「……恐れていた事態になったな」
師匠がそう噛み締めるように呟く。発令所の誰も言葉を発しなかった。了子さんはもうフィーネさん状態から戻っていて、静かにお腹を撫でている。
「やはり護衛を外したのが間違いだったんですよ! シキは、あいつは世界に一人しかいない特殊能力持ちなのにっ!」
「……今回の事、どう報告しましょうか?」
藤尭さんの声には怒りと悔しさが滲んでた。あまり知らないけど、シキさんと藤尭さんは結構仲が良いらしく、たまに飲みに行ったりする事もあったんだって。あおいさんはそんな藤尭さんを少しだけ見てから師匠へそう尋ねてた。
「はっきり言って、要君の事は国連どころか日本政府さえもう単なる組織の関係者という感覚だ。報告したところで大きな動きも反応もないだろう」
「そんな……」
「あいつは俺達の仲間なんですよ!」
「そうだ。だからこそ、彼は最大限の努力をして我々に後を託してくれた。彼はS.O.N.Gではなく俺達を頼っているんだ。その命と能力を担保にして交渉し、時間稼ぎと僅かな情報をくれてまでな」
その瞬間、誰もが息を呑んだ。師匠の握った手から血が滲み出ていたからだ。この中で一番今回の事を悔いてるのは師匠かもしれない。だって、シキさんが護衛対象じゃなくなるって時も師匠は反対したらしいし、今の家が決まるまで自分の家で面倒を見てたぐらいだ。
「了子君、彼をさらった相手は錬金術師と呼ばれる存在で間違いないんだな?」
「ええ。あれは間違いなくそれよ。どうもフィーネの事も知っているみたい。どこかでやり合った相手が情報を残したのか、あるいは……」
「あるいは?」
「まだどこかで生きてるのかもしれないわ。そういう事も出来るようになるのが錬金術よ」
その言葉に私は思わず拳を握る。命は一つだけ。だから大切だし守るんだ。なのに、それを無理矢理長続きさせるなんてダメだよ。いつか死ぬから今を一生懸命生きるんだ!
「では、目的は?」
「それは分からない。でも、これだけは言える。彼の事だから迂闊な事はしないと思うけど、早く見つけないと不味い。彼の生命のスープはオートスコアラーと呼ばれる物をすぐ起動させられる。その数は全部で四体で、既に二体が稼働中。しかも残る一体は余程エネルギーを必要とする事から見て確実に戦闘型。それを起動させ、尚且つ差し向けられたらどうなるか分からない」
「つまり、要さんを助け出す事が最優先」
「シキ、無事でいてよ」
見るからに気合十分なツヴァイウイングの二人。そうだよね。だって、この中で一番シキさんと繋がりが深いのは奏さんと翼さんだもん。
「とりあえずあいつのおかげで捜索範囲はそれなりに絞れそうなんだろ? なら、後は時間との戦いだ」
「そうデス! 早く見つけ出してシキさんをお助けするデスよっ!」
「うん、制服姿を見てもらいたいし」
クリスちゃんも切歌ちゃんに調ちゃんもやる気がみなぎってる。そうだよね。クリスちゃん達は一番シキさんのスープに助けられてきたんだもんね。
「私は捜索には参加出来ないけれど、代わりにあちこちで情報を探ってみるわ。錬金術師とキャロル・マールス・ディーンハイムについてね」
「うん、お願い姉さん。きっと手がかりはヨーロッパの方だと思うから」
マリアさんの悔しげな表情を見てセレナさんが辛そうな顔でその手を握った。セレナさんが生きているのも奏さんと同じでシキさんのスープ効果。きっとマリアさんもセレナさんもシキさんに感謝してるんだろうし、姉妹揃って捜索したいはずだよ。
「師匠、留守は頼みます! ナスターシャさんは了子さんが無茶をしないように見張っててください! 藤尭さん、あおいさんは安心してください! 絶対シキさんを連れ戻してみせますっ!」
私の言葉にその場のみんなが頷いてくれる。すぐに見つかるとは思わないけど、それでも諦めずに探すんだ。シチューとしお? だったかな? とにかくそこを見つけ出して、シキさんを助け出す。そして、出来るならキャロルちゃんって子とお話ししたい。何でシキさんをさらったのか。どうしてそんな事をしようと思ったのか。この手を握り締める前に、出来るなら開いたままで差し出したいから。
「さて、それじゃまずは組み分けを決めるよ」
あたしがそう言うとマリア以外の全員が頷いた。未来もいないから総勢七人。これを三つに分ける。で、相性や仲の良さ、実力なんかを考えないといけない。だからまずは一番不安が残る二人をばらす。
「Aチームは翼がリーダー。メンバーは調と響」
「分かった。頼むぞ、月読、立花」
「「はい」」
おや、予想してたような質問がこないや。ならそれはそれでいいか。次、行くとしよう。
「Bチームはあたしがリーダー。でセレナと組む」
「私?」
「そ。で、残りのCチームはクリスがリーダーで切歌と組んでもらうよ」
「おう」
「了解デス」
正直マリアがいてくれりゃ、セレナはそっちに任せるんだけどね。訓練で分かったけど、セレナは完全に守りの人間だ。なら攻撃力があって前衛をやる相手じゃないと危ない。そして、出来れば経験も多い方がいい。だからもうあたしか翼しか有り得ないけど、あたしじゃまだ調や切歌と合わせるのは難しいからね。
「奏、一応この組み合わせの理由を説明して。皆分かってるだろうけど、それでも」
「そうだね。ま、ドリンク無しで戦える奴を必ず一人配置。これはいい? 次はドリンク無しじゃ不安が残る奴も一人だけにする。最悪時間切れで戦えなくなっても何とか出来るように。で、調と切歌は少し引き離して自立してもらいたいのさ」
「「自立?」」
「お前ら、二人で一緒が長すぎるんだよ。先輩二人も似てるけど、そっちは単独でも十分やれる。でも、お前らは二人一緒じゃないと今一つだろうが」
クリスの容赦ない指摘に二人がしょげた。まぁ、仕方ないだろうね。だからここはフォローを入れてもらうか。そう思って翼へ目をやる。
「……だが、二人となった時の爆発力は正直私と奏以上だ。だからこそ、より一人での向上を願っている」
「私達が……」
「ツヴァイウイング以上、デスか?」
「うん、訓練とかでも思うけど、調ちゃんと切歌ちゃんがハモると凄いんだよね。本気で手が付けられないって言うか」
「ま、そこに関しちゃ認めるしかねーけどな」
おやおや、響とクリスの言葉で分かり易いぐらいテンションが戻ったね。いや、これはむしろ上がったか。
「だから分けたのさ。あたしの期待に応えなくてもいいけど、せめて裏切らないでよ?」
「奏さんの期待……」
「分かりました。精一杯頑張りますデスっ!」
「ああ、信じてるよ」
こういうとこは本当に可愛い子達だ。やっぱ、真っ直ぐなんだろうね。……あたしもシキがいなきゃどうなってたか。捻くれたままで死んでたのか。あるいは……。
「それで、もし相手と遭遇した場合はどうするのかしら?」
それまで黙っていたマリアが声をかけてきたので意識を切り替える。
「第一は撤退」
「撤退ぃ?」
「理由をセレナ、言ってみて」
「え? えっと、目的はシキさんの救出。で、相手が現れたならそこが怪しい場所か、あるいは入口近くの可能性が高いから?」
「敢えてそう思わせるためにって事もあるかもしれないけど、とりあえずそういう事。あたしらの目的は、相手を倒すんじゃなくシキを見つけ出して助ける事。だから無駄な戦闘は避ける。いい?」
そう問いかけると全員が頷いた。了子さんに聞いたらドリンクの備蓄はそれなりにあるけど、それでも考え無しに使っていける程余裕はない。つまり、基本は年下コンビの使う分だけ。あたしらに使うのは最後の最後か、あるいは相手がかなり強い場合。
「マリア、もしかするとあんたの力も必要になるかもしれない」
「そうじゃなくても最後の〆ぐらいは呼んで欲しいわね」
「スケジュールはどうするの?」
「そうデス。売れっ子の人気者デスのに」
そんな意見にマリアは不敵な笑みを浮かべる。あ、これはそういう事か。マリアめ、やっぱり捜索に加わりたいんだな。
「そうね。心身共にとてもステージに立てる状態じゃないはずよ。目の前の観客ではなく一人の男の事しか考えられないような状態では、ね」
その言葉で誰もがため息を吐いた。だろうね。あたしも同じ気持ちだよ。一体何をどうしたらここまで入れ込むのさ。あたしが言えた事じゃないけど、シキってそこまで入れ込む程の男じゃないんだけどねぇ。でも、どうやら入れ込んでいるのはマリアだけじゃなさそうだ。セレナもそのマリアと似た顔をしてる。
「なら仕方ないね。納得出来るステージをお客さんには届けたいもん」
「ええ、本当に。だから、最後の仕上げに呼ばないなんてしないで頂戴。もしそんな事をするなら」
「はいはい。分かったから物騒な事を言おうとするんじゃないよ。マリアの気持ちは分かったからさ。あたしがそっちの立場なら同じ事言ってるし」
「ならいいわ。とにかく、今はシキの図太さを信じましょう」
入れ込んでおきながら平気でこんな事を言うんだもんね。ま、それはあたしもか。とにかくこれで当面の行動は決まった。マリアじゃないけどシキの悪運を信じるしかない。きっと何とかして生き残ろうとするはずだし。……絶対、助け出してやるからね。それまで待ってな、シキ。
「驚いたな。ここまで違うものか」
キャロルちゃんは目の前で起きた現象に目を見開いて驚きを浮かべていた。ファラも似たような感想を抱いたようで同じ顔をしている。
「ふぁ~あ、よく寝たゾ」
「ったく、本当に食いしん坊なんだから……」
ため息を吐くガリィの前には呑気な感じで欠伸をする女の子。赤い服のミカだ。昨日たっぷり俺からスープをもらったガリィは、それを今朝もらったとキャロルちゃんへ報告してミカを起動させたいと言い出した。それは全て俺の指示。ミカは稼働にもかなりの思い出がいる。なら起動させれば俺を余計処分出来ないと踏んだのだ。今、キャロルちゃんは計画とやらを進めるため、少しでも時間を稼ぎたいはずだ。だからこそ万が一の戦力も欲しいはず。そこでガリィを通じて俺が軽く誘導したのだ。レイアよりも戦力になるミカを動けるようにする事で、万が一の際の防衛力として活用出来るようにと。
「でも、な~んか思い出の味が違ったゾ? どうしてだ?」
「あいつから提供された別物だからよ」
「あいつ? おっ、何か知らない奴がいるゾ」
「おはよう。そしてこんにちは。俺は要シキ。シキって呼んでくれ」
不思議そうに首を傾げるミカがどこか可愛くて、俺は出来るだけ友好的な声をかけた。さて、どう反応するんだろう。そう思って見つめているとミカはキャロルちゃんの方へ首を動かした。完全に正反対へと。うん、そうだった。この子は人形だったっけ。
「マスター、こいつがミカを起こしたのか?」
「ああ、そうだ。殺すなよ」
「ん。分かったゾ」
会話終了。どうやらミカはかなり単純な考え方をする子みたいだ。だからこそ迂闊な事は出来ない。早めに手懐けたいな。だが、焦る必要はない。一番抑えるべきガリィは既に押さえた。なら、じっくり腰を据えた方がむしろいいはずだ。
「キャロルちゃん、ミカも起きたし一つ提案があるんだけど」
「……言ってみろ」
「ミカの稼働分としてこれから毎日スープをあげる事になる。ガリィは大分大人しくなってくれたけど、まだ正直不満も残るんだ。だから出来ればミカが直接自分でスープを飲む形にしてくれない?」
「ん? どういう事だ?」
「あんたが大食らいだからあたしの面倒を減らすって言ってんのよ」
「そーか。ミカで出来るならやってやってもいいゾ」
ガリィの意訳にあっさり返すミカ。それにしても、ガリィは本当に凄い。俺の本心をちゃんと理解しつつ、周囲には自分の都合のいい様に言っているとばかりな雰囲気だ。キャロルちゃんもファラも思いもしないだろうな。これがつい一時間前まで俺のチンポへ上機嫌でしゃぶりついていたとは。
「そうだな。ミカが直接スープを飲めるようになれば、稼働時間も長くなるかもしれん。ミカ、やり方やコツなどはガリィかそこの男自身に聞け」
「はーい、分かったゾ」
「あ、それともう一つだけいい?」
「今度は何だ?」
ここが肝心。今のはこのための布石なのだから。
「ないと思いたいけど、ミカが俺からも大量に飲んでく可能性があるからさ。ファラ、君も一度だけ俺からスープを吸収してみたら? ミカが起動出来るぐらいだ。君なら当分思い出いらないんじゃない?」
その意見にファラが考え込む。キャロルちゃんは俺を見て呆れたような顔をしていた。だろうね。何せこれは装者のみんなに害する行為だ。だからこそ、俺は来るであろう質問を待った。
「お前は何を考えている。助けに来る装者達を苦しめる事になるんだぞ?」
「俺が殺されるよりはいいって、そうみんなは言ってくれるよ。それに、俺は信じてるから」
「信じる?」
「みんなは負けないってね。カ・ディンギルにもネフィリムにも勝ったみんななら、今回だって負けないよ」
そうはっきり言い切ってやる。それに苛立ちを見せるのはキャロルちゃんとガリィ。ファラは無表情に近いし、ミカは平然としている。……何となくガリィのは俺の気持ちがみんなへ向いてるからの気がしないでもない。後で可愛がっておこう。
「……マスター、念のために私も出来るだけ思い出を溜めておきます」
「ああ、そうだな。後悔させてやれ」
「はい」
一度としてキャロルちゃんを見る事なく俺を見つめたままでそう言い切るファラ。その目は怒りと言うより憐みに溢れていた。それでもいいさ。さっきのは俺の紛れもない本心だ。何を企んでいるか知らないが、それでもみんなは絶対負けない。……こんな事になるんなら、せめて二課ハーレムだけでも堪能しておくべきだったかなぁ。
「じゃ、部屋まで来てくれる?」
「いいでしょう」
俺が背を向けるとガリィと目が合う。なので少しだけ笑みを見せた。すると舌打ちをしながら顔を背ける。うん、さすがだ。さて、これでどうなるか。正直ガリィと同じ事が出来るとは思っていない。でもきっと悪い様にはならないはずだ。そう思いながら部屋へと向かった。
「ファラ、一ついい?」
「何?」
「君達は服の色が別々で、その理由は教えてくれなかった。でもそれが判断に迷うっていう事は、計画ってやつにそこまで重要じゃないって事?」
「……そうね。そこまで計画には重要ではないわ」
「そっか。ようするにその辺の事は聞き方次第って事か」
「そう、なるかもしれないわ」
俺の言葉に淡々と返すファラだが、やはりどこかに警戒心が滲んでる。エルちゃんの仕事部屋を通り、俺の寝床へ到着するとファラがドアを閉めた。
「もう一つだけいい?」
「何かしら」
「レイアってどんな感じのスコア?」
「っ!? 今のはどういう意味」
「へ? いや、オートスコアラーだと長いから略したんだ。オラーだといまいちだし、オーアラーとかも何だかしっくりこないから何だけど……ダメ?」
「……別にいいわ。そうね、レイアは派手な事が好きなオートスコアラーよ」
派手な事が好きな、ねぇ。それと、スコアという表現にファラが動揺したのが気になる。スコア? 記録って意味だよな。何がそんなに驚く事があるんだか?
「……派手好き?」
「ええ」
俺の確認に頷き返すファラ。正直イメージ湧かない。ま、いいか。俺がもうレイアに興味を無くした事を察したのだろう。ファラが小さく息を吐いた。
「それで、どうすればいいの?」
「あー、うん。手か口かで時間と効力が変わるみたいなんだけど……どうする?」
「……効力の高い方は?」
「口」
「では、そちらで」
ガリィの言った通り、ファラは真面目な効率重視タイプか。なら、お願いするか。正直ガリィに朝も出したので簡単には出ないのだが、そんな事をファラが知ってるとは思えないしな。俺がズボンを脱ぎ、下半身を露出させてもファラは何の反応も示さない。
「やり方は分かる?」
「教えてくれるかしら。何となくは分かるのだけれど」
「ん。じゃあ、まずは舌を這わせてみてくれる?」
「レロッ」
「それを何度も繰り返して」
こうして始まるフェラチオ講座。正直ガリィと違って反抗的じゃない分やり易いのだが、何をやっても無反応なのが嫌だ。本当に人形を相手してるみたいで気分もあまり乗らない。と、どうやらファラも俺のそれに気付いたようだ。フェラを中断しこちらを上目で見上げてくる。
「どうすればいいの? 出てくる気配がしないのだけど?」
「人は無反応が一番辛いんだ。こう言えば分かる?」
「……リアクションを取れ、と」
「出来れば」
「……やってみるわ」
そう言ってファラはもう一度フェラを開始。特に何か変わった訳ではないが、さてどうするのだろうと思って見ていると、チンポを咥えたままでファラは髪を掻き上げこちらを上目で見てきた。それだけなのだが、その少しだけ艶かしい動きとどこか冷たい眼差しにぞくっとするものを感じた。すると、それを見たファラが嬉しそうに目を細めたのでまた反応。
「ふぁ、ファラ……意外とそれいいよ。そのまま頼む」
チンポを咥えたまま頷くファラ。熱心にしゃぶったかと思えば、こちらへ目を向け小さく笑う。それは見下すものではなく、純粋に俺の反応を楽しむようなもの。ああ、いいかも。思えばこういう感じは装者の子達にはいなかった。みんな基本的に優しく素直だからリアクションが分かり易かったし。
「ファラ、袋も優しく揉んでくれ」
「ズズッ……んっんっんっ」
「ああっ、いい。ファラ、こっち見て」
優しい玉揉みとやや強めのおしゃぶり。それをしながら俺を上目で見つめるクールビューティー。うん、これはいい。反応がいい訳じゃないけど、完全に能面みたいじゃなくなったから味へ変わった。本気で堪らない。うん、出したい。こんなファラが俺のスープを飲んだらどうなるか見たい。そう思い出したらファラのフェラにも変化が出て来た。おそらく我慢汁の味が変化したのだろう。最初の無反応が嘘のようにどこか嬉しそうにしゃぶり続けてくれたのだ。時折俺を見る目も熱っぽくなってきて、非常にそそるようになるぐらいにファラは反応を良くしてきた。
「ファラ、そろそろ出すよ? いいね?」
「っぷは……ええ、いいわ。早く出しなさい」
「ああ、分かってる。さ、咥えて?」
「はむっ」
その瞬間を狙って我慢を止める。ファラの口内を直撃する不意打ちのチンポミルク射撃。それを一瞬目を見開いて受けるファラだったが、すぐにその目を閉じてまるで味わうように飲んでいく。その様子を俺は固唾を呑んで見守る。やがて全て飲み終えたファラがどこか名残惜しそうにチンポから口を離した。
「……思った以上に凄い量ね。これならしばらく思い出を吸収する必要はないわ」
「そうか。それは良かったよ」
ガリィのような反応は無し。となると、俺の推測は外れという事になる。毎日飲ませれば話は別だが、ファラはおそらくそうする理由がないと拒否するだろうし、それを持ちかけた事がキャロルちゃんの耳に入れば変な疑いをかけられるかもしれない。内心肩を落としながら俺はズボンなどを履こうと思って、ふとチンポに残る精子に気付いた。
「ファラ、悪いけどティッシュを取ってくれないか? 尿道に少し残ってて」
「そう」
「ああ、だから」
「はむ……チュッ」
まるで普通の事とばかりにファラがチンポへ口をつけ、残った分を吸い出してくれた。俺があまりの事に呆然としていると、ファラは口を拭う事もせずこちらを見つめてこう言った。
「それで、ティッシュを何に使うの?」
「……君の口を拭くため、かな」
「必要ないわ。自分で出来るもの」
「みたいだね。うん、ならさファラ。一つ教えて欲しいんだけど」
「何?」
俺の目の前でティッシュを手に取り、優雅に口元を拭うファラ。そんな彼女を見て俺は一つ試してみる事にした。
「君にとって俺はどういう存在?」
「決まってるわ。マスターの計画遂行に欠かせない存在よ。だから何があっても守ります」
「……ありがとう」
「いえ、当然の事を言ったまでだから」
確信しました。どうやらファラは大きく壊れてない風に壊れたらしい。今のもそれを端的に表している。これはちょっとガリィと違ってキャロルちゃんにばれないようにするのが難しいかも。そう思って考えていると、ふとした思いつきが浮かんだ。
「ファラ、一つ言いたい事があるんだけど」
「何かしら?」
「キャロルちゃんの前で俺を今のような扱いをしたら、俺がいないと計画が失敗するって思ってるのかって言われるかもしれないんじゃないか?」
「……そうかもしれないわ」
「だろ? だからキャロルちゃんには、最悪俺なんかいなくても計画は達成出来るって、そういうスタンスでいるべきだと思うよ。不安を抱かせないようにして、ファラは裏でそれに備える方がいいと思うんだ」
「そうね。貴方の言う通りだわ。あまりマスターに要らぬ不安を与えない方がいいもの」
っよし! これでファラの方も何とかなった。俺にベタベタではないが、俺の扱いはおそらくキャロルちゃんに次ぐ辺りにまで高くなったはず。と、そうだ。ならこうしよう。これならファラが毎日俺の部屋へ来ても怪しまれずに済む。
「ファラ、一つ頼みがあるんだけどいいか?」
「今度は何?」
「毎朝、俺の部屋へガリィに来てもらってスープを飲ませる事になってるんだけど、ミカも来るようになるし、万が一以前みたいな事にならないよう見張りに来てくれないか?」
「分かったわ。ガリィと一緒にここへ来ればいいのね」
「よろしく」
これで後はガリィと話して打ち合わせれば完了だ。ミカの方はしばらく放置かな。いや、少しずつでも手を出しておこう。時間があるとは言い辛いし。さて、なら最後の確認をしておこう。
「で、ファラ、復習しておいた方がいいんじゃないか?」
「復習?」
「そ。だってファラはガリィと違って毎日する訳じゃない。なら、今度する時に一から教えたり思い出したりしなくて済むようにさ」
「…………そうね」
その瞬間、俺は見逃さなかった。ファラは少しだけ唇を舌で舐めるのを。こうして俺はファラも壊す事に成功した。ガリィは俺の話を聞いて嫌そうな反応を見せたが、ファラの目の前でスープをあっさり出させる事で優位性を見せられると告げたら乗り気になってくれた。どうやらファラが今一つフェラが下手な事を知って馬鹿にしたいらしい。
―――ミカを壊せたら、次はレイアだな……。
翌朝のガリィとファラのダブルフェラを画策しながらそう呟く。俺のエロくて最低な戦いはまだ始まったばかりのだから……。