「これで神獣鏡もアルカ・ノイズ対策は完了しました」
エルちゃんから返されたギアを受け取る。でも、どこか引っかかった。たしか、響はギアを強化したって聞いたけど。そう思ってエルちゃんに聞いてみた。
「ね、エルちゃん。私のギアには響達と同じ物は付いてないの?」
「イグナイトモジュールですか。その、神獣鏡はご存じの通り呪いと相性が悪いんです。なので組み込む事は考えていません」
「あっ、そうか。あれって呪いの魔剣の欠片だっけ?」
「はい。それに未来さんは、非常事態でない限り装者として戦わないと伺っていましたから」
そう言って、どこか申し訳なさそうにするエルちゃんを見て慌てて訂正する。
「あ、うん。そうなんだよ。でも、だからこそ響達の力になりたいんだ」
「……未来さんが必要とされる程事態がひっ迫している時、少しでも響さん達の負担を軽減出来るように、ですか?」
「うん。響達は私に日常にいて欲しいって思ってるみたいだけど、私だって装者なんだもん。戦う時は足手まといになりたくないから」
だから訓練だって参加してる。さすがに響達みたいにはいかないけど、それでも翼さん達からは褒められてるんだ。響の動きをすぐ察して連携が取れるのは凄いって。でも、私からすると、ずっと一緒にいた私よりも短時間でそれが出来るクリスや奏さん達の方が凄い。
「気持ちは分かりました。ですが、やはり神獣鏡の強化は現時点の僕には無理です」
「あっ、いいんだそれは。ただ、こうなるとシキさんのスープを試してみたかったなぁって」
「生命のスープ、ですね。その効果は僕も見ました。ガリィをたった一人で起動させ、更にファラまで起動させる程の思い出になったんです」
「そんなに凄いんだ。エルちゃんもスープの事は聞いたの?」
「聞いてはいませんが、何となく察してはいます。リンカーと同じ効果を有しているんですよね。しかも体への負担などがまったくない」
エルちゃんの言い方で私も理解した。誰もギアを強化するって話してないんだって。じゃ、この話は続けない方がいいね。そう思って私は違う話を振ってみる事にした。
「みたい。ね、エルちゃんはこのままここの研究員になるの?」
「そう、してくれるみたいです。了子さんやナスターシャさんが推薦してくれるって」
「わぁ、良かった。じゃ、いつかみんなで一緒にお出かけとかしようね?」
「お出かけ、ですか……」
「そう。エルちゃんもあまり街を見て歩いた事ないんでしょ? お洋服とか買おうよ。みんなで、キャロルちゃんって子も一緒にね」
そう言うとエルちゃんが驚いた顔をした。ふふっ、響でもきっと同じ事を言うと思うよ、エルちゃん。それにきっとあの人もそうしようと思っているはず。響の想い人で奏さんと翼さん、クリスの彼氏さんであるあの人も。
「未来さんは……キャロルと戦わずに済むと思ってるんですか?」
「……戦いたくはないかな。響達も本当はそう思ってるはず。そして、多分シキさんも」
「あ、はい。シキさんはきっとそうです。ガリィ達とも仲良くしたいみたいな事を言ってました」
やっぱり。こういうところ、響とよく似てる。例え敵対しても、可能なら戦わずに済ませようとする辺り。ううん、戦う事になっても最後まで手を伸ばそうとする事、かな。そう考えると響が惹かれた理由がよく分かる。考えてみれば、シキさんはクリスもマリアさん達もすぐに受け入れた。きっとみんなが美人だからっていうのもあるんだと思うけど、それでもあそこまであっさり受け入れる人は中々いない。
「……男の人版響、か」
「え?」
「あ、ううん。何でもない」
言って納得しちゃった。道理でみんなが惹かれちゃうはずだよ。響もかなり女の子に人気だけど、その中身と似た男性なんだもん。しかも年上。マリアさんよりも上らしい。らしいって言うのは、シキさんが記憶喪失でその、精通した時を十四歳って了子さんが設定したからだって聞いた。本当の年齢は分からないけど、三十はいってないと思う。シキさんも前にそんなような事を言ってた気がするし。
「そういえば、本当にあれからキャロルちゃんは何も動いてないの?」
「は、はい。僕も正直驚いています。まるでこちらの動きを待ってるみたいで」
「……やっぱり響達を利用しようとしてるのかな?」
「可能性は高いと思います。実際、奏さん達はその気だったら逃げられなかったはずです」
「ギアを無力化出来るアルカ・ノイズと普通じゃ手強いオートスコアラーが二人、だもんね。やっぱりそういう事なんだ」
今、響達は八人で前回襲撃された場所へ向かってる。何でもドリンクを全員二本使っての決戦状態。私は一応念のために本部で待機。というのも、神獣鏡は元々戦闘向きのギアじゃない。了子さんが言うには、本当に特殊能力特化みたいなギアなんだって。
「じゃ、そろそろ私達も発令所に行こうか」
「はい、行きましょう」
エルちゃんと揃って研究室を出る。シキさん、大丈夫だよね? 今あの人に何かあったら響達は心に何が起きるか分からない。私はそこまででもないけど、あの八人はみんなシキさんに心惹かれてるから。ふと、そこで今回の出動前に響に言われた事を思い出す。
―――無事にシキさんを連れて帰ってきたら、未来もスープ飲ませてもらいなよ。すんごく美味しいから!
「この辺り、だったな」
「ああ、間違いねえ。ほら、あの傷はこの前こいつが付けた奴だ」
「エヘヘ、張り切り過ぎた結果デス」
クリスちゃんの言い方に切歌ちゃんが照れ笑い。うん、やっぱりまだ緊張してないよね。私も正直緊張はしてない。オートスコアラーやアルカ・ノイズと戦う事になるだろうけど、まずはシキさんを取り返させてもらわないと。話し合いで解決、出来ないんだろうな。もしそうならそもそもシキさんをさらったりしないし。
「それでも……」
一度だけ拳を握ってまた開く。それでも、一度だけ話を聞いてみよう。これを握り締めたままにするのはそれからでも遅くない。手を伸ばして耳を傾けて、それでも払い除けられたら、暴れられたら動きを止める。そうしてから、もう一度拳を開くんだ。
「響、やっぱりあの子と話をしてみたいよね」
「セレナさんもですか?」
私が掌を見つめている事に気付いてセレナさんが優しい声をかけてくれた。やっぱりセレナさんは私に近い。訓練終わりとかに話をすると、それを強く実感する。ただ、私はどうしてもセレナさん程慈愛みたいな感じは出ないけど。
「うん。だって、オートスコアラーも人間みたいだった。話は通じるし言葉も喋る。だったらやっぱりお話して少しでも刃を向けない可能性を探りたい」
「セレナさん……はいっ! 私もそうしたいです!」
「うん、やるだけやってみよう」
笑顔を向けるとセレナさんも笑顔を返してくれる。マリアさんの妹だけど、セレナさんはやっぱり綺麗じゃなく可愛いだと思う。年上とは思えないぐらいチャーミングだし、このまま歳を重ねたら最後は可愛いお祖母ちゃんになるって確信出来るぐらい。
「それはいいけど、まず向こうに話をするつもりがあるかも怪しい」
「調の言う通りよ。平和的解決が可能なら、向こうとて最初からシキを誘拐なんてしないでしょう」
「期待はするなという事だ、立花、セレナ。ただ、希望を捨てろとまでは言わないが」
現実を突き付けてくる調ちゃんとマリアさん。でも、翼さんはどこか小さく苦笑してくれている。やっぱり私の事を良く分かってる。そう、そうだ。期待はしないけど希望は持ち続けるんだ。そう私が決意を新たにしていると、急に寒気がした。おかしいな、もう春めいてきてるのに。
「っ!? 出やがったぞ!」
クリスちゃんの言葉で私は振り向く。そこには青い服の女の子がいた。たしかガリィ、だっけ。
「ほぉんと目障り。本来だったら喜ぶべき状況だけど、今のあたし達にとっては邪魔でしかないわ」
「はっ! それはこっちの台詞だよ。大人しくシキを返しな。それなら見逃してやってもいいよ」
奏さんがそう言った瞬間、冷気が周囲を襲う。ううっ、寒い。ギアを纏っていてもここまで感じるなんて。よく見るとあの子の足元が凍ってる。
「冗談。あいつはもうマスターが手放さないと決めたの。だから返すつもりも必要もない。あんた達こそ諦めて帰るのね。そうしたら命だけは助けてあげるわ」
「どういう意味だっ! 要さんをどうするつもりだ!」
「どうするもこうするもないわ。あいつはずっとあたし達の稼働する分のスープを与え続ける。そしてマスターと世界を巡る。あたし達は思い出を奪う必要もないし、アルカ・ノイズを使役する必要さえない。どう? あんた達の望む平和がやってくるわ。分かったなら、ほら、さっさと帰りなさい」
「ふざけんなっ! 惚れた男を捨てて世界を取れなんて言われて、はいそうですねと頷けるぐらいならあいつと子作りなんてしねえっ!」
クリスちゃん、その突っ込みはどうかと思うよ! でも、どうもみんな同じ気持ちだ。私だってそう。せっかく未来やみんなとずっと一緒に暮らせるかもしれないって、そんな夢を見せてくれる人と出会ったんだ。私を、こんな私を本気で可愛いって、好きだって、そう言ってくれた男の人なんだ! 諦めたくない。捨てるもんか! 私だってシキさんの赤ちゃん欲しいんだっ!
「けっ! 子が産めるからって調子に乗って……これだから人間の雌は嫌なのよ」
「なら貴女達は人真似をするだけの人形よ。シキの生きた証を残せない以上、私達を見下す権利はないわ。彼にはね、ここにいる女全員の夫になって、馬鹿げた夢を貫いてもらうのよっ!」
「そういう事さ! さぁ! あたしらの旦那、返してもらうよっ!」
マリアさんと奏さんがアームドギアをガリィへ向けた。二本のガングニールがその切っ先を輝かせる。白と黒の槍がまるで私達の総意のように鋭く光る。うん、私もシキさんを捨てて世界を平和にしたいなんて言えないし言わない。それが向こうの、キャロルちゃん達の言い分なら、悪いけど聞いてあげる訳にはいかないんだ。
「へぇ、それがあんた達の言葉ね。なら、こっちも受けてやるわ」
そう言ってガリィが何かを地面へばらまく。そこから現れるのは大量のアルカ・ノイズ。そして、風が巻き起こり、炎が噴き上がって、砂塵が舞う。気が付けば、そこに残りのオートスコアラーも現れていた。
「どうやら交渉決裂のようですね」
「何が交渉デスか!」
「あれは一方的な宣告と同じ」
切歌ちゃんと調ちゃんが相手を睨みつけるように言い返す。
「仕方ないゾ。ま、これであいつの希望は叶えたゾ」
「あいつって……シキさん?」
「……そう、シキが貴女達へこちらと会話してくれと望んだのね」
セレナさんの疑問に頷く相手を見たマリアさんが納得するように告げる。
「地味に面倒だったが、結果が出た以上派手に暴れさせてもらう」
「なぁにが地味に面倒だ。最初っから対話する気なんざなかったろうがっ!」
「そうだよ。あんた達は要するにシキの希望を形だけ叶えただけさ。それでよくあいつを返さないなんて言えたもんだね!」
「要さんは多少情けないところもあるが、芯は強い男性だ! こんな方法と手段を選んだお前達を決して許しはしないっ!」
相手の勝手な言い分にクリスちゃんが怒って、奏さんと翼さんもそれに続く。それらを聞いてガリィがみんなに聞こえるようにため息を吐いた。
「一つだけ言っておくわ。ミカとレイア、その起動を決めたのはマスターじゃなくてあいつよ」
「ええ、彼はマスターの指示なくオートスコアラーの起動を決めていました。それも、嬉々として」
「毎朝ウマいもんくれたゾ。上でも下でも」
「地味な作業で派手な味。悪くなかったわ」
その瞬間、私を含む全員が青筋を立てたと思う。そっかぁ。シキさん、意外とキャロルちゃん達のところで楽しくやってたんだぁ。何だろう? 今回のシキさんへは最初っから握り拳でいいよね? うん、いいって聞こえた。多分了子さんかフィーネさんの声で。
「私決めましたっ! 絶対シキさんに会って文句言ってやりますっ! こっちは本気で心配してたのにっ! って!」
私の言葉に全員が頷いた。そして、迷う事なくみんなが同じ動きをする。胸にあるイグナイトモジュールを使う事。師匠達には極力使うなって、そう言われていたけど、出し惜しみなしって言ったのも師匠だもん。それに、ここで時間をかけてたら不味い気もする。
「いいかい? 響はここを無視して進みな。残りで四体引き受ける。いいねっ!」
「「「「「「「了解っ!」」」」」」」
「行くよ! イグナイトモジュール!」
「「「「「「「「抜剣っ!」」」」」」」」
みんなの声が揃う。気持ちも揃っていた。シキさんへ文句を言う。そのために絶対連れ戻す。そんな気持ちを込めた叫びと共に、八つの音声が重なり合った。
―――ダインスレイフ。
俺はキャロルちゃんと共にモニタを見つめて言葉を失っていた。何もみんなのギアが変化した事じゃない。最悪の展開になったと感じていたのだ。俺が起動させて壊したせいで、ガリィ達は本気で俺を返したくないと戦いを選び、奏達も当然引くつもりはない。結果、下手をしたら本来よりも本気の戦いになってしまったのではないかと、俺はそう思って愕然となった。
「イグナイトモジュール、か。さて、それでも今のガリィ達は上回らんぞシンフォギア」
「……どういう事?」
「お前がこそこそとガリィ達へ細工をしていたのは知っている。種明かしをすれば、俺はエルフナインと感覚を共有出来るからな。お前が必要以上にガリィ達へスープを与えていた事は承知していた」
「なら、どうして?」
「最初はそれがどういう事かまで理解出来なかった。精々が自分の欲望を処理しているんだろうとばかり思っていたからな。ところが、だ。お前も上手くガリィやファラを操縦したようだが、ミカはそういう事が出来ん奴だ。明らかに接し方が起動直後と変化していた。それも良い方に」
黙るしかなかった。たしかにミカへは上手い指示は出せなかった。というか、出し方が分からなかった。それにミカなら下手な誤魔化しをすると余計バレると思ったし。どうやらどちらにしてもバレたみたいだけど。
「そこでおかしいと思った。だが、俺も完全に理解したのは今だ」
「……理由を教えてもらっても?」
「ああ、今更だしな。俺の元々の計画では、あの呪われた旋律をガリィ達へ刻ませる事が必要だった。つまり、最後の最後には負けてもらうのさ。だが、今のガリィ達はそんなつもりがまったく見えない。俺が計画を変えたからというのもあるんだろうが、お前を本気で返したくないのだろう」
「待って。あの姿はガリィ達への対抗策なんだよね? なら、互角にはなるはずだろ?」
俺のその疑問へキャロルちゃんはどこか楽しげに笑ってこう答えた。
「何を言ってる。それは通常ならばの話だ。今のガリィ達は奴らと違ってお前のスープを貰っているだろう。お前のスープ、ギアだけを強化するとでも思っているのか?」
今度こそ言葉が無かった。思えば最初に与えた時、ガリィは起動だけじゃなくファラへ分け与えて起動させていた。キャロルちゃんの手に残った分をファラへ塗った事を考えても、それは凄い量の思い出だと思う。そして、俺はガリィ達を壊すために毎日スープを飲ませていた。と、そこで思い出す。
「まさか、本当に溜め込む事って可能なの?」
「当然だ。お前のおかげでガリィ達は消費も少なく済んでいた。はっきり言ってやる。お前のおかげでガリィ達はシンフォギアに負けないで済む。例えイグナイトとドリンクで強化しようと、こちらはスープの蓄積だ。どちらが濃度・量で上か考えるまでもない」
「そんな……」
「言ったはずだ。後悔させてやると。まぁ、あの時と意味合いは変わってしまったが結果は同じだ。安心しろ。殺す事は……出来る限りしないでやる。せっかく世界を見て回るんだ。余計な面倒は避けたいからな」
俺を呆れた表情で見つめ、キャロルちゃんは視線をモニタへ戻す。ガリィをマリアとセレナが、ファラを翼と奏が、ミカを切歌と調が、レイアをクリスがそれぞれ戦っている。どこも苦戦しているのはギア側だ。その表情も驚きや困惑に染まっている。きっと前回戦った感想を聞いていたんだ。それよりも明らかに手強いからだろう。奏とセレナは直接相対したから余計に。
「さて、ならば俺も行くか」
「え?」
モニタの光景に申し訳ない気持ちでいっぱいになる俺に聞こえてきたのは、とても信じられない発言だった。
「ここへ来ようとしている奴がいるだろう。それを俺自ら出迎えてやるんだ。お前はここでその様子を見ていろ」
「っ! 俺も」
「ダメだ。お前は俺が世界を見て回るために必要だ。それにお前が居なければガリィ達は人間から思い出を吸収しなければならなくなる。それでもいいのか?」
暗に犠牲者を出してもいいのかと言われ、俺は返す言葉がない。今更ガリィ達を犠牲には出来ないからだ。項垂れる俺を見てキャロルちゃんは小さく息を吐くと、そのまま俺へ近付いてくる。そして、俺の袖を小さく引っ張った。
「何?」
「その、俺も多少思い出を使って戦うのでな。ミカ達の稼働分を与えている方法でよこせ」
その言葉に疑問が浮かぶ。ガリィ達は思い出をエネルギーにしてるから吸収出来るのは分かる。でも、キャロルちゃんは人間なのに吸収出来るんだろうかと。ま、本人がそう言ってるんだ。きっと錬金術にそういうものもあるんだろうと納得して、俺はキャロルちゃんへ問いかける。
「それって、キス?」
「っ! い、いいから早くしろ! 俺自らガリィ達へ指示を出さねば殺すかもしれないぞ!」
「わ、分かった。じゃ……」
その場に屈んでキャロルちゃんと目を合わせる。やや赤い顔のキャロルちゃんが目を閉じて少しだけ顔を上げた。それを微笑ましく思い、俺はその可愛らしい唇へキスをした。
「……どう?」
「これっぽっちか? これではガリィ達の稼働分さえないぞ」
「えっと……実はあれはもっと唾液の交換みたいなキスをしているからで」
「なぁ!?」
「……それでもいい?」
「っ! し、仕方ないな。舌を絡めるというアレだろ? い、いいか? これはパパの思い出を無くさぬために仕方なくだな」
「うん、分かってる。じゃあ、舌を出して」
「…………えー」
おずおずと舌を伸ばすキャロルちゃんが可愛くて、出来るだけ優しくディープをする。響やクリスの好きな奴だ。深くじっくり愛するように舌を絡める。気が付けばキャロルちゃんが俺へ抱き着いていた。だからその体を軽く抱きしめながらキスをする。やがてどちらからともなく口を離す。透明な糸が出来るのを見て、キャロルちゃんが少しだけ恥ずかしそうにした。
「これでいい?」
「……そう、だな。だが、念のためにもう一度だ。俺はガリィ達よりも燃費が激しいんでな」
「分かった」
「んっ……」
こうして結局五分以上キスしていた気がする。終わる頃にはキャロルちゃんがモジモジしていたけど、そのままシャトーを出て行った。残された俺はただモニタを見つめて奏達とガリィ達の無事を祈る事しか出来なかった。