「何から乗る?」
「そうですね……」
今、俺は未来と一緒にとあるテーマパークに来ていた。新学期も始まり、寮生活へ戻った事もあってか、普通に待ち合わせてのデートだ。しかも行先は遊園地という定番中の定番。未来はその目的地を告げた時、自分でいいのかと言ったぐらいだ。どうやら、そういう定番は翼やクリスなどの、そういう場所へあまり行かない相手と行くだろうと思っていたらしい。
到着するやフリーパスを購入し、今は場内案内板を眺めてどのアトラクションから乗るか考え中。今日は日が暮れるまでここで過ごそうかと思っている。まぁ、最後はいつもの施設を利用する事になるだろうけど。
「じゃ、まずは軽く」
「うん」
メリーゴーランドとかかな。そう思いながら未来の言葉を待つ。そんな俺へ未来は何てことない顔でこう言っていた。
「あれ、行きましょう」
「…………マジか」
未来が指さしたのはジェットコースター。どう見ても軽くない。と、思うも、そこである可能性に思い当る。それは未来が絶叫系好きであるという事。もしそうなら、フリーフォールなどは確定と見ていいだろうな。そんな事を考えつつ、俺は心持ちウキウキしているような未来の後を追う様に歩き出す。
「あのさ、未来。一ついいか?」
「はい?」
「もしかして絶叫系が好きだったりする?」
「ん~、嫌いじゃないですね。まぁ、私がこういうとこに来る時って、大抵響が一緒なんですけど」
「あ、分かった。向こうが好きなんだ」
「そうなんです。で、付き合ってる内に最初からそういうのを行くのが当然になっちゃって」
響と遊園地に行く時はそういうのが有名なとこにしよう。そう一人で考えながら未来の横へ移動し、さり気無く手を繋ぐ。すると、未来が小さく微笑んだかと思うと、その手を優しく解いて指を絡めて繋ぎ直してくれる。
「こうがいいです」
「うん、俺も。で、可能ならさ、腕組みもいいかな?」
「クスッ、はい、いいですよ」
こうして未来と腕を組んでの遊園地デートがスタートした。最初から一時間以上の待ち時間を過ごす事になったけれど、未来とこれまでの響との遊園地に関する思い出話を聞いてたら苦でもなかった。というか、どうも未来は話し足りないようで、ジェットコースターから降りた後も思い出話は続いた。
その話のおかげで分かった事もある。未来の事だ。元々響と仲良しなのは知っていたけど、俺が関わらないとおそらく本当に連れ添うレベルだったと確信出来た。何というか、思考がところどころ奥さんというか嫁というかレベルなのだ。
いや、だって話している未来の言い方がどこからどう聞いても「うちの旦那が……」みたいにしか聞こえないから。失敗もドジも楽しそうに話す未来は、本当に響の嫁のようだ。なので、少しだけヤキモチを焼くようにその体を抱き寄せる。
「え? シキさん?」
「響の話はここまで。何か嫉妬し出してるんだよ、俺」
「……ふふっ、そうですか。やっぱりシキさんって子供みたいなとこありますね」
「否定出来ないししないよ。と言う訳で強引に話題チェンジ。最近学院の方はどう?」
「何ですか、その変え方。でも、許してあげます。そうだなぁ……」
そんな会話をしながら次は一転してコーヒーカップへと向かう。未来は基本的に穏やかではあるが、物静かではない。会話を始めれば女子高生らしい面を沢山見せてくれるのだ。響よりも女の子らしい部分を持ってるのも大きい。聞けばレディコミを読んでいるらしく、ファッション誌なども目を通す事が普通だそう。対して響はそういうものよりも何よりも食べ物などへ興味を持つため、若干乙女成分は薄いそうだ。
「こういうとこってさ、待ち時間が過ごせるかどうかで上手くいくとか言うよね」
「そうですね。そういう観点だと、シキさんと私は上手くいくって事かな?」
「どうだろう。だって、話題の大体が響だったし」
「ふふっ、でした。じゃ、シキさんの作ろうとした関係性は間違ってなかったんですね」
「あー、だね。響も未来がいないとずっと一緒にはいられないかもって言ってた」
コーヒーカップに乗りながら向かい合って話す。微笑みを浮かべる未来を見ながら、俺は時折ハンドルを回した。何となくだけど、響とは未来を話題にしそうだな。だけど、それもそう長くはないだろう。何故なら、今の俺達にはもっと話題にする事が出来ているからだ。でも、今は今日の事を話題にしよう。
「この後はどうしようか?」
「ん~……シキさんは何か希望あります?」
「お化け屋敷。定番だろ?」
「私が怖がるとこが見たい?」
「というよりは、イチャついても当然な場所だしってとこ。あとは、みんなそれぞれの反応を覚えたいから」
「クスッ、響は驚きますけど平気な方ですよ?」
「うん、納得。クリスと切歌はかなりビビリそうだなぁ」
俺の意見に未来が苦笑しながら頷いてくれたところでコーヒーカップが停止する。なので話した通り、未来と二人でお化け屋敷へ向かう。途中で飲み物を自販機で購入し、ベンチへ座った。自然な感じで未来が隣へ座り、その体温が伝わってくる。
「シキさん、一ついいですか?」
「ん?」
不意に切り出された声は、どこか真剣な感じがした。俺は何かと思って未来へ視線を向ける。そこには、凛々しさを漂わせる横顔があった。
「夢子ちゃんが生まれて、みんなが、特にマリアさんと奏さんが自分もお母さんになりたいって思ってます。きっと、シキさんも感じてると思いますけど、響だってそうです」
「うん、それは感じてるよ。ただ、響はご家族との約束があるから」
「ええ、そうです。私もそう。だから、シキさんに約束して欲しいんです」
「約束……」
このタイミングで何をと思うも、会話の流れでおぼろげであるが浮かんでいる事はある。未来の言葉を待って俺はただその横顔を見つめた。すると、その横顔が動いて目と目が合う。
「私と響へは、絶対成人するまで避妊してください」
「……避妊、か。それはゴムを使って欲しいって事だよね?」
「はい。たしかにシキさんは普通じゃほとんど妊娠しないです。でも、絶対じゃない。あの日、私はシキさんに本気で抱かれる喜びを教えられちゃった。だからこそ、こう言ってるんです」
「分かった。辛いのは俺だけじゃないんだもんな。うん、嬉しいよ未来。約束する。絶対成人してご家族からの答えを聞くまでちゃんと避妊するよ」
「お願いします。……信じてますからね?」
少しだけ赤い顔で締め括る未来に俺は返事代わりのキスをする。そのキスはどこかオレンジの味がした。響の陽だまりである未来をイメージさせる香りと共に……。
不気味な雰囲気とBGM。全てが人を怖がらせるためだけに用意された空間、お化け屋敷。その暗がりの中を寄り添うように俺と未来はゆっくりと歩いていた。
「涼しいなぁ」
「ですね。意図的に温度を下げてるのかな?」
「多分そうだと思うよ。っと、未来あれ」
「……井戸」
「じゃ、行こうか」
「はい。分かっててもちょっと怖いな」
絶対そこから何が出てくる。予測可能回避不可能というやつである。俺と未来が井戸の横を取りかかった瞬間、その中から何かが勢いよく飛び出してきた。生首だ。ただ、当然であるが作り物の。
「……えっと、悲鳴上げた方がいいです?」
「ううん、それよりは抱き着いて欲しいかな。未来の柔らかさを押し付ける感じで」
「もうっ! シキさんのエッチ!」
言いながら軽く叩かれる。叩く未来が笑顔なら、叩かれる俺も笑顔だ。本当に見事なまでのバカップルです。こんな感じで最後まで若干びっくりはしながらも、イチャイチャしながら出口まで歩いた。未来は思っていた以上に胆が据わっていました。これも響とギア関連の色々に巻き込まれたからだろうか。
「あー、イチャイチャした」
「ふふっ、ですね」
「次はどうしようか?」
「お昼にしませんか? 時間もそんな辺りですし」
言われて時計を見る。時刻は午後一時を過ぎていた。やはり最初のジェットコースターでの待ち時間が地味に痛かったな。そう思いながら、ではどこでと問いかけようとして未来の視線を追う。そこはよくある売店。軽食程度しかないものだ。ホットドッグやフランクフルトなどが売ってる程度の。
「あそこ?」
「ちゃんとしたのは夜に期待します。だからお昼はあそこで簡単にしません?」
さらりと注文とハードルを付ける未来に苦笑しつつ、夕食は頑張らないと思いながら頷いた。食事はまぁ簡素なものだった。俺はコーラとホットドッグにソフトクリーム。未来はアイスティーにハンバーガーとポテト。それらを食べ終えそうな辺りで、未来の視線がこちらの手にあるソフトクリームへ注がれているのに気付いた。
「食べたい?」
「いいんですか?」
「うん、勿論。なんかさ、恋人デートの定番みたいじゃないか」
「……そうですね。じゃ、遠慮なく」
ソフトクリームを差し出すと未来が嬉しそうに一舐め。その後俺が反対側を一舐め。
「冷たくて美味しいですね」
「だね。キャロルも好きなんだよ、ソフトクリーム」
「そうなんだ。じゃ、響や切歌ちゃんと話が合いそう」
「結構な食道楽の気があるよ、キャロルは。多分だけど、パパの分まで美味しい物を食べたいってのも根底にはあるかも」
「……パパの分まで、か。確かにそうかも。キャロルちゃんって、本当はとても甘えん坊みたいだし」
未来の言葉に小さく驚いた。実は俺も内心そう思っていたのだ。エル達へのキャロルの接し方は不器用で不慣れな感じが否めなかった。つまり甘えさせるのが下手なんだ。だけど、了子や俺への甘え方はぎこちなくはあるけど、そこに慣れてない感じは薄い気がするのだ。きっと、パパへの接し方を下地にしているからだろうと思う。
「そうだね。きっと長い間一人で頑張ってきたからさ、甘え方も思い出しながらなんだよ。もっとみんなに自然な感じで甘えたりしてくれるのを待つしかないな」
「夢子ちゃんも生まれたから、それもいい刺激になりそうですね」
「だといいな。というか、夢子はみんなに影響与えてるよね?」
「そうですよ。だって、私も響も赤ちゃんなんて中々接する事なかったですし。クリス達も妹が出来たみたいに感じてるって」
「そっか。じゃ、この話はここまで。ここからは、さ」
その未来の言葉に頷き返し、俺は手にしたソフトクリームを笑顔で差し出した。すると、その意図を酌んでくれたのか、未来も笑みを浮かべて口を付ける。こうして俺達は再び恋人としての時間を過ごす事にした。
食事の後はフリーフォールやバイキングなどの絶叫系やゴーカートやメリーゴーランドなどの定番などに乗った。待ち時間などもあって、主なアトラクションを一通り乗った頃には、すっかり日も暮れ始め、夕日の色に空が染め上げられていた。それを俺は未来とベンチに座って眺めていたのだが、ふとあるものが視界に映ったので立ち上がった。
「未来、最後にあれに乗ろう」
「あれ?」
「そう、あれだよ、あれ」
俺の指さす方を見て未来は小さく苦笑した。
「あー、そうですね。締め括りはやっぱりあれですよね」
「そ。定番中の定番、だろ」
未来と腕を組みながら俺は一路そのアトラクションへ向かう。ゆったりと動く、巨大な輪のような物、観覧車へ。やはりというか何というか、乗っているのは家族連れやカップルばかり。案内されるまま、ゴンドラの中へ。と、扉を閉める前に係員が何故かこんな一言を言ってきた。
「一周するまで約十五分かかりますのでごゆっくり景色を楽しんでください」
「え、はい、どうも」
閉まる扉を見つめながら変な意味に捉える自分に苦笑。まるでそういう事をする時間はありますよと言われた気がしたのだ。未来はそんな俺へ小首を傾げている。なので思った事を告げると、呆れた顔を返された。
「シキさん、本当に切り替えるとそういう事ばかりなんですね」
「……未来とだから余計かも」
「っ……もう、そういう事言ったってダメですからね?」
ふいっと顔を背けられる。それが本当に可愛らしくて笑みが零れてしまう。だけど少し様子見をしようと思って隣へ移動するのは止めておいた。向かい側に座り、揃って窓から外を眺めた。夕暮れの中の遊園地というのは中々雰囲気がある。物悲しい感じもありつつ、楽しげな感じもある矛盾した光景だ。
「……綺麗ですね」
「そうだね……」
「私、こういう寂しげな雰囲気あまり好きじゃないんですけど、今は割と好きかもしれません」
「……どうして?」
尋ねながら未来の方へ顔を向けると、彼女もそうしていたらしく目が合う。
「大好きな人が、シキさんが一緒だから、かな」
「俺が……?」
「響が私の事を陽だまりって表現してくれるんですけど、響って言う太陽がいないと陽だまりは存在出来ないって言ってるんです」
「うん、響が太陽は俺も同意だよ」
「だけど、シキさんも私にとっては太陽みたいなんです。ただ、響は夏の太陽で、シキさんは春の太陽って感じで」
その言い方で伝えたい事は分かる。響は元気の塊みたいな子だ。その熱量は真夏の陽射しに匹敵するだろう。で、俺が春の太陽か。あったかい陽射しな人間って事か? だとしたら凄く褒められてるんだけど、どうなんだろうか。
俺の疑問を理解しているのか未来はこちらを見てクスリと笑う。その表情が可愛らしく、俺は思わず魅入った。そんな俺へ未来は優しい表情のまま口を開いた。
「シキさんは、一緒にいるといつでも心地いいんです。響は、時に熱くて一緒にいるのが辛い人もいるかもしれない。だけど、シキさんはその人に合わせたあたたかさをくれる。それが響も絆しちゃったんだと思うんです」
「春の太陽が夏の太陽を手籠めにしちゃった?」
「手籠めって……まぁ、そうですけど」
微妙な顔で笑う未来だけど、実際そういう事なので否定出来ないもんな。と、そこで気付いた。ゴンドラが頂点近くになった事に。立ち上がって窓の近くへと移動しながら未来へ声を掛ける。
「未来、天辺みたいだよ」
「わぁ、ホントだ……」
夕日に照らされる園内とその先に見える沈みゆく太陽。そして、そのどこか弱くも美しい光に照らし出される未来の横顔。その綺麗な彼女を思わず抱き寄せた。
「シキさん?」
「……目を閉じて」
「……はい」
夕日を全身に浴びながら俺は未来とキスをした。舌を入れたくなったけれど、この雰囲気ではそういうのを嫌がられると思って止めておいた。ゆっくりと未来から顔を離す。どこか熱に浮かされたような未来の頬をそっと撫でる。
「シキさん……」
「俺にとっても、未来は陽だまりであって欲しいな。ダメかな?」
「……なら、ちゃんとあたためてくださいね?」
「了解……」
「ん……」
結局そこからゴンドラの扉が開く少し前まで未来とキスし続けた。揃って観覧車を降りた後はお互いに会話もなく、ただ無言を心地良く思いながら歩く。未来はこちらの歩みに合わせるようについて来てくれる。どうやら、本当に陽だまりでいてくれるらしい。
そのまま俺は未来と腕を組んで歩いた。目指す先はホテル街―――ではない。まずは駅近くで食事をしようと思ったのだ。居酒屋などが並ぶ中、一軒の洋食店を見つけた。昔ながらの街の洋食屋と言った感じがする店構えで、手書きの黒板メニューが何とも言えない温かみを感じさせる。
「ここ、どう?」
「……いい感じかもしれないです。それに、このハヤシオムライスとかのメニューにも惹かれますし」
「じゃ、入ってみよう」
「はい」
ドアを開けるとカランコロンと音が聞こえる。店内は意外と、と言ったら失礼かもしれないが混雑しており、俺達分の席が空いているか分からない程だった。どうしようかと思って佇んでいると、格好から店員と思われる二十代ぐらいの男性が笑顔で近付いてきた。
「いらっしゃいませ。二名様ですか?」
「はい。あの、座れますか?」
「カウンターでもよろしければ」
「構わない?」
「はい」
「じゃ、お願い出来ますか?」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
少し狭い店内を案内されるまま歩いて奥へと向かうと、たしかにカウンター席が二つ空いていた。
「こちらでお願いします。メニューはこちらです」
「どうも」
「ありがとうございます」
一礼して下がる店員さんを見送って二人して椅子へと座る。置かれたメニューを二人で眺め、思わずため息が漏れた。
「どれも美味しそうな感じですね」
「だなぁ。いかにもな感じなものからボリューム系まで幅広いし」
ハンバーグやスパゲッティといった定番に、ミックスグリルやダブルハンバーグというようながっつり系もある。値段も高くないし、学生や男性客を意識しているメニューも数点見られ、近所にあったら週一で通うぐらいの内容である。
「どれにしようか。未来は?」
「……シキさんと半分とか、ダメですか?」
告げられたのは可愛らしい提案。勿論拒否するはずもなく頷いたところで水の入ったグラスが二つ視界を横切った。
「いらっしゃいませ。お水、ここに置きますね」
「あ、どうもありがとうございます」
「ありがとうございます」
グラスを置いてくれたのは先程の店員ではなかった。老年に差し掛かったご婦人だった。と、そこで厨房の方を見た。そこで腕を振るっているのはご婦人と近い年齢の男性。そして、どこか先程の店員さんに似ている気がする。
「あの、ご家族でやってるんですか?」
「ええ、そうじゃないとやってけないんですよぉ。うちはほら、見ての通りの小さな店なんで」
朗らかに笑う奥さんに俺も未来も連られるように笑顔になる。
「あの、おばさんのオススメは何ですか?」
「そうねぇ……」
そこで何故か奥さんは俺達を見て、小さく笑みを浮かべた。何だろうか。
「二人で食べるのならミックスグリルがいいわよ。ハンバーグにエビフライ、それとチキンステーキが乗ってるの」
「うわぁ、贅沢ですね」
「二百円足してディナーセットにすると、ご飯かパンにスープも付くの。どうかしら」
「シキさん、どうします?」
「ハヤシオムライスはいいの?」
俺がそう問いかけると未来が「あっ……」という顔をした。すると奥さんはクスクスと笑い、こちらへ視線で問いかけてくる。さて、ならこうするべきかな。
「あの、ミックスグリルをセットでお願い出来ますか? で、ハヤシオムライスもお願いします」
「はい、パンでいいかしら?」
「未来、どうする?」
「あ、はい。パンでお願いします」
「かしこまりました。じゃ、出来上がるまで待っててね」
微笑ましいものを見守るような笑顔で去っていく奥さんを見送り、未来へ視線を移す。彼女はこちらを見て照れくさそうな笑みを見せてくれた。
「半分こ、だからね」
「……はい」
噛み締めるように微笑む未来に心があたたかくなる。と、未来の視線がこちらから外れた。その先を追い駆けると厨房で、料理を作っている店長さんと手伝いをする奥さんを眺めているようだ。忙しそうだけれど、仲良さそうに動く二人からは流石長年連れ添ったみたいな感じが強くする。
「いいなぁ、ああいうの」
「未来もあんな風になりそうだよね」
「……シキさんも、ああなってくれますか?」
「なれるといいな。奥さんと仲睦まじくいられる旦那に、さ」
「なってくれないと困ります」
「……はい、頑張ります」
最後にはややムッとした顔で言われたので、大人しく頷いて身を縮めた。それに未来が小さく笑う。それからは他愛ない話をした。主な話題は当然ながら今日の事。そしてそれから派生していつかみんなで行きたいと言う話になり、その場合は色々大変な事になるなぁと思いながら二人で会話に興じていた。
「はい、ハヤシオムライスお待ちどうさま」
「あっ、ありがとうございます」
会話が一旦途切れたところへ差し出される皿。美味しそうな匂いと美味しいそうな見た目の料理が乗ったそれを受け取り、未来の方へ置く。ハヤシの黒とタマゴの黄色が食欲をそそるコントラストだな。
「未来、先に食べていいよ」
「じゃ、いただきますね」
スプーンを手にハヤシオムライスを食べ始める未来。その姿に癒されながら、俺はただそれを眺めた。すると、程なくしてハンバーグなどが乗った鉄板と、バターロールと思われるパンが二つ載せられた小皿を持った息子さんだろう店員さんがやってきた。
「お待たせしました。ミックスグリルのディナーセットです」
「ありがとう。こっちにお願い出来ますか?」
「はい。では、失礼します」
俺の前に置かれる鉄板。ハンバーグとエビフライにチキンステーキ。どれも熱々だろう事が見て取れる。そして、きっと美味しい事も。
「以上でご注文の品はお揃いでしょうか?」
「はい」
「それでは、ごゆっくり」
笑顔で一礼し去っていく息子さんを見て、いつか俺も息子が出来たら彼のように人あたりの良い青年に育てられるだろうかと、そんな気の早い事を考えてしまう。そんな俺の視界へ差し出される黒と黄色と赤の食べ物。ハヤシオムライスの中身はケチャップライスなんだと、そう思いながらスプーンを近付けている相手を見る。
「一口どうぞ?」
「……あむ」
「ふふっ、どうですか?」
「……安らぐ味」
「ですよね。今度、私も作ってみようかな?」
「ハヤシを作るのって結構大変だと思うけど、どうなの?」
「お店みたいには出来ないかもですけど、やれない事ないですよ。学院でビーフストロガノフを作りましたし、セレナさんと協力すればしっかりしたの出来ると思います」
「じゃ、今度の休みはお料理教室?」
「シャトーのキッチン、貸してくださいね」
「了解。ファラ達に話はつけておくよ。セレナの方はお願い」
「分かりました。で、もう一口どうです?」
「もらってもいいのなら、是非」
未来からもう一度オムライスをもらい、ならばとこちらはハンバーグやチキンステーキをおすそ分け。その肉汁がガツンとくる味に二人して顔を綻ばせ、パンは何と軽く焼いてあったので、外はさっくり、中はふわふわで美味しかった。店長さん曰く、昔から贔屓にしているパン屋の物らしく、良ければ店の住所を教えてくれるとの事なので、ならと教えてもらい、今度行ってみる事に。
こうしてお腹も心も満足となり、未来を先に店の外へ出てもらって支払う事に。奥さんがレジをしてくれて、その金額に内心思ったよりも安いと感じながらお金を払う。
「ごちそう様でした」
「もし良かったらまた来てください」
「はい、今度は鉄板ナポリタンを食べに来ますよ」
「お待ちしてます。彼女さん、大切にね」
「……はい」
周囲からもそう見える事でより身が引き締まる。いずれ妻にするのだ。店を出ると未来が笑顔を向けてくれた。それだけで世界を相手に戦える気がする。笑みを返して腕を差しだすと、未来が小さく苦笑して腕を組んでくれた。
「何かいい事ありました?」
「ん。未来を大切にしなさいって言われた」
「……何て言ってました? 彼女ですか? 奥さんですか?」
「残念ながら前者。でも、俺からすれば両方とも同じ意味だよ」
「……絶対ですからね?」
頬を頬にすり寄せてくれる未来に、声ではなく優しく髪を撫でる事で返事とする。それに嬉しそうな声を漏らす未来にとても愛おしいものを感じ、俺も笑みを浮かべた。さて、ならこの雰囲気のままでホテルへと行きますか。きっと未来もそれを期待してるはずだ。でも、一応確認しておこう。
「未来、寮まで送らなくてもいい?」
「送って欲しいです。でも……」
「でも?」
そこで腕を離して少し小走りで前へ駆けて行く未来。そして、振り返ると悪戯っぽい笑みを浮かべてきた。
「朝が、いいな」
温かくて柔らかい二つの膨らみを優しく触る。それだけで腕の中の陽だまりがくすぐったそうに笑う。その音色が心地良くて可愛くて、何度も何度も聞きたくなってしまって、気付けば触るが揉むに変わり出した。すると、音色が変わる。心地良いものが心を盛り上げるものへ、可愛いから色気あるものへと。
「んっ……はぁ……んんっ、シキさぁん」
「未来、綺麗だよ。んっ」
「んぅ…………っはぁ、もっとキスしてください」
「いいよ」
「んっ……」
互いに生まれたままの姿で触れ合う。だけど、一番触れ合いたい場所はまだ離れている。だけど、ある意味では触れ合っているとも言えるだろう。未来の片手がそこを触っているのだ。だからこちらも片手を動かし、未来がそれを触れさせて欲しい場所へ当てた。濡れてる。そう理解した瞬間、未来の手に少しだけ力が入った。そして彼女の瞳が動く。
「……未来も、もう欲しい?」
「シキさんも、ですか?」
見つめ合う瞳と瞳。その中に情欲の炎が見えた気がした。何となくだけど、以前の時よりも激しく燃え盛っている気がする。それだけ未来の中で俺とのセックスの位置付けが変わったのだろう。なので返事代わりに未来の濡れた場所を少し弄ると、彼女も呼応するように手を動かした。
「ゴム、付けてみる?」
「……やってみます」
備え付けのゴムを渡すと、未来が受け取って中身を取り出す。初めて見るそれに未来は興味津々のようで、少しの間じっくり眺めた後、口元へ近付けて息を吹き込んだ。
「……えっと?」
「あ、その、こうした方がいいかなって。こっちが先端になるんですよね?」
「ああ、それは、うん」
精液だまりを掴んで問いかける未来へそう返す事しか出来ない。正直軽く熱気と勢いを失った。だけど、初めての事を頑張る未来は可愛いと思った。やっている事はコンドーム付けだけど。
「……はい、出来ました」
「ありがとう。で、一つ未来にお願いがあるんだけどいいかな?」
「何です?」
「実は……」
その内容を聞いていくにつれ、未来の表情が苦笑いに変わっていく。だけど嫌がる事はない。全てを聞き終えた未来は、そのままの顔でコンドームを外した。そしてそれを少し躊躇った後、口に咥えてもう一度装着させようとしてくれた。
そう、俺が頼んだのはそれ。口によるゴム装着。何せ避妊具を付けてやるのは響とのアナルセックス以外ではなかった。だから自分で付けるしかなかったんだが、今後未来や響達学生組は避妊する事になる。なら、やってもらおうと思ったのだ。若干の憧れでもあったし。
「……どう、ですか?」
「最高に嬉しいよ。じゃ、入れるな?」
「はい、来てください」
ベッドに横たわり、両手を広げて俺を待ってくれる未来。その濡れに濡れたマンコへチンポを擦り付ける。愛液を潤滑油代わりにして、ゆっくりと未来の中へ侵入していく。
「あ……はぁん……」
「どう? 違う?」
「はい、やっぱり今までよりもシキさんが遠いです」
「遠い、か。ゴム一枚の差なのにね」
「……早く大人になりたいなぁ」
色んな意味を込めた呟きに俺の中の雄が雄叫びを上げるけれど、同じぐらいの音量で男も叫ぶ。周囲に望まれて生まれるのが子供にとっては幸せなんだ。今、未来を母にするのは喜びじゃなく悲しみや怒りを呼ぶ。だから出来ないししたくない。
そう自分の中で答えを出し、未来の頬へ手を当てる。それだけで未来が微笑んでくれるのが余計その答えを後押ししてくれた。
「未来、響にも伝えるけど君に真っ先に伝えるよ。絶対許しを得てみせるから」
「……はい、信じてます」
そっと口付けする。心なしか未来がそれを望んでいた気がしたから。静かに顔を離すと、未来と目が合う。
「動くぞ」
無言で小さく頷く未来を愛おしく思いながら腰を動かし始めた。未来と手を繋ぎ合ってのセックス。何というか、ゴムを付けているからかいつも以上に愛し合っている感じが強い気がする。未来もそう思っているのかどこか嬉しそうだ。
「シキさん、私、私っ、今幸せですっ」
「未来……っ」
「だって、このもどかしさがシキさんの優しさで、覚悟で、想いなんだって、そう思えるから! だから嬉しいのぉ!」
「未来っ……未来ぅ!」
「ああっ! 今ぁ! 今奥に当たったぁ!」
ある意味で当然の事をしたら、それを好意的に解釈された。こんな事言われて感動しない訳がない。腰の動きも激しさを増す。未来と繋いでいる手にも互いに力を込め合う。それが求め合う証拠のように思え、余計行為への熱が高まっていく。
荒い息、飛び散る汗、時折重ねる唇。強く打ち付けるこちらの腰の動きに応じるような動きを返す未来の膣内。身も心も繋がり合い、絡める舌も放したくないと言っているようだ。俺も未来も初めての感覚だった。今まではどこかで子作りの可能性が脳裏に過ぎったのだが、今回はそれを完全排除したセックス。それは、やはり俺が変化した一つの証のようなものなのだろう。
本来であれば非常識と言われるかもしれないが、元々避妊せずしても妊娠が遠かった俺にとって、やはり避妊具というのはアナルセックス用の道具だったのだ。だけど、今後は当分使用する事になる。最低でも響達が成人するまで。最大で……二人との関係も含めた色々を認めてもらえるまでだろうなぁ。
「シキさんっ……シキさんっ!」
「ああっ! イキそうだ……っ!」
「出してぇ! 一番奥に当たるぐらい出してぇぇぇぇぇっ!」
「未来っ! 未来ぅぅぅぅっ!」
ゴムを突き破るぐらいに腰を突き出しながら未来とキスをする。当然舌を絡めて。しかも未来の全身が俺の体をしっかりと抱きしめてきた。射精をしながら未来と絡めた舌からも熱が引いて行く。でも、出し終えた後も舌を絡めてしばらく未来と繋がっていた。
「……未来、凄く気持ち良かった」
「私もです。今までで一番心があたたかくなったかも」
「そっか」
ゆっくりとチンポを引き抜く。久しぶりに見るゴムの中の精液。と、感じる視線。何だろうと思って目を動かすと未来がたっぷりと溜まった精液を物欲しそうに眺めていた。
「……飲む?」
「…………出来れば」
こうしてゴムの中の精液は未来の口へと流れて行く。それをうっとりした表情で飲み干す未来に何とも言えない色気を感じて、すぐに精液が充填される感覚が走った。
「ね、未来。ちょっと調子に乗ってもいいかな?」
「……何したいんですか?」
「えっと、知ってるかどうかわからないけど、妊娠確率を上げる方法があるんだ」
「あー、聞いた事はあります。奏さんやマリアさんが自分にも早くやって欲しいって言ってましたよ」
「……翼?」
「う~ん……多分切歌ちゃんだと。あるいはセレナさんかも」
言われて納得。何せセレナはマリア達に自慢すると言っていたし、切歌はうっかり話してしまいそうだ。翼は意外とこの手の話題からは逃げ腰だからなぁ。戦場の防人はエロ話では逃亡者である。
「そうなんだ。で、話を戻すけど、その方法をゴムありでしたいんだ。響とはそうやってしてただろ?」
「……お尻、ですか。その、大丈夫ですか?」
「切歌や翼、セレナと初めてでも挿入出来そうなぐらいになってくれたから。未来はそれよりも少し踏み込んだところへ行かせたいなって……ダメ?」
「え~っと…………」
迷うというか悩む未来を見て、どうしようかなと考え込む。無理強いはしたくないけど、響と並べてのアナルセックスという景色を早く見たいとも思うのだ。それに、響も未来とそうなるのを意外と喜びそうな気もするし。しばらく悩む未来を眺めていると、ポツリと小さな呟きが聞こえた。
「それって、気持ちいいんですよね?」
その問いかけの意味は確認だと分かった。あの響の蕩けきった表情。それを思い出しているのだと。
「じゃなきゃ響がすると思う?」
「……私も響と一緒にしちゃうんですよね」
「なっちゃうが正しいと思うよ。未来も今夜で前でも後ろでもチンポを欲しがる子に、ね」
「前でも……後ろでも……」
噛み締めるような未来へ近寄り、優しく抱き締める。すると、未来が抱き返してくるも、何故か片手は背中ではない場所へ。
「えっと、未来?」
「……お尻ならゴムなしでも妊娠しないですよね」
さらりと告げられたけれど、その声に込められた感情はとても淫靡なものだった。視線を未来へ向ければ、そこには淫魔のような笑みを浮かべる女性が一人。うん、やはり似た者同士なんだとそこで思った。響がアナルセックスしている時の表情に良く似てたから。
「しないよ。ただ、今日はゴム有りでしかしないから」
「どうしてですか?」
「えっと、生ですると未来が妊娠したいって強く迫るんだよ」
「……して欲しいな。それで、シキさんの気持ちを再確認したいです」
「チョップ」
「あう……」
軽く未来の頭に右手を当てる。ったく、油断すると一気にエロ化するんだな装者って。しかもそれがクリティカルだから性質が悪い。今も痛がる振りをしてるのが可愛いし。さて、じゃあ一応後始末などが楽なバスルームへ移動しよう。
「未来、お風呂に行くよ」
「……はい」
返事をしている未来だが、その顔はどこか期待に満ちている。そしてその視線は当然のように俺の下半身の一部へ。まぁ、反り返ってるからね。
「先に言っておくけど、今回は絶対ゴム有りでしかしないよ」
「分かってます。でも、今回はって事はいつか生でしてくれるんですよね?」
「……響と約束してるから、その時にかな」
「響と……」
どこかうっとり気味な未来を見て頭を掻く。これ、とんでもない事になりそうだ。だけど、嫌ではないのは言うまでもない。その証拠にチンポはその時を想像してギンギンに反り返っているのだから。
バスルームに入ると、未来はすぐにこちらへ目線を送ってきた。どうすればいいのかという事だろう。
「まずは軽い拡張から始めようか。俺がやっても自分でやってもいいけど、どうする?」
「……お願いします」
「分かった。じゃ、椅子にお腹を乗せてお尻をこっちに向けてくれる?」
「……こう、ですか?」
若干の恥じらいもあるけど、それよりも新しい快楽に対する期待と不安が入り混じっている。なので、これまでと同じで小指にボディーソープを塗って準備とした。
「じゃ、力を抜いて」
「はい……」
やはり不安の色が見える未来に俺はある事を思い出した。まずその恐怖や不安を緩和させようと思い、そっと未来のアナルへと顔を近付けてペロリと舐めた。
「ひゃんっ!? し、シキさん!?」
「嫌だった? 俺、未来のなら喜んで舐められるよ。嬉しいんだ。未来の初めてをもらえる事がさ」
「シキさん……」
響の初アナルの時を思い出して未来のアナルも舐めたのだが、本当に思ったよりも抵抗感が薄い。それが未来にも伝わったのか、若干の戸惑いはあるものの嫌悪感みたいなものは見えない事に安堵した。
「それで、嫌だったかな? それなら指を入れるけど」
「……お、お任せします」
顔を真っ赤にしながらそう返した未来を愛おしく思い、ならばとアナル舐めを続ける。ピチャピチャと音を立ててあげると、未来の尻に力が入るのが分かる。恥ずかしがっているのだ。だけど止めろと言わないのは、この行為から段々快感を覚えているのだろうな。なら、響の前に未来でやってみるか。そう思って舌をアナルの中へ入れてみようと思って、一旦顔を止めてしまう。
「……少しだけ抵抗感はあるな。でも……」
響や未来のためと自分に言い聞かせ、後はそれによって彼女達がどういう反応をするのか見てみたいと思って、意を決して未来のアナルの中へ舌をねじ込んでみた。
「ふわぁ……し、シキしゃん?」
未来から脱力した声が聞こえる。だけど返事を返すつもりはない。そのまま未来のアナルを広げようと舌を動かした。正直味は気にならない。何故だろうと思いながらも、未来から聞こえる力の抜けた可愛らしいエロ声のために一心不乱に舌を動かす。それに興奮し、俺はそのまましばらくアナル舐めを続けてしまった。
「……トロットロになったな。これなら指もすんなり入りそう」
「ぁ……ううんっ……はぁ……」
小指をゆっくり優しく動かすと未来から悩ましい声が出る。正直もう人差し指でも入りそうだ。なので優しく人差し指を入れてみた。思った通り抵抗感なく入る。ならばと中指も入れてみると、ちょっときついけど入っていくではないか。そのまま二本の指を使って徐々に拡張を進める事に。
「未来、どうだい?」
「ふぁい、気持ちいいですぅ……。こ、こりぇ、しゅきかもぉ……」
何となくだけど、もしかして響も未来も元々アナル好きだったのか? それぐらいこの二人はアナルへの適応力が高い。今も蕩けた顔で俺の指使いを受け入れている。なら、一回試してみるか。そう思ってゴムをチンポへ装着し、どこかだらしない顔の未来のアナルへあてがう。
「あっ、熱いのがお尻に当たってる……」
「そのまま力抜いておいてね」
「ふぁ~い」
「よっ……と」
「んふぅ! おっきなの入ってきたぁ……」
「おおっ、これは……」
響の時も思ったが、入れると締め付けが凄い。だけど、やはり響との初めて程のものはないな。熱も締め付けもそれこそ段違いだ。ま、あれは生だったのも大きいだろうけど。
「シキしゃぁん、動いてくれないんですかぁ?」
「う、動く?」
「ふぁ~い。もどかしいんですぅ」
「……じゃ、ゆっくり動くよ?」
ねっとりとした未来の腸内をチンポが制圧するように動く。響や了子、フィーネが弱かった抜く動き。それに未来も弱かったようだ。
「ふあぁぁぁぁぁ」
「……どう?」
「い、言えないです。今のは言えないぃぃぃ」
「そっか。えっと、排泄する時みたいでしょ?」
「っ!?」
そう、アナルからチンポを抜く時の感じは響や了子曰くそういう時の感覚と同じようなものらしい。しかも、本来であれば有り得ない太さのものを出すような。
「未来、恥ずかしがる事ないよ。だって、それが自然な感覚なんだから。ここは元々そういう場所だ。そこをこうして使っているのは、俺と未来が体の全部で愛し合いたいって思っているからだよ。それにここには俺達しかいない。だから、素直な感想を聞かせて欲しい。嫌な事や怖い事はしたくないからさ」
チンポを抜けきらない位置で止まる。未来はかなり迷っているようだが、何となく答えは分かる。だって、アナルの中へ残ってる部分を締め付ける感じが強くなる一方だからだ。
「……お、大きな……ぅんちしてるみたいなんです。それが、ゾクゾクっとするぐらい気持ちいいって、そう感じちゃって」
「もう怖くなった?」
「…………も、もっとして欲しいな……ってぇ」
「うんうん、何を?」
ちょっと意地悪をしてみる。が、こちらの予想に反して未来は……
「チンポでアナルをズボズボして欲しいですっ!」
はっきりとした声と共に強烈な締め付けがチンポを襲う。だけど、その瞬間もう一度奥までチンポを突き入れてみた。
「あはっ! 凄いよぉ……チンポぉ、しゅごいぃぃぃ」
「よっと」
未来の体を抱き上げ、背中をこちらへ預けさせる。そのまま湯船へ向かう。前もって張ってあった湯に浸かりながら、未来とのアナルセックスを楽しもうと思ったのだ。にしても、未来があれから静かなのが心配だな。
「未来? ちゃんと起きてる?」
「は、はい……」
良かった。と、そこで気付いた。声が普段のものに近くなっている事に。もしかして、落ち着いたのだろうか。そうなる理由に心当たりはないんだが……?
「そう。気分はどう?」
「変な感じは消えてないです。でも、嫌な感じはまったくないかな」
「そっか。じゃ……」
「んぁ……チンポぉ」
「うん、一突きで若干トリップするみたいだね」
「……みたいです」
恥ずかしそうに俯く未来だけど、悪いがここからが本番だ。未来の綺麗な胸を揉み始める。
「あっ、シキさん……」
「未来、ただアナルで繋がるだけじゃないよ。イチャイチャもするんだから。今夜は寝かさないつもりで、ね」
「……はい、お願いします」
その後は、未来の胸を愛撫しつつキスをして、合間合間でチンポでアナルを刺激するを繰り返した。最初こそ未来もどこか意識をアナルに取られがちだったが、段々不安や違和感を快楽が上回ったらしく、気付けば自分から尻を振ってアナルでの快感を貪り出していた。
背面座位で繋がっていた俺達だったが未来が向き合いたいと言い出し、ならば自分で体勢を変えてごらんと言うと迷う事なく体位を変えてきた。もうそこまでくれば普段のセックスと大差ない感じである。馴染んだアナルでのセックスを楽しみ出していた。
「んっ、シキさんもっとぉ」
「はいはい」
「ああっ! アナル好きぃ……」
「未来、響があの時言ってた言い方思い出せる? 思い出せたらそれで今の言葉表現して欲しいんだ」
「響の……?」
「うん、響の使っていたアナルの言い方」
そう言われた未来は上下運動を繰り返して湯船の湯を揺らしながら思案顔をする。だが、思ったよりも早い時間でそれが恥ずかしそうな顔になり、こちらの目を見つめてきた。
「思い出せた? それなら、一度でいいから言ってくれないかな?」
「……ケツマンコ好き。私、ケツマンコセックスも好きですっ!」
「っ! 未来っ!」
「ああんっ! チンポが跳ねたぁ!」
くそっ、響といい未来といい、素直でエロに従順とか反則だろ! 初めてのアナルでここまでよがってくれるとか素質が凄すぎるだろうがっ!
「エロ可愛いよ未来! 俺とアナルセックスした装者は未来が響に続いて二人目だっ!」
「二人目? 響の次なんですか?」
「そうだよ。響と未来しか装者じゃこのエッチは出来ないんだ」
「っ!?」
「おっ……うおっ!」
その言葉で未来の腸内が収縮する。強くてねっとりとしたそれに、俺は我慢出来ずに射精した。
「あっ、あたたかい……」
「はぁ……はぁ……っ、未来のケツマンコが気持ち良くしてくれたからだよ」
「……やっぱりまだ響みたいには言えそうにないかも」
「それでもいいよ。だって、アナルは言えるようになったんだろ?」
「んもうっ! そういうのは一々聞かないでください!」
怒り顔でこちらを睨む未来だけど、その本音はチンポへの締め付けが教えてくれる。なので反省して謝罪をし、ならばと一旦チンポを抜いてゴムを取り出す。湯を抜いて再度張り直すためにその場で待ちつつ、未来へシャワーで一応アナルを洗浄するのを薦めた。
そして未来がシャワーを浴びてる間に湯が抜けきったので、シャワーを借りて軽い掃除のように湯船を洗い流す。
「これでいいか。ありがとう未来」
「いーえ。じゃ、先にベッドで待ってます」
「ん。すぐ行くから」
栓をして再び湯を張ってバスルームを後にする。きっと後でまた使うからなぁ。体を拭いて部屋へ戻る。すると、そこにはゴムを咥えて股を開く未来の姿が。
「……未来、少し待って。ルームサービスで追加買うから」
こうして未来が気を失うまで俺は前と後ろを攻め立てた。翌朝、寮の前まで送った未来は最後に耳打ちをしてきた。
―――早めに二人のケツマンコ比べ、してくださいね?