※この作品はR-18です。

The Unlimited Horizon   作:白臼

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回想ⅱ 最初の冬が来る前に 後(※)

 

 

 今日の夕食は予定していた以上に食べ過ぎてしまった。

 最初に出てきた豚骨スープとチャーシューも全部食い切ったのだが、それだけでは満足できずハムも追加した。

 地球で生活していたころのようにスーパーマーケットで買っていた、予め薄くカットされたパック詰めのハムではない。この森で私が大量に虐殺した(・・・・)黒猪鬼(ブラックボアオーク)のぶっとい腿肉を丸ごと燻製にしたブロック状の塊である。

 

 これを塊ごとでかい枝に突き刺して、焚火で直に焙る。

 火が通るとともに中から染み出してくる脂身が垂れて火の上で音を立て始めた頃に引き上げて、串刺しの状態で直接齧り付く。

 表面の部分が焦げてカリカリになったその歯ごたえを感じながら、その分厚い肉を噛み千切る。咀嚼するたびに肉を加工するのに使った岩塩のピリピリする塩味と、内部の脂身の味が奥から染み出してきて実に美味い。

 

 こいつに加えてチーズとパンとビールがあれば最高なんだけどなぁ、と思いながらも此処にはないので贅沢は言えない。

 なんにせよ、凄まじく疲労していた肉体はそれに比例して大いに飢えており、それを満たすように私は大いに食らった。

 空っぽの胃袋に食べたものが満たされていくこの感覚に、自分のこの体(・・・)が生きているのだと強く実感する。

 ともあれ、食事が美味いというのは幸せなことだった。

 

 苛烈な運動と満腹な食事を終えれば既に辺りは暗くなっていた。

 既に季節は冬にほど近い秋の頃、夜が来るのは随分早く感じるものだった。

 なので川の水を浸した布で体を拭いて(本当は風呂に入りたいのだが)、寝る前に温かい飲み物を飲んで、テントの毛布に潜って就寝………。

 

 ――――――と行きたいのだが、そうは問屋が卸してくれない。

 正確にはうちの師匠が許してくれない。

 

 「………で、何で私は師匠のテントに連れ込まれているんでしょうかね。」

 「うん?本当にわからない?」

 「わかっているけど敢えて聞いているんですよ、クソ師匠。」

 

 さて、ここは私のクソ師匠ことマグラのテントだ。

 テントは魔物の革を加工した生地に骨を加工した骨組みと原始的な作りながら頑丈に仕上がっている(というか師匠が結界を敷いているので大砲をぶち込んでも倒壊しない)。

 敷物はと毛布はこれまた魔物の毛皮を加工したもので、包まるとかなり暖かそうだ(実際暖かい)。

 そして私は今現在このテント内で師匠と膝を突き合わせるかのように向かい合っていた。

 

 しかもお互い全裸だ。

 

 勘違いしないで欲しいが、私が裸なのは体を洗い終わった後、服を着る瞬間に連れ込まれたからだ。別に普段から全裸なわけではないし、自分の意志で脱いだわけではない。

 一方で師匠は自発的に全裸になっていた。まごうことなき変態である。

 そんなに全身刺青を自慢したいのかこのクソ野郎。

 

 「それもある。僕の体に恥ずかしいところなどないからね。普段服を着ているのは僕が恥ずかしがるからではなく、周囲の人が恥ずかしがるからだ。」

 「それでも常に半裸でしょう………。冬になったら上着て下さいよ、見るからに寒いんで。」

 「着ないよ?全身に魔力を漲らせれば寒さなんてどうということもない。」

 

 とか言いながら師匠が体にむんっ、と気合を入れるとちょっと離れている私でもわかるくらいに彼の体温が周囲を満たした。

 あんたは暖房器具か何かか………。

 

 「それからさっきから惚けているけどさ、リオ。こうして連れ込まれて何をされる(・・・)のかわからないわけじゃないだろう?」

 「それは………っ、」

 

 それは、その………言わないで欲しい。

 思わず師匠から目を逸らす。

 正確には、彼の股間の部分に天突くように勃起しているそれ(・・)から。

 

 「………………別に、あなたとは初めてではないですけど………いい加減にやめましょうよ。」

 「? リオは僕の事は嫌いかな?」

 「大嫌いですよ、殺したいくらいに。」

 「ならさ、さっさと君は逃げ出すなりなんなりするべきじゃないのかな。じゃないと捕まえられてしまうよ――――――こんな風に。」

 「………………っ、」

 

 ぱしん、という音がして――――――手首が強く握られた。師匠の手が私の手首を強く握りしめている。

 刺青だらけの褐色のその手は、石の万力のように力強くて、でも脈打つように力強い体温に満ちていた。その熱が掴まれているところから私の腕に染み入ってくる。

 こうして掴まれていると、私の腕がどれだけ細くて華奢で小さくて、無力(・・)なのか思い知らされる。

 

 抵抗するように腕を引いてもびくともしない。むしろ、ぐいっ、と逆に引き寄せられる始末だった。

 お互いの裸のままの肌と肌が触れ合いそうな至近距離。師匠の熱くて暖かいその体温を間近に感じる。

 何故か自分の頬が熱くなるのを感じる。それが悟られるのが嫌で、私は努めて彼から顔を逸らした。

 

 「………離してください。この強姦魔、ロリコン、人殺し、変態タトゥー仙人。」

 「僕の事は嫌いかい?」

 「何度も言っているじゃないですか。大嫌いですよ。」

 「………………でも、僕は君の事が好きだよ。」

 「………っ」

 

 やめて欲しい。そんなことを耳元で囁くように言わないで欲しい。

 目を逸らしていても、どんな表情でそんなことを言っているのかわかってしまうのが本当に嫌だった。

 きっといつものしたり顔で、それでいて真剣で目を逸らさずに、ぎらついた情欲を隠しもせずにそんなことを言うのだ。

 

 やめて欲しい。優しくしないで欲しい。

 私はきっと優しく(・・・)されても(・・・・)裏切ること(・・・・・)しかできない(・・・・・・)から。

 

 ――――――前もそう(・・・・)だった(・・・)から。

 

 「でも、君は僕の事が嫌いなんだろう。だったらいいじゃないか、後で裏切ることになっても。――――――後で僕を殺すつもりなら、なおさら。」

 「でも、私は、」

 「でも君だって気持ちいいのは好きだろう。僕だってそうだ。」

 

 掴まれたままの手が勝手に動かされる。抵抗しようとすると少し痛いくらいの力強さ―――――でも、その痛さに何故か胸がドキドキするのは気のせいだと信じたい。

 私の右手が何かに添えられて、握らされる。

 ………目を向けて確かめるまでもない。師匠の勃起した、ペニスだ。

 

 掌で感じるそのペニスは驚くほどの硬さと熱量で、思わず火傷するのではないかと錯覚するほどだった。

 まるで灼けた鉄の杭のようにガチガチに熱くて硬くて、ビンと雄々しく力強く仰角を描いて屹立している。

 

 「………………っ………」

 

 ビンビンにそそり立った竿部分。

 熱く張り出した凶悪な鉤のような雁首。

 ちりちりと縮れた陰毛と、ぷりぷりとした弾力と密度のある陰嚢………。

 

 私の手は言われたわけでもないのに、その形を覚え込むように表面全体を撫で擦っていた。

 手の感触を通じて脳裏にその逞しい雄の姿をありありと浮かべてしまう。

 

 「わかるかいリオ。君の事が好きだから、こんなになっているんだよ。」

 「……………………っ」

 「君の中に入りこんで、いっぱい君を気持ちよくさせて、種付けしたいと、僕がそう思うからこんなにガチガチに勃起しているんだ。」

 「………………ぅ………っ」

 

 掌の中でにちゃり、と音がした。これはきっと鈴口から漏れた先走りの汁。

 女に飢えた男のマラの涎のようなそれを、無意識のうちに手の上で弄びながら、くるくると亀頭全体に塗り込めるように手を動かしてしまう。

 

 そうして想像させられる。このガチガチの勃起おちんちんが私の中に入っていく光景を。

 この太くて硬いものが、私の股の穴に押し付けられて、肉を掻き分けながら子宮を突き上げる様。

 パンパンに膨らんだ亀頭が子宮口を押しつぶして、鍵のような凶悪な雁が何度も何度も膣襞を掻き毟って、竿が愛液に濡れながら私のおマンコを擦りあげながら出入りして………最後にパンパンに膨らんだキンタマから汲み上げられたドロドロのザーメンが私の子宮にぶちまけられて………………。

 

 「リオ。」

 「あ………っ」

 

 師匠の腕が私の体に回される。

 その手がぐるりと背中から回って後頭部を掴む。そしてぐいっと動いて私の頭を正面に向けさせる。

 抗議の声を上げようとしたその瞬間、強引に唇を奪われた。

 

 「ん………っ」

 

 彼の眼が私を逃さず捉えている。その眼は私が予想していたように、いつもの何かを悟ったような泰然とした余裕のある表情で、それでいてその奥に明らかな劣情を覗かせていた。

 その琥珀色の瞳の中に私の顔が映っている。眉を寄せて困ったような、何かに迷っているような、そんな顔。

 私はこんな弱々しい表情をする人間だったっけ…。

 

 私に押し付けられた師匠の唇は、お世辞にもあまり潤っているとは言えない、少しかさついたものだった。

 でも、驚くほど熱い唇だった。

 

 熱いのは唇だけじゃない。

 私を抱き寄せている腕が、その体が熱気に満ち満ちていた。まるで触れられるところにある太陽のよう。

 

 「………っは………」

 

 ちゅ、と音を立てて唇が離される。知らず息を止めていたみたいで、改めて吸う空気が新鮮に感じられた。

 いきなり何をするんだ、と言いたくて睨もうとしたけど、うまく体に力が入らなくて俯いてしまう。

 心臓が胸の奥でざわざわと騒いでいるような心地がする。でもその煩わしさが不快ではなくて、そのくせ何だか苦しかった。

 

 「リオ………。」

 

 混乱している私を尻目にもう一度師匠が私の耳元で囁く。

 その吐息が耳たぶを擽って、びくん、と背筋が跳ねる。くすぐったい、でもそうやって名前を呼んでもらえるのに悪い心地がしないのが腹立たしい。

 そこに込められている情熱、あるいは情欲の強さがわかってしまうから。

 私が求められているというその事実が、どうしようもなく私の中にある喜びを掻き立ててしまうから。

 

 「ふぅ………………っ♡」

 

 もう一度後頭部を強くつかまれてキスをされる。

 後ろに回された腕が一層強く私を抱きすくめて、体が彼の体と密着させられる。

 その熱い体温に、逞しい筋肉質な体に私の体が包み込まれてしまう。

 彼の体温は陽だまりのように温かくて、それでいて炎のように熱かった。逞しい腕と厚い胸板と合わせて、まるで日の光に晒され続けた岩盤のよう。

 

 今度のキスはさっきのよりずっと深かった。

 唇を割るように舌がこちらに捩じ込まれる。

 抵抗するように舌で押し返そうとすると逆に絡めとられてしまう。

 そのまま大きな舌で私の舌が弄ばれる。かと思えば歯の裏に、歯茎の合間にと縦横無尽に彼の舌が私の口の中を嬲って舐めしゃぶる。

 

 口の中からくちゃくちゃと品のない水音が響く。

 それが恥ずかしいと思うけど、それなのに口の中を絡み合わせる一体感が心地よくて、頭の中がクラクラしてしまう。

 ずっと口を塞がれていると苦しくて、でも息をしようとすると鼻息が荒くて恥ずかしい。まるで盛った動物みたいだった。

 

 「ふぁ………っ」

 

 お腹の上になにか先端だけ柔らかくて、芯の部分は驚くほど硬くて熱いモノが押し付けられた。

 言うまでもなく彼のペニスだった。ガチガチの勃起チンポが私のお腹にグイグイと、先端の先走りの汁を塗りつけるように押し付けられている。

 お腹の上に直接感じさせられる雄の欲望の塊。その熱を意識させられた下腹がきゅう、と疼き始めた。お腹の奥から粘っこくて、それでいて熱いものが流れ出ていく。

 無意識に太腿を擦り合わせると、にち、と糸が尾を引くような音がした。

 

 「………んふぅ、ぁ………っ♡」

 

 唇を離される。絡み合っていた舌と舌が解けて、間にかかっていた唾液の橋がふつりと途切れる。

 口元に感じていた熱が離れていくのが寂しいだなんて、そんな思いが頭によぎる。

 はぁはぁ、と息が荒い。空気をうまく吸えなかったせいで頭がぼうっとする。

 

 師匠の指が私の唇に添えられて、その輪郭をなぞる。くすぐったい。でも安心するようなくすぐったさだった。

 彼の眼があくまでも真摯に情熱的に、私の眼を覗き込んでくる。

 

 「………入れていいかい?」

 

 師匠は相変わらずそんなことを耳元で言いながら、ぐりぐりと股間の竿を私に押し付けてくる。

 その熱さと硬さ、太さと雄々しさを私に誇示するように。

 その昂りのほどを私に刻み付けるように。

 

 「………………っ」

 

 おずおずと下ろした視界にその勃起が映り込むと目が離せなくなった。

 脈動する大木のようなその存在感。赤黒い血を塗りこめたような禍々しい亀頭とよく焼けた褐色の竿。

 そして下から上へと立ち上ってくる――――――雄の臭気。

 酸っぱくて臭くて不愉快な、そのくせして胸が高鳴るような頭が痺れるような………吸い込まざるを得なくなるような匂い。

 

 「………………っ………♡」

 

 そして私は――――――師匠の言葉にこくこくと頷いてしまっていた。

 何をやっているんだろうと、自分でも思う。でもそうしてしまう自分がいた。

 だってしょうがないじゃないか。こんなに逞しくて男らしい肉の棒を、おちんちんを見せつけられて、お腹にぐりぐりと押し付けられて意識させられて………それでセックスしたくならないはずがないから………。

 

 「うん、いいよ。じゃあ………僕のペニスを君のおマンコに入れて、たくさん気持ちよくしてあげるからね。」

 

 その宣言に思わずきゅん、と子宮が高鳴る。

 雄の肉棒に貫かれて蹂躙されて、種付けされる雌の悦びを体が思い出してしまう。

 

 知らないうちに私の内腿には透明な愛液が一筋垂れていた。

 

 

******

 

 

 「ひゃあぁぅぅ………っ、んぅぅ………っ♡」

 

 師匠の体にぎゅうっ、としがみつく。

 筋肉でゴツゴツとした逞しい体は大きな木のようで、抱きしめると心が和らぐようだった。

 同じように師匠も私の体を膝の上に載せて、包み込むように抱きしめている。

 私より一回りも二回りも大きい男の人の体温と、汗の香り。それに包まれているのはまるで温かいお湯の中でまどろんでいるような心地………なのだが、実際のところそんな余裕はなかった。

 

 「ぅ、うごいてっ、うごいてくださいよっ、このクソししょう………っ♡」

 「駄目だよ。もう少し馴染むまでだ。」

 

 師匠がそんな意地悪なことを言う。歯を食い締めて声を我慢しようと思っても「んぅぅ♡」と鼻にかかった声が出るのが止められない。

 膝の上に載せられて向かい合うような、所謂対面座位の体勢。

 その状態でずっぷりとチンポを嵌められたまま、既に数十分は経っていた。

 

 「ふぅっ、んんっ♡ んんぅ………………っ♡」

 

 股の間から胎の奥まで、ずっぽりと師匠の熱くて硬い肉の棒に刺し貫かれている。

 雄の性器を入り口に感じた雌子宮が欲しがっているものを感じてきゅうきゅう、と下腹で哭いている。ぎちぎちに割開かれている膣肉を締め付ければその太さと硬さ、雄々しい存在感を感じて女の体が悦びに打ち震える。

 

 ………なのに、師匠はその状態のままで微動だにしない。

 それどころか彼の腕が私の腰をしっかりと捕まえて、私が動くのを制限してさえいる始末だ。

 

 「んぁっ、あぅ………っ♡ は、はやく、うごいて………っ!」

 「んー、あと十分………。こういうのはじっくり馴染ませてからの方が気持ちいいんだからね………。」

 

 師匠の両腕が優しく、けれど決して逃がさないように私の体を抱きしめてくる。まるで温かい檻のよう。

 体の内も外も雄の体に埋め尽くされる。間近に感じる汗の香りと熱っぽい体温が頭をクラクラさせてくる。

 

 それでも師匠はずっと動かない。私は惨めったらしく喘ぎながらさっきから何度も彼に催促していたが一向に梨の礫だった。

 胎の奥から溢れ出てくる甘い痺れが体を蕩かしていくよう。なのに、快感は雫を一滴一滴垂らすような緩慢な速度でしか溜まっていかない。

 もっともっと激しいのが欲しい。ぐちゃぐちゃに肉と肉を擦り合わせて、体液と体液をまぜっかえして、ドロドロになったお腹の中に溢れるほどの精液を注いでほしい。

 

 「おねがい、おねがいだから………っ♡」

 

 せめて気を紛らわせたくて、一層強く目の前の男の体に縋りついた。

 厚くい胸板に自分の胸を擦りつける。不自由な中で少しでも気持ちよくなりたくて、おっぱいを押しつぶすように押し付ける。

 体ごと甘えるように擦りつくと胸板と乳首、陰毛と陰核が擦れて気持ち良かった。

 

 男の体で自慰をするような、あるいは雄に媚びる雌のようなはしたない姿を晒す。

 それでも師匠はいつものしたり顔だった。本当に死んでしまえばいいのに…。

 

 「だから駄目だって言っているだろう。僕はやると言ったらやるし、待つといったからには待つよ。」

 「んふぅ………♡」

 

 くいっ、と私の顎を上に傾けて師匠が唇にキスをしてくる。私にそれを拒んだり、抵抗したりするような余裕はなかった。両顎はへたってしまったかのように力が抜けてそれを受け入れてしまう。

 口の中の唾液を啜りあげられて、舌をしゃぶられるような、貪欲なキス。喰らいつかれるように深く口を合わされると、深く繋がるような感じがしてわけもなく喜びが込み上げてくる。

 

 その間、師匠は私の体に手を這わせて愛撫してくる。

 肌の上の汗を掬うような、産毛をなぞるような繊細な手つき。かと思えば、肉を食むかのような荒々しい手つきで尻や太腿を揉みしだいてくる。

 絡み合う口元、撫でられる体の表面からの快感が、お腹の奥の燻火のような喜悦と混じり合って全身をくまなく飲み込んでいく。

 

 でも、決定的な刺激が足りていない。

 早く、早く、このガチガチの勃起チンポで胎の中を掻き毟って欲しい。

 頭の中はもどかしさとセックスへの期待だけが膨らみ続けてパンク寸前だった。

 

 「ねぇ、リオ。僕の事は嫌いかい?」

 「き、らいぃ………っ、だいっきらい………………っ♡」

 

 唇を離して、目を覗き込みながらそんなことを訊いてくる。

 何をいまさら。人を出合い頭に(・・・・・)殴り殺して(・・・・・)おいて何を言うんだ。

 今だっておちんぽを嵌めたまま動かないで、ずっとお預けにして、嫌いにならないわけがないじゃないか。

 

 「………なら、セックスは好き?」

 「すきっ、セックスするのすき………っ♡ すきだから、はやくしてよぉっ♡」

 

 自分の方から甘えるように体を擦りつけて、甘ったるい声で鳴いて、全力で媚を売る。

 勘違いしないで欲しい。師匠は大嫌いだ。でも嫌いな奴だけど、セックスが好きなだけだから。

 ただ、おちんちんが逞しくて熱くて硬くて太くて、そんなのをずっと嵌められたまま動かないでいられるのが辛いだけだから………。

 

 「うんうん、もうそろそろ時間だし………始めようか。」

 「えっ………、あっ! きゃうぅっ♡」

 

 そう言うと師匠はいきなり両手で私の腰を掴んで――――――上に一気に持ち上げた。

 突如体から肉棒が引きずり出される。体の中を埋め尽くしていた強い存在感が抜け出ていく猛烈な解放感と、寂寥感。

 その代わりと言わんばかりに鉤のような凶悪なエラが、返しのように膣襞をざりざりと引っ掻いていく。待ちわびていたその刺激に思わず背筋が仰け反った。

 

 「んぁっ、ぁっ♡ ひぃ、んっ、あっ♡」

 

 私の腰を掴んだ師匠はそのまま腰も使って、何度も何度も私の胎を肉棒で抉った。

 内臓を下から突き上げる容赦のないピストン運動。ずんっ、ずんっ、と胃が飛び上がりそうな強烈な突き込みだけど、ずっとお預けされていた私の体は愛液を撒き散らしながらそのペニスを咥え込んだ。

 びしょ濡れのおマンコが擦られるたびに、じゅくじゅくに溶けて汁を絞り出していく。それが雄肉に撹拌されて粘ついた泡を作りながら、股の間でびちゃびちゃと飛沫を飛ばす。

 

 気持ちいい。とにかく気持ちいい。

 

 「ぃんっ♡ ひぅっ、んんぅぅっっ!!」

 

 かと思えばぐっと奥の方までペニスを押し込まれて、そのまま腰を揺すられた。

 ぐちゅうぅっ、と胎の奥で押しつぶされた子宮が、体が解けるような快感を絞り出して腰が抜ける。

 その状態で亀頭が、餅を捏ねまわす杵のように子宮口を捏ねくり回す。

 お腹の中に焼けた鉄の棒を突っ込まれて掻きまわされるような灼熱感と圧迫感。

 自分の中を滅茶苦茶にされるのが気持ちよくて、気持ちよくて、頭がバカになってしまいそう。

 

 「んぉっ♡ お、おぉぅぅっ♡」

 

 ぶるり、と体が震える。次の瞬間、わけもわからないうちに私は気をやった。

 頭の中に真っ白な炎を流し込まれて脳を焼かれたような快感、絶頂感。

 ばちばちと視界が明滅して、一瞬上下左右がわからなくなるような浮遊感と酩酊感を覚える。

 喉の奥から動物みたいな声を絞り出される。みっともないと思っていてもそれをやめられない。

 

 「んん゛ぁっ!! あっ、あぅっ、ぁっ、ぁ゛っ!!」

 

 その調子で何度もペニスが私の中につき込まれて、子宮が何度も捏ねられて、私は何度も絶頂した。

 獣染みた声を上げながら、私は涎を垂らして咽び泣いた。

 師匠の腰遣いは卑怯なくらい巧みで、私の耐えられないタイミングで、私の弱いところを的確に突くような、そんなセックスだった。

 

 「はっ、ひゃぐっ、んんっ♡.」

 

 突然ピストン運動が止まり、床に敷いてある毛布の上に投げ出される。

 そのままチンポが引かれて体の中からじゅぽん、と滑稽な音を立てて引き抜かれた。

 ぜぇぜぇ、と息を吐いて毛布の上に寝転んで――――――休ませてもらるはずもなかった。

 体をひっくり返されて、腰を上に引き上げられる。

 尻を後ろに突き出して、交尾をせがむ雌猫のような姿勢を取らされる。

 

 「………っっ、きゃ、うぅぅっっっ♡」

 

 そしてその姿勢のまま――――――腰を掴まれて、ペニスを捩じり込まれる。

 鉄杭のように逞しくて野太い雄性器が、つるり、とこの上なく滑らかに体の中に入ってくる。どれだけ自分の中が潤っていて、数十分の間に男の形に馴染んでしまったのか思い知らされる。

 自分の中が硬いものに掻き分けられて、割り開かれるその快感に、思わず背が仰け反る。

 

 やがてペニスが最奥まで突っ込まれた。尻が彼の腰と密着する感触がする。

 体勢のせいでさっきまで深く深く勃起が体の中に入り込んでいるのがわかる。

 強烈な圧迫感が内臓を押し上げて思わず呻く。でも、そうして押し込まれている子宮はきゅんきゅんと甘ったるい痛みに悦んでいた。

 

 「はぁっ、あ゛っ♡ んんぅぁぁぁっっ!!」

 

 それから先の師匠は容赦なかった。

 まるで機関車のように逞しく、そして執拗に繰り返されるピストン運動。

 下腹の奥で甘ったるく蕩けている子宮は、小突きあげられて嬲られるたびに歓喜の果汁を絞り出して股をぐちゃぐちゃに濡らした。

 さっきまでは少しおろそかにされていた入り口部分を執拗に擦られる。陰唇の辺りをちゅぽちゅぽと小刻みに出入りするペニスが、雁首の裏で膣前庭を掻き毟ってピリピリとした快感を生む。

 

 力強い腰は前後に動くたびに私の尻とぶつかってパンパン、と拍打音を響かせた。

 その音と衝撃が、貪られて(・・・・)いる(・・)という被虐感を生んで背筋がゾクゾクと粟立った。

 

 「――――――っ♡♡ ―――――――――っっ!!!!」

 

 私にできることは何もない。腰をがっしりと掴まれていて逃げ場もなく荒々しい抽送を受け入れさせられる。

 内側から湧きあがってくる甘くて辛いほどの快感が全身から力を奪う。

 捧げるように尻を後ろに突き出した交尾姿勢のまま、毛布に歯と爪を立てて嬌声を押し殺すだけだった。

 

 ピストン運動は暴力的に深々と胎奥を抉る暴力的なもの。

 なのにそれに蹂躙される私の体はそれを余すことなく快感と感じてしまうくらいには蕩け切っていた。

 体の中からぐずぐずに溶けていく私と裏腹に、師匠の肉の棒はますます硬く強くそそり立っていくようだった。

 今もまた天を仰ぐように反り返る亀頭の背が、膣の中ほどをぞりりっ、と削いでいった。ビクビクと背中を逸らして甘い悲鳴を上げる。

 

 「ねぇ、リオ。セックスは好きかい?」

 「すっ、すきっ、セックスすきっ♡ どろどろめすおマンコ、だんなさま(・・・・・)のかたくてぶっといおちんちんでぐちゃぐちゃにハめられるのすきぃっ♡」

 

 後ろからかけられる声に脊髄反射的に答える。

 おマンコはきもちいい。おチンポはきもちいい。セックスはきもちいい。

 ………二人一緒は心地良い。

 その事は全部あなたがおしえてくれて――――――、

 

 ………あれ?いま、わたしはなんていった?

 

 ――――――違う、違うっ。

 こいつは旦那様(・・・)じゃない!

 私が好きになったあの人じゃない!

 

 「ち、ちがうっ、ちがうのっ。ししょうっ、クソししょうはきらいっ!だいきらいっ、だいきらい………っ!」

 「じゃあ、聞くけど………僕のちんぽは嫌い?」

 「………………っ!!」

 

 卑怯だ。

 その質問は卑怯だ。

 そんなだから私はこの人が嫌いなんだ。

 

 「ち、ちんぽだけっ、おちんぽだけはすきっ♡ セックスするのだけはすきぃ………っ♡」

 「ん、ありがとう。それだけ聞ければ十分だよ。」

 「………っ、このクソやろうっ♡ なまぐさぼうずっ♡ ロリコンへんたいクソせんにんっ♡」

 「そんなに顔トロトロにしながら言われても説得力はないなぁ。」

 

 うるさい、絶対に殺してやるっ。

 死体の皮を剥いで丁寧に後処理して前衛芸術オブジェにして博物館に送り付けてやるっ!

 

 悪態は最後まで吐けなかった。

 師匠がより一層腰を力強く打ち付け始めたからだ。

 たんっ、たんっ、たんっ、たんっ、と手拍子を打つような軽くて速い、でも体の奥に亀頭の先端を抉り込ませる重くて深いリズム。私の一番好きなテンポ。

 慣れ親しんだその律動で、餅のように撹拌される子宮が悦びに打ち震える。

 加速度的に高まっていく快感のボルテージが、バチバチと背筋を駆けのぼって頭の奥を雷のように打ち据えてくる。

 

 「ん………っっ、んぐうぅぅぅぅっっ!! イくっ、イくぅぅぅ゛っっっ♡♡」

 

 容赦なく高みに放られて、深みに叩き落とされるイメージ。

 体が芯から桃色の電撃で焼かれて、溶けていくような凶悪な快感に呑まれていく。

 

 「ひっ、ぃぁ………っ♡ ゃめ………っ! イったからっ、いまイったところだからぁ………っ♡♡」

 「でも僕はイってないからね。」

 「けだもの………っ♡ ひとでなし………ぃっ!!」

 「罵倒のバリエーションが増えたようでなによりだね。」

 

 でも私が絶頂したところで師匠が止まるわけではなかった。

 絶頂して蕩けた体に更に追い打ちをかけるようなピストン運動が襲い掛かる。

 解れた子宮口に亀頭がずっぷりとめり込む感触がする。愛液まみれの体の中は蜜壺みたいで、それを灼けた鉄の杵のような肉棒が容赦なく掻き回していく。

 

 また程なく絶頂を味合わせられて、私は猫のように背筋を反り返らせて喘いだ。

 ひたすらに気持ち良くて何も考えられなくなるような連続絶頂。

 それが地獄なのか天国なのかよくわからないが――――――とにかくこの世ではないことだけは確かな場所に、私の意識が跳ね飛ばされていく。

 

 

 結局その夜私が気絶するまで、一度も射精することなく師匠は私の体を飽きることなく貫き続けた。

 

 

******

 

 

 「………くそ、やろう………。」

 「まだ悪態が吐ける辺り元気だねぇ、君は。」

 「………………いやみですか………。」

 

 私の独り言に律儀に師匠が返す。その余裕のある態度が本当に癪に障る。

 悪態が吐けるだけ元気、とか言うが――――――口を動かすしかできないというのがその真相である。

 

 指先一つとしてまともに動かない。

 体の奥から怠い痛みのような、甘ったるい快感の残り火が消えてくれない。

 息を大きく吸って吐いて、それでもなくならない疲労感。でも疲れているのに心地よいのが頭にくる。

 

 たっぷりと師匠のマラで泣かされた私は、気絶から覚めてからずっとこうして毛布の中にくるまっていた。

 ………そして同じ毛布にきっちり師匠が潜り込んでいて、腕の中に私を抱いている。

 おのれこのクソ師匠、暢気な顔をしやがって。手に力が入れば目の前に見えるその乳首をねじ切ってやるところなのに………。

 

 「なんでおんなじ毛布にはいってるんですか………。恋人きどりのつもりですか………クソったれ………。」

 「いやいや、そんなつもりはないとも。可愛い女の子を抱いて寝ると気持ちがいいからね。それだけの事さ。」

 「………………。」

 

 寝そべった状態でこっちに顔を向けて、私の顔を覗き込んでくる師匠。

 悪戯気な琥珀色の瞳が私の赤く上気した顔を映し出していた。

 私はこんなにクタクタなのにそっちだけ平気な顔というのは不公平なんじゃないかと思う。

 

 下腹の奥に意識を向けると、今でも甘く痺れるような快感の名残があった。

 その奥に何だか重くて暖かい粘液の感覚がある。師匠は射精までが長い代わりに一回の射精量がすごい。お腹の中がたぷたぷと膨れているような気がする。

 その温かい熱感。子宮の中になにかある感覚に安らいだ気持ちを感じるのは――――――やっぱり私の体が女だからなのだろうか。

 

 「恋人気取りだとか、僕はそんなつもりは無いし、金輪際なれやしないよ。君は僕の事嫌いだろう?」

 「………。」

 「だから――――――いつか、聞かせてほしいね。君の恋人の事。」

 「………………しんでください………。」

 

 人に何を言わせようというんだ、このクソ師匠は。

 ………まだ、彼の事は私の中で折り合いが付けられていないのに。

 

 私が好きだった人、私を好きでいてくれた人。

 私が愛した人、私を愛してくれた人。

 そして――――――私が裏切った人、私を裏切った人。

 

 私はどうやって彼の事を思い返せばいいのだろう?

 いつの日か彼の事を「いい思い出だった」と振り返れる日が来るのだろうか?

 そんな日が来るのなら早く来て欲しい。

 少なくとも今の私は、どうやって――――――。

 

 「………………っ………。」

 

 胸の中が苦しくて、頭の中がこんがらがっていく。

 無性に遣る瀬無くて、でも何をどう言葉にすればいいのかわからなかった。

 

 「いいよ、今は何も言えなくて。………今はもうお休み。」

 

 そんな私を温かいものが包み込んでいた。

 師匠の腕がぐっと私の体を引き寄せて、その胸の中に抱いてくる。

 逞しい腕と饐えたような汗の香り、そして熱っぽい体温と心臓の鼓動。

 本当にお節介で憎たらしい師匠だけど――――――今は、殺意は沸かなかった。

 

 「今日は、疲れただろう?」

 「だれが疲れさせたと、思ってるんですか………。ふぁ………。」

 

 あぁ、もう。殺意は沸いてこないけど、眠気が湧いてきてたまらない。

 しょうがないからこのまま抱かれていてあげよう。

 そろそろ冬も近いから、きっと二人で抱き合って寝れば温かい。

 それだけ、それだけの事だから………起きたら、朝一で殺すから………。

 

 「おやすみなさい。」

 

 師匠が耳元で囁いた。

 返事をする間もなく、私の意識は深い眠りの中に落ちていった。

 

 

 ―――――――――意識が落ちる直前、「夢で旦那様(あの人)に会えるかな」なんて思ってしまった。

 

 

 会えなければいいなぁ、と思う。

 今の私では――――――まだ、どんな顔をして会えばいいのかわからない。

 

 

 

 




第一章はここまで(+明日上げる用語集)で完結。
第二章まではまだしばらくかかるかかると思いますが気長にお待ちください。
詳しくは活動報告へ。
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