世界の歌姫にしてガングニールの装者であり装者組の最年長。
責任感が強く基本的に自分の中に悩みなどを抱え込む性格をしている。そのため、シキと関係を持った際には、どこまでも甘えていい相手として依存を始めてしまった。
深い慈愛の精神を持つ事が災いし、シキによって”弩”がつくM気質へと目覚めてしまう。
今の将来の夢は、幸せなマムになる事。
セレナ・カデンツァヴナ・イヴ
マリアの妹にしてアガートラームの装者であり世界最初の装者。
穏やかで争いを好まない優しい性格。そのため戦闘では中々思い切った行動が出来ずにいたが、クリスとのコンビで信じて突っ走る強さを得て成長を遂げた。
幼い頃に摂取した生命のスープの影響か早い段階で性に目覚めてしまい、姉を凌ぐ程の淫乱さを内に秘めるようになっていた。
今の将来の夢は、幸せなマムになる事。
暁切歌
イガリマの装者にして装者達のムードメーカー兼トラブルメーカー。
明るく気楽がモットーの性格だが、そこには不器用な気遣いと優しさからくる信念にも似たものが隠されている。
施設で育ったためか頼りになる優しく強い存在に飢えていて、シキとの時間で本当の意味で妹分となる気楽さを覚えてしまう。
今の将来の夢は、みんなで幸せに笑って暮らす事。
月読調
シュルシャガナの装者にして装者達の中の家事担当筆頭。
一見すると清楚そのものであるが、内に秘めた過激さは女性陣でも一二を争う性格。
切歌と支え合って生きてきたためか、彼女だけあるいは自分だけに差を作られる事を極端に嫌う。
シキを受け入れた理由は、彼が切歌と自分を差別する事無く可能な限り公平に平等にしようとしたため。
今の将来の夢は、みんなで不幸にならないように笑って暮らす事。
「んっ♡ ホントシキはおっぱい吸いながらチンポシコシコされるの好きだよな♡」
聞こえてくる声に体が火照る。ベッド下に隠れている私の思考は、もうシキさんとクリスちゃんのセックスでピンク一色に染め上げられていた。
どうやら今はシキさんがクリスちゃんの乳首を咥えているらしい。しかも、それでいてクリスちゃんはシキさんの男性器を扱き上げているみたい。
あぁ……凄くイイ匂いがしてる。頭が真っ白になって体が熱っぽくなって、子宮が疼くあの匂いが。
「んにゃあっ♡ ち、乳首甘噛みするにゃぁ♡ んんっ♡ ず、ずりゅいぞぉ♡ 神の力ぁ、乳首からにゃがすにゃぁ♡」
神の力を、乳首から流す? どういう事? もしかして、あの温かい光を敏感になった乳首から流されるの? しかも甘噛みなんて刺激も受けながら?
「っ!?」
……想像しただけで軽く絶頂しちゃった。咄嗟に口を押えたから声が漏れる事はなかったけど、完全にパジャマの下は濡れた。
だって、あの温もりと乳首への刺激なんてきっと気持ちいいに決まってるもの。私は、あの力の温もりを知っているんだから。
「クリス、手が止まってるよ? 何ならパイズリするかい?」
「じょ、上等だぁ♡ 初めてのデートの時みたいにビュルビュル出させてやるからな♡」
「それは楽しみだ。ああ、そうだ。クリス、お尻は俺の顔へ向けてしてくれるか?」
「うん、分かった♡ あたしのオマンコいっぱい舐めてくれよ♡」
「もちろん」
ああっ、シキさんはわざと口で説明している。私が想像出来るように、何をされて何をしているかを理解出来るように。
「……抱かれたい……っ!」
子宮の疼きが酷くなる。それとシキさんとセックスしたい気持ちも強くなっていく。
「だ、ダメぇぇぇぇっ♡ 今のシキにオマンコペロペロされると、パイズリ出来ないっ♡ あたしの頭ん中、オマンコをチンポでズボズボして欲しいって考えて埋まっちまうからぁ♡」
何かを啜る音が聞こえたかと思ったら、すぐにクリスちゃんの大きな声で遮られてしまった。
そしてその内容に体の叫び声がまた大きくなる。チンポでオマンコをズボズボ。ああっ、何て卑猥な表現なの。
でも、でもっ、でもっ! 今の私も同じ事を言いたい! 言ってシキさんとセックスしたいのぉ!
そこからしばらく言葉はなかった。聞こえてくるのはクリスちゃんの嬉しそうな喘ぎ声と粘り気のある水音に荒い息遣い。
男と女の交わりというよりは雄と雌の交尾と言うべき熱気と淫臭が、私の体を包み焦らし蝕んでいく。
もう服を着ているのが嫌になってきた。そうよ。どうせ私はシキさんに抱かれるんだもの。なら服を着ている必要はないわ。
「じゅるるるっ♡ ぷはっ、シキのチンポマジでヤバいな♡ ウマくて硬くて熱くて最高だっての♡ んああっ♡ オマンコの中で舌がぁ……っ♡」
「っぱ……クリスのオマンコからどんどん本気汁が流れてくるな。孕ませてってここが叫んでるみたいだ」
「んんっ♡ 指でクチュクチュすんなぁ♡ 早く、早くシキのチンポであたしの子宮溶かしてママにして欲しいんだっ♡ 女子高生最後の年にママになりたいっ♡ 学院の卒業と同時に子供も卒業させてくれよ♡」
クリスちゃんの言葉が私の頭の中を満たしていく。あの言葉は私の言葉だ。シキさんとセックスして、沢山精子を出してもらいたい。
ううん、子供を身籠らせて欲しい。あの人の子を孕んで、産んで、母になるの。そして、ちゃんとした愛情を注いであげるんだ。
例え何があっても、子供を見捨てない親になって。
「仕方ないな。もう少しクンニしてあげたかったけど、クリスがそこまで言ってくれるなら、しようか」
「うんっ♡」
頭上でギシリと音がした。きっと体勢を入れ替えてるんだ。
「ぁ……っ!」
気付けば私は全裸で自慰をしていた。もう乳首は硬くなって主張しているし、ヴァギナは愛液を垂れ流している。
陰核も充血しその存在を声高に訴えていて、体中がそれに呼応するように熱い。早く雄を、シキさんを迎え入れろと絶叫しているかのように。
「んああっ♡ きたぁ♡ チンポぉ♡ あたしをママにしてくれる最強チンポ♡ あたしを素直にさせてくれる無敵チンポ♡ あたしを幸せに包んでくれる神様チンポ♡」
「クリス、嬉しいのは分かるけど凄い締め付けだよ。今日はこんな事しなくてもチンポはクリスだけのものだぞ?」
「だからだってのっ♡ あたしだけのチンポだから少しだって放したくないんだぁ♡ ううん、ずっと放したくない♡ このままあたしがシキのチンポケースになってやるんだ♡ 精液も小便もチンポから出るものはあたしが受け止めてやるからぁ♡ だからあたしを一生こうしてて♡ 赤ちゃん出来てもこうしてるからぁ♡」
羨ましい、とそう思った。私だってそれぐらいの覚悟はあるのに。この身をあの人に、シキさんに捧げる気持ちなんてとうにある。
そう、だってこの体はあの人が直してくれた。誰にも出来ないはずの行為を、その身に宿した力で、奇跡で実現させてくれたのだから。
―――シキさんの子が欲しいのは貴方だけじゃないんだから……っ!
ヴァネッサがそう噛み締めるように呟いた瞬間、その額に何かの紋章のような物が薄っすらと現れ消える。
そんな事を知る由もないシキとクリスは、最早言葉など要らぬとばかりにその交わりを開始していた。
強く深くクリスの膣内を貫くシキのペニス。元々大きかったそれは、神の力によってより凶悪になっており、彼に女にされた女性達を更なる性欲の沼へと沈める凶器となっていた。
その一突き一突きにシキの愛情が神の力と共に溶け込み、クリスの中からその全てを満たしていく。
それは、まさしく身も心もシキによって変えられていく事を意味する。そして、それは今のクリスにとっては極上の幸せなのだ。
(ヤバいっ♡ ヤバ過ぎるっ♡ シキがあたしを愛してるって気持ちが、ママにしたいって気持ちが、頭と体だけじゃなくて心にまで伝わってきやがるっ♡ こんなの幸せ過ぎてダメになるしかねーじゃんか♡)
今のシキはカウパーでさえもかつての生命のスープと化している。それもあって、とっくにクリスの体は吸収量を満たしていた。
それどころか、今やオーバーフロウを起こしているぐらいだ。ただ、それが意味するのは妊娠確率の上昇という、クリスが望む未来を引き寄せる要素でしかなかったが。
その証拠に、クリスは全身でシキを離すまいと示していた。両手両足を絡める事はもとより、その唇や舌さえも重ねて一つになっていたのだ。
(シキっ♡ 好きっ♡ 大好きっ♡ あたしのあったかい場所♡ あったかい人♡ あたしの、あたしの全てっ♡)
まだそれだけの本音は口には出せないクリスだが、それをせめて行動で伝えようと熱心に舌を絡め膣壁でペニスを締め付ける。更にその大きな乳房を潰しながら体を密着させ、両腕で力強く抱き締めた。
すると、それを受けてシキは微かに笑みを見せるなりクリスの頬へ手を当てる。
「ぷはっ……何だよぉ♡」
「クリス、これは子作りなんだろ? じゃ、体勢をよりそれらしいものにしたいんだけど、いいか?」
「…………うん」
シキの眼差しと声に込められたものが肉欲ではなく愛情だと感じ取り、クリスは一瞬だけ本来の状態で返事をする。
どこか照れくさそうで、だけど幸せで嬉しいというような、そんな笑顔と声で。神の力による高揚状態ではないそれにシキは優しく笑みを浮かべて頷いてキスをする。
優しく想いを伝えるような、触れ合うだけのキスを。
「……シキ、あたし、やっぱ間違ってなかった。シキを選んで良かったって、そう思う」
「クリス……」
「パパとママを失ったあたしは、家族ってのを求めてたんだって分かったんだ。シキと同じだ。一人ぼっちは寂しいから」
「そう、だね。俺も、奏と強く結びついたからそうなったんだと思うよ。最初から俺は親しい人がいなかったから、余計人の温もりと誰かが傍にいる温かさを知ったら、もうそれを手放せなくなった」
見つめ合って言葉を交わす二人。その眼差しはとても穏やかで優しさに満ちている。
体を繋ぎ、心を繋ぎ、今想いさえも繋ごうとしていたのだ。
「あたしだけのシキになって欲しいって気持ちは、正直今もある。だけど、もうみんながいないのは耐えられないんだ。この場所は、とてもあったかい。いつでも誰かがいて、笑って迎えてくれる。勿論時々ケンカだってするだろうし、もしかしたら激しくぶつかり合ってダメになる事もあるかもしれない。それでも、それでもあたしはこの集まりが、時間が大好きだ。無くしたくない。出来る事なら、あたしもシキと同じ馬鹿な夢を見続けたいんだ」
「ああ、分かったよクリス。一緒に夢を見てくれ。そして、出来る事ならその夢を見たまま、みんな一緒にいられるといいな」
「……うん、そうだな。みんなで一緒に」
「じゃあ、そのみんなの中に俺とクリスの子供を加えるために……っと」
「ぁ……」
クリスの両脚がシキによって持ち上げられる。今までの正常位とは似て非なる体勢だが、それが何と言う体勢かを今のクリスは知っていた。
それは”種付けプレス”とシキが呼んでいたものだったのだから。
その事を認識してクリスの膣内が締め付けを強める。当然それはシキへと伝わり、彼に小さく笑みを零させた。
種付けと言う行動なのにも関わらず、二人の間に漂う空気はアツアツの新婚やカップルそのものだ。
何故なら、シキはハーレムと呼んでいい程の女性と関係を持っているため、奏や翼以外は彼と二人きりというのがほとんど経験出来ていない。
それもあって、どんな些細な事であってもシキと二人きりというのは女性達のテンションを高揚させる効果を持っているのだ。
「始めようか」
「うん、好きなだけ出していいからな?」
「じゃあ、お言葉に甘えて……っ!」
「んあっ♡ お、奥ぅ……っ♡」
力強いペニスによる一撃でクリスの声が蕩ける。強く愛される喜びと快感。それらが一瞬にしてクリスの思考を人から雌へと戻したのだ。
シキの腰が動くたびにクリスの口から発情した雌の声が上がり、それがシキの生殖本能を刺激してより腰使いを激しくさせ、それがクリスの声を更に酷くさせてと、二人を人から獣へと変えて行く。
さて、そんなものを聞かされているヴァネッサは堪ったものではない。その体を蝕む熱と疼きは最高潮を迎え、思考などとうに溶かされ雄と交わる事しかなく、その手は乳房や乳首を弄るだけでは足りず、同時に陰核や膣内さえも刺激していたのだから。
(セックス! セックスしたいっ! シキさんの男性器で、ペニスで、私の子宮を刺激して欲しいっ!)
聞こえてくるベッドの軋む音。それに混ざって聞こえるクリスの歓喜に震える喘ぎ声。その雌としての幸せを表す声に、ヴァネッサは嫉妬の気持ちを向け出していた。
(ズルいっ! 私だって、私だってシキさんとセックスしたいのにっ! 先に来てたのは私なのにっ! シキさんも私とセックスしたいって言ってたのにっ!)
正しくは、ヴァネッサのような褐色美人の初めての相手になれるのは嬉しいという感想だが、彼女はその後にシキが言った”でも自分のような男は止めておいた方がいい”というような旨を忘れているようだ。
自分の都合の良いように記憶を改ざんする。人間誰しもやる事ではあるが、特にこの傾向は女性に多いのでヴァネッサがそうしてしまっても無理もないだろう。
そんなヴァネッサの嫉妬を知るはずもなく、クリスはシキのペニスで子宮を揺らされながら涎を垂らして幸せに浸っていた。
「シキぃ♡ シキぃっ♡」
「クリスっ! 可愛いよっ! 大好きだっ!」
ただ愛する男の名を呼ぶ事しか出来ないクリスだが、その姿にシキは喜びと興奮を覚えていた。今、クリスは自分しか見ていない。自分の事しか考えていない。それが独占欲を満たしてくれるためだ。
そしてそれはクリスも同じだった。今シキは自分しか見ていない。自分の事しか考えていない。それによる独占欲の満たされようはシキ以上だったのだから。
神の力による効果もあり、シキのペニスは様々な意味で逞しさを増している。特に一番の変化はその精液の効力上昇だろうか。
想いを込めた生命のスープが与える効果が既に凄かったのに、それをより強力にしてしまったのだから注がれる方の反応は推して知るべしである。
「はぁはぁ……っ! クリスっ、クリスっ!」
「チンポがあたしん中で跳ねたぁ♡ 出しそうなのか♡ 出しそうなんだな♡」
「ああっ! もう出したいんだ! クリスに俺の子を孕んで欲しいんだっ!」
「ひゃんっ♡ 奥にチンポグリグリぃ♡」
クリスの小柄な体をシキは壊しかねない程強く突き上げる。その一撃にクリスの子宮が揺れ、そしてその入口を静かに開かせ始めた。
「クリスっ……もっと、もっとクリスの中に入りたい……っ!」
「んあっ♡ な、何かいつもと違う♡ チンポがぁ、チンポがあたしの奥の奥まで入ってくるぅ♡」
「こ、これ、ヤバいっ。クリスマンコがチンポ吸いこんでくるっ!」
まさか子宮口が開いてペニスの先端を受け入れだしているとは思わないシキは、若干の驚きと恐怖を覚えながらカウパーを子宮へ直接流し込む。それがより子宮口を開かせ、遂にその時を迎えさせる。
「「ぁ……」」
ズルっと、何かが滑り込んだような感覚を二人は感じ取った。そしてその次の瞬間……
「「っ?!」」
ペニスが子宮をノックしクリスへ強烈な快感を与え、シキもそれが何を意味するかを悟り興奮してしまう。当然そうなれば待っているのは絶頂である。そう、二人同時にだ。
「「あああああっ!」」
放たれる精液と満たされる子宮。互いを求め合った結果、到達し得るはずのない場所へ到達出来ない物を迎え入れ、お互いの願いを成就させる事となった。
(な、何だよこれ。征服感と満足感が半端じゃないぞ。俺、今、クリスの全てをものにしたんだ……)
(あ、あたし、シキに全部あげちまった♡ ファーストキスも、処女も、赤ちゃんの部屋も、全部シキに捧げちまったぁ♡)
相手を征服したと歓喜に震える雄と、相手に征服されたと歓喜に震える雌。人知を超えた力で得てしまった快楽は、容易く二人を人から動物へと戻した。
「クリス……」
「シキぃ……」
共に瞳に灯すは情欲の炎。新たな生命を育てる場所で繋がっている事で燃える淫奔の火だ。
その火に押されるまま、シキはゆっくりと腰を動かしてペニスを子宮から抜いて行く。すると、ヴァギナから出てきた陰茎部には、クリスの出した愛液がしっかり付着していた。
それも、透明ではなく若干白いものが。クリスが本気で感じて子作りを望んでいる証明である。その事をシキは確かめると再度ペニスを勢いよく子宮へと突き入れたのだ。
「っ~~~~~っ♡♡♡」
そのあまりの快感にクリスは声も出せずに絶頂し、両足を伸ばせるだけ伸ばして痙攣する。更にシキはそんな彼女を見てトドメとばかりに射精した。
子宮内を満たすように放たれる精液だが、それはシキの意思によって量と勢いをコントロールされている。まるでじわじわとクリスへ認識させるかのように、ゆっくりと少しずつ精を流し込んでいったのだ。
「ぁ♡ 分かる♡ 分かっちまう♡ あたしの子宮がシキのものになってくの♡ もうこのチンポしか入れるなって♡ もうこの遺伝子しか受け入れるなって♡ そう言われてる♡ そう分からされてる♡ そう教え込まされてる♡」
「そうだ。今、俺はクリスを本当に、完全に、自分の女にしてるんだ。なってくれじゃない。するんだからな?」
「うん、なってる♡ あたし、シキだけの女にされてるっ♡ んっ♡」
キス。優しく深いキスをされた瞬間、クリスは感じ取る。完全に子宮をシキの精液で満たされた事を。
じんわりと下腹部が温まり、いいようのない幸福感と満足感が溢れてくる。それをクリスは噛み締めながらシキとのキスを続けた。
それは、言うなれば受精させるための時間。注ぎ込んだ精子が卵子を陥落させるための行動と言える。
クリス自身の意思によって、注ぎ込まれた精液に宿っていた神の力が卵巣へ働きかけ排卵を行い、それへ精子が一斉に襲い掛かったのだ。
「……シキ、覚悟しろよ? あたし達の子供は、夢子よりも元気だからな?」
「いいよ。わんぱくでも優しく強い子に育てような?」
「っ……うんっ!」
この時クリスは内心でこう思った。
―――何人産んでやろうかな、と……。
「もう出てきていいよ」
俺はクリスが幸せそうに意識を手放したのを見届けてベッド下へ声をかけた。するとゆっくりとヴァネッサさんが這い出てきた。ただし全裸で。
「ヴァネッサさん?」
「シキ、さん……」
褐色のヴァネッサさんの裸は、何というかエキゾチックな魅力に溢れていた。乳首が淡いピンクだから余計映えるし、汗の珠がおっぱいの上やその谷間にあって何とも言えずエロい。
「それで、どうかな? これでもまだ抱かれたい?」
「…………これで、答えとさせてください」
そう言ってヴァネッサさんは上気した顔で両腕を動かすとマンコを開いて見せてきた。綺麗なサーモンピンクの花弁がいやらしく蜜を流して雄を誘っている、そこを。
「分かった。じゃあ、こっちへ来てくれ、ヴァネッサ」
「っ……はい」
名前で呼び捨てる事で俺の覚悟というか気持ちを伝える。それが分かったのか、ヴァネッサは小さく震えると嬉しそうに笑みを浮かべて近付いてきた。
それにしても、褐色ってエロいなぁ。今まで抱いてきた女性達はほとんどが色白と言うか肌色だったから、かなり新鮮な眺めだ。
それと、やっぱり色黒ってどことなくビッチなイメージあるからかエロスの化身って思ってしまう。
特に乳首や唇がピンクだから目が惹き付けられるし。
「シキさん……」
「ヴァネッサ、目を閉じて」
「はい……んっ」
ベッドから立ち上がり、ヴァネッサを優しく抱き寄せてキスをする。まだ舌は入れない。これがファーストキスかもしれないと思って。
「どう? 俺とのキス、嫌じゃない?」
「はい。とても、その、嬉しくなりました。その、もっとしても?」
「勿論。ヴァネッサの気の済むまでしてあげるよ」
「嬉しい……んっ……んんっ」
もう一度キス。ただし、今度はしながら優しくおっぱいを触ってみる。すると、少しだけヴァネッサから驚きのような声が出た。
けれど、嫌がる素振りはなく、むしろもっと触って欲しいとばかりに体を押し付けてきた。ならばと、触る手をもっと大胆に動かしてみた。
揉んだり撫でたり、乳首を弾いたり摘んだり。そういう事をしながらキスを続けていると、気付けばヴァネッサの手がチンポへと伸びていて扱き始めていた。
「……ヴァネッサ、もしかしてもう入れたいの?」
「はい。だって、ずっとシキさんとクリスちゃんの声を聞かされてたんですよ? 私も知りたいんです。シキさんのもので、私の中を突かれるのがどれ程気持ちいいのか。セックスの快感がどれだけ凄いのか」
「分かった。でもヴァネッサ、これだけは覚えて欲しいんだ」
「何ですか?」
キョトンとした顔でこちらを見つめるヴァネッサに思わず笑みが浮かぶ。さっきまで妖艶な顔をしていたのに、一瞬でこういう顔に戻るんだから可愛いもんだ。
「恥ずかしいかもしれないけど、チンポとかオマンコって言って。ヴァネッサが恥らう顔や声を俺は聞きたいし知りたいし、何より見たいんだ。君の全てを、俺に曝け出して欲しい。俺も、君に全てを曝け出すつもりだから」
「全てを……曝け出す……」
「そうだよ。俺はね、一度でも抱いたら本気になるんだ。ヴァネッサ、もう君は俺の奥さんになるんだからな? それが嫌なら部屋から出てくれて構わない。抱いたら、もう後戻り出来なくなるぞ」
言いながらどこかで分かっている。もうヴァネッサは後戻りはしないだろうと。だけど、それでも確認しないといけない。これはただ抱かれるだけじゃない。
ここで俺に抱かれるって事は、俺の奥さんになってもらうと同義であり、その人生を預けてもらう事なのだと分かってもらわないといけないからだ。
少しの間、ヴァネッサが黙り込んだ。その眼差しは俺をずっと見つめ続けていた。まるで、俺の本気度を探っているかのように。
やがて、ヴァネッサが目を閉じた。そして俺の胸へ顔を埋めて抱き着いてきたのだ。
―――今夜は初めて尽くしです。異性とのキスにハグ、それにプロポーズなんて……幸せ。
それが何よりの答えだ。そう判断した俺は、ヴァネッサの事を強く抱き締めて改めて本心を伝える事に。
「俺はいつ奥さんになってくれたとか関係なく愛するつもりだ。でも、もしそう感じられなかったら言ってくれ。可能な限りその寂しさや不満をなくせるように頑張るから」
「……はい、シキさん」
俺の言葉に静かに頷いてヴァネッサは顔を上げる。それがキスを望んでいるのだと分かり、俺はそっと口付けた。
ヴァネッサはそれに嬉しそうな感じで体を押し付けてくれる。ただ、こちらを見つめる眼差しは艶めき淫靡な雰囲気を醸し出していた……。
「ああんっ♡ す、凄い……っ♡ 初めてなのに痛くないわぁ♡」
私の声がお風呂場に反響する。ここはシキさん用の浴室。クリスちゃんが寝てる事もあって、シキさんが場所を変えようと提案。しかも、ここでシキさんがセックスするのは初めてだと言われた。
―――ヴァネッサにも、何か俺の初めてをあげたくてね。
照れくさそうにはにかんだシキさんは、まるで少年のように見えて胸が高鳴った。そして、私は今、足を伸ばすように座るシキさんに跨る形で繋がっていた。
シキさんのチンポはとっても硬くて大きくて、何よりも逞しくて素敵。思っていた以上の快感を私へ教えてくれていた。
それにしても、処女喪失は痛いと聞いてたけど、散々自分で自慰をしていた事とシキさんに愛撫してもらった事もあってか、痛みなどない上に今まで体験した事のない程の強い快楽を体験出来ている。
「俺も凄く気持ちいいよ。ヴァネッサの中、トロトロで熱々だな。それにおっぱいもこんなに……あむっ」
「あんっ♡ ち、乳首気持ちいいですっ♡ はぁん♡ あ、あったかいのが流れてきたぁ♡」
シキさんが乳首へ吸い付いた瞬間からあったかい感覚が流れてきた。これは、あれだ。神の力と呼ばれている温もりだ。
「ちゅぱっ、れろれろ……かりっ」
「ひゃぁぁぁんっ♡」
乳首をシキさんが軽く噛んだかと思うと、その刺激にあのあったかさが加わって流れてきた。むず痒いような、気持ちいいような、不思議な感覚に声が裏返る。
そのままシキさんは私の乳首を舌で転がしたり、甘く噛んだり、指で摘んだり弾いたり、とにかく胸を愛撫し続けてくれた。
じんわりとあったかくなっていく体と心。そのせいか、気持ちいいから動かしていた腰がいつの間にか勝手に止まってシキさんに抱き着いていた。
「シキさん……私、本当にいいんですか? このまま女の幸せ掴んでいいんですか?」
何となく怖くなってきて、私はシキさんの顔を胸に埋めながら問いかける。もうシキさんも私の胸への愛撫を止めていた。
「何が幸せかはその人が決める事だから、俺にはこう言う事しか出来ないよ。幸せになっちゃいけない人はいないってね」
「幸せになっちゃいけない人はいない……ふふっ」
私の胸から顔を出してシキさんはそう言った。その言葉があったかくて、嬉しくて、でもシキさんが真面目な顔して私の胸元から見上げてるのがおかしくて。そう思って笑うと、シキさんも優しく微笑んでくれた。
「うん、やっぱりヴァネッサも笑顔が一番綺麗だよ」
「っ♡」
ズルい! 今、私の心ががら空きになった瞬間にそんな攻撃を仕掛けてくるなんて。しかも、胸が高鳴った私へシキさんは優しいキスをしてきた。
優しいキス。それを何度も何度も繰り返す。でも、それが少しずつ熱を帯びてきて、気付けば私の口の中へシキさんの舌が入ってきた。熱くて激しい舌の動きへ私は無我夢中で合わせるように舌を絡めていった。
舌を絡め合う。ただそれだけなのに、私はとても幸せな気分に満ちていた。でも、その理由はすぐに分かった。私は、シキさんと舌だけではなくて性器同士でも繋がっているためだと。
私の中でシキさんがずっと動いてくれていた。愛してるよ。君が欲しい。そう叫ぶように舌もチンポも動いてくれていたのだから。
「っぷはぁ♡ シキさん、私、貴方に会えて良かった♡ あんな体にならなかったら貴方に会えなかったと思うと、あの事も良かった事に思えるんです♡」
「それは嬉しいな。でも、俺の前にエルザちゃんやミラアルクちゃんに会えなかったって事、思い出さないなんで酷いんじゃないか?」
「ああっ♡ そうだった♡」
「じゃ、二人に謝ろうかヴァネッサ。チンポを咥え込んだら二人の事を忘れてしまってごめんなさいって」
「はいっ♡ ごめんね、二人共っ♡ お姉ちゃん、チンポを咥え込んだら二人の事忘れちゃったの♡ シキさんの事だけ考えるダメお姉ちゃんになっちゃったのぉ♡」
「違うだろヴァネッサ。俺のチンポの事だけしか考えられないスケベ女だ。さ、言ってみて?」
「ああっ♡ 私はぁ、シキさんのチンポの事だけしか考えられないスケベ女なのぉ♡」
言って自分で興奮していくのが分かる。でも、言わされているのは本当の事。今の私はチンポの事ばかり考えるエッチな女にされているもの。
エルザちゃんもミラアルクちゃんの事さえも忘れ、ただシキさんとセックスする事だけしか考えられないダメなお姉ちゃん。ああっ、本当にいけない。この発想でも感じてしまう!
「ヴァネッサ、とてもいやらしい顔をしているよ。今の顔を二人が見たら何て言うんだろうね?」
言われた瞬間、二人がどんな表情をするかを想像してしまう。今の私を見て、絶対二人は悲しそうな顔をするだろう。
―――ヴぁ、ヴァネッサ? どうしたでありますか……?
―――な、何でそんな事して嬉しそうなんだよ。いつものヴァネッサらしくないぜ……。
頭が、一瞬にして冴える。思考が一気に普段のものへと戻る。でも、それを見たシキさんが少しだけ腰を動かしただけで……
「ああんっ♡」
子宮を揺らして私をすぐに駄目な女へ戻す。その私を見てシキさんが悪戯を成功させたみたいに笑った。
「ヴァネッサは本当に可愛い反応してくれるね。ずっとそのままでいて欲しいよ」
「し、シキさん酷いです♡ エルザちゃんとミラアルクちゃんを使って私をいじめるなんてぇ♡」
「ごめんごめん。どうしてもエッチしてるとSっ気が出るんだよ、俺」
そう言うとシキさんは私の体を抱き締めてこう囁いてきた。
―――本当に嫌だったなら謝るから。嫌な気持ちにさせたのならごめんな?
シキさんは本当に優しくてあったかい人だ。心から私に申し訳ないって思ってるのが伝わってくる。
そうだ。この人は私の辛かった事を良かった事へと変えてくれた人だ。ううん、そう考える事が出来るようにしてくれた人だ。
もうそうとしか思えなかった。体を元に戻してくれただけじゃなく、エルザちゃんやミラアルクちゃんと一緒に暮らしていけるようにしてくれた人。何もなかった私達へ服や食事や仕事を与えてくれた人。
神様のような力を持っているのにとっても優しくてあったかくて、少しも威張ったり偉そうにしたりしない、本当にどこにでもいそうな普通の人。
だけど、こうして複数の女性を本気で愛して貫ける、強くて頼もしい人だもの。私の初恋の人が運命の人って思うのは、ダメかしら?
「シキさん。私、貴方を運命の人って思っていいですか?」
「運命の人、か。別に構わないと思うよ。ヴァネッサが俺の事をそう思ってくれるのは。ただ、俺はこう思いたいかな。ヴァネッサは、俺が世界中で一番守りたい人達の一人だって。運命とかじゃなく、心から大事に思える存在なんだってさ」
「運命じゃない……心から大事に思える……」
何となくだけど、その言葉にシキさんなりの信念みたいなものを感じた。運命は運ばれてくるもの。つまり自分でどうにかしている事だけではないものだ。
だから、シキさんは運命の人という表現を避けたんじゃないかしら。でも意味合いとしては似ている表現として心から大事に思える存在と私を定義してくれた。
目に見えない力なんて関係なく、自分で感じて、想って、だから愛しているんだと、そう伝えたいのかもしれない。
「ヴァネッサ、俺は運命を否定したいんじゃないんだ。ただ、それだけで終わりたくないんだよ。運命を掴み、あるいは切り開いてものにする。そう考えていきたいんだ、これからも」
「シキさん……」
「君の運命の人はもしかしたら他にいるのかもしれない。だけど、こうなったからには俺は君にとっての一番大事な異性になってみせるから。もし君の前に運命の人が現れたとしても、君が俺をずっと傍にいて欲しい人と言ってくれるように」
ああ、何て情熱的で強い想いなんだろう。たった一度肌を重ねただけでこの人はそこまで言ってくれるんだ。私の初めてを、この疼きを、たった一度の事で終わらせるつもりはないとそう言い切ってくれたんだ。
「さて、こういう話はここまでにしようか。ここからは……っと」
「あっ♡」
グリッと私の子宮を揺らすようにシキさんが腰を動かす。その甘い痺れに私の思考が一瞬で射精されたいという想いで染め上る。
「ヴァネッサ、確認しておくよ。俺の子、産んでくれるんだよね?」
「……はい♡」
噛み締めるようにそう答えると、シキさんは私へこう言ってきた。
―――もしこれで身籠ったら、ヴァネッサは俺の初めてを二つゲットする事になるな。
その意味を理解して、私はその場で絶頂してしまった。だって、シキさんの顔は言葉とは裏腹に絶対妊娠させてやるって顔だったから……。
「ジュルルっ♡ ……っぱ♡ シキさんのチンポ美味しいっ♡ いつまででもしゃぶっていられるわぁ♡」
「だ、ダメぇ♡ 乳首吸いながら神の力流すなぁ♡ ああっ、出る……っ♡ おっぱいミルク出ちまうっ♡」
男性用浴場で繰り広げられる光景。それは、シキへ授乳するかのように胸を吸わせているクリスと、彼のペニスを乳房で挟みながらしゃぶるヴァネッサの姿だった。
ヴァネッサがシキに膣内射精されたところで意識を取り戻したクリスが合流すると、ヴァネッサの口で射精の名残を綺麗にしているシキへこう言ったのだ。
―――嗅ぎ慣れない匂いがしてたけど、そいつのかよ。てか、やっぱシキの女になっちまったんだな、そいつも。
そう言ってクリスは、無意識のままシキのペニスをしゃぶっていたヴァネッサへ呆れつつも納得するような笑みを向けたのだ。
そしてしばしの後、今に至る。湯船に浸かったシキへ大きな乳房を差し出してクリスは喘ぎ、彼の両脚の間に体を沈めて反り返るペニスを二つの豊かな乳房で挟んで咥えるヴァネッサという形に。
(あ~、最高だこれ。授乳手コキならぬ授乳パイズリフェラとか。しかもクリスっぱいから母乳出るようになってるし、ヴァネッサのおっぱいの感触とぎこちない感じのフェラも堪らんなぁ)
了子とフィーネは夢子を出産したから母乳が出るのは当然であったが、クリスに至っては何故母乳が出るのかはシキの中で浮かぶ答えは一つしかない。
今回クリスとセックスする中で愛撫中に神の力を乳首から流した事、その一点に尽きるのだ。しかも、ヴァネッサの乳首からもクリス程ではないにせよ母乳が流れ出ている。こうなればもう原因は一つしかない。
「きゃっ♡ すごぉい……とってもあったかくていい匂い♡ はぁんっ♡」
「あああああっ♡ シキにおっぱいミルク吸われてるのにチンポミルク浴びてイクぅぅぅぅぅっ♡」
ヴァネッサの顔や胸、髪へとかかる大量の精液。褐色の肌が白濁に染め上げられていくかのような光景に、シキは興奮して更にその白濁を放つ。
それらはフィーネの母乳を飲んだ際にも起きた現象。それに加えてシキ自身の意思まで作用した射精から放たれた精液はずっしりと重い。それを浴びて、ヴァネッサはあろう事か微笑んでいた。
そしてその余波はクリスへも降り注ぐ。それを浴びたクリスは突然の降精に震えた。ただそれは驚くのではなく歓喜の震えだったが。
そんな二人は対照的な反応を見せながらも同じ現象を引き起こす。そう、その乳首から母乳を噴射したのだ。
「っぷは。クリス、大丈夫か? もし大丈夫ならヴァネッサと位置を代わってくれ」
「だ、だいじょーびゅ♡ しゅ、しゅぐきゃわるぅ♡」
「じゃあ頼む。ヴァネッサ、今度はヴァネッサのミルクを飲ませてもらうからな?」
「はい♡ 好きなだけ飲んでくださいね♡」
そうしてシキがヴァネッサの淡いピンクの乳首へ吸い付いた頃、キャロルとエルはそれぞれのベッドの上で横になっていた。
二つのベッドの間にはパーテーションがあり、その気になれば部屋を二つに分ける事が可能になっている。だが、それが使われた事はあまりない。何せ、それが活躍するのはどちらか一方が夜更かしする時のみなのだ。
これは、二人が夜更かししないという事ではなく、夜更かしする場合二人揃ってする事が常であるという事である。
「ね、キャロルぅ……」
「……何?」
天井を見上げたまま、エルがキャロルへと声をかける。その声は寝ようとしていたためか、どこか普段よりもぼんやりとしている風にキャロルには聞こえた。
「今日、司令とアダムさんが来てたねぇ……」
「そうだね」
「何で……来たんだろ……?」
「……何か司令に話があったんだと思う。あの二人が話を出来る場所なんて家ぐらいしかないから」
話している内にエルの声が眠そうなものになってきた事を感じ取り、キャロルは小さく笑みを浮かべてそう返した。普段から眠そうに見えると言われている妹らしいと思いながら。
「そっかぁ……そうだよねぇ……」
「うん、そうだと思う」
声に力がない事に気付いて、キャロルはチラリと視線を横のベッドへと向ける。そこにいるエルは、今にも寝そうな雰囲気で目を閉じていた。そんな様子にキャロルは小さく微笑み、顔を戻して目を閉じる。
「エル、もう寝よう」
「……うん」
「おやすみ」
だが、そのキャロルの言葉にエルの声は返ってこなかった。代わりに聞こえてきたのは小さな寝息。それにキャロルは微かに苦笑して目を開けて横を見た。
「すー……すー……」
「ふふっ、可愛い」
エルは顔をキャロルのベッドの方へ向け、その愛らしい寝顔を見せていた。それに思わずそう呟いてキャロルは恥ずかしそうに口を両手で押さえた。
「……今のって、自画自賛だよね」
内心でエルの寝顔を可愛いと思った瞬間、自分と同じ顔をしている事を思い出して強烈に恥ずかしさが込み上げてしまったのだ。
顔が若干熱くなるのを感じてキャロルは目を閉じて急いで眠ろうとする。が、そうして少しした辺りでポツリとこう呟くのだ。
―――アダムと司令、一体何の話をしたんだろう……。
「っと、うし。目覚まし前に起きれたぜ」
ウチの目の前で静かに時を刻んでる目覚まし時計を見つめ、ふと違和感に気付いた。
「ヴァネッサがいない……? なんだよ、もう先に起きてるのか。まぁ、大方寝惚けて目覚ましは止め忘れたんだな」
ウチらのお姉ちゃんを自称するヴァネッサだけど、朝が弱いせいで大抵起きるのはウチらの中じゃ一番遅い。ふと目を動かせばエルザはまだ小さな寝息を立てて寝てる。
起こすのは止めとくか。ファラ達もエルザにはちょっとだけ甘いから大丈夫だろ。
「さて、じゃまずは顔を洗ってくるか」
フェイスタオルを一枚用意して部屋を出る。ドア近くの靴箱から仕事用のスニーカーを取り出して足を入れると、丁度ウチが向かおうとしてた方から誰かが来る。
「あらぁ、誰かと思えばミラアルクじゃない」
「ガリィか。おはようだぜ」
バッチリメイド服を着たガリィがウチの顔を見て意外そうな顔をした。ま、そうだよなと納得する。基本目覚ましが鳴ってからしかウチらは起きないし、鳴って起きるのはウチよりもエルザの方が多いんだよな。
「はいはい、おはよう。で、他の二人は?」
「ヴァネッサはもういなかったから起きてるはずだぜ。エルザはまだ寝てる」
「そ。じゃ、丁度良かった。ミカはまだ稼働してないから洗濯物あればかごの中に入れときなさい。使ったあとのそれとかね」
「おう、そうするぜ。じゃ、また後でな」
軽く手を振ってウチは歩き出す。多分だけど、雰囲気的に昨日の夢子当番はガリィだったんだな。にしても、徹夜が何でもないってのはさすがオートスコアラーだぜ。
ウチはさすがにやりたくない。でも、きっと自分が母親になったらやらないといけないんだよなぁ。ま、今のとこそんな予定もなけりゃ相手もいないけど。
脱衣所へ入って洗面台で顔を洗う。それにしても、了子さんは夢子の母親だけど夜泣きとかの対応はガリィ達に任せてるんだよな。
それで泣き止む夢子が偉いのか、ガリィ達を信じて任せてる了子さんが凄いのか分からないぜ。ウチだったら……多分任せるのは気が引けるから自分で何とかするだろうし。
「っは! あー、さっぱりしたぜ」
顔を洗い終われば完全に目が覚める。さてさて、今日も一日頑張るとするぜ。
そう思って脱衣所を出て物干し台近くへ向かう。使ったフェイスタオルを洗濯かごの中へ入れて来た道を戻る。
「ん? ヴァネッサ?」
すると少し先の辺りをヴァネッサが歩いてるのが見えた。位置的に脱衣所から出てきただろうから、朝風呂でも浴びてたってとこか。
「おーい、ヴァネッサ」
「ん? あら、ミラアルクちゃん。おはよ~」
こっちの声に振り向いて手を振るヴァネッサだけど、やけに上機嫌だな。いくら朝風呂浴びたからってここまで朝からテンション高いのは珍しい。
「おう、おはよう。朝風呂?」
「そうよ。本当に贅沢な気分になるわ」
「ま、気持ちは分かるぜ。にしても、今日は珍しく早起きしたんだな」
「え? え、ええ。何だか目が覚めちゃって」
ウチの言葉にヴァネッサが若干狼狽えた。何だ? 何かあったのか?
「そっか。なら目覚ましを鳴らないように止めていってくれよ」
「ごめんね。お姉ちゃんそこはうっかり忘れちゃったの。さっきそれを思い出して、しまったなぁって思ってね」
「ったく、ヴァネッサらしいぜ」
両手を合わせて申し訳なさそうにするヴァネッサを見て、ウチはらしさを感じて安堵する。さっきのはそういう事だったか。
そこから揃って部屋へ戻るとエルザが起きたところだったらしく、眠そうに目を擦っていた。それでも布団を畳んで運び出せるようにしてる辺り、すっかりここでの暮らしに染まったって感じだぜ。
「……おはようであります、ミラアルク、ヴァネッサ」
「おう、おはようさん」
「おはようエルザちゃん。布団干しに行きましょうか」
「はいであります」
「うしっ、今日もしっかり働くとすっか」
こうしてウチらはそれぞれの布団を抱えて部屋を出た。途中で話す話題は家事手伝いの割り当てをどうするか。
ウチらはそれぞれ自分達で炊事・掃除・洗濯を一週間交代で選ぶ事になっていた。で、今日がその一週間の初めなんだぜ。
「エルザちゃん、どうする?」
「私めは今週も炊事がやりたいであります」
「じゃ、ウチは洗濯にしとくぜ」
「じゃあお姉ちゃんは掃除ね」
ま、それも最近はエルザがすっかり炊事固定となりつつあるけどな。どうもシキや了子さんから褒めてもらえる事が嬉しいらしい。
一度冗談で了子さんが「お母さんって呼んでもいいのよん」と言った時、エルザの奴本気であたふたしてたし、こりゃ本気であの二人を両親みたいに見てるかもしれないぜ。
ウチはさすがにそういう事はないけど、あの二人が両親みたいに思える事はない訳じゃない。特に夢子がいる時の二人は半端ない程親って感じだしな。
……ま、当たり前か。親、なんだもんな、あの二人は。
その後布団を干して、エルザが一人先にキッチンへ向かった。よっぽど手伝いをしてみんなに褒められたいらしい。
ウチとヴァネッサはそんなエルザの背中を見送りながらゆっくりリビングを目指して歩く事に。ただ、その途中で寝起きだろうシキと出会った。
「おはよ、二人共」
「おはようさん。てか、シキ、今」
ウチが寝惚けた顔したシキを軽く茶化そうとした時だった。ウチの横にいたヴァネッサが軽く駆け出してシキの前まで行ったかと思うと、その頬を両手で触れたんだ。
「ふふっ、眠そうな顔してますよシキさん」
「あー、まぁ実際眠いからね。ついさっきクリスに起こされたとこだし」
「もうっ、ダメですよ? お父さんがそんなんじゃ、夢子ちゃんが成長した時に示しがつかないですから」
「了子達と同じ事言わないでよ。俺もそれは分かってるから。何とか夢子が物心つくまでには、目覚ましを静かにさせて眠る事はしないようにする」
「そうしてくださいね、お父さん?」
「へ~い」
ウチの目の前で展開される光景に言葉がない。いつの間にヴァネッサはこんなにシキへ気安い感じで接するようになったんだ? ウチの知らない間に親しくなったのか?
戸惑うウチの前でヴァネッサはどこか寝惚けてるシキに苦笑し、あろう事かその腕を掴んで来た道を戻り始めたのだ。
「え? ちょっ、ヴァネッサどこ行くんだぜ?」
「今のシキさん、ちょっと危ないから一緒についていくわ。ミラアルクちゃん、悪いけどそういう事だからファラ達への説明よろしくね」
「大丈夫だってのに……」
「ダメです。寝惚けた人間は何をしでかすか分かりません」
楽しそうに笑って離れて行くヴァネッサ。引っ張られる形になったシキは、寝惚けた顔だけどどこか諦めるように笑ってた。その様子がまるで夫婦か恋人みたいに見えてウチは首を捻るしかない。
「何かヴァネッサの奴、急にシキへベタベタしだしたな?」
ホント、一体何があったんだと思うけど、今はそれよりもエルザと一緒に朝食の手伝いが優先だ。それと、ヴァネッサがいない事の説明もしないとだしな。
でも、一度だけウチは後ろを振り返った。そこには、もう引っ張られる事から解放されたシキと寄り添うように歩くヴァネッサの後ろ姿があった……。
朝食の後片付けを終えて次は昼食の買い物だと、そう思っていたところでキャロルとエルに話があると言われて、私めは今二人の部屋にお邪魔していた。
「それで、話というのはなんでありますか?」
「えっとですね」
「エルザは父さんの事を父親にしたいの?」
「ええっ!?」
と、突然聞かれたのはまさかの事でありました。た、たしかに私めはシキさんと了子さんを心の中で密かにお父さんお母さんと呼んでいるでありますが、それを表に出した事はないであります。
なのに、どうしてこんな事を娘である二人から聞かれるんでありますかね? も、もしかして気付かない内に口に出してたでありますか!?
「エルザさん、もう知ってると思いますが僕らは父さんの実の子じゃありません」
「は、はいであります。それはもう聞いているであります」
聞いた時は本当に信じられない事だったでありますが。だって、とても仲良くしていたでありますし、何より、自分の事を父さんと呼ぶ二人をシキさんは本当に優しく温かい目で見つめていたから。
「だから私達はエルザが父さんの事を同じように呼ぶようになってもいいの。もっと言えば、私達と義理の姉妹になってもいいなら手続きして養子にしてもらえるから」
「養子、でありますか?」
「はい。僕らもエルザさんが……姉になるのかな?」
「そう、だね。多分エルザの方が見た目としては年上じゃない?」
「わ、私めが姉でありますか?」
ど、どうしたらいいでありますか? まさかこんな事になるなんて思わなかったであります。シキさんと了子さんをお父さんお母さんに出来るだけじゃなく、キャロルとエルなんていう妹まで出来るなんて……
「エルザ、どうする? もし本当にその気なら、私達からも父さんへ言ってあげるけど……」
「急ぐつもりはありません。それと、僕らも母さんもエルザさんが本当の意味で家族になるのを歓迎します。きっと父さんもです」
「本当の……家族……」
そこでミラアルクとヴァネッサの事を思い出した。二人はどうなるでありましょう。私めだけがシキさん達の本当の家族になったら、二人はここを出て暮らす事を早めてしまう気がするであります。
結局私めは断る事も頷く事も出来ないまま部屋を後にした。とぼとぼと廊下を歩きながら、ずっと考えるのはさっきの話。
シキさんと了子さんが両親になってくれ、キャロルとエル、夢子まで妹になってくれる事。それは、とても幸せで嬉しい事であります。
でも、ミラアルクとヴァネッサの事を考えると頷く事は出来ないであります。きっと二人は私めの好きにすればいいと言ってくれるでありますが、あの辛く苦しい時から三人で支え合ってきた以上、幸せになるのなら三人一緒がいいのであります。
「三人、一緒……」
ふと足が止まった。本当にいつまでも三人一緒でいいのでありますか? あの頃は三人で支え合わないと辛かったからでありますが、今はヴァネッサもミラアルクも私めも一人でいても平気であります。
シキさんはここで働いてお金を貯めながらいつか出て行ってもいいと言ってくれたでありますが、考えてみれば何も出て行く必要はないようにも思うであります。
―――私めが、ここで一生暮らすと決めても、いいんでありますか?
その呟きに、返ってくる答えはない。だけど、どうしても私めはそこから足を動かす事が出来ない。家族だと思っていた二人よりも、もっと深く家族となれる人達が出来ると言われて私めはどうしていいのか分からなくなった。
結局ミラアルクが声をかけてくれるまで、私めはそこに立ち尽くし続けた。何も選ぶ事が出来ないままで……。
「では、司令。お先に失礼します」
「ああ、お疲れさん」
「うし、俺もお先に失礼します」
「おう、お疲れ」
弦十郎へ声をかけ、あおいと朔也が発令所を出て行く。その二人を見送り、了子が口の端を吊り上げて笑う。それは言うなれば魔女の笑みだろうか。
「母さん、悪い顔してる」
「そお? そんな事ないと思うけど」
「友里さん達、最近よく一緒に帰ってますよね」
嗜めるようなキャロルに笑みを崩さぬまま対応する了子だったが、エルが告げた無意識からの本題にその笑みを深くする。
「そうよねぇ。やっぱりエルもそう思うわよねぇ」
「え? う、うん」
「あの二人、本当に付き合っているのか?」
若干怖がるようなエルの反応を見て弦十郎が口を挟んだ。正直興味のない話ではあったが、このままではエルが了子に遊ばれるだろうと思っての行動だった。
「みたいよ。とはいっても恋愛関係ではなくてまだお友達みたいなものらしいけど」
「それでも意外だな。あいつらの事だから、結局そういうのは別の相手をと考えるかと思ったんだが」
「甘いわね。この職場の愚痴なんて聞かせられる相手も内容によっては限られるじゃない。しかも、同僚でも立場や部署によって言える事言えない事もある。となったら、あの二人は?」
「そういう事を考えずとも愚痴を言い合える相手、か。成程な」
合点が言ったとばかりに頷き、弦十郎は顎へ手を当てた。彼もそういう意味では腹を割って話せる相手は限られているのだ。それも、一切の気遣いなどをしなくてもいい相手となれば、もう片手で足りるぐらいしかいないと言える。
(八紘兄貴か要、か。アダムとは……互いに組織の事は言えない事もあるだろうし……)
実は弦十郎はアダムと連絡先を交換していた。それは非公式なホットライン。エルとプレラーティの繋がりと同じく、あくまで私人としてのものであり、使われる事も頻繁ではない一種の緊急連絡先ではあるのだが、残念ながらあの一件のため、今後しばらくは使用頻度が高くなるだろう事は確定している。
「でも、最近友里さん、藤尭さんの事、よく話しますよ」
「藤尭の方もかな。生憎色恋かどうかは分からないけど、二人して意識し出しているのは間違いないかも」
「あらあら、これはひょっとするとひょっとするかしら?」
「おいおい、この前はああ言ったが、もしこれであいつらが夫婦となったら、俺の肩身が狭くなるんだが」
「なら司令も相手を探してみれば? 誰か気になる異性はいないの?」
キャロルがそう問いかけた瞬間、弦十郎は一瞬目を閉じて首を横に振った。
「いや、残念ながら今はいないな。後悔する気はなかったが、どうやら色恋に関しては俺もまだまだ未熟者のようだ」
その言葉にキャロルは何かを悟ったかのように息を呑んだ。今は。つまり過去にはいたと言う事だ。それも、雰囲気からすれば死んだという悲しい出来事ではなく、振られたかあるいは相手が誰と付き合っているという事だろうとも。
「……そうなんだ。なら、いっそエルでももらってみる?」
「きゃ、キャロルっ?!」
「エルフナイン君を、か。俺では父親のようなものだが、いいのだろうか?」
「し、司令までやめてください! ぼ、僕はまだそういうのは、その……あぅ」
キャロルの言葉に立ち上がり真っ赤な顔で慌てるエルだが、その脳内で花嫁衣裳の自分を想像したのか恥ずかしそうに席に座ると、そのまま黙って俯いてしまう。
その脳内では、成長した自分が弦十郎の腕に抱かれてブーケを持って微笑む光景が流れていた。まるでブライダル関係のCMのようなそれは、まさしく彼女が見たCMままのシチュエーションだった。
(け、結婚なんてまだまだ遠い話だけど、司令だったら父さんも納得してくれるだろうし、僕の仕事も理解してくれてて……)
以前はまだ遠い話と言ったエルだったが、純粋な彼女は具体的な相手や状況を突き付けられるとそのシミュレーションを行ってしまう。
その結果、結婚式だけで留まらず、その想像はその後の夫婦生活まで及んでしまい、真っ赤な顔はどんどん赤みを増していく一方であった。
そんなエルを横目で見てキャロルは小さく笑みを零すと視線を弦十郎へ向ける。彼は腕を組んでエルの事を微笑ましく見つめていた。
「司令、どうなの? 私の可愛い妹を本当にもらってくれる?」
「ん? いや、さすがにそれは無理だろう。年齢差もあるが、エルフナイン君が年頃になれば、それこそ相手になる方から声をかけてくるだろうしな」
「そこから選べばいい?」
「俺はもういい歳だ。同年代かせめて二十代ならともかく、さすがに十代は相手にするには問題が多い。それに、エルフナイン君なら適齢期になれば引く手数多は間違いない」
「まぁ、それについては否定しない」
ダウルダブラを纏った際に成人した自分を知っているからこそ、キャロルはやや複雑な表情で弦十郎の言葉を肯定する。エルも成人すれば見目麗しい姿となるのは明らかだからだ。
キャロルと弦十郎の会話を聞きながら了子は、一人自身の内にいるフィーネと愛しい義娘について話し合っていた。
(見て。あれ、きっと弦十郎君との結婚を想像してるわ)
(だろうな。ふふっ、ああしていると年頃の少女だな)
(キャロルはどうしてもこれまでの人生経験があるものね。エルはそういう意味では子供らしいもの)
(ああ。それにしても、エルが結婚となったらあいつはどれだけ慌てるだろうな?)
(相手が弦十郎君だったらむしろ納得するかもしれないわよ?)
(……違いない)
今よりも幾分老いた弦十郎を彼氏として紹介する成人したエルに、シキが項垂れるように頷く姿を想像し了子とフィーネは揃って笑う。ただ、きっとそんな未来はないだろうともどこかで思っていたが。
「失礼します」
そんな時、発令所にシキが顔を出した。彼はそこに自分の家族達の姿を確認するとやや呆れた表情になる。
「やっぱりここにいた。エル、キャロル、了子もそろそろ帰ってきてくれ。もうじき夕飯の時間だよ」
「あら、いけない。じゃ、弦十郎君また明日」
「ああ、お疲れさま」
「エル、帰るよ。司令、お先に失礼します」
「お疲れ。また明日も頼む」
「ま、待ってよキャロルっ!」
キャロルに声をかけられてようやく妄想の世界から帰還したエルは、赤い顔のまま了子達に続く形で発令所を出て行こうとして―――何かを思い出したように立ち止まると振り返った。
「し、司令!」
「ん?」
「えっと、僕は司令の事をおじさんなんて思っていませんから! それと、式はあと十年は待ってください!」
「式? エルフナイン君、それは」
「失礼しますっ!」
弦十郎の言葉を聞かず、急いで一礼するとエルは発令所を出て行く。閉まったドアを見つめ、弦十郎はどうしたものかと頭を掻いて、やがて小さく苦笑した。
―――ああいうところは要に似ているかもしれんな。血は水よりも濃しと言うが、想いは血よりも濃いのかもしれん。
シキ同様エルもまた、その純粋さ故に彼と同じように思いこみが強い人間となりつつあるのかもしれない。そう思って弦十郎は微笑む。
あの可憐な少女がいつか成長し誰よりも幸せな笑顔を浮かべられるようにと、そう願うように。
ベビーベッドで静かに眠る夢子。その傍ではレイアが椅子に座って見守っていた。場所は了子の自室。今夜の夢子担当はレイアである。
そんな彼女の手には空になった哺乳瓶が握られている。つい先程までぐずる夢子へその中身を飲ませていたのだ。
「……やっと寝てくれた。最近お母さんのミルクを飲まないと寝付いてくれないわね。でも、眠ってしまうと地味に静かで穏やかだわ。やっぱりシキが帰ってきてから夢子は夜泣きが減ったわね」
安らかな寝顔の夢子を眺め、レイアは小さく微笑む。了子も近くのベッドで寝ているので声量は当然控えている。
実際、この夢子の夜泣き時の備えは必要ないかもしれないと思われる程その出番は少なかったのだ。その出番が多かったのは、あのシキがさらわれていた時期だけであり、それ以外では一週間に二度あるかないか。
「とりあえず、何があってもいいようにまずは地味なエネルギー補給でもしましょう」
そう呟いてレイアは空の哺乳瓶を足元へ置くと、夜食用にと作っておいた自作のおにぎり(梅・おかか・海苔佃煮)を手に取り食べ始める。
「もきゅもきゅ……我ながら地味に美味しい。やはりおにぎりの王道は梅。派手な色と派手な酸味。ああ、でもおかかも捨てがたい。梅が王道ならおかかは正義。海苔の佃煮は……贅沢」
幸せそうな笑みを浮かべておにぎりを食べるレイア。そんな彼女の見ていない時に、夢子にある一つの異変が起きる。
「……もっと……もっと……」
寝言ではない。ただ、それを言い終えた時に異変は起きたのだ。とはいえ、それはほんの一瞬で消える程度のものだった。
そう、夢子の体が淡く光ったのである。さながら、神の力を発揮するシキのように……。
初めて三人揃っての休みが与えられ、彼女達は初めて仕事抜きで外出をする事になる。
楽しく過ごすかに思われた時間だが、ふとした時にされた問いかけがそれを変えていく。
女になったヴァネッサ、少女を脱し切れないミラアルク、子供になれないエルザ。三人の絆は、一体どうなってしまうのか?
淫姫絶頂したいフォギア「かばんの隠し事に込めたもの」
「三人一緒は、もう無理かもしれないわね……」
♡マークはアリかナシか
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アリ
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ナシ