「お、終わった……のか?」
呟きながら悪魔の気配が消えたスクランブル交差点を見渡した。見渡す限り、敵悪魔の姿は見えない。少なくとも見える範囲での悪魔は殺しきったらしい。凄まじい疲労感と共に、やり切ったという感覚と、大量のMagから生み出された経験値が体を満たし、体の奥底から力が沸き上がってくるのを感じていた。これは数段飛ばしにレベルが上がったな、と感じつつも、しっかりと息を吐いた。
と、そこで背中を叩く感触を感じた。
振り返れば、先輩サマナーが背中を叩いていた
「良く生き残った! 英雄ごっこなんざせずにしっかりと生き残る事を選べたサマナーは良いサマナーだ!お前もこれで良いサマナーにまた一歩! 近づいた!」
「レベル上がったかー?」
「あのドルミナー良かったぜ……」
ばんばんと背中を叩かれながらサマナーやバスターが集まってくる。なんかもっと、駄目出しとか叱られたり、難癖付けられるとずっと思っていたのに、この受け入れられ具合に物凄い違和感を感じる。というかドルミナーに関してはそこまで持ち上げるもんでもないだろう。なんというか……ややめんどくささすら感じる。
「で、どうだ? レベル30に上がったか? アナライズできるよな?」
「馴れ馴れしいんだよ馬鹿野郎! 少しは見守れねぇのか!」
あ、一人殴り飛ばされている。それを見ている他所に、スマートフォンを取り出してDDSアプリを起動させ、そこに表示されている仲魔達のレベルや状態を確認して行く。今の戦いだけでも百を超える悪魔を余裕で屠ったが、初めてすぎる経験に少しだけ困惑していた。少しだけ、頭がぐわんぐわんと酔う様な感覚をしてそれを振り払いつつ、アプリにはレベルが30に到達する様になった仲魔達に姿が見える。そして同時に、アプリを起動すればぎりぎり30レベルになった自分の姿も確認できた。
「良しッ!」
「おめ……で……と」
アンが片手を持ち上げて此方へと向けて来るのでハイタッチを決める。パン、という音が響くかと思ったが発砲したかのような音に少しびっくりとする。あぁ、そういえば普通の身体能力じゃなくなったんだよな、とハイタッチをした自分の手を見つめていると、なんか、此方へと向けられる視線が生暖かいような気がする。
『そうね……。でも気にするほどの事でもないでしょう? 寧ろ優しくしてくれている分、学べる事を今のうちに学ぶべきよ。世界が大陸規模で再生し始めればこういう平和な状態が続くかどうかすら怪しくなるからね。間違いなくメシアとガイアのトップが蘇れば世紀末戦国時代の到来ね』
「毟れる内に毟れ、と。段々とこの業界の事が解って来た気がする」
「ど……ん、まい?」
アンだけが本当に頼りだ。そう思っていると清浄な波動が駆け抜けて行き、シブヤ交差点を中心に結界が張られた。契約状態にはない、野良の悪魔は強制的に排出されるのと同時に、入る事の出来ない安全地帯が一時的に構築された。これはつまり、シブヤ交差点という拠点を入手したという事でもあった。つまりシブヤ奪還に対するファーストステップだった。これで一息つける、と思ったところで、
「うっし、次は駅か?」
「近くの店舗を制圧して物資を確保するってのもありだよな」
「あ、坊主。お前は自分の能力を確かめろよ? 超人になった奴は大なり小なり、覚醒した上での能力を獲得するからな。それはそれとしてクライアントは駅の方を確保するっぽいな」
「シンジュクからシブヤまでの線路を確保して高速で移動できる手段を確保するつもりかねぇ……。まぁ、報酬分の仕事はするとしますか」
言葉を投げられながらも、すかさず次の活動に入っていた。この程度で休むなんてことはなく、そのまま次の悪魔を殺す為の準備に入っていた。正直、少し引くほどの殺意と労働意欲の高さだった。というよりは慣れているというのが正しいのかもしれない。アナライズで自分のレベルを確認し、能力を確認する。だがそこには新しく取得された、魔法や異能の類は載っていなかった。となると覚醒しなかったのだろうか? まぁ、どちらにせよ、ゆっくり確かめるのは後でも出来る事だ。今はもっとベルにやる事がある。そう判断し、一旦仲魔をDDSへと帰還させ、入れ替える様にベルを召喚した。
「狭い空間での戦闘になれば魔法は危険だし、頭上から落とせるジオ系が使える私は悪くない選択よ」
「電撃ガードキルを覚えたんだ、ガンガンSTUNハメを頼むぞベル」
どうやらこのまま、シブヤ駅に突入する様に見えた。その前に今は最低限の補給と補充を行っている。おそらくは悪魔の大群を潰して、それでまだ数を戻せない内に一気に叩こうという魂胆なのだろうと思う。だから此方も狭い空間での戦闘に備え、広範囲に放つ魔法を制限する。というのもベルが使うジオ系の魔法なら上から下への移動の攻撃なので、他の味方に当たる事を考えずに使える。
流石にドルミナーやシバブーは直線的な動きで放つ魔法だ。それを考えるとチェフェイは出せない。それにクールマの重力魔法も一定時間空間に停滞し、そして狭い空間で使うと向こう側が見辛いという弱点がある。流石に他の人と一緒にレイドする時にそんな魔法は使えない。となると今回、戦えるのは便利なジオ系を使えるベルと、肉弾戦が出来るアンぐらいだ。後は自分が銃撃、という所だ。
「こんなところか」
がシャリ、と音を立ててL&Oを握り直す。軽く回転させながら握り直して気合を入れた所で、声が聞こえて来た。
「ではレベルが38を超す者はついてこい! これよりシブヤ駅を解放する! それ以外の人員はシブヤ駅の入り口を封鎖し、外に逃げ出す悪魔を討伐せよ! 往くぞ!」
その言葉に従って半数ほどのサマナーやバスターがシブヤ駅の中へと突入して行く。その姿を見て、えぇ……という声が思わず漏れてしまった。折角気合を入れて突入する所だったのに、流石にこれは酷い。いや、まぁ、
『合理的なんじゃがな』
『態々良い勝負にする必要はないからね! 圧倒的暴力で蹂躙制圧。何時の時代であっても集団戦に対する最適解だよ、サマナー!』
『コロッケの中には銀の立川ブラザーズ』
銀の立川ブラザーズとはいったい何なのだろうか。体からすっかりやる気が抜かれ、両手を下にぶらーん、と吊り下げる。それを見ていた一部の同業者が笑い声を零し、背中を叩きながらどんどん先へと進み、攻略隊として悪魔の討伐に向かう。いや、解っているのだ。こうしている方が遥かに効率的であるというのは。判断としては正しい。
「この意気込みはどこへ……」
「こ……っち?」
そう言ったアンへと視線を向ければ、腕を広げている姿が見えた。どうしろというのか。その腕の中に飛び込めとでもいうのだろうか? この俺に? チェフェイの密かなレッスンで少しだけ度胸がついて来たとはいえ、それでも一般メンタルの俺にそのフカフカしたものがついている胸の中に飛び込めとでもいうのだろうか? この、俺にそんな事をしろと……?
「こ……っち?」
「繰り返した……!」
「あぁ、聞こえなかったとか思ってるんだろな、アレ」
「俺知ってる。アレ超テンパってる奴の顔だ」
「サマナー、男を見せる所よ」
いつの間にかベルが同業者側に混じって野次っていた。ははーん、実はお前本当はもう少し愉快な性格をしているな? 助けを求める様に視線をベルへと向けるが、サングラスをポケットから取り出して装着したベルは完全に此方の視線を遮断している。ならば、と周辺のサマナーに視線を向けると、拳を握ってそれを押し込んでいた。その横のデビルバスターはその隣のデビルバスターと組んで、腰に手を回して抱き寄せる方法を教えてきてくれている。ありがとう、だけどクッソ余計なんだよ。
「サマナー……?」
「行け! そこだ! 行け! 勇気を出すんだ! そこだ! そこだよ!!」
「顔を赤くしているぞ! 初々しいのいいぞぉ!」
「お前らうるせぇんだよ!! やってやろうじゃねぇの!」
うぉぉぉ、と声を口にしながらL&Oを電送し、スマートフォンへと収納させながら腕を勢いよく広げ、そのまま飛び込む様にアンへと向かって抱き着いた。
―――っしゃぁぁあー! やったぁー! 頑張ったぁー! 俺頑張ったぁ……!
腕を何とか捻じ曲げてアンの背中へと回す様に、アンは普通に此方へと腕を回し、抱き返してくれた。よっしゃあ、と心の中で叫びつつ、何が起きているの?今俺には何が起きているんだ!? という物凄い焦りが心の中で生まれていた。滅茶苦茶焦りながらなんでこんなことを戦場でしているのだろうか、そう思いつつ視線を横へ、同業者集団へと向ければ、
なんか、スマートフォンとかを向けられていた。
「1回100マッカで撮影許可出すわ」
「助けて……」
物凄く嬉しく恥ずかしくそして辱められている気がする。あぁ、ベルが撮影許可を出してお金を稼いでいる。流石悪魔王の部下、この世紀末を生き抜く為の活力で溢れてらっしゃるとかそう言っている場合じゃない。そうではないのだ、何故こんな事になって、ここから何をすればいいのかが全く解らないのだ。お願いだから助けてくれ。
『これはもう押し倒すしかないね』
「インド出身は黙っていなさい」
良い逸話も悪い逸話も全部斜め上の方向にインフレしている神話出身の奴はこういう時は黙っていろ。心の中で切実にそう告げると、周りの連中が解っている、解っているという表情を浮かべ、手をパンパン、と叩きながら去って行く。いや、違う、そうじゃない。一時間? それとも二時間? とか生々しい話を聞かなくていいから。無理だから、そんな事。絶対に無理なのでほんと止めて助けて。
「助けて……」
「たす……け……る」
応えたのは周りではなくアン。言葉と共に更にぎゅっと抱き締められる。そうやって更に密着して感じるのは胸板に押し付けられる服越しのアンの柔らかな物の感触で、というか全体的に鍛えられている筈なのに、まるでそうじゃない女の子の様な柔らかい体の感触を服越しにとはいえ、感じてしまって色々とアレだった。チェフェイとはまるで違う。
『おい』
どすの利いた声が聞こえた気がするが、助けてくれないしきっと気のせいだろう。どうしたらいいのだろうか。そんな事を考えている間にもどんどん時間が経過していった。
「俺一生あの子に勝てない気がする……」
アンに抱き着かれる事しばらく、漸く解放されたところでげっそりと、ハチ公前の近くにあるベンチに座って休んでいた。何かするべきかなぁ、なんてことを考えていたのだが、それは他の連中に止められてしまった。理由は実にシンプルで、レベルはあってもイロハを知らない初心者に監視とかを任せるのは危険だから、らしい。能力とレベルはあるのだから、護衛用に悪魔を出し、戦闘の準備だけは常に用意しておいて、油断しない程度に休んでいれば良いというのが周りから押し付けられた言葉だった。
そして実際、間違っていない。俺みたいに中途半端な知識のサマナーが協力しようとしたところで、邪魔にしかならないだろう。なら逆に少し離れて戦闘の準備だけしておく方が向こうとしてもありがたいだろうから、お言葉に甘えてベンチで休ませて貰っていた。周りで働いている他の同業者がいる中、こうやって一人だけ休ませて貰う事には抵抗感を覚えるが、基本的にあの愉快な連中の言葉はアレ、まともなのである。悔しいがまともなのだ。態度は完全にアレなのに。
要は邪魔なので戦闘以外では出て来るな、という話だった。
やはり、断言されると悔しい。自分が所謂即席サマナーであるのは事実だから何も言い返せない。本当のサマナーはもっと時間をかけて、少しずつ業界のアレコレや動きなどを学ぶところなのだが、自分はそれを全てすっ飛ばして一気にレベルを上げて来た。多少格好つけている部分はあっても、それもメッキだ。本職の人たちが突けば容易く剥がれる。
なんとか、何とかしてもっと強くなるだけではなく、サマナーという職業に関する知識を付けないとならない。現状、この業界に関する知識が欠けている。酒場にはダンテがいるけど、アレは基本的に参考にならないって魂で理解した。どこか、手本にでもなるサマナーがいてくれないものだろうか。
『まぁ、実際師弟関係を結んで学ぶというのはこの業界の基本らしいよね』
「え、そうなの?」
『僕が知る限り、サマナーみたいに力も特別な背景もない子がいきなり力を渡されるケースの方がレアだよ。まぁ、そういうのは大抵ヒーローだったりして、常に騒動の中心を駆け巡る運命にあるんだけど、異界に突入する許可を貰えなかった辺り、全くヒーローじゃないよね』
「というかヒーローだったらあのダンジョンに突入していたのか……」
それは少し違う、とクールマが言葉を口にする。
『正しくは
「凡人として生まれて良かったのか、複雑の様な……」
『でもイロハを教われる相手が必要なのは事実じゃな』
ベンチに座った状態で、どうしたものか、と考える。レベルが上がったら悪魔と戦える力を得られる。そうすればもっと楽になるし、それで先へと進める様になる。そんなことを考えていたが、それほどシンプルな事でもなかった。
こうやって他のサマナーと一緒に動いて、周りを見て考える様になって気づかされることが今回は多かった。力を多少得て、色々と弄れるものが増えてちょっと調子に乗っていたかなぁ、と思う部分が見えた。まぁ、なんというか、自分が踏み込んだこの世界、この社会に関してはまだ自分はその表層の浅い部分にしか足を突っ込んでいなかったなぁ、というか、当たり前だがルールや認識、共有しているものがあるからそれを知らなきゃ初心者から脱出できないんだなぁ、というのを理解させられる。
認識、甘かったなぁ、というアレだった。
「どうしたもんかなぁ……」
扉を探さなきゃいけないのは最優先だし、それとは別に強くならなくてはならないし、後ついでに世界がこのまま再生しても、自分のやった事が消える訳じゃないのだから、その場合は自分がどうやって再生した世界で生きるべきなのか、それを考えなくてはならないという点もあるのだ。やるべきこと、成すべき事が一切尽きない状態が続いている。それらを考えていると、
「流石に、頭が痛くなってくるな……」
はぁ、と溜息を吐いていると、周辺で警備をしていたヤタガラスらしき男が近づいてくる。出る前にこちらに声をかけて来た彼とは別のサマナーの様で、横にピクシーを浮かべながら近づいて来た。
「や、お疲れ様。調子はどうかな」
友達に話しかける様な気安さで、そのヤタガラスのサマナーは話かけて来た。どう答えたもんか、と考えるが、普通に話す事にした。
「いや、なんというか見る事やる事新しい事ばかりで疲れるというか……。あと皆、妙に優しかったりするからどうやってリアクションを取ればいいのか困っているというか」
「あぁ、成程ね。横、いいかい?」
どうぞ、といいながら軽く横にずれて座る場所を作る。ここにアンが居なくて良かった。今はベルと一緒に周辺警戒に出ているのだが、なんかさっきのハグから妙にスキンシップを求めるというか、気が付けばにじり寄って抱き着いて来ようとするフシがあった。今まではそんな事なかったのになぁ、と思い、ちょっと心臓に悪い。彼女がここに居たら横に座っていただろうし、そのままなんか抱き着いて来そう。
前々からそうだけど、あの子は妙に俺になついているのが未だに疑問なのだ。
まぁ、それはそれとして、横にヤタガラスのサマナーが座った。
「まぁ、彼らをあんまり無下にしないで欲しいんだ、気持ちも解らなくもないしね」
「えーと……他のサマナーとかの事で?」
「うん」
ヤタガラスのサマナーは苦笑した。
「国家機関に所属していない、フリーランスのサマナーやバスターというのはね、基本的に楽しい過去をしている人達じゃないんだ。僕らがどれだけ頑張った所で、結界にも穴があるし、それを抜けて襲われる人も多い。だからその復讐を目当てで悪魔業界に殴りこんでくる人だって珍しくはないんだ。基本的に子供のサマナーやバスターはメシアやガイアに所属している、そういう風に育てられた子だからね。ニュートラルの、それもフリーランスのサマナーともなれば、相当珍しいし、それなりに理由があるんだろうというのは察せるんだ」
「……」
此方が言葉を返していないでいると、サマナーは話を続けた。
「結局のところね、彼らは君と君のあの可愛いパートナーを通して、失われた過去を想起しているんだよ」
「失われた過去……」
「そう。この業界、踏み込んでくるのは大体二十台を過ぎてからだ。それよりも前に君の様なまだ、未成年とも呼べる年頃の子が踏み込んでくるのは珍しい。顔を見れば大体の年頃は解るしね。家族、友人、社会、或いは環境。それを失って、それでも頼れなくてフリーランスの悪魔関係者は生まれるんだ。だけどそんな彼らでも、そうなる前は普通の人間で、学生だったんだ」
まぁ、ヤタガラスとかはスカウトとかして就職できるけど、と、男は言葉を付け加えた。そしてそれでなんで周りが優しいのかを理解した。本当に連中は失った時代を俺を通してみているのだ。そして此方を子供として認識しているのだ。
『ま、善性の人間しかまだいないというのも事実だし、そういう意味では運が良いよね、サマナーは』
まぁ、確かに絶対に倒せない相手、というのには今の所マジシャン以外ではエンカウントしていないし、酒場に来る規格外の連中は基本、自分に好意的だ。考えれば考える程、自分を取り巻く状況が恐ろしくなってくる。言われるがままに従い、力を付けて世界の再生を行っている自分。守られ、教えられ、そして導かれる様にこの道を進んでいる。
だけど本当は何か、致命的な見落としをしているのではないだろうか?
実は何かを忘れているのではないだろうか?
そんな漠然とした不安と申し訳なさが自分の胸の中には常にあった。そしてそれを深く考えようとすると、再び狭心症が胸を襲う。考えるべきではない……という訳ではないが、深く考えすぎているのかもしれない。それでもこの業界で優しくされると、無性に不安になる。
「まぁ、悪い人たちじゃないってのは解る」
「だろう? ただの構いたがりなんだよ……まぁ、中央の東京という場所のサマナーだからそうである、とも言えるけど」
「地方は違うんで?」
「うーん……ほら、東京って情報と人の集まる場所だからそれなりに弁えている、理解している、能力のある人間が集まって、それが理由で基本的に心の余裕があるベテランか、飛躍を求めるルーキーかという形で分かれているんだけど、後者に関しては基本ガイアかメシアに所属しているのがほとんどだからね」
「あぁ、俺も弟子が欲しいというか、推しを遠くから支援したいとか……」
「うん、まぁ、そんな感じなんだよ。そう、悪魔業界もネット汚染されている」
酷い話だった。でも、まぁ、この業界で戦っている人たちは普通に娯楽を楽しむ人間なのだから、動画サイトやツイッターで遊んでいたりするんだし、そりゃそうだよな、と思う。だけど悪魔関係者がコミケに同人誌買いに行く姿を想像するのはなんというか、面白すぎる。そういう時も乳首シールモヒカン姿なのだろうか、とレベル38を超えていたらしいモヒカンがシブヤ駅へと入って行く姿を思い出した。
と、そこで、
警戒に出ていた筈のアンとベルが戻ってくるのが見えた。何かがあったのだろうか? 少し不安に思いながら迎える様に立ち上がると、
「サマ……ナー。扉……みつけた」
「えぇー……見つけるのかよここで……」
「探す手間が省けていいじゃない。シブヤが確保されたら直ぐに乗り込めるわよ?」
ベルとアンの言葉に横のサマナーが首を傾げる。が、普通の人に説明したところで理解される様な事ではない。だから態々説明する必要もない。ただ問題は上手く行っているようで、なんかちぐはぐしている自分と周囲の状況だ。
どうにかならないもんか。そう思いながら偶に襲い掛かってくる悪魔を倒しつつ、シブヤ確保のために作戦を終わらせた。
この主人公は世界観的な主人公、つまりはヒーローではないので向かった先で毎回イベントに遭遇する訳じゃないし、毎度毎度都合の良い事や都合の悪い事が発生する訳ではない。主人公補正の無い、寧ろモブ的な存在。ただし、素質と才能的に異質である。
RPGに出てくるなぜか最後まで死なず、活躍しているサブクエストのNPCみたいな存在。プレイヤー側から仲間になれよって言われるアレ。
それはそれとして、つかささんがひとしゅらちゃんを描いてくれたよ! 皆! 今すぐツイッターにアクセス!!