バルファルク目線でスタートです。
「ウゥ…」
目が覚めると、私は自分がどこにいるかわからなかった。全身のだるさと、下腹部の鈍い痛みを感じて昨日の出来事を思い出す。見渡すと、崖の中腹にあるあの龍の巣にいるらしい。昨日食らった雷の影響でまともに動けそうもない。立ち上がっても余裕の広さのある空間で私は思う。
(私、どうなっちゃうんだろ)
食料としてか、玩具としてか、はたまた苗床としてか。
(食べられることは無いだろうな)
自分なんか食べるより草食獣を食べた方が美味しいだろうし、手間もかからないだろう。第一、もう太陽が真上に上っているのに殺されてないということは私の肉目的ではないということだ。死なずに済んだと安心する反面、これからどんなことをされるのか不安で仕方ない。
すると、聞きなれない羽音とともにアプトノスを抱えた白龍が戻ってきた。恐怖を感じ、全身がブルブルと震える。私が起きていることに気がつくと、アプトノスを目の前に置いた。「食べろ」ということだろう。
腹は空いていたので食べたが、味を感じる余裕がない。体は絶えず震え、何か音がするたびビクッとする。
食べ終わると龍は残骸を巣の外に捨てた。そしてこちらに向かって何か言うが、当然通じない。すると龍が近づいて来たので目を剃らして全力で縮こまると、パリパリという音とともに龍が紅い雷を纏った。目をぎゅっと瞑って激痛に備えたが、その雷が私に当たると体が軽くなっていくのがわかる。龍がそれをやめたときには随分と回復した。
しばらく龍が私の体を舐めたり擦ったりしていたが、唐突に私を両腕で抱き抱えると、巣からでた。
(落とされる!)
と思ったが、体が浮く感覚。体格は私の方が一周り小さいとはいえ軽々と運ぶとは。やはりただの龍ではない。しばらくすると昨日の湖についた。そこで下ろされると、
「クーン」
と鳴きながら私の顔に近づき、背筋が凍った。
端からみれば白龍が申し訳なさそうに鳴いているだけなのだが、今の彼女は怯えきっていて理解できなかった。
体を縮めながら顔を剃らすと更に近づいてくる。恐怖が増す。そして昨日を思いだし、交尾を求められていると勘違いし、分かったから痛め付けないでくれと自ら仰向けになった。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
僕はとりあえず彼女にアプトノスをあげた後、安心させようと甘えた声を出して舐めたりとかしていたが、完全に怯えきってしまっている。巣だから駄目なのかなと昨日の湖につれていったが、反応は同じだった。諦めずに続けると突然仰向けになり、涙を浮かべながらこちらをみる。言葉は分からないが、目は口ほどに物を言うのだ。察するに
『交尾ならさせてあげるから、お願い酷いことはしないで!』
もちろんそんなつもりはない。ないはずだった。最初は違うよと顔を舐めて起き上がらせようとしたのだが…。
「クチャ…」という音が聞こえ、思わず彼女の下腹部を見ると、滑らかな腹の下に粘液で湿った秘裂が口を開けていた。昨日の粘液がまだ残っているのだろうか、強い匂いが辺りに充満する。また理性が追いやられて行く。必死に堪えてとりあえず立ち去ろうとしたが無理だった。体が反応し、自身がそそりたってしまう。こうなればもう理性が消し飛ぶまで時間の問題だ。ならばせめて優しくやるために理性が残っているうちに済ましてしまおう。昨日のように舐めようとしたが、余計匂いを嗅いでしまうし前回の粘液のお陰で十分濡れていたのでそのまま挿入することにした。
ゆっくり、ゆっくりと奥まで入れ、優しく抱き寄せ額や首を舐めながら極力優しく動いた。しばらくして達したのか膣が急に締まる。すると向こうから抱きしめてきた。無意識なのか目の焦点が合ってない。そういえばいつのまにか震えが止まっている。最初は泣いていたというのに、よくみれば強張った顔も緩んでいる。そこで気がついた。皮肉にも一番の恐怖の根源であるこの行為が、彼女の恐怖を一時的に忘れさせるのだと。もうひとつ気がついた。どうでもよいことだが、理性が消える前に実行し、続けていればそのまま理性が保てる。本当にどうでもよい。
そのまま動き続け、精を注ぐと顔を胸に擦り付けてきた。何とも複雑な気持ちになりながら顔を撫でる。それと同時に自己嫌悪にかられた。ペニスはまだ固さを保っていたが、欲は収まったのでそれを引き抜き逆流した精液を舐めとった。
しばらくすると我に返ったのか震え、泣き出した。
それから3日間、安心させようとするたびに彼女は仰向けになり許しをこいた。もとの体制に戻そうとしても、痛め付けられると思っているのか身をよじり泣いてしまう。こちらの顔を見ようとしないので表情で伝えることもできない。次第に匂いに支配され交尾するのだが、まるで洗脳しているようで気持ち良く無かった。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
私はもう半ば諦めていた。自ら体を差し出せば優しくしてくれる、痛め付けられないですむ。もちろん交尾などしたくないが、拒否して乱暴にやられたくもない。抵抗しても無駄だと言うことは分かっている。ならば少しは快楽のある、また一時的に意識が飛んで恐怖を忘れられる方を選ぶ。
龍とであって6日目。起きたときには龍は居なかった。それはそこまで驚くことではないが、その日は帰ってこなかった。日が暮れても、日が昇っても。
(今なら逃げられる…?)
もしかしたら他の龍に襲われたのかもしれない。そう思うと急に元気が出てきた。体の調子も良い。巣から出ても龍の気配はない。近くにいたアプトノスを食べ、思いきって逃げた。
少しの間飛んで、追ってきてないか確認するため1度振り替えるもそれらしい影は見当たらない。よし、と前を向いたとき、さっきまで居なかった龍がいるのに気がついた。
「──────」
凄まじい咆哮に怯む。全身鋼のような龍。見たことはないが聞いたことはあった。
(鋼龍…!ここはこいつの縄張りだったの?なんでこんなに古龍ばかり…)
一気に天気が悪くなり、強い風と雨が吹き付けた。相手はすでに臨戦体制。この強風のなか平然と飛んでいることから、飛行能力は並大抵ではない。警戒し、気弾を放つと華麗に避けられ一気に距離を縮められる。その突進をかわし、翼で叩くと「ガギン!」と重い音が響く。相手が少しよろけた隙にもう一度龍気弾を放つ。避けきれずに左足に命中。するともう一度咆哮をあげたが今度は怯まない。喉元めがけて一気に加速…したはずだった。
(進みにくい!風を纏っているの!?)
大して加速せず、そのままのスピードで突っ込んだお陰でかわされ、後頭部に剛腕を叩き込まれた。衝撃には強いはずだが、重い腕を非常識な速さで降り下ろされ平行感覚が一瞬おかしくなる。その隙に鋼龍は渾身の力を込めて息を吸い、吐き出した。
ブレスでも吐くのかと思ったが、何も起こらないのでその隙に再度突っ込もうとしたときだった。目の前の木々が吹き飛んだのが見えたのと同時に激痛が走り、上も下も右も左もわからなくなった。
(息で吹き飛ばされてる!?この私が!?)
100m吹っ飛び、150m転がった。意識はあったが平行感覚が完全におかしくなり立ち上がれない。すると死んでなかったことに驚いたような表情でこちらを見、もう一度同じ動きをした。
(殺される!)
白龍のときよりも確実に殺される。ただ睨み付けることしか出来なかった……。
渾身の風ブレスをもろに食らい、再び吹っ飛んだ。
体がバラバラになってしまうような痛み。
恐ろしいことに意識を失っていない。失えないのだ。次から次へと襲いかかる激痛。ひとつの痛みで意識が遠退いても次の痛みで引き戻される。痛みで何も考えられない。ただ叫ぶしかなかった。その断末魔に鋼龍も一瞬怯む。
「キョォォォォォォォ!!!」
突如その断末魔を完全に掻き消す凄まじい咆哮が鳴り響いた。空気が激しく震動し、全身がギシギシいって更に痛みが増す。だが、どこか温かみを感じた。
朦朧とした意識のなか、自分の前にあの白龍が現れたのを確認した。天気は雷嵐となり、紅の稲妻が空に走る。
白龍の見かけも少し変わった。爪や翼爪などが赤黒くなり、全身に紅の雷を纏っている。
そして足踏み。閃光が相手を襲うも少し怯んだだけで大して効果がないようだった。鋼龍はまた同じ動きをし、息を吐いてきたが、それと同時に白龍も紅と白の混ざった色をした光輝くブレスを吐いた。風ブレスは雲散霧消し鋼龍が慌てて飛び退くと、ブレスの通った地面が深くえぐられた。直撃すれば致命傷どころじゃない。事実えぐられたところには何も残っていなかった。消滅したのだ。木々も、岩も。そして白龍が鋼龍に何かをいってこっちに向かってきた。雷を今度は私に浴びせると体から痛みが引いていくのを感じ、意識を失った。
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気がついた、と同時に身体中に激痛。思わず悲鳴をあげるとドタドタと何かが走ってくる音。ゆっくり目をあけるとあの白龍がいた。さも心配そうな、けれどもほっとしたような涙目でこちらを見た。綺麗な顔だ。そういえばこの龍の顔なんてまともに見てなかった。
首を動かし体をみると草と何かを練り潰したようなものが塗りたくってある。治癒効果でもあるのだろうか。
意識が徐々にはっきりとしていった。すると白龍が寄り添って私の顔を舐める。意識と共に恐怖が戻る。まさか私がこの状態でも交尾する気なのか?だが少しして離れると何処かへ飛び去った。獲物でも取りに行ったのだろうか。助かったのか助かってないのか良く分からないが、命に別状はないようだった。
しばらくして龍がアプトノスを持って戻ってきた。差し出されると腹が減る。現金な体だ。食いちぎろうと腹に噛みつくが、力を入れた瞬間身体中が痛み、とてもじゃないが食べれない。すると見かねたのか龍が皮を剥いでくれた。もう一度食べようと試みるがダメだ。今の私では柔らかいアプトノスの肉すら食いちぎれない。情けなくて涙が出た。
そんな私を龍がじっと見る。「食えないのか?」と言っているようだ。せっかく獲ってきた獲物を粗末にされれば誰だって傷つき怒るだろう。マズイ、痛め付けられるか。でもどうしても痛くて食べれないんだ。だからもう好きにしてくれ。
龍が私の目の前で肉を頬張る。そりゃあ粗末にしないためだろうが傷ついた。が、予想だにしなかった行動に出る。しばらく咀嚼するともう一度こちらを見た。何かを迷っているようにもみえたが、意を決したような目に変わると私の顔を持ち口を少し開けさせるとそのまま口移しで肉を送り込んできた。驚きながらも柔らかく噛み潰された肉を素直に飲み込む。なぜここまでするのだろう。口移しなんて親子か仲の良い番しかやらない。
そのまま口移しで肉を与えられ続けた。咀嚼して柔らかくしているので、唾液まみれで普段ならきっと気持ち悪くて拒否するだろうが、今はそんなこと言っている場合ではない。食わねば死ぬ。それにさほど嫌でもなくいつしか自分からねだった。肉をくれる龍の目は限りなく優しい。ふと、この白龍は私に危害を加えるつもりはないのではと思い始めた。
彼が近づき、例のごとく恐怖に震える私。だが彼は風から私を守るように翼を片方だけ広げて私を覆う。そして傷が痛まないよう気を付けながら私に寄り添った。疲れが一気に襲いかかり、眠りに堕ちるのに1分とかからなかった。
次の日も同じように過ごした。口移しで肉をもらい、傷に何かを塗られ、あとは寝るだけ。彼は狩りのとき以外常にそばにいた。
数日経って、肉が自分で食べれるようになり、傷に例のものを塗られている時だった。
「………★□※▽△◎かい?」
「え?今なんて?」
通じないはずなのに、確かになんかいった。彼の深紅の眼をみると、彼も驚いている。そしてあどけない声で話し始めた。
『僕の言ってることわかる?』
『うん…でもなんで?』
『わかるってことは僕に少し心を開いてくれたんだね』
彼いわく、彼の一族は例え直接言葉が伝わらなくても、知性があり、自らに心を開いた竜と意志疎通ができるらしい。神かよ。そして、私が何か言う前に彼が口を開いた。
『酷いことをしてしまって本当にすまない。でも君に危害を加えるつもりは無いんだ。…信じてくれなくても当然だけど、初めてあった日、君を襲うつもりは無かったんだよ。ただ、何十年も竜と話してないし雌と交わるなんて久しくなかったから匂いを嗅いだとたんに発情しちゃって…。辛かっただろうね。泣き叫んでたもんね。本当は友達になりたかっただけだったんだ…。』
彼いわく巣を空けたのも私が逃げることを期待してのことで、本当は番にしたいとまで思っていたそうだが私が怯えきっていたのでそうしたらしい。でも見知らぬ鋼龍の気配を感じて追ってきてくれたんだと。へーそうなんだ。じゃあいいよ。なんて言うわけがない。
『そんな!そんなこと言われたって!私がどれだけ辛かったか!もう普通に生きていけないかと思ったのよ!』
『…ごめん』
『なのにそんなあっさり許せるわk…』
『大丈夫!?』
傷が痛んで言葉を切った。
『傷が治ったら私をどうするの?苗床にでもするつもり?』
『傷が治ったら…好きなところへ行くといい。この辺りに住んでも良いし、そうじゃなくても良いし…それまでは守るよ。』
『…どうしたかったわけ?』
『…一緒に…いてほしかった…それだけ。』
『…』
『ごめん』
『もう少し離れて。一人で考える。』
…というと素直に巣の端っこまで移動。こいつ性格と力が一致してない。しゃべり方は子供じゃないか。こんなやつに恥辱されていたのかと思うと悔しくて傷が痛む。
だが、ふと巣の端でこちらに背中を向けて丸くなる彼を見ると、時々微かに震えるのがわかった。
(もしかして泣いてる…?)
声や息づかいはあまり聞こえないが、寂しげな彼の背中を見ると少し冷静になった。
連休のお陰で連続投稿できました。もうこんなに連続して投稿することは無いかと…。
それではまた。