とある日の昼下がり。俺は了子の研究室にいた。勿論仕事ではあるのだが、最近ちょっとした不満を抱きつつある。
「了子」
「……なぁに?」
俺の声で了子がチンポから口を離す。透明な糸がいやらしさを醸し出すが、今はそれどころじゃない。
「もう三か月以上セックスさせてくれないけど、どうして?」
「お尻の初めて奪っておきながらそれを言う?」
「いや、たしかにあれは興奮したけど……」
何せ太古の巫女までもアナルでよがらせたのだ。フィーネはどうもやや乱暴な感じが好きらしい。アナルを責めながらマンコをいじるととんでもなく良い声で鳴いてくれました。勿論了子もだ。
「だけど、もうこれでかなりお預けくらってる」
「ふふっ、浮気者にはいい薬でしょ?」
「……そこまで怒ってるのか? マリア達へ手を出し始めた事」
「普通ならその問いかけ自体がおかしいのだけどねぇ。でも、怒ってる訳じゃないの。理由はその内分かるわ」
これである。実はそもそも二か月半程前から、具体的にはフロンティア事変終盤から了子にはセックス禁止令が出された。その時も同じような理由ではぐらかされた。なのでそろそろ教えてくれてもいいと思ったのだが……。
「どうしても教えてくれない?」
「……そこまで知りたいの?」
お互いの視線が絡み合う。仕方ないのでこっちが折れた。きっと了子の事だ。悪い事じゃないんだろうしと、そう思って。
「いや、いい。了子が話してくれるまで待つ。それと、フェラ再開してもらっても?」
「パイズリでもいいわよん」
「……お願い」
これが俺の仕事。精子を出し、研究してもらう事。ナスターシャさんは聖遺物関係を受け持ち、了子は生命のスープを主に受け持っているのだ。そして、分かった事がある。どうやら、スープは女性限定で万病に効く薬になるものの、その効果だけを得るには女性としての機能が終わらないといけないらしい。つまり生理が終わる事。次代への命を産めなくなるとスープの厄介な効果は消えるそうだ。
「ナスターシャ教授だったから良かったわよ。あれがもしセレナやマリアだったら……」
「スープ中毒?」
「それはないけど、貴方のチンポに屈服しやすくはなってるでしょうね」
その言葉に思い出すのはこれまでのみんなとのセックスなど。たしかにみんな思っていた以上に股を開いてくれた。もっと言えば、一部など最初から感じまくりで俺とのセックスへの嫌悪感など皆無だった。やっぱり俺の状況はスープありきだと強く実感させられる。
「でも、だからって無条件に貴方へ股を開く訳じゃないわよ? それ、あの子達にも失礼だしね」
「分かってる。てか、それで一度引っ叩かれた」
「あら、奏? それとも」
「マリア」
「やっぱり」
「分かる?」
「当たり前よ。貴方相手に手を出せるのはあの二人ぐらいなものだから」
「……そっか。了子、そろそろ……」
「はいはい。さっ、いっぱい出して?」
言われるまでもなく我慢せず精を放つ。それを了子は手慣れた手つきで空間に固定。そのままビーカーの中へ移動させる。フィーネの力の無駄遣いである。
「よし、これでいいわ。もう好きにしていいわよ?」
「言われなくてもそうします。何せ三回も抜かれたんだから」
「もう出ない?」
「仕事としては」
即座に返すと了子が苦笑。そして仕方ないとばかりに眼鏡を外した。
「なら、私事ならばよいのか?」
「……しかも相手がフィーネなら言う事ない」
「……相変わらず口だけは巧い奴だ」
若干照れながらチンポを胸で挟むフィーネ。最近了子は仕事でのフェラやパイズリしかしてくれない。プライベートではアナルセックスのみ。嫌ではないが、何かあるのが見え見えである。ま、おかげでフィーネがこのところ頑張ってくれるんだけど。
「フィーネ、もうパイズリは慣れた?」
「これだけしていればな」
「チンポミルクは?」
「…………聞くな」
かなり迷った挙句にこれである。相変わらずのツンデレ巫女だ。これでも何度かイかせるとデレデレモードになるんだが、最近はあまり激しくするなと言われていて、少し欲求不満気味なエロしか出来ていない。
「フィーネ、一度でいいから素の状態で言ってくれない? そしたらすぐ出るから」
「……本当か?」
「本当だって。な、頼むよ」
こちらが本気で頼み込むとやや困った顔をして視線を彷徨わせる。それも正直カワイイ。やがて心が決まったのだろう。こちらをやや上目で見つめ、小さく告げた。
「チンポミルクを出してくれ」
「っ……咥えてっ! もう……っ!」
「んんっ! ……っく……んっ」
破壊力限界突破だ。先史の巫女の上目遣いでの淫語。しかも頬を朱に染めたヴァージョン。
「ど、どう? 言った通りだろ?」
「……ああ、そうだな。それに、相変わらずの美味しさだ……」
口の端に精子を付けているエロ巫女です。本当にありがとうございます。こうして俺は研究室を後にし、帰路へ着こうとしたのだが……。
「あ、あのシキさん」
「ん?」
呼び止められて振り向いた。そこには訓練終わりだろうセレナさんがいた。他の装者は誰もいない。何か内緒の相談か。そう思ってセレナさんへ近付く。
「どうかした?」
「えっと……わ、私とデートしてくれませんか?」
「デート?」
「は、はい。ダメ、ですか?」
まさかのお誘いに驚きよりも疑問が先に立つのはどうなのだろう。あまりセレナさんとは話した事もないしなぁ。でも、このデートは俺の考えるやつじゃない。きっと男と一緒に出掛ける程度のやつだ。ならいいか。そう思って頷いた。
「いいよ? いつにする?」
「え、えっと……今からでも大丈夫ですか?」
「俺は構わないけど時間あまりないんじゃない……?」
「じゃあ早く行きましょう。皆も来ちゃうし」
俺の背中を押すように歩き出すセレナさん。そのアクティブさに驚くも、こうでもしないと時間が取れないのだと理解し付き合う事にした。なのでセレナさんの隣へ移動し歩調を合わせる。そして頃合いを見計らってこう切り出した。
「手、繋いでも?」
「えっ? あ、その……はい」
やや照れくさそうに差し出される手を握り、俺はセレナさんと共に街へ向かう。さて、ではどうしようか。学生のデートみたいなのがいいのかな? そう思いながらとりあえず向かうのは映画館。定番中の定番である。セレナもその行先に気付いたのか、どこか嬉しそうな顔を浮かべる。うん、可愛い。これで奏と歳が変わらないんだっけ? 同い年でも印象が違うなぁ。育ちや環境かね?
「セレナさんはさ」
「セレナでいいですよ、シキさん。そちらの方が年上ですし、デートしてますから」
「……じゃ、セレナ? 何か見たいものはある?」
一瞬奏と被って見えた。言い方や雰囲気は違うけど、根底にある気持ちが同じだったからだろうか。とにかく今はセレナを喜ばせる事へ意識を向けよう。上映している一覧を眺めるセレナは本当に嬉しそうで楽しそうだ。了子の話では、彼女は元々戦う事が好きではなく、そのためかギアの力も守りの方向へ特化していたそう。そういう意味では響に近いものがあるな。
「これ、これが見たいです」
「どれ?」
てっきりラブストーリーかと思いきや、まさかの感動巨編系。そのチョイスに軽く面食らうも、ならばと二枚チケットを購入し売店へ。そこで飲み物とキャラメルポップコーンを買って席へ向かう。ちなみに支払いは全部俺持ち。セレナが出そうとしたけど、少しキザに「可愛い子とデートさせてもらってるお礼だ」と言ったら意外と喜んでました。具体的には赤面して軽く俯く。本気で可愛いセレナである。
「あ、美味しい」
「たしかにそういうの暁さん達も好きそうだね」
「絶対好きです。お土産に買って帰ろうかな?」
「ならスーパーで売ってるからそっちで買った方がいい。それに、こういうのはここで食べるから美味しいんだよ」
「……そうかもしれませんね」
映画が始まる前の他愛ないおしゃべり。それさえセレナは楽しそうにしている。きっとこういう事を経験してこなかったんだ。考えてみれば、マリア達元F.I.S組は施設育ち。それまでは色々大変な状況だったらしいし、こんな当たり前のような事さえ遠い世界の出来事だったんだろう。そう思うと、急にマリア達四人へ色んな場所や色んな事を経験させたくなってきた。このままノイズさえ出てこなければ彼女達が必要とされる事はない。なら、旅行だって何だって出来るはず。
「セレナ」
「はい?」
「いつか絶対みんなで旅行にでも行こう。可能なら風鳴さん達も入れた慰安旅行だ」
「……楽しそう。私、行きたいです。みんなで旅行」
「うん、必ず行けるようにするよ。俺、頑張って予定とか組むから」
「はいっ!」
そっと差し出される小指。視線の先には笑顔のセレナ。
「指切り、ですっけ。こういう時の約束の仕方って」
「……いいけど歌は知ってる?」
「……教えてください」
こうして小声で指切りの歌を教える。それにしても、やっぱり装者の子達はみんな歌が上手いよなぁ。セレナの声は透明感があって癒しな感じ。ちなみに、針千本は例えであり本当に飲む訳ではないと教えると納得していた。それと、そういう名前の魚がいると教えると感心してくれた。雑学でここまで反応されると嬉しくなってしまう。まぁ、俺も大概感化されやすいからだろうけど。そして始まる映画。内容は割愛するが、臓器移植に関係する親子愛や人の繋がりなどを扱った作品で、最後辺りには場内からすすり泣く声が聞こえてくる程だった。セレナも御多分に漏れず泣いており、綺麗な涙を流しながら最後までスクリーンから目を逸らさなかった。
「どうだった?」
「……とても良かったです。言い出しちゃいけないけど言いたい。親って、そういうものなんでしょうか?」
「セレナ、きっと逆だよ。言いたいけど言い出せない、だ。ナスターシャさんがそうだったように」
そう告げると何か思い当る事があったのだろう。一瞬はっとした顔をし、また涙を流した。
「そっか。あの時のプリンはそういう事の一つなんだ」
「プリン?」
「はい、私の好物なんです。昔、幼い頃に姉さんが誕生日プレゼントとしてくれたんです。マムが特別に許可してくれたって」
「……そういう事にでもしないと食べさせてあげられない、か。ナスターシャさんも辛かっただろうね」
「ぐすっ……だと思います。やっぱりマムは優しい人なんだ」
そのまましばらくセレナは涙を流し続けた。その涙を拭う事もせず、ただ柱の影で俺に隠れるように……。
「ご、ごめんなさい。あんなに泣いちゃうなんて思わなくて……」
「いいよ。で、どうする? こんな時間だけど夕食でも食べる?」
「えっと、用意しなくちゃいけないから……」
手を繋いで会話しながら街中を歩く。セレナの目は少し腫れているけど、それでも可愛い。帰る頃には誤魔化せるぐらいになればいいけど……と、そこで思いついた。
「セレナ、ちょっとあそこ寄って行こう」
「え?」
俺の指さす店を見て首を傾げるセレナ。うん、きっと分からないだろうな。でも、だからこそ都合がいい。そこはドラッグストア。セレナは周囲をキョロキョロとしつつ俺の歩みについて来る。そして、俺はある場所で止まった。
「ここ……化粧品?」
「そう。その目元、隠した方がいいかなって。このままじゃ絶対聞かれるよ?」
「あっ……」
そこで両目の下を手で触るセレナ。気付いてなかったのか。いや、忘れてただけだろうな。と、セレナはそれでも困惑した表情をこちらへ向けてくる。その理由を聞く前に察した。
「セレナ、これってデートだよな?」
「え? は、はい」
「じゃあさ、プレゼントさせて。今日の俺はキザな奴でいきたいから」
「ふふっ、何ですかそれ」
「いいから。正直化粧品を欲しがらないんだよ、奏も翼も。かと言ってクリスや響は使う事が少ないみたいだし、マリアは自分で買ってるだろうし、暁さん達にはちょっと早いだろ?」
俺の言葉にセレナは苦笑しながら頷いてくれた。よし、ここだ。
「だから贈らせてくれないか? 特に口紅を贈りたいんだ」
「口紅?」
その言葉にセレナが小首を傾げる。こういう時、すぐに意味を察してくれそうなのは小日向さんかクリス辺りだろうか。とにかく少々くすぐったいが、漫画っぽくいこう。なのでセレナの顔を覗き込んで告げる。
―――少しずつ返して欲しいんだ。意味、分かる?
―――…………あっ。
やや間があったがセレナはどうやら察してくれたようだ。顔を真っ赤にしながら俯いてしまった。それでも嫌がってるようではないので、やはりこういうものを読んだ事があるんだろうと思う。憧れが漫画とか、今時珍しいぐらい可愛いな。この後、セレナは赤面しつつ数点の化粧品を選んだ。それを俺が支払って手渡す。で、ちゃんと言っておいた。実際に返さないでいいからと。でも、それにまさかの返答があった事に驚いた。
―――こ、今度のデートで返しますから!