前回が本当によくわかんない作になってしまってすみませんでしたm(__)m。
今回は少しスピーディー(自称)に話を進めてみました。最後まで読んでくださればきっと"あれ"とか"あれ"がもう少し面白くなる…ハズ。それでは私の2番目の完結作、お楽しみいただければ幸いです。
ここ数日で塔はかなり賑やかになり、挙げ句の果てに黒龍、紅龍まで集まった。ただの交尾ごときで大袈裟だなぁと正直思ってしまうのだが、まぁ彼が番を持てば大切な跡継ぎとなる子供が産まれるということだからと無理矢理納得する。
ルーク「あ!トトリ!久しぶり~。」
あれが前言っていた弟のナルガクルガか。純白でこちらも異様なオーラを発している。ぶっちゃけ居ずらい。ルークはずっとこんな感じで再開を喜んでいるが、そもそも単独生活の種族である私にはかなり不慣れで居心地が悪く、早くもとの彼の塒に戻りたいなと思い始めた。
グラド「さぁ、」
と呼び掛け唐突に婚姻の儀を始めると言われ若干動揺する。その合図で近辺にいた竜達は私たちを囲むようにして集まり、竜人達になんかよく分からないこと(繁栄を祈っているらしい。葉のついた木の枝とかを振ってた)をされて本題に入る。
私は四足歩行なので彼もそれに合わせて口合わせ。やりずらかったが珍しく彼が積極的に舌を絡めてきたので少し安心し、極力周りを見ないようにする。でも囲まれてるし私目が良いから…目を閉じた。そっと離れれば唾液が舌同士を結び恥ずかしさが増すが、誰もそんな目では見ていない。
「さぁ、シルバ。大丈夫、誰も笑ったりしないよ。」
そう促され、予定通り四つん這いのまま腰を少し上げて尻尾を斜めに垂らす。すると今まで沈黙だった観衆がざわついた。
「何故仰向けじゃない?礼儀を知らないのか?」
「あれじゃルーク様に失礼じゃないの?」
などなど。きっとそう言われるだろうと予想してたがやはりちょっと傷つく。そんなのは他所に彼が秘所を舐めれば徐々にトロンとしててきて、それに彼が私の体勢を気にせず前戯を始めたことで周りの反応も少し変わってきた。彼の舌が入ってくると周りのことを気にする余裕もなくなる。
「フゥ……ン…」
十分濡れたところで愛舐は終了。チラッと振り返れば大勢に見つめられ少し恥ずかしそうな表情を浮かべながらも肉棒をそそりたたせた彼と目が合う。無言の意思疏通をしていよいよ開始だ。覆い被さり、先端でまさぐり慣れない体勢なので少し手間取っていたが、ズニュズニュと入ってきた。
「ク…ハァ…」
「我慢しなくて良いよ。大丈夫。ここだけの話、レイも声だしてた。」
そんなこと言われても…。でも耳元で囁かれれば私も一気に交尾モードに入り、彼を無意識に締め付けた。
クチュックチュッ…
静かな音をたてながら、コツンコツンと奥を突かれる。優しい腰使いとは対象的に、しっかりと私を抱いて撫でながら頬を擦り付けたり舐めたりと情熱的だ。ここまでされると私も声を我慢できない。不意に首を噛まれて達してしまった。
「キャウッ!」
ふと周りが気になって耳をすますが何も聞こえない。目を開いて少し見てみると、皆もようやく体勢の意味が分かったようで温かい視線が送られていた。それを確認して目を閉じ、行為に集中する。
ズン…ズン…
「クゥ…クゥ…」
少しずつ突く重みが増していき、ルークの呼吸が荒くなっていく。顔に彼の熱い吐息がかかって再び絶頂が迫るのを感じた。
「シ、シルバ…」
その一言で察し、下腹部に力を入れて彼を締め付けてみれば私をさらに強く抱き締めて射精。同時に口合わせもした。注ぎ終わって引き抜かれると恥ずかしさが復活するが、
セラ「これで彼らは"対等"な番となりました。彼らに祝福を。」
という合図で竜達が一斉に遠吠えをし、儀式は終わった。
グラド「まさか対等と認めるとはな。変わったやつだ。」
セラ「そこがこの子の良いところです。ルークを頼みますよ、シルバ。」
「はい…。」
グラド「さぁ、戻って続きでもしていてくれ。物足りぬのだろう?」
とルークを見て言ったので見てみると依然剛直は保たれたままの彼が照れ笑いしていた。実は彼の親戚も集まっていたということで最近は交尾を控えていて、その為私達は…まぁ、つまり溜まってる。欲が。
塒に戻って今度は仰向けで激しく交尾。その後上下を入れ替わりながら何度も注がれ、ようやく彼の雄が萎えたときには辺りに体液が飛び散り、少しだが交尾前よりも明らかに私の腹が膨れていた。
意識が飛びそうになるくらいの快感が終わり、私達はお互いを舐めたり噛んだりスリスリしたりと甘え合う。何故かは分からないが交尾後はいつも甘えたくなるのだ。
「ねぇ、ルーク」
「うん?」
「こうしてるとさ、ずぅーっと前からこうしてた気がするの。変かな?」
「じゃあ僕も変なのかな。僕も同じことを感じてた。」
フフッと笑って眠りについた。
翌日、婚姻の儀を終えて帰るはずだった竜達は再度集まることになる。
ルーク「レイ!レイ!起きて!」
レイ「うん?あ、ルーク様。どうしたのですか?」
とにかく来いと呼ばれて家族と共に行ってみると、セラ様とグラド様に囲まれ、横たわりトロンとしているシルバ様の姿が目に入る。セラ様もグラド様もうっとりと微笑み、ルーク様はこれでもかと顔を輝かせているし…
「ルーク様…まさか…」
ルーク様がシルバ様のお腹を舐めたあと額を合わせているのを見てはっとする。
セラ「間違いありません。宿りました。」
レイガル「!!」
グラド「フフフ…婚姻の儀の日に身籠るとは…なんと縁起の良い。これからは下僕にも頑張ってもらわねばな。レイとガルは別だが。」
ルーク「狩りには僕が行くよ。その間はレイに頼む。」
セラ「構いませんが近くなったら側にいてあげてね。」
ルーク「分かってる。」
それから1ヶ月、先にルルが産卵。4つの卵が産まれ、その2週間後に全て孵った。
ルル「お陰で全て孵りました。これからは自分で狩りに行くので引き続き子供達をお願いします。…次はシルバ様の番ですね。レイならきっとお気持ちを分かってくれるでしょう。頑張ってください。」
2ヶ月経てば目に見えて腹は膨らみ始め、それからさらに半年後。
ルーク「あ、動いた。でも前より弱くなった?」
ルークがシルバの腹を撫でるとその中の子供が反応する。
レイ「子供が大きくなったからでしょう。あぁリト…」
シルバ「いいわよこれくらい。」
とっくに乳離れしたリトは言葉が喋れるようになって、ルークと遊んだり今のようにシルバのお腹に耳を当てたりしていた。
リト「ウゴイタ!コドモ、イツアエル?」
シルバ「きっともうすぐよ。仲良くしてあげてね、リト」
「ウン!ナカヨクスル!アソブ!」
そして数日後、ついに産気づいた。レイ、ガル、リト、そして彼の両親は少し遠くから見守り、ルークは私のお腹を撫でるように擦りながら私と向かい合うように横たわる。
「クゥ…フゥ…」
彼女が顔を歪ませ始まった。僕は正直どうすれば良いか分からないので取り合えずそのままさすり続ける。お産はとても静かだった。膣口から大量に粘液が出ていよいよ本格的になり、その時だけ彼女は不安げにこちらを見たので口を重ね額をつけたのを最後、大きく深く息をしながらひたすら痛みに耐えゆっくりと確実に押し出していった。天彗竜の子供が少しずつ産み出されるのをみてなんとも言えない不思議な気持ちで見る。これが自分との子なのだからもっと不思議に感じた。
「ウググ…」
一番体周が大きい翼のところが出かかるとシルバが唸った。1度一呼吸置いて再開。ここは少し時間がかかったが、進み始めればそのまま止まることなく翼が出て、最後の一息で腰と後ろ足が出た。
「ハァ…ハァ…終わった…?」
「やったよシルバ!」
見守っていた者達も無言で喜びの息を漏らす。シルバは間髪入れずに子供の頭にかかった膜を破り、続いてへその緒をちぎった。ピュッと血液が飛ぶもすぐに止まりそれが刺激となって子供が咳をし呼吸する。ここでようやくシルバも安堵のため息をついた。
シルバ「ルーク、一緒に。」
「え、いいの?」
産まれたばかりの子供を舐めるのは母親の特権なのに。雌の天彗龍の子供で、リリネと名付けることにした。天彗龍なので僕の面影はないと思っていたのだが、
「ルーク…この子の目…あなたの目ね。」
そこには紅の瞳があり、僕らの子であることを象徴していた。
「ありがとうシルバ。」
「こちらこそ。飛べない私がこんな幸せを手に出来るなんて思ってもなかったわ。」
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それから100年後。リリネの他にレントと名付けられた雄の天彗龍も生まれた。そして運命は廻る。
塔には多くの竜が集まり、その瞬間を待っていた。
中心にいるのはルークのみ。レイ家族やシルバとリリネ、レント、グラドとセラも彼らと並んでルークを囲む。
そして満月が天上に登った頃、ルークが雄叫びをあげると周りの竜達はひれ伏し、天からは紅の閃光が、大地からは光の波紋が集まり彼に力を与えた。角や爪などが赤黒く変化し、完全に力を制御した真の祖龍が立つ。
だが再び雄叫びをあげる前に囲みへ近づき、ひれ伏していた自身の妻の額を舐めて
「一緒に。君は対等と認めたんだ。それに今なら何でもできる気がするよ。」
そう言っていびつな形をした翼に手を当てる。
シルバはまさかと期待する。その通りに紅い雷と痛みと心地よさが襲い、翼が伸びていくのを感じた。手を離したので見てみれば、過去に何度も夢見た立派な天彗龍特有の翼があり、感覚もはっきりしている。同時に胸のエネルギー精製器官もスッキリした。
「さぁ、隣に。僕に合わせて。」
中心に戻り、彼に合わせて雄叫びをあげた。
キョオォォォォォ!!!
ギャオォォォォォ!!!
1テンポ遅れて頭を上げた竜達がそれに続く。
その咆哮は海を越え、世界中の竜に新たな王の誕生を伝えた。
ルーク「今日はこれだけじゃないんだよね。リリネ、リト。」
呼ばれた若い雷狼竜と天彗龍が王達と場所を代わる。
リト「本当に俺でいいんだな?同族じゃなくて。」
リリネ「それはこっちのセリフよ。」
そうして母譲りの白い体に父の碧色の毛を生やした雷狼竜と、母と瓜二つの体と父の紅眼を持つ天彗龍は互いを対等と認め交わった。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
しかし、それからさらに時が経つにつれある問題が発生する。
ルーク「どうした!?」
「母さんが…ルルが人間に殺された…!」
レイ「なんてこと…」
シルバ「これで下僕が殺されるのは3匹目ね…」
近ごろ人間が竜の虐殺に拍車をかけているのだ。世界中で竜の嘆きが響き、その魔の手は塔まで迫っていた。
ルーク「これから下僕は単独行動しないように。」
それから数年ついに人間は竜人を出し抜き王を殺しに来た。数は4。皆古龍から造ったものを身に纏っている。竜人から彼らがどんな武器を使うのかは教わっていた。下僕には下がれと言い、直接話しかけてみることにしよう。
ルーク「人間、何故竜を虐殺する。」
動揺したものの答えずにボウガンを向け発砲。龍雷を纏って自身に当たる前に消し炭にした。
「もう一度聞く。何故自然の摂理に反して殺す。」
しかし答えず、遠距離は無理だと悟ったのか刃を抜いて距離を詰めようとしてきた。しかしそれが当たることはない。人間が踏み出してすぐに地面を足で叩き龍雷を伝わせ人間達を弾き飛ばした。
1分もかからずして人間達は動けなくなるが殺しはしない。
「お前達の長と話がしたい。竜人を介して返す。呼んでこい。」
それから数年、何度か人間が襲いに来て、その度に同じことを言った。そしてついにギルドマスターという竜人が現れる。
「何故自然の摂理に反して竜を虐殺する?」
そこで話されたのは、ある大国が竜の根絶を目指し動いていること。ギルドという組織は反対しているもののその大国を止めることはできないということ。
「だから大人しく滅びろと?ギルドマスターとやら、その王に伝えよ。このままでは世界の生命の平衡が取り戻せなくなる。虐殺を止めなければ世界浄化は時間の問題だとな。」
そんな暗い情勢の中、一筋の喜びが訪れた。シルバが身籠ったのだ。それも祖龍の子を。腹は今まで以上に膨らみ、その瞬間が近づく。心配なのは無事で済むかと言うこと。ナルガクルガの祖母が母を産んだときは、途中で力尽き引っ張り出されたという。その後すぐに祖母は死んでしまったらしい。
セラ「あなたならきっと大丈夫。ルークもついているわ。」
年老いた母は嬉しさ半分、不安半分でそう励ました。
そうした不安のなか、命懸けの出産は始まった。もう2度も経験しているというのに苦しみかたが尋常じゃない。絶えず唸り宙を掻く。進展は非常に遅く、鼻先が出るまでの時間に前の子は産まれていた。
「ルーク…膜を…お願い…」
そう言われ鼻を露出させる。これなら母親からの血液の供給が止まっても呼吸はできる。
破水してから2時間、ようやく首が全て出たが大変なのはここから。1時間近くその状態が続き、悲鳴に近い声をあげ後ろ足で宙をもがくと翼の付け根まで出た。
シルバ(あぁマズイ…。)
腹が裂けているのではという痛みがさらに増し、深呼吸しないとと分かってているがハッハッと短い息になり意識が遠退く。
「落ち着いて。シルバなら大丈夫。鋼龍のブレスを2回食らっても生きていたじゃないか。」
そう言って抱き締められ、引き戻された。まるで昔に戻ったようだ。
私の顔に息がかかるほどの距離で彼がゆっくり呼吸する。それになんとか合わせると意識がはっきりし、不思議と痛みが少し治まった。
「そういえばいつもこうやって抱き締めながらずっと擦っててくれたっけね…。」
変わらないね、と弱々しく笑う妻を見て少しほっとする。そして彼女は産まれかけの我が子を確認して呻きながら再び力を込めた。
シルバ(こんな痛み、あのときに比べれば…私を救うために彼が味わった痛みに比べれば…)
激痛が復活するが気力を奮い立たせた。彼を抱き締めながら力を込めれば僅かながら着実に進み、また止まる。
ルーク「もう一踏ん張りだ…。」
そう言われて見ればもう腰辺りまで出ている。
彼女は僕をかなり強く抱き締めいきみ、励ませば軽く口付けして胸に額をつけた。
「グゥゥ…ゥウアアァァ!…アグッ…ハァ…」
ルークの鱗が軋むほど強く抱き締めもがきながらまさに絶叫。最後の力を振り絞って産み出した。
「ルー…ク」
何が言いたいか分かったので子供を取り上げ彼女の前に置く。へその緒を噛み切ったあとは2匹で舐め、胎盤を処理してようやく終わった。産まれたのは雄の祖龍。レントは天彗龍として生きていくことを決めていたが、この時のために戻っていた。
シルバ「よかった…肩の荷が降りたわ。」
祖龍を産めないのではないか。そんな心配をしていたからだ。ルークは下僕を苗床として扱っていなかったので余計不安だった。
セラ「本当によく頑張りました。」
グラド「あぁ。立派な子ばかりだ。」
ルーク「ゆっくり休んで。」
立てるようになるまで3日かかったが、その後は特に問題がないようで皆ホッとした。子供はランカと名付けしばし塔に和やかな雰囲気が流れる。
だが数年経つといよいよ状況は悪化。眠りを妨げるほどの嘆きが聞こえ、ついにこの日が来てしまった。
ルークが500歳を越えた頃、人間の大軍が塔を囲み、空を飛行船が覆った。だが反撃はせず交渉という面目でそのリーダーとギルドマスターを呼ぶことに成功する。
シュレイド軍将軍「お前が竜王か。」
ここにも結構な数の武装した人間を連れてきている。勝ちを確信しているのか将軍の顔には笑みが浮かんでいた。下僕達と家族を自分より後ろにやり
ルーク「最後に警告する。今すぐ武器を捨て虐殺を止めよ。」
将軍「何か勘違いをしていないか?そんなことを言える立場とでも?それともお前達だけでこの精鋭部隊と我が国の第1~5軍を倒せるとでも?確かに1対1では無理かも知れないが人間には知恵と知識がある。それがないお前達に勝ち目などない。」
ギルドマスター「ここで隠居するならここに住む竜は保証すると───」
ルーク「成る程、知識がないとダメか。」
将軍「そうだ。だから服従──」
ルーク「ならばお前達は我々の何を知っている?知識がないのはお前達もだろう。」
将軍「……交渉決裂という訳だな。出撃許可!」
狼煙を上げれば飛行船も動き出すが、ルークが咆哮を上げれば龍エネルギーの球体が大量に空から降ってきて接近していた飛行船をことごとく破壊。囲んでいた軍にも大きな被害がでた。動揺しているところに強烈なブレスを浴びせれば、白と紅のビームが通ったところにいた者は跡形もなく消滅する。間髪入れずに地面に雷を地面に這わせ残りの者を吹っ飛ばした。ただし将軍とギルドマスターを除いて。
だがまだ潜んでいたと思われる人間が次々襲いかかり、ボウガンの弾が下僕に当たって弾かれたのをきっかけにルーク以外も動き出す。まず、レイとリトが極限雷光虫を飛ばして地面に雷を這わせダメージを食らっているところにルルの子供、ガオリが突進し蹴散らす。別方向では純白のナルガクルガでルークの弟のトトリが軌跡に鎌鼬を発生させながら文字どおり目に見えない速さで大群を一斉に切り裂き、シルバはそこに龍気弾を、リリネは空から持ち前の視力を生かして正確に攻撃した。
ルークにも押し寄せてくるが腕を地面に叩きつけ前方に龍気超爆発を起こし、被弾した者はバラバラになる。
ただでさえ普通の竜とは雲泥の差の力を持つ者達が、息を完全に合わせて戦えば人間に勝ち目など無かった。あっという間に部隊は壊滅。塔を囲んでいる兵もそこまで早くは来れない。唯一無傷の将軍とギルドマスターに向き直り、
ルーク「さて、最後の警告はした。だがお前達は受け入れなかった。例えここでお前達が退いてもその心は変わらないだろう。これより、我が命を糧とし、世界の浄化を始める。」
ギルドマスター「浄化?」
「この世界の平衡が戻るまで全ての生命を対象とし滅ぼす。まぁ今平衡を乱しているのは人間だろうから影響を受けるのも大方人間だろうな。」
将軍「そ、そんなことが!」
あり得ないと信じたいが、その力を目の当たりにした人間達はそれが嘘ではないと認識する。
僅かに生き残っていた者や息を吹き替えした者が武器を取るがレイが極限雷光虫を飛ばし一網打尽にした。
さらに少し離れていた飛行船が接近するも、ルークが咆哮を上げながらエネルギーを天に放つとその飛行船目掛けて空から閃光が撃たれ、音もなく消滅して残骸が宙を舞う。
「心配しなくても人間を根絶させるわけではない。我らを想うものは被害を受けぬだろう。」
そう言い残し空高く舞い上がった。塔の周りを囲んでいた者達も目視したができることはなかった───。
3度咆哮しすると光の波紋が大地を伝い、ルークの真下にくると雷となって彼に力を集中させる。それを天に放てば紅い稲妻を轟かせる雲が全世界を覆い、龍気隕石が降り注いで人間の文明を破壊。それで乱れないよう他の生命も多少影響が出たが、被害を受けたのは殆ど人間で、竜に関してはほぼそれは無かった。塔を囲んでいた軍にも生存者はほぼいない。
大きな力を使った祖龍はもとの場所に降り立ち
「何故お前達を生かしたか分かるか?」
と聞いた。
将軍「…もう刃向かうなということだろ?」
「違う。来い。下で待っていよう。」
そう言われて麓に行けば、古い社に案内された。
ギルドマスター「これは…?」
「今からおよそ600年前、竜人の過ちで1頭の竜が人間に殺された。ここはその竜とその子供、その子供の番を祀った祠だ。その竜は幼い子を連れ逃げてきたのだが竜人が侵略と勘違いして人間の狩人に撃退を依頼したのだ。間違いに気づくも時既に遅し、母竜は殺された。だが母竜が命を懸けて守った子供は人間の少年に救われたのだ。少年はその竜だけでなく他の竜も愛し、ついには竜を番に選んで自らも禁断の秘技を使い竜となった。救われた子竜はその後も竜となった少年を慕い、成長し番も持った。そのお陰で母竜の魂も救われたという。この祠は過ちを懺悔するために建てられ、そして時が経ち子竜が死んだあとは共に埋葬されたのだ。」
ギルドマスター「竜を育て竜を愛し竜になった少年…まさか…月光の狩人、キルト…?」
「ほう、知っているのか?私も産まれる前の出来事だが。」
「古い記録にそれが…」
「なら話は早い。その少年は竜となったあとも故郷で番と共に人間と共存したのだ。争うことなく寧ろ助け合った。その少年がしたことを他の人間にもしてほしいと思っている。」
将軍「なっ!」
「いや、竜になれとも、竜を番にしろとも言わない。だが今日のように力で平衡を保っていてはいつまでも変わらないのだ。その心。心を見習ってほしい。」
将軍「どういうことだ?」
「その少年は人と竜という"隔たり"を越えた。私は、その少年がしたようにいつか人と竜が本当の意味で共存してほしいと願っている。お前達にも伝えようとしたが耳を貸そうとはしなかった。だが我らが力と真意を知れば聞いてくれるかもしれぬ。お前達が動かなければこの問題は解決しないだろう。竜を殺すなとは言わない。生きるためにそうする必要は互いに出てくるだろう。だが自然の摂理に反する殺しはただの虐殺だ。さぁ、帰るが良い。お前達には知恵があるのだろう?ならば争うことなくこれを繰り返さないようにするにはどうすれば良いか、いずれ考えつくだろう。」
将軍「…そうか。」
ギルドマスター「肝に命じておきましょう。」
生存者が帰ったあと、シルバは寿命を大きく縮めた夫に自らの寿命の半分を分けることを決めた。長らく側にいた彼女にはその程度のことはできるようになっていたのだ。
ルーク「正気か?」
シルバ「えぇ。大した足しにはならないかも知れませんが、それでも死ぬ頃にはランカはもう独り立ち出来るだろうし、心強い下僕と兄弟が居てくれます。私ばかり長生きするよりあなたが共にいた方がずっと良いと思うのです。」
この150年後、孫達の顔を見た後、寿命を分け合った2頭は同時に、子供や下僕達など多くの竜と竜人に看取られ寄り添いながら安らかに息を引き取った。安定した未来を望んで…。
『未来の王と落ちこぼれ』∞∞完∞∞
最後までお付き合い頂きありがとうございました。ちょっと出産シーンが多かったかなぁ。しつこいと感じていたらご免なさい。ただやっぱ初めては描きたかったし、祖龍のときはいつもと違うって描きたかったし、でも最初に祖龍産まれたらつまんないし…(言い訳)
さてさて(笑)、これからは『新たな子』に集中したいと思います。もちろん短編集『竜の愛』もね。引き続き応援よろしくお願いします!
それではまた。
あれ、最後のマークはどこかで見た気が…。