※この作品はR-18です。

アイギスの少女たち   作:東寺明

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 王子軍に所属するウィッチ、プリムは、ミラーと呼ばれる身代わりユニットを呼び出せる。プリムは初体験の不安からミラーを王子の元に差し出し、自分の代わりをさせていた。しかし、王子を騙し続けることが心苦しく、辛い日々を送っていた。
 ある日、友達のクロエのいけない遊びに付き合ううちに、プリムは処女を奪われそうになる。何とか切り抜け、体を清めようとして、大浴場に行くと、そこに政務官アンナがいた。アンナに事情を話したプリムは、ついに王子との初体験に臨む。

 コミカルな話になりました。楽しんでもらえると嬉しいです。



プリムの鏡

               プリムの鏡

 

                              東寺明

 

                1

 淡い明りの中、ベッドの上で、絡み合う二人。

白い肌の少女を組み敷き、深々と貫きながら、おっぱいを揉みしだいているのは王子だ。汗で光る肩の筋肉がうごめき、味わい尽くすように腰を動かす。少女の肢体は細く頼りないのに、おっぱいだけは大きく盛り上がっている。王子の手で変形したおっぱいは、嬉しそうに乳首を尖らせ、ぷるんぷるん揺れる。王子は上体を曲げ、左右の乳首を交互に口に含み、舌と唇で思う存分味わい尽くす。

 強い刺激に、少女は身をよじり、逃れようと背中をくねらせるが、巨根に貫かれていて動くことができない。王子の頭に手をかけても、弱々しい力では跳ねのけることもできない。熱い息を吐き、喉の奥から小さな悲鳴とよがり声を、上げ続けることしかできないのだ。

 おっぱいへの責めはなおも続く。柔らかく頼りなく、そのさわり心地は極上で、飽きることがない。手で口でもてあそび、なぶり続ける喜びは、天上の快楽を招き寄せる。そのおっぱいは男を魅了し、魔法のように男を虜にする。

 それは本当に魔法なのかもしれない。なぜなら、少女は魔女だからだ。

 名をプリムという。

 王子軍に加わって一年余り。その強大な魔力で、第一軍に名を連ねる有能な戦士だ。そして、その愛らしさで、王子のベッドに招かれることも多い。王子はいつもおっぱいを堪能し、小さな膣に大量の精液を放つのだった。

 おっぱいを堪能した王子は、プリムを裏返しにし、お尻を上げさせる。少女のようなかわいらしい尻を開き、男根を割れ目にあてがう。てらてらと光るヴァギナは男根を深々と受け入れ、キュッと締め付ける。王子はゆっくりと抜き差しを始める。

 プリムは細い腕に力を込め、上体を起こす。頼りない肩が震え、ブロンドの髪が揺れる。王子は腕を伸ばし、プリムのおっぱいをつかむ。揉みしだきながら引き寄せ、後ろから抱きしめた王子は、顔を後ろに向かせて唇を吸う。同時に右手を伸ばし、プリムのクリトリスをなぶる。陰部からくちゃくちゃと水音がする。右手の指は愛液で濡れそぼり、それが滴り落ちる。苦し気なプリムの声が漏れ、きゃしゃな体に震えが走る。プリムは腰を振り、体をよじり、さらなる快楽をむさぼりつくそうとする。

 プリムの上体が崩れ落ちた。ベッドに頭をこすりつけ、シーツを握りしめ、悲鳴を上げつづける。王子はプリムの膣に男根を打ち付け、ついに絶頂を迎える。勢い良くはなたれた精液が膣を満たし、あふれ出る。プリムは全身の力を失い、ベッドに倒れ伏す。

 

 

 そのすべてを、天窓の外から覗き見る人影があった。箒にまたがり宙に浮くその人は、ブロンド髪をなびかせ、白い頬を紅潮させ、菫色の瞳をうるませていた。白いひらひらのワンピースを風になびかせ、細い足をニ―ソックスで包む可憐な少女だった。

 だが、少女の股間は、またがる箒にこすりつけられていた。闇に隠れているが、右手はワンピースの裾の中に差し込まれ、もぞもぞと動いている。もしも透視できる者がいたならば、右手の指がクリトリスを揉みしだき、小さな膣口に差し込まれていることを知るだろう。純白のショーツは愛液に濡れ、しみは大きく広がっていた。

 そして、のぞき見していた性交が終わると同時に、少女はクライマックスを迎え、大きな吐息をついた。

 少女の名は、幻光の魔女プリム。王子と激しい性交をしていた少女と同名であり、同じ顔かたちをしている。ただし、双子ではない。

 プリムはしどけない姿でベッドに横たわるプリムから目をそらせ、闇夜の中に消えていった。

 

                 2

 プリムが帰ってきたのは、北の塔の四階だった。本館から離れているので住む者は少なく、塔なので部屋は狭い。ただ、そのおかげで一人部屋だ。

 王城に暮らすようになったとき、プリムは一人の部屋を希望した。大勢が暮らす王城での暮らしに不安があったし、人づきあいも得意ではない。だから、あまり人が来ない部屋の方が好都合だったのだ。

 プリムは自分のベッドに腰を下ろし、うなだれている。気分が落ち込んでいて、なにもやる気が起きない。暖炉に火も入れず、部屋は底冷えしている。だが、魔法の加護のおかげで、それほど寒さは感じない。

 やがてドアが開き、プリムが入ってきた。ベレー帽をかぶり、ワンピースを着て、ニ―ソックスとショートブーツを履いているが、どこかしら着崩れている。長いブロンドの髪もほつれていたし、なによりも精液の匂いが漂ってくる。

「ただいま帰りました」

 ベッドのプリムはちらりと視線を投げかけただけで、応えもしない。帰ってきたプリムはひかえめな態度で木の椅子に腰を下ろす。きちんと膝をそろえ、両手を腿に乗せ、背筋を伸ばして座り、まっすぐプリムを見つめる。

 その視線に耐えかねたかのようにプリムは口を開いた。

「今日は二回もしたのね」

「はい。王子さまは、一度では終わりませんでした。だから、遅くなってしまいました。ごめんなさい」

「あんたが謝ることじゃない。わたしは、別に構わないんだから」

「でもプリムは、いつものように天窓の外にいたのでしょう。あんな寒空の下で」

「寒くなんかない。あんただって知ってるでしょう」

「そうでした。ごめんなさい」

「だから、あんたが謝ることじゃ……」

 プリムは立ち上がり、もう一人のプリムに背を向ける。

「あの。もう消えましょうか」

「別に……。今日の王子は、どうだった」

「いつもより、強くおっぱいを揉まれました。早く出したかったみたいで、出し入れも激しかったと思います。二度立て続けにされて、膣が痛くなりました」

「昨日は会議があったから、女の子を呼べなかったのかもしれないわね。あんなのは嫌だわ」

「でも、気持ちよかったです。少し位激しい方が自分も興奮するみたいです。プリムもやってみたらいいのに」

「別にいいじゃない。あんたは気持ちよくなれたんだから、それで満足でしょ」

「どうでしょうか。あの快感をプリムに伝えられたらと、いつも思います。そうしたら、プリムもセックスをしたくなるかもしれません」

「わたしはセックスなんてしたくないもの」

「初めてが怖いのはわかります。でも皆さんも体験していることですから、それほど心配することはないのでは……」

「うるさい。もう黙って。聞きたくない」

「はい。では、もう消えます」

「どうぞ。好きにして」

 椅子から立ち上がったプリムは壁際の姿見に近づく。そして、その鏡の中にすっと入っていく。小さな部屋に一人残されたプリムは、振り向いてため息をついた。

 消えてしまったプリムはミラーと呼ばれる分身だ。プリムと瓜二つの姿かたち、そして性格と能力を持っている。戦場に出れば、共同して戦うこともできる。そして、プリムは王子とのセックスの相手にミラーを差し出していた。それは王子を嫌っているからではない。

 最初はセックスが恐ろしかったからだ。自分の体がまだ大人になりきっていないことはわかっていた。男の男根が自分の小さな膣に入れられるのかと想像するだけで、恐怖を感じた。だが、それ以上に恐ろしいのは、王子を失望させることだった。うまくセックスが出来なかったら、王子はプリムを嫌うかもしれない。嫌われてしまったら、この王城に居場所はない。そして、王子に処女を捧げたが、それっきりの女の子は、星の数ほどいると噂されていた。

 ミラーはプリムの期待に応えた。いいや、それ以上だったかもしれない。王子はプリムを溺愛し、たびたびベッドに招かれるようになったのだ。

 いつかタイミングを見計らって、ミラーと交代するつもりだった。だが、その決断はいつまでもできず、プリムは二人の性交をのぞき見することが常習になってしまった。

 王子をだましているという後ろめたさがうまれ、いつまでも満たされない自分に苦しむ。プリムは常に針の筵に座らされている気持ちだった。

 

 

                 3

「プリム。ここは空いてますか」

 プリムが食堂で夕食をとっていると、ミルノとクロエがやってきた。人見知りのプリムにとって、エンジェルの二人は気安く付き合える友達だった。

「お好きにどうぞ。あら、クロエもいたのね」

「まあね。プリム。今夜は暇かい?」

「さあ。どうでしたっけ」

 プリムは軽く受け流し、食事をつづける。今夜のメインディッシュは鹿肉のステーキだ。塩と胡椒をたっぷり効かせてある厚切り肉は、噛めば噛むほどうまい肉汁が出てきて、舌を喜ばせる。付け合わせのポテトもおいしい。食事が豪華なだけでなく、お酒も欲しいだけ飲める。いつでも入れる大浴場と、居心地の良い個室。王城の暮らしはすごく快適なものだ。

 古参の将兵たちは、このような環境を憂うこともあったが、飛ぶ鳥の勢いで勢力を広げていく王子軍には必要なものだった。

 

「相変わらず小食ね。それでよく戦えますこと」

 エンジェルが食べなくても動けることはプリムも知っていた。それでもなお、言ってしまう。

「戦うために使う力には、食べなくてもいいのだけど……」

 クロエがサラダを口に運びながら応える。

「どちらかというと、エッチなことをするために食べるよ。なんでかわかんないけど、ご飯を食べないとエッチな気分にならないんだ。な。ミルノ」

「はい。王子とセックスするときは、いっぱい食べます」

「あんたたちって、恥じらいってものがないの?」

 夕食時の食堂は混雑していた。みな、自分たちの仲間とのおしゃべりに興じているか、一人の世界に没頭しているから、三人の会話に聞き耳を立てているものはいないだろう。だが、プリムは顔を赤らめて睨み付ける。

「恥じらいってなにさ。人間はセックスをして子供を産むんだろ。みんなセックスしてるじゃないか。それなのに、なんで隠さなくちゃいけないのさ」

「なんでって、それが人間でしょ」

「あたしたちはエンジェルだから関係ないよ。な。ミルノ」

「はい。わたしたちはエンジェルです」

「人間て、変だよな」

「はい。変ですね」

 話が分かっているのか、いないのか。ミルノはポテトを頬張りながら応える。

 プリムは小さくため息をつく。ミルノの生き方を見ていると、いろんなことにこだわり続ける自分が嫌になってくる。欲が少なければ、もっと楽に生きていけるのかもしれないと、思えてくるのだ。

「なあ、ミルノ。これからお前も一緒に遊ぶよな」

「いいえ。食事のあと、アリシアと遊ぶと約束しました」

「なんだ。またアリシアかよ」

「アリシアは友達です」

「まあ、友達がいるっていうのは、いいことだよな。それじゃ、プリム。これから一緒に遊ぼうぜ」

「はあ?もう夜ですわ。これから何をするって言うんですの」

「大人の遊びだよ。おもしろいぞ」

 そう言ってにやりと笑うクロエの顔に、よこしまな影がよぎる。

「結構ですわ。あなたとは友達じゃありませんし。では、失礼しますわ」

「まあ、そうつれないこと言うなよ。なあ」

 食器を持ち立ち上がったプリムのワンピースの裾を、クロエが引っ張ると、大きくめくれ上がり、太ももが露わになる。驚いたプリムが食器をテーブルの上に落とすと、大きな音が食堂に鳴り響いた。大勢の視線がプリムに向けられる。

「やめて、放して」 

焦ったプリムが、ワンピースの裾を引っ張ったとき、クロエが手を放した。プリムは勢いよく尻餅をつき、ワンピースがめくれ上がった。フリルのついたピンク色のショーツが、衆人の目にさらされる。

「いやー」

プリムの悲鳴が食堂に響き渡った。

 

「悪かったって。あんなんで、ひっくり返るなんて思わなかったんだ」

 廊下をどすどす歩いていくプリムの後を、クロエが追いかけていく。

「そんなに怒るなよ。たかが、パンツじゃないか。な」

「たかがじゃありません。あなたって方は」

「かわいいパンツ、履いてんだな。すごくキュートだったぜ」

「酷い。わたしはさらし者になったんですよ」

「いやいや。ちょっとドジな女の子って、すごく萌えるんだってさ。プリムの可愛さを、みんなにアピールできたと思えばいいじゃないか」

「思えません」

「まあまあ、こっちに来なよ」

 プリムをなだめながら、クロエは自分の部屋に引っ張っていく。

 

 

「本当に何をするつもりですの」

 プリムはミルノのベッドに座り、向かい合うクロエに問いかける。怒りが収まったわけではないが、いつまでも揉めているのもバカバカしい。それに、がさつだが、クロエは友達なのだ。

「狩りさ」

「狩り?王城の中で狩りですか。何を狩るんですの」

「男さ」

 クロエの言う狩りは、強引に男を部屋に引き込み、無理やりやるという、とても即物的な遊びだった。当然、プリムは顔を赤くして抗議する。

「わたし、痴女じゃありません。そんな風に男の人と、セ、セックスするなんて……」

「だから、遊びなんだって。セックスなんて、男のちんこを女のまんこに入れるだけのことだろ。それであたしも気持ちよくなって、男も気持ちよくなる。ウィンウィンの関係で、誰にも迷惑かけない」

「わたしは嫌です。そんなセックスなんて……」

「なにもあんたにしろと言ってるんじゃない」

「へっ?それじゃ、なにを……」

「見ててくれればいいんだ。見てるだけでいい。観客が欲しいんだ」

「観客?」

「そうさ。見られながらやると、いつもより燃えるんだ。男なんて、目の色を変えて、突っ込んでくるんだぜ」

「でも、そんな……」

 プリムの脳裏に、天上屋根から覗いた、王子とミラーとのセックスシーンが鮮やかによみがえる。プリムは目を伏せ、その光景を打ち消そうとするが、容易には消えない。その様子を見たクロエが、唇の端に笑みを浮かべる。

「まあ、見てなよ。おもしろいからさ」

 

 

 ドアの前でクロエがしゃがみ込み、耳をそばだてる。プリムはその後ろで中腰になり、廊下の物音に聞き耳を立てる。

「来た」

「ええ」

 男の足音だ。しかも一人きり。これを逃す手はない。

「プリム」

「はい」

 クロエにそそのかされ、プリムは部屋の前に魔法陣を書いておいたのだ。

 プリムが口笛を吹く。その瞬間、ドアの向こうで喚き声があがった。クロエがさっと飛び出し、人をひっつかんで戻ってくる。

「モーティマ!」

 床でもがいているのは、山賊のモーティマだった。

「なにしやがる。体が動かねぇ」

 太った体をじたばたさせながら、モーティマが喚きまくる。

「チッ」

 舌打ちをしたクロエが、プリムの手を振る。プリムがうなずくと、モーティマの体が自由になった。

「なんだ。なんだ。クロエ。てめえ、ただではおかねえぞ」

「悪い、悪い。人違いをしたんだ。ごめんな。モーティマ」

「人違いだと。こんな乱暴な真似をしやがって、そんなんでおさまるか」

「遊んでたんだ。かくれんぼさ。ミルノが廊下に隠れているみたいだから、こっそり罠をはって待ち構えていたのさ。それが、たまたま、あんたがやってきちまったってことだ。運が悪かったな」

「そんなこと知るか。おい。この落とし前、どうつけてくれるんだ」

 すごんで見せるモーティマに、プリムが震えあがった。蒼白になって立ち尽くすプリムと、思案顔のクロエ。

「落とし前って言われてもなぁ。そうだ」

 クロエがぱちんと手を叩き、すすっつとプリムに近づく。そして、少ししゃがみ、さっとプリムのワンピースをまくり上げる。

 形の良い太ももに白いニ―ソックス。フリルのついたピンクのショーツが、ろうそくの明かりの中で、艶めかしく浮かび上がる。

「ウオー」

「キャー」

 モーティマが、ワンピースに頭を突っ込む勢いで身を乗り出し、目を皿のようにして麗しい光景をなめるように見る。プリムはワンピースを下ろそうとするが、クロエに邪魔されて下半身をさらけ出したまま、じたばたするだけだ。

 

「すごく良かったぜ。ありがとよ。また、よんでくれな」

「おう、任せとけ」

 モーティマはクロエとがっちり握手して部屋を出ていった。

 残されたものは、床に女の子座りして泣いているプリムだけだ。

「もういや。帰る」

「そんなこと言うなよ。せっかく面白くなってきたところじゃないか。なあ、プリム。結構ドキドキしただろ」

 屈託のない笑顔で、クロエは本当のことをズバリついてくる。確かに、これほど興奮するのは、ミラーと王子とのセックスをのぞき見するときぐらいだろう。

「さあ、次はだれが引っかかるかな。もしかしたら、王子かもね」

「エッ。王子さまがここを通るの?」

「そりゃ、西館の女の子の部屋にいく時は通るさ。もしも捕まえたら、二人でやっちまおうか」

「やっちまうなんて、下品すぎ」

「セックスに下品も上品もあるかよ。チンチンしゃぶって、まんこなめて、入れたり出したりするの、上品にできるか?」

「もう、知らない」

 

 次に引っかかったのは、賢者バルバストラフだった。

「なんじゃ。何が起こったのか」

 長衣をばたつかせてもがくバルバストラフには、賢者の風格はどこにもない。

「あーあ。長老かぁ」

 クロエが嘆息し、頭をかしげて考えをめぐらす。

「賢者、バルバストラフさま。手荒なことをして、ごめんなさい。実はわたし、賢者様にお願いがあるんです」

「なんじゃと。じゃが、まず、この戒めを解け。この魔法はプリムじゃな」

 ぎろりと睨まれたプリムは硬直する。すると、魔法がすぐに解けた。

 バルバストラフはぷりぷり起こりながら立ち上がり、長衣を整えながらクロエに問う。

「して、その願いとはなにかね」

「はい。わたし、賢者様の子種が欲しいんです」

「ハッ?」

「ヘッ?」

 バルバストラフとプリムが、間の抜けた声を出す。それから、バルバストラフは顔を赤くして怒り出した。

「このエンジェルめ。わしを愚弄するか」

「いいえ。本気です。わたし、賢い子を産みたくて、誰がいいか考えてきました。王子軍の中で、一番賢い殿方は誰か。その結論は、バルバストラフさまでした。だから、ここで通りかかるのを待ち受けていたんです」

「エンジェルよ。いい加減な嘘をつくでない。エンジェルは子を産むことはできぬ。それを知らぬと、思っていたか」

「いいえ。このあいだミルノはマキナの力を借りて、子宮を得ました。そのうち子をはらむことができるはずです。ミルノができるなら、わたしだって」

「馬鹿め。クロエよ。そなたが子を欲しいなどと思うはずがない。わしの目はごまかされぬぞ」

 バルバストラフの一喝に、クロエはハッと床にへばりついた。

「申しわけございません。今のは嘘です。本当はこのプリムが、大人のセックスをしたいって、言い出したんです。王子みたいな激しいだけのセックスじゃないくて、包容力のある男性に優しくしてほしい、って」

「なに?」

 バルバストラフはじろりとプリムを睨み下ろす。プリムはぶるぶる震えながら、口をパクパクさせ、首を横に振る。

「ふむ。包容力のある大人、か。それならば、この城内では、わしのほかにはおらぬであろうな。ふむ、ふむ」

 バルバストラフは自分を納得させるようにうなずく。

「願いはかなえていただけますか」

 ここぞとばかりに、クロエが言うと、バルバストラフはうなずいた。

「まあ、そこまで言うならば、助けてやらぬことはない。プリムならば、その、まあ、協力することはやぶさかではないな」

「それはありがたき幸せ。では、さっそく」

「待って。そんなんじゃ……」

「いやいや。そうしたことはじゃな。このような場所ではなくて。ふむ。もう少し、雰囲気のある場所でないと、まずいのじゃ」

「そうでしょうか」

「そうじゃ。二人っきりで、夜空でも眺めながら愛を語るシチュエーションが必要であろう。ふむ」

「それでは、そのようなシチューエーションというのが出来たら、お誘いください」

「よかろう。では、さっそく準備を整えよう」

「よろしくお願いいたします」

 クロエは最敬礼でバルバストラフを見送った。

 話から取り残されたプリムは、なにも言い出せないまま、見送るしかなかった。

 

 

「これはいったい、なんです。お嬢さん」

 次の獲物のリカルドは、目を白黒させながらも、取り乱しはしない。完ぺきな男を自任するだけあって、慌てたりしないのだ。

「ヤホー。あんたがここを通るのを、待ってたんだ」

 クロエが舌なめずりしながら、組み敷いたリカルドに抱き着く。

「おれを待っていたと。ここを通るのを知っていたのですか」

「女の勘さ。いい男が通ると、ここがびびっと感じるんだ」

 リカルドの下腹部に、股間をこすりつけながら、クロエがキスをする。

「おお。これは情熱的なおもてなしですが。そちらのお嬢さんも同じしょうか?」

「あっちは見物だね。これからわたしたちが楽しむのを、プリムは見て楽しむのさ」

「それはまた、結構な趣味ですが。さて……」

「嫌かい?」

「そうですねぇ。こんなのは、あまり経験したことがないので。どうなのでしょう」

「気にしない。いいいんだろう」

「ええ。まあ。先ほどからあなたのがぐりぐりとして、その」

「うん。立ってる、立ってる。いいねぇ。おっきい」

「それはそうです。何せ、完璧な。あっ、待って」

「早く、しよ」

 

 意気投合したリカルドとクロエは、裸になりベッドの上で抱き合う。一人取り残されたプリムは、ミルノのベッドに座り、その様子をぼんやりと眺めている。いたたまれなさもある一方で、興味もある。他の人のセックスがどんなものか、知りたくないはずがない。

 そんなプリムの存在など忘れたかのように、クロエの情熱的な行為がエスカレートしていく。リカルドの一物を咥え、音を立てて吸いながら、舌で転がし、唇をすぼめてこすり上げる。左の指で睾丸を揉み上げ、右手の指をお尻の穴に押しこんでいく。小ぶりなおっぱいを太ももにこすりつけ、左足を挟み込んで、外陰部を押し付ける。すでに、クロエの性器はぬるぬるに濡れそぼっていた。

「これは……。いきなり激しすぎではないですか」

「かちんこちんになってきた。もう、いい?」

「どうぞ」

 クロエは体をずり上げ、そそり立つ男根に膣口を押し当てた。そのまま、腰を落としていくだけで、男根が膣の中にずぶずぶと入っていく。クロエは、両手をリカルドの胸の上におき、バランスをとりながら腰をグラインドさせ始める。

クチャクチャと音を立てながら、大きく動くお尻と、見え隠れする男根を、プリムはじっと見つめていた。呼吸が次第に荒くなり、股間がうずいてたまらなくなる。右手をワンピースの中に差し込み、ショーツ越しにヴァギナをこする。しかしすぐに、その刺激だけでは物足りなくなり、指をショーツに潜り込ませた。しっとり濡れている割れ目をなぶり、一番刺激の強いクリトリスをこねくり回す。鼻息が荒くなっていった。

グラインドだけでは物足りなくなったクロエは、上下運動に変える。お尻を弾ませながら、男根を出し入れしていくと、性感が急速に高まっていった。それにこたえて、リカルドも腰を動かす。クロエはリカルドの上で小さなジャンプを繰り返した。

「いいよ。もっと。もっと、速く」

「まだまだですよ。もっと楽しまなくては」

 リカルドは急に上体を起こすと、クロエの体を抱き寄せ、そのまま押し倒した。クロエの頭がベッドからはみ出し、転がり落ちそうになるが、リカルドが押さえつけている。そして、リカルドが主導権を握り、抽出運動を始める。

 さかさまになったクロエの顔が、プリムのすぐそばにあった。髪を振り乱し、大きく口を開け、喘ぎ声を上げ続ける。おっぱいがプルプルと揺れ、汗が流れ落ちる。

 見るだけではない。激しい呼吸や喘ぎ。肉体をぶつけ合う音。飛び散る汗の匂い。濃厚な体液の匂い。それらがないまぜになってプリムに強烈な刺激を与え、官能がいや増しに高まっていくのだ。プリムは指を膣に突っ込み、掌でクリトリスを揉みこみ、もう一方の手で服の上からおっぱいを揉みしだいた。本当はワンピースを脱ぎ捨ててしまいたいのだが、興奮の高ぶりに、その手間さえ惜しい。指をいっぱいに伸ばして膣をこね回し、乳首を集中して刺激すると、性感はどこまでも高ぶっていく。

 目の前では、四つん這いになったクロエのお尻に、リカルドの男根が突き立てられていた。お尻を抱えられ、逃げられなくなったクロエは、喜びに満ちた悲鳴を上げ続け、体をくねらせる。二人の汗が弾け飛び、プリムにかかってしまいそうだ。赤黒い男根を突き立てられるたびに、クロエは叫び、体を震わす。リカルドの動きは極限まで早まった。

 そして、リカルドが声を上げる。激しい動きは、急に停止し、やがて二人はつながったまま、動きを止める。

 それと同時に、プリムもいった。膣が収縮して指をくわえこみ、愛液が噴き出す。プリムは崩れるようにベッドに倒れこみ、指をこね回しながら、快感の余韻に浸る。頭が真っ白になり、全身から力が抜けていく。

 一人で自慰をすることはあっても、これほどの快楽を味わったことはない。目の前で繰り広げられたセックスは、まるで自分が責め立てられているかのように感じられた。今まで感じたことのない充足感に満たされて、プリムは浅い眠りに落ちていった。

 

 

 違和感にプリムは目覚めた。下半身がスース―する。そして、肌を這いずり回る手の感触。

 ハッと目覚め、無意識に足を閉じるが、なにかが挟まって閉じられない。

「あっ」

「やあ。お嬢さん。お目覚めですか」

 頭をもたげたリカルドが微笑みながら話しかけてくる。そこには、やましさのかけらもない。

「……」

「お嬢さんのここは、とてもきれいですね。しっとり濡れていて、ピクついていますよ」

「……いや」

「断りもなく、下着を脱がせてしまってすみません。あなたがとても魅力的だったので、つい」

「でも」

「乱暴なことはいたしませんよ。ご安心ください。気持ちよくなってもらいたいだけです」

「……はずかしいから」

「いいえ。お嬢さんはかわいいですよ」

 リカルドはぐっと体を持ち上げ、プリムの顔が見える場所まですすんでくる。その時、リカルドが裸であることに、プリムは初めて気が付いた。一度射精したはずなのに、男根は立ち上がっていた。プリムはゆらゆら揺れる男根に気を取られ、ワンピースのボタンが外されていくのに気づかない。

「お嬢さんのことは、以前から気になっていました。色白の肌。菫色の大きな瞳。華奢な体。今まで親しくする機会がなくて、残念でした。でも今は、こんなこともできる」

 リカルドの顔が近づいてきて、プリムの唇を吸う。最初は軽やかに。そして、深く、強く吸い、舌を差し込んでくる。キスの経験はあったが、こんなキスは初めてだ。プリムの頭がボーとなる間に、リカルドの指は機敏に動き、ボタンはすべて外された。

「おいしい」

 リカルドがつぶやきながら、ワンピースの前を広げ、細い肩をむき出しにする。ショーツのお揃いのブラの紐をはずし、下にずりおろす。

「ワオー」

 プルンと飛び出した巨乳に、リカルドが賛嘆の声を上げ、すぐさまむしゃぶりつく。手で揉みしだき、口でむしゃぶりつく。まだ十代のプリムのおっぱいは、大きくはあっても頼りないほど柔らかく、さわり心地は極上だった。小さな乳首も、舌で転がすとツンと尖ってきて、いつまでもしゃぶっていたくなる。

 敏感なおっぱいを責められて、プリムは喘ぎ、股間を濡らしていく。そこに、リカルドの指が侵入してきた。繊細な動きを見せるリカルドの指は、プリムの気持ちの良いところを的確に責めていく。

「ああ。ここも素晴らしい。どちらを先にいただくか」

 迷っていたリカルドは、先におっぱいを味わうことにした。童顔に巨乳の取り合わせが、背徳的な官能をかきたてたのだ。プリムの上に馬乗りになり、カチカチになった男根をプリムのおっぱいの間に差し込む。両手でおっぱいを寄せて、包み込むと、柔らかな肉の感触が男根を締め付けてくる。リカルドは腰を動かし、男根を前後させてその感触を楽しむ。

 親指と人差し指で乳首をこね回しながら、うっとりと男根を動かすリカルドは、もっと強い刺激を求め始める。

「お嬢さん。お願いします」

 右手をプリムの後頭部に当て、前に引き寄せる。すると、軽く開いた唇が、男根に触れた。そのまま口の中に男根を差しこむ。プリムの紅い唇が、太い男根を飲み込んでいく姿は、グロテスクで官能的だ。

「お嬢さん。すばらしい。もっとお願いします」

 リカルドは、プリムの口を犯す男根に意識を集中し、スピードを上げる。右手でプリムの頭を支え、長いストロークができるように、角度を調整する。舌の上をすべらすように押し込んでいき、上あごをこするようにひき戻す。時折あたる歯が、微妙なアクセントになって刺激を強める。口をふさがれ、苦悶にさいなまれる少女の顔が極上のスパイスだ。

「ああ。最高だ。最高のフェラです」

 一気にスピードを上げたリカルドは、喉の奥にまで男根を突っ込み、そこで射精する。

 喉に放出された精液に、プリムは咳き込み、苦しさに悶絶して上に乗るリカルドを跳ね飛ばした。男根の先端から飛び出す精液が、プリムの顔と髪にかかる。咳き込んだ口からも、どろどろの精液がこぼれだし、頬や顎に垂れ落ちる。プリムは横向きになり、喉を鳴らして精液を吐き出そうとするが、簡単には収まらない。

 高まっていた性感は、おさまる場所を見失い、プリムは顔を手で覆い、すすり泣いた。

 

 

 力強い腕が、プリムの太ももにかかり、大きく広げ、膝を押し曲げる。太ももの付け根に熱いものが当てられ、位置を移動していく。やがて、プリムの一番奥深くに、それはあてがわれた。ヴァギナはぬるぬるに濡れ、どんなものでも受け入れてしまいそうなほど、滑らかになっている。事実、それは何の抵抗もなく、侵入を開始した。

 その時、プリムは自分の体に何が起きているか、ようやく気づいた。気づいた瞬間、悲鳴をあげ、抵抗を始めた。

「ぎゃー」

 攻撃されたカラスのような悲鳴が、部屋に響き渡る。同時に、手足をばたつかせ、リカルドの男根から逃れようと試みる。だが、男の力は想像以上で、太ももを抱え込まれて逃れることなどできない。小さなこぶしで殴っても、ハエの抵抗程にしかならないのだ。

 男根がプリムの膣に侵入していく。と、そこで動きを止めた。最後の抵抗線は処女膜だった。だが、それは風前の灯火でしかない。

「いやだよー」

 背中をのけぞらせて悲鳴を上げるプリム。

「バカヤロー」

 突然、プリムを押さえつける圧力が消えた。リカルドの体が吹っ飛び、壁にたたきつけられて、ゴチリと音がした。

「てめぇ。本気で嫌がっているのがわからないのか」

 そう叫んだのは裸のクロエだった。

 

 

 

                  4

 暗い回廊をプリムはとぼとぼ歩いていく。クロエの部屋を出るとき、一応身なりは整えてきたが、それでもワンピースの裾と襟元がほころび、髪と顔にかかった精液がぬぐい切れていない。真夜中の城内は人けがなく、それだけが救いだ。

 早く自分の部屋に戻りたかったが、汚れた体のままでいたくもない。プリムは中庭の奥にある大浴場を目指し、うつむいて歩く。この時間でも浴場はあいているし、たぶん入浴している人はいないだろう。

 脱衣場で服を脱ぎ捨て、浴室に入っていく。すると先客が一人いた。

 政務官アンナだ。

 アンナは会釈するが、プリムはうつむいたまま浴槽に近づき、アンナに背を向けてしゃがみ込む。桶で湯を汲み、頭からかぶる。それを三度繰り返すと、髪と体がびしょぬれになる。濡れたことで、精液の匂いが強くなった。プリムはスポンジで体をこすりながら、涙ぐむ。

 あの後、リカルドはなんども謝ってくれた。それは誠実な謝罪で、プリムにもそれが分かった。クロエも自分の軽率な行いで、プリムを傷つけたことを謝り、反省していた。

 彼らが悪いのではない。自分があのような遊びに、軽率に加わったのが悪いのだ。なぜクロエの誘いを断らなかったのか。それは、あのような性的な行為を自分が求めていたからだ。

 ミラーを自分の身代わりにしていること。そして、それをうらやましく思う、屈折した感情がプリムの行動を危うくしている。

 プリムは髪にこびりついた精液をとろうとするが、なかなか取れない。こすったり指で梳いたりしても、取れないのだ。

 プリムは声を上げて泣き出した。膣もむずむずする。奥までは入れられなかったが、途中までは侵入してきたのだ。その違和感がぬぐい取れない。

「もう、イヤ」

 絞り出した声に、別の声が重なる。

「わたしが、ついていますよ」

 そして、冷えたプリムの体は、後ろから抱きしめられた。

 

 アンナはずっとプリムを注視していた。離れていたから匂いまでは気づかなかったが、プリムの行動のおかしさは、一目瞭然だ。プリムが泣き出したとき、アンナはすっと立ち上がった。

 プリムの体を抱きしめ、泣きたいだけ泣かせる。そして、少し落ち着いたら、お湯をかけて洗ってあげる。石鹸を使い、体と髪を清めていく。

「きれいになると、体が軽くなります。きっと心も軽くなる。嫌なものを全部洗い流してくれるから」

 プリムの髪を洗いながら、アンナが語り掛ける。プリムはうつむいたまま、じっとしている。

「あなたの髪。絹糸のように細くて、銀色に光っている。きれいよ」

 プリムは目を閉じたまま首を振る。

「きれいなんかじゃない。わたし、汚れてる」

 アンナは表情を引き締めた。洗った髪をぎゅっと絞る。タオルで顔をぬぐい、上を向かせる。そして、尋ねた。

「教えてください。誰かに乱暴されたのですね?」

 プリムは首を横に振る。

「本当ですか?」

「はい。わたしが悪いんです」

 

 

プリムとアンナは浴槽の縁にもたれ、ゆったりと湯につかる。

 アンナの肩に頭を預けたプリムは、目を閉じている。アンナは湯の中でプリムの手を握っている。体が温まっていくと、心のこわばりもほどけていくようだ。

「よかったら、話してください。わたしはあなたの力になりたいんです」

 アンナの誠意と意志は、プリムを勇気づける。アンナになら、話してもいいと思えた。

「聞いてください。アンナさん」

 プリムは語り始める。

 

 

「クロエがですか。いかにも……、て感じですね」

 アンナがため息交じりでつぶやく。

「悪い子じゃないから、強く叱れなくて。でも、それはちょっとやりすぎです」

「わたしが悪かったんです。好奇心で、男の人に近づいたりして」

「好奇心って。男性のことを知らないわけでもないのに」

「……それは」

 プリムは言いよどんだ。

 アンナは王子の最側近であり、最も親しい恋人だ。アンナに話せば、王子にも伝わるだろう。

 プリムは視線をさまよわせる。すると、目の前にあるアンナのおっぱいが気になりだした。プリムをはるかに上回る大きさと、香り立つような色気が漂ってくる。王子はいつもこのおっぱいを楽しんでいるのだ。

「あの。アンナさんはこの時間に、大浴場にいるってことは」

 プリムの問いに、アンナがはにかんで応える。

「はい。先ほどまで王子の部屋で愛し合っていました」

 プリムはため息をつく。ついさっきまで、アンナは王子と激しいセックスをしていたのだ。そう思っただけで、プリムの股間が濡れてきた。

 セックスは当たり前にすることで、怖がることでも、おもちゃにすることでもない。だから、自分も、普通にセックスがしたい。

「アンナさん。もう一つ、秘密にしていたことを聞いてください」

 

「では、王子とこれまでセックスしていたのはあなたのミラーで。あなたはまだ、処女なのですか」

「王子さまを騙すつもりはなかったんです。ただ、あの時は、それしか思いつかなくて。臆病な自分が恥ずかしいです」

「誰でも初めての時は、恐ろしいものです。たとえ好きな人であっても、あそこに入れられるのは怖い。うまくできないかもしれないと不安にもなります。でも、あなたは逃げるべきではありませんでした」

「はい。わたしもそう思います」

「それで、プリムさんはどうしたいのですか」

「できるなら。許されるのなら、王子さまと初体験をしたいです。こんな事お願いできる立場ではありませんが」

「王子は心の広い方です。きっと、お怒りにはならないと思います。わたしが伝えておきましょう」

「ありがとうございます。それで……」

「まだ、なにか」

「あの、わたし」

 プリムの顔が赤いのは、長湯のせいばかりではない。プリムは視線をさまよわせながら言う。

「さっき、クロエとリカルドさんがセックスしているのを間近に見て、すごく興奮してしまって。もう、自分が分からなくなるぐらい興奮しました。だから、その……」

「だから?」

 アンナは首をかしげて問い返した。

 

 

               5

 王子の居間の暖炉には、赤々と薪が燃え、陽だまりのように暖かかった。

 窓辺のクイーンサイズのベッドは、きちんとメイクされ、主の帰りを持っている。暖炉の前にはふかふかのソファとテーブル。床には分厚い絨毯が敷き詰められ、裸足でいても寒くない。

 ソファに向かい合って座る、プリムとアンナ。プリムは真っ白なワンピースにニ―ソックスをまとっている。背筋を伸ばし、膝をそろえ、緊張した面持ちで座っている。

 一方、アンナは落ち着きなく、立ったり座ったりしている。テーブルに置かれたティーセットを並べなおし、花瓶に刺した花を活けなおし、立ち上がってカーテンを開けたり、閉めたりする。

「曇ってきましたね。明け方は寒くなりそうです」

 戦場ではどのような事態でも動じない政務官は、ここでは用もなくうろうろしているのだ。

「あっ。お菓子を忘れていました。確か、控えの間において……」

 椅子に腰かけたかと思うと、すぐさま立ち上がり、アンナは急ぎ足で控えの間に向かう。すぐに戻ってきたが、手には何も持っていない。

「おかしいです。王子の好きなパンプキンパイを用意しておいたのに」

「あの……」

「どうしましょう。もう一度厨房にお願いして。あ、でももう閉まってますね」

「あの」

「せっかくのプリムさんの初めてだから、リラックスしてもらいたいのに」

「あの、アンナさん。そこのカウンターの下の段に」

「ああ。そうでした。忘れないように、そこに置いておいたんです」

 アンナがすぐに持ってきて、ティーセットの横に置く。

「そろそろお茶を淹れましょうか。あなたも喉が渇いたでしょう」

「いいえ、わたしは」

「そうね。お茶も出さなくてごめんなさいね」

 アンナは暖炉の上にかけたやかんを持ち、ティーポットに湯を注ぐ。湯気と共に、紅茶の香りが部屋に広がっていく。ポットに覆いをかけたアンナは、ソファに座り、入り口の扉をちらりと見る。

 ふっくらしたアンナの頬が紅潮しているのは、暖炉の暖かさのせいではない。これからすることへのためらいと恥ずかしさが、アンナを落ち着かなくさせているのだ。

 アンナは髪をなで、スカートの裾を気にしている。お茶を蒸らす時間が過ぎていく。

「あの。お茶を」

「そ、そうでした」

 アンナは急に立ち上がり、ポットの覆いをとろうとして引っかかる。危うく倒れそうになったポットを、プリムが両手で支えた。

「熱ちっ」

「ごめんなさい」

 慌てたアンナがポットから手を放すと、ごちりと音を立てて、ポットがテーブルに落ちた。幸い割れなかったものの、注ぎ口から紅茶がこぼれてしまう。

「ごめんなさい。ごめんなさい」

 アンナは普段とは全く違う慌てぶりを見せ、うろたえてしまう。

 

 紅茶を口に運ぶと、少し落ち着いたのか、アンナがぶつぶつつぶやきだす。

「アリシアに見られた時もあったんだから。でもあれは、偶然だったし、アリシアもほんの少ししか見ていないって言ってたし。けど、あの子のことだから、もしかしたらもっと前から覗いていたかも。ううん。そうに違いないわ」

 アンナの落ち着きのなさの原因は自分にあることを、プリムは知っていた。申し訳なさと同時に、不思議に落ち着いている自分に気づく。こうして自分のために、頑張ってくれている人がいることが、嬉しいのだ。

「アンナさん。わたし、その。もう一人で大丈夫だと思うんです。だから」

「なにを言っているのですか。わたしが必ずプリムさんの初体験を成功させてみせます。何も心配しないで」

「はあ」

 プリムの言葉はアンナの耳には届いていないようだ。アンナは髪をなでつけ、お化粧を気にし、時折太ももをこすり合わせている。

 そしてようやく、扉が開き、王子が入ってきた。

 アンナが跳びあがるように立ち、王子を出迎える。

「王子。お待たせしました」

 待たせたのは王子の方ではないか、とプリムはぼんやり思った。

 

 部屋の明かりはベッドサイドのロウソクと暖炉の明かりだけだ。

 そのうす闇の中で、プリムはワンピースを脱ぎ、靴を脱ぎ、ニ―ソックスを下ろす。ブラジャーのホックを外してとると、桃のようなおっぱいがポヨンと飛び出した。そして、ためらいもなくショーツを下ろし、ベッドの横に置かれたソファに座る。

 王子はさっと服を脱ぎ、ベッドスプレッドと上掛け毛布を外してベッドに入る。

 そして、ベッドの向こう側で、アンナが服を脱ぎ、その豊満な肉体をさらけ出していく。

 そうだ。大浴場でプリムが願い出たことは、王子とアンナがセックスしているのを見させてほしいと言うものだったのだ。そうすれば、初めてでも怖く無くなる、とプリムは言った。

 はじめは拒否していたアンナも、最後にはうんと言った。そして、それを自分の責務として実行する覚悟を固めたのだ。

 

 ベッドに横たわるアンナの肌を、王子の手が滑っていく。耳や顎、おっぱいや下腹部ではゆっくり時間をかけてさすり、揉み、時に唇を這わせる。目を閉じたアンナは、その動作の一つ一つに敏感に反応する。

 王子が体を沈め、アンナの体に密着しながら、さらに愛撫を続けていくと、アンナの吐息が熱くなっていった。背中に回した腕で細い肩を抱き、おっぱいを口で吸い、右手を股間に進めていく。ブロンドの下草をかき分けて侵入した指が、大切な場所に触れると、「あっ」と声を上げる。

「恥ずかしいです」

 けれどその言葉は、王子の動くは早めるだけだった。そそり立った王子の男根がアンナの太ももに押し付けられ、そのまま移動していく。アンナは腕を伸ばして王子を強く抱き寄せ、頭にキスをする。膝でアンナの両足を割り、体を沈めていく王子の男根は、まっすぐに進む。

 プリムは身を乗り出して凝視する。手を伸ばせば触れる距離で、セックスを繰り広げる男と女のすがたは、どうしようもないほどの高まりを、プリムに与えてくれた。股間はぬるぬるに濡れてソファにシミをつけ、乳首が自分でわかるほど尖ってくる。うずきを抑えるためにプリムは股間とおっぱいに手を這わせ、自分で慰める。

 アンナはもう、プリムの目を忘れていた。王子の侵入を容易にするために、大きく足を広げ、くの字に折り曲げる。その股間に、王子は侵入していった。

 王子の男根がアンナに吸い込まれていくのを、プリムはつばを飲み込んで見守る。ゆっくりと入っていき、少し引き戻され、また入っていく。引き抜かれるとき、王子の男根はぬめっと光っていた。やがて、抜き差しされる男根はぬめりを増し、妖怪のような様相を見せ始める。あんなものを口にくわえたのだと思うと、われながらぞっとする。だが、それ以上に子宮のあたりがうずいてくる。わたしも、欲しい。

 王子はアンナに密着し、腰を強く動かす。アンナの口からよがり声が上がり始めた。苦しそうで嬉しそうな声を、あたりはばからぬ大きな声を上げるアンナは、冷静沈着な政務官の面影はない。だが、それが人間なのだ。

 正常位を堪能した王子は、アンナの体をひっくり返す。アンナが小さく悲鳴を上げた。

「いや。恥ずかしい」

 確かに後背位は横で見るプリムにとっても、刺激的な見ものだった。アンナのおっぱいが大きく揺れ、頭ががくがくと揺さぶられ、突き出されたお尻は美しく、煽情的だ。その大きなお尻に、王子の男根が抜き差しされる光景に、プリムは引き込まれ、ソファからずり落ちて、ベッドに手をかける。二人の結合部が、鼻の先にある。ぴちゃぴちゃと音がして、言いようのない蠱惑的な匂いが濃厚に漂う。

「見ないで。プリムさん。見ちゃいや」

 アンナの悲鳴が媚薬のようになって、さらなる性感を高めていく。王子は揺れるおっぱいを揉みしだきながら、抜きさしを速めていく。もうすこしだ。

 アンナはベッドに顔をうずめ、シーツを握りしめ、喉の奥から声を上げ、体を震わせている。長い長い快楽が続き、そして、王子は一気に絶頂に達した。

 射精の間、アンナがかすれた声で叫び続け、王子も一度だけ声を上げた。

 

プリムは夢遊病者のようにベッドに這い上がり、アンナの頭に抱きついた。息も絶え絶えのアンナを、愛おし気に抱き寄せ、頬ずりして言う。

「ありがとうございました。アンナさん。ありがとう」

 アンナはうっすらと目を開け、トロンとした目でプリムを見る。

「どうぞ。王子さまと……」

 それだけを言って、アンナは目を閉じ、ぐったりとなる。

「はい」

 プリムはアンナの体を丁寧に横たえ、唇にキスをする。そして、起き上がって王子に抱き着いた。

 王子の首に腕を絡め、唇を押し当てる。頬に鼻筋に目に、そして口に。舌を差し込み、絡め、なめまわす。膝立ちの王子が、プリムの華奢な肢体を抱き寄せると、巨乳が押しつぶされる。元気を取り戻した巨根が、プリムの平らなおなかにぐりぐりと押し付けられる。

 プリムがため息をついた。うるんだ眼がうつろにさまよい、腰から力が抜けていく。

 王子はプリムの体をベッドに押し倒し、その上におおいかぶさる。王子は穏やかな愛撫を続け、プリムのヴァギナの濡れ具合を確かめると、ゆっくりと入れていった。

プリムは王子の男根を迎え入れる。痛みはない。だが、未経験の膣は、簡単には受けいるることができない。強い抵抗を受けながら、巨根が挿入されていく。プリムは、体が真っ二つに引き裂かれる感覚を味わう。プリムは背をのけぞらせ、その苦しみを少しでも和らげようとするが、ほとんど役に立たない。

王子の巨根は、一気に一番奥にまで到達すると、いったん退いた。抜かれていく時、初めて膣での快感があった。それは腰がふわっと浮き上がるほど心地よいものだった。プリムは吐息をあげる。

二度目の侵入は、最初ほどきつくなかった。経験豊かな王子は、侵入と同時におっぱいを揉みしだき、乳首を吸い上げ、頭を揉む。これも背筋が震えるほど快感があった。

王子はリズミカルに抜き差ししながら、プリムの体中を愛撫し続ける。膣の圧迫感が薄れてくるころ、愛液が溢れ出し、くちゃくちゃと音を立て始める。

 そこからは一気に快感が高まっていく。口も、おっぱいも、ヴァギナも、吸われ、揉まれ、触られるごとに、快楽の渦が波を立て、プリムを巻き込んでいく。もう、初めててあるとか、自分をごまかしていたという邪念が消えうせ、ただ、セックスに没頭していく。

プリムはよがり声を高々と上げ、体をくねらせ、ねじらせて喜びを味わい尽くす。

その時、プリムの右手が柔らかな掌に包まれた、ひんやりとしてその手の持ち主は、激しいセックスを繰り広げる二人のすぐ横にいるアンナのものだった。

プリムは顔を巡らすと、アンナの微笑みが待っていた。

「がんばってくださいね。プリムさん」

 アンナの励ましは、プリムの心にさらなる炎をかきたてた。王子も一気にペースを上げ、プリムを責め立てる。

 ベッドに押さえつけられ、おっぱいを揉みしだかれ、男根にえぐられながら、プリムは喜びの声を上げた。悲鳴は止むことなく、激しい息遣いと飛び散る汗と愛液がすべてを物語っていた。

 そして、最後の時。体を寄せてきたアンナがプリムの口をふさぎ、舌を絡ませてきた。クリトリスを指でこすり、髪をもみくちゃにし、おっぱいを押し付けてくる。王子とアンナの二人に責められたプリムは、考えられないほどの快楽を与えられ、絶頂に達した。

 背筋を走る快感にしびれながら、プリムは天窓を見た。そこには箒にまたがったミラーが、そっと見守ってくれていた。

 

 

 すべてが終わった後、プリムは最初に言った言葉は。

「アンナさん。本当にありがとうございました。大好きです」

 だった。

 プリムの愛の言葉は、王子ではなくアンナに捧げられたのだ。

 

 

                                終わり

 

 




 これで四作目になりました。久しぶりに書いているので、文章がこなれていないように感じます。書き続けていけば、もう少しよくなっていくと思うので、これからもお付き合いください。
 
 アイギスが四周年を迎え、キャンペーンに乗せられて新しいユニットを増やしてしまいました。おかげで題材が尽きません。しばらくはこのシリーズを続けられそうです。
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