※この作品はR-18です。

淫姫絶頂したいフォギア   作:拙作製造機

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遂に登場の彼。原作ではいきなりとんでもを見せてくれた彼ですが、今作ではどうなのでしょう?


黄金錬成とキャロルの涙

「帰国前の最後のお仕事、か」

 

 どこか沈む気持ちで呟く。場所は空港で目の前にはアルカ・ノイズの大群。更に、その後ろの建物にはサンジェルマンさん達錬金術師がいる。もうファウストローブを纏ってて、完全に戦闘態勢。

 

「響、気持ちは分かるけど、切り替えるしかないよ」

「うん、分かってるよ未来。ありがと」

 

 隣には私の陽だまり。だけど、そんな陽だまりもどこか表情が暗い。その理由は、さっき聞いた事が原因だ。

 

―――要シキは無事だ。ただし、今はという言葉が付くが。

 

 その意味を、私はこう考える。シキさんの利用価値がある時までは大丈夫だけど、それがなくなったらどうなるかは分からないって。

 

 殺す、なんて事はしないと思いたいけど、相手は一応敵。なら、今は拳を握ってシキさんの居場所を教えてもらうしかない、のかな。

 

「こっちは九人で相手は三人だ。周りの雑魚を片付けたら、基本三人一組であいつらを止める。いいね?」

「「「「「「「「了解(デス)っ!」」」」」」」」

 

 奏さんの言葉を合図にみんなが動き出す。私は未来とコンビ。見れば翼さんは奏さんと、クリスちゃんは後方から全員の援護かな? で、切歌ちゃんと調ちゃんにマリアさんはセレナさんとだ。

 

 アルカ・ノイズはキャロルちゃんの力でどうにか出来るんだけど、師匠の方針でまだそれをやるには早いとなってる。

 理由は聞いていないけど、多分何か考えがあるんだと思う。それに、アルカ・ノイズぐらいなら……っ!

 

「はあぁぁぁぁっ!」

 

 拳で粉砕。うん、問題ない。シキさんとのエッチどころかキスさえ出来なくなったけど、今までの時間がくれた思い出と、何よりみんなとの絆が私に負けない力を与えてくれるっ!

 

「っと」

 

 背後から迫ってくる攻撃を寸ででかわす。そこへ放たれる閃光。

 

「ありがとっ!」

「どういたしましてっ!」

 

 未来のフォローは完璧。私とのコンビだと未来は凄い相性の良さを発揮するってみんなも言ってるぐらい、本当にこっちの動きを読んでるって思う。

 たくさんいたはずのアルカ・ノイズももう壊滅状態。これなら届く、ね。そう思って未来へ目配せ。それとクリスちゃんへも。同時に二人が気付いてくれて、揃って頷いてくれる。

 

「行こうっ!」

「うんっ!」

 

 私が目指すのは、サンジェルマンさん。前、私の問いかけに答えてくれたから、あの中で一番話をしてくれそうだと思った。

 

「ったく、あたしへ合図したならちったぁ待てよ」

 

 走る私と未来に追いつくようにクリスちゃんが現れる。うん、今、目の前のアルカ・ノイズへ大きなミサイルが向かっていった。すっかり乗り物扱いしてるよね、クリスちゃん。

 

「ごめんごめん」

「ごめんね、クリス。響はいつも考えるより動く子だから」

「知ってる。てか、未来もだかんな? あたしじゃなけりゃ合流遅れたぞ」

 

 戦闘中なのにどこか普段のような雰囲気なのは、良い事なのかな? ううん、良い事だって思おう。みんな、どこかで思ってるんだ。こんな事をしなくていい時間は、もうすぐだって。

 

 アルカ・ノイズも、シンフォギアも、必要ない時は必ず来る。それを少しでも早くするために、今、私に出来る事を精一杯しよう!

 

「サンジェルマンさんっ!」

「来たか。やはりアルカ・ノイズでは足止めにもならないようだな」

「お話にきましたっ! でも、今はしてくれそうな気がしないから」

「どうする?」

「まず武装解除してもらいますっ!」

「「響が難しい言葉を使った!?」」

「ちょっ!? 何で未来とクリスちゃんが驚くの!」

 

 向かい合って構えてたサンジェルマンさんさえ若干変な顔をしてる。何というか、今ので戦おうって空気が飛んだ気もするなぁ。

 

「……ま、まぁいい。そう簡単に出来ると思わない事だ」

 

 何とか気を取り直してって感じのサンジェルマンさん。見れば未来とクリスちゃんが苦い顔。うん、私も同じだよ。やっぱりサンジェルマンさんもキャロルちゃんと同じだ。

 

 きっと、分かり合えない事はないはず。なら、やっぱり一度ぶつかり合うしかないかな? フィーネさんも、マリアさん達も、キャロルちゃんだってそれで今のようになれたんだから。

 

「簡単じゃないかもしれないけど、不可能なんて思いませんからっ!」

 

 心の底から叫ぶ。そうだ、諦めなければ手は届くし声も届く。シキさんが私に見せてくれた。どんな事でも、本気で、全力で、真心を持って、進んで行けば……っ!

 

「未来っ! クリスちゃんっ! やろうっ!」

「うんっ!」

「ああっ!」

 

 拳を握り締める。胸の中から湧き出てくる歌がある。今は、それに身を委ねよう。必ず、必ずシキさんを夢子ちゃんの傍につれて帰れるように。

 

「ぶつかり合うしかないとしてもぉぉぉぉ!」

「最後までそうじゃないって信じてるっ!」

「互いの心と想いを見せ合うにはぁ!」

「「「戦うって事もっ! 必要なのかもしれないって!」」」

「っ! 三人での歌唱!?」

 

 私の攻撃を防ぎながら驚きを見せるサンジェルマンさん。でも、まだです。ここから私達はギアを上げていくんだから!

 

「戦わせたくないと思ってたぁ!」

「歌いたくないってぇ! 思ってたっ」

「「それを変える切っ掛けはっ、真っ直ぐな気持ちとぶつかったからぁ!」」

 

 未来とクリスちゃんの歌声が私を後押ししてくれる。フォニックゲインは力になるだけじゃない。私を、誰かを支えるあったかさでもある。

 サンジェルマンさん、いつか分かって欲しいです。貴方にも、このあったかさを。そのためにも、今は……っ!

 

「この手が届かないのならぁ!」

「ぐっ……まさか……っ!?」

「「行けっ! 響っ!」」

「届くまで伸ばせぇぇぇぇぇっ!!」

 

 ガングニールが唸りを上げる。私の想いに応えようとしてくれる。だから、だからっ!

 

「届けぇぇぇぇぇぇっ!」

「バカな……っ! ラピスの力さえも……超えると言うかっ!?」

 

 

 

「嘘でしょ!? あーしの攻撃を全部捌くなんて!」

 

 あいつの能力で多少強化されたはずのラピスでさえ、目の前の三人は易々と越えていく。ツヴァイウイングが厄介なのは分かってたけど、マリア・カデンツァヴナ・イヴが加わってより強力になるとかどうなってんのよっ!

 

「へっ! こっちは装者やって長いんだ!」

「それに、ユニットとしても長年組んでいるしっ!」

「私も、彼女達と共に歌い踊った仲なのよ! アナザー・ツヴァイウイング、是非聞いて欲しいわ……ねっ!」

「ちっ!」

 

 二振りの槍が露を払って大太刀に道を作ってくる。そこを狙っての攻撃さえ、剣はものともせず突き進んできた。

 その原動力は、三人で奏で鳴らす歌。本気で厄介ね、シンフォギア。強化する術を失っても、これまでの事が消え失せる訳じゃないって事ね。

 

 むしろ、それがよりその強さを支えているかもしれない。あの男を返せとの、強い想いで。

 

「「いつの日にか解る時が来るから」」

「ずっとっ!」

「「「忘れないっ!」」」

「ああんっ! もうっ! 鬱陶しいわねぇ!」

 

 鋭い太刀筋をかわし、時には拳で防ぎ、捌いて叫ぶ。チラリと見れば、サンジェルマンも苦戦している。人数でそもそも負けてる上、向こうは長期に渡る強化と訓練で連携さえも凄い。

 

 対するこちらは、強化を開始してまだ一週間にもなってない。ラピスが完成した時は楽勝と思ってたけど、まさか幕を上げたら主役はあーし達じゃなく向こうだったとか笑えないわ。

 

「だけどっ!」

「くっ!」

「「翼っ!?」」

 

 襲い来る剣へ渾身の拳一発。それで後ろへ下がるのを見て、あーしは確信する。

 

 まだ、負けた訳じゃない。人数で負けていても、あーし達が負けた訳じゃない。そうよ、やってやろうじゃない。この身はあの日一度死んだようなものだし、今更よ。

 

 死んだ気になってやれば、怖いものも恐れるものも、ないっ!

 

「どうやらここからみたいだね……」

「ええ、そのようね」

「奏、マリア、気をつけて。あの一撃、中々重い」

 

 あーしの眼差しを受けて三人が構え直す。人数で上なのに、油断もしてくれないんじゃ厄介よねぇ。もう少し調子に乗ってくれれば、つけ込む隙もあるってもんなのに。

 

 ……仕方ない。昔のように上手く欺いてみましょうか。

 

「「「きゃあぁぁぁぁぁっ!」」」

「「「「っ!?」」」」

 

 と思ったら聞こえる悲鳴。視線をやれば、プレラーティが相手していた三人を見事に蹴散らしていた。

 嘘ぉ、どうしてそんな芸当が出来るのよ? だって、あーし達だけじゃなくサンジェルマン達さえも驚いているもの。

 

 あーし達があまりの事に動揺する中、プレラーティは何か呟いてから顔をこっちへ、というより周囲へ向けた。

 

「どうやら私相手には三人では不足なワケダ。それぞれ援軍に一人ずつ出した方がいいと思うワケダ」

「マリア、行ってやんな」

「こっちは私達で十分だ」

「……ありがとう」

 

 早速とばかりに一人離れて行く。ふ~ん、あーし相手なら二人で十分、ねぇ。

 

「舐められたもんじゃないっ!」

 

 絶対お嫁に行けないようにしてやる。でも、お腹だけは避けてあげるとしますか。それがあーしの優しさ。だから、それ以外はボッコボコにしてあげよう。

 

 二度とステージに立てない顔にしてやるんだからっ!

 

 

 

「セレナ、切歌、調、大丈夫?」

「あたし様も来てやったからもう心配いらねーぞ」

 

 プレラーティを警戒しつつ、マリアとクリスは倒れている三人へ駆け寄る。その表情には、驚きの色がまだ残っていた。

 実際に錬金術師と相対したからこそ二人はプレラーティの異常さが分かっていた。何せ、セレナ達三人は組み合わせで言えば上の方の連携度である。それが打ち負かされる事が意味するのは、プレラーティがその上を行く実力の持ち主である事だ。

 

 だが、それはおかしいとマリアもクリスも思っていた。

 

(カリオストロは、私達三人を相手に互角にするのがやっとだった……)

(サンジェルマンでさえ、あたしら相手に苦戦していた……)

((明らかにこいつだけ何かある!))

 

 疑問ではなく確信に近いものを抱いて二人はプレラーティを見つめる。その視線を、プレラーティは平然と受け止めていた。

 

「これで五人となったワケダ。それなら互角となりそうだな、シンフォギア」

「減らず口をっ!」

「互角だぁ? 抜かせ! そのフード付きをはぎ取って泣かせてやろうじゃねーかっ!」

 

 放たれるミサイルの群れ。それらをプレラーティは造作もなく手にしていた巨大なけん玉で払い壊す。

 爆発が巻き起こり、煙幕となって両者の視界を塞ぐ。が、プレラーティはすぐさまその場から動いた。直後、そこへ銃弾が殺到する。

 

「見えないから手当たり次第というワケダ」

 

 呆れたように呟き、プレラーティはならばとけん玉を大きく振り動かした。その起こす空気の動きで煙が吹き飛ばされていく。と、プレラーティの視界が晴れた瞬間、無数の鋸が鎌とセットになって飛来する。

 

「ちっ!」

「防がれた……」

「かなりイイタイミングでしたのにっ!」

 

 軽い驚きを見せる調と悔しさを滲ませる切歌。が、そこで攻撃は終わらない。

 

「セレナっ!」

「うんっ!」

「「行けぇぇぇぇぇっ!!」」

 

 揃ってアームドギアによる閃光を放つ姉妹。その光は一つとなってプレラーティを襲う。さしものプレラーティもこれは防ぐしかなかったようで、その場に繋ぎとめられていた。

 

「くっ! 忌々しいなシンフォギア! スープがなくてもこれ程とは……」

「もってけダブル、いやトリプルだっ!」

「ズタズタにっ!」

「デストローイっ!」

「っ?!」

 

 そこへ放たれる三つの攻撃。プレラーティへ押し寄せるは、装者五人によるクインテッド。さすがにスープの力で強化されたラピス・フィロソフィカスをもってしても、これまでの蓄積と共鳴によるフォニックゲインの前には為す術がなかった。

 

 拮抗出来たのもほんの僅かで、プレラーティはその場から大きく吹き飛ばされる。直後上がる砂煙。それでも、五人は少しも気を抜いてはいなかった。

 

「やはり五人は少しだけ荷が重かったワケダ」

「「「「「っ……」」」」」

 

 聞こえてきた声に身構える五人。その視線の先ではプレラーティが巨大なけん玉を構えて平然と立っていたのだ。

 

 もし、もしもシキが以前のようなスケベ男であれば、ここで彼女達もプレラーティがスープを摂取している可能性を抱いたかもしれない。

 だが、彼女達は父親として成長し男としても大きくなり出した彼を知っている。そう、よく知っているのだ。故に思わない。どんな理由があろうと彼が浮気に近い事をしているなどと。

 

「が、それでもこれが精一杯なワケダ。どうだ? ここが使い所だと思うワケダ」

「使い所だぁ?」

「もしかして、イグナイト……」

「そんな事まで知ってるデスか!?」

「ああ。まぁ、今の私はそれを使われても蹴散らせる自信があるワケダ」

「姉さん、どうする? たしかにイグナイトを使えばもっと出力を上げられるけど」

「そうね……」

 

 プレラーティの挑発に近い発言を、マリアはどこかで訝しんでいた。

 

(妙ね。たしかに今のままでは押し切るのは難しい。でも、何故イグナイトを使えと言ってきた? そのデータも欲しいから? きっとそれもある。だけど、何か、何かもっと別の事がある気がする……)

 

 そうしてマリアが出した結論は一つだった。

 

「セレナ、クリス、私が先陣を切るわ。その結果でどうするか判断して」

「姉さん……分かった」

「そういう事か。気を付けろよ」

「ええ。イグナイトモジュール、抜剣っ!」

“ダインスレイフ”

 

 相手の思惑が分からない以上、全員でのイグナイト使用は危険と判断。なので自分だけが使用し、相手の出方を見る。それがマリアの答えだった。

 その動きにプレラーティが内心で舌を打つ。彼女としては、ここで一気に五人を消耗させておきたかったのだ。

 

 そう、賢者の石であるラピス・フィロソフィカスは浄化の力を持っている。それは、呪いの力であるイグナイトにとって天敵と言ってもいい。

 

 よって、その力を纏ってラピス・フィロソフィカスへ手を出せば……

 

「はあぁぁぁぁぁっ!」

「思いの外冷静だったワケダ。が、釣れたのがリーダー格なら良しとするワケダ」

「何っ!? ああああああっ!?」

 

 イグナイト状態のマリアがアームドギアの穂先を突き出した瞬間、何もしていないはずのプレラーティに吹き飛ばされたのだ。しかも、ギアが通常状態へと戻される形で。

 

 これが、呪いと浄化の衝突による結果である。イグナイトはラピス・フィロソフィカスの前では力を失うどころかむしろ使用者へダメージを与える結果となるのだ。

 

「姉さんっ!?」

「イグナイトが、無力化されただと?」

「そんなのってあるデスかっ!」

「じゃあ、みんなで使ってたら……」

 

 即座にマリアへと駆け寄るセレナ。その行動を邪魔されないように即座に攻撃を開始するクリス。切歌と調もそれに追従し、プレラーティへと攻撃を再開。

 それらの攻撃を容易に捌き、プレラーティは思考する。それは、自身の現状を作り出したスープの事。

 

(予想以上の効果なワケダ。あれから毎日口で摂取するようになった甲斐があったワケダ。だが、それでもこれが限界らしい。もっと、もっとこの力を引き上げる吸収方法はないものだろうか?)

 

 マリアに起きた事を見て、響達が合流を図り、それに合わせてサンジェルマン達もプレラーティへと合流を果たす。

 

「プレラーティ、貴方は一体何をして……」

「あのスープの力なのは分かるけど、どうしてあーし達とそこまで違いが出るのよ」

「それについては後なワケダ。サンジェルマン、ここは撤退を提案するワケダ」

「……そうね。ラピスでも複数相手は厳しい事が分かった。それにシンフォギアも、優勢は作れても決定打は難しい事も」

「ま、今回はこれだけで良しとしますか」

「待ちやがれっ!」

 

 同時に足元へ転送結晶を使い姿を消す錬金術師達。誰もいなくなった空港で、装者達は何とも言えない気分となっていた。

 負けていないが勝ってもいない。引き分け、と評するにはやや気が重い事実も突きつけられたのだ。

 

 決戦仕様の無力化。それは、シキを奪われた彼女達にとって、最後の切り札を無くしたも同じだった。

 

「ドリンクもそんなに多くない。今回は、キャロルちゃんの時みたいな事も、難しいかも……」

 

 飛び去っていく飛行機を見上げ、響はそう呟いた。その呟きは、その場にいる全員の想いでもある。三人でも押し切れなかった。後一押しが足りなかった。

 しかも、五人で挑んだ相手は耐えきった。ユニゾンやシンクロを以ってしても、錬金術師達は倒れなかったのだ。

 

「シキの能力に、知らず頼り切ってたのかね?」

「かもしれない。思えば、キャロルの時もそうだった。シキさんの能力で私達はこれまで苦労する事無く戦ってこれた。それを、あの時に気付かされたはずだったのに」

「どこかでシキがいなくなるなんて考えたくなかったからでしょ? きっと、私達は女になり過ぎたのよ」

「女になり過ぎた、かぁ。かもしれない。いつの間にか、シキさんがいる事が当たり前になってた」

「特にあの夏が大きい気がするデスよ。あそこで、みんなが家族になるって事を実体験したデスし」

「それと、夢子が生まれたのも大きい。あれからシキさん、どんどん頼もしくなっていった」

「思えば、あの辺りからあいつもスケベな事控えだしたよな。ただ、キスは増えたけど」

「でも、それが余計嬉しかったんじゃない? ああ、今、この人は私の事を純粋に大事に、愛してくれてるって思えて」

 

 未来の締め括りに誰も何も言わなかった。その温もりに甘え、溺れていたのだ。女として満たされる日々と時間。そのあったかさを与えている存在に、寄り掛かっていたのだから。

 

「……へいきへっちゃら。覚悟したから~」

 

 そんな中で、不意に聞こえる歌声。誰もがその主である響へ視線を向けた。

 

「きっと、シキさんもです。絶対帰るって、そう覚悟したはず。なら、私達も覚悟しましょう。何があってもへいき、へっちゃら。絶対またあの時間を、笑顔を、取り戻すんだって」

「響……」

 

 振り向いて笑顔を見せる響。その笑みは、とても優しく力強いものがあった。まさしく太陽のような笑み。その眩しさに、誰もが笑みを返していく。

 

「例えイグナイトが使えなくても、ドリンクがなくても、シキさんが傍にいなくても、私達は負けません。胸の歌がある限り」

 

 そっと胸元へ手を当て、響は断言する。そこには、ルナアタックの英雄がいた。追い詰められても、倒れても、それでも立ち上がった一人の人間が。

 

 それに感化されるように、一人また一人と頷いて行く。静かに、だがたしかにそれぞれの胸に誓いが宿る。

 

 愛する男を、必ず無事に取り戻すのだと……。

 

 

 

「で? で? それでどうなったの?」

「その、そこでやっと俺も彼女の気持ちに気付けてね。告白をしてキスを」

「キャ~ッ! いいないいな! ロマンティックねっ! しかも告白してキスなんて、あなた、意外と男らしいところがあるんだ!」

 

 俺と奏がどうやって付き合うに至ったかを多少簡略化して話したら、どうやらティキの心に刺さったらしい。始まりはティキからの相談。

 

―――アダムとも~っと深い仲になるにはどうしたらいいと思う?

 

 なので、なら実体験を話そうと思って俺と奏の馴れ初めを聞かせたのだが、これがティキの興味を惹くわ惹くわ。乙女っぽいなと思ってたけど、本当に乙女なスコアらしい。

 そう言えば、気付けば少女漫画とか読んでたっけ。しかも、快傑うたずきんだった。あれ、実はシンフォギア装者をモチーフにしてるって言ったらどう思うんだろうか。

 

 たしか、装者の活動をカモフラージュするための活動の一環とか何とか聞いた気がする。ちなみに、クリスがファンで単行本を買っているそう。ソースはガリィ。いや、シャトーの部屋を掃除してるから個人の主だった趣味は分かるそうだ。

 

「まだその頃は子供みたいなもんだったよ。今だって大人かどうか怪しいぐらいさ」

「そうなの? 不思議ね。とっくに体は大人になってるのに、心は子供のままなんて」

「体は栄養さえ取っていれば勝手に成長してくれるけど、心はそうはいかないからなぁ。心の栄養って、いつ得てるか分からないもんだからね」

「ふーん……」

 

 そんなものか。そんな感じでこちらを見るティキ。じゃあ、次は何を話そうかな? ティキが喜びそうなのだと、セレナとのデート辺りか。

 

「じゃ、次はデートの話でも」

「無事帰還出来たようだ」

 

 俺が話をしようとした瞬間、聞こえてきたのはサンジェルマンさんの帰還を告げる声。振り向けば、そこには疲れた表情のサンジェルマンさんとカリオストロ。そして、何故か余裕さえ感じさせるプレラーティがいた。

 

「おかえり。なんだか辛気臭い顔してるわね。サンジェルマンらしいわ」

「ティキ、そんな風に言うもんじゃないよ。もっと言葉遣いを綺麗にした方が男受けはいいんだ」

「そうなの?」

「そうだよ。漫画でもそうだったろ? 普段は丁寧で綺麗な言葉遣いの子が、自分にだけは砕けた口調になる。そこに男は特別感を覚えるんだ。アダムだってそうかもしれない」

「え~っ? でも、アダムはティキの言葉遣いを嫌ってないもの」

「だからって好きとも限らない。ティキ、嫌いの反対は好きだけど、こういう考えにはもう一つ答えがあるんだ」

「もう一つ?」

「それは、好き嫌いの裏側にはどっちでもいいってのがあるって事。要は関心がないんだ。興味と言い換えてもいい。だから、その相手がどうしようが関係ないし、お構いなし。ま、アダムがそうとは限らないけどね」

 

 と、そこで気付いた。何故かサンジェルマンさん達三人が俺を驚きの目で見つめている事に。ティキは俺の言葉に可愛く「そんな事ないもんっ! アダムはティキの事をちゃんと考えてくれてるんだからっ!」と怒っていた。

 

「えっと、どうかした?」

「……ティキに対して随分と優しい言葉をかけるのね」

「ああ、そういう事? いや、俺の娘も大きくなったらこうなるかもしれないって思ってさ。そのための練習というか演習というか」

「呆れた。将来のための予習をティキ相手でやってるの?」

「そうだよ。それに、話して分かったけどティキも悪い子じゃない。ただ、あまりにもアダムって人への気持ちばかりが大き過ぎるんだ」

 

 視線をチラリと動かしてみれば、ティキはまた漫画の世界へ旅立っていた。本当に子供みたいだ。ミカとは違った意味で無邪気で素直で、そして無垢だ。

 

「だから、俺はそこをとっかかりにして色んな事へティキの心を向けてあげたい。恋だけが人生じゃないし、恋を愛に変えるには沢山の出来事を超えないといけない。もしティキが本当にアダムと結ばれたいと思っているのなら、そのためにも様々な事を知って欲しいんだよ」

 

 間違いなくその言葉に三人が唖然となった。ま、アダムって奴がろくな奴じゃないのは彼女達の雰囲気から察してる。正直ティキが何故そこまで入れ込んでるのかも分からないぐらいに。

 だからこそ、ティキには色々な事を知って欲しいんだよな。今はきっと世の中や他の男を知らないからアダムが全てと思ってるだけだ。もし色んな事を知っても尚アダムが好きと言えた時、ティキの気持ちが本物だったと俺も認められるし。

 

「お前は変わっていると思っていたが、まさかここまでとは思わなかったワケダ」

「自分を普通なんて思ってないよ。能力もあるしさ。だけど、ティキの事に関しては間違ってるとは思わない。あの子は良くも悪くも色々知らな過ぎる。アダムへの想いは、狭い世界しか知らない事からくるものかもしれないってね」

「……あんた、本当に親なのねぇ」

 

 噛み締めるような、意外そうな、そんな感じでカリオストロが言った言葉が胸に響く。そう、だよな。これ、やっぱり親になったからなんだろうな。ティキを見てると、子供を見てる気持ちになってきて、何とかしてやりたいと思ってしまうんだ。

 夢子が大きくなったらと、そう最初に仮定したのもあるかもしれないけど、本気で心配なんだ。アダムへの、一途な想いがあまりにもティキの中を占めている事も。

 

「それで、そろそろいいだろうか?」

 

 俺がティキを見つめていると聞こえる言葉。それは俺へのものではなくプレラーティへのものだったらしい。振り向けば、サンジェルマンさんがプレラーティへ顔を向けていたからだ。

 

「……実は、生命のスープの濃縮に成功したワケダ」

「「「濃縮?」」」

 

 思わず声がハモる。突然の事で理解が追いつかないが、多分プレラーティは他の二人よりも強くなっていたのだろう。それこそ、普段のみんなをあしらえるぐらいに。

 

 ……あの時のガリィ達みたいなもんか。何せ、本当に毎日プレラーティはフェラで精液を摂取している。ま、俺の気があまり乗らない事もあって一度で止めてもらっているけど。

 正直、その先をと思う気持ちはある。だけど、それ以上にみんなへの申し訳なさが生まれて、男から夫や父に戻れるんだ。もう、ガリィ達を”壊した”時のような行動は出来ない。

 

 でも、もしそうしなければみんなのところへ戻れないとなったら、俺はどれだけみんなに怒られようと、嫌われようと、その行動を取る。今の俺が一番しなければいけないのは、泣かせたままで別れてしまった夢子へ”ただいま”と言う事なんだ。

 

「では、その濃縮によってあれ程の効果が出たと?」

「ラピスの強化というよりは、私自身の強化に近いワケダ」

「へぇ、成程ね。あーし達はラピスの方にばかり意識がいってたけど、あのスープってあーし達自身へも効果あるのね~」

 

 気付けば三人での話が始まっていて、もうどうも終わりを迎えそうだ。だけど、プレラーティの言ってるのはおそらく俺の精液の事だ。それをどうして濃縮なんて誤魔化し……ああ、そうか。カリオストロやサンジェルマンさんに俺のチンポを咥えさせる訳にはいかないもんな。

 

 それに、今だと俺自身がそんな気持ちになれないし。

 

「考えてみれば、あーし達自身が強くなればラピスの強化みたいなもんよね。でも、やっぱ生き血を啜るのは抵抗はあるわ」

「私は構わない。泥水さえ啜った事がある。なら、生き血程度躊躇いもない」

「まぁ、待つワケダ。濃縮と言ったはずだ。飲み易くない血液を、更に濃くするワケダ。そのままではさすがの私も飲めないワケダ」

 

 話の推移を見守っていると、プレラーティが一瞬だけこちらへ目をやった。もしかして、この流れは……。

 

「だから、飲み易い形にして摂取しているワケダが、それを二人にも試してもらうつもりなワケダ。ただ、すぐに用意は出来ないのでそれまでは待ってもらうワケダ」

「……分かった。出来るだけ早くお願い」

「頼まれたワケダ」

「飲み易い、ねぇ。味付けでもするの?」

「飲んでみてからのお楽しみなワケダ」

 

 にやりと笑うプレラーティ。だけど、多分これって俺の苦労になる話だよな。うわぁ、何だろう。春先だったら喜んだかもしれない事が、半年経ったら喜べないって人生って不思議だぁ。

 

 内心でそんな風に愚痴りながら、俺は部屋を出て行くサンジェルマンさん達を見送った。残された俺は、仕方ないのでティキと会話しようと試みるも……

 

「今いいとこだから邪魔しないで」

 

 と、けんもほろろに断られました。仕方ないので別の事を考える。

 

 まず、おそらくサンジェルマンさん達がみんなと戦ってきた事。そして、多分だけどプレラーティだけが優位に事を運んだ事か。そこでみんなが俺の関与を疑ってくれていればいいんだけど。

 もしそうなら、前と違って俺がノリノリでエロい事をするはずないって思ってくれるはず。それなら、帰った時に俺の話を聞いてくれる余地が残る。でも、もしそうじゃなかった場合……

 

「俺が、自分で言わないといけないんだよなぁ。事情があるとはいえ、他の女性とスケベしてましたって」

 

 気が尋常じゃなく重い。たしかにプレラーティとの行為は気持ちいいけど、それだからと言って嬉しい訳じゃない。いわば、マムがやってくれていた血液採取に近いんだ。

 俺にとって必要な事で助かるけど、可能ならやりたくない。今の俺にとって、プレラーティとの行為はそういうものだ。

 

「……成長するって事は、どこかで弱くなる事なのかもしれない」

 

 矛盾しているけど、そんな気がする。良く知らない方が平気な事も、知ってしまうと怖くなる。弱かった時は全力でいい事が、強くなったら力の調節に苦労する。

 これらは、ある意味で弱くなったとも言えなくもない。俺がスケベだけで動かなくなった事は、ある意味で退化となるのかも。

 

「ま、そんな弱さなら喜んで受け入れる。何せ、それで嬉しくなってくれる人達がいるんだから」

 

 どんな事も、みんなが笑ってくれるのならへいき、へっちゃら。みんなのためにも絶対帰ってやると覚悟したんだ。なら、どんな事も乗り越えよう。

 

 きっと、みんなも以前みたいに俺を連れ戻すって思ってくれているはずだから。

 

 

 

 それから数日が経過し、舞台はバルベルデから日本へと移る。パヴァリアは現状打開のためにシキの能力での強化を優先し襲撃などを控え、S.O.N.Gも闇雲に動くよりも今は情報収集を優先するべきと行動。

 結果、本来起こり得るはずだったバルベルデからの特別便襲撃はなくなり、無事翼達は帰国を果たす事となる。そして彼女達が手にして戻った情報は、風鳴機関と呼ばれる旧二課の前身組織が所有する装置によって解析へとかけられる事となった。

 

「……まさか、新年をこんな場所で迎える事になるとはね」

 

 長野の地を踏みしめ、翼は白い息を吐いた。そう、既に暦は変わり、ツヴァイウイングのワールドツアーはその開始が見え始めている。

 

「ホントだよ。まさか長野で迎えるなんてねぇ」

 

 奏も白い息を吐きながら苦笑する。盆地である長野は、夏暑く冬寒い場所だ。更に日本海からの風が山に当たるため雪も降り易い。現に、二人の周囲にも雪がちらついている。

 

「まぁ、仕方ないわ。ここでしか例の情報は解析出来ないのだもの」

「ですよ。だけど、さすがの切歌達もはしゃぎ疲れたみたいですね」

 

 イヴ姉妹の視線の先には、雪遊びで疲れた響と切歌が雪をベッドに横たわり、そんな二人に未来とクリスが呆れていた。調は一人黙々と雪だるまを製作中で、その近くではエルがキャロルと共に雪うさぎを作っていた。

 

「どうかな?」

「いい出来だと思う。夢子に見せてあげよう」

「うんっ!」

 

 すっかり仲良し姉妹となり出している二人であるが、その切っ掛けはやはり夢子である事は間違いなかった。何しろ、遂に夢子が二人を「えーあっ」と呼んだのである。つまり”姉さん”だ。

 それはシキがさらわれた中での、久々の明るいニュースとなり、少しだけではあるが誰もの顔に笑みが浮かんだのだから。

 

 完成した雪うさぎをどう運ぶで頭を悩ませ始めた双子を眺め、セレナは小さく呟いた。

 

「このまま無事に終わるといいな」

 

 丁度その頃、弦十郎は父親である風鳴訃堂からの通信を受けていた。

 

『わざわざこの場所を使わせたのだ。その結果が大した事もないようなら分かっておろうな?』

「ご心配には及ばないかと思われます。例え錬金術師に関するものがなかろうと、聖遺物関連の情報が含まれている事は間違いありません」

『それが有益であるという確証はなかろう』

「それはそうかもしれませんが」

『ふんっ、まぁいい。よいか? 万一夷狄の侵入を許す事があれば、その責、己が身だけで済むと思わぬ事だ』

「重々承知しております」

 

 そこで通信は切れた。一気に場の緊張感が失せ、誰もが息を吐いた。

 

「場所が場所だけに鎌倉から何か言ってくるとは思ってましたが……」

「まさか解析する内容が有益かどうかなんて……」

「そういう人だ。それで、解析の方はどうなっている?」

「順調、とは言い難いですね。一日で終わるとは思えません」

 

 朔也の言葉に弦十郎は腕を組む。彼はどこかで予期しているのだ。錬金術師達が襲撃してくるとすれば、今の時期だろうと。

 

(二度目の襲撃で向こうは切り札でもこちらとの差が小さくない事を知った。ただ、一人だけこちらを上回った者がいた。それから数日間、アルカ・ノイズによる襲撃などもなく、まるで動きを見せない。それが、こちらの動きが止まり、しかも自由な行動が出来ない時を狙っているとすれば……)

 

 仮に今襲撃が起きれば、装者達は撤退という選択肢を選べない。この長野の地にある風鳴機関本部を守る事が優先とされているためだ。

 更に言えば、本部使用に際して周辺住民を強制的に避難させているため、彼らを守るという意味でも逃げは打てないのが現実である。

 

 つまり、あの時のプレラーティと同じ強さをサンジェルマンとカリオストロが有して現れても、響達には戦い続けるしか道はないのだ。

 

 そして、得てしてそういう時の予感は当たるもの。

 

「局長からは何て?」

「奴らが情報を解析するのを阻止せよ。端的に言えばそれだけ」

「つまり、本来はもっと長々と話したワケダ」

 

 雪に覆われた大地を見下ろし、サンジェルマン達は言葉を交わす。その視線の先には、雪うさぎを手に急ぎ気味で了子の下へ行こうとするエルとキャロルの姿があった。

 

(本当に、子供として生きていこうとしているのね……)

 

 何度も会話した訳ではないが、サンジェルマンはキャロルを知っていた。その際抱いた印象は、怒りと憎しみを宿して生きているというものだった。

 

 それが、今のキャロルからは微塵も感じられない。その理由を思い出してサンジェルマンは息を吐いた。

 

(それだけ、あの男の器が大きかったという事か)

 

 キャロルの養父となったシキ。その在り方がサンジェルマンから見ても大物のように見えていたのだ。敵中にあっても気弱にも気丈にもならず、ただ平静さを保ち続けている事や、ティキの事を気に掛け、少しでもその見識を広げられたらとしている事などで。

 

「じゃ、早速始めましょうか」

「その前に、これを飲んでおくワケダ」

 

 そう言ってプレラーティが差し出したのは薬用のカプセルだった。中身は言うまでもなく本当の”生命のスープ”である。

 

「そうそう、これこれ。あーし、これ好きになってきちゃったのよねぇ」

「サンジェルマンも」

「すまない」

 

 カプセルを受け取り、サンジェルマンは躊躇う事もなくそれを口にする。するとカプセルが溶け、口内に広がる何とも言えない美味。それを味わうように少しだけ舌の上で転がし、サンジェルマンは惜しむ気持ちでそれを嚥下した。

 

「……これでいい。さぁ、行きましょう」

「ええ」

「分かったワケダ」

 

 ラピス・フィロソフィカスの輝きを身にまとい、三人は一気に風鳴機関本部目指して行動を開始した。

 

「っ?! 奏っ!」

「やっぱり来たねっ! 行くよ! マリアっ! セレナっ!」

「ええっ!」

「うんっ!」

 

 その襲撃を即座に気付いた翼達が迎撃するべく動き出した。彼女達が外にいたのは、何も遊んでいたためではない。夜の闇に乗じて現れるだろう錬金術師達を警戒する意味もあったのだ。

 

 その証拠に休んでいたはずの響と切歌さえも既にギアを纏って構えていた。

 

「切歌と調でけん玉を、響と未来は素手だ。あたしは、両方を援護するっ!」

「「「「了解(デス)っ!」」」」

 

 学院組の年長であるクリスが即興で指示を出す。奏達四人はサンジェルマンへと向かっているのが見えたためである。四人がかりで中心格を倒そうとしていると踏んだクリスは、ならばとそれまでの露払いを五人で受け持とうと考えたのだ。

 

 だが、驚きが走ったのはそのすぐ後の事である。ぶつかり合うシンフォギアとラピス・フィロソフィカス。その衝突は、これまでシンフォギア優勢であった。なのにも関わらず……

 

―――っ?!

 

 サンジェルマンもカリオストロも、勿論プレラーティさえも競り負けないどころか押し勝ったのである。カリオストロとプレラーティは直接対峙しているのが二人であるというのもあるかもしれないが、サンジェルマンは四人相手だ。

 

 それも、ツヴァイウイングとイヴ姉妹という、強力カルテットを。

 

「まさか……本当にこの短期間でこちらを上回ってくるなんて……」

「そういえばマムが言ってた。シキさんの能力は、気持ち次第で血液をスープに変えるって」

「じゃあ……シキはスケベじゃない方法で?」

「有り得るね。今のシキさんは、立派な父親になろうとしてるから」

 

 四人で合流し、サンジェルマンに注意しながら小声で話す奏達。事ここに至っては彼女達も気付いたのだ。目の前の存在を強化したのが愛する男の能力である事を。

 

 そして、故にマリアが率先して動いた。とはいっても、対峙している相手へ声をかけただけであるが。

 

「答えなさいっ! 貴方達、シキに何と言って協力させたの!」

「こちらが脅した訳ではないわ。むしろ、向こうから協力を申し出てきたのよ」

「何だとっ!?」

「三食ご飯をつける事とお手洗いの自由。それと汗を流す事の許可。それと引き換えに、一日一度の献血をするってね」

「献血……?」

「どういう事デスか?」

「そうか。つまりシキの奴、生きて帰るために最低限の交渉をしたって事だ。あいつらの狙いはスープだ。だから、奴らに多少融通してやる代わりにいざって時の体力を確保しようって事だろ」

 

 疑問符を浮かべる響と切歌へ説明しながら、クリスは暗にスープの正体を誤魔化した。

 

「そういうワケダ。おかげでそちらの優位は消え、こちらの優位が確立されたというワケダ」

 

 勝ち誇るように告げるプレラーティだったが、その言葉に真っ先に反応した者がいた。

 

「そんな事ないっ! シキさんが義務的に与えるスープなんか、私達の絆と想いに勝てるはずがないっ!」

「響……そうだねっ! それに、スープを飲んでこれならそっちの限界は見えました! だから全然怖くないっ!」

 

 響と未来の言葉。それが奏達に伝わり笑みを零させる。故に分かるのだ。この後、何を二人が言おうとしているか。それは、刹那のテレパシー。ギアが起こす共鳴反応にも似た、心の同調。

 

―――誰が相手でも、へいきへっちゃらだっ!

 

 九つの宣言が冬空に響く。その力強さに僅かではあるが三人の錬金術師が気圧された。彼女達は知らない。目の前の九人がシキに愛されている女である事を。恋を超え、愛を知り、絆を結んだ装者九人。

 その繋がりは、何百年もの時を生きているサンジェルマン達にさえ負けない輝きを有していた。そしてその輝きを支えているのは、紛れもなくシキと過ごしたあの忘れられない夜の思い出だ。

 

 初めて全員揃ってシキに抱かれたあの日、彼女達は己の痴態を見せ合った。シキに愛される際の、見られたくない姿や聞かれたくない声を晒した。

 それと同時に、仲間の、親友の、先輩の、後輩の、姉の、妹の、女の顔を知ってしまった。だからこそ、最早彼女達に壁などない。そんなものをシキが完膚なきまでに粉砕せしめたのだから。

 

「始まる歌……」

「始まる鼓動……」

「響き鳴り渡れ……」

「希望の音……」

 

 響が口ずさみ始めるフレーズ。それに呼応するように未来が、翼が、そしてクリスが歌を紡ぎ始める。

 

「生きる事を……」

「諦めないと……」

「示せっ!」

「熱き夢の幕開けを!」

「爆ぜよっ!」

「「「「「「「「「この奇跡に嘘はないっ!!」」」」」」」」」

 

 その後を続いて切歌が、調が、マリアが、セレナが、奏が続く。急速に高まるフォニックゲイン。装者九人でのハーモニー。それは、これまで出来そうで出来なかったもの。

 今回シキの選んだ戦い。その裏側までも察し、今、彼女達の想いは一つとなった。父として、男として、決して家族を裏切りたくない。その想いで彼がいる事。それに女心が火を上げたのだ。

 

「「「っ?!」」」

 

 息を呑むサンジェルマン達。彼女達へ聞こえてくるその歌の名は”RADIANT FORCE”。

 この世界では、歌われる事のなかった歌である。しかも、本来であれば旧二課の三人での歌唱となるものだ。

 それを、彼女達は九人での歌唱と変えた。そう、シキの能力で強化を果たした相手に対し、反撃の始まりを告げるための歌として歌われたからだ。

 

 歌詞にある通り、生きる事を諦めないと告げるために。それは、シキと想いを同じくしていると強く信じるからこそ。スープがなくても、決して負けはしないとの想いで。

 

 弾かれるように、響が、翼が、クリスが、奏が、マリアが、セレナが切歌が調が未来までもが動き出す。歌声を力強く響かせ、一度は押し負けた相手へ敢然と向かって行ったのだ。

 その勢いは、その迫力は、ラピス・フィロソフィカスを纏う三人の錬金術師を怯ませ、押しやる事を可能とした。

 

「こ、こんな事ありなのっ!? さっきはっ! 押し切れたじゃないっ!」

 

 響の拳を何とか捌きつつ、未来の閃光を回避しながらクリスの銃弾を辛うじて防ぎ切るカリオストロ。だが、その額には汗が浮かんでいる。運動量が増したためのものではない。押し寄せる攻撃の威圧感への冷や汗である。

 

「あ、有り得ないワケダっ! 前回よりも人数は減っているのに……っ!」

 

 プレラーティへ迫るザババの刃。それを打ち砕こうとすると、守りの短剣がそうはさせじと割って入る。そこには、前回のように打ち負ける三人はいなかった。九人で歌い紡ぐ旋律が、その背を支えているからである。

 

「たった一つの歌だけで、歌だけでここまで変わると言うのかっ! シンフォギアっ!」

 

 銃撃で剣を相手し、二振りの槍へは防御壁を展開して難を逃れるサンジェルマンだが、その表情に余裕はない。あるのは、戸惑いと悔しさだ。

 

 展開されるのは、まさしく嘘のない奇跡。スープも、ドリンクさえも摂取していない響達が、スープを摂取しているサンジェルマン達を圧倒していく光景。

 それを可能にしたのは、一つの歌。その歌に込められた想いと覚悟、そして愛。女になり過ぎた彼女達だからこそ為し得た、奇跡である。

 

 本来であれば、ここではシンフォギアが地に伏せる。だがしかし、それを変える力が彼女達にはあった。それは愛の力。

 

 一人の男が夢見た馬鹿げた可能性、それがもたらした結果があるべき流れを変えてきた。それが、またここでも……。

 

「「「飛べよぉぉぉぉぉぉっ!」」」

「そんなっ!?」

「「サンジェルマンっ!?」」

 

 遂に三つの羽ばたきが堅牢な守りを飛び越えた。更にその起こした衝撃は、連鎖反応のように他の者達へと伝播していく。

 

「「「このっ奇跡にぃぃぃぃぃっ!」」」

「しまっ!?」

「プレラーティっ?!」

 

 雪辱を果たさんとばかりに三つの刃が強大な力を貫いた。間髪入れずに起きた事に動揺するカリオストロへ、最後の締め括りとばかりに叫びが歌となって響いたのは次の瞬間だった。

 

「「「光あれぇぇぇぇぇっ!」」」

「っ?!」

 

 巨大なミサイルの上で拳を固めて構える響。その周囲には守りと攻めを兼ねた閃光が付随している。そう悟ったカリオストロへ、自身のギアで加速した響が光の槍の如く突っ込んだ。

 

 大地へ次々と叩きつけられる錬金術師達。ラピス・フィロソフィカスの輝きは失せ、その体からも抵抗する気概が失せ始めていた。

 それを感じ取り、三人へと近付いていく装者達。その足取りは心なしか重い。分かっているのだ。倒すべきは彼女達だけではない事を。キャロルの口から出ている名、アダムと呼ばれる存在こそが真に倒すべき相手だと。

 

「こ、これ程の爆発力を秘めているのか……シンフォギア……」

「サンジェルマンさん、教えてください。シキさんはどこにいるんですか? そして、アダムって人はどこに?」

 

 響の申し訳なさそうな声にサンジェルマンが答えるものかと返そうとした時だった。空に明るさが灯ったのは。

 不自然なそれに誰もが空を見上げ、そして息を呑む。そこには一人の男性がいたのだ。白い帽子と白いスーツに身を包んだ、存在が。

 

「ここにいるよ、僕ならね」

「局長……」

「局長? じゃあ、あの人が!?」

「はじめましてだね、君達とは。僕の名はアダム・ヴァイスハウプト」

 

 その名乗りの直後、装者達のギアからキャロルの声が聞こえてくる。

 

『その男だ。俺と交渉した胡散臭い男は』

「胡散臭い、か。キャロルでさえそう感じるワケダ……」

 

 漏れ聞こえたのか、プレラーティがそう呟いてどこか笑う。それは嘲笑の笑み。アダムへは絶対に見せない、プレラーティの本音が宿っていた。

 

「何を……するつもりよ? あーし達を助けに来てくれた……って訳じゃなさそうだけど?」

「心外だなぁ。あるさ、つもりは。ただ、それには多いんだよ、問題が」

「のらりくらりと喋らず、要だけ囀ればどうだっ!」

「ふむ、そうだね。ならば質問に答えようか、単純に。金を錬成するのさ。僕らは錬金術師だからねっ!」

「「「っ?!」」」

 

 アダムの答えを聞いた瞬間、サンジェルマン達の顔色が変わった。それに気付いて響達も身構える。アダムのやろうとしている事はそれだけ危険なのだと。

 

「これで逃げておくれよ、君達は。誰もが目を惹かれるはずさ、この輝きに」

 

 次の瞬間、アダムの服が燃えて全裸となる。それだけで一部は悟るのだ。今、アダムの周囲は服が勝手に燃える温度へ至ったのだと。

 

『みんな、その場から離脱しろっ!』

「キャロルちゃん?」

 

 そんな中で再びキャロルの声が通信として響く。だが、その声はこれまで聞いた事のない程の緊迫感が宿っていた。

 

『黄金錬成だっ! 信じられんが、どうやら奴の力は俺を超えているらしい! この辺り一帯を焦土と化す気だ!』

「何だと!?」

「そんな事が可能なの!?」

『詳しく説明している暇はないっ! 既にこちらも避難を開始した! お前達も早く逃げてくれっ! もう誰かがいなくなるのはイヤぁ!』

 

 通信はそこで終わった。その最後の涙混じりの声が、響達の心を決める。

 

「……聞こえたかい、みんな」

「うん、聞こえたよ。キャロルが、泣いてくれた」

「あの子が、初めて私達に見せてくれた素顔と本心、ね」

「誰かがいなくなるのは嫌、かぁ。私も、同じだよ」

 

 笑みを浮かべながら奏が、翼が、マリアが、セレナが口を開いていく。その視線の先では、アダムの右手の上にゆっくりと巨大な光の玉が出来始めていた。

 

「だからこそ、逃げられないですよね」

「まったくだぜ。皮肉なもんだが、キャロルの言葉で腹が決まった」

「この背中には、キャロルだけじゃなくマムや夢子もいる」

「それだけじゃないデス。この辺りに住んでる大勢の人達だっています」

「なら、私達のやるべき事は一つ、だねっ!」

 

 未来の言葉にクリスが、調が、切歌が続いた。最後に響が締め括れば、もう装者達の心は一つである。

 

「「「「「「「「「手を繋ごうっ!」」」」」」」」」

 

 響を中心として、全員が手を繋いでいく。やろうとするのはただ一つ。それこそ、S2CAノナバースト。

 九人分の絶唱を響が収束しセレナがその負荷を全員へ配分する事で最低限の負荷で凄まじいフォニックゲインを得る、通常時に出来る最後の切り札である。

 

 聞こえ出す九つの絶唱。その重なり合う旋律をアダムは見下すように聞いていた。

 

「健気だね、シンフォギア。守れぬと知りながらも盾とするのか、その命を」

 

 自信、確信、慢心。それがアダムにたった一つの、そして致命的なミスをさせる。既にその手には全てを灰燼に帰せるだけの熱量があったにも関わらず、響達の行動が出来るまで待ったのだ。

 やがて旋律は力と成って響へ宿る。融合症例時代同様とはいかないまでも、その身をガングニールに蝕まれたままで死を乗り越えた彼女は、誰よりもギアとの適合係数が高い。それ故に……

 

「これが私達のぉ、絶唱だぁぁぁぁぁっ!」

「無駄だよ、どんな事も」

 

 凄まじい勢いでアダムへと向かっていく響。それへ向けて巨大な熱量を放つアダム。と、その時アダムは目を疑った。響の纏うそのギアは、白い輝きを放つエクスドライブだったのだ。

 

「何っ!?」

「みんなの歌がくれたシンフォギアならぁぁぁぁぁっ!」

「不味いね、これは!」

 

 その場を急速離脱するアダム。彼は悟ったのだ。このままでは打ち勝つにせよ負けるにせよ、自身まで爆発の影響が出る位置で響が攻撃すると。

 姿を消すアダムへ視線も向けず、響は目の前の太陽と見紛うばかりの熱量へその拳を打ち付けんとする。その胸には、絶える事のない歌が宿っていた。

 

「いっちゃえっ! ハートの全部でぇぇぇぇぇっ!!」

 

 打ち出された拳が偽りの太陽を貫く。同時に起こる爆音と凄まじい熱風と閃光。それからセレナが全員を守り、未来は光をアームドギアで反射させる。

 それでも地表への余波は大きく、ギアを纏っている装者達でさえ立っているのが精一杯であった。

 

 そんな中で、サンジェルマン達は彼女達の背中を見上げていた。

 

「あ、貴方達……」

「あーし達を……」

「何故、守っているワケダ……?」

 

 ダメージからまだ満足に動けない三人を守るように奏達が動いていたのである。背中から聞こえた声へ彼女達は振り向く事さえ出来ずに、けれど笑みだけは浮かべて口を開いた。

 

「このまま死なれたら……っ、夢見が、悪いからね!」

「私達はっ……殺し合いをしてるつもりは、ないっ!」

「たしかに貴方達は敵だけど……っ!」

「だからって、死なせていい訳じゃないデスっ!」

 

 四人の言葉に、サンジェルマン達は何も言えなかった。偽善だと、そう思わなかった訳ではない。だが、言葉でなく行動でそれを先に示されてしまっては、自分達が言葉で返すのでは意味がないと思ってしまったのだ。

 

「それに、まだ貴方達からシキの居場所を聞いてないわ……だからっ!」

「逃げられるのなら逃げろっ! もしもの時に、お前らを連れて逃げられる余裕はねぇんだっ!」

 

 黄金錬成による余波。それから背中にいる者達を守る奏達。更に、そんな奏達を守るセレナと未来も大変であった。

 

「み、未来……もう少しだけ頑張って……っ!」

「は、はい……っ! セレナさんも……っ」

 

 共に守りに秀でているギアではあるが、だからと言って本質が盾ではない以上限度はある。加えて言えば、いくら負担を軽減されているとはいえ、絶唱を使った後なのだ。体力も普段より低下している。

 

 だからこそ、二人は普段よりも気持ちを強くしてその場に立っていた。

 

((普段守ってもらってるから、こういう時こそお返ししないとっ!))

 

 揃って戦いが苦手な二人。そのギア特性もあって、通常戦闘では後方支援が立ち位置である。だからこそ、守護という局面では誰にも前を譲りたくないのだ。共に、先陣を切る事の多いガングニール使いの傍にいるからこそ、余計に。

 

 そうして、どれくらいの時間が経過しただろうか。煌々と夜空を照らしていたものが消え、その名残も失せた時、もうその場にサンジェルマン達の姿はなかった。

 

 残されたのは、雪が全て溶け切って土を見せた大地と、そこへ座り込む装者達の姿である。

 

「……逃げられたみたいだね」

 

 そう呟く奏の声には、悔しさも悲しみもなかった。むしろ安堵感さえ漂っている。

 

「でも、また現れる」

「その時は、今日のお礼として何か聞き出しましょう」

 

 翼とマリアにも、負の感情はない。あるのは、守り切れたという笑みだけだ。

 

「くたびれたデ~ス」

「本当に……疲れた」

 

 イガリマのアームドギアを支えに休む切歌と調。そんな二人にも笑顔が浮かんでいる。

 

「未来もセレナもお疲れさん」

「もうクタクタだよ……」

「そうだね。今日はこのまま寝たいぐらい」

 

 クリスの労いへ疲れた笑みを返す未来とセレナ。彼女達にあるのは達成感であった。その笑みにクリスも笑みを返す。

 

「いやぁ~、今回はエクスドライブじゃないと危なかったかも……」

 

 そう言いながら八人の輪の中へ降りてくるのは響だ。エクスドライブだったからこそ可能とした行動だったと、そう感じ取っての言葉に誰もが一瞬呆れ、同時にこう告げる。

 

「「「「「「「「そんなの当たり前(デス)」」」」」」」」

「あは、あはは……だよね」

 

 一気にいつもの雰囲気へ戻ったと感じ、誰もが笑みを零す。やがてそれは笑い声となって夜空に響く。そんなところへ、勢い良く現れる者達がいた。

 

「みなさ~んっ!」

「無事かっ!」

「エルちゃんっ! キャロルちゃんもっ!」

 

 二人はそのままの勢いで響達へと駆け寄り、肩で息をしながら装者達を見回していく。その無事を確認し、二人は荒い息のまま、その目を潤ませる。安心した事で感情が堰を切ったように言葉を紡がせた。

 

「ど、どうして、どうして逃げなかったっ!」

「僕達、すっごく心配したんですよっ!」

「ごめんね。でも、だから逃げたくなかったんだ」

「守りたいものがここにあるって、キャロル、あんたの言葉がそれをあたしらに強く思わせてくれたんだ」

「だけど、心配させたのは事実だものね。ごめんなさい」

 

 ガングニール三人の言葉を聞いて、二人は互いの顔を見合わせる。そして、一度だけ小さく頷くと九人の装者へ向かってこう言葉を述べた。

 

「「次があったら気を付けてくれ(ください)」」

 

 その言葉に、込められた優しさと諦めに苦笑し、響達は頷いた。と、そこで何かを思い出したのか響が笑顔でキャロルとこう言った。

 

―――絶対に、シキさんを連れ戻してみせるから。

―――……約束だからね。

―――うん、約束。

 

 一瞬驚いて目を見開いたキャロルだったが、その言葉が何を考えて言われたかを悟って涙を流して小指を差し出した。

 

 こうしてキャロルは響を小指を結ぶ。その際の泣きながらの微笑みは、とても綺麗だった……。




今回の話を簡単にまとめるとこんな感じ。

プレラーティ、シキの精液を二人へ分け与える。
九人でのユニゾン、スープの上をいく。
アダム、いいとこなしにされる。

まぁ、こんなとこでしょう。

……次回はサブタイトルさえも全部変えないといけないですかね、やっぱり。
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