※この作品はR-18です。

The Unlimited Horizon   作:白臼

34 / 102
第二章、開始


第二章 『赤い伯爵と青い薔薇』 (過去編その1)
ep.1 Jail Like a Cradle(※)


 

 

 

 ――――――どこかで耳障りな音が聞こえる。

 何かに覆いかぶさられた状態の物体が激しく震えているような音。

 なんとなく、布団の中で切り忘れたまま鳴り響く目覚まし時計を連想した。

 

 「ぅん゛っ………、んん゛ッ!!んぅあ゛ぁぁ………………っっ!!」

 

 次の瞬間、体の芯から響く衝撃が全身を駆け巡って、思わず声を絞り出される。

 体の中がドロドロの熱い液体になって、煮立って沸騰していくようなイメージ。

 お腹の奥から弾け飛んだ、燃えるような快感(・・)は度を越せばもはや苦痛にも等しかった。

 

 息が苦しい。溺れてしまいそうだ。

 

 「お゛っ、おぉ゛………………っっ!!!」

 

 轡を噛まされた口の橋から「ひゅーっ、ひゅーっ」とか細い息が漏れて、唾液が泡になって垂れていった。

 塞げない口からぽたぽたと涎が垂れてしまう屈辱にももう慣れた………いや、もうそんなことに頓着できるほどの余裕はもう私にはなかった。

 

 自分で聞いていて過呼吸でも起こしているような荒い呼吸が耳に届く。

 必死に酸素を取り込んで絶えそうな意識を必死でつなぎとめて、ただただ耐える。

 

 そう、私にできるのはひたすらこの責め苦を耐えることだけだった。

 

 ――――――ヴィイイイイィィッッ………………――――――

 

 「お゛ッ………!! おぉぉッ、んんおぉォ゛………………!!」

 

 今もまたくぐもった振動音が聞こえる。

 音が聞こえるのは私の股の間、そして私の中(・)からだ。

 私の膣に突き込まれた張り型は飽きもせず、疲れも知らず、延々と私の中を微細な振動で掻きまわし続けている。

 

 私のお腹の中に食い込んでいる硬くて冷ややかな責め具。

 子宮口まで食い込んだそれが震源地になって、絶え間ない振動で私の体の中を撹拌している。

 内臓を抉られる異物感が少しずつ振動で慣らされ、やがては女の性器を解される快感にすり替わっていった。

 男の亀頭を模した先端部分に食いこまれた子宮口が、執拗に丹念に按摩を受け続け、奥の子宮が甘く甘く蕩かされていく。

 

 ――――――だが、それが終わることなく続けばそれは快楽という名の地獄だ。

 

 「やっ、やぇえっ………!!おう、やえぇぇっ………………っ!!!!」

 

 やめて。もうやめて。

 そんな泣き言を言いながら惨めったらしく懇願する。

 

 延々と張り型に嬲られ続けた膣と子宮。そこから立ち上ってくる快感が絶頂に至るまでのスパンがどんどん短くなっている。

 一度の絶頂で文字通り息も絶え絶えの疲労感を覚え、場合によっては意識を飛ばしてしまうこともあるのに――――――それを間断なく、休む間もなく続けられたらどうなるのかは明白だ。

 

 もはや完全に一線を通り越して苦痛にも等しい絶頂感から逃げようとして身を捩る。だが、そんなのは無駄なあがきだった。

 張り型は枕のような台の上に固定されており、私はその上に跨るような形で座らされている。下腿と太腿をくくられているせいで、座った体勢から動くことができない。

 足の拘束を外そうと思っても、腕は後ろ手に回されて手錠をかけられている。

 完全に逃げ場のない状態で、終わることのない機械責めを受け入れさせられ続ける。

 

 少しでも楽な姿勢を取りたくて、快感から逃げるように体を捩らせる。

 その度に首に掛けられた首輪から伸びる鎖と手錠の鎖がじゃりりっ、と硬い音を立てた。

 

 「ふう゛ぅぅ………っ!!んんんうぅ………………っっ!!」

 「―――――――――リオ。」

 

 責め具の上に縛り付けられて、悶えながら呻くだけの私に声がかけられた。

 目隠しをされているせいでそいつの顔は見えない。

 

 でもわかる(・・・・・)。

 彼(・)がどんな顔立ちをしていて、どんな表情で私を見つめていて、どんな目で私を見ているのか、手に取るように分かる。

 それは今の私が視覚を超えた気配探知の能力を持っているとかそういう話ではない。

 そういう話ではないのだ。

 

 ――――――私と彼は、もうそれほどまでにお互いを触れ合っているのだから。

 

 「リオ。」

 

 淡々とした―――いや、淡々と声を出そうとして、内に秘めた熱を隠しきれないような(もうそれがわかるくらいの仲だ)彼の声が耳を震わせる。

 文字通り吐息がかかるほどの近く、体温を感じるほどの近くから彼の声が耳を震わせる。

 耳元で囁かれる声がぞくぞくっ、と背筋を震わせる。

 

 「『やめて』なんて、言っても無駄なのはわかってるだろ。………それを決めるのはお前じゃない。」

 

 聞く人によっては冷ややかに聞こえるような声の奥に、熱情を、あるいは劣情を滾らせながら彼が囁く。

 声から耳から、伝わってくる彼のその情の深さがわかってしまって、私は身を震わせることしかできなかった。

 

 「んっ………あむっ」

 「ひゃぅ………………っっっ♡」

 

 耳元で声を囁いた体勢のまま、彼が私の耳に歯を立てた。痛みは感じない、優しく噛んで含めるような甘噛み。

 そのまま耳全体を口に含まれて唾液を塗り込まれるように耳をしゃぶられる。

 まるで耳を通して脳内を直接舐められているよう。

 くすぐったくて、それでいてぞくぞくするような快美感。

 

 「んっ、んんふぅあ………………っ♡」

 「乳首が立ってるぞ。カチカチに勃起していやがる。オモチャにマンコをぐちゃぐちゃにされるのがそんなに気持ちいいみたいだな。」

 

 彼の腕がそのまま私の体の前に回される。その手が私の胸を捉えて、真ん中の肉の尖塔をきゅっと摘まみ上げた。

 胸の先からじぃん、と甘い痺れが弾ける。そのままきゅっ、きゅっ、と何度も底を捻られると胸の奥が熱くなる。

 

 バイブ責めで膣と子宮だけでなく、私の全身はすっかり出来上がっていた。

 乳首だけでなく胸も両掌で水風船のように揉みしだかれると、そこから溜まっていた快感が染み出してくるようだった。

 

 「あん゛っ、あぁぇっ♡ あえ゛ぇ………っ♡♡」

 

 駄目、と抗議の声を上げようとして、その声は玉轡に遮られて意味のない呻きに変換された。

 

 彼の愛撫が全身に降ってくる。

 乳房を揉み解すような柔らかい手つきで弄びながら、乳首をコリコリとひっかき、あるいは摘まんだりしながら押し潰す。

 頬や耳、あるいはうなじにわざと音を立てるようなキスをする。

 キスはそれだけでなく全身………肩や背中や、鎖骨や胸やらにもしてくる。一つ一つわざと痕を付けるような強いキスだ。

 指先が全身の肌に触れて愛撫してくる。その繊細さはまるで産毛に触れるような、あるいは汗の滴を掬うような繊細なタッチだった。

 

 「ゃぁぁ………っ♡ あっ、ぁっ、いぁぁ………………っっ♡♡」

 「何が『いや』だよ…。そんなこと言いながらお前のマンコびっしゃびしゃだろーが。説得力ないっての………。」

 

 彼の優しい愛撫を、苛烈なバイブ責めをされながら受けるのは毒だった。

 強制的に体を絶頂に押し上げ続ける暴力的な快感、その合間に差し込まれるこちらを労わるような優しく丹念な愛撫は、さながら灼熱地獄で飲む清涼な水のようだ。

 絶頂の苦痛から逃げるように、体の感覚は詳細に彼の愛撫を追いかけてその優しい快感を脳裏に刻み付けていく。

 でもそうして逃げようとすればするほどに襲ってくる絶頂感は深く激しく私の全身を焼いた。

 まるで一匙の塩が果実の甘みを引き立てるように、あるいは一杯の水がかえって体の渇きを自覚させるように。

 

 「はっ………、こっちもビンビンだな。チンコみたいに勃起してるぞ。」

 「―――――――――……………っっっ!!」

 

 辛い絶頂と甘い愛撫に翻弄されていた私の意識が別のところに急激に引き寄せられる。

 彼が唐突に私のクリトリスに指を這わせたのだ。

 執拗に執拗に掻きまわされているすぐ下の穴を羨むように硬く勃起したそこは、指で軽く触れられるだけで電流のような快感が迸った。

 

 「こっちも物欲しそうにしやがって………心配すんな。気持ちよくこっちでもイかせてやるさ。」

 

 そう言って彼はクリトリスを指先で摘まむようにてから、その表面を擦るようにしゅこしゅこ、と扱き始めた。

 股間の上で弾けるような快感が急速に高まっていく。

 

 「ん゛んぁ――――――っ―――…………っっっ゛!!!」

 

 キツい。これはキツい。

 

 膣と子宮の快感は未知のそれを開発されるようなものだった。自分でもわからないものを味わされてそれに慣れさせられていくような、自分が作り替えられていくような感覚。

 対してクリトリスの快感はある意味で慣れ親しんだ(・・・・・・)ものの延長線上にあった。しかも、かつて親しんでいたものよりも圧倒的に敏感で強烈な。

 

 その辺りの事情は彼には話していないが、彼は私がどの快感に親しんでいたかはわかっていた。

 だからここ(・・)に押し込められて最初は良くクリトリスを開発されていて、すっかり敏感になってしまっていた。

 

 つまり全身の中でも最も敏感な場所の快感が、息もつかせないような子宮絶頂に加えられたのだ。

 私はもう、座った状態で縛られた体を反り返らせて殺される鳥のような悲鳴を上げるしかなかった。

 

 「暴れるな………暴れるなよ………………。」

 

 駄々をこねる子供に言い聞かせるように優しく囁きながら、彼が私を後ろから抱きしめてくる。

 背中に感じる彼の厚い胸板、体に回される細いようで逞しい腕。

 目元を隠されていても、いや目が見えないからこそより強く感じるその感触に思わず胸の奥でとくん、と心臓が高鳴った気がした。

 でもその甘い鼓動も、津波のような快感の濁流に呑まれて消えていく。

 

 「んんぁぉぉ゛っ………………!!!!あ゛あぁんぉお゛………っ!!」

 

 愛液がクリトリスの表面で泡立ってちゅこちゅこ、と音を立てている。

 こっちの高まる快感のボルテージを気にしてブレーキをかけるなんてことは無く、私の快感が一線を超えて鋭く重たい絶頂に飛ぶ。

 股の間で何かびちゃびちゃ、としぶくような水音がするとともに解放感が背筋を震わせた。失禁したのか、潮を吹いたのか、それすらもうわからない。

 

 そして以前(・・)とは違ってクリトリスの、女の(・・)快感には果てが無いし底がなかった。

 打ち込まれる刺激は快感になり、快感が溜まれば何度も何度も………そう何度でも絶頂に放り込まれた。

 鋭く痺れるようなクリトリスの快感と重く溺れるような子宮の快感が相合わさって私の意識を擦り潰していく。

 

 「――――――っっ!!――――――………っ!!」

 

 やがて自分の悲鳴も何処か遠くになっていく。

 今も私を抱きしめている彼の体温を感じながら、私は気を失うようにして意識を手放していった………。

 

 

******

 

 

 「はっ、あ゛っ、あ゛っ………ひぅっ………………」

 「………んー、あぁ………。もう魔力切れか。」

 

 いつしか張り型の振動が止まっていた。お腹の奥を揺さぶる振動を感じなくなっていた。

 おそらくは動力として使用されていた魔石の貯蔵魔力が尽きたのだろう。魔石の容量はモノにもよるが、そう何時間も持つものではない。

 ………実際、何時間も責められていたらと思うとぞっとする。

 

 「じゃあ、抜くぞ。」

 「ふっ゛、うっ゛………………っ!!!!」

 

 背後から声をかけられる。

 彼が私の脇の下に手を掛けてぐいっ、と上に引っ張ったのだ。

 

 体に深々と突き刺さっていた張り型が抜け出ていく。胎内を圧迫していたものが抜かれていく解放感。

 だが、それ以上に凄まじいのは密着した膣襞を張り型表面の凸凹に掻かれていく感触だった。

 じゅぷぷぷぷ………っ、と自分の中の愛液を掻き出しながら野太いものが体の中から抜けていく。

 じゅぽんっ、とある種滑稽な音を立てながら完全に抜け切ったとき、思わず身を捩らせて絶頂した。

 

 「あー、あー………本当びっちゃびちゃだな。小便もらしたみてーな………。」

 「うぅ……………っ!」

 「気にすんな。今更漏らしたくらいでお前の事をきらいになったりしねーって。」

 

 私を後ろからまるで人形のように抱きかかえながら彼が呟く。

 粗相したのを揶揄されるような言葉に思わず、羞恥で頭がかっとなる。

 でもそれを慰めるように頭をくしゃくしゃと撫でられると奇妙に心が安らいでしまった。

 

 そして私を後ろから抱いたままで、彼が私の口枷と目隠しを外す。

 部屋の中は暗いが、今まで完全に暗闇に閉ざされていた視界には少々目が慣れるまで時間が必要だった。

 ぱちぱちと目を瞬かせると、ぼんやりとした視界が少しはっきりしてくる。

 

 そこで顎の下に手が添えられて、強引に背後を向かされた。

 

 「可愛いな、お前は。」

 「んん………っ♡」

 

 臆面もなくそんなことを言いながら、彼が私の唇を奪った。

 唇を触れ合わせるようなものではなく、口で口を食らうような強引で激しいディープキス。

 荒々しい舌と口はまるで貪るよう。ずっと口枷で半ば開いた状態を強制されていた私の顎と舌はすっかりくたくたになっていて、それを拒むような力はなかった。

 

 口で息ができないせいで、鼻にかかった吐息が漏れる。「んっ、んっ………」と媚びるような、甘えるような吐息だ。

 でも彼の呼吸も「ふぅ、ふぅ」とまるで飢えた犬のような荒々しくて余裕のないものだった。

 その事がどれだけ私の事を彼が求めているのか、その情熱が伝わってくるようで――――――思わず顔が赤くなる。

 

 「ん………………っ、ぷぁ………っ。………よあ、ひむ………………。」

 

 酸欠になりそうな長いキスを中断して、肩越しに振り返りながら彼と目線を合わせた。

 

 まずはっきり言って彼は美男子だった。

 すっと通った彫の深い鼻筋と、切れ長の目。

 髭とは無縁そうな清潔感のある頬と細い顎筋。

 薄暗いこの地下室の中でも良くわかる鮮やかなワインレッドの髪は良く整えられて艶やかだった。

 

 その彼――――――ヨアヒムが、今はその榛(はしばみ)色の瞳の奥にぎらついた欲情を隠しながら、私の顔を覗き込んでいる。

 その眼が少し怖くて、私は目を伏せた。

 だが、もう一度顎に手を添えられて目を逸らすのは許されなかった。

 

 「オレの事は『旦那様』と呼べ、とそう言っているだろう………。」

 

 眉間に皺を寄せて不機嫌そうにヨアヒムがそう言い聞かせるように私に囁く。

 ただ………その時の彼の表情はただ不機嫌なだけでなく、それ以上にもっと苦いものを隠しているような、そんな色があった。

 そんな些細な心の動きも、今の私ならわかってしまう。私達なら、わかってしまう。

 

 

 「リオ、お前は………………オレの『所有物(モノ)』なんだからな。」

 

 

 やめてほしい。

 そんなことを言うのはやめてほしい。

 私達は本当は――――――本当は、そんな関係じゃなかったはずなのに。

 

 「………………………っ………。」

 「リオ………。」

 

 ヨアヒムと肩越しに見つめ合う。

 その間も、彼の手は私の体を労わるように――――――あるいは愛でるようにまさぐっていた。

 そうして手で触れてもらっているところ、背中を預けている彼の胸の温かさが、それが心地よいと私は思った。

 

 「………………リオ………お前にはまだまだ躾が必要みたいだな。」

 

 しばらくの沈黙を経て、彼が呟くように口を開いた。

 彼の眼は嗜虐的な情欲と、何かを振り切るような苦渋が重なり合うような、そんな複雑な色をしていた。

 

 そして、唐突に彼が私の体を離して、今まで座っていたベッドの上にごろんと投げ出した。

 離れていく体温に一抹の寂しさを覚える間もなく――――――彼が私の膝に手を掛けて股を開かせてきた。

 我知らず喉の奥から掠れるような息が漏れた。

 

 「ドロドロだな………そのくせして、キツキツ。普通、あんだけ突っ込んでたらユルユルになってるもんだろ。本当、いいマンコしてるなお前………。」

 「う、うぁ………っ、だめっ、だめだから………………っ♡」

 

 まだ拘束が外されていない私の脚を開いて、ヨアヒムがその指を私の膣に突き込んできた。

 ぐちゅん、とぬかるみに嵌るような音がしたかと思うとそこから甘い快感が走ってくる。

 無意識のうちに膣襞がゴツゴツした男の指の骨を食い締めてその感触を味わっていた。

 散々張り型に掻きまわされていたはずのそこは、解された肉の柔らかさはそのままに締め付けだけはきついままだった。

 そのせいで指一本でもその感触を余すところなく私の膣は堪能して――――――また絶頂感がぶり返してくる。

 

 息が絶えるほどに味合わされたその感覚が迫ることに恐怖さえ感じる。

 でも――――――その一方で、無機質な玩具の棒でなく、彼の指に昂らされているということに悦びを覚えている自分がどこかにいた。

 

 「駄目だ駄目だって………涎垂らしながらしゃぶりついてちゃ説得力ねーぞ。」

 「………………っく、ぁっ………♡」

 

 手首を捻るようにして、指が中でぐりり、と膣襞を抉る。

 思わず肺から息が絞り出される。股座からぴゅっ、と何かしぶく感覚があった。

 

 「このまま指でイかせまくってやってもいいんだけど………こっちもそろそろ限界だし、一発ヌかせてもらうぞ。」

 「………………っっ」

 

 そう言って彼は私の股座から指を引き抜いて、自分の服を脱いだ。

 すらりと引き締まった男らしい均整の取れた体。その下腹部には彼自身の美麗な雰囲気を打ち壊すような、硬く勃ち上がった肉の棒があった。

 頭髪と同じく赤い陰毛から伸びる、槍の様な陰茎。赤黒い亀頭はまるで獲物を狙って涎を垂らす竜の様に、禍々しい先走りの汁を垂らしている。

 

 その雄の勃起を視界に捉えた瞬間――――――思わず、ごくりと喉が鳴ったのを自覚する。

 それを彼もわかったのだろう。彼は酷薄な笑みを浮かべた。

 

 「好きものめ。」

 「………あなたの、せいでしょう…。」

 「あぁ、そうだ。」

 

 ベッドの上に乗って彼が、ヨアヒムが私の腰を引っ掴んで股を広げさせる。

 手も足も縛られたままの私に抵抗する余地はなかった。

 まるでこの男の玩具(オモチャ)のような、所有物(モノ)のような、そんな扱い。

 

 そして彼の陰茎が私の陰唇に触れる。

 互いの粘液が絡んでニチャリ、と糸を引く。

 その光景から私は目を離すことができなかった。

 

 「オレのせいでいい。………いや、オレのせいにしろ。

お前はオレの所有物(モノ)だ。オレが面倒見てやる。オレが責任取ってやる。だから―――――――――、」

 

 その瞬間、ずぷり、と音がした。

 温かくて、それでいて熱いものが私の中をくつろげながら入ってくる。

 

 「―――――――――――――――っっっ♡♡」

 「だから、バカみたいに喘ぎまくってバカになっちまえよ。」

 

 私の腰を掴んだままの彼が、自分の腰を押し進めてくる。すっかり解されてしまっている私の膣(なか)は痛みも全くなくそれを受け入れてしまう。

 膣肉が陰茎に引き延ばされて、そこから快感が染み出してくる。驚くほどの熱さと、肉の弾力を感じる。

 硬い無機物の張り型と血が通った男の性器。形が同じでも与えられる充足感がこんなにも違うのは何でだろう。

 

 「っく………。やっぱりお前のマンコは最高だな、リオ。柔らかいのに締まってて、襞がプリプリで、すげー気持ちいい。」

 「そ、んなのっ、いちいちいわなくていいから………………あっ………!!」

 

 目を細めながらヨアヒムが私の中がどれだけ気持ちいいのかと品評してくる。

 恥ずかしくて、でも何だか面映ゆくて頭がかっとなる。

 でも文句の言葉を封殺するように、彼がその腰を前後し始めた。

 

 膣の中ほどまで埋め込まれた雄肉が、勢いよく入り口近くまで戻って、また中へと突き込まれる。

 中ほどまでから入り口までの浅くて速いピストン運動。深さではなく速さを重視して膣襞を掻き毟るような動きだった。

 ちゅぽっ、ちゅぽっ、と卑猥な音がして、私の陰唇から愛液の飛沫が飛び散っていく。

 

 痒い所を遠慮なく掻き毟られるような攻撃的な快感に体が震える。

 張り型責めで子宮口は散々嬲られたが、膣洞と膣襞はあまり意識していなかった。

 そこを思いっきり何度も擦られるのはたまらない気持ちよさだった。

 膣の中ほどで亀頭のエラが少し狭まったところに引っかかり、それを力任せに掘り返される。ごりりっ、という衝撃が下腹からこみ上げて目の裏で火花が散った。

 

 「かぁっ、ぁっ、あぁ――――――っ♡」

 

 ベッドの上で思わず体をくねらせる。

 首輪と手錠の鎖がちゃりちゃりと音を立てている。

 後ろ手に縛られた手でシーツにしがみつく。足の指がぎゅうっ、と丸まる。

 

 喘ぐような荒い呼吸音が耳に届く。それは自分の息で、ヨアヒムの息でもあった。

 潤む視界の中で赤い髪がいやに目につく。荒い息を吐き、彼は眉を寄せながら一心に腰を振っていた。

 

 その快感に耐えながらの、必死の表情を見て――――――何だか、嬉しくなってしまう。

 彼が気持ちよくなってくれているのが、嬉しいと思う。

 

 でも、それがこんな状況でなければ――――――本当はもっと嬉しいのに。

 

 「うっ、ふぅっ………!!んんぁあ―――――――――っっっ♡」

 

 ばちん、と一際強く快感が弾ける。お腹の奥がきゅうっと切なくなって、中にいるヨアヒムの逸物(モノ)を締め付ける。

 絶頂感を味わって、全力走の後のような荒い息を吐く。

 

 気持ちよかった。

 気持ちよかったけれど――――――あまり良くない気持ちよさだった。

 ちゃんと飛んでいきたいのに、心残りがあってうまく地上から離れられないようなそんなイメージ。

 

 「ぁっ、いっ、ぃや………っ!」

 

 私のそんな不安感をよそに、ヨアヒムはまた腰を使い始める。体の中にまた快感が蓄積されていく。

 彼の表情はどこか意地悪気だった。彼は私の不安と不満をわかったうえでそうしているのだ。

 

 「ほら、物欲しそうな顔ばっかしてないで………………ちゃんとねだれよ。」

 「………………………っ………!!」

 「言っただろ、躾だって。ちゃんと『旦那様』って、そう言っておねだりするんだよ。」

 

 別に言わないんだったらこのままで終わらせてもいいんだけどな、と彼は呟いてから腰の動きを早めた。

 ガリガリと膣襞を掻き抉る腰遣い。また、私は軽い絶頂を極めさせられる。

 仰向けに転がって縛られたままびくびくと震える私を彼の酷薄な目が見下ろしている。

 

 

 ………本当に、意地の悪いやつだ。

 あなたは前からそうだった。最初に会った時から気に食わなかった。

 顔がよくて金持ちで身分が高くて、女にモテるのを鼻にかけている嫌な奴だと思っていた。

 その癖して、根っこは人にやさしくて義理堅くて、変なところで責任感が強くて誇り高い奴だって今は知っている。

 

 

 そんな………、そんなあなたを、私は好きになったのに。

 好きになれて、幸せだと、そう思っていたのに。

 

 

 「お、ねがい………っ。………だ、だ………っ、『だんなさま』………………っ♡」

 

 ――――――本当はそんな風に呼びたくない。

 私達は主人と客人ではあったけど………それでも気の置けない、いい友人だっただろう?

 

 あなたの名前を呼ばせてほしい。

 あなたを名前で呼ばせてほしい。

 

 あぁ、でもなんでだろう。

 『旦那様』だなんて言って………彼に屈服するような、あるいは媚びるようなことを口にするのに………いやに興奮を覚えるのは。

 

 「ぎゅって、して…………っ♡ だきしめてっ………………♡」

 

 手も足も縛られて、何も縋る物がない状態でイくのは………とても不安なことなのだ。命綱なしでベランダから飛び降りるような、そんな怖さがある。

 だから、抱きしめてほしい。体温を感じさせてほしい。

 こっちが手を動かせないから、せめて彼にそうねだるしかない。

 その事をわかっていて、彼は私にそう言わせているのだ。

 

 本当に――――――意地が悪い。

 

 「………………あぁ、そうだ。よく言えたな。言われた通りにそうしてやるよ、リオ。」

 「………ひっ、ぁっ♡ んっ、きゅぅぅ………………っ♡」

 

 ヨアヒムがふっ、と和らいだような優しい笑顔を見せる。それだけで胸の奥が疼くように脈を打った。

 そして彼が私の上に覆いかぶさるように、体を抱きしめてくる。

 彼の頬、彼の腕、彼の胸、彼の胴、彼の腰………彼の体が私の体に密着して、その温かい熱を伝えてくる。

 ぎゅうっ、と押し潰されそうなほどに、彼の腕の中で強く抱きしめられる。

 包み込まれることの安心感、肌が触れ合うことの幸福感で思わず泣いてしまいそうになる。

 

 本当は叶うなら、こちらからも腕を回して抱きしめ返したい。もっと触れ合うように、縋りつきたい。

 でも私は腕も足も拘束されていて、どこまでも不自由だった。

 だから私にできるのは、せめて芋虫の様に体を揺すって抱きしめられる喜びを表現することだけだった。

 

 「………………んんっっっ………♡♡ んん、ぁ――――――――っ♡♡♡」

 

 あぁ、でも。幸せなのは本当だけど、実はちょっときついこともある。

 体を密着させたせいで彼の陰茎が深々と中に突き刺さってしまっている。

 亀頭の先端が子宮口に突き立てられて、息もできないほどの子宮性感を呼び起こされる。

 

 「はっ………くっ………!!………奥の方、すげー柔らかくてこなれてる。突っ込むと中が全部ぎちぎちに締まって超気持ちいい………。」

 「ん゛っ、あ゛っ♡ ゃぁっ♡ おくっ………、おくだめ………………っっ♡♡」

 

 ここ最近(数日なのか数週間なのか、それすら判然としない)の調教ですっかり開発された私の子宮が苦しいほどの快感を弾けさせている。

 下腹に良く熟れた果実があって、それが杵に押しつぶされて捏ねまわされて中から果汁がぐじゅぐじゅと染み出してくるようなそんなイメージ。

 噴きこぼれるほどの愛液が膣から染み出して、触れ合う私達の腰をしとどに濡らしている。

 

 私を腕の中に抱きしめながら、ヨアヒムが腰を使う。ふっ、ふっ、と荒い呼吸が私の耳を擽る。

 槍のように、はたまた杭のように私の中を彼の肉棒が貫いて押し潰す。膣肉が抉られる猛烈な感触で目の裏がチカチカする。

 

 体を密着させている分、擦れ合うのは生殖器だけじゃない。

 絡み合う腰の間で、彼の陰毛が私の陰核に押し付けられている。体重をかけられながらたわしのような縮れ毛に敏感な部分を執拗に擦られて意識が飛びそうになる。

 彼の胸板に私の胸が押し当てられて、彼が体を揺するたびに乳首がコリコリと挫られる。無意識のうちにもっと刺激をねだるように私は彼に合わせて胸を押し付けていた。

 

 私の体は彼より一回り以上は小さいので、覆いかぶさられるとベッドとの間にすっぽりと体が隠れてしまう。

 まるで彼の体の熱で蒸されているよう。立ち上る少し酸っぱい汗の香りが、強く強く私の頭を痺れさせてくる。

 普通、汗の匂いなんて臭いだけだと思うのに、なぜか彼の匂いは好きだった。はしたないと思いながらもすんすん、と鼻を鳴らして彼の香りを嗅ぐのを止められない。

 

 「リオ………っ。リオ………っ!!」

 

 私を抱きすくめるヨアヒムが苦しげな声を漏らしながら、何度も何度も私に腰を打ち付ける。

 肉と肉がぶつかる拍打音と体液と肉が立てる粘着音、その合間に聞こえる熱に浮かされたような声。

 その声は暴発しそうな快感を堪えているようにも――――――あるいは本当に苦しんでいる(・・・・・・・・・)ようにも聞こえた。

 

 「リオ……………っ!!」

 「はぁっ、ぁぐっ♡ イくっ♡ イ、っくうぅぅ゛………………っっっ♡♡」

 

 体が丸ごと潰されるような圧迫感と共に、子宮口に亀頭の先端がめり込む。

 そのままグリグリと臼を回して曳き潰すように子宮を圧迫されて、私は肺から嬌声を絞り出して絶頂した。

 ぎちぎちと食い千切るように私の膣肉が反射的に内部の雄肉を締めあげて――――――その瞬間、射精が始まった。

 

 どばっ、とまるでお腹の中に間欠泉が噴出したかのような強烈な射精。

 熱くて重たい、雄の精の昂りが子宮口を穿って私の中に注ぎ込まれてくる。

 ずっとずっと求めてやまなかったものを与えられたかのように、私の子宮がきゅんきゅんと鳴きながら精液を次から次へと飲み干していくのがわかる。

 

 「んっ、んん゛――――――………………………っっ♡♡♡」

 

 ヨアヒムが犬のように荒い息を吐きながら私の口に唇と押し付けてくる。頭ごと抱きしめて、深く深く口を合わせる濃厚なキス。

 子宮に精液を、喉に唾液を流し込まれながらイく。

 体をぎゅうっ、ときつく抱きしめられてその体温に包み込まれながらの絶頂に耽溺する。

 余すところなく満ち足りた幸福感に溺れてしまいそう。

 

 本当に。あぁ、本当に――――――これさえあれば、もう何もいらないと思わされるような――――――、

 

 「………ちゃんと気持ちよくイけたか?リオ。」

 「イった………っ、イ、イきました………♡」

 

 ぜぇぜぇ、と息を切らしながらの彼の質問に答える。

 全身を砂糖で煮込まれたみたいに、甘怠くて熱かった。

 

 「何が良かった?」

 「ヨアヒムに………ぎゅっ、て………だきしめてもらうのが………………」

 「旦那様、だろ?」

 「だんなさま、に………。」

 「そうだ。旦那様にチンポ突っ込まれて、ぎゅうって抱きしめられながらイくのが一番好きなんだよな?」

 「そう………だんなさま、すき………………」

 

 頭がぼうっ、とする。

 彼が何を言っているのか、自分が何を言っているのか、いまいちよくわからない。

 

 でもいい。

 『好き』だって口にしたら、それだけで幸せな気分になれる。

 今も感じる彼の体温を確かめれば、もっと幸せだった。

 

 それでいい。

 今はそれでいい………。

 

 「リオ。もう少しこのまま抱っこしといてやるからな。それからオレのチンコ舐めて綺麗にするんだぞ。………………もっと頭がバカになるまでお前を犯すからな。」

 「はい………ヨアヒ、む………あれ、だんな………………?」

 

 あぁ、もう意識が解れていく。また気を失いそうだ。

 私は――――――いつもは彼をどんな風に呼んでいたっけ――――――。

 

 

******

 

 

 ――――――ちりんちりん、と何処かで涼やかな音がする。

 鈴の音………呼び鈴の音だ。

 

 「………んんっ、んっ、ふぅ………っ♡ ねぇ………………なって、ますよ………?」

 「………………っ。」

 

 鈴の音を聞いて反射的に、かつ急速に意識が浮上してくる。

 どろどろになっていた頭の中が目覚まし時計の音を聞いたみたいに急速にクリアになってくる。

 思考力を何とか引っ張り出して、くたくたになっている体に鞭打ってヨアヒムに声をかけた。

 

 彼にだって呼び鈴の音は聞こえているはずだ。

 もう行かなくてはいけないのはわかっているのだろうが………それとこれとは話は別なのだろう、舌打ちしそうなくらい露骨に嫌な表情をしていた。

 

 「ヨアヒム………。」

 「オレの事は、」

 「ヨアヒム(・・・・)。」

 

 半分酩酊している頭に鞭打って、ここはぴしゃりと言い切る。

 ぐぅ、と苦虫を噛み潰したような表情の彼と正面から向き合う。

 

 ………大丈夫。まだ大丈夫。

 ここで負けてはいけないのだ、多分。

 私の為にも、彼の為にも。

 

 「いやだ………。お前と、離れたくない。」

 「………この期に及んで………。そんな、子供みたいな駄々をこねないでください。」

 

 彼の真剣な表情とその言葉に思わず胸が高鳴ってしまうが、そういう場合でもない。

 なるべく心を鬼にして突き放す。

 ………手は出ないので、物理的には突き放せないが。

 

 ついさっきまで私達は後戯をしていたところなのでタイミング的にも此処が丁度潮時だ。

 あれから何度も体位を変えてセックスして、私達の体は互いの体液に濡れていた。

 前手に縛り直されている腕を、彼の首に引っ掛けてしなだれかかりながら顔を覗き込む。

 彼はしばらく眉間に皺を寄せてから、軽いキスをして膝の上に抱きかかえていた私をベッドに下ろした。

 

 「そうだな………。俺は………上に行く。」

 「えぇ、そうしてください。あなたには仕事があるんですから。」

 「あとで必ず、必ず戻ってくるから―――――――――何処にも、行かないでくれ。」

 

 こちらを真っ直ぐに見つめながらヨアヒムがそんなことを言ってくる。

 その時の彼の表情は精悍な美男子という外見に似つかわしくなく――――――何かに怯える子供のような、そんな頼りない顔だった。

 

 彼のそんな様子を見ていると思わず胸が痛む。

 ………だから私は迷った挙句、こう言うしかなかった。

 

 「………行きませんよ、何処にも。」

 「………………。」

 

 そうしたのはあなたでしょう、とついでに悪態も付け足しておく。

 自分の手を出して、かけられたままの手枷の鎖を鳴らした。

 がちん、という冷たい音が地下室に反響した。

 

 「………後で、食事と替えのシーツを持ってこさせる。」

 「えぇ、替えのシーツはできればお早めに。あとタオルも。」

 

 最後にそう言い残して、彼は服を着てから出ていった。

 鉄格子の扉が軋んだ音を立てながら閉まり、階段を昇っていく足音が聞こえた。

 その足音が消えたのを見計らってから、私は頭を抱えて盛大な溜息を吐いた。

 

 「はぁ~~~……………………っっっ。………………………どうしてこうなった………。」

 

 偽らざる本音だった。

 本当に、どうしてこうなった。

 

 ………一応、推察できないでもない。

 ただ………わからなくもない、というだけで確証はない。

 あっていたとしても、理解し難いし、共感し難い。

 

 本当にそれは――――――こうまでして(・・・・・・)することなのか(・・・・・・・)。

 

 「はぁ………。」

 

 溜息を吐いて顔を上げる。

 視界に入るのは、煉瓦造りの薄暗い地下室………もとい地下牢だった。

 唯一の光源は鉄格子の向こうにある蝋燭の燭台のみだった。

 ………別に明かりに不自由はしていない。私は夜目が効くのでこのくらいの明かりでも問題はないのだ。

 

 ただ地下牢の壁際にガタガタと立てかけられているおどろどろしい器具の山が問題だった。

 見ているだけで気が滅入る………というか、実際頭がおかしくなりそうだった。

 寝ているか、食事をするか、セックスをするかの三択しかない生活を続けていれば、それは当然、誰だっておかしくなると思う。

 

 「ヨアヒム………。」

 

 彼の名前を口にする。

 私をここに監禁してセックス漬けにしている張本人だが――――――私は彼を恨めなかった。

 正確には、嫌いになれなかった。

 いっそのこと嫌いになれれば――――――話はずっと楽だったんだろうけれど。

 

 「あのバカ………。」

 

 頭の中で彼の顔を浮かべながら悪態をついて、ベッドのシーツにくるまった。

 悪態を吐きながら、彼の体温を思い出して――――――それでも頬が緩んでしまうのを止められない。

 自分で「さっさと行け」と送り出しておきながら、次に彼がここに来るのを待ちわびている自分がいるのを自覚する。

 

 

 あぁ、くそ。本当に自分は――――――あいつのことが好きなんだな。

 

 

 「………………………。」

 

 首元に無意識に手を触れると、かけられっぱなしの首輪とごつい南京錠と鎖がじゃらん、と音を立てた。

 

 ………………一寝入りできれば楽なのだろうけれど、先ほどまで何度も失神と覚醒を繰り返していたせいか上手く寝付けなかった。

 体液でびしょ濡れのシーツが煩わしい。早く替えを持ってきてくれないものだろうか。

 

 

 時間を潰せるものはこの地下牢には何もない。

 だからそう――――――少しここまでの経緯を思い返してみるのもいいだろう。

 少し長い話になるし丁度いいかもしれない。

 

 

 始めるのならそう、『私』がリオ(わたし)である前、了(おれ)だった数か月前の話から――――――――――――。

 

 

 

 




更新頻度はガッツリ落ちるでしょうけど、生存報告も兼ねて、という感じで投稿。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。