※この作品はR-18です。

The Unlimited Horizon   作:白臼

3 / 102
第三話 プレイヤー(※)

 

 それは、目が眩むほど美しい満月の夜。

 

 「貴方のことは好きです、本当です。――――――愛していると言っても、いいです。」

 

 レースのカーテンで飾られた窓から煌々と月光が差し込んで、窓辺に立つ二人を照らしていた。

 

 「貴方が私のことを好いてくださっていることも知っています。愛しているということも知っています。――――――そして、私はそのことをとてもうれしく思っています。」

 

 一人は貴族服の男性。もう一人は可憐な衣装の少女。

 向かい合う両者のうち、少女が滔々と言葉を紡いでいた。

 

 「ですけど貴方が私にしたこと………しでかしたことを恨んでいないとは、言えません。あなたにとっては酷なことだとはわかっていますが、それが事実です。

ただ、恨んではいても――――――私は、うれしかったのです。私をそこまでして愛してくれる人がいるというその事実が。」

 

 どこまでも幻想的で絵画的な美しさの光景の中、当事者二人の表情はどこまでも苦かった。

 男はまるで裁判官に罪状を読み上げられる被告のようであり、少女はまるで神に己の所業を懺悔する罪人のようだった。

 そしてそれは実に正しかった。

 

 これは男にとって自らへの判決の時であり、少女にとっては罪の告白だった。

 

 「だからこそ――――――だからこそ、もう終わりにしないといけません。」

 

 少女が顔を挙げて男の顔をまっすぐに見据えた。

 

 「私達は――――――いいえ『私』は貴方と一緒にいることはできないのですから。」

 

 少女の眦から涙が一滴、頬を伝っていく。

 男はその涙を拭ってやりたくて右手を伸ばした。

 しかしその手は途中で行き場所を見失ったように宙を彷徨った。

 

 男はわかっているのだ。触れればこの手はきっと少女を掴んで離さないだろうと。

 それが何よりも、どうしようもなく彼の罪だというのに。

 

 「――――――貴方のことは好きです、愛しています。」

 

 少女は最初に言ったことを改めて繰り返した。

 

 「それは、本当なんですよ?」

 

 そう言って少女は微笑んだ。

 

 

 まるで月の下に咲く、青い薔薇のような微笑みだった。

 

 

******

 

 

 「………さん。………………オさん。」

 

 頭の中に靄がかかっている。

 体の中に泥が詰まっている。

 ただその感覚は決して不快なものではなかった。

 まるで温かいお湯の中に全身を漬け込んでいるような、体が半分溶けているような心地よさ。

 

 しかし、靄の向こう側から誰かが呼ぶ声がしていた。体を揺さぶる誰かがいた。

 故に不承不承ながら、半溶解状態にあった思考能力と身体感覚を総動員し意識レベルを一定以上に引き上げることで混沌(ケイオス)の海に散逸していた自我(エゴ)をサルベージして泥濘のごとき安息に訣別の時を告げた。

 

 要するに眠たかったけど頑張って起きた。

 

 「リオさん。」

 「………ご心配なく。今、起きましたから。」

 

 目を覚ました時に最初に視界に入ったのは男の顔だった。

 少し彫の深い西洋人らしい顔つき。おそらくは三十代くらいのはずなのだが、結構な美男子ぶりで二十台にも見えるようだ。

 彼は私――――――『リオ・オーガスタ』の顔を少し心配そうな表情で覗き込んでいた。

 

 「どうかしましたか?」

 

 私がそう尋ねると彼は手を伸ばして指先で頬に触れてきた。

 

 「いえ、リオさんが泣いていらしたのでどうしたものかと。」

 「泣いて………?」

 

 そう言われてから目をしばたたかせると瞼が濡れている感覚があった。

 目の前の彼――――――私の情夫(あいじん)の一人である『ラストル』は指先で目元の涙を拭ってくれた。

 

 ありがとう、と礼を言ってから身を起こし、記憶を引っ張り出して整理しなおした。

 私が今いるのは街の高級宿の一室だ。ベッドサイドのランプが橙色の明かりを周囲に投げかけてベッドの上の私たちの裸の体を照らしている。

 横に目を向けるとラストルと目が合った。

 

 「どのくらい寝ていましたか?」

 「五分と経っていませんよ。――――――正直、僕としてはもう少し寝ていただいてもよかったのですが。」

 

 そう言って彼はふふっ、と笑みを浮かべた。

 それほど寝ていないのなら私自身ほっとしたところがある。

 何せ今夜はオールナイトでセックスするつもりでいたし、そう宣言もしていたのだ。

 なのに言い出しっぺが先に寝落ちとか格好がつかないにも程がある。

 

 「五分ですか。ラストルさんの休憩のためにももう少し寝ていてもよかったかもしれませんね。」

 「えぇ、それに貴女の愛らしい寝顔をもう少し見ていたかったですし。」

 「………………。」

 

 そう言って変わらない笑みを見せつけてくるラストル。

 くそう、照れも衒いもなくそういうセリフを言ってくる相手は苦手だ。

 ちょっと胸が高鳴ってしまった。おのれ。

 

 「ただ、リオさんが泣いていたものでつい起こしてしまいました。ご迷惑なようでしたら謝罪します。」

 「そこまで恐縮しなくても結構ですよ。ただ――――――夢を見ただけですから。」

 

 私はそう言ってベッドサイドのテーブルに手を伸ばした。

 ウイスキーのロックが入っていたグラスは中の氷がすっかり溶けていた。

 ベッドの上に座ったまま片膝を立てて、膝を肘掛け代わりにしながら私はグラスの中身を口に含んだ。

 氷は溶けたがそれでも十分にウイスキーの水割りとしてなら問題はない。鼻に抜けるアルコールの香りを味わってから私はそれを飲み下した。

 

 「夢、ですか。」

 「はい、ただの夢です。」

 

 私の説明は端的なものだったが、ラストルはそれ以上聞いてこなかった。

 実のところただの夢、というよりは昔実際にあったことだが………。

 あの時のことはあまり他人に語りたいようなことでもないので、深く質問されないのはありがたかった。

 

 もう一口酒を飲んでいると彼がまた別の質問をしてきた。

 彼の声音にはどことなく恐る恐る、といった響きが感じられた。

 

 「少し、疑問に思ったのですけど………………リオさんは妊娠なさらないんですよね?」

 「………させたいんですか?」

 

 肩越しに彼の方を振り返って目を細めて笑う。

 私は片手に持っていたグラスを戻して、自分の下腹部を撫でる。

 触れればその奥に埋め火のように燻る熱があるのを感じていた。

 

 「ふふふっ、確かにあなたの言うように私は孕めませんよ?でも………………、」

 

 自分の手をもう少し下におろして股に触れた。

 じゅくじゅくとした熱と蜜を孕んだままの『そこ』から漏れるどろりとしたものを指で掬う。

 にちゃり、と糸を引く白濁の粘液。青臭いそれが纏わりついた指先を、ゆっくりと口に含んで舌で舐めた。

 

 「………今までできなかったからっていうのは、これからもできないっていう証明にはなりませんよね。――――――やってみます?私と種付けセックス………♡」

 

 自分の指先をしゃぶり、唾液と絡んだ精液を飲み下す。喉奥に落ちていく精子の感触と香りで鼓動が早くなる。

 もう一度ちろり、と下で唇を湿らせる。そして私はベッドのシーツを剥がしてラストルに手を―――――――――

 

 「いえ、申し訳ありません。そういう感じの話ではなくって。」

 「ぐはっ」

 

 思いっきり出鼻をくじかれた。ラストルの申し訳なさそうな表情が目に沁みる。

 なんということだ………ここは疑似孕ませプレイを所望されている流れかと思って一人で発情(ハッスル)していた私が痴女(バカ)みたいじゃないか………。

 私は痴女ではなくてただセックスが好きなだけの健全な冒険者なのに。

 

 「そういえば、『プレイヤー』の人と結婚して子供ができた人の話は聞いたことがないな、と思いまして。」

 「………えぇ、そうですね。私も聞いたことがありません。」

 

 気を取り直して話を切り替える。

 ベッドサイドのグラスを取って中身を飲むと、そこで空になった。

 少し逡巡して左の手首に着けたままの腕時計型の『端末』を起動させて『アイテムボックス』を開いた。

 そこから飲みかけのウイスキーのボトルを取り出して中身を注ぎ、飲みながら話を始めた。

 

 「知り合いの研究者から聞いた話ですが、我々プレイヤーはあなた方――――――我々が『現地の人々(ネイティブ)』と呼ぶ人々とは根本的に違うのではないか、という話です。」

 「根本的に、違う。」

 

 ラストルは私の言葉を確かめるように繰り返してから、体を起こした。

 そして自然な流れでこちらの肩に腕を回してくる。

 まったく気取ったところのない堂に入った紳士ぶりだった。

 私はそっと彼にしなだれかかって体重を預けた。

 

 「プレイヤーはこの世界に存在する多くの人間種族――――――ヒューマンを筆頭にエルフ、ドワーフ、リトルフット、リカント、ミアキス、コルノス、ウンカラといった種族と同様の姿と身体的特徴を持ちますが………、種族一般の常識まで一緒というわけではありません。」

 「はい、そうですね。魚嫌いのミアキスとか、定住するコルノスとか………そういう感じでしょう?」

 「そのようなものです。」

 

 要するにこれはプレイヤーが『プレイヤー(P)キャラクター(C)』を制作するときに選んだ種族の話だ。

 外見がどうあれ中身が現代の日本人なのだから、本当にその種族らしい振る舞いをするのは難しい。

 例えばエルフ族は多くが狩猟や採集による自給自足型の独自のコミュニティを築いて生活し他種族に対して排他的であることが多いが、エルフを種族として選んだだけのプレイヤーがそうした生活様式や態度まで受け継ぐわけではない。

 極端な話、都市部の食堂でドワーフと猥談をしながらラーメンを啜っているようなエルフがいたらそいつは十中八九プレイヤーである。

 

 「外見だけでいえば、他の種族と変わりはないんですけどね。………ただ外見が『変わらなさすぎる』、というのがむしろ大きな特徴といえるでしょう。」

 「僕もそう聞いています。本当に変わりませんからね………。」

 

 プレイヤーの最大の特徴―――――――――それは、歳を取らないことだ。

 

 この世界がゲームから現実へと変化して実に十五年。

 世界が切り替わったタイミングは同時だが、この世界に漂着した時期はプレイヤーによってまちまちになる。

 無論この世界での滞在暦が最も長いプレイヤーで十五年になるが、そういった面々もこの間全く外見年齢が変わっていない。

 

 「私がこっちの世界に来て五年になりますが、当時と全く変わりはありません。髪の長さまでです。」

 「そこまで変わらないんですか?」

 

 ラストルが私の髪を一房手にとった。

 金砂のようにするすると滑らかに指の間を流れていく長い髪。

 自身の外見(アバター)でもお気に入りの部分だが、少し鬱陶しくなってバッサリと切ったことがある。

 

 「………髪を切ったこともありますが、結局一週間と経たずに元通りでした。そしてこの長さまで伸びたらこれ以上は伸びません。」

 「僕は貴女の髪、とても好きですよ。」

 「ありがとうございます。」

 

 私の髪を指で梳きながらそんなことを囁いてくるラストル。

 耳元でそういう誉め言葉を言わないでほしい。勃起する。

 

 「―――とにかく年齢、髪型を始めとして様々な面で外観上の変化はプレイヤーに発生しません。この副次効果として回復能力の高さも特筆すべきでしょうか………。普通なら傷跡が残るような怪我でも治療をきちんとすれば残りませんしね。」

 「それはとても良い話です。貴女の綺麗な肌に傷がついたりしたら僕はとても悲しいですからね。」

 「………ありがとうございます。」

 

 私の頬を指先で撫でながらそんなことを囁いてくるラストル。

 耳元でそういう誉め言葉を言わないでほしい。濡れる。

 

 おかげで戦闘中に頭をカチ割られた話とか、腹に穴が開いた話とかがし辛くなった。

 

 「さて、いわゆる妊娠というのも外見上の変化の一環としてプレイヤーの体にはじかれる要素なのではないかと考えられていたのですが――――――それでは男性のプレイヤーが女性を孕ませることができない理由の説明にならないということで調査が進められています。」

 

 気を引っ張られないように話すことに集中する。

 

 色々と語っているが要は「プレイヤーの姿は設定された外見(アバター)を大きく外れない」というのがこれらの現象の根底にあると考えられている。

 だがそれでは男性プレイヤーが子供を作れないことが説明できないということで様々な実験と研究が行われた。

 

 「男性プレイヤーの精子を採取して調べたところ、精子自体は生きていたので機能自体に問題はないということが判明しました。しかし、これを女性の卵子と結合させても子宮内に着床せず、受精卵も分裂しないということが判明しました。

 女性プレイヤーの卵子を摘出して精子を結合させても同じことが起こります。脳下垂体や副腎皮質からのホルモン分泌にも異常は見られませんが、生殖機能は働いていないのです。」

 「………はぁ。」

 

 ラストルはやや理解できないような気の抜けた返事をした。

 このあたりの語句は現代社会の義務教育で十分習う範囲なのでプレイヤーは理解できる。

 しかし、そういった教育制度が整っていないこの世界においてはこういった知識はわからない人間にはとことんわからない。

 

 「要するに男性の側にも女性の側にも問題はありませんが、とにかく子供は生まれないのです。」

 

 なので、噛み砕いて結論だけ伝えておく。

 ラストルは難しい顔をしているが納得はしてくれたようだ。

 

 ちなみにこういった実験や研究は錬金術師(アルケミスト)の技能を持ったプレイヤー達が集まった研究機関が行っている。

 こうした現代知識と錬金術の技能を併せ持った人間は現在あらゆる分野で重用されており、その研究成果は今も着実にこの世界に浸透していっている。

 ちなみに出資者は例によって『商連』の連中である。彼らは金に成るとみれば金をつぎ込むことに躊躇がない。

 

 「ついでにいうとプレイヤーとプレイヤーとの間にも子供が生まれません。プレイヤー(わたしたち)は根本的に子孫を残す能力が欠如している――――――というのが研究者たちの結論です。」

 「それは―――――――――、」

 

 そこまで言ってラストルは言葉を飲み込んだ。

 おそらく、「それはとても悲しいことだ」とでも言おうとして思いとどまったのだろう。

 半端な同情は人を傷つけることだと思って口を噤んだのだ。

 人に共感できる優しさがあり、それを表に出さない優しさがある、彼はそういう優しさのある男だった。

 だから代わりにこういった。

 

 「不思議ですね、見た目は全く同じなのに。」

 「えぇ、ですから我々は外見が同じだけの全く別の生き物なのではないかという見解まで出ています。」

 

と私はそう締めくくって酒を飲み下した。

 研究者たちはこのあたりの解明のためには遺伝子の解読まで踏み込むべきだろうと考えているらしいが、今のところ研究はそこまで進んではいないようだった。

 

 「―――――――――でも、本当に不思議ですね。」

 

 そう言って私はグラスを置きなおして、彼の体に改めて身を寄せた。

 どことなくごつごつとした硬い男性の肌、男性の肉、男性の骨。

 それを確かめるように私は彼の胸板に指を這わせた。

 

 「体の分泌物や化学物質――――――女性ホルモンとかはちゃんと出ているのですよ?なのに孕む能力はない。」

 「ホルモン?」

 「………女の子らしさの源、というべきでしょうか。」

 

 男の胸に頬を寄せるようにして身を預けて、上目遣いに見上げる。

 難しそうな表情をしているラストルを見上げながら微笑んだ。

 そして彼の片手を取って私の下腹部にあてがう。

 

 「ねぇ、わかります?私のここ、さっきから男の人が欲しいって言ってるんです。これもホルモンのせいです。」

 「ホルモンの。」

 「えぇ、正確には――――――ホルモンを刺激する、あなたのせいですが。」

 

 思わず、頬が緩む。

 あぁ、まったく。今の自分はきっと獲物を見つけた獣のような目をしているに違いない。

 

 だが、仕方がない。

 こんなに男らしい腕で私を抱き寄せて、こんなに男らしい香りで私を包んでいる彼が悪い。

 さっきからずっと触れるか触れないかの羽箒のような繊細さで私の肌を撫でている彼が悪い。

 そういう風にして私に火をつけたラストルが悪い。理論武装完了。

 

 「うふふ………っ、ラストルさんのこれも、もう十分お休みしましたよね?」

 

 私は彼の顔を見上げながら、手を彼の股座に伸ばした。

 そこにある彼のペニスは半勃ち状態だった。まだ使えるとは言えない。

 

 「リオ、さん………」

 

 呻くように呟くラストル。

 私は彼の肉棒を掌でゆっくりとさすり始めた。

 軽く螺旋を描くように力を籠めずにあくまで優しく撫でるように。

 手の中で少しずつ勃起が確かになってきたのを確かめると、少し力を入れて上下に扱いた。

 肉の棒の生々しさを感じる。先ほどまでの情事で肉棒にこびりついた体液が手の中でにちゃにちゃ、と音を立てるのがたまらなく感じる。

 

 「ふふ………っ♡」

 

 彼の反応がどこか可愛くて、もっと弄びたくなる。

 私は彼の腕の中からするりと抜けて、彼の脚の間に体を滑り込ませた。

 眼前にムクムクと大きくなっていくペニスがあった。

 露出している亀頭にふぅっ、と息を吹きかけると驚いたように跳ね上がった。

 

 「おちんちん、おっきくなってきましたね………♡」

 

 息を吸い込むと饐えたような鼻につく匂いがする。陰茎と陰毛の、男の―――雄の匂いだった。

 正直臭いはずなのに頭の奥までつんと響く、なぜか病みつきになってしまうような匂い。

 私の脳の女の部分を刺激する匂いだ。

 

 手を伸ばして陰茎の根元、睾丸に手で触れる。

 中に卵が入った水風船というべきだろうか、少しひんやりとしてたるみのある皮膚に包まれている精巣の感触を確かめる。

 掌と指でそこをやわやわと揉み解しながら、舌先を出して亀頭をつつく。

 亀頭の周りにはもう滲みだした先走りの汁で濡れ始めており、舌でそこに触れると微かに塩っぽい味がした。

 

 「あぁ………っ」

 

 鈴口をほじるように舌先をねじ込むと、ラストルが喘ぎ声をあげた。その部分だけを重点的にちろちろと舐めまわしていくと、混ざり合った唾液とカウパーが粘っこい音を立てる。

 彼の反応を確かめながら亀頭の部分を更に舐めまわした。

雁首のエラに沿って舌を這わすと、何かを訴えるように男の腰がかくかくと震えた。

 なんとなく言わんとすることを察した私は一度大きめに口を開いて亀頭を口に含んだ。

 

 「んあ………………っ」

 

 私の口が小さいこともあり、亀頭だけでも口腔内はほぼ占領されている。

 息をするとより強く感じられる男の匂いに頭がくらくらした。下手な酒を飲むよりずっと酔いそうだ。

 

 飴を転がすように、口の中で亀頭を弄ぶ。

 口の中をすぼめて口腔全体で亀頭を扱いたり、唇で何度も雁首を裏から引っ掛けて擦る。

 陰茎が口を出入りしてちゅぽちゅぽと卑猥な音がする。

 舌全体でしょっぱい味を感じながら亀頭を舐めまわして、口内に溜まった唾液と先走りの混合液を飲み下すとラストルが陰茎をびくびくと跳ねさせた。

 

 「ふぅ、うぅ………………っ」

 

 ラストルが手を伸ばして私の頭を撫でてくる。

 もっと奥まで咥えてほしい、とかそういう感じの手つきではなかった。

 単純に、幼子を褒めるように私の髪と頭を優しくゆっくりと撫でていた。

 ただそれだけのことだが、つい嬉しくなって胸の奥が温かくなってしまう。

 

 私はもっと熱を上げて彼のペニスに奉仕を続ける。

 片手で玉袋を解しつつ、竿を扱き、口で亀頭をしゃぶった。

 上目遣いで彼を見ると、苦悶と快感が入り混じったような官能の表情を浮かべていた。

 

 「あぁ………リオさん、もうそろそろ………………っ」

 「んん?おうへひょうへふあ?」

 

 彼がそろそろ限界を訴え始めたので、口奉仕を切り上げる。

 頭ごと口を後ろに引いて、ちゅぽんっ、という少し滑稽な音と共にペニスを開放した。

 ペニスはすっかり元気を取り戻し、唾液でぬらぬらと淫猥に照り光りながらその存在を主張していた。

 口元から溢れていた唾を手で拭うが、猛々しい肉棒を見ているとまたすぐに口に唾が湧いてきた。

 

 「ふふふ………っ、食べごろですね。」

 「何でしょう、貴女が言うと実際に取って食われそうで怖いのですが。」

 「おっと、流石の私も生ものを直に食べたりしませんよ。」

 「………生かどうかの問題ですか…。」

 

 ラスタルが困った人を見る目をしている。

 この分だと魔物のペニスを漬け込んだ酒の話とかはしない方がよさそうである。

 

 「生ものはあまり食べませんけど………生のおちんちんは大好きですよ?」

 

 そう言って私はベッドの上に横になった。

 その状態で軽く膝を立てて、挑発するようにラストルに秘部を見せつけた。

 陰唇に指を添えると愛液でぬめった音がして、前に中に出された精液の残滓がどろっと零れた。

 そこに注がれる彼の視線を感じると背筋がゾクゾクと震えた。

 

 「ね?私のここ、もうこんなになって………待ちきれないんです…おねがい、早く………………っ」

 

 我知らず甘ったるい媚びた声になる。

 自分の痴態を口に出すと余計に興奮が煽られた。

 もう片方の手はいつの間にか胸に延びていて、乳房を弄り始めている。

 

 「おちんちん、ちょうだい………?」

 

 もう放っておかれたらオナニーでも始めていただろう。

 口奉仕の前から盛っていた腰の奥、女の部分がズグズグと甘く疼いていた。

 

 「えぇ、わかりました。それなら腹ペコのお嬢さんにご馳走してあげないと。僕の………えっと、ソーセージを。生ですが。」

 

 ラスタルは精一杯の下ネタを頑張って口にしながらこちらに寄って来た。

 彼のそんな変に生真面目なところも好ましかった。

 

 「んぁぁ………………っ♡ おちんちん、良い………っ♡」

 

 片足を挙げられて、側臥の状態で挿入される。

 念願の生のペニスを頬張らされる私のおまんこは涎をたらしながら喜んだ。

 私は下の口でおちんちんをしゃぶりながら上の口で嬌声を挙げた。

 

 今夜の情事はまだまだ折り返し地点。

 私が満腹になるまでラストルには付き合ってもらう所存だった。

 

 

 

 




『プレイヤーの体』
設定されたアバターの基本的な造形から逸脱しない。
歳を取らない、ムダ毛が生えない、太らない、生殖機能が停止しているためか生理もない。
事実が判明した時、女性プレイヤーは大いに喜んだとか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。