※この作品はR-18です。

淫姫絶頂したいフォギア   作:拙作製造機

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ティキ、お目覚め。そして始まるシキのちょっと早い子育て苦労期。
それと、やはり最初にスープの事で疑問を抱くのは彼女なワケダ。


歯車が描くホロスコープはお預けです

「あなた誰? アダムはいないの? も~っ! ティキは早くアダムに会いたいのにぃ!」

 

 いきなりとんでもない程の元気さを見せつける一人の……少女と呼ぶか。その少女、ティキはサンジェルマンさんと共に現れ、こちらを見るなり凄まじい程の落胆を見せたかと思えば、次の瞬間には周囲を見回してアダムという名の人物を探しだした。

 

 アダムってあれだよな。キャロルが交渉したって言う、いけすかない男の事だろうか。

 

「すまないな。この子はティキと言って、オートスコアラーなんだが」

「スコアなんだ。言われて見れば、どことなくガリィやミカに似てるなぁ」

「ガリィ? ミカ? 何々? 現在(いま)はティキ以外にもオートスコアラーがいるの?」

 

 俺の挙げた名前に反応し、凄い勢いで迫ってくるティキ。何というか、ガリィのような百面相でミカのような素直さだ。

 

「いるよ。我が家の家事手伝いをしてる。ファラ、レイア、ガリィ、ミカの四人でね」

「四人もいるの? へぇ~、あなたも錬金術師なんだ」

「違うわ。彼ではなく、彼の家にそのオートスコアラーを作り出した錬金術師がいるの」

「そう。俺の娘でもあるんだけどね」

「ふ~ん、あなた父親なのね。その割には頼もしさとかまったく感じられないけど。アダムとは大違い」

 

 もう興味を失ったとばかりにティキはソファへと座った。その様子を眺め、俺は思った。女の子がある程度大きくなったらこんな感じかもしれないと。夢子も、いつかはこんな風になるんだろうか?

 願わくば、その時にはもう少し父さんに優しい子であって欲しいもんだ。そんな風に父親の気持ち全開でティキを見ていると感じる視線がある。振り向けばそこにはこちらを微妙な表情で見つめるサンジェルマンさん。

 

「何か?」

「……キャロルは貴方の娘になったの?」

「ああ、そうなんだよ。色々あって現代を生きていくにはその方が都合がいいってね」

「現代を……生きていく……」

「今のキャロルは、お父さんの分まで生きて色々な事を知って、幸せになる事が生きがいだから。復讐はもう捨てたんだよ。キャロルのパパが残した遺言は、世界を知りなさいだったらしい。だから、キャロルは様々な物や人に触れて世界を知ろうとしてる」

「それでは終わりなどないが?」

「それこそがキャロルのパパの願いだよ。自分を殺した人達への復讐なんかに囚われず、一生かけて学び続けて欲しいって事なんだろうさ。ただ、昔のキャロルにはそう伝わらなかったみたいだったけどね」

 

 言いながら思う。キャロルのパパは、死の間際まで娘のために言葉を残した。結果的にそれがキャロルの復讐を助長する事になったけれど、それでも恨みや悲しみではなく先へ繋ぐ言葉を残したのは凄い。

 俺なら出来るだろうかと考えて、出来る出来ないじゃなくやらないといけないと答えを出す。仮にサンジェルマンさん達に殺される事になろうと、せめてキャロル達が復讐心に囚われないようにしないとキャロルのパパさんに申し訳が立たないしな。

 

 ……出来ればない事を願う仮定だけども。

 

 サンジェルマンさんはこちらの言葉を聞いて何かを思い出したのか、若干遠い目をした。でもすぐにそれを消して息を吐くとこちらへ視線を戻す。一体何が彼女の中で引っかかったのだろうか? 雰囲気的には、家族絡みの話をしていると、しかも父親が絡むとだろうけど。

 

「とにかく、今は血液を採取させてもらうわ」

「いいよ。で、一つ聞きたいんだけどいいかな?」

「何?」

「カリオストロとプレラーティは外出中?」

「ええ。彼らの動きを監視中」

 

 そう返してサンジェルマンさんは道具を取りに部屋を出て行った。彼らの動き、か。みんな、特にキャロルとエルが心配だ。何せ俺がこうして囚われるのは彼女達の時にもあった。そこで分かってしまうんだろう。かつての了子達の気持ちを。それが嬉しくもあり悔しくもあるのが複雑なところだけど。

 

 さて、残されたのは俺とティキ。とりあえずどうしたものかと思いながらティキの様子を探った。

 

 やる事がないのか、はたまたアダムとやら以外を相手にする気がないのか。ティキはただベッドに横たわっているのみだ。帰った時に何が役に立つか分からないし、少しでも情報を得ておこう。

 

「ティキ、少しいいかい?」

「何? ティキは今、アダムの事を考えてて忙しいんだけど」

 

 中々凄い言葉を返された。

 

「そのアダムって人の事、教えてくれないかな?」

「アダムの事を知りたいなんて、あなた、中々見どころがあるのね! いいわっ! ティキが教えてあげるっ!」

 

 そこから始まる大惚気話。正直振った事を後悔するレベルだった。何せティキの話は、サンジェルマンさんが採血している最中も、何とみんなの動向を探りに行ってた二人が戻ってきても続いたのだ。

 俺はその間、相槌を打つ事もなくティキの話に付き合った。そのせいでアダムという人物の情報が入って―――こなかった。いや、だって正直性格とか能力とかの情報らしいものはなかったもんだから。

 

 伝わったのは、ティキが本当にアダムが好きなんだって事。しかもちょっと病的なぐらい。まぁ、恋に恋する乙女と思えばアリ、なんだろうか?

 

「ティキ、悪いけどそろそろ休ませてくれないかな? 俺、食事しないといけないから」

「もうっ! ここからがいいところなのに……」

「ごめんな。お詫びになるか分からないけど、俺で良かったらティキの相談に乗るよ。アダムって人も男だろ? なら、俺の意見はアダムに喜んでもらえる参考になるかもしれない」

「う~ん……あなたとアダムじゃ違い過ぎて無理だと思うけど、参考ってぐらいならアリかもね。じゃ、それで許してあげる」

「ありがとう」

 

 こうして俺がティキの話から解放されたのは昼時を軽く過ぎた辺りだった。俺の昼食だろう物を運んできてくれたカリオストロがどこか呆れた顔をしている。

 

「あんた、割とタフね。ティキ相手に局長の話をさせて長時間聞き続けるとかあーしなら無理」

「それほどでも。それと食事ありがとう」

「どーいたしまして。ああ、それと向こうは一応あんたの捜索をしてたわ」

「そっか。まぁ、せめて何らかの痕跡でもってとこじゃないかな?」

「……自分の事なのに随分他人事なのね」

 

 やや意外そうな声でカリオストロが告げた言葉に俺はジト目を返す。

 

「そうでも思わなきゃやってられないからだよ。ここで俺が感情的になっても良い事はないだろ?」

「ま、そうねぇ。こっちとしても暴れられるよりはマシだし。あっ、これ食事よん」

「どうも」

 

 差し出されたのは、ミックスサンドイッチとトマトサラダに野菜スープ、それと牛乳。多分栄養を考えてくれているんだと思う。

 

「何と言うか、思ってたよりもちゃんとしてるんだな」

「何よ? まさかパンと水だけとか思ってた?」

「近いかもとは」

「冗談。あんたの気持ちでスープの効力が決まるのにそんな事する訳ないじゃない。ま、例えそうじゃないとしても食事とかは最低限配慮してあげたわよ。食べられないのが、人間一番堪えるもの、ね」

 

 実感のこもった声に俺は思わず食事の手を止めた。もしかして、彼女は飢えた経験があるのだろうか。

 

「カリオストロ、君は長く食べ物に困った経験が?」

「あるわよ。もっと言えば、あーしよりもサンジェルマンの方がそういうのは多いみたい。詳しい話は知らないけど、彼女、随分と長生きしてるみたいだし」

「長生き?」

 

 見た目からは二十代後半かと思ってたんだが、キャロルと同じで錬金術の応用で見た目と実年齢が違うのか。意外な印象を受けつつ、ならば目の前の相手もそうかと思ってカリオストロへ視線を向ける。

 

「あーしはサンジェルマンほどじゃないにせよ、まぁ、見た目通りの女って訳じゃないわ」

「は~……錬金術って大したもんだね。あまり詳しくなかったけど、不老不死に近い事が可能なんだ」

「どうやらキャロルはあまりあんたに錬金術関連の話をしてないみたいね。それともあんたの方が興味ないのかしら?」

「あ~……おそらくだけど、俺が聞いても理解出来ないだろうってとこじゃないかな?」

 

 言ってて情けないが、キャロルの事だ、それぐらい俺に対して割り切っている部分はあるだろう。俺の返答を聞いたカリオストロは少しだけ笑みを浮かべるも、すぐに息を吐いて背を向けた。

 

「そ。あーしはおそらくあんたを錬金術に関わらせたくないと思ったって線を推してあげる」

「ああ、そういう考えもありか。ありがと、カリオストロのおかげでまたキャロルと話したい事が増えた」

「それ程でも。じゃ、あーしはこれで。ばいばーい」

 

 ひらひらと手を振りながら部屋を出て行くカリオストロ。何というか、悪人ではないんだよな。サンジェルマンさんもプレラーティもそうだ。悪事をやっていると自覚はあるだろうけど、悪人とは言い切れない部分がある。

 まるでフロンティアの頃のマリア達だ。そう思うと自分の中ですんなりと納得出来た。彼女達も、正義のために悪を貫こうとしているのだろうと。

 

 そう考えると、途端に気が重くなってきた。キャロル達の時もそうだったけど、サンジェルマンさん達もみんなと戦わせたくない。その主義主張はぶつかるかもしれないけど、根底で願っているものは同じなのだ。

 

 平和。あるいは、誰かが理不尽や不条理に涙しないでいい世界、だろうか。まぁ、だからといって犠牲を最初から肯定するのはダメなんだけど。

 

「綺麗事だけじゃ、世界は変えられない。だけど、それで変えようとしないと意味がない」

 

 その信念を持ってフィーネやウェルの行動を止めてきたのが響達だ。綺麗事を貫こうとするその在り方は、きっと周囲には甘いとかぬるいとか言われるんだろう。でも、それを弱さと言うのは間違っている。

 本当の強さを、俺はこれまで見せてもらってきた。そして信念を貫く事もまたそれだと言う事も。だから今回こそ貫こう。あの頃はまだガキを抜け切れていなかった。今は、一応大人の端くれぐらいにはなれたと、思うから。

 

 そんな事を思いながら食事を終え、俺はどうしたものかと腕を組んだ。する事がないに等しいのもあるが、何もしないでいる事が嫌だった。

 

 キャロル達の時も結果的とはいえ、俺が動いた事で事態が良い方向へ転がった部分はあったから。

 

 

 

 さて、シキがティキとの邂逅を果たしていた頃、戦いの疲れを睡眠で癒して目覚めた響達は、食堂へ一向に姿を見せない彼に揃って首を傾げていた。

 

「シキさん、もうご飯食べちゃったのかな?」

「かもしれないね。夢子ちゃんも了子さんと一緒に外に出てるみたいだし、三人で散歩かも」

「親子三人で、ねぇ。いいもんだけど、やっぱちょっと思うとこはあるよな」

「奏はまだいい。その気になれば、いつでも似た立ち位置にいける」

「そうよ。私や翼は簡単にはいかないんだから」

 

 他の職員達がいないからこそ出来る会話である。というのも、彼女達には知らされていないが、この時手の空いている者達はシキの捜索へ当たっていたためだ。

 厳密には、どこかに何か手がかりになるものがないかを探している。キャロル達がいないのは、錬金術の痕跡を見つけた場合に備えて二手に分かれて職員達と同行しているためだった。

 

「にしてもよ。やけに静か過ぎやしねーか?」

「デスね。食堂も最低限デス」

「錬金術師の事があるけど、もう作戦行動自体は終わったはずなのに……」

「何か問題でも起きたのかな?」

 

 未来の言葉に全員が考え込むも、当然浮かぶはずもない。何せ錬金術師が襲撃してきたのなら、自分達へ召集がないはずはないからである。

 

「ま、今はとにかく食べちまおう。本当に何かあって食べられなくなったら厄介だしね」

 

 奏の言葉に誰もが同意し、それぞれ目の前の食事を食べ始めた。

 

 その頃、了子とは言えば夢子を抱えて海を眺めていた。

 

「おーあっ」

「そう。ここで父さんと引き離されたのね」

「あー」

 

 夢子のシキを呼ぶ声に、了子は切なそうな表情を浮かべてそっと夢子の頭を撫でる。その温もりに笑みを返し、夢子はその手を了子へと伸ばす。

 彼女達のいる位置こそ、前夜にシキがカリオストロとプレラーティに声をかけられた場所であった。

 

「目の前は海。後ろには二人の錬金術師、か。たしかにあの人じゃ逃げられないわね」

「う? あーあっ」

「そうよぉ。母さんなら……母さんなら、何とか出来たでしょうね」

 

 そう返して了子は顔を上げて空を見た。そこには見事な青空が広がっている。なのに、了子の心は大荒れに荒れていた。台風かと思うぐらいの荒れ模様だ。

 

(本当に駄目ね。一晩経てば落ち着くかと思ったけど、思いの外今のあの人に甘えてたんだわ)

 

 夢子を産んで、了子の中でシキの存在感は増していた。父親として、夫として、少しでも立派になろう、強くあろうとしていたシキは、仕事人間な了子にとって愛する夢子を預けられる大事な存在となっていたのだ。

 

 以前よりも頼もしさを増してきた事もあり、了子としては知らず精神的に頼っていた部分があった。彼女の付けた名の通り、あの家でシキは要となっていたからだ。

 

「夢子、母さん弱くなったわ。知らない間に父さんに寄り掛かってたみたい」

「う?」

「今もね、このまま父さんを取り戻せなかったらって考えちゃうの。相手の錬金術師は三人。だけど、その後ろには大きな組織と得体のしれない存在や、数多くの錬金術師もいる。それを相手に本当に勝てるのかなってね」

 

 少しだけ了子の夢子を抱く力が強くなる。それに気付いてか、夢子は了子を見上げた。

 

「あ~あ、昔はこんな事なかったのに。やっぱり、母親になって心境の変化でも始まったのかしらね?」

「だと思いますよ」

 

 返ってくるはずのない言葉に了子が驚いて振り返ると、そこには微笑むナスターシャがいた。

 

「マム……」

「了子さんも私も、シキさんと深く関わるようになって変化が始まったと思います。それがより顕著となったのが夢子の誕生でしょうか。いえ、あるいはキャロルとエルかもしれません。子を、孫を得て、私達は仕事しかなかった視野が家族にも広がったのです」

「家族にも……」

 

 言われて思い当る節があるのか、了子は噛み締めるように呟いて目を閉じる。そう、キャロルとエルがシキの養子となり、了子がシャトーへ引っ越してきた事もあってか、二人は了子を母のように慕うのが早かった。

 

 母さんと、そう呼ばれる度にどこかくすぐったく、また嬉しく思いながら了子は二人と接していた。それがあればこそ、夢子が生まれた後すぐに自分を母さんと言えたのだから。

 

「不思議なものです。シキさんは、強い力がある訳でも、また話術や交渉に優れている訳でもありません。それでも、気付けば誰かが頼りにしています。彼の言葉には嘘がありませんし、誤魔化しは伝わり、ハッタリも見抜けます。なのに、そこに信念や覚悟が入ると分からなくなりますが」

「……そうなんですよね。彼、子供みたいなとこがあるのに、たまに大人らしくなる時もあって」

「ええ。きっと、良い意味で大人になり切れていないのでしょう。それでも最近は、大人であろうとしているようですが」

 

 了子の隣へ立ち、ナスターシャは嬉しそうに笑みを浮かべる。まるで、今の二人はさながら本当の嫁姑のようだった。

 

「マムは、不安じゃありません?」

「ないと言えば嘘になります。ですが、どこかでこうも思うのです。シキさんなら、また何とかしてしまうのではないかと」

 

 そう言い切るナスターシャは、笑っていた。たしかにこれまで戦いでは響達装者が何とかしてきた。だが、それ以外では、特に日常などではシキが事態を何とかしている部分がある。

 

 キャロルの時はそれが顕著に出たと言えた。あれは、シキだからこそ得られた結末だと誰もが分かっているのだ。

 

「相手の錬金術師は、支配の軛から人類を解放すると言いました。ならば、シキさんを簡単に殺しはしないでしょう。そして、それだけの崇高な理念を掲げた相手なら」

「あの人と会話しないはずはない」

「願わくば、それでキャロルのように心情へ波紋を起こしてくれると良いのですが……」

「あら? 波紋ではなく津波かもしれませんよ? あの錬金術師達、見事に美人揃いでしたし」

 

 そこでナスターシャは気付く。了子の雰囲気が普段と同じになったと。

 

「……かもしれません。まぁ、その場合は全員でお説教といきましょう」

「ええ。家族総出で」

 

 顔を見合わせて笑みを向け合う了子とナスターシャ。それに夢子も嬉しそうに笑う。

 

 一方、食事を終えた響達は弦十郎からシキの事を告げられていた。

 

「っ!? シキが、あいつらに……」

「夢子君の安全と引き換えに無抵抗で投降したようだ」

「夢子の……そうね。キャロルの時のような行動は夢子がいる以上無理だわ」

 

 拳を握るマリア。奏も同じように拳を握りしめている。分かっているのだ。例え夢子がいなかったとしても、シキだけで錬金術師を相手に逃げる事は不可能だったと。

 

「またなんデスか? またシキさんがさらわれたデスか!」

「切ちゃん……」

「それで、相手はやはり?」

「ああ、おそらく彼の能力が狙いだろう。お前達の力を実際に体験し、その強さの根底にある要君の関与に気付いたんだ」

 

 翼は神妙な面持ちで頷き、そっと切歌の肩へ手を置いた。反射的に顔を翼へ向ける切歌。調も翼へ視線を向けている。

 

「案ずるな、切歌。相手の狙いがシキさんの能力なら、確実に殺す事は出来ない。危害を加える事や苦痛を伴う事もだ。それに、今のあの人は父でもある。キャロルの時よりも上手く切り抜けるかもしれない」

「翼さん……」

「そうだよ切歌ちゃん! 今のシキさん、立派なお父さんだもん。夢子ちゃんやキャロルちゃんにエルちゃんのためにも、絶対無事に帰ってきてやるって思ってるよっ!」

 

 響の力強い言葉に誰しもが頷いた。何せ夢子のためにと捕まったシキだ。その在り方はかつての頃とは違っているのは明白である。

 

 故に全員が信じていたのだ。シキが以前よりも強い意志で生還を目指す事を。

 

「ま、とにかくだ。今のあたしらに出来る事はあいつの事を信じて、また出てくるだろう錬金術師へお礼代わりの一発をぶちかましてやるぐらいだな」

「出来れば、その時にシキさんの事を聞き出したいね」

 

 クリスの決意表明に苦笑しつつ未来はそう続けた。無事だと思うが現状どうなっているのか。それが少しでも知りたい。それは、シキが大事な相手だからこその想いである。

 

「一先ず、今は何があってもいいように待機していてくれ。何かあれば、すぐに知らせる」

 

 その弦十郎の言葉に力強く返事を返し、装者達は発令所を後にした。その心に、小さくない闘志の炎を灯して。

 

 

 

「結局有力な手掛かりは得られなかった」

「すみません」

 

 時刻は正午となり、発令所にキャロル達の姿があった。錬金術師として参加した捜索活動だったが、案の定痕跡らしいものを見つける事は出来ず、キャロルは忸怩たる思いを抱いて、エルは自身のふがいなさを悔やんで、それぞれ帰還したのだ。

 

「いや、気にしないでくれ。そもそもは、観察しているだろう相手から要君へ伝わる事を期待してのポーズのようなものに近い」

「それでも、僕らは何かを得たかったんです」

「ああ。せめて何か一つだけでもとな」

「エルフナイン君、キャロル君……」

 

 弦十郎は目の前の二人が錬金術師ではなく要シキの娘としていると察して驚いていた。基本的に二人は公私の切り替えが出来る者達だ。

 それが、発令所での報告という状況で私人としての立場を取っている事。それが彼には驚きであり、また同時に喜びにもなった。

 

「そうか。そうだったな。今の要君は君達の父親だった。その安否が気にかかり、その足取りが掴める可能性をと思うのは当然だった。すまん。俺の思慮が足りなかったな」

「い、いえっ! 僕らも司令の考えは分かっています」

「それでもこうやって口に出しておかないと、中々どうして心が軽くなってくれん。とっくに頭では切り替えてるつもりなんだがな」

 

 帽子のつばを触りながら、キャロルは息を吐いた。フィーネとの約束通り、寝て起きた彼女達は、何とか冷静さを取り戻していたが、それもほんの僅かであったのだ。

 

―――父さん……。

―――エル、今は食事に行こう。食べられる時に食べなければ、いざと言う時に困る。

 

 普段であれば、朝早くに目を覚ました場合、エルやキャロルはシキの部屋へ行き、もう一度仮眠を取るのが常であった。

 目覚ましをかける必要もなく、シキの仕掛けているそれで共に目覚めるからだ。今朝も当然そうしようと思って、そこで思い出してしまったのだ。今、シキは居ない事を。

 

 そうして食堂で早い朝食をスコア達と共に取って、捜索活動への参加を弦十郎から打診されたという訳だった。

 

「マスター、今は待つしかないですよぉ」

「ええ。きっとシキさんもそうしています」

「シャトーでもそうだったし、シキはああ見えて神経図太いゾ」

「そうね。地味に楽しんでいるかもしれない。実際、シャトーではそうだった」

 

 空気が良くない方向へ流れていると察し、ガリィ達がそれを変えるように口を開く。朔也やあおいもそんな彼女達に追随する。

 

「かもな。何せ相手は美人揃いだ」

「要君なら、それだけでも高待遇と言いそうね」

「お前達まで……」

「エル、キャロル、シキなら大丈夫だって。あいつは悪運強いからさ。今回だってそれで乗り切るって」

「それに、今はお父さんになったんだもの。可愛い娘を泣かせる事はしないはずよ」

「藤尭さん、友里さん……」

「そう、だな。父さんなら夢子を泣かせる事はしないはずだ」

 

 そこでやっと二人に笑みが戻ったのを見て、周囲が安堵の息を吐く。

 それに気付いてキャロルとエルは視線を向け合って微笑み合う。今の自分達を心配してくれる温かい人達が、ここにもいるとそう感じて。

 

 

 

「少しいいか? 少々聞きたい事があるワケダ」

 

 ない頭で色々考えていると、突然後ろから声をかけられた。振り向けば、そこには眼鏡の美少女。

 

「プレラーティか。何か用?」

「ああ、スープの件だ。確認なワケダが、あれで装者達はギアを強化していたワケダ」

「それが?」

 

 俺がそう返した瞬間、プレラーティの目が光った気がした。

 

「年端もいかぬ小娘共がお前の生き血を好んで啜るとは思えないワケダ。しかも、それでギアが恐ろしいまでに強化される量や頻度でなど余計に」

 

 俺を見据えて告げられた内容に、返す言葉がなかった。あの時は何とか誤魔化そうと思っての行動だったけど、言われてみればあれでギアを強化するのはそういう事だった。

 不味いと思ったが、ここで打てる手は二つだと思う。一つは誤魔化す事。ただし、これは疑いを抱いたプレラーティを納得させるだけの機転が必要。この時点で俺には無理な気がする。

 

 ならば、残る一つだ。そう、真実を告げる事。

 

「は~……分かった。ただ、話してもいいけど条件というか面倒事があるんだよ」

「言ってみるワケダ」

「血液でも実証したように、俺の能力は気持ちに効果が大きく作用する。みんなのギアを強化していた方は、少々生成の仕方が厄介なんだ。俺だけでやるよりも女性の手助けがあった方が上手くいく」

「要は私に手伝えと言うワケダ。構わないワケダ。それで、どうすればいい?」

「ここだとちょっと。バスルームの方が都合がいいんだけどいいか?」

 

 こちらの問いかけに頷いてプレラーティが歩き出す。俺もその後に続くように歩き出して、バスルーム前の脱衣所へ到着。

 

「それで、何故水場がいいワケダ?」

「えっと、みんなのギアを強くしてたのは、俺の精液だからだよ」

 

 さらっと真実を告げると、プレラーティは一瞬呆気にとられた後で何故かこちらを睨んでくる。

 

「まさかお前、私にいかがわしい事をしたいから嘘を」

「あのさ、もし仮にそうだとしたら、俺は可愛い娘や愛する奥さん達なんかに申し訳が立たないんだけど。後、さっきのそちらの言葉を流用させてもらうなら、年端もいかぬ少女達が、好意を持っている相手の生き血を啜るのと精液啜るのならどっちがマシだと思う?」

 

 とんでもない表現をしていると自覚はあるけど、実際みんなが好き好んでしていたのは精液啜りである。しかも、啜りと言うか、どちらかと言えば搾りレベルな子だっていた。

 

 プレラーティはこちらの言葉で若干驚いていたようだが、それでもすぐに息を吐いて頷く。

 

「たしかにそれなら後者なワケダ。だが、まだ完全に信じたワケではないワケダ」

「いいよ。じゃあ、もし違ってたのなら死ぬ寸前まで血を抜いてくれていい」

「…………ハッタリだとしてもお前は中々胆が据わっているようだ。いいだろう。それに免じて一度だけ射精を手伝ってやるワケダ」

 

 こうして俺は裸となり、プレラーティは何故か感嘆の息を吐いた。何だろうか。特にそんな反応をもらえる要素はないと思うんだけど。

 

「どうかした?」

「いや、気にするな。ちょっとした驚きなワケダ」

「はぁ」

 

 さすがは錬金術師とでも言えばいいのか。プレラーティはこちらの裸に動じる事なく話をしてきた。この辺り、きっと人生経験の差なんだろう。見た目は美少女でも、実際はおばあちゃんだったりするのかもしれない。

 

 そう考えると納得してしまう自分がいた。で、何故かバスルームへ入るとプレラーティが入ってこない。何かあったのだろうかと思って浴室で待つ事数分、ドアが再び開いてプレラーティが姿を見せた。

 

「待たせたワケダ」

 

 しかも裸で。うん、胸は調よりもぺたんこでマンコはツルツル……じゃない!

 

「ど、どうして脱いだの?」

「この方がより興奮させられると踏んだワケダ。実際、お前の性器は正直なワケダ」

 

 指摘された通り、俺のチンポは臨戦態勢となっていた。何というか、今日ほど自分の生殖本能を恨めしく思った事はない。心と体は別物という言葉を嫌って程痛感させられる。

 

「それで、手で十分か?」

「あ、うん。とりあえずそれで十分だよ。要は俺がプレラーティの事ばかり考えて射精すればいいんだ」

「……成程。であれば、血液の場合も似たような事を考えているワケダ」

「まあそんなとこ」

 

 こちらへ接近しながらプレラーティは躊躇いもなくチンポを思ったよりも優しく握ってきた。そのまま扱き始めると同時にこちらへ上目を向けてくる。

 

「これでいいか? 私の事を考えて射精するには十分だと思うワケダ」

「えっと……何でそんなに手慣れてるの?」

「聞きたいのか? 聞いたら萎える可能性があるワケダ」

 

 そう言われると逆に聞きたい。萎えるって事は……経験人数が凄いとか、あるいはとんでもなく悲惨な性体験をしたとかだろうか? どちらにせよ、それで萎えるような事はない……と思う。

 

「そんな事ないよ。というか、むしろそれが気になって効果に作用するかもしれない」

「むっ、そう言われると困るワケダ。いいだろう。実は……」

 

 そこで語られたのは衝撃の内容だった。プレラーティは元々男性で、カリオストロも同様らしい。二人はサンジェルマンさんと出会い、その結果として錬金術で完全なる体にしてもらったそう。

 それが女性というのは中々驚きだけど、考えてみれば子を宿し産めるのは女性だけだ。出産と同じ痛みを男性に与えると死ぬって聞いた事があるし、たしかに完全体と言えるのかもしれないな。

 

「というワケダ。というか、何故この話を聞いて余計勃起させているワケダ!?」

「あっ、いや、何というか今のプレラーティは女でありながら男の事を理解してるんだなぁと思うと、何だが変な気分にね」

「……下半身で物を考える辺り、かつての私よりもお前の方が男らしいのかもしれないワケダ」

「そうだね。そこは否定しないし出来ないよ」

 

 実際それで俺は装者ハーレムなんて目指した訳だし。それに、そんな事を言いながらもプレラーティは手コキを止めないでいる辺りが凄い。

 

 そのまましばらく会話はなかった。ただ、俺は気付いている。手コキをしているプレラーティが、少しずつ息を荒くしているのを。おそらく我慢汁の匂いによる媚薬効果だ。

 心なしか片手が何度かマンコを触ろうとして止めるを繰り返しているようにも見えるし、俺の想像以上に我慢汁の媚薬効果は高いのかもしれない。

 

 思い返してみれば、未来が目隠しで舐めた時に執拗に味わってたもんなぁ。つまり、それだけスープに近いって事だろう。なら、おそらくだけど、女性の体で自慰をした経験の少ないもしくはないプレラーティは……

 

「はぁ……っ……はぁ……っ何だこの匂いは……体が、火照る……」

 

 小さく呟かれた言葉は、まさしくプレラーティが発情してきているのを教えてくれた。昔だったら、ここでセックスへ持ち込んだのかもしれないが、今の俺にはそんな行動は取れない。

 父親になるって凄いよなぁ。あれだけスケベな俺が、こんな美少女(元男で年齢不詳)の全裸で発情している様を見てもその気にならないなんて。

 

「くっ……プレラーティ、もっと早くしてくれ。そろそろ出そうだから」

「早くだな? 了解したワケダ」

 

 気付けばプレラーティの顔がチンポの近くにある。おそらくだけど、無意識に匂いを嗅いでいたんだろう。しかも、今など激しく扱いているせいで顔に我慢汁が飛んでいる。それでも、一切気にもせずにプレラーティは手コキを続けていた。

 

 あ、今口元付近に飛んだの舐めた。で、軽く身震いしたぞ。あれ? もしかして、これって昔の翼と似た状況……?

 

「っ!? やばい……もう……っ!」

 

 不意に思い出した思い出とプレラーティが重なり、思いの外可愛く思えてしまって射精感が込み上げてきた。俺の言葉にプレラーティがここぞとばかりに扱き上げ、俺は我慢する事もなく快感に身を委ねた。

 

「出る……っ!」

 

 が、ここで忘れていた事があった。今、チンポの前にはプレラーティがいる訳で……

 

「ああっ! あ、熱い……そして、何という良い匂いなワケダ……」

 

 眼鏡に思いっきりぶっかけてしまいました。その光景のエロい事エロい事。何気に俺も初めてかもしれない。

 眼鏡に顔射って、みんなの中じゃ了子ぐらいしか眼鏡してないし、エッチの最中は外してるもんなぁ。

 

「ふぅ……プレラーティ、それを舐めて嫌な感想が浮かばなければ成功だよ」

「ペロッ……っ!? こ、こんなはずは……だが……はぁんっ!」

 

 俺の声で反射的に精液を舐め取るプレラーティ。どうやら大丈夫だったようで、驚きに目を見開き、その直後に軽くイったようだ。

 

「分かってもらえた? 俺の言っている事、嘘じゃないって」

「ジュルッ……よく分かったワケダ。これが、本当の生命のスープ……」

「えっと、眼鏡、シャワーで洗い流そうか? 凄い事になってるけど」

 

 三日程出してなかったせいか、久しぶりに見るぐらい固形化してる。だけど、俺の申し出にプレラーティは無言で手を出して止めるような動きを見せた。

 

「必要ないワケダ。これは、大事なサンプルで」

「あ、うん。それは分かるんだけどさ。男が一度出しただけで打ち止めになるかはそっちも良く知ってるんじゃない?」

 

 バスルームに沈黙が流れる。いや、一つだけ聞こえる音があった。プレラーティが精液を啜る音である。

 つまり、今の彼女はいつぞやの翼と同じなのだと思われる。初めて嗅ぐ生命のスープの匂いと味に魅了されているのだ。

 

「で、どうする? プレラーティさえよければもう一度出すけど」

「…………なら、頼むワケダ」

 

 そう言ってプレラーティは眼鏡を慎重に外すと、そこに付着していた精液を全て舐め取り始める。

 

「はぁぁぁぁ……何という濃厚な味だ。こんな物が世の中に存在するとは、信じられないワケダぁ」

 

 うん、完全にいつかの翼状態ですね。そう思って俺は静かにシャワーを浴びる。後ろから聞こえるプレラーティが喜ぶような声。それでふと思った。もしかすると、今の俺のスープって以前よりも濃度が増してるかもしれないって。

 

 いつか了子が言っていた事があるのだ。俺の能力の決め手がその気持ちなら、それが強くなればなる程効果も味も良くなっていくはずだと。

 で、今回はただのスケベ心だけじゃない。そこには、愛する家族と再会したいとの想いも込められてる、はずだ。なら、その分スープにも影響があってもおかしくない。

 

「……試してみるか」

 

 多分みんなじゃ俺のそれを感じるのは難しいと思う。何せ常に味わっているから味の変化が劇的でない限り気付けない。なので、それが一番実感出来るだろうプレラーティにお願いしようと思う。

 

「プレラーティ、ちょっと聞いて欲しい事があるんだけどいいかな?」

「ズズッ……何だ?」

 

 今、この子、思いっきり眼鏡に付着してた精液啜ってましたけど、いいんだろうか? というか、これ完全に夢中じゃない?

 

「ええっと、今体験してもらった通り、こっちのスープは血液よりも効果が高くてね。体の調子とかも良くするんだ」

「……たしかに体の調子がいいワケダ」

 

 今気付いたのかよっ!? ……どんだけ夢中で味わってたんだか。まぁいいか。その方が話をし易い。

 

「で、もっとその効果を高くする方法があって」

「どうすればいいワケダ?」

 

 食い付きが早い。後、今気付いたけど、プレラーティの目に力が無い。蕩けてるような、惚けているような、そんな感じがする。

 

「抵抗あるだろうけど、フェラチオって分かる? 要は」

「成程、直接口で摂取する事で効果を上げるワケダ」

「へ? あ、うん」

「なら早速……あむっ」

 

 こちらの言葉を聞いて緩んだ表情のままチンポへ接近し、そのまま可愛い口で咥えてくるプレラーティ。何というか、こちらがスケベ全開の頃よりも展開が早すぎて怖いぐらいだ。

 とにかく、今は思った以上に丁寧なフェラをしてくれるプレラーティの頭を撫でる事にする。元男と言われても、俺は今のプレラーティしか知らないから嫌悪感とかないよなぁ。

 

 それに、見た目は美少女然としている。調と並んだらそういうのが好きな人には堪らない絵面になりそう。というか、きっとなる。二人揃って眼鏡をかけさせて、ゴスロリ辺りを着させて……

 

「っぷは……味が良くなってきた気がするワケダ。これが、提案の理由なワケダ」

「う、うん。そんなとこ」

「なら、これでもらうスープはどれ程なのか……俄然興味が出てきたワケダぁ」

 

 トロンとした表情でそう言って、プレラーティは再びチンポを咥え込む。うん、やっぱり元男だからか感じる事や喜ぶ事を感覚的に知ってるみたいだ。

 今も丹念に裏筋を舐め上げてくるし、カリ首の回りを執拗に舐め回してもくる。というか、これってやっぱりプレラーティが昔して欲しかったフェラなのだろうか?

 もしそうなら、若干複雑な気持ちだ。でも、快楽を得てしまう辺りが男の悲しい性である。

 

 そうやってプレラーティは、ずっとチンポをしゃぶりながら上目を続け、こちらが頭を撫でると嬉しそうに目を細めてくれる。て、うん? 撫でられると嬉しそうになる?

 

「プレラーティ、可愛いよ」

「ふむぅ?」

「言われて嬉しいかは知らないけど、心からそう思う。今の君は、とても可愛くて魅力的だ」

「…………ジュルッ、馬鹿な事を言ってないでさっさと出せ」

 

 吐き捨てるようにそう告げるプレラーティだけど、その頬が若干赤くなってました。もしかして、今のってつけたのが好印象だったのかね?

 

 その後もプレラーティはフェラを続けてくれた。俺が頭を撫でるのも、くすぐったそうな感じではあったけど止めろとは言わなかったし、多分嫌ではなかったのだと思う。

 そして、その時はきた。こみ上げてくる感覚と激しくなるプレラーティのフェラ。それと共に俺の中で彼女への愛しさが溢れてくる。

 

 健気なまでに丁寧なフェラをし、素直じゃないけどこちらの言葉で喜んでくれたであろう、眼鏡の美少女への。

 

「ああっ! 出るっ!」

「ふむっ?! …………んくっ……っ! ジュルルッ」

「おうっ!? す、吸い出される……っ!」

 

 尿道に残った分まで逃すかとばかりにプレラーティが舌や口を使って吸い取っていく。おかげで終わった時にはそれなりに疲労感を覚えていた。

 

 それと、浴室の床に汗ではない何かが水たまりを作ってもいた。プレラーティの股下を中心に。

 

「こ、これ程違うのか。こ、こんなものを日々摂取してギアが強化される? 信じられないが、体の調子といい、力が満ちてくる感覚といい、今まで感じた事がないものなワケダ」

「ど、どうやら完全に信じてくれたみたいだね。良かった」

「……これを、ラピスの精製に活かしたいワケダ。悪いがサンプルとして、もう一度出してもらうワケダ」

「いいけど、まずシャワーを浴びよう。お互いに一旦切り替える時間がいるだろうし」

 

 正直、今のプレラーティは二度出した俺にとって毒に近い。ロリボディだけどおそらく成人していると思う。つまり、性交が可能なのだ。久しぶりに手コキやフェラだけで終わったけど、やっぱり本音としては繋がりたい。

 だから一旦頭を冷やす。ついでに、女のフェロモン全開なプレラーティも落ち着いてもらいたいし。

 

 こうして俺達は揃ってシャワーを浴び、汗などを洗い流してから、脱衣所で服を着たまま三度目の搾精作業を開始した。プレラーティとしては、出来れば直出しの効果をと思ってるようで悔しそうな雰囲気のまま手コキをしてくれた。

 

―――いいか? 今日の事をけしてカリオストロやサンジェルマンには話してはいけないワケダ。言えば……。

―――分かってるよ。お互いのためにも秘密な。で、今後もプレラーティは俺の性欲処理してくれるのか?

―――……血液の方のスープもある。サンプル採取も兼ねてお前の精神安定行為と言うワケダ。

 

 それが精液をビーカーへ採取した去り際の会話だった。顔を見る事は出来なかったが、多分赤くなっていたと思う。それと、これはあくまで勘なのだが、今回の事でプレラーティは本当に女になったような気がする。

 

 シャワーを浴びている最中、急に恥ずかしそうな雰囲気を見せたのだ。まるで、男に見られるのが恥ずかしいと言う羞恥心というか、恥じらいが芽生えた感じで。

 

「ま、気のせいかもな。そうする事で俺の気持ちを高めようとしたのかもしれないし」

 

 

 

 部屋を出て、私は一人研究室へと向かう。その手にしたビーカーには、先程出させた真の生命のスープが入っている。

 

「これを私のラピスへかけてみるワケダ。それでどうなるか……楽しみなワケダ」

 

 言いながらどこかで気付いている。あの男、要シキと言ったか。あいつは危険だ。何故かあいつの言葉はすんなりと心へ入ってくる。

 猜疑心も警戒心も消え失せ、本当にそう思っているのだろうなと感じてしまうのだ。これは、非常に危険だ。詐欺師だったカリオストロはともかく、ある意味で真っ直ぐなサンジェルマンはあいつの言葉にかき乱される可能性がある。

 

「……相互理解を妨げるバラルの呪詛。それが奪った統一言語というのは、もしかするとあいつの言葉のような効果を持っていたのかもしれないワケダ」

 

 言っていて馬鹿らしいと思う。バラルの呪詛は人類ならば誰しもが生まれつき持っている呪い。それがない人間など存在し得ない。

 

 と、そこでふと足が止まる。

 

「……だが、この生命のスープという能力を有しているあいつは、本当にただの人間なのか?」

 

 これは、今後調べるべき事が増えたワケダ。こればかりはサンジェルマンにも渡せない。あいつの、要シキの事は私が調べる。だから今後も誰にも知られる訳にはいかない。

 

 あの、熱くて美味い、スープの事は。

 

―――それにしても、他人の男性器など初めて見たが、あれ程大きな物があるとは思わなかったワケダ。




プレラーティは、眼鏡装備の調と見た目が似てる感じがしますよね。スタイルも近いし、揃ってゴスロリメイドとかやったら客が凄まじく来る気が……。

で、ティキとシキの関係は他のスコア達とは違う感じに。ま、スープを飲む必要がないですからね、ティキ。

それと、シキについてゆっくりと浮かび上がる疑問。身内なマムや了子とは違い、あくまで現時点では第三者のプレラーティだから分かる事がいくつか出てきました。
果たして、シキは何者なのか。これを触れられるのもAXZ編ならではですかね。
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