あと、以前活動報告で上げたキャロルやエルのエロ話は、悩みましたがIFとしてお気に入り限定にでもしようかと思います。みんながみんな望んでるものじゃないですしね。ご理解の程、よろしくお願いします。
赤ちゃん誕生! そして……
「うわぁ、本当に小さいや」
「ああ、本当に赤いしな」
ベッドに横になっている了子が微笑む中、俺達は小さな命を見つめていた。エルとキャロルがおっかなびっくり指で触っている存在こそ、俺と了子の子供であり、夢子と名付けた一人娘だ。
「エルちゃん、私にも触らせて?」
「……どうぞ」
「キャロル、私もいいかな?」
「……ああ」
いつもであれば即答の二人が名残惜しそうに夢子から離れる。どうやら二人してもうお姉ちゃんの気持ちが出来ているらしい。響と未来が苦笑しながら夢子へ近付き、その頬を優しくつついた。
「わぁ、柔らかーい」
「うん、凄いね」
「お、おい。後がつっかえてるんだ。早めに交代しろ」
「デスデス。アタシ達も赤ちゃん触りたいデス」
「うん、触りたい」
クリスや切歌、調までも夢子と触れ合いたいと言い出し、俺と了子は小さく笑うしかない。いや、ホントこうなるとマリア達は来れなくて良かったかもしれない。今ここにいるのは、学生組とエルにキャロルである。
セレナはマリア達と一緒の時にしてもらい、マムも未だに仕事中。スコアのみんなは留守番をしてもらっている。了子のいる部屋はそこまで大きくないため、学生組だけでも人数的にギリギリなのだ。
「凄いわねぇ。分かってはいたけどここまでなんて」
「ああ。了子、本当にお疲れ様」
「それで何度目?」
「何度だって言うよ。それぐらい、これは嬉しくて大変な事だったから」
呆れるような了子へそう返して、俺は視線を夢子達へ戻す。まだ夢子が生まれて三日。だけど、もう我が家はてんやわんやだ。エルもキャロルも一刻も早く子供部屋をと意気込み出し、俺達が何とか宥めたのを皮切りに、気付けばみんなが育児書を読み始めておむつの換え方などを勉強。
それを見ていたマムが、それぐらい学業の方も熱を入れなさいと言った時の響や切歌の顔は苦い顔だった。ひっそりと調も似た顔をしていたけれどね。
七人の少女達に静かに愛でられながらもすやすやと眠る夢子。その寝顔に俺だけでなくみんな微笑みを浮かべていた。
次の日には風鳴さん達発令所メンバーが訪れてくれた。三人合同での出産祝いを持参して。その祝いの品である果物の盛り合わせから、早速みんなで一つ食べようとなったのは言うまでもない。
「やっぱり可愛いですね、赤ちゃんって」
「ホント、和むよなぁ」
「目元の辺りは要君似だな」
「みたいですね。自分じゃよく分からないんですけど。あ、看護師さん達は口元が了子だって」
「自分達じゃ中々分からないんだけどねぇ」
そう言って友里さんが剥いてくれたリンゴを食べる了子。夢子は初めて見る顔にも動じる事なく、にこやかに笑って手を伸ばしている。その愛らしさに友里さんが頬をつつこうとして、その指を掴まれた。
「どうしよう。捕まっちゃった」
「どれどれ……おおっ、俺も捕まった」
「何をしとるんだ、お前達は」
楽しそうに夢子に捕まえられる二人を見て、風鳴さんがやや呆れた表情を見せる。でも、どこか悔しそうに見えるのは気のせいかな? 藤尭さんも友里さんも夢子と触れ合ったせいなのか、片や結婚したいと言い出し、片や子供だけでもと言い出す始末。風鳴さんはそんな二人にため息を吐きつつ、微笑ましいものを見るような眼差しを送っていた。
そして、忙しい合間を縫って奏達も夢子の事を見に来てくれた。マムとセレナも共に。ちなみに、毎日響達は顔を出して夢子と戯れている。これは了子から聞いた話。
「見て見て姉さん、私の指を掴んで放さないよ」
「みたいね。しかもすごくご機嫌だわ」
「了子さん、抱き上げてみても構いませんか?」
「どうぞ」
意外にマムもテンションが高い気がする。少し慎重に夢子を抱き上げるマム。すると、夢子が笑い出したのだ。
「マム、笑ってますよ。夢子もお祖母ちゃん子になりそうだね、こりゃ」
「だと嬉しいのですが……意外と重いものですね」
「どこを触っても柔らかく温かい。これが赤子の温もりか」
「ま、マム? 次は私に抱かせてくれないかしら?」
「あ、姉さんズルい。私もいいですよね、了子さん」
「ええ、もし泣いたら渡してくれていいから」
マムをそれぞれ羨ましそうに見つめつつ、ちゃっかり抱っこさせてと言い出すマリアに便乗するセレナ。そんな二人は中々珍しく、了子と俺は苦笑するしかない。当然ながら二人の後は奏と翼も抱っこして、四人は揃って俺へこう目で言っていた。早く子を作ってねと。
そうして奏達も退出し静まり返った部屋に俺と了子と夢子だけとなると、どうしても僅かに寂しさが強くなる。
「退院は来週だっけ?」
「ええ、もう大丈夫だろうって医者もフィーネも言ってくれたし」
「……フィーネは夢子を抱っこして何か言った?」
「ふふっ、ええ。次の子供は私の時に作ってもらうですって」
「それは……いずれね。まださすがに二人目は早いから」
あのフィーネでさえ虜にする赤ちゃんの魔力、凄まじいな。だけど、それが赤ちゃんの身の守り方だとどこかで読んだ覚えがある。何も出来ない状態だからこそ、周囲の者達が守りたいと思ってくれるように出来ているんだとか。
そんな会話をしてその日は了子と別れた。シャトーに戻れば学校の課題だろうものでウンウン唸る響がいた。未来はその隣で小さくため息を吐きつつ、どこか仕方ないとばかりに苦笑している。クリスはセレナの手伝いをしているし、切歌と調はレイアとファラの将棋対決を見学中のよう。
「あれ? ミカとガリィは?」
「二人ならマスターとエルを迎えに行きました」
「そのまま少しだけ夢子と了子さんの様子を見てくるつもり」
「あー、行き違いになったか」
今、我が家で一番夢子に熱を上げているのは誰であろうエルとキャロルである。エルにとってもキャロルにとっても、自分に出来る明確な姉妹なのだ。血の繋がりなど関係ないとばかりに二人は夢子を僕の妹、俺の妹と呼んでいるぐらいに可愛がっている。
「……なら、ついでにファラとレイアも行ってくれないか? ほら、傍目には子供が四人に見えなくもないし」
「そうですね。では、行きましょう」
「了解。地味に大事な大人の同行」
俺の提案を待ってましたとばかりに動き出す二人。ははーん、これはあれだな。昔のクリスと同じだ。本当は行きたいけど、理由がないと行けないというやつだ。そういう意味ではファラとレイアは受動的なんだなと実感。
「あー、ファラ。二人に言っておいて。今後は君達を最初から連れて行くようにって。安全面でね」
「分かりました」
「伝えておくわ」
どこか嬉しそうに返して二人は歩き出す。さてと、夢子が生まれて我が家もいよいよ本格的に動き出したな。将来の事を考えて、色々決めなきゃいけない事ややらなきゃいけない事もある。奏とマリアは今回の事で特に強く子供を欲しがってるみたいだし。
それと、俺の中でまた何かが大きくなった気がする。多分だけど、本当に子を持った事で責任や義務というものが重くのしかかってきたんだ。だけど、今はその重みを嫌がる事はない。むしろどんとこいだ。この重みこそが父親の証みたいなものなのだから。
「で、響達のは宿題?」
「はい、ただ響は以前までの追加分の課題もありますけど」
「あー、そうか。まだルナアタックやフロンティア事変の時の後処理が残ってるんだね」
「そうなんですよ~。大分片付けてきたんですけど、元々の成績がアレなもんで……」
「ちゃんと授業聞いてりゃある程度は分かるだろ」
たははという感じの響へ呆れるようなクリスの言葉が突き刺さる。切歌や調がそこに何も口出ししない辺り、意外と二人もクリス側なんだと軽い驚き。でも、そういえばマムや了子曰く、二人は元々学問などをしてこなかっただけであり、そういう知識欲みたいなのは強いかもしれないとの事。
実際、学院へ入学した当初こそ二人して授業について行くのさえ四苦八苦していたようだが、夏休みの課題などで基礎学力が追いついたようだ。こうなると響だけが学業で苦労していくのだろうか。
「クリス、言いたい事は分かるけどね? クリスは理解力が高いから授業を聞いただけで要点とかを把握出来るんだよ。響や私なんかは聞いただけじゃ無理だから、こうやって復習とか必要なんだから」
「み~く~っ!」
「よしよし」
いつも響の味方である未来。そんな彼女が当然のようにやんわりとフォローをすると、嬉しそうに響が抱き着く。その様を見て苦笑する切歌と調。呆れつつも小さく笑うクリス。そしてまるで母親のように優しい微笑みを浮かべるセレナという構図。これだけでも大家族の団欒のようで、何となく笑みが込み上げるのはちょっと思い上がり過ぎなんだろうか?
「ま、もしそうだとしたら俺の立ち位置は兄なんだけど……」
一人呟き、意識を別の事へ向ける事にする。それは、俺の今後の事。収入がこのままでは少なすぎるのだ。奏達に頼り切りはしたくないので、何か給料を増やすための方法を考えなければならない。と、言うのはいいが、俺に特別な才能も資格もない以上、それはかなりの茨の道だ。
もし仮にその方法があるとすれば、それこそスープの活用法ぐらいだろう。それは、正直勘弁して欲しい。肉体的にも精神的にもだ。と、そこでふと思い出す事があった。俺の体液全般が装者にとって効果があり、唾液や血液は精液よりも効果が弱いが似た効果があるかもしれないと、いつか了子が言っていた事だ。
「……もしかして、成分献血とかしたら医薬品に出来ないかな?」
思い立ったが吉日とばかりに了子へ電話しようと思って、思い直してマムにした。いや、さすがに産後で病室にいて、今はエル達と談笑しているだろう奥さんの邪魔はしたくない。少し普段よりも長めのコールの後、やっとマムの声が聞こえてきた。
『どうかしましたか?』
「あ、お義母さん。今、電話大丈夫ですか? 一つ聞きたい事があるんですが……」
俺の考えを聞いてマムは興味深そうな反応を返してくれた。可能なら今から病院へ来なさいと言われ、時計をチラリと見る。時刻は午後六時になりそうな辺り。なので内心行きたい気持ちを抑え、家長であり義理の息子としてこう告げる事にした。
「行きたいのはやまやまですが、そろそろお義母さん達も帰宅してくれないとセレナ達が夕食を食べれないですよ」
『……そうですね。では、明日了子さんも交えて話しましょうか』
「それがいいですね。じゃ、気を付けて帰ってきてください」
『ええ』
切る直前微かにエル達の声が聞こえた。それにしても、もしかしてと思ってたけど、マムが本日二度目の了子の病室の訪問とはね。それだけ可愛いんだろうな、夢子が。さて、ではセレナ達へ連絡するか。エル達の帰宅予定時刻を。そう思って俺はスマホを片手にキッチンへと向かう。
その後、帰宅したエル達と共に食事を取り、了子の退院日程を教えるとみんながそれぞれに話を始めた。お祝いをしようと言い出す者もいれば、夜泣きした場合はどこで泣き止ますかを相談し始める者もいて、ならばローテーションを決めようとじゃんけんをするスコア達に混じって何故かセレナと未来がいた。
「……予行演習のためですかね?」
「おそらくは」
俺の問いかけに苦笑して返すマム。エルとキャロルは仕事があるためか、悔しそうにじゃんけん大会の様子を眺めている。響達はお祝いパーティーの事で意識を取られているようで、クリスがなんだかんだでその場を仕切っていた。
「そういえば、お義母さんもそろそろ一人寝に戻りますね」
エルとキャロルは了子が入院した日から、マムの部屋で一緒に寝ている。俺と三人で寝ないのと言ったら、エルから微妙そうな顔で「父さんは時々皆さんの匂いがするので……」と言われ、キャロルが無言で頷いたのだ。その時程、俺は色んな意味で申し訳なく思った事はない。よって、二人はお祖母ちゃんであるマムの部屋へ行き、添い寝しているのだ。
「そうですね。そう思うと少々寂しいです」
そう返すマムは本当に寂しそうに見えた。だから、ふとあのマムに軽く冗談を言われた時の事を思い出し、笑みを浮かべてこう告げた。
「何なら一緒に寝ましょうか?」
「まぁ、いいのですか?」
「ええ。ただし、寝かせないかもしれませんけど」
「……またマリア達の小さい頃の話を聞きたいのですね」
さすがはマムだ。よくわかってらっしゃる。こうなると、やはりマムは大人だと分からされてしまうな。俺はこんな余裕などが出せない。なので降参とばかりに両手を小さく挙げた。それを見たマムは、楽しそうに笑ってくれたのが印象的でした。
そして次の日、俺はマムと共に了子の元を訪れてあの思いつきを話してみた。
「どうかな?」
「……一度調べてみなければ分からないけど、上手くすればちょっとどころかかなりの稼ぎに出来るかも」
「本当?」
「ええ。もし、貴方の能力が生命力だと仮定すれば、血液はそれこそ万能薬の材料になるかもしれない。今まではギア関連の方向でしか調べてこなかったけれど、スープが病気を癒した事もあるし、精子という次代の種ではない物なら、厄介な副作用も出ない可能性があるわ」
「私も言われるまでは、そんな事に彼の体質を活かす事を思い付きもしませんでした。思っていた以上に、我々はリンカーの上位互換という概念に囚われていたのかもしれません」
マムの言葉に了子も頷いていた。彼女は一度俺の体液をもっと詳しく調べてみようとしていたが、その時に俺がエロいちょっかいを出して有耶無耶にしてしまった事がある。しかも、その後意識を飛ばすまでイカせてしまったし。
マムの病気を完治させた後はそういう方面での研究もしていたが、どちらかと言うと病気をスープの何が癒したかではなく、スープは一体どこまで用途があるのかの研究だったらしい。
「こうなると、以前響の言ってた事が笑えなくなってきたな」
「ああ、アナタのスープを美容に効くと言って売ると言うあれね。たしかに近いものはあるかも」
「ふふっ、装者のための能力が、今やガリィ達のための能力にもなり、更には世界中の人達のための能力になるかもしれないのですか。もしそうなったら、貴方の思い描く未来がぐっと近づきますよ?」
「と言うと?」
「貴方という存在を守るために、そしてその能力を後世に繋ぐために、特例かあるいは暗黙に一夫多妻を認めるかもしれないという事です」
そんなマムの話に俺は一瞬の間の後笑ってしまった。夢子がいるので出来るだけ声量は抑えたけど、どうしても我慢出来なかったのだ。
「……そこまで笑いますか?」
「す、すみません。でも、さすがに言い過ぎじゃないかなって」
「あら、意外と有り得ない話じゃないわよ? 思い出してごらんなさいな。S.O.N.Gになる前、アナタはどんな扱いをされていた? そして、装者の子達はどういう扱い?」
「…………嘘、だろ?」
俺が生命のスープを作り出せると分かった後、急に待遇が良くなった事を覚えている。それと共に行動の完全な自由も失ったのだけど。つまり、重要人物だ。了子とマムは、俺がまたそれに戻る可能性を示唆していた。それは、何も特殊体質だからだけじゃない。世界中に九人しかない装者の相手であり、その資質と俺の体質を兼ね備えた子供を誕生させるかもしれないからだ。
「でも、もしそうだとしても、子供を利用するみたいで嫌だな」
「気持ちは分かりますよ。ですが、その子供達のためにも考えねばなりません」
「そうねぇ。最低一人で止めるにしても、夢子を入れて十人よ? 全員大学まで行かせると仮定して……」
「うん、分かった。いや分かってる。とんでもない金額が必要だって事はさ」
了子がニヤニヤと笑いながら告げる現実へ苦い顔で会話を終わらせる。おそらくだが、ギア装者が子供を産んだ例はないのだろう。そういう意味でも、奏達の子供は否応なく世界の注目を浴びるんだ。表向きは知られないだろうが、本質的にはそうなるはず。
「アナタ、分かってるなら」
「ああ、飲み込むよ。こんな苦みや辛さは俺が大部分を飲み込まないとな」
「微力ですが私達も手を貸しますから。私達は家族ですよ」
「お義母さん……」
「きっとマリア達も同じです。貴方が全部を背負う必要はありません。もしそうするのなら、その背を私達で支えますからね」
「……ありがとうございます」
優しく微笑むマムに目頭が熱くなる。見れば了子も似た顔をしてくれていた。そうなんだ。俺が全部背負う必要はない。でも、出来るだけ俺が大きく負担を請け負いたいんだ。そうする事でみんなと支え合える。やっぱり、この辺りに俺の男としての何かがあるんだろうな。
「了子、とりあえずお義母さんに先んじて調べてもらうよ。で、退院してちゃんと復調したらそっちにも手伝ってもらうから」
「ええ。んもう、しっかり釘を刺してくるんだから……」
「ふふっ、了子さんもそういう意味では尻に敷かれてますね」
「本当に。床の上では五分なんですけど」
「了子?」
了子のしてやったり顔にマムが苦笑し俺は少しだけ呆れた顔を向ける。そんな俺達を夢子が不思議そうな表情で眺めていたような気がした。
それから数日が経過し了子が退院。我が家に夢子と共に戻ってきて一気にみんなの日常が変わり出す。夢子がその中心にいるのは間違いなかった。
まぁ、さすがに訓練などを夢子に見せる事は無理なので、連れて行こうとしたのは止めた。さり気無くエルやキャロルも話に乗っていたのが微笑ましかった。どうも本部内で大人のように働いている姿を見せたかったそうだ。可愛らしい姉二人である。
「……どうです?」
「そうですね。了子さんやキャロル達の意見も聞きたいところですが、まずは私個人の見解を」
そして俺の新しい仕事も始まった。とはいえ、仕事というよりは検体だけども。血液を採取すると同時に、成分献血も行い、俺の精液との比較分析をして共通する成分や異なる成分を詳しく調べる作業だ。
「おそらく、以前貴方やガリィの話にもあった現象が検査の際にも若干起きていたと思います」
「……俺の気持ちがスープの効力に影響する?」
「ええ。多分ですが、貴方の精液がリンカーのような効果を発揮すると判明した時は、貴方にこういう事への嫌悪感などがなかったのでしょう。それが、奏さん達と関係を持つようになり、検査などで提出する事が嫌になってきたのでは? それと同様の影響が血液にも現れていたと私は思っています」
マムの説明によると、一番最初の検査では俺に女性経験もなく、また自分のためのものという意識だったから精液がスープになっていた。だが、奏と経験を持った後は研究用や提供分さえ効力が薄れていたのではないか。そして、血液は精液に比べてリンカー的な効果が弱かったため、そういう方向の検査などをされなかった。その後は精液と同じである。定期検診などでは嫌々なので血液も通常の状態だったと、そういう訳らしい。
「じゃ、今のは?」
「貴方が自分のためと強く意識しているからか、これまでのデータとは異なっています。こうなってくると、貴方の存在自体が不思議です。まるで能力を隠すような体質。ギア装者達だけでなく、女性全般に効果のあるのも気になります」
「……この試みは俺自身の正体に関わるって事ですか」
「そうなるかもしれません。きっと、誰もが気にしながらも意識しないようにしていた事ですが」
「そう、ですね。俺自身も深く考えないようにしてた感じはあります」
言われてぼんやりと思い出す。保護された時、俺って何故か記憶がない事に何の不安も疑問も持ってなかったんだよなぁ。今にして思えばそうする事で心を守っていたのかもしれないな。今は不安や恐怖があっても、みんながいるから耐えられる。それに、夢子という俺が絶対に守らないといけない命も。
「とにかく、シキさんには覚悟をしていて欲しいのです。何が切っ掛けでどういう事か分かるか分かりませんので」
「分かりました。ある意味で俺も自分と向き合う時なのかもしれません」
「……まあ、こう言っておきながら何も分からないという事もありそうなのですけどね」
最後に悪戯っぽく言ってマムは小さく苦笑する。何というか、本当にマムも初めて出会った時よりも柔らかくなった気がする。一番の理由は、マリア達の前で厳しくいなければならないという必要がなくなったからだろう。次はキャロルやエルからのグランマ呼び。最後は夢子の誕生か。
本当に夢子が生まれた事で色んな事が変わり出した。俺の事も、みんなの事も含めて。一体これからどうなるのか分からないけど、絶対それを悪い事にはさせない。始まりは良くない事でも、最後にはみんなで笑えるように。そう祈るように思いながら、俺はマムの話へ耳を傾けるのだった……。
シリアスな感じが出てますが、ここから深刻な展開などはありません。あくまでこれはエロ作品なのでね(汗
まぁ、最近はらしくないかもしれませんけど……。