶん、これ、言わんじゃろうから断言させてもらうぞ? サマナーのその感情も考えも罪悪感も、全部余分じゃ」

 

「そうだと解っていても、俺が誰かを犠牲にして生き残ったという事実を忘れちゃならないんだよ……」

 

「違う、そうじゃないんじゃよ、サマナー。サマナーはそれを重く受け止め過ぎているんじゃよ。思い詰めていると言える状態で。じゃからダメなんじゃよ。それを受け止めるのも自覚するのも良い。だがそれが心身に影響を与える度合いで思い詰める必要はないんじゃよ」

 

 そう言われても困る、とチェフェイの姿を見ながら苦笑した。珍しく、本当に珍しくチェフェイは真面目だった。いや、そもそもあの普段のコミカルな姿はキャラづくりの一環だ。だとしたらこうやって真面目に話せるほうが素なのかもしれない。そう思うと真面目に心配されているんだな、と解る。だがそこはどうしようもない。忘れてはならないし、戒めなくてはならない。

 

「あー……だからそういう所がダメなんじゃよ……」

 

 呆れながら言うチェフェイは良いか、と言葉を置きながらビシ、と指を此方へと向けて突きつけた。

 

「サマナーよ、汝の心は弱い」

 

「……おう」

 

「だから他人と比較し、勝手に落ち込む。好いた女にアピールする事も出来ぬし、戒めると考えながら心を痛めている。サマナーは器用な男ではないのは解っている。だからこそ愚直に行動してしまうのだろう。これでは妾のサマナーが壊れてしまうではないか……」

 

 そう言うとチェフェイは此方に近づき、そしてベッドに腰掛ける此方の前に立つと、両手を腰に当て、そして胸を張った。

 

「じゃからこの妾が情けないサマナーに自信を付けさせてやろう。サマナーがそこまで卑屈になれるのはサマナーが男として劣っていると己を感じているからじゃ。つまり、サマナーは自分が雄として魅力に欠けていると感じているのじゃろ!」

 

 

「うん……うん?」

 

 なんか変な方向に今、流れてない? そう思うと、チェフェイが股の間に座り込んできた。体をジャストフィットさせるような背の小ささはすっぽりと体に包まれる様に収まる。その中で、狐面を軽くズラした和服の少女はその状態から見上げて来た。

 

「妾を抱け、サマナー。度胸を付けてやろう」

 

「何言ってんだお前」

 

 両手で拳を作って、それをチェフェイの頭に当てて両側からぐりぐりと抑え込むと、チェフェイが軽く悲鳴を零すが、逃げる様子は見せずに三尾の尻尾をぐるり、と此方の体に回して押さえつけて来た。本格的に逃げる気はなく、ある程度本気であるのが伝わってくる。

 

「痛い! サマナー痛い! めっちゃ痛い! 妾本気じゃから! だから解放して! マジ解放プリーズじゃの!!」

 

 謝りもせずに言い続けている手前、本気なのだろう。ゆっくりと手を下ろし、チェフェイを見下ろした。チェフェイはその視線を受け、溜息を吐いた。

 

「良いか、サマナー。こんな状況でそういう行動を取るから童貞臭いんじゃ」

 

「心へのダイレクトアタックは止めて」

 

「いや、止めぬわ。サマナーは無駄に卑屈になっておる。それはサマナーが自分に自信がないからじゃ。そういうのはちょっとした遊びや余裕を覚えればすぐに生えて来るものよ。無駄に無欲を装っていないで、少しは遊びを覚えた方が良いぞ、サマナーは。だから仲魔の中で一番抵抗がなく、この手に詳しい妾が教えよう」

 

「俺、別に無欲でも何でもないだろう!?」

 

「いや、サマナーは無欲じゃぞ。結局のところ、何を求めるにしても必(・)要(・)だ(・)か(・)ら(・)欲(・)し(・)い(・)という最低限の欲しか見せておらん。僧侶でもなんでもないんじゃから、そこまで我慢すると逆に毒じゃよ、毒」

 

 断言される、良く見られている言葉に黙るしかなかった。チェフェイはそのまま、

 

「安心せい、サマナー。妾も別に悪い事をする、というわけではない。ただ単純にサマナーの事を思っての事よ」

 

 そう言うとチェフェイの服装から羽織が消える。薄手の和服だけの状態になり、軽く肩を見せる様に露出させた。

 

「……第一、初めて相手をするとき、下手だと言われたくはないじゃろう? そこら辺の知識を妾が座学を含め教えるつもりじゃが」

 

「うぐっ……」

 

 そう言われると弱い。確かに性知識なんて全くない童貞であるのは事実だし、初めての時にやーい、へたくそー、って言われでもしたら滅茶苦茶死ねる。というか世界とかどうでもいいから首を吊る自信が自分にはあった。果たして、それをチェフェイが理解しているかどうかは別として、チェフェイは此方が迷っている間に和服を更にはだけさせていた。

 

 腰の帯を完全に解き、和服を完全にはだけさせて胸と下半身が露出していた。服を着ている、というよりは袖だけを通しているという状態だった。上から覗き込めば起伏の少ないチェフェイの体が見えた。それを見て、恥ずかしくなり、軽く視線を反らすが、

 

「ほれ、サマナーよ。それでは勉強にならんじゃろうが。猿の様に食い入るように見ろとは言わんが、自分から脱いだ女から目を反らすのは女に恥をかかせることじゃぞ? そんな風に目をそらさずに、妾が見せているのだから、もっと良く見ると良い。そして見るという事そのものに慣れるんじゃぞ?」

 

「無理を言わないでくれよ……」

 

 これでも結構限界なんだけどなぁ、と呟いていると、チェフェイが此方の手を取り、それを彼女の体へと寄せて来た。

 

「女を自らの手で喘がせ、屈服させるというのは征服感を生み出す行いじゃよ、サマナー。少なくともそれは間違いなくサマナーのガス抜きにも自信にもつながるからちゃんと聞いておくんじゃよ? 良し、まずは愛撫の仕方からじゃ。前戯は大事じゃからちゃんと恥ずかしがらずに見て、聞くんじゃよ?」

 

「お、おう」

 

「大丈夫かのぉ、これで……」

 

 そう言いながらも重ねた手をチェフェイは自分の体に触れさせた。僅かに熱を持った未成熟な体の、ぷにぷにとした肌の感触が指に伝わってくる。生まれて初めて、女の裸の体に触れているが、まさか最初に触れる事になるのが悪魔になろうとは思いもしなかった。何故か、順調に道を踏み外しているという実感があった。

 

 この状態でチェフェイは軽く腰を間にズラし、背中を胸に寄り掛からせるようにしながら、胸から股を、そして秘所が見える様に体を少しだけ動かした。重ねられた手は胸から腹、そして秘所へと滑る様に移されて行く。

 

「基本的に解りやすい性感帯は胸や陰核、膣などになるが、最初はいきなり膣に指を入れようとしたりしてはならんからの? 濡れていない状態で膣に触れた所で傷をつけるだけじゃからな。それにいきなり胸に触れても刺激は薄いんじゃ……エロゲーとか漫画みたいに行くとは思うんじゃないぞ?」

 

 ツッコミを入れたかったが、話の内容は真面目だった為、そして同時にチェフェイの艶のある雰囲気に少し気圧され、何も言い返す事が出来ずに軽く頷いてしまった。ただやはり、

 

「これ、本当に自信に繋がるのか? 悪い遊びを覚えてるようにしか……」

 

「何が悪い遊びじゃ。そりゃあ世(・)界(・)の(・)再(・)生(・)に(・)一(・)切(・)関(・)係(・)の(・)な(・)い(・)ものではあるが、だからこそそれが必要なんじゃよ」

 

「どういう事だよ」

 

「楽しいじゃろう? そういう事じゃよ」

 

 何を言っているんだこいつ、とは思いながらも、チェフェイの体を伝うように流す指の動きは、まるで磁石で吸いつけられたように彼女の肌から離れない。決して、チェフェイが強く手を押さえつけている訳ではない。チェフェイの手は此方の手の甲に添える様に重ねられているだけだ。押し飛ばせばいいのか、受け入れればいいのか、その狭間でチェフェイに抗えず、判断がつかず、流されるままに触れているだけだった。

 

「……まぁ、いいか」

 

「そうそう、深く考えんで良いんじゃよ。そ(・)こ(・)ま(・)で(・)意(・)味(・)の(・)あ(・)る(・)事(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)からの」

 

 腰に絡みついていた尻尾が体を登って行き、ふんわりと体を包むのを感じる。後ろからチェフェイを抱えている筈なのに、尻尾の柔らかさに包まれ、抱かれている様な気分だった。両手を持ち上げたチェフェイはそれを首にぶら下げる様に回し、隠す事無く体を晒した。

 

「前戯は大事じゃぞ? 入念にやっておかんと痛いだけじゃからな。妾の体が少しずつ火照ってきているのが解るかの? 性感帯を刺激しなくても、その気があればこういう風に撫でる様に触るだけでも興奮できるように女の体は出来ておるからな。ん……男の体よりも遥かに感じやすく出来ておるのじゃからな」

 

 チェフェイの言う通り、指先から感じる熱は少しずつ、指を伝わって手に伝わってくる。それを感じる為にも指先だけではなく、掌全体をチェフェイへと押し付けながら体の表面を撫でる。戦闘した場合は恐ろしいほどに耐える肉体が、手の中では柔らかく感じられた。

 

「ん、良いぞサマナー……焦ってはならんぞ? ゆっくり丁寧に高めて行くのじゃ。妾は感じるのが早いから良いが……他の女にはもっと時間をかけるのじゃぞ? さ、今度は淫芽を刺激する方法を教えてやろう」

 

 そう言って、楽しそうにチェフェイは声を零した。首にかけていた片手を下ろすと此方の手を掴み、チェフェイの下腹部へと伸ばされる。隠されていない、毛もない子供の様な秘部を恥ずかしがるどころか興奮する様に露出しながら、幼い割れ目の頂点、その付近の肉を押し、撫で、少しだけ力を籠める様にマッサージしながら、その下に隠れているクリトリスを勃起させる。

 

 実際にこうやって見るのは初めてだが、不思議と焦る事がないのは、目の前の姿に不釣り合いな言葉を話す悪魔のおかげだろうか?

 

「見えるかの? 非常に刺激が強く、勃起していない状態でも快楽を感じられるのが女の陰核じゃ。だから直接触れず、その周りを刺激するだけでも十分興奮するんじゃ」

 

 耳元に囁くようにチェフェイが首を引っ張り、教えてくる。何時もとはまるで違う雰囲気に少しだけドキリとしながらも、

 

 それから一時間、じっくりとチェフェイの体に触れ、女の体に触れる、という事に慣らされた。

 

 曰く、

 

 一日、二日程度で女の扱い方は学べるものではないらしい。最初はゆっくり前戯を覚え、それから交わりを覚える、との事。即ち本番はなし。ここまでやって。

 

 脱童貞の道は険しかった。

 

 

♦

 

 

 一夜が明けた。

 

「それ、君が求めていた物だ。受け取りたまえ」

 

 そう言ってスティーブンがストレージに新しく追加した装備を確認する。ごっそりとミニミ、SMG、ライフルとか幾つかの銃、バイク、それに召喚機まで消えていた。どうやらそれらをパーツとして使用したらしい。だがその結果、一つの兵器が生み出された。ストレージに登録されている名称は《ガンナーズブルーム》だった。そう、無茶ブリとネタで請求した道具が、本当に作成されてしまったのだ。

 

「嘘だろお前……」

 

「いいや、現実だとも。何より良い息抜きになってくれた。おかげで今夜には《アンチアナライザー》を完成させられそうだとも。すまないが四文字を連れて歩くのはまた次回になりそうだ」

 

「いや、まぁ、作って貰えただけでも感激もんだし」

 

 ストレージから引き抜いたブツは2メートルを超える巨体をしていた。凄まじいまでの重量を誇るが、手放せば自動的に浮かび上がり、横に待機する様に待っている。無骨だが洗練されたフォルムに、足を乗せられるだけの横幅が存在する、まるで鈍器のような分厚さ。まさに、銃と表現できる領域を超えたモンスターマシンだった。片手でぎ(・)り(・)ぎ(・)り(・)で持ち上げられる重量のそれを掴み、軽く振り回す。その動きに答える様に強風がブルームによって殴り飛ばされた。

 

「フレームには余ったトラペゾヘドロンを使っているから、既存の物質で破壊出来るものはないと思うね。そのまま、鈍器としても扱える。反重力ドライブを投入したおかげでおよそ20メートル程浮かび上がって飛行する機能を追加出来た。やはりデモニカスーツは参照すべき技術の塊だったな……」

 

 また意味の解らない事を言っているが、それを無視して《箒》を振り回す。鉄の塊は反重力ドライブの影響で、Magを食わせれば羽の様な軽さで振り回せ、それを起点に倒立して反対側へと乗り越え、回転させながらハンマーの様に振るえ、そして指が吸い付くようにグリップとトリガーへと惹かれる。

 

 ルーチェ&オンブラと同じだ。手に握れば自然と馴染み、使い方が解ってくる。手に馴染む逸品だ。これは良い品だ。迷う事無く断言できる。それに空を飛べるというのはかなりアドバンテージが取れる。飛行する悪魔に対して此方も空から射撃攻撃を行えるという事になる。実際の運用には戦闘を経験する必要があるが―――。

 

「Hey! 面白そうな玩具を持ってるじゃーん」

 

「シッシッ! 俺の玩具だから!」

 

「おいおい、女の口説き方を伝授してやっただろ? 昨日。な、だからちょっと遊ばせてくれよそれで」

 

 新しく手に入れた《箒》で心をわくわくとさせていると、馴れ馴れしくダンテが肩に手を回し、目をキラキラさせながら《箒》に視線を向けていた。めっちゃくちゃ目をキラキラさせている。なんというか、新作のゲームの発売を目撃した中学生みたいな目だ。だがダメだ、《箒》を抱いて逃げ出しながら、スティーブンの裏へと回り込み、アンが振り回して遊んでいた鳩を回収し、

 

「鳩で遊んでいいから!」

 

「ホワイトスターをやるからよ、遊ばせてくれない? 1時間だけ!」

 

「ダンテさん顔がジャイアンみたいだもん! 絶対遊んでる途中でぶっ壊すって!」

 

「あぁ、常習犯だぜ!」

 

 だから信用出来ねぇつってんだよ。

 

 無言で鳩をダンテの方へと投げ捨てれば、それをキャッチしたダンテが神聖四文字ヌンチャクなる新しい奥義に開眼する。ほんと、イケメンは何でもかっこよく決めてくれる……そんな事を考えながらも少しは前よりも嫉妬せずにいられるのは、なぜだろうか。

 

 認めてくれる、心配してくれる、解ってくれる仲魔がいるからだろうか。




 ちょこちょこエロを入れて行こうかなぁ、って感じ。それはそれとしてメインウェポンその2ゲットだぜ。まぁ、次回はダンジョン攻略というシブヤ攻略。

 ダンテさん、新武器ではしゃぐ癖があるからね。

 ガンナーズブルーム? 射撃砲撃出来て乗って空を飛べる大型銃だよ!!!
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